SDG

朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故の真相解明に挑む

 
5. 提訴の組織
 
2004年8月に終了したSDGの定着部の一連の試験の後、この年の9月に新潟県は損害賠償請求訴訟を起こした。

しかし、SDGは、新潟県が提訴したことを知らない。県からは何も連絡がないからである。
その事実を知ったのは、新潟地方裁判所から膨大な書類が届き、その表書きに、「口頭弁論期日呼出及び答弁書催告状」平成16年(2004年)9月16日とある。その下段に、「頭書の事件について、原告から訴状が提出されました。当裁判所に出頭する期日は下記のとおりと定められましたから、同期日に出頭してください。なお、訴状を送達しますから、下記答弁書提出期限までに答弁書を提出してください。」と一方的である。

「頭書の事件」は「損害賠償請求事件」であり、「原告から訴状が提出」されたのは9月7日であったことを知った。訴状なるものは、A4で150ページぐらいあって膨大なものである。それに調査委員会の「調査報告書」が証拠書類として添付してあるから300ページ以上のものが送られてきた。
訴状の事故原因に関する記述は、先の「調査報告書」と同じものである。すなわち、@(SDGの)設計ミスが主因、A(黒沢建設の)定着部配筋の不具合、B(第一建設の)第一回ジャッキダウンの施工不良による定着部の損傷、により入江側R21の定着部が自壊して連絡デッキが崩壊した、である。

訴状も、調査報告書も膨大なページ数のものであるが、事故原因については上記の3行しかなく、しかも、その3行について、彼らは何も"実証"していない。
こんなんで裁判ができるなら、随分、簡単に誰でも訴えることができるな、と感心していた。

 
2_05.GIF

 
上の表のように、提訴の訴因(訴訟を起こす根拠)は、調査委員会の「調査結果報告書」しかない。そこでは、落下原因を3つに特定しているのだから、SDG、黒沢建設と第一建設だけにその責任を問うべきである。
しかし、県と契約関係にあるのは、この内、第一建設しかいない。SDGと黒沢建設は県との契約関係がどこにも無いから、都合が悪い。それでは、世間を説得できる訴訟は成立しないから、民法にある「共同不法行為」を訴因とした。誰にどれだけ責任があるかは、実は、判ってはいないが、設計と監理、工事した者は共同で責任をとれ、このうちの誰でもいいから賠償せよ、という提訴にした。

もっとも迷惑なのは、槙事務所である。この事故とは、技術工学的にも立場的にも、まったく関係ないのだが、一網打尽にしておかないと原告の立脚点が成立しないからの理由だけで、被告に加えられた。

一網打尽という意味では、地盤改良工事の大洋基礎、鉄骨工事の大川トランスティル、ロッド工事の神鋼建材を入れなかったことが、新潟県にとってはまずかった。
この三社は、事故原因と直接的な関係はないから提訴の対象から外したとすれば、協同組合、福地事務所、槙事務所も関係ないことになる。

自己矛盾に陥る訴訟でも、新潟県は平然として行う。
何故なのか。
明瞭になったのは、新潟県当局は、事故原因の解明には興味がなく、ひたすら損害賠償請求を成立させることが目的だった、ということである。
新潟県といえども、法のもとに動いているのだろうから、事故処理に関する法律が、そういう仕組みになっているのだろう。

これでは、事故が発生しても、その再発を防ぐ教訓を、永久に僕たちの子孫に伝えることができない。



back  |  序章  | . . . . |  _4  |  第2章_5  |  _6  | . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .  終章  |  next

SDG
Copyright 1997 Structural Design Group
Updated October 05, 2005