SDG

朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故の真相解明に挑む


第5章
事故原因調査における第三者性とは何か

     第3章の平成17年(2005年)1月27日付準備書面(1)で行ったSDGの原告新潟県に対する求釈明の回答が、平成17年(2005年)3月4日にあった。
その原告新潟県の回答に対し、SDGが反論したのが、この章のSDGの平成17年(2005年)5月25日付準備書面(3)である。




以下、SDGの「準備書面(3)」

原告は平成17年3月4日付準備書面において、被告SDGの平成17年1月27日付準備書面(1)の求釈明事項の回答をしているが、その内容はきわめて形式的なものに過ぎず、本質的な回答は皆無である。
被告SDGの準備書面(1)にある求釈明は、本訴訟の根幹をなすものである。
すなわち、原告新潟県は地方公共団体としての公的機関であり、法のもとに公平、公正な行動が求められる。本件事故に関して、?@客観的、第三者的原因究明調査を行ってきたのか、?Aその調査は真の原因を解明し得たのか、?Bその調査結果について関係者に十分な説明を行ってきたか、?Cそして賠償請求に関し原告は関係者と充分な協議を行ってきたのか、の各点が原告に求められているのは自明である。しかし、原告の平成17年3月4日付準備書面の釈明は、これらの点を何ら立証していない。

被告SDGは、本準備書面(3)において、原告の提訴が、公的機関としての適切、適正な手続きを経ずに、一方的に行われた誤った経緯を経ていることを主張し、かつ再度、これらの点に関し、原告に釈明の機会を提供するものである。

 
第1 被告SDGは、原告に対し別紙のように、再度釈明を求める。再度の釈明を求めるに当たり、左欄に被告SDGの平成17年1月27日付け準備書面(1)の求釈明の概要を記述し、中央欄に原告新潟県の平成17年3月4日付釈明、右欄に本求釈明を記述した。


No 平成17年1月27日付SDGの準備書面(1)での求釈明 平成17年3月4日付原告準備書面での釈明 再求釈明
書面No 略内容
 
 
第1
 
被告SDGの平成16年5月10日の回答は、賠償請求の拒否ではなく、事故発生以来、一貫して行ってきた真の事故原因を明らかにするための対話の要請であった。にも係わらず、事故発生以来、原告は、何らこの要請に応ずることなく、一方的な判断により本件提訴に至った理由は何か。
 
後記No.2を参照されたい。
 
SDGは、事故発生以来、本件事故の被害者である新潟県民のために、真の事故原因をまず明らかにするべきであると考えてきた。そして、調査委員会の原因見解(ロッド定着部破断説)とSDGの見解(上弦材鉄骨破断説)とが全く違うものであり、かつ、調査委員会の分析過程、結論に明らかな誤りを見出せたため、調査委員会との統一見解を見出すべく対話の要請を行ってきたのである。しかるに、新潟県は事故原因に関する一切の真摯な議論を拒否した上で、一方的に提訴に及んだのである。このことは、本訴訟の本質を問うものであり、争点が、原告の誤った調査報告書にもとづく損害賠償ではなく、原告の立証責任にもとづく真の工学的な事故原因の解明に立ち戻らなければならないことである。
左欄の釈明では、原告新潟県は自らに課せられている立証責任を放棄し、裁判制度の形式面を利用して、誤った訴状による損害賠償請求を展開したことが明白である。提訴に至る実際の経過について、再度の釈明を求める。

 
 
 
第2
 
なぜ、原告は、調査委員会の調査結果の説明を何ら行うことなく、一方的に提訴を行ったのか、その理由の回答を求める。
また、調査結果の信憑性を検証するために、原告は、他の公的機関または専門機関からの意見聴取、検証解析、検証実験などを行ってきたのか。
 
原告は、調査委員会から調査結果が報告された直後の平成16年1月20日に被告6者を含む関係者に同報告書を送付するとともに、同年2月13日及び17日には被告6者に対して委員会報告書に基づき事故原因について説明を行っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






また、被告らや第三者から寄せられた意見書等に対しては平成16年3月4日に調査委員会が原告のホームページを通じて「事故調査委員会に寄せられた意見書等に対する見解」等として答えており説明は十分と考える。

 

 

また、原告は、調査結果については調査委員会の非常に高度に専門的・技術的な判断により究明されたものであり、十分かつ正しい、信頼に足るものと考えており、改めて、検証を求める必要はないものと考えている。 

 

 

 

 

 

 

 

なお、原告では、報告書のみならず、添付資料、参考資料、事故調査委員会が検討した資料をホームページ上または県行政情報センターで閲覧に供しているところである。

 
原告の左欄の釈明の上段にいう、調査報告書を送付することは、内容を説明することとはまったく違うことである。原告はこの表記において、一方的に送付しただけで、説明していないことを、自ら立証したのである。

原告の左欄の釈明の後段の実際は、以下の通りである。すなわち、
平成16年2月13日にSDG渡辺は武藤港湾空港局長(当時)に呼び出され、今後、SDGを含む関連6社に損害賠償請求する旨を言い渡された。このとき、同席した森川調査班長(当時)らも含め、原告側から調査委員会報告書に関する説明は皆無であった。逆に、SDGは委員会報告書は工学的に正しいものではない、鉄骨溶接部の調査が未完であるの二点を申し上げたのである。会議の最後に武藤局長から、SDGの原因究明レポートが完成したら県にも送って欲しいという要請の発言があったのみであり、この日の呼び出しは説明とは言えないものであった。
原告は、このときの議事録を提出の上、説明したという証拠を示して釈明すべきである。

原告の左欄の釈明のホームページに掲載されているのは、「意見書等に対する見解」と黒沢建設の指摘に対する見解3通の合計4通のみである。前者は報告書の記述をそのまま抜書きしたものであり、後者の3通の見解は黒沢建設の指摘に特定した説明であり、SDGが平成15年12月24日に提出した「異議申立書」および平成16年1月23日の「意見書」には何ら回答していない。

以下に調査委員会の杜撰さを証明する一例を示す。報告書P83に上弦材鉄骨の引張耐力が計算されており、それを348トンとしている。この耐力は右下の図Bの場合である。現実には左側の図Aだから、引張耐力は260トンである。

6_1.jpg  6_2.jpg
図A             図B

すなわち、実際には図Aの設計と工事であり、溶接欠陥がまったく無ければ、260トンの耐力の鉄骨を、調査委員会は348トンと故意に算定している。これは単純な計算ミスではなく、調査委員会が上弦材鉄骨から破断することはない、とするための意図的な数字なのである。

260トンの耐力のものを348トンとすることが、「非常に高度に専門的・技術的な判断により究明されたもの」であれば、この報告書全体が偽造されたものということになる。こういった初歩的偽造を、発見できないほど原告新潟県の技術的能力も低レベルのものであることの証拠である。しかも、原告新潟県は、調査委員会の判断は信頼できるものだから、検証を求めないとした上で、260トンの耐力のものを348トンと過大評価して、鉄骨破断の可能性を「棄却」しているのである。

閲覧に供していることと、説明するということは別問題である。しかも、膨大な公開された資料のどこを見ても、調査委員会の入江側R21定着部破断説を証拠付ける資料はどこにもない。

以上により、SDGは、原告新潟県が提訴以前に被告SDGに調査報告書の内容を説明したことは一度もなく、被告SDGの対話の要請を無視して、一方的に提訴した事実を主張するものである。さらに、調査報告書の内容について、原告新潟県自身が検証を行わず、外部の専門機関に諮問することもなく、提訴を強行したことも主張するものである。

この被告SDGの主張に誤りがあれば、釈明の機会を与える。
 



第3

特に、甲第1号証の報告書・添付資料57ページから93ページの上弦材鉄骨破断面調査結果に、不完全な調査ながら、おびただしい溶接欠陥の存在が認められ、鉄骨工事の不具合を証明している。それにも係わらず乙D第16号証の後段の建議をも無視した理由の回答を求める。

被告SDGが主張すべき内容であり、釈明の必要性はない。

原告新潟県は本件の発注者としての責任、本訴訟における立証責任者としての責任を完全に放棄し、原告として支離滅裂な釈明を行っている。

一般に、鉄骨工事における溶接欠陥の存在が発覚したときは、その施工者に徹底した責任を問い、性能を回復するまで補修工事を求めるのが、健全な発注者の姿勢、義務である。しかし、原告新潟県は溶接欠陥の存在を知りながら、その責任を一切問わないのは何故か。鉄骨破断説を「棄却」したので、鉄骨会社の責任を免除したのか。再度、釈明を求める。

現存している「入江側デッキ」および「アトリウム側デッキ」では、施工欠陥は存在しないとしながらも、本田組および福田組に対して瑕疵担保期間であることを理由に、補修工事をすべきと原告新潟県は主張している。一方、本件?工区では明らかな工事欠陥の存在を知りながらその責任を問うていない。この発注者としての責任に照らし、まったく矛盾する姿勢の根源は何か、回答を再度、求める。
 



第4

原告新潟県は、事故調査委員会の第三者性は確保されていたとしている。ならば、もし調査委員会の報告書に誤りがあれば、その責任は、当然調査委員会に帰するものである。原告はそのように判断していると理解して良いか、回答を求める。

釈明の必要性なし。本件訴訟における原告主張の請求原因と何ら関連しない事柄である。

原告新潟県が、調査委員会の作成した報告書にもとづき、本提訴を起こしているのであるから、調査委員会の第三者性の証明は、本訴訟の根幹をなすものである。

第三者性とは、発注者を含む事故関係者のすべてに干渉されない客観的活動が保証され、調査に関するすべての権限を付与され、その調査結果についてすべての責任をもつことである。

調査委員会そのものが、原告新潟県からの独立性が確保されていないのであれば、前記の「調査委員会の非常に高度な専門的・技術的な判断により究明された」は真実性を失うものである。

調査委員会に第三者性は存在しなかったことを以下で証明できる。

(1) 前任の県知事、港湾空港局長が県議会で「原因究明は県が自ら行うべきもの」という方針を表明している。
(2) 調査委員会の10回の開催は、調査班(原告新潟県)が主催し、かつ、調査班同席のもとで討議されていたこと。
(3) 調査に必要な専門会社への発注(および金銭の授受)は調査班(原告新潟県)が行っていたこと。
(4) 調査委員会の討議の議事録を公開せず、合議の証明がないこと。
(5) 調査委員会に調査スケジュールの決定権がなかったこと。すなわち、(3)項と合せて、調査委員会には費用と時間の権限が付与されていなかったこと。

そしてもっとも決定的証拠が、

(6) 調査報告書に調査委員の署名捺印が無い、ことである。

 



第4

崩落したのは5スパン中、1スパンだけであるにも係わらず、他の4スパンの解体撤去を建議したのは調査委員会であり、その必然性を他の誰も検討していないし、承知していない。この判断に誤りがあれば、解体撤去した4スパンについての賠償請求は調査委員会に対して行われるのが筋である。原告はその様に判断していると理解して良いか、回答を求める。
本項の求釈明は、仮定の問題として提起しているのではなく、調査委員会の第三者性とは具体的に何か、を問うものである。


釈明の必要性なし。本件訴訟における原告主張の請求原因と何ら関連しない事柄である。損害論に関し、他の4スパンの解体の必要性がなく、当該解体部分につき損害といえない等の趣旨であれば、その旨積極的に主張されたい。

本項は前項の続きである。

にも係わらず、原告新潟県は損害賠償額の多寡について釈明を求めてると誤解し、釈明の必要性なしと回答している。

ここで求釈明しているのは、調査委員会の第三者性とは、何を根拠としているのか、である。

原告新潟県は、調査委員会の第三者性は確保されていた(訴状P10)としている。その第三者性とは何かを問うているのであり、さらに、第三者性が機能していた証拠をあげて釈明すべきである。

その証拠が無い以上、原告は、調査委員会の非第三者性を自ら立証したことになる。
 




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Updated October 18, 2005