Structural Design Group

「中野坂上サンブライトツイン」の構造デザイン


超高層建築の構造デザイン

超高層の構造的なあり方についてペンシル型(単独塔状)ではなく複数の塔が何かを媒体にして連結される「連成型」超高層の合理性を考えていた。連成することで新たな構造の概念を引き出し、かつ空間的にも独自のものをつくれる可能性を感じていた。

この中野坂上では、オフィスの床を二分して中央に吹き抜けのあるアトリウムを設けるプランは機能的にも合理的であるし、当然オフィスビルとしての建設コストには厳しい制約があるので、全体を合理的に構築するためには、この「連成型」構造計画は必然性をもって計画チーム全員の合意を得ることができた。

2棟のフレームに比べて、垂直スペースフレームには当然であるが応力が集中する。しかも軸力部材だから座屈耐力で決まってしまう。このブレース材は想定するどんな大きさの軸力に対しても座屈しない、という断面を選ばなければならず、しかも相応に安全率を高めておく必要がある。

普段は、開断面の部材の方がシャープであり、接合部も容易になるため鋼管タイプはあまり使用しない。しかし、このスペースフレームに限り、厚肉鋼管(Gコラム)にした。それはただひたすら最小鉄量での座屈耐力の向上のためである。

垂直スペースフレームの接合部
ジョイント詳細 ジョイント詳細


このスペースフレームの接合部は、当初の設計では、鋳造品にしろ鍛造品にしろ垂直部材と4本の斜材との結合を、2方向に回転可能な機械継手、ネジ式とピン接合の併用を考えていた。さわやかに大きな力を相互に伝達する鋼管接合を可能にするためであり、原寸大の模型まで造ってスタディしていた。

模型ができたところで、鉄骨建方のベテランである宮地建設のエンジニアに見てもらった。しかし、「こんな高精度を要求する仕口で超高層の鉄骨が建つわけがない」と、相手にしてくれない。そこで、斜材との接合方式をわりあい誤差を吸収しやすい溶接方式に考え直した。そして、柱を通しにして、鍛造部品を工場溶接しておき、斜材を現場溶接する案もあがったが、最終的にはこの仕口を一体鋳造した鋳造鋼部品に変更した。

再設計した仕口は、大きな、しかもこの超高層の生命線ともいえる力のやりとりを明解に、必要にして十分な形態を選ぶことができた。

アトリウムのシースルーエレベーターの支持構造
このアトリウムには6基のエレベーターが上下する。エレベーターの横ぶれを防止するガイドレールとカウンターウェイトだけを安定させればよいわけだから、必要最小限の支持構造を追及した。篭は上の機械室からぶら下がっているのだから、水平方向の安定性を保持する構造でよいので本体構造から片持ち状にリングを出し、それを斜めの丸鋼で固定した。
丸鋼の固定金物には機械加工したピン機構を使ったが、丸鋼が2本重なるところを1本のピンで納めるところが、このディテールの苦労したところである。
アトリウム

非難用ブリッジの鉄骨
 2基のスペースフレームの外側に左右のオフィス空間のための避難用ブリッジがある。これはブリッジとしての機能以外に、アトリウムを区画するガラス面の安定性を保持するための耐風、耐震機能を持たせた。できるだけ軽快な表現にするために、中央に三角ビームを渡し両側に山形のフランジをつける。後は、それらをつなぐ直交する三角形のプレートで、全体的にフィーレンデールの構成とした。こんな華奢な構造に建物全体に発生する地震力が入ったらかなわないので、片方を固定して、もう一方はローラー仕承とした。 避難用ブリッジ


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Updated Aug 18, 1997