SDG

朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故の真相解明に挑む


第6章
SDGの主張:真の事故原因を解明してから賠償責任を問うべきである

     SDGが提起してきた話題が、調査報告書の出鱈目さを暴露することに集中してきたので、裁判長は、SDGは最終的に何を主張するのかを文書で提出して下さい、ということになり、それをまとめたのが、この準備書面(4)である。これを平成17年(2005年)5月25日に裁判所に提出した。


以下、SDGの「準備書面(4)」

前回期日(4月8日)において、新潟地方裁判所から被告SDGの主張の骨子をまとめるようにとのご指示があったため、本準備書面(4)で、被告SDGの主張を要約する。
詳細は被告SDGの平成17年3月25日付準備書面(2)および平成17年4月8日提出のCD-ROM(乙D第50号証)をご参照頂きたい。


第1 被告SDGの主張

1. 本訴訟の骨格を説明するために、原告新潟県が提訴するまでの状況を時系列のもとに要点を以下に述べる。

  (1) 新潟県が平成15年9月1日に任命した委員で構成した調査委員会が、本件事故の原因究明を完了した調査結果報告書を、平成16年1月19日に県知事に提出した。
この報告書は、本件落下事故の崩落起点を「入江側R21ロッド定着部」とし、その原因は、@定着部の(被告SDGの)設計ミスによる耐力不足、A(被告黒沢建設の)定着部配筋の不具合によるさらなる耐力不足、B第一回ジャッキダウン時の(被告第一建設の)施工不良による定着部の損傷発生、であるとした。
上記@とAは、被告第一建設が事故発生直後に行った実大実験結果を調査委員会がそのまま採用したもので、報告書は定着部の破壊耐力は65トンであると断定した。
 
  (2) 一方、SDGは平成15年8月26日落下事故以来、この事故の本来の被害者である新潟県民に説明するために、真の落下原因の解明作業を行っていた。この解明作業は、SDGが事故当事者の一員であるから行っていたのではなく、構造工学の専門家集団として独自に行っていたものである。その調査結果を平成15年11月15日に新潟県および調査委員会に送付し、説明の申し出を行った。しかし、調査委員会の報告書は、SDGの調査結果に対して一切の議論も行わず、この調査結果を無視してまとめられた。
 
  (3) 新潟県知事は、報告書を調査委員会から受け取り、調査を完了したとして、平成16年2月県議会で、残存デッキの解体撤去を表明した。SDGは調査委員会の報告書内容を実証するためには、この残存デッキを利用した諸試験が必要不可欠であることを表明したが、県はその必要性なしとSDGに回答して来たので、やむを得ずSDGが費用負担し、自ら試験を行った。
 
  (4) 第一回試験実施は、平成16年6月10日である。構造工学専門家の立会いの下、一般と報道陣に対する公開試験とした。この試験で、残存デッキそのものに反力装置とジャッキを取り付け、95トンの張力を加えても、この定着部は破壊どころか構造的亀裂も発生しないことを実証した。
第二回試験は残存デッキから定着部を切り取り実験室に運んだ試験で、平成16年8月22日に完了した。この試験は、供試体数26体であった。試験は、財団法人・建材試験センターによって行われ、これも第一回同様にすべて公開試験とした。
試験結果は、事前の切り取り、運搬のためにすでに損傷があった定着部でさえ120トン〜150トン以上の破壊耐力があることが実証された。
 
  (5) これら一連の実物を利用した試験で、SDGは、調査委員会が設定した定着部の破壊耐力65トンは、誤りであることを証明した。
しかし、新潟県港湾空港局は、このSDGの一連の試験実施以前に、調査委員会の報告書の結論、すなわち定着部には65トンの破壊耐力しかなかったので落下事故が発生したという見解を県議会にも県内報道機関にも発表済みであったため、残存デッキを利用したSDGの試験結果を一切、無視した。
 
  (6) 上記の経過で、平成16年9月7日、新潟県は新潟地方裁判所に損害賠償を提訴したものである。提訴の請求原因は、平成16年1月19日の調査結果報告書をなんら訂正することなく、これを根拠としたものであったことはご周知の通りである。

 
2. 本訴訟の異様さは、提訴の根拠とされている報告書内容と、SDGの独自の真相究明調査に対する原告側の対応経過にある。

第一に、原告新潟県の請求原因が、SDGの平成16年6月10日および8月22日の試験ですでに否定されているにも係わらず、同年9月7日になって、そのまま提訴に及んだ事である。

第二に、新潟県には何度も事故関係者との対話の機会があったにも係わらず、対話をせず、しかも、賠償責任について当事者間で協議し解決する努力を一切せず訴訟を強行した事である。

第三に、原告新潟県は、調査委員会が作成した調査結果報告書にもとづき、被告6社に損害賠償責任があるとしているが、その肝心の調査結果報告書には、調査委員の署名捺印がない事である。調査委員の署名捺印のない調査結果報告書は証拠価値がまったくないにも係わらずである。

調査委員の責任を示す署名捺印がない事故原因報告書を新潟県知事は受け取り、調査委員会を解散してしまった。被告SDGの準備書面(2)で、この報告書についての求釈明を原告新潟県に行ったが、原告新潟県はこれに対し全く釈明を行っていない。釈明すべき調査委員はすでに存在しないし、そもそも調査委員には当初から調査責任が無かったのである。


 
3. しかし、落下事故が発生したことは事実である。

  (1) 被告SDGの調査結果により、ロッド定着部が破断起点でないことがSDGの二回にわたる実物試験で証明され、R27上弦材鉄骨の破断が落下起点であることは明白である。
R27上弦材鉄骨の破断の原因は、現場溶接部の欠陥にある。鉄骨工事における溶接欠陥は致命的なものであり、そこからの破断開始の崩壊過程は、SDGの解析によれば崩落の最終形が事故現象と一致するのである。
 
  (2) 上弦材鉄骨破断、その原因となった溶接欠陥が無ければ、本件 落下事故は起こらなかったのである。
 
  (3) 溶接欠陥の一次的責任はその工事を行った鉄骨会社(大川トランスティル株式会社)にある。そして、原告新潟県にも、当然、監理責任が問われるべきものである。
 
  (4) 本件落下事故にともなう責任追及での問題点は、以上にある。一次的な責任が所在する鉄骨会社(大川トランスティル株式会社)と、監理責任が問われる新潟県が、本件賠償訴訟に被告として存在しないことである。被告SDGはその矛盾の一部を解消すべく、やむを得ず、平成16年11月17日に大川トランスティル株式会社に訴訟告知をした。
 
  (5) この本末転倒した訴訟を、解決するためには、真の崩壊原因である「R27上弦材鉄骨」を徹底的に調査し、溶接欠陥をもった鉄骨の耐力評価を正しく実証することである。その調査は、厳正なる第三者機関に委託すべきである。
したがって、被告SDGは、鉄骨の「検証申出書」を提出する予定である。
 

以上から、被告SDGの主張は、「本件落下事故の重要証拠として、R27上弦材鉄骨および残存デッキの鉄骨部材を徹底調査すべきであり、真の落下原因を特定した上で賠償責任を問うべきである。」に集約できるのである。



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Updated October 18, 2005