SDG

朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故の真相解明に挑む


第11章
鑑定の申出書

     2005年9月9日に第6回準備弁論が開催された。
この席上で、裁判長から発言があり、「SDGからの"検証申出"に関して、現時点では主張の整理を行っている段階だから、検証の時期ではないのです。また、検証という語句は法律用語では、原告の準備書面7で主張している通りです。例えば、敷地境界に関する争いなどで、裁判官が現地に赴き、書類にのっとり裁判官が五感をもって判断することを検証といい、今回のような強度を調べるようなことは、法曹界用語では検証とは言いません。このことに関して専門家(法曹関係者)は理解しているのですが、SDGのいう検証は、本件に馴染まない申し出です。SDGが求めている意味とズレがあるので、ちょっと考えて下さい。」
その後、若干の議論があったが、最後は、SDGの提出した検証申出書について僕が再考することになった。

で、家に帰って改めて「検証」を調べたら、確かに、「検証とは、裁判官が当該事件に関し、五感の作用によって・・・証拠調べをいう」と書いてある。裁判官の五感、すなわち、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚による証拠調べだから、これでは僕が求めている検証はできない。しかし、この「検証」の項の後ろの方に、「検証の際の鑑定」という項目があった。
裁判所では判断できない検証は、鑑定人に判断してもらうという条項がある。それで「鑑定の申出」を2005年10月20日に裁判所に提出した。
この鑑定の申出があれば、先の検証申出書とラップして検証申出も生きてくるからである。

以下がその「鑑定の申出書」。何故、鑑定が必要なのかを中心にまとめた。


以下、SDGの「鑑定の申出書」


鑑定の申出書
平成17年10月20日

新潟地方裁判所第1民事部合議係  御中

〒135-0031 東京都江東区佐賀1丁目15番1号
被告:株式会社  構造設計集団<SDG>
代表者代表取締役  渡辺邦夫
tel : 03-5621-5171
fax : 03-3642-6704

   被告SDGは、次のとおり鑑定の申出をする。
 
証明すべき事実
被告SDGの平成17年3月27日付準備書面(2)、平成17年4月8日提出のCD-ROM(乙D第50号証)、平成17年5月25日付準備書面(4)および平成17年10月8日付準備書面(6)で述べた通り、本件落下原因は、原告が主張するR21ロッド定着部の破壊ではなく、SDGが主張するR27上弦材鉄骨破断が起点であることは、被告SDGがコンピュータ上で行った崩壊シミュレーション解析の結果で明らかである。
ただし、これはあくまでもコンピュータ上の解析結果であり、実物でも実証する必要がある。
そのために、落下した鉄骨および残存した鉄骨を利用して、(1)溶接破断面の調査、(2)溶接破断面の再現引張試験、ならびに(3)鋼材材質検査が必要不可欠である。

鑑定の目的物
以下の試験体を鑑定の対象とする。
これらは、原告新潟県が保管しているもの(別紙 リスト参照)である。
@ 信濃川側入江側共、R27佐渡汽船側保管破断部 ・・・・・ 16ピース
(別紙 リストの21、22項)
原告新潟県は、16ピースに切断した調査片の内、12ピ-スだけを顕微鏡写真撮影しており、残りの4ピースは全く調査していない。この調査していない4ピースはフランジの全体写真を見ると溶接欠陥が他に比べて密集しているピースで重点的に調査すべきピースである。
さらに、調査した12ピースは溶接欠陥の表面を顕微鏡撮影したのみで、その直角断面方向の撮影をしていない。したがって、これらを調査し、溶接欠陥の性状および原因について明らかにする必要がある。
A 信濃川側入江側共、R27朱鷺メッセ側残存破断部 ・・・・・ 2箇所
(別紙 リストの39、40項)
上記@項の部材と対をなすものである。@項は落下した鉄骨の溶接部であり、本項の部材はR27の上空に残った部材で、この溶接面の調査で@と等しいものであれば、@の調査結果は現実を反映しているし、@と異なるものであれば、それを考慮に入れた分析が必要であり、溶接性状の真実を明らかにするための部材である。
B 信濃川側入江側共、R19佐渡汽船側残存破断部 ・・・・・ 2箇所
(別紙 リストの23、24項)
前記@、A項の部材は、落下デッキの朱鷺メッセ側であるが、本部材はそれとはまったく逆の位置、すなわち佐渡汽船側の部材である。この部材も上フランジが落下時に破断(下フランジが破断していないから上空に垂れ下がっていた)しており、溶接欠陥の有無、およびその詳細について調査していない。落下デッキの鉄骨現場溶接部全体が実際にどういった状態であったかを調べる上で重要である。
C 信濃川側入江側共、R19朱鷺メッセ側保管破断部 ・・・・・ 2箇所
(別紙 リストの23、24項で兼用していると思われる。)
上記B項の部材と対をなすものである。実際に、保管倉庫でどのような状態で保管してあるか不明である。
D 信濃川側入江側共、R18を中心にして左右のH-200x200x8x12を対称に1mづつ、既に切り取った部材と接合部 ・・・・・ 2箇所
(別紙 リストの41、42項)
残存デッキの鉄骨鋼材材質試験と@項の溶接欠陥を再現した耐力試験のために使う部材。@項で判明した溶接欠陥を実験室で経験豊富な溶接工に再現してもらい、それを引張試験機にかけて耐力を測定する。
E R19-R27間の落下したH-200x200x8x12で保管されている中で健全な部分でL=2mを採取 ・・・・・ 1箇所
(別紙 リストの33項)
D項と同様で、落下デッキから採取した鋼材を使用する。溶接欠陥再現耐力試験は、高度な技術が必要なため、試験片を相当数作成する必要があるため、D項と本項の部材を使用する必要がある。

鑑定事項
(1) 破断面および切断面の拡大顕微鏡による溶接欠陥性状の分析により、その耐力予測と欠陥発生原因を明らかにする。
さらに、本項の結果を用いて次項の耐力試験が成立する。
(2) 実際の部材を利用して、(1)項の溶接欠陥を再現し(実験室で経験のある溶接工が前項と同様な溶接欠陥をつくりだし)、その試験片の引張試験を行い、この部分が落下の起点であり得るかの実証的試験を行う。
その結果、試験片の耐力がコンピュータでシミュレーション解析した耐力と同一であれば、崩壊起点はR27上弦材鉄骨溶接部であったことを完全に証明できたことになる。
(3) 部材の一部を利用した鋼材材質(化学的、機械的)検査により、実際の鋼材が規格証明書と同一のものであるか否かを明らかにする。
上記(2)項の溶接欠陥再現試験は、実際の部材を使わないと正確な再現試験にならない。鋼材規格が同一でも化学的材質は同一ではなく、溶接性能はこの化学的材質に影響されるからである。したがって、実際の鋼材の材質を調べ、溶接欠陥が施工上の問題であるか、材料的な問題であったかを明白にする必要がある。

鑑定人
御庁において然るべき鑑定人を選任されたい。なお、本件のような専門的鑑定で公的かつ第三者性が留保されている試験機関に下記があることを申し添えます。

財団法人 日本溶接技術センター
         AWA認証機構川崎事務局
         神奈川県川崎市川崎区本町2-11-19
         Tel : 044-222-4102    Fax : 044-233-7976

   以上

(別紙 リスト)新潟県が保管している部材リスト
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Updated 20.January.2006