2001/09/27 公開
担当:カルネアデス
校正:あおB
























 星の数ほど人がいて、星の数ほど出会いがある。









そして、別れ……。





















 星の数ほど人が居て、人生の中で出会う人も星の数……
気が付いたら私の知っている人はどこかへ行ってしまった……。

 こんな思いをするのなら出会いなんて……欲しくなかった。































「……こんばんは、記憶喪失さん、イツキさん、ルリです。

 別に記録媒体なのだから名乗らなくても良いのかも知れませんが、
保険です、ラベルが紛失した時の為の……。

 お元気ですか、月へ行ってしまわれたとお聴きした時は
正直……驚きました。

 私は今、ミナトさんの所でお世話になっています、
もちろん私も元気ですよ。

 地球へ帰ってきたら是非遊びに来てくださいね。






 ……それでは」































機動戦艦ナデシコ

これから































 何も無い空間――何もかもを吸い込んでしまいそうな闇夜に
突如として光が溢れ出す。

 光は人を形作り、何事も無かったように消えうせた。

 そして、そこに残されたのは二つの人影……。

 地上10mほどの高さに突如として現われた人影達は
地球の重力に牽(ひ)かれて……。











どすん!











 眠りに付いていた男は突如として鳴らされた物音に眠りを妨げられた。

 物音がしたのは物置の方だ……様子を伺いに行くか
無視して眠るかの選択を迫られた男は、
眠りを妨げられた腹いせに様子を見に行く事にした。

 ……只、一度目が覚めるとなかなか寝付けないと言う
自分自身の状態を知っていたからこその選択だったのかもしれない。






 物置についた……特に変わった様子はないようだ。

 折角外に出たのだから満天の星空でも楽しんでやるか?
……と思ったかどうかは知らないが、
空を見上げる男の視界に何かが飛び込んできた。

 物置の屋根に布切れが引っ掛かっている……こんな所、
掃除なんかはしたりしないが、何か違和感を感じた男は
塀伝いに物置の屋根へと攀(よ)じ登った。

 先ほど下から見ていた布切れは物置の屋根に
引っ掛かって破れた……といった感じを男に与えた。

「ガキが勝手に入り込んで遊んだのか?」

 丁度塀の向こうは草原で昼間は子供達が
実際にはしゃぎまわったりもしている時もあった。

 足を進めると何故かへっこんでいる個所がある事に気付いた。

 それも結構なへこみ具合だ……屋根の方から飛び降りでもしないと
こんな状態にはならないんではと思った……思ったがこのままでは何も
変わりそうに無いと感じた男は物置から塀伝いに降りる為に
草原の方に向き直った。

 草原に外灯があるわけもなく夜空と同じくして
漆黒の闇が存在している……が、不自然な点が一箇所存在した。

 塀の側に何かが居る……そう感じる事ができた。

「おーい、誰か居るのか?」





















 瞼(まぶた)を開く……視界は暗闇……ここは……?

 目が慣れてきて暗闇の中でも辺りの状況が判断できるようになった……。

 私は一体……?

 何気なく首を回してみる、見覚えの無い家財道具
……障子(しょうじ)……天井。

 今度は逆を見てみる……視界に飛び込んできたのは白いものだった。
その白いものに意識を集中させる……布……包帯……人……男の人?

 その男の人が捲いている包帯は純白の包帯ではなく
所々真紅の模様が浮かんでいた。

 怪我をしているのね……そこまで考えがまとまって気付いた事があった。
その男の人が私の最愛の人であった事に……。

「あ、ああああっあ……」

 私が絶叫しようとした刹那、

 がらがらがら……。

と戸の開く音が聞こえ、それに伴い光がこの部屋に差し込んだ。

「はぁ、調達するのはいつだって疲れるものだな……」

 戸を開けた人影――声からして男の人は独り言を言って
私の方に近寄ってきた。

 明かり――戸の向こうから溢れる光をその人影が
背負っているので解らないけれど、視線は私の方を向いていない気がする。

「目が覚めたか……すまんな」

 私が覚醒しているのには気付いていたらしい男は何かを差し出した。

 私はそれを呆然と見ている……何故と言われても
何が何だか解らない。

 私が行動を起こさないのを見かねた男は
その何かを私に向かって投げた――落とした。
どうやら衣服の類みたいだけど……?

「着せ替え人形の趣味は無いんでな……」

 男はそう訳の解らない科白を言って立ち去ろうとした。

 でも……私が置かれている状況を説明できそうな唯一の情報源が
立ち去ると感じて、一心不乱に布団を跳ね除けて立ち上がった。

「あの……」

 私の呼びかけに立ち止まるり、首を軽くひねる男。

「あの……ここは?」

 こちらに身体を向けてくれない事に不安を感じて私は男に近寄る。
首をひねったままで未だにこちらを見てくれない男――おじさん。

「あっ、失礼。私は、イツキ・カザマです」

 私が名前を名乗ると同時に、
おじさんが後頭部を掻き毟(むし)り、こう言った。

「お嬢ちゃん、状態把握も良いものだが、自分の事……見てみたかい?」

「え……?」

 おじさんの問いかけに私は自らの身体に視線を落とす。

 そこにあったのは一糸纏わぬ私の――――――――――――――――。

きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???

「だから着せ替えの……ごにょごにょ――――――――――――――

 先ほどのおじさんの科白が私の頭の中で反響する、
着せ替え人形の趣味とは私が何も着ていない事だった、
だから自分で着替えてくれと言う意味だったのね……と。

 私は両手で胸を隠して、太腿を重ねてしゃがみ込んだ。
……もう、まさか裸だったなんて。

「ん……イツキさん、あんた……」

 しゃがみ込んだ私の方に向き直ったおじさんは手を伸ばし……。

「い……いや……いやぁぁぁぁ!!!!











 おじさんの腕が私の肩を掴む刹那、逆にその腕を取り、
おじさんの右手首を右手で、右肘を左手でそえる。

 その状態で左手を上に向かって跳ね上げると同時に
右手を下に引いてなげる。

 倒れ込んだおじさんの手を引きつつ脇に向かって両足を入れ、
腕拉(ひし)ぎ十字型めをかける。

「ちょっと、まだ……あっ!?」

 おじさんの襲撃を躱したと思ったのに、又新手?
声の方に向きかえったと同時に大音量の声が部屋中に響いた。

「そ、そんなあぁ!! はなれてください!!」

絶叫しながら迫ってきた女性に、私達は引き離された。


to be continued ...


後書き

 御久しぶりです、カルネアデスです。

 まぁ、何ですので更新してみました。

 今年の二月に書きっぱなしで続きも調整もしてなかったので
どうしようかと思っていたのですが、公開はしておきます。

 時間は第二部の続きで、ジャンプアウトする所から始まります。
これって3話ぐらいに分かれたと思うんですけどね。

 まあいいです。えらいサービスです。
ロボット大戦A発売記念という事で(笑)

 えらい前ですが、
校正していただきありがとうございました。あおBさん。


感想等々は掲示板かメールまでお願いします。
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