SDG

朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故の真相解明に挑む


第26章
新潟県は何を考えているのか?

東京高裁の審議は、かなり事務的に着々と進行してきた。毎月一回、必ず「弁論準備」が開催され、控訴人、被控訴人、SDGの出席のもとに裁判所から「弁論準備終結調書案」が配布された。そこでの記述に文句があれば、あるいは新たな項目の追加を要求するのであれば次回(翌月)までに書面で提出する。

2013年4月24日の第7回弁論準備のときに、裁判官から今年の7月31日に結審予定であることを宣言され、さらに翌月の5月29日の第8回準備弁論のときは、みなさんの主張の大枠を変更するような書面の提出は6月25日と決められた。誰も異議を挟む者はいなかった。

にもかかわらず、控訴人の新潟県だけはこの合意した日程を平然とまったくお構いなしに破るのである。新潟県の思考と行動の本質を見た。結審間近い7月18日付けでほとんど怪文書に近い早大の清宮理教授の「陳述書」、7月25日付けの控訴人の「控訴審最終準備書面」である。裁判は公式ボクシングの試合のように一定のルールがあって粛々と進めていくものと思っていたが、新潟県にとってはリング外乱闘も好きなプロレスをやっているようなものであるらしい。

2013年7月18日付け早大・清宮理教授の「陳述書」
 この教授は新潟県の事故原因調査委員の一人で甲1号証に名前を連ねているが、外部には終始一貫して何も発言してこなかった人物。事故発生の10年後のいまになって「陳述書」を提出してきた。何故なのか?
 この「陳述書」の冒頭で、「調査委員会がPCa床版定着部のクリープ破壊を起点に連絡デッキが落下に至ったと判断したことは、妥当な結論だと今も考えています」と書いており、すでに7年の歳月をかけて新潟地方裁判所が「根拠の無い判断」だと結論したことに何も反論していない。教授が何を言いたいのか不明。
 この「陳述書」はA4で5頁にわたるが、最後に、「設計、施工で何らかの致命的な特定要因あるいは複合的な要因で連絡デッキの落下に至ったのは確かです」と結んでいる。いうまでもなく「致命的な特定要因」は何だったのかを解き明かすことが工学者の役目なのに、それをせずに新潟県の控訴理由を反復しているだけである。
 何故、この場に及んで自分が新潟県に雇われた御用学者であることを自白する必要があるのか? 新潟県の目に見えない大きなプレッシャーはどんな仕掛けにもとづいているのだろうか?

2013年7月25日付け控訴人新潟県の「控訴審最終準備書面」
 東京高裁が結審予定としている5日前に新潟県はこの書面を提出した。6月25日以前の主張とは異なる主張も盛り込まれ、また、上記の清宮教授の「陳述書」の記載文も数箇所で引用している。最早、時間的に被控訴人もSDGも反論できないタイミングで提出するルール違反を平然と行う、新潟県は一体、何を考えているのだろう?この準備書面の見出しは以下。

 第1 立証責任について
   1. はじめに
   2. 原審の判決が最高裁平成23年7月21日判決に違反すること
   3. 崩落したデッキの基本的な安全性欠落の立証責任
   4. 崩壊起点を特定することの不合理性
 第2 被控訴人らの共同不法行為の関係
   1. 因果関係
   2. 共同不法行為との関係
   3. 原判決の誤りと過失論
 第3 設計者の責任
   1. 構造設計上の瑕疵があること
   2. 建築基準法違反であることが瑕疵に該当すること
   3. 設計者の任務懈怠
   4. 設計者の過失
 第4 監理者の責任
   1. 監理の懈怠
   2. 監理者の過失
 第5 施工業者の責任
   1. はじめに
   2. 未完成であること
   3. 被控訴人第一建設の過失
   4. 施工業者の責任(総括)
   5. 設計の瑕疵との関係
   6. ジャッキダウンの失敗により生じる欠陥
 第6 発注者の過失の有無について
   1. 計画通知との関係
   2. 発注者の指図との関係

この内容を見る限り、新潟県が控訴したときに新たに雇った弁護士が中心になり、「後だしジャンケン」を利用して「判決文の原稿」を都合よく書いたとしか思えない。こんなことが裁判所で通用するのだろうか?




back  |  序章  | . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . |  第25章  |  第26章  |  第27章  |  第28章  |  終章  |     

    

SDG
Copyright 1997 Structural Design Group
Updated 12.NOV.2011