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朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故の真相解明に挑む


第22章
判決:原告(新潟県)の本訴請求を棄却!

2012年3月26日午後4時、新潟地方裁判所はこの訴訟の判決主文を言い渡した。
1 原告(新潟県)の本訴請求をいずれも棄却する。
2 反訴原告(SDG)の反訴請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、本訴について生じた費用は原告の負担とし、反訴について生じた費用は反訴原告の負担とする。

連絡デッキが落下したのは事実であるが、その事故原因は特定できず、だから誰にどれだけの責任があるかも不明、なにもかも判らないまま、なにもかも消えて無くなった。実に不思議なできごとである。

裁判所もそのことは気にしていて、判決文の中で述べている。「本件事故で、責任の所在を明確にし再発防止を期するため、事故原因を徹底的に究明することは有意義である。しかし、民事訴訟においては請求者(原告)の請求を根拠づける主張が認められるか、あるいはそうでないかが審議の対象とされ、この点についてのみ裁判所が判断すべきとされている。」 だから「何故、落ちたのか」の真因を裁判所は追究する場ではない、ということなのだろう。

そういう観点でいえば、新潟地方裁判所はよく頑張ったと思う。技術工学上の煩雑で面倒な議論に最後まで付き合ってくれたことに感謝しなければならないし、細かい数字をあげて論理的に調査報告書の立証、あるいは論証してない要点を指摘した上で本訴請求を棄却したのである。世の中にたくさんいる構造のプロたちが理解しようともしない問題に対して、構造のまったくシロウトの裁判官は完全に理解した上で判決をおろした。別の意味で、僕たちの不毛の世界が悲しくなる。

僕が行った反訴についても、「提訴者が敗訴したからといって直ちに当該訴えの提起が違法であるということにはならない」、「本件残存鉄骨部材の鑑定請求権の法的根拠が明らかでない」から棄却。なるほど、裁判所だけは冷静だ。

根本的には、新潟県と彼らの調査委員会のあまりにも杜撰な事故原因調査にある。新潟県の悪魔的な体質は何も変わっていないことが証明された。いい加減な設計発注、工事発注、工期の設定などの結果として連絡デッキは自然落下したが、事故が起きた後の処理も全く同じ構図で、身内の調査班、できの悪い調査委員会を組織し実質をともなわない名目だけの調査をし、10回の記者会見で世論操作をし、日本土木学会を使って権威付けをし、さらに、そんなことではダメだという僕たちの声を敵対者とみなし真摯な会話を拒否し、弱者いじめを目的とした裁判にもちこむ、責任者である県知事も県議会もいつものことのように何一つ疑問もはさまない。一貫した新潟県の姿勢だ。日本の中でも隔離された江戸時代の封建主義が地域の隅々まで行き渡っているようにみえる。

裁判所こそいい迷惑だ。裁判になる前にすでに指摘されている技術的におかしいところを修正することもなくそのまま提訴して、ただひたすら時間を引き延ばす新潟県のやり方、それもミエミエのやり方を黙認しなければならない立場にあった。裁判所には刑事的権力はないから、事実を証明するために重要な証拠である「委員会の議事録」の提出を求めても新潟県は拒否、判決文でそこに振れることもできない苛立ち、僕は途中から裁判所の置かれた立場がわかるようになった。証人の証言がいくら嘘の塊であっても民事裁判では「証言」として判決文に書かなければならない、真偽の判断権限が与えられてない裁判官にとっては屈辱的だろう。原告も被告も、裁判官に対する思いやりがあってはじめて裁判が成立すると思うが、新潟県には「思いやり」のひとかけらもないし真実を探し出そうという気持ちがはじめからないから、傍から見ていても裁判官が気の毒だった。

僕の仕事は終わっていない。「何故、落ちたのか」を明らかにすることが僕の終始一貫した仕事なのだが、肝心の新潟県はもみ消しにかかるし、いい加減、僕もやる気がなくなるが、事故が起きた以上、頑張らばければならないだろう。このレポートの「終章」を書くまでは僕は死ねない。




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Updated 12.NOV.2011