871 0 1343869200 伊豆下田ベイクロシオ
海も山も温泉もある伊豆下田のベイクロシオでプチ夏休み。
7/31 下田駅にはなぜか「龍馬くん地蔵」と蛙
宿は下田ベイクロシオ。部屋からの眺め
内装が面白いのだが、当初よりだいぶ変わってしまった。
金目鯛煮付け食いすぎ。酒は下田観光名誉なんとかの有馬稲子様命名の「黎明」でほろ酔い。
8/1下田海中水族館
8/2 浄蓮の滝。たいしたことはない。
110.5.46.129 旅 870 0 1343437200 MacでWord/牡蠣の燻製/土手の異音大学の課題でWordの使い方を教えてください」というので軽く請け合ったら、持ってきたのはMac!ちょっとあせったが、ヘルプ機能を駆使してなんとか面目を保つ。冷や汗。
都筑道夫『黄色い部屋はいかに改装されたのか?』読了。
ミステリ評論の古典で名著。センスが良くかつ巧緻な構成の短編(SF/ミステリ/怪談)の名手らしく、論理性がたしかな評論は読んで面白いのだが、対象となるのはいわゆる本格推理。紹介される本格推理小説の名作たちにはあまり食指が動かない。ミステリやクライムノベルは好きだが、本格推理体質ではないんだな、私は。
*
柳広司『ジョーカー・ゲーム』読了。
旧軍時代の架空のスパイ組織という設定のミステリー。市川雷蔵の陸軍中野学校を思い出した。あの映画も雷蔵の魅力が際立ち、当時としてはなかなか洒落た作品だったが、こちらのインテリジェンスはよりクールで面白い。色々と表現が難しいだろう太平洋戦争に対するバランス感覚も好ましい。
*
リチャード・ニーリイ『愛するものに死を』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ1805)読了。
サプライズエンディングでなるニーリイにしては普通というか、今一つというか。などと感想を書こうと思ったら、うう、ひさしぶりにやってしまった。読了本データベースに入力したら、2001年に買ってとっくに「読了済」でございました。
110.5.46.129 本 868 0 1342486800 ソーラーパネルでもつけるかい?これだけ陽射しが暑いと、ソーラーパネルでもつけないともったいないような気分にはなる。一軒分の屋根一つで一番暑い時間の冷房を丸々賄えたら御の字なのだが、もちろんまるで足りません。山の手線内側全部を更地にしてパネルを敷き詰めてもやっと原発一基にとどくかどうからしい。
電力会社のサイトをそのまま信じるのもなんなので、自分で計算してみよう。標準的な東芝の250Wパネルの面積は 1559mm×798mmなので80枚並べると接地面積はほぼ100m2で発電量20kWになる。
山の手線の内側の面積は65平方キロなので
65,000,000m2÷100m2×20W=1,300,000W(130万キロワット)
原子力発電所一基大体100万kwだから、やはり一台分強。さらに原発は基本24時間稼働だが、太陽光発電は日中のみで天候にも思い切り左右される。
今後、技術革新で発電効率が上がり低コスト化が進めば(例えば人工衛星に使われてるクラスが安価に製造できるようになれば)原子力の代替にもなれるかもしれないが、その点は以下の理由から悲観的にならざるを得ない。
現在の、水力発電にしても火力発電にしても、その大元は実は太陽エネルギーだ。火力は石炭でも石油でもガスでも化石燃料を燃焼して得られている。化石燃料は生物由来なのだから、遡れば全ては植物の光合成によって作られたことになる。それも何億年という時間をかけて地底に蓄積されていたものを人間が数百年で消費しようとしている。水力の方は言うまでもなく、山上に振った雨によって供給される川の流れをせき止めた位置エネルギーを利用して電気を得ている。こちらは元々は何十万平方キロという面積に降り注ぐ太陽熱によって蒸発した水蒸気が、高度のある山地で凝縮されたものだ。
どちらも長大な時間または広大な空間をかけて生成されたエネルギーが凝縮されているからこそ、人類の膨大な消費電力を賄えている。だから太陽光でも風力でも原子力・火力を代替するには、それこそ超広大な面積に超巨大な施設を設置しなければならない。狭くて山だらけの日本じゃ(自然をズタズタに破壊しても)無理でしょ。宇宙発電ならもしかしたら、とは思うけど、素人考えでも実現までのハードルの高さ困難さは想像するに難くない。
ゆえに再生可能エネルギーなどというものは、その発想からしてお花畑なおとぎ話と言ってさしつかえないと思う。一見成り立っているように見えるのは、政策的な買取制度で税金で補填されているからにすぎない。
かと言って、私も原子力発電所の増設などはこの期に及んで気違い沙汰としか思えない。増設は一切認めない代わり、現在休止中の原発の内で安全な順に順次稼働していけばいいのだ。「絶対安全」ではなく「中ではより安全」だ。運転してようとしてまいと危険なことに変わりないんだから。だって311の時に福島発電所がもし稼働していなかったとしても、結果は同じだったでしょう。
国内の原子力発電所の半分でもいいから稼働して、国費を留保し、今度は危険な順に速やかに廃炉を進めたらいいではないか。願わくば、そうしているうちに核プラズマや地熱や潮汐や地道に安定的に発電できる技術が花開くことを願ってやみません。
223.133.61.212 雑 867 0 1342137600 白寿の挿絵画家朝日新聞で筒井康隆(77)の連載が始まったが、挿絵は息子の筒井伸輔(43)。
作家と画家の親子と言えば父子が逆だが、中一弥(100)が三男の逢坂剛(68)の挿絵を描いたのは90歳のとき。なんかかっこいい関係。左はその挿絵。(「重蔵始末」)。
こちらもお勧め→「亦々一楽帖」。
中一弥の挿絵画集で、構成を担当した乙川優三郎の短編が三編組み込まれている贅沢な本。
111.216.65.11 本 866 0 1341964800 あっちで呑んでこっちで呑んでニール・ブロムカンプ監督「第9地区」DVD鑑賞。
CG満載のなんちゃってSF映画には近寄らないようにしていたのだが、妹に勧められた本作は最近には珍しい本当に面白いSFらしいSF映画。アパルトヘイトな地区に宇宙人難民が来たらという設定からして素敵。
あまりにもリアルな宇宙人収容スラムも、グロ汚なかわいいエイリアンの造形もいいが、なんといっても主役ヴィカスを演じたシャルト・コプリーが素晴らしい。エゴイスティックな典型的なダメ公務員が、とんでもない目にあってどう変わるのかまたは変わらないのか、この役者じゃなければこの面白さはなかったと思う。
ドキュメンタリータッチだが、アクションもチェースもある。ハリウッド的なものではないが、ちゃんとカタルシスもある。妙味のあるラストもいいし、これはおすすめ。
111.216.65.11 映 864 0 1340841600 反原発デモに出くわす夜の銀座で東電抗議デモに出くわす。再稼働反対ばかりで値上げ反対はない。まったく関係ない部落解放などのゼッケンつけた人たち。なるほどなあ。
私も東電には文句の百万言もあるけれど、まずは値上げ冗談じゃない!だよなあ。稼働していてもしていなくても危険なことに変わりはない。思想的な反対はからめんでほしい。経営陣の報酬を十分の一にしてプラズマ発電にでも開発費集中してくれ。
反原発デモは盛況のようだ。素朴な疑問だが、なぜ年間何万人も死者を出す交通事故に対し、反自動車デモというのは起こらんのだろう。
もちろん社会的メリットと死者が出るデメリットを比較して、安全対策を徹底的にした方が良いに決まっている。というのはもちろん自動車のことで、原発でも同じだと思うのだが、そんなこと一言でも言ったら電力会社の回し者呼ばわりされるのは必定だよなあ。
核分裂エネルギー利用自体なくす方向を目指すのは賛成だけど、原子力=悪ではないのだ。悪は人間の中にしかありません。
しかし、運命や災いとかは人間の外からやってくるので、やはりこれが一番こわいのだが。悪意の人間は2番目にこわい。
111.216.65.11 時 863 0 1340668800 武士マニュアル/大江戸死体考氏家幹人『武士マニュアル』(メディアファクトリー新書)読了。
いかにも戦士な卜伝百首や無感動なマニュアルに徹した切腹作法は興味深いが、いつもの著者の往時の心情や世情が浮かびあがる緻密さに欠け、いかにも薄味。
*
口直しに同じ著者の『大江戸死体考―人斬り浅右衛門の時代』を再読。これは無類の面白さ。
「大江戸死体考」によれば首斬人山田浅右衛門は俳諧を嗜んだが、最初からではなく、三代目が斬首前に辞世を詠む者などいても意味がわからなくては申し訳ないと風流に心がけ代々宗匠の資格を取るほどに勤しんだのが始まりな由。
かの山田浅右衛門。では、人斬りに穢れた家系として疎まれていたかと思いきや、江戸名物男として幡随院長兵衛や紀伊国屋文左衛門と並び称せられていたという。「世中にひゞ渡りしおとこ達」
「風の内ばかりなり奴凧」七代山田浅右衛門吉利辞世の句。他に「花になれ花になれとや春の雨」
西洋の首斬人=エクスキュースナーは黒覆面で斧みたいの振るってるイメージだが、罪人のために詩を読んだりはしそうもない。山田浅右衛門より無名性は高いだろうから記号的で心理的プレッシャーは少ないのかもしれないが。
111.216.65.11 TV 862 0 1339804800 火星/慧可断臂図/セクシーな牛乳DVD鑑賞「ナインスゲート」。
話はありがちな悪魔の書ものホラーだけど、さすがのポランスキー監督作品だけのことはある旧き探偵物語のようないい雰囲気。雰囲気を作っているのはキャスティング。主役はもちろんジョニー・デップだが、二人のヒロイン、レナ・オリン(蜘蛛女)、エマニュエル・セニエ(ポランスキー夫人)が良い。両者共ヌードありなのが、さらによろしい。
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上記の原作、ペレス・レベルテ『ナインスゲート』(集英社文庫)読了。
映画も素晴らしかったが、原作ははるかに豊穣。日本で比肩するとすれば「虚無への供物」とかかなあ。時間空間の広がりにおいてちとかなわないけど。
ラストの贋作家兄弟の扱いだけは映画の方が丁寧だった。スピンオフを作るとしたらタイトルは「セサミ兄弟の贋作日記」だろうか。
「悪魔の描いた(かもしれない)9枚の絵」の一枚、龍にのる女の顔が、映画だとヒロイン=アドラー嬢役の女優の顔そっくりなショットがあったが、映画用に別に描いたのかが気になって仕方がない。
111.216.65.11 本 860 0 1337990400 つつじ、竜巻、マンゴー、KATAGAMIGWに借りた映画DVD色々が見終わっていないのに、またアマゾンで買ってしまった。ウルトラマン全話DVDと平成ガメラ3作BDが合わせて3千円ちょいという安さなんだもの。さすが北米版。
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BS3で「東京物語」。60代後半から70代を演じてる笠智衆が当時40代後半かとわかるとさすかにびっくり。俺より十も下かよ。でもさすがに未来に残す映画100に選ばれただけのことはあります。この映画をよいなあとわかる歳まで生き残れてよかったあ。
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「沙漠の魔王完全復刻版」。
17,850円は高いようだが、昔古書店のガラス棚の奥にもう一桁多い価格で収まってたのを見た記憶があるので、安いような気もしてしまう。
ということで、予約してしまった。予約で本買うなんて、宮沢りえの写真集の広告を新聞朝刊で見て逆上して電話予約して以来だ。
1967年頃にCOMで紹介された沙漠の魔王の記事。
111.216.65.11 漫 858 0 1337040000 めくるめく世界/サセックスのフランケンシュタインアレナス『めくるめく世界』(国書刊行会)読了。
歴史小説のような冒険小説のような伝奇小説のような大法螺話。「百年の孤独を凌駕する作品というにふさわしい」と帯に高橋源一郎が書いてるけど、さすがにマルケスの密度には及ばない。
*
H・C・アルトマン『サセックスのフランケンシュタイン』(河出書房新社)読了。
フランケンの怪物が不思議の国のアリスを拉致陵辱というから耽美的先鋭的な小説かと思ったら、もっと軽い─香山滋のエキゾチックミステリのよう。むしろ活字で書いた高橋葉介か。なかなか珍味にしていけました。
111.216.65.11 本 857 0 1335312000 血圧最先端治療と江戸の屁をする養生昨日のニュースで薬が効かない重症高血圧を劇的に改善する手術の成功を報じていた。腎臓周辺の交換神経をカテーテルで焼き切るらしいが、いわゆる興奮して血圧が上がるのの逆を行くわけだ。すごい。
私も何年か前に血圧が高くなった。薬と運動と食事で標準以下に下げ、今は薬の量も半分以下になったので問題はないのだが、更に上の手段があると知っているのは安心感があっていいものである。
ただ日本ではまだテスト段階で、厚労省の認可の遅さからして一般人が普通に受けられるようになるのはまだずっと先だろう。高血圧治療薬は製薬会社にとって断トツに巨額を稼ぐ大変なドル箱。変な圧力がかからなければいいが、かからないわけはないのだろうな。
*
日本漢方医学開祖の一人今大路道三の伝えし長生の秘訣に曰く「長生は粗食正直ひゆたらり勝手次第に御屁めされよ」。
「ひゆたらり」がわからないが子孫が長生の翁に聞くと「暑い火に近づかず熱い湯を避ける」とのことらしい。
(根岸護衛「耳嚢」巻の九「今大路家懸物の事」)
「御屁めされよ」が笑わせるが、のんびり質素にすごせば長生きできるということだろう。江戸幕府の官医(漢方医)と言えば「陽だまりの樹」では悪役だが、現代だと先端手術より人気はありそうだ。私には交感神経を焼くなんていうブラック・ジャック風味も魅力的だけどね。
111.216.65.11 科 856 0 1334620800 京都小旅行より帰宅京都小旅行より帰宅。
美仏も色々拝見したが、中でも印象的だったのは永観堂禅林寺の見返り阿弥陀如来。御顔も美しいが、仏像には珍しい横を向いた姿勢が生々しくてインパクト大。
菊池章太『妖怪学の祖 井上圓了』読了。
妖怪学というより宗教本の流れで読んだのだが、これが明治哲学史にもなっていて実に面白い。登場する人物の錚々たること、勝海舟、福沢諭吉、内村鑑三、上田秋成、河口慧海、坪内逍遥、三遊亭圓朝、小泉八雲、フェノロサ、柳宗悦、柳田国男…
妖怪博士というのが通り名?だが、井上圓了は哲学普及の方便として妖怪(怪奇現象)が全て幻想であることを説いたのであるから、たとえば水木しげるとはだいぶ方向性が違う。柳田国男などは圓了の啓蒙主義を嫌ったらしい。ただし圓了の妖怪研究としてのフィールドワークは柳田に勝るとも劣らないものであったようだ。
圓了の学閥閨閥どこにも属さずに宗教改革思想改革を目指す独歩性は、当然理解者が少ないが、傑物は傑物を知るエピソードがある。
徳川家の財政を預っていた勝海舟は慶應義塾の財政援助を求めてきた福沢諭吉をけんもほろろに断ったが、実学流行りの時代に哲学館(現東洋大学)などを創設する圓了を気に入り、自らの揮毫を度々送る(篤志家の寄付に効果ある)など随分援助したらしい。
福沢諭吉は勝海舟を随分恨んだようだが、この維新の英傑は諭吉が財政難といいながら三田の私有地を温存していたのが気に入らなかったようだ。諭吉さん、さすが後年お札になるだけのことはある。それにひきかえ圓了は、蓄財とは無縁の掛け値なしに無欲無私の人だったことを海舟はわかっていたのでしょう。
110.5.46.129 本 854 0 1333843200 シャドウゲーム/スプライス夫れ余は赤貧多病固より権勢の途に奔走して営利を争ふの念なく毀誉の間に出没して功名を貪むるの情なく唯終身陋巷に潜んで真理を楽しみ草茅に坐して国家を思ふの赤心を有するのみ。
(井上圓了「仏教活論序論」)
「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」をMOVIXにて鑑賞。劇場で映画を見るのは久しぶりだ。第一作より面白い稀有な二作目。ガイ・リッチーの映像のリズムにもやっと慣れた。歳食ってくると早いテンポについていくのが大変なんだ。その代わり小津安二郎みたいのを退屈しないで観られるようになるけれど。
3年位前のSF映画「スプライスをDVD鑑賞。バカホラーのようでかなりあぶない感性のおたく映画ですな。気に入りました。セクシャルクリーチャーの造形がいい。CGと生身の合成だからこそのエロスっぷりがツボにはまってしまった。
182.169.186.112 映 853 0 1333670400 ツリー見る染井吉野は首かしげジョギングコースの土手の染井吉野はやや散りかけだが花見客盛況。上流の陽光桜は満開で濃い桜色の重たげな花は染井吉野より私は好きなのだが、周囲に花見客は皆無。花の好悪より、こちらはスカイツリータワーが見えないので敬遠されているようだ。
スカイツリータワーはジョギング中も通勤中も見えるので、日々背が伸びていく近所の子を見ているような気になっていた。成人して社会人として旅立ったようだけど、近所のおじさんはちょっと淋しい気にもなるであります。
*
「酒は燗肴は刺身酌はたぼ」こんな狂歌を聞くと一杯やりに行きたくなる。まあ、たぼはどちらでもよいが。
…近年下賤侠客の徒、(若い)女をさしてたぼといふ
(耳嚢巻之九「酒宴の席禁好物歌の事」)
182.169.186.112 雑 852 0 1333411200 「玄鶴山房」と「家政婦は見た!」芥川龍之介全集1〜6(全小説)読了。私的ベストは「地獄変」。以下順不同で「藪の中」「偸盗」「素盞嗚尊」「世之助の話」「ある日の大石内蔵助」「鼻」「蜜柑」「河童」「玄鶴山房」
「玄鶴山房」は芥川龍之介の作品の中でも名作だけど、寝たきりの玄鶴の介護をする甲野という看護婦が雇い主家族に向ける心理=冷たい観察と密やかな悪意が、初期の「家政婦は見た!」(ミタではなく市原悦子の方)にとてもよく似ている。
「家政婦は見た!」の原作は松本清張の「熱い空気」。芥川賞作家の清張が芥川の「玄鶴山房」の看護婦をヒントに悪意の家政婦像を創造したとしたら、「家族八景」等に連なる家政婦もの(そんなジャンルがあるかどうかはともかく)の系譜を考える上で興味深い。
もちろん清張を貶めるつもりは全くない。発想元がどこからであろうと「熱い空気」は傑作です。
182.169.186.112 本 851 0 1333238400 地震予知「西日本“巨大地震”高知で津波予想34m超」。しかし、4月1日の紙面とは間が悪い。311以前に予想してたのなら大したもんだが、羹に懲りて膾を吹くの感無きにしもあらず。得てして自然は裏をかくものなので、今度は日本海側から来たりしないかいな。
*
晴れ渡った気持ち良い天気だが、花粉も多大なりで、ジョギングもマスク着用、さわやかさ半減なり。土手の桜は満開でジョガーより花見客が断然多い
182.169.186.112 時 850 0 1333152000 江戸たべもの歳時記浜田義一郎『江戸たべもの歳時記』(中公文庫)読了。
表題のエッセイもなかなかだが、「舶来あまから考」の咸臨丸や遣米使等幕末に海を渡った連中の食にまつわるてんやわんやが抜群に面白い。当時の日本人は滑稽にして凛々しい。
全体から面白い所を以下に幾つか紹介。
*
鮓のめし妖術といふ身でにぎり(柳多留108)文政9年の句。忍者が術を遣う時と同じ手つきで鮨を握るということで、握り鮨の起源がさしあたり文政9年まで遡れることがこの句でわかる。
(鮨の最初は熟れ鮨・押し鮨で、握り鮨の起源は諸説あり)*
生玉子醤油の雲にきみの月(柳多留118)
生鶏卵北極ほどの穴をあけ(柳多留126)北極などという地理的知識をもつところが珍しい。ともに天保年中の句である。
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銀座のビアホールライオンは戦前はカフェだったそうな。当時は女給カフェ全盛でタイガーというライバル店があり、美人女給目当てに永井荷風、菊池寛等の錚々たる文士も連日通ったという。
カフェタイガーは女給の人気投票というイベントを行い、菊池寛は贔屓のお君という女給に150票を投じて一等を勝ち取らせたそうだ。投票権一票がビール一壜だったからこんな真似ができたわけだが総額900円は当時としては大金だ。どこかで聞いたような商法だと思ったら…
何の事はないAKB48の選挙と一緒ではないか。戦前のカフェが平成のAKB48なみなのか、AKBがカフェなみなのかは知らないが、アイドルボケから金を搾り取ろうとすると同じ戦略にたどり着くのかと思うと感慨深い。
陽の下に新しきものなし。
182.169.186.112 本 849 0 1332547200 ローマ帝国青柳正規『ローマ帝国』(岩波ジュニア新書)読了。
「シーザーとクレオパトラ」の悪役オクタビアヌスがどんな人かとか、イエスに処刑命令出したピラトの役職がなんだとか何も知らんかったのでジュニア新書ありがたや。
「閉塞感の強い社会状況は人々の気持にも大きく作用し、わずかな天候の変化や個人的不幸に対しても過剰な反応をしめし、社会の活力をそいでいきました」
…現代日本のことではなく「ローマ帝国」からの引用です。
*
エネルギーなんたら会議。反原発派はうさんくさく、原発派は説得力皆無。再生可能エネルギーなんていう趣味的なものはそこそこでいいから、プラズマ発電開発に予算ドンと付けて大逆転、と行かぬものかな。
*
何の期待もなくBSで見始めた「ウォーリー」がやたら面白かったんですが。録画しとけばよかった。CGがどうたらよりやはり(いかにもハリウッドな)脚本がうまいね。ベストシーンは消火器利用によるアベック飛行です。
182.169.186.112 本 848 0 1331424000 選考に旨味あり?女子マラソンを見ていて思ったが、五輪のような一発勝負の選手はやはり一発勝負で選ぶべきじゃないだろうか。
逆に大学入試のような人生や最短でも四年間が対象のものは一発勝負でなく年平均とかで選ぶべきと思う。聞くところによれば米国の大学入試と五輪選考(こちらは一発勝負)はそうなってるよし。
日本だと見事に逆である。こういうのこそグローバル化してもらいたいものだが、要は陸連や水連幹部による「裁量の余地」があることによって、色々と旨味があるのでありましょう。天下りがなくならないのと構造的に変わりません。日本が強くなるために大いにマイナスなんだけど、変わりません。
*
走るのに実に気持ちの良い気候になってきたのだが、その後の鼻のむずむず度やくしゃみ発生率も比例してアップするのがたまりません。
182.169.186.112 ス 847 0 1331337600 高慢と偏見ジェイン・オースティン『高慢と偏見』読了。
18世紀の、この恋の行方は?的物語がなぜこんなに面白いのだろう。ヒロインの両親の性格描写が笑わせる。
人気のロングセラーなので、複数の出版社から出ている。AMAZONのレビューを参考に、直訳風で読みにくいという評判の阿部知二訳の河出書房版を、荘重ぶりを期待して購入。読みはあたった…と思いたい。
110.5.46.129 本 846 0 1331251200 サイン/坊っちゃんの時代古書店で目について買った関川夏央/谷口ジロー『坊っちゃんの時代』を読む。
漫画を読むのは久しぶりだが表現力の進化に瞠目。奥付を見ると20年以上前の作品なのだから私の前時代の遺物さ加減もなかなかのものだ。
*
Tsutayaで借りた「サイン」を見る。
賛否両論毀誉褒貶というより悪評ばかりが目についたが、いい映画じゃないですか。どんでん返しとかないが、伏線が最後に見事に収束して感動に持っていく。
ナイト・シャラマン監督作品は好きだなあ。順序をつけるとアンブレイカブル・シックスセンス・ヴィレッジ・サイン。
182.169.186.112 映 845 0 1330732800 初春の夕べ昨夜は八丁堀かく山で菊正宗二合×2本、蕪村お湯割り3杯、鰺叩、白子、鰯丸干、肉豆腐、薩摩揚他。さすが金曜日でほどよく混んでいた。
居酒屋のようなところに旨いものがある日本人に生まれて幸せなりと思う今日この頃ですが、イギリス人には食べ物を楽しむという感覚自体がないのでしょうか?(英国人記者が見た日本の不思議)「吉田類の酒場放浪記」などは大英帝国民には全く理解できない世界でありましょう。
朝ドラで尾野真千子最終回だったからか、見逃してた「火の魚」再放送ありがたや。オノマチと原田芳雄のかけあいが見事です。原作は室生犀星なんだ。
*
味のわかる夢シリーズ:昨夜はポークのパイ包みと子羊のローストパスタ添え。なんで日頃縁のない小洒落たフレンチを夢に見るのだろう、貧乏人。後者の方がたっぷりのオリーブオイルで冷めないのがいいなどと批評しちゃうのも浅ましい。
などと夢の記憶をお茶うけメイン(サブは現実の煎餅)に熱い番茶をすする初春の夕方
182.169.186.112 食 844 0 1330214400 紅梅白梅図屏風と仏料理店「紅梅白梅図屏風」@MOA美術館.熱海。同時展示のNHKの番組で現代作家が銀箔流水を再現したレプリカに興味引かれていったのだけど…生で見ると光琳の本絵の凄さが圧倒的。頑張った作家さんには申しわけないが梅枝の線描の力が全然違う。
あざといエントランスなど、あまり好きな美術館ではないし、同館の他の光琳はあまりパッとせず、宗達や抱一の方がずっといいが、紅梅白梅図屏風だけはさすがです。これを見るだけでも行く価値はある。
拝観後、熱海の街を空腹でさまよい偶然見つけたフレンチに入って金目鯛のムニエルをいただいたが仲々の味。しかし名前がド・なんとか。私の弟の店も例外ではないのであまり強くは言えないが、フレンチは覚えてくれるなと言うようなネーミングをして損をしているような気がする。
そのフレンチを見つける前に地元ソーセージとハムの店を見つけ満席であきらめ、帰り際にソーセージとビールぐらいと思っていたのだが、先のフレンチでのランチ後は満腹で忘れてしまった。こんなときに老いを感じます。いくらでも食える歳ではない。
182.169.186.112 美 843 0 1330128000 アマサウネンとはなんぞや根岸護衛『耳嚢』(長谷川強校注/岩波文庫)より。
南アメリカ州にアマサウネンといふ所あり。アマサウネンにて天河といふ事也とぞ。此山に女ばかり住む所あり。一年に一度づつ男に逢ふと言ふ。其外の時に男来れば竹鎗を持て防ぎ手入れずと言ふ。
アマサウネンとは「アマゾネス」とのことですね。江戸時代に南米の地理の知識とともに、ギリシャ神話の知識も混交して入っていたことがわかって、実に面白い。
伝えたオランダ語通訳が「これ漢土にいひ伝ひし七夕の事ならんか」と想像してるのがまた面白い。
耳嚢における章題も「
182.169.186.112 本 842 0 1329955200 巨人の路漢土にていふ七夕之事」。今日の仕事場の近くで元バスケット全日本の岡山選手を見た。
芸能人やプロアスリートを見かけるようなとこじゃないが、なぜかでくわすのはプロレスのジョージ・高野、バレーボールのヨーコ・ゼッターランドと超長身ばかり。
巨いなる者が過ぎゆく場なのでしょうか。
182.169.186.112 ス 841 0 1328313600 名短篇さらにあり『名短篇さらにあり』(ちくま文庫)読了。
中の岡本かの子(爆発だの母)のどじょう屋の話「家霊」が面白かったのだが、解説の北村薫と宮部みゆきがどじょうをゲテモノ扱いしてるのがどうもいただけない。
宮部「柳川は開いてあるからまだ食べられますけど、通の人はあのまんま食べるんだそうです。『まる』といって、ううう」
…うううじゃないよ(笑)「まる」なんか通でなくったって食べるって。駒形で「まる」で一杯やりたくなってしまったではないか。
同書では林芙美子の「骨」も仲々よかったが、「
一夜の値段を聞かれたのだと彼女は気がつくと腰のあたりがじいんとしびれて来た」とか「かあっと乳房のあたりがあつくなってビロードのショールで鼻をすすった」なんていう文章が、林芙美子が書いたかと思うと、ちょっとどきどきします。*
ここのとこまた本を買いすぎ。置き場所を開けるために自炊に励まねば。PDFはたまるがPC以外で読む道具を何にしようか思案中。やはりiPadなのかなあ?
110.5.46.129 本 840 0 1327190400 眼中の人のグローバルな明治芥川全集の中の自画像的芥川があまりに暗いので、バランスを取るため颯爽とした芥川龍之介の登場する小島政二郎『眼中の人』を再読。
東大の入学が九月になるというのが話題だが、「眼中の人」によれば芥川龍之介は旧制中学を三月で卒業し一高帝大ともに九月に入学し七月に卒業している。ということは明治大正の方がグローバルだったということですね。
182.169.186.112 本 839 0 1326758400 決定版一億人の俳句入門長谷川櫂『決定版一億人の俳句入門』(講談社現代新書)読了。
題名から連想するようなうっとおしいところのない、私のような素人にもわかりやすい明晰明解な内容。良書だと思うが、まあ題名だけはちょっと恥ずかしい。
俳句の世界を流れる時間感覚や日本語構造にまで言及するのに、くどくなく簡潔な文章。俳人だからこそ散文においても無駄のない文章が書けるのだろうか。「奥の細道」を読めばわかるのかいな?古文の授業もっと真面目に聞いときゃ良かった。
*
182.169.186.112 本 838 0 1326153600 海の向こうに遺(のこ)された江戸彼は本所の町々に自然の美しさを発見した。しかし彼の自然を見る目に多少の鋭さを加えたのはやはり何冊かの愛読書、就中元禄の俳諧だった。
――芥川龍之介「大導寺信輔の半生」。
NHKハイビジョン特集「海の向こうに遺(のこ)された江戸」で見た高岡の人間国宝級の職人たちによる明治の下絵による銅製火鉢の作成過程。鍛冶師、彫金師、色付師による分業。問屋がプロデューサー。
鍛冶師はまず型枠を粘土から作る。外側の円筒・内側の円筒・底になる円盤の三つで一セット。それぞれ軸で回転する金属箆で削っていく。粘土から水分が染み出して縮むと粘土を足してまた削るをゆっくり繰り返す。
乾燥させて完成した型を組み合わせ灼熱して溶解した銅を流し込む。空気が入らないように一気に流すが急ぎ過ぎると爆発!するそうな。外枠と内枠の隙間はわずか4mm。冷えたら枠を外し、冷やしてから今度はロクロで削る。
細い帯状の模様を削り出し、全体を軽くするため内側から丹念に削ってゆく。そこへ彫金師がやってきて彫りのためには2.5mmの厚さが欲しいという。鍛冶職人としては1.5mmまで削りたいらしく不満顔だが、最後は笑顔で請け合う。いい感じだ。
彫金師は型紙に合わせて銀を削り、銅を彫って丹念に埋めていく。磨きをかけると金属同士が一体化していくのが気持ち良い。型紙にはない流線をオリジナルで追加していく。絵心もないとだめだね。
仕上げは色付師。最初は硫酸銅の溶液で洗うのだが、これが素手!素手じゃないと微妙な感触がわからないし全く荒れない手に変わるというのだが。別の染料溶液で色を付け仕上げはお歯黒入りの溶液を藁束で塗っていく。
こうして美しい茜色の銅火鉢が完成したわけだけど、工程を見るとモノの価値が分かるような気になってくる。こうして記憶をたよりに手順を書いてるだけでなんとなく楽しい。
110.5.46.129 TV 837 0 1325466000 正月テレビ番組を見ながら、鶴屋吉信福ハ内を賞味ス元日早々地震でご挨拶とは日本列島さんも洒落がきついが、酔っ払ってたので笑って受け流した。
*
正月の番組は駅伝位しか見てないが、裏でやっていたNHKが海外向けに制作した日本武道紹介番組「SAMURAI SPIRIT」の一挙再放送が抜群に面白かった。ニコラス・ペタスがナビゲーターというのがグッド。前半の弓道や古武道を見逃したので、是非もう一回再放送してほしいなあ。
ペタスが門を叩いた武道の師範達は、空手も剣道も合気道も空手も古武道も、さすがに名人上手らしい人格者ぶりで、武道家としてのペタスをリスペクトして礼を尽くし、洒脱な人あれば真摯一徹な人ありでさすが一流の武道家と思わせたが、日本体育大学の柔道の師範だけは上から目線の無礼な口調とヤクザな風貌、日本にとって唯一の残念な例外だった。余計なお世話は重々承知だが、日本柔道の行く末が危ぶまれるところです。
*
父親に好物だと言われた縁起物→鶴屋吉信福ハ内。はじめて食べたがこれは旨い。
223.133.64.214 TV 836 0 1325397678 謹賀新年【本】私的年間ベスト10【2011】あけましておめでとうございます。
辰年の年賀状はこちらです。
例年通り昨年読んだ本のベスト10などを以下に。
(今年も順不同)
- 「移行化石の発見」ブライアン・スウィーテク(文藝春秋社)
- 「キノコの不思議」森毅編(光文社カッパサイエンス)
- 「幕末下級武士の絵日記」大岡敏昭(相模書房選書)
- 「ルー=ガルー<忌避すべき狼>(上下)」京極夏彦(講談社文庫)
- 「日本近世の紀元ー戦国乱世から徳川の平和へ」渡辺京二(洋泉社新書)
- 「怖い絵(1・2・3)」中野京子(朝日出版社)
- 「おまえさん(上下)」宮部みゆき(講談社文庫)
- 「楽園への疾走」バラード(創元SF文庫)
- 「鰐〜ユーモア小説集」ドストエフスキー(講談社文芸文庫)
- 「水の城―いまだ落城せず」風野真知雄(祥伝社文庫)
次点
223.133.98.95 本 835 0 1325206800 7月〜12月読了本
- 「ダンシング・ヴァニティ」筒井康隆(新潮社文庫)
- 「太陽レンズの彼方へ」チャールズ・シェフィールド(創元SF文庫)
【7月の読了本】
- 『ナイルに死す』アガサ・クリスティ(新潮文庫)[再]
- 『移行化石の発見』ブライアン・スウィーテク(文藝春秋社)
ダーウィンの「進化論」への反論「移行中(進化途中)の化石がない」への反論。進化論史としても充実しているし、著者は古生物学者なので化石という事物に裏付けられた論理展開はわかりやすくて面白い。おすすめ。- 『同心亀無剣之介3―恨み猫』風野真知雄(コスミック文庫)
- 『同心亀無剣之介4―きつね火』風野真知雄(コスミック文庫)
- 『ポケットにライ麦を』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
- 『バートラム・ホテルにて』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
- 『スリーピング・マーダー』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
- 『白昼の悪魔』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)[再]
- 『おばちゃんくノ一小笑組』多田容子(PHP文庫)
【8月の読了本】
- 『忘られぬ死』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
- 『海鳴り(上下)』藤沢周平(新潮文庫)
[再]いわゆる世話物というジャンルの時代小説だけど、不倫小説・恋愛小説・ビジネス小説として最高のレベルの小説。20年以前に読んでるけど、自分には歳取って子供育て上げてから読んではじめてわかる種類の小説でありました。- 『忍法八犬伝』山田風太郎(徳間新書)[再]
- 『秀吉はいつ知ったか』山田風太郎(筑摩書房)
山田風太郎のエッセイで「参差錯落」という言葉を知った。「しんしさくらく」と読む。鴎外が日本の近代の町を称した言葉で「ふぞろいで乱雑なさま」という意味だそうな。
また鴎外は明治日本を「普請中」と言った。百数十年が経ってもいまだ普請中だが、度々地震だの空襲だので壊されるのだから仕方がないと言えば仕方がない。- 『殺人は容易だ』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
- 『奇策』風野真知雄(祥伝社文庫)
【9月の読了本】
- 『願い星、叶い星』アルフレッド・ベスター(河出奇想コレクション)
やはり「昔を今になすよしもがな」が素晴らしい。昔創元の『ピーアイマン』で読んだ時よりずっと胸に迫る。
ハリウッドもPKディックばかりでなく、ベスターの「虎よ!虎よ!」や「分解された男」を映画化すればいいのに。後者の映像化は難しいだろうけど。- 『ポアロのクリスマス』クリスティ(早川ミステリ文庫)
- 『黒衣の女』スーザン・ヒル(早川NV文庫)
雰囲気はまあまあだが、ラストの衝撃弱くコクがない。- 『妻はくノ一(10)』風野真知雄(角川文庫)
- 『淑やかな悪夢』ホラーアンソロジー(創元推理文庫)
英米女流怪談集という副題だが、内の一編に毎日馬車で手紙を取りに行く有閑婦人が登場する。「とりたててすることのない人々の常として、できるだけ早く手紙に目を通したがったのである」。現代の私も含めとりたててすることのない人々は…ネットに耽溺かな。
出来はもう一つ。創元の『怪奇小説傑作集』も英米編の1〜3はあまり怖くはない。サドのロドリグやモーパッサンの手を含む仏編とゴーゴリの妖女を含む独露編がいい。【10月の読了本】
- 『シャーロック・ホームズの愉しみ方』植村昌夫(平凡社新書)
シャーロッキアンの論文紹介の中では、やはりレックス・スタウトの「ワトソンは女だった」が秀逸。ただの女ではなく「あの女(ひと)」なんだから愉しくなってくる。
アマゾンのコメントでは格闘技関係の薀蓄がくどくてうんざりというのが多かったが、私にはここが実に面白い。もちろんモリアーティを退治したバリツについてなのだが、20世紀初頭の英国で五百戦不敗を誇った柔術家谷幸雄の物語など、だれか小説か漫画にしないものかな。
谷幸雄の得意技は飛びつき腕十字だったようだ。- 『第三の女』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
- 『マギンティ夫人は死んだ』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
- 『月の光のために』風野真知雄(実業之日本社文庫)
- 『怖い絵(1、2,3)』中野京子(朝日出版社)
著者の美術プロパーでない歴史家の視点での語りが面白い- 『おまえさん(上下)』宮部みゆき(講談社文庫)
ファンタジー臭のない宮部みゆきはやはりうまい。後半は「もてない男」の生き方についてじっくり書きこまれているが、もてない男に救いはない。やれやれ。【11月の読了本】
- 『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉(小学館)
- 『ルー=ガルー<忌避すべき狼>(上下)』京極夏彦(講談社文庫)
- 『鳩のなかの猫』クリスティ(早川ミステリ文庫)
- 『塚原卜伝十二番勝負』津本陽(PHP研究所文庫)
- 『ピース』樋口有介(中公文庫)
ストーリーテリングもキャラ造形もうまくてなかなか面白いが。ラストのあいまいさが深みに繋がらす、犯人の動機に説得力が欠けるだけになってしまった。傑作には届かず。- 『キノコの不思議』森毅編(光文社カッパサイエンス)
中身は玉石混淆だが、やはり専門家の話が面白い。
(植物の内)動物に食われないように進化したのが樹木で、食われても良いように進化したのが草木だ。
動物はセルローズを分解できない(セルラーゼ酵素を持たない)。シロアリやアリはキノコを栽培し、牛馬は腸内に菌類を住まわせてセルラーゼを利用する。人間がもしセルラーゼ菌類を腸内に持って樹木を食えるように進化していたら、とっくに森林や草原を食い尽くしていただろう。
で、シロアリが塚の中で栽培するキノコ(シロアリタケ)がおいしいのだそうだ。松茸ぐらいの大きさで味はシメジに似ていて、煮ても焼いても美味いらしい。一般的ではないが沖縄でも食べるらしい。うーん、食いたい。【12月の読了本】
223.133.98.95 本 834 0 1309395600 1月〜6月読了本
- 『ルー=ガルー2(上下)』京極夏彦(講談社文庫)
- 『お葬式』伊丹十三(文藝春秋社)
[再]。NHKで久しぶりに映画を見たら読みたくなった。映画を撮るということまるごとのエッセイ。面白い。- 『芥川龍之介全集第三巻』芥川龍之介(ちくま文庫)
「素戔嗚尊」力作- 『芥川龍之介全集第四巻』芥川龍之介(ちくま文庫)
注が充実しているのはいいのだが、「左官」とか「戦利品」とか、説明するまでもない言葉が半分以上を占めているのはどうなのだろう。
底本は1971年、文庫初版も1987年だから、そんな頃から、多くの日本語が説明を要するようになる、と予想していたのだろうか。大正以前の小説はそろそろ古文扱いだな。- 『恐竜クライシス』ハリー・アダム・ナイト(創元推理文庫)
登場する恐竜の種類も恐竜再生の方法もまるっきりジュラシック・パークなんだけど、実はこちらの方が6年も前の作品。クライトンめパクリやがったなの怪作にして快作。
再読した印象は仲々の隠れた傑作。テイストはB級だけどジュラシック・パークより遥かに猥雑でスピーディで思い切りがよくて面白い。恐竜の暴れっぷり食いっぷり犠牲者の殺されっぷりが半端ない。ちょこっとだけどエロシーンもあり、ジュラシックと違って子供向けファミリー向け配慮はありません。
一番の違いは恐竜再生の動機。ジュラシックは興行師の遊園地ビジネスに過ぎないが、クライシスの方はよりエキセントリックでマッドサイエンチストらしく、SF者としてはこちらに軍配を上げざるを得ないのでした。
ただし、この恐竜クライシス(原題:カルノサウルス=肉食恐竜)は、かのロジャー・コーマンに映画化されてしまったのが、知名度でジュラシックに絶対勝てない理由でありましょう。【1月の読了本】
- 『柳生兵庫助4』津本陽(文春文庫)
- 『柳生兵庫助5』津本陽(文春文庫)
- 『柳生兵庫助6』津本陽(文春文庫)
- 『柳生兵庫助7』津本陽(文春文庫)
- 『柳生兵庫助8』津本陽(文春文庫)
【2月の読了本】
- 『幕末下級武士の絵日記』大岡敏昭(相模書房選書)
- 『未成年(上下)』ドストエフスキー(新潮文庫)
[再] 未熟さということの滑稽さ初々しさ痛々しさをこれほど思い出させられる小説はないな。主人公は今でいう中二病炸裂。自分にもいまだに思い当たること大なりで赤面しながら読んだ。初読時は主人公と同年代だったはず。よく恥ずかしくなかったなあ。気がつかないほど中二病重症だったのかも。- 『知的生産の技術』梅棹忠夫(講談社新書)
[再] 似たカテゴリのベストセラー「知的生活の方法」「超整理法」「スーパー書斎のなんとか」みんなくだらなくて捨てたが、これだけは残してあった。名著。40年も前の整理法資料活用法なのに為になる。「術」ではなく「法」「体系」「論理」があるからだろう。【3月の読了本】
- 『鰐〜ユーモア小説集』ドストエフスキー(講談社文芸文庫)
表題作「鰐」まるで安部公房。「ベッドの下の…」艶笑譚。「いまわしい話」いかにもドストエフスキーなグロテスクなほどに滑稽なドタバタ酒宴の大騒ぎ。大笑いとまではいかないが癖になる切羽詰った面白さ。- 『魔天忍法帖』山田風太郎(東京文芸社新書)
[再]タイムスリップネタは珍しくないけど戦国自衛隊も蒲生邸も現代人が昔に行く。 江戸時代人が戦国時代に行く設定で、時代ギャップを感じてるのは斬新だ。面白れー。- 『お庭番地球をまわる』山田風太郎(文春新書)
[再](1971年)所収の「さまよえる忍者」の一節 「いまの自分は仮の姿だから、本気になれないのである。何でも臨時作業という気がするのである。」小此木啓吾の「モラトリアム人間の時代」が1978年。横文字の名前をつけるかつけないかの違いだけだな。- 『自来也忍法帳』山田風太郎(実業之日本社ホリデー新書)
[再]- 『天の川を斬る』山田風太郎(文春新書)
[再]本書に限らず、山風の絵描く大久保長安像は魅力的。- 『べろべろの、母ちゃんは…』宇野鴻一郎(出版芸術社)
著者の「あたし、感じちゃったんです」以前の官能的な不思議小説集。いわゆる奇妙な味で、うまい小説。さすが芥川賞作家。「初恋の阿部定」「花魁小桜の足」が秀逸。- 『翔び去りしものの伝説』都筑道夫(光文社文庫)
【4月の読了本】
- 『新訳メトロポリス』テア・フォン・ハルボウ(中公文庫)
あの歴史的SF映画の原作。映画版の真髄である女アンドロイドの妖艶美は皆無だが、物語としては独裁者の人間性描写とか、台詞のない無声映画よりはるかに面白い。1920年代の作品だけに、SFというよりデカダンスロマンという趣。- 『ダンシング・ヴァニティ』筒井康隆(新潮文庫)
相変わらず実験精神豊富な緊密な文体には恐れ入る。繰返し技法は解説には小説によるフリージャズとあり、ジャズに限らず楽曲の構造が元なのは間違いないだろうが、同じことをぐるぐる考える加齢現象を自覚する身としては仲々身近に感じる文体でもありました。- 『妻はくノ一(9)』風野真知雄(角川文庫)
- 『耳嚢(中)』根岸鎮衛(岩波書店文庫)
- 『ロクス・ソルス』レーモン・ルーセル(平凡社ライブラリー)
- 『真相』横山秀夫(集英社文庫)
- 『太陽レンズの彼方へ』チャールズ・シェフィールド(創元SF文庫)
【5月の読了本】
- 『水の城―いまだ落城せず』風野真知雄(祥伝社文庫)
ラストの石田三成の述懐が面白い。- 『江戸社会史の研究』竹内誠(弘文堂)
著者は江戸東京博物館館長。人口や地理上の知識の面白い記述もあるが、江戸っ子紀元など我田引水気味で特に目新しい見方もなく、外れ。- 『日本近世の紀元ー戦国乱世から徳川の平和へ』渡辺京二(洋泉社新書)
こちらは大当たり。江戸時代よりそれを生んだ前時代の中世戦国期の考察。専門の歴史学者ではないので先学者によるところが多いが文章や論旨に力があって魅力的。「一向一揆の虚実」が白眉。- 『チャールズとカミラ』クリストファー・ウィルソン(イースト・プレス)
ロイヤルウェディングで一番笑顔が目立ったのがカミラ・皇太子夫人だったので今更だが読んでみた。副題は「本当に好きな人は誰かを発見した愛の物語」というベタなものだが、ダイアナ妃を含む三人の誰に与するものでもない客観的内容。英国上流史を彩る人名多数。
歴史書のような筆致だが、やはり三角関係の緊張感がなんとも面白い。失礼ながら日本だと猿之助・藤間紫・浜木綿子のお三方を連想。まあ藤間紫はカミラ・コンウォール公爵夫人より美貌では上だが、お二人とも若さでは太刀打ちできない何かの持ち主なんでしょう。それをわかる男でないとあれだが。- 『四十郎化け物始末1妖かし斬り』風野真知雄(角川文庫)
- 『四十郎化け物始末2百鬼斬り』風野真知雄(角川文庫)
- 『八丁堀育ち』風野真知雄(朝日新聞社文庫)
- 『四十郎化け物始末3幻魔斬り』風野真知雄(角川文庫)
- 『同心亀無剣之介1―わかれの花』風野真知雄(コスミック文庫)
- 『楽園への疾走』J・G・バラード(東京創元新社文庫)
アホウドリ保護を目指す核実験に反対する女医と少年が主人公で美しい珊瑚礁が舞台、なのになんでこんな恐ろしい話になるんだろう。まるで「蠅の王」みたいだ。やっぱりバラードは一筋縄ではいかんのに、ドキドキしながらするする読まされるのがすごい。- 『ふうらい指南―手ほどき冬馬事件帖』風野真知雄(コスミック文庫)
【6月の読了本】
223.133.98.95 本 833 0 1299970800 地震翌日_我が家の些少な被害他
- 『雨の刺客―手ほどき冬馬事件帖』風野真知雄(コスミック文庫)
- 『ふうらい秘剣―手ほどき冬馬事件帖』風野真知雄(コスミック文庫)
- 『同心亀無剣之介消えた女』風野真知雄(コスミック文庫)
- 『厄介引き受け人望月竜之進 二天一流の猿』風野真知雄(竹書房文庫)
- 『爺とひよこの捕物帳〜七十七の傷』風野真知雄(幻冬舎時代小説文庫)
- 『スタイルズの怪事件』クリスティ(角川文庫)[再]
- 『晩餐館の13人(エッジウェア卿の死)』アガサ・クリスティ(東京創元新社文庫)[再]
我が家は一応、東京都が防災地区として開発した建物であり、耐震基準は十二分に満たしているはずである。そのせいか幸いにして揺れは小さかったようでCD数枚が落ちたのとスライド式の本棚がずれて本が数冊落ちただけで済んだ。一番心配していた大きい方の本棚の本はぎっしり詰まっている分、圧力と摩擦で逆にずれようがなくて落ちなかったようだ。建物にも亀裂その他はない。
しかし、建物北側私道のインターロッキングが一部盛り上がったりガタガタになっている。歩くのに支障がでるほどではなく液状化しているわけもないが、盛土の堅めが甘かったのだろう。後日の修理が必須な状況。
そして、なぜかTVが地上波もBSも全く映らない。うちは3階だが上階も同じ状態らしい。下の階は異常ないとのこと。管理会社に連絡して二日後に修理に来てもらった。ケーブルTV利用だが、建物内部でのどこかで断線してしまったらしい。結局無事だった1,2階のケーブルを分岐してもらって復帰したが、震災から3日間TVが見られなかったことになる。
そのため、あの大津波の映像を見たのもやっと3日目だった。これはむしろ見られなくて良かったような気がする。妻などは直後はだいぶテンパっていたし、あの胸がつまるような映像を見たらもっと落ち込んでいたことは想像に難くない。
もちろん何日経っていても映像の衝撃度も胸がつまることも変わらない。日頃ニュース情報はネットで十分と思っていたが、やはりTV映像の影響力は馬鹿にしたものではない。
*
原子炉事故のニュースはもちろん最初の頃から聞いていた。「念のため避難」というのを聞いただけで「なんかヤバそう」と思いました。当たっていたわけだけど、もちろん全然嬉しくない。
事故そのものが一番嬉しくないわけだけど、同じぐらいウンザリしたのは、まるで東日本が汚染されたことが嬉しくてはしゃいでいるのじゃないかというような騒ぎ方をしている連中がネット他で目につくことだ。
これから人々の心なども含め、まだまだ色々なことが露呈していくのだろうけど、悪いことばかりでないような予感もちゃんとするのであります。
223.133.98.95 時 832 0 1299884400 東北地方太平洋沖地震当日その日その時(平成23年3月11日14時46分)、私は相棒の若者と代理店の営業チーフとともに、東京駅前のツインタワービルの30階近い高層階のクライアントを訪ね、会議室でソフトウェアのデモを行なっていた。
デモも無事に終わり、質疑応答に入って15分くらいしたところで、グラリ、ときた。もちろん会議は中断、様子をみているうちに只事でない揺れになってきた。クライアント側のトップの女性の「危険ですのでひとまず出ましょう」という一言で全員一斉に部屋から退出したが、全くまっすぐ歩けず、左右によろよろしながらロビーにまろび出る。
他の部屋からも出てきた人たちが何十人もいたが、ロビーの広さは十分でひしめきあう感じはない。最初の大きな揺れは収まったが小さな余震が繰り返し来るので、とても会議室にもどれる雰囲気ではない。
さすがに大企業の受付スタッフのチーフらしき美人は訓練が行き届いていて、無駄なく案内してくれ落ち着かせてくれる。飲み物も各自に配ってくれたので、とりあえず喉を潤しながら様子を見ることにする。ゆらゆら揺れを感じながらドリンクを飲んでいると、船上立食パーティのような感じだが、もちろんそんなのんびりした気分ではない。
気になったのは家と会社それぞれがどうなっているのかだが、携帯も繋がらず、エレベーターも停まっているので、とりあえずはどうしようもない。
次に気になったのは震源地はどこだろうかということだ。ここ数日地震が連続していた東北だろうとは思ったが、連想したのは阪神大震災の記憶であり、東京でこの揺れだったら震源近くはいかほどであろうかと、ちょっと身の毛がよだつ気分である。
「竹内さん、あれ火事ですかね」と後輩が言うので、広い窓を覗いてみるとお台場方向の先から黒い煙が上がっている。(後でテレコムセンター付近の火事とわかる)
最初の揺れから30分ほど経過した時、最大級の余震が来た。男性も女性も座り込む人、多数。ただ、さすがに地震国日本の誇る最新ビル、揺れはするが落ちる物や軋みはなく怖さはさほどでない。
更に30分ほど待ったところで、とりあえず会議は後日持ち越しということになり、退散することに。エレベーターは動く気配がないので、クライアントの担当者に断って、20数階を歩いて降りることにする。幸い降りている途中に大きな揺れはなく、地上に降り立ち、代理店の女性はタクシーを広い、私たちは歩いて会社に戻った。
会社の入っているビルはさきほどのビルのような最新ビルではないので、更に揺れは大きかったようで、かなり書類は散らばりみんな片付けに大わらわとなっていた。
メディアでも東北地方に震度7ぐらいで詳しい情報はまだない。妻からのメールがやっと届き、出先から歩いて家に向かっているようだ。子供たちや親族も大過ないようでまずは一安心。
退社時間が来ても交通機関は動く気配がない。社長はとっとと車で帰ったが、たぶん今頃渋滞に巻き込まれていることだろう。
グズグズ考えていても仕方がないので「歩いて帰る」ことに決定。いまだ様子を見てる同僚に挨拶して19:00家を出る。会社から我が家へは昭和通りを真っ直ぐ行けばいいだけ。十数キロメートル程度なので2〜3時間というところか。
途中自転車屋でもあったら買おうかなと思ったが、歩きはじめてすぐそんなことは無理だとわかった。すごい人波なのだ。休日の渋谷の交差点のような人口密度。みな黙々と歩いている。車道にも車がみっしり詰まり、歩くより遅い速度で進んでいる。会社の備品らしいお揃いの白いヘルメットをかぶった若い女性の二人連れがいた。うちの会社でも買ってもらおうと思う。
途中の公衆電話に列が並んでいる。携帯は仲々繋がらないが公衆電話は少しはマシなのかもしれない。30分間隔くらいでメールを送信するが届いていることやら。
かなり寒いが、よく晴れてるのが幸い。途中の飲食店、居酒屋も一杯だ。喉も乾いてきたし、かなり誘惑を感じるがぐっと我慢して、自動販売機で熱い紅茶を買って喉と温める。1時間も歩いていると体も暖まってきた。
2時間を過ぎた頃から人もだんだん少なくなってきたが、車道は相変わらず渋滞している。バス停にたまに乗客を満載にしたバスが停まっているが、乗車は断っているようだ。
自宅最寄り駅までたどりついたが、こんな辺鄙なところまで渋滞はとぎれない。前代未聞である。
行きつけの居酒屋で空腹を満たしたいのも我慢して21:00、歩きはじめて2時間目に自宅に到着。家族もみなだいぶ前に歩いて帰宅しており、やれやれである。まずは、風呂に入ってビールが飲みたい。
223.133.98.95 時 831 0 1294236228 武士の家計簿ちょっと前までは映画を観に行きたいと思うと、大体有有楽町マリオンとか日比谷映画街に行ったものだが、いまやとんとご無沙汰。ということでMOVIX亀有に「武士の家計簿」を見に行ってきました。
坂本龍馬や新選組が出てこない幕末の物語でも、いい映画は作れるという見本のような映画。いやむしろそんなものは出ない方がいい映画になる可能性は間違いなく高いだろう。
原作は7年前に読んでいたが紛失、買いなおして再読。江戸時代に少しでも興味がある人は読んで損をしないことを保証します。おすすめ。
映画のストーリーは原作を読んでもらえばよろしいが、文字通り江戸時代の加賀藩士の家計簿(入払帳)から普通の武士の生活を読み解いたノンフィクションが果たして映画になるのか。こう来たかという驚きを楽しむためにも、原作を読んでから映画を見ることをおすすめする。見事な脚本でした。
キャストもおおむね結構。堺雅人はうまい。仲間由紀恵は綺麗だし、松坂慶子もハマリ役で大根ぶりは気にならないが、松坂サン瀕死の床でも全くやつれてないのが唯一の瑕疵です。息子役の若い俳優はセリフ回しが下手っぴで、少年時代を演じた子役の方がうまい。しかし、仲間さん、原作を読んでないというのはいかんなあ、堺雅人さんを見習うように。
久しぶりの劇場の大画面の映画だったが、3Dとか特撮バリバリの映画は歳取ってくると大画面で見ると目が疲れてかなわない。むしろこういう映画の方が大画面で見る価値があると感じた。仲間由紀恵さんの美貌はもちろんだが、再現された江戸時代の武士の住居の細部に目を凝らし、大写しになる美しい着物の織りの一目一目も堪能できるのは大画面ならでは。
また映画館に行くぞ、と思わせられた一本。
110.67.111.171 映 830 0 1293843600 謹賀新年【本】私的年間ベスト10【2010】あけましておめでとうございます。
兎年の年賀状はこちらです。
特に書くこともありませんので、例年通り昨年読んだ本のベスト10などを以下に。
(今年は順不同)110.67.111.171 本 829 0 1293670800 7月〜12月読了本
- 「忘れられた日本人」宮本常一(岩波文庫)
- 「日と月と刀(上下)」丸山健二(文藝春秋社)
- 「おかあさんになったアイ」松沢哲郎(講談社学芸文庫)
- 「江戸という幻景」渡辺京二(弦書房)
- 「大江戸定年組1〜6」風野真知雄(二見時代小説文庫)
- 「装丁物語」和田誠(白水社文庫)
- 「女ざかり」丸谷才一(文春文庫)
- 「人われを大工と呼ぶ/百パーセント愛国者」アプトン・シンクレア、(新潮社)
- 「予告された殺人の記録」ガルシア・マルケス(新潮文庫)
- 「ゴーレム100」アルフレッド・ベスター(国書刊行会)
【7月の読了本】
- 『妻はくの一(1〜8)』風野真知雄(角川文庫)
- 『予告された殺人の記録』ガルシア・マルケス(新潮文庫)
サッカーワールドカップにはさほど関心はないが、こんなときでないと見られない多くの中南米人の選手サポーターのたたずまいふるまい雰囲気は、この祝祭的殺人の物語を読むのに大いに力を貸してくれたのでした。- 『完璧な殺人』(早川ミステリ文庫)
【8月の読了本】
- 『聖女ジャンヌと悪魔ジル』ミシェル・トゥルニエ(白水社uブック)
- 『女ざかり』丸谷才一(文春文庫)
- 『大江戸定年組(1〜6)』風野真知雄(二見時代小説文庫)
- 『耳袋秘帖・赤鬼奉行根岸肥前』風野真知雄(だいわ文庫)
- 『耳袋秘帖・八丁堀殺人事件』風野真知雄(だいわ文庫)
- 『耳袋秘帖・浅草妖刀殺人事件』風野真知雄(だいわ文庫)
- 『耳袋秘帖・深川芸者殺人事件』風野真知雄(だいわ文庫)
【9月の読了本】
- 『耳袋秘帖・谷中黒猫殺人事件』風野真知雄(だいわ文庫)
- 『耳袋秘帖・両国大相撲殺人事件』風野真知雄(だいわ文庫)
- 『耳袋秘帖・新宿魔境殺人事件』風野真知雄(だいわ文庫)
- 『耳袋秘帖・麻布暗闇坂殺人事件』風野真知雄(だいわ文庫)
- 『耳袋秘帖・人形町夕暮殺人事件』風野真知雄(だいわ文庫)
- 『忘れられた日本人』宮本常一(岩波文庫)
- 『ヤバい経済学』レヴィット&ダブナー(東洋経済新報社)
- 『人妻は告白する―なぜAVに出たのか』本橋信宏(ぶんか社文庫)
【10月の読了本】
- 『ガラスの城』松本清張(講談社文庫)
[再]醜女がヒロインというのが画期的。女性心理描写のうまさ。- 『白衣の女(上中下)』ウィルキー・コリンズ(岩波文庫)
- 『表象詩人』松本清張(文春文庫)
[再]表題作は傑作他に山の骨- 『増上寺刃傷』松本清張(講談社文庫)
[再]「西蓮寺の参詣人」の半七張りの啖呵が小気味良くて面白い。江戸言葉が面白かったのだろう。他に「疑惑」が傑作。- 『黒の様式』松本清張(光文社カッパノベルス)
[再]「歯止め」マスターベーションの害ってのが時代を感じる。「犯罪広告」「微笑の儀式」- 『魔術師』江戸川乱歩(創元推理文庫)
- 『吸血鬼』江戸川乱歩(創元推理文庫)
【11月の読了本】
- 『人間豹』江戸川乱歩(創元推理文庫)
- 『黒い画集』松本清張(光文社カッパノベルス)
[再]「遭難」ブラックなラスト。「凶器」清張には珍しいストレートすぎるタイトル。連想する海外ものはあるが、うまいアレンジ。「坂道の家」「寒流」身も蓋もない男の妄執の怖さ滑稽さ。- 『小説日本芸譚』松本清張(新潮文庫)
[再]評伝ではなく、あくまで小説。わずかな史実を元に想像で構築した人物像の面白さ。「岩佐又兵衛」「写楽」等画家や仏師もいるが、「千利休」「古田織部」「小堀遠州」の茶人シリーズが面白い。「千利休」「古田織部」の視点の逆転は「ガラスの城」を連想。「小堀遠州」の憂愁は「火の縄」と同テーマ。「本阿弥光悦」が秀逸。- 『月長石』ウィルキー・コリンズ(創元推理文庫)
- 『ソフィー』ガイ・バード(創元推理文庫)
雰囲気抜群、コクトー「恐るべき子供たち」系のノスタルジック&サスペンスフルな少年少女恐怖小説。姉萌えの人はぜひ。とはいうもの真実はあいまいにしか書かれていないので、私の理解はもう一つ。再読が必要だな。【12月の読了本】
110.67.118.141 本 828 0 1293498000 1月〜6月読了本
- 『薩南示現流』津本陽(文春文庫)
- 『柳生兵庫助1〜3』津本陽(文春文庫)
- 『黒蜥蜴』三島由紀夫(学研M文庫)
【1月の読了本】
- 『少年時代(上下)』マキャモン(文春文庫)
- 『念力姫』笹公人(宝珍)
- 『飛騨の怪談』岡本綺堂(原書房幽クラシックス)
- 『星を継ぐもの』ジェイムズ・P・ホーガン(創元推理文庫)[再]
- 『ガニメデの優しい巨人』ジェイムズ・P・ホーガン(創元推理文庫)[再]
【2月の読了本】
- 『巨人たちの星』ジェイムズ・P・ホーガン(創元推理文庫)[再]
- 『チンパンジーはちんぱんじん』松沢哲郎(岩波新書)
- 『殺人行おくのほそ道(上下)』松本清張(講談社文庫)[再]
- 『犯罪の回送』松本清張(角川文庫)[再]
- 『数の風景』松本清張(角川文庫)[再]
- 『黒の回廊』松本清張(文春文庫)
[再]。面白い。動機は納得いかないし、偶然も過ぎる。(30人の団体旅行に過去の知り合いが何人も)
しかし、ぐいぐい読ませる筆力はさすが。心理描写と、意外なユーモア感覚。【3月の読了本】
- 『渦』松本清張(新潮文庫)
[再]ミステリーとして完成度高い。どんでん返しミスディレクションあり。崖上の対決&告白は元祖か?- 『三人噺志ん生馬生志ん朝』美濃部美津子(文春文庫)
- 『芥川龍之介全集2』芥川龍之介(筑摩書房文庫)
- 『江戸という幻景』渡辺京二(弦書房)
【4月の読了本】
- 『人われを大工と呼ぶ/百パーセント愛国者』アプトン・シンクレア(新潮社)
1920年。日本版昭和5年。訳者:牧逸馬- 『おかあさんになったアイ』松沢哲郎(講談社学芸文庫)
【5月の読了本】
- 『ゴーレム100』アルフレッド・ベスター(国書刊行会単行本)
- 『銀河帝国の興亡(1〜3)』アシモフ(東京創元新社文庫)[再]
【6月の読了本】
110.67.111.171 本 827 0 1283907600 術後経過
- 『日と月と刀(上下)』丸山健二(文藝春秋社)
- 『代官の日常生活』西沢澄男(講談社選書メチエ)
なぜ悪代官が生まれるのか?最初から代官は借金背負うような体制になっていた。それでも善良な代官の方が多かった。本当に悪い奴が多かった役職は実は…目からウロコがたくさん落ちる。- 『装丁物語』和田誠(白水社文庫)
- 『告白』湊かなえ(双葉社文庫)
普通に面白い。後味悪いという感想が多いが、感情移入する登場人物がいないからそれほどでもない。もしや後味悪い人は登場人物のだれかに感情移入していたのだろうか。- 『おそろし』宮部みゆき(新人物往来社新書)
一話一話は綺堂の再来かと思わせるほど、うまくてこわいのに、最後にヒロインに綺麗に解決させてどうする。怪談に大団円では余韻もなにもあったものじゃない。111.217.79.49 身 826 0 1283130000 体内金属抜去手術終了、不思議な麻酔体験
- 9/1
- 腕がむくむのでマッサージ。走ってないので、体重が64kgを越しちまった。来週くらいから2kmでもいいから走るかな。
- 9/2
- 昨日は手術傷の影響で片背中が筋肉痛だった。今日は朝風呂で筋肉をほぐしてから、医者に行く。風呂の効用大なり。ホメオパシなんとかなどより絶対安心確実。
ホメオパシーとやらはきちんと否定されマスコミも伝えているから良いが、これは「民間療法」だったからマスコミも遠慮無く言えたので、これが「宗教的信条」だったら伝えられたかどうか。江戸時代なら「淫祠邪教」として制圧できたのに、不便なことである。- 9/7
- 手術した傷の抜糸。というよりホチキスの針みたいのだから抜針か?まだ肩は青く腫れてるとこに大きく赤い傷が入っているので、一見木魚のようだ。ポクポク叩くわけにもいかないが。
まだ色々と腫れたり縫い目だらけだったりしているのだが、ようやく5日ぶりに退院。
17年ぶりに陽の目を見た8cmの釘2本と12cmの針金1本は意外なほどピカピカと輝いていた。
さすがステンレススティール。
*
前回の手術(スキー大失敗による肩骨折)のときは、当然金属抜去よりずっと大手術だったせいもあり、本格麻酔の直前に予備的な注射をされた。それだけでほんわかとしてしまい、手術室に入ったぐらいまでしか記憶がない。
今回はそんな注射もなく、手術室に入り麻酔医の先生と挨拶し、点滴を始められるまで明晰に意識があった。先生がカウントしているのもはっきり聞こえているたのだが、数秒で頭の中がチカチカしたと思ったらブラックアウト。次の意識は声をかけられ手術は終了していた。
ブラックアウトというかシャットダウンというか、まさにドラマで殴られたときの暗転という感じ。もっとはっきりいうと人生の最期はかくあるのかというくらい不気味な体験。
だって、日頃、今眠りに入るぞという瞬間をだれも記憶はしていないでしょう。いつのまにか寝入っているか、気持ちよくなって夢へとフェイドアウトするやさしい日常が眠り。麻酔の眠りは全然違う体験だったのでした。
111.217.79.49 身 825 0 1281834000 ゲゲゲ展銀座松屋に『水木しげる米寿記念ゲゲゲ展』を見に行く。
原画多数展示につき、興味ある方は行って損はしない。特に妖怪事典の原画の緻密さたるや凄まじい。
グッズがやたらありやたら売れている。鬼太郎と雲竜のTシャツと妖怪トイレットペーパーを買い。私は拭き具合をためしてみたいのだが、つれあいは使わないで取っておくと主張。ケツ拭いてこそトイレットペーパーじゃ!と言いたいところをグッと我慢して「じゃあ1巻を保存用、1巻は拭き心地確認用」などと交渉中。
写真撮影不可につき、画像は私が模写したもの。
帰りはイタリア料理のシシリアで生ビール2杯ずつ。ピザはミックスとチキン、ローストビーフ、蛸とブロッコリーの温サラダ、クリームペンネ、ラザニア。二人でこれはちょっと食べ過ぎ。
*
妖怪と言えば、あるアンケートによれば「一番会いたくないお化け」一位は「口裂け女」だそうな。
しかし「口裂け女」は「幽霊」や「鬼」と同ジャンルなのか?あれは妖怪ではなく、そういう(奇形か怪我か)人間だからこそ怖いのではなかろうか。
111.217.79.49 美 824 0 1280710800 体内金属抜去決定17年前にスキーで転倒して左肩の骨頭を骨折した。金属で止める手術をして2ヶ月入院したのだが、リハビリも上手く行き、その後痛みもないため、金属も抜かずにそのまま今まで来てしまった。
それがここに来て、どうも調子がよろしくない。時々外れるような感じがして痛む。整形外科をレントゲンを撮ったら、「いつまでも金属を入れといていいはずがありません。抜きましょう」とのこと。今はチタン製など体内に入れっぱなしでにできる素材があるが、17年前ではステンレスだからNGらしい。
やれやれだが、骨や軟骨は問題なしなのでよしとしよう。仕事も色々立て込んでるので26日入院で当日手術ということにする。
これで俺はサイボーグだとは言えなくなる。体から鉄分が減るので、Twiterで使ってる左のアイコンもそろそろ変えようかな。
*
入院に先立ち、収入証明等の手続きに区役所へ。
自分の用事は簡単に済み、フロアも空いていた。ところが帰ろうとした反対側のフロアは行列が長々と続いている。行き先は「保護課」。
おそらく月はじめの生活保護の申請なのだろう。なんだか納めた税金が音を立てて流れだしているのを見るようで、少々げんなりしたのでした。
111.217.79.49 身 823 0 1280538000 スターウォーズとかブルース・リーとか111.217.79.49 映 822 0 1279501200 ペンタブレットを買って絵を描く
- 7/20
- スターウォーズは9部作構想だったはずが、6作で終わってしまったけど、構成的には4〜6はむしろ7〜9の方がふさわしい。3と4の間にダースベイダーが皇帝の手先となって悪の限りを尽くし、オビワンが兄妹をかかえて逃げまわる物語でエピソード軽く三つはいけるでしょう。
- 7/25
- 日暮里の新しい台湾料理店「金葉」。ビール、紹興酒ロック。◎手製焼豚、○特大餃子、◎フカヒレ小龍包、△揚げ鶏あまだれ、○海鮮おこげ。旨いし、二人で6500円は安い。次は北京ダックや屋台風チキンライスを試したい。
- 7/27
- BSで久しぶりにブルース・リーを見たが、マッハやチョコレートを見たあとだと見劣りするなあ。スタントマンの吹き替えも目に付くし、今見ると相手役のサモ・ハン・キンポーの受けがうまいのだとよくわかる。
- 7/31
- 浅草の花火、いつも地元の土手から見るのだが、今年はスカイツリータワーと同時に見ることができた。が、曇空と無風でたまる煙のおかげでもう一つぱっとせず。
Wacomのペンタブレットを中古で買った。詳細はこちら→物欲日記
リハビリに絵を1枚描いた。上のリンク先のが1枚目。
←Painter11も買ったので描き直して見たのがこちら。まだ全然新しいブラシに慣れません。
111.217.79.49 絵 821 0 1278982800 スピードハヤシライス先日の参院選。かみさんが選挙管理委員会の立会いのボランティアをやっているので、私は留守番。息子と私の分の夕食を作ることになった。
毎度、カレーや丼物ばかりではなんなので、今回はハヤシライスを作ることにした。カレーライスの親戚じゃんとと言われれば、まあそうかもしれないが。
レシピは数日前に見たNHKの料理番組を参考にちょっとアレンジしたもの。
<材料(二人分)>
- 牛薄切り肉 300g
- 玉ねぎ 1個
- 人参 1本
- マッシュルーム 大きめなら5〜6本
- ニンニク 1かけ
- 小麦粉 大さじ3
- トマトケチャップ カップ1(200cc)
- 水 カップ2(400cc)
- 醤油 大さじ3
- バター
- 塩
- 胡椒
<下ごしらえ>
- 牛肉は一口大に切る。
- 玉ねぎはザク切り(1個を16等分見当)
- ニンジンは玉ねぎと同じ位の大きさに切り、電子レンジで4分ほど加熱。(箸が通る位)
- マッシュルームは細かく薄切り。
- ニンニクはみじん切り。
<調理>
- 大きめのフライパンにバターを溶かし、牛肉を焼く。
火が通り焼き色がついて香ばしくなったらフライパンから取り出す。- バターを足し玉ねぎを炒める。
焦がさないよう、しんなり飴色になるまで炒める。- ニンニクとマッシュルームを入れ、さっと色がつくまで炒める。
- 牛肉を戻し、小麦粉をふりかけ、炒める。
粉くささが消え、香ばしくなるまで炒める。- トマトケチャップを加え、軽く炒める。
- 水、醤油を加え、ニンジンも入れる。
かき混ぜながら約10分煮込む。- 塩、胡椒で味をととのえて→完成。
<完成>
バターが効いていて、なかなかいける。一応二人分だが三人分は軽くある。のだが、息子が3杯おかわりして空っぽになったから、まずまず成功でしょう。
ただ、味のかなりの部分をトマトケチャップが占めているので、次回はケチャップを3分の2位に減らしてもいいかもしれない。
代わりに生トマトを半分位と、水でなくスープにする。赤ワインでも足したらどうかなとか、アイデアはわくが、次回はいつのことやら。
111.217.79.49 食 820 0 1278205200 相撲協会・野球賭博・NHK中継・宮本常一今読んでいる民俗学者宮本常一の「忘れられた日本人」に書かれている昔の農村のありようが、相撲協会の体質に似ている。
村の政策決定機関は長老たちの「寄合」である。寄合ではある議題が出されるとそれについて話し合うのだが、話し合いは理屈で持論を主張するのでも反対意見を論破するのでもない。議題について、自分の知っていること、言い伝え、親から聞いたことなどをただ話すのだ。途中で話題がそれたり他の議題に移ったりしながらもいつまでも話し続ける。
やがて話題も出尽くしたところで最長老が一番妥当と思われる結論をどうだろうかと提示する。みなが納得すれば決定。しなければまた話が延々と続くが、よほどのことがなければほどほどのところでみな納得する。
多数決でも独裁でもないゆるい決定方法。しか明日から同じ村の隣り合った田畑でときには共同して田植えや稲刈りをして生きていく閉鎖的社会では「角を立てない」ことが公正や効率より重要なのだ。いや、この方法の方が結果的に公正で効率的であったのだろう。
相撲社会は近代的民主主義の多数決論理ではなく、いまだに旧日本的寄合論理で動いているのだ。構成員は利害の対立した競争者であるより、巡業や興行などの(田植えや稲刈のような)村的事業の共同協力する仲間であるのだろう。
見かけは外人力士も大勢いるしグローバル化しているが、外人かどうかでなく力士であるかどうかが問題なのだ。その意味でうまくやっている外人力士はちゃんと相撲村の論理を飲み込んで村の論理で生きている。
その論理の中ではヤクザ屋さんたちも準仲間ぐらいではあったのだろう。「
賭博の背後に暴力団がいたとは思わなかった」なんてのは大嘘でしかありえないが、「反社会的勢力」などとは夢にも思ってなかったのに違いない。それはそれでうまくいってる分には文句をつけられる筋合いではないだろう。
しかし残念なことに、ヤクザは昔のヤクザではなく、とっくに近代化とグローバル化を成し遂げた、単なる「暴力団」に変わっていたのだ。
昔の「ヤクザ」なら、相撲のような持ちつ持たれつの相手にはそれなりの配慮をしていたことだろう。博打で寺銭を巻き上げるのは同じでも、一時の損得だけで力士を追いつめるなんてことはしなかったのに違いない。それどころか、大懸親方のように何千万も借金を背負って「嫁に着物を買ってやることもできなかった」ような窮乏に陥ることのないようにうまく調整したことだろう。百年単位のつきあいで末永く甘い汁を吸い続けようとしたことだろう。
天下の大関を脅迫して金を脅しとるなんて短絡的なことをして金の卵を生む鶏をつぶしてしまったグローバルヤクザのなんと頭の悪いことか。
悲劇的なのは、いまだに相撲協会は相撲取りたちだけが暴力団も含めた現代社会に置いて行かれたことに気がついていないらしいことだ。
相撲協会が外部からの理事長代行を拒否するかどうかで、NHKがどうでるかが興味深い。まあ、結局は理屈をつけて中継するってことになりそうだが、中止した場合の代替番組の用意はすでにしているとのことだ。
どうせなら過去の相撲をずっと再放送するというのはどうだろう。それなら同時間帯の視聴者層の好みにも合うだろう。大相撲ダイジェストが正味20分、年6場所で丁度2時間。過去15年の全取り組みを全て流して過去を慈しむというのはどうだろうか。
私はどうせ見られない時間だからどうでもいいのだが。
111.217.79.49 本 819 0 1274749200 白川郷&高山の旅(3)やっと晴れ。綺麗な空気の中、前日見残した高山陣屋などを見学。
高山陣屋は今回見た中では、最も印象に残った史跡。いわゆる「代官所」であり、広々とした屋敷の中に「お白洲」「吟味所」など時代劇でおなじみの場所が見られるのだが、大名の城と違い、威圧的な装飾威容はなく、江戸時代の官庁として効率的でシンプルなたたずまいが好ましい。
マネキンで再現しているようなばかげたものを見せられる心配はない。ほとんどが部屋だけで机などもない簡素な展示だが、裃を着けたサムライの姿や彼らの走らせる筆の音などを妄想するだけで十分に楽しい。
帰ってから、アマゾンで「代官の日常生活」(西沢澄男/講談社選書メチエ)を注文してしまう。
昼食はキッチン飛騨のステーキランチで飛騨牛の食べ収め。
食後、高山駅反対側の物産センターでおみやげを買い、帰路へつく。
111.217.79.49 旅 818 0 1274662800 白川郷&高山の旅(2)一日雨、それもかなりの雨量だが、幸い風がなく、市内を歩くだけなのでさほど苦にはならない。
旧い街並みを保存(再現?)している上三之町などを歩くのは、五感の快楽である。日下部民藝館のような重要文化財ではなくとも、普通の酒屋、味噌屋も広い土間に高い吹き抜けの見事な旧家のまま営業しているところが沢山ある。日本家屋は美しいということを昨日に続き再認識する。
街並みに汚いポスター看板の類は見当たらず、数少ない自販機も黒板で囲って街にさりげなくなじませている。
元々は大名領だったのを、豊富な木材資源目当てで江戸幕府が天領にしたという歴史があるだけに、一位一刀彫などの木工がさかんで、伝統的なものだけでなく、洒落たデザインの木工家具や木工玩具の店も多い。結構飽きません。珍しく物欲が動いて小物を色々買ってしまった。
上三之町の木工家具屋さんで買った、羽ばたくカモメは現在机の上空で飛行中。甲虫マグネット。現在、旧PCのスティールの幹に張り付いている。
昼は一番雨脚の強いときに雨宿り気分で飛び込んだ店で、飛騨牛の陶板焼きを注文。甘みがあって結構なお味でした。
店先のエイリアンとプレデターの見事な金属細工に誘われて入ったお店。店名はたしか「ピーチクパーチク」。なかなか奇天烈なオブジェが売っている。
店内にも等身大より少し小さいエイリアンが支えているガラステーブルがあり、20p程度の色々な金属製のオリジナルアクセサリーが並んでいる。高山在住の地元の工房が作っているらしいが、値段も驚くほど安い。思わず釘の髭を生やし螺子の爪でベアリングの玉をつかんだ黒鉄龍を購入。現在は雲海ならぬ銀色のアルミ製の新PCに上に鎮座している。
夜は宿泊宿の姉妹店、ホテルアルピナの展望温泉で疲れを癒す。宿には外人客も多く、巨体の白人がつんつるてんの浴衣を羽織って、神妙に味噌汁をすすっていた。
110.5.46.129 旅 817 0 1274576400 白川郷&高山の旅(1)恒例のゴールデンウイーク外しの休暇小旅行、今年は前から行きたかった「白川郷」。
新幹線名古屋駅から高速バス利用で昼過ぎには到着したが、先週まで好天続きだったのが、狙われたかのようなあいにくの雨模様。
雨にも関わらず、駐車場には観光バスが何台も止まり、観光客は多い。さすがは世界遺産だ。欧米人だけでなく、中国人が目立つ。
幸い小ぶりだったので、傘をさしてのんびりと茅葺きの民家の並ぶを見てまわる。
日本の伝統的な家というのは、本当に美しい。外観もさることながら、広々とした屋根裏の(養蚕や機織りの)作業場などを見ると、白土三平の「カムイ伝」の花巻村の情景を思い出して感慨もひとしおだ。
村を囲む、山々の風景がまた美しい。ブナの明るい緑と杉の暗い緑が交互に混じり合う奥深い山を眺めているだけでかなりの時間を過ごせそうだ。
朝食は駅弁、昼食は飛騨牛の串焼きと肉まんでお手軽にすます。
白川郷にも民宿はあるのだが、今回はパスして宿泊は高山市へ。30年前に来たときの高山市はみたらし団子くらいしか名物はなかったのだが、高山市に着いて驚いた。街中飛騨牛料理店だらけではないですか!
当然、宿の夕食も飛騨牛のシャブシャブ。これは口蹄疫でも来た日には宮崎にも負けないほどの阿鼻叫喚の騒ぎになりそうだ。
111.217.79.49 旅 816 0 1272675600 本棚崩壊の危機(書くのが遅れて以下は4月25日の記事)
あまり物欲が多いとは言えない私だが、本だけはなかなか捨てられずにやたら増えるばかり。多めに見積もっても三千冊程度、井上ひさしの十万冊には及ぶべくもないが、小さな家にとっては相対的な圧迫度はかなりのものだ。
特に二十年以上前に買ったスライド式本棚がかなりやばいことになっている。棚受けの穴がたくさん開いているのをいいことに、手製の棚板を増やし、二重に並べ、容積一杯隙間なく詰め込んだむくい、気がつけば、重さに耐えかねたか、本棚の両側の板が大きく外側に曲がっているのだ。一番たわみが大きい中間部で約7ミリ、今にも棚がはずれそうだ。
「コワイからなんとかして」とカミさんに言われ続けてきたが、直すにも本の収納数を減らさねばどうにもならない。ウチにはタンスの脇に60センチ位の隙間がある程度で、もはや本棚を増設する余地はない。
こんな時に意外と役に立つのは2ちゃんねる。家具インテリア板に「本棚書棚書庫」スレッドがあるのを発見。つらつら読んでみると、30センチ位の隙間でも利用できるスライド式の本棚があるではないか。
通販サイトを検索すると色々あるが、ネットのクチコミ情報によると中国産は値段は安くても強度や出し入れのスムーズさが全く不足しているらしい。
少々高くても日本産にして、その中でも、上部にレールが付いていてぐらつかずに引き出せるという「スライド式スリムワゴン」(本棚チャンネルTV)を2本と2連ボックス買うことにする。
上記2ちゃんねるのスレッドで「フロアリングの床で長く使っていると床が削れて動かなくなる」という情報があったので、保護用にフロアシートも買うことにする。アマゾンで検索してよさそうだったの「【安心の日本製】 床を保護するフロアシート クリア1畳」。
一日がかりで組み立て、シートを敷き、本を収めてみたが、350冊程度の文庫本、新書を移動することができた。
余裕ができた旧い方の本棚は、たわんだ側板に当て木をし、中央の棚板に接着剤とL字金具でがっちり留め直し、なんとか崩壊の恐怖から逃れられた模様。
一連の作業に活躍したのが左の画像の電動ドライバー。「KAKURI PROMATE ミニACドライバー PA-40」。
スリムワゴンのクチコミ情報に「電動ドライバー必須」とあったので、前もって購入しておいたのだが、思った以上に役に立った。ネジを締めたり緩めたりするのは数本ならともかく、何十本となるとしんどい作業だが、まったく疲れずストレスなくかかれるのがいい。値段のわりに力もあり、充電式でないので軽くて扱い易い。
翌週からおこなったニューPCの組み立てでも活躍してくれたのだが、その報告はまたのちほど。
110.5.46.129 本 815 0 1272556800 タマラ・ド・レンピッカ展『美しき挑発/レンピッカ展 - 本能に生きた伝説の画家 -』
見に行ったのは29日。場所は何年ぶりだか忘れたくらいひさしぶりの渋谷ブンカ村。
大好きな画家。何点かはアール・デコ展などで見ているが、個展としては日本初。
内容はリンク先でご確認のこと。
私のベスト3は「赤いチュニカ」「マルジョリー・フェリーの肖像」「マドンナ」。(上の4点とは違います)
意外だったのは、画集で見て、絶頂期の1930年代前半までと比べて随分と落ちると思っていた1940年代以降の作品も、実際に見ると、なかなか素晴らしかったこと。
*
超絶美人のご本人の写真も多数展示。
*
左も私の好きな一点だが、残念ながら今回は出展されていなかった。
111.217.79.49 美 814 0 1272206364 平凡社大百科事典が捨ててあったゴミを出しに行ったら平凡社大百科事典が捨ててあった。古書店でも値がつかないのだろうか。
子どもの頃、家で百科事典を買った時のワクワク感を思い出した。裕福ではなかったので7巻本の中事典だったが。
それ以来、平凡社の百科事典にはお世話になった。宿題調べなんてのにはもちろんだが、ネクタイの結び方なんてのも百科事典で覚えた。
白土三平が小学館漫画賞をとったとき、賞金で念願の百科事典を買った、なんていうエピソードを思い出した。桑田次郎のある作品の恐竜の絵が、百科事典の地質時代の項目の別刷り挿画そっくりなのに気がついて、ああ、桑田次郎も平凡社の百科事典を持っているのだと、感慨深かったり。そういう時代だったのだ。
(恐竜の挿画は動物画では有名な清水勝。ここの恐竜絵を真似した漫画はたくさん見かける。もっともティラノザウルスはゴジラ立ちなので、今は通用しない復元だが)
もちろん今、家には百科事典はない。なんでもネットで検索する。迅速にして広範。ただしかつて百科事典を引いたときのようなワクワク感はない。
アイザック・アシモフの「ファウンデーション」を読み返していると、冒頭が「エンサイクロペディア・ギャラクティカ」(=銀河百科大事典、もっちろん架空)の引用から始まっている。幸いにして紙をめくる描写はないからデジタルなんだろうな。出版社が発行した第百十六版なんて記述があるから、なんとなく紙っぽいのが心配だ。「ファウンデーションの彼方」にたしか図書館が出て来るので、気をつけて読み返してみるとしよう。
123.198.8.66 本 813 0 1268607600 映画「シャーロックホームズ」MOVIX亀有で「シャーロックホームズ」を見る。
ストーリーはまるで007のような展開、登場するオブジェはスチーム・パンク、ホームズとワトソンは超人的戦闘力の持ち主。
生粋のシャーロッキアンなら激怒すべきところだが、意外とツボは押さえている。
ヒロインは、あのアイリーン・アドラーだし(レイチェル・マクアダムスがコケティッシュで大変結構)、悪役こそ架空の人物ブラックウッド卿(もちろんアルジャーノン・ブラックウッドから名前を取っているのだろう)だが、ちゃんとモリアーティ教授も不気味な姿の片鱗を覗かせる。
ワトスンが片足をひきずっているなどの細かい描写が、シャーロッキアンとはとても言えないが一応全冊読破したファン心をくすぐる。ワトスンはともかくホームズが拳闘と日本武術(バリツ?)の達人であるのも原作通りだ。
こういうのもありである。素直に面白かったし。原作の雰囲気に浸りたければ、グラナダTV版を見ればよい。
エンターテインメントとして面白いことは認めるとして、物足りないところも少々。
ロンドンの街の再現は本当にすごい!……のだが、CGかと思うとあまり感動しないのは困ったものである。
ストーリー展開も非常に早く、短いカット割りの積み重ねでテンポが早い。そのテンポが早すぎてもう一つコクがないのだ。
一つ一つのカットはいいのだが、そのカットを噛み締めているいる余裕がない。感情移入している暇がない。
ロンドンの街並みも、アイリーンの艶姿も、結婚して出て行くワトスンとホームズの感情のやりとりも、もちろんアイリーンとシャーロックの交情も、アクションでさえ、もう少しゆったり味わう時間を観客に与えてくれたら、心に残るものも多かろうに。
単に現代のテンポに自分が追いついて行けなくなったのかも知れないが、そういうことでもない気がしてしかたがないのである。
123.198.8.66 映 812 0 1267884631 「Highslide JS」導入日記ページでの画像の表示方法にHighslide JSを導入した。
左のサムネイルをクリックすると、今まではこのページか別ページを開いてそこに全面表示していた。それがズームアップして表示される。クリックすると閉じる。まことにシンプルで見やすいと自分では思っているが、いかがでしょうか。
似たようなツールではLightbox JS(Lightboxの導入方法とサンプル)が有名だけど、ブラウザ全面を占有してしまうインターフェイスがおおげさで好きではない。
こういうツールの導入のメリットは格好よりも、文章を読んでいてリンククリックで別ページに飛ばされるときの、一瞬とはいえ思考が途切れる不愉快さを回避することにある。画像がズームアップするだけなら元の文書も見えているし、画像を見ながら読み進めることもできる。Lightboxのように画像が前面にしゃしゃりでて本文をグレーアウトしてしまうのでは、他ページに飛ぶのと実質変わらない。
対してHighslideのインターフェイスはシンプルでアカヌケけている。
- 拡大画像をドラッグできる
- 複数の画像を同時に拡大できる
- 画像を拡大した状態で←→キーで前後の画像を表示できる(簡易スライドショー)
- 拡大画像の下等にキャプションの挿入が可能
- ウィンドウサイズに収まるように拡大
拡大画像と書いているけど、別にサムネイルとして貼った画像を拡大しているわけではない。単にリンク先の画像をHighslideが提供するウインドウで開いているので、サムネイルはなくてもいいし、別の画像でもいい。それどころかリンク先は画像でなくてもいいので、HTMLでもフラッシュ(SWF)でもよい。同じHTML内に記述した文字列をメッセージボックスのように表示することもできる。
なによりいいのは無料(商用に使う場合は有料)なことと、導入が簡単なことだ。
【設置方法】
- ダウンロード
Highslide JSの「Download」をクリックして最新版をダウンロード。
(商用の場合は「Buy now」、寄付したい場合は「Donate」をクリック)- アップロード
ダウンロードしたZIPファイルを展開したファイルの内「highslide」フォルダをそのまま自分のサイトにアップロード。「examples」「images」フォルダはアップロード不要。
以下の記述例は「highslide」フォルダや画像ファイルがHTMLファイルと同じ階層の場合。環境に合わせて書き換えてください。- ヘッダ
HTMLファイルのヘッダ部分に以下の記述を追加。
<link rel=stylesheet href="highslide/highslide.css" type="text/css">
<script type="text/javascript" src="highslide/highslide.js"></script>
<script type="text/javascript">
hs.graphicsDir = 'highslide/graphics/';
hs.wrapperClassName = 'wide-border';
</script>- 画像リンク
画像へのリンクは以下のように記述。
<a href="[画像ファイルのURL]" class="highslide" onclick="return hs.expand(this)">
<img src="[サムネイル画像のURL]" />
</a>
要はa要素に「class="highslide" onclick="return hs.expand(this)"」を追加するだけ。
onkeypress属性も追加した方がよいと書いてあるサイトもあるが、画像にフォーカスのあるまま他のキー(PageupとかENDとか)を押すと画像がポップアップしてしまうので、私はおすすめしない。- キャプション
キャプション(画像の説明)を表示したい場合は以下をa要素の直後に記述。
(div要素でなくてもpでもspanでもよい)
<div class="highslide-caption">キャプション</div>- その他の設定
ポップアップするフォームには色々な効果やコントロールを追加可能。
ダウンロードしたZIP内の「examples」や公式サイトを参考にしてください。なお、デフォルトだとポップアップフォームにhighslideのクレジットが表示されるが、JSファイルをカスタマイズすれば簡単に消せる。ファイル内に設定方法がちゃんと記述してあるので消すのはご自由にということだろう。鷹揚なことだ。私は消したが、さすがに気がさしてサイトのDonateをクリックして些少だが寄附をしてしまった。うーむ、北風と太陽の太陽作戦にまんまとはまったのかも。
*
私はなかなか気に入ったけど、HighslideもLightboxでもまだ不満という人もいるかもしれない。そういう人には、LightboxやHighslide以外にも同じようなツールは色々あるようだ。興味ある向きは以下のサイトなどで探して見るのがよろしかろう。
110.5.46.129 網 811 0 1266886800 寺島しのぶ「ベルリン映画祭ベストアクトレス」好きな女優さんの一人なので、めでたい。
「剣客商売」のヒロイン三冬が大路恵美から寺島しのぶに代わった時は、2ちゃんねるで非難轟々だった。
そりゃあ、寺島さんには大路恵美ちゃんのような萌えはないかもしれないが、長身だから姿はきれいだし、芝居はできるし、なんといっても立ち回り(殺陣)が段違いにうまくて、私は好きだけどなあ。
「寺島しのぶ、世界をうならせたのは“脱ぎっぷり”だった」
↑のような紹介をされるのも、寺島しのぶがちゃんとプロだというだけで、最近の女優が脱がなすぎで、最近の監督が脱がせなさすぎ。監督まで草食系でどうする。脱ぐべきときに脱がない女優を脱がせない監督が撮ったらどれだけぬるくなるか、ベルリンやカンヌまで行かなくても、例えば新旧「魔界転生」あたりを比べればすぐわかる。
五十代以上の女優さんは松坂慶子も大竹しのぶも竹下景子もプロでした。
今だと寺島しのぶ以外だと吉本多香美に尾野真千子に池脇千鶴ぐらいか。別にグラビア的には見たい裸の面々ではないが、映画のヌードはグラビアのヌードとは意味が違うからね。
そういう意味で蒼井優とか宮崎あおいとか上野樹里とか貫地谷しほりとか、一回でもそういうシーンを演じたら、女優としてもステージが上がりそうな気がする。別に過剰な期待はしてないが。
123.198.8.66 映 810 0 1266714000 河津桜が満開
春遠からじ。
この公園、というか土手には、十何種類かのサクラが植えられている。
これから三ヶ月くらい、順次開花を迎えていくのが楽しみだ。
まあ、花粉が増えてくるのが、うっとおしいことではあるのだが。
127.0.0.1 雑 809 0 1266109200 キーボード購入【NE0100 Realforce91】いまだに自宅のメインマシンはWindows2000の私は物持ちのいい男だ。マザーボードもCPUもビデオボードも丸10年元気で働いてくれている。
本以外あまり物欲もないので、PCも一度気合いを入れて自分の満足がいくように揃えてしまうと、世間でどんなトレンドが吹き荒れようと興味もわかない。
しかし日々使うものが少々でも納得がいかないと、これは気になる。
日々使うものの代表といえば、キーボードだ。いまや文字を書くという日常の行為はメモ書きか宅配便伝票の受け取りぐらいで、ほとんどの文字はキーボードで「打つ」。
WACOMのペンタブレットと並べる関係上、フルキーボードでは邪魔くさい。大量の数字を打ち込むなんてことは、年に一度の確定申告のときの医療費控除の領収書の転記くらいだ。よってテンキーはいらない。普通の109キーボードからテンキーをはぶいたものがほしいのだが、意外とこのタイプは少ないのだ。
以前はELECOMのTK-P292JPWというテンキーレスキーボードを使っていて、文句はなかったのだが、私の不注意(お茶をこぼしたorz)でお釈迦にしてしまった。
あわててヨドバシで買ってきたのは、軽いだけが取り柄のミニキーボード。キーレイアウトがコンパクトに詰込むだけが目的の独自仕様という名の変態レイアウトなのが気に入らない。PageUp、PageDown、Home、Endといった多用するキーがFnキーとアロー(矢印)キーとの同時押ししなければならないのがイラっとする。
毎日使うものなら、いいものを使おう、と思い直し、2ちゃんねるのキーボードスレ、アマゾンやカカクコムのレビューといったネット情報を調べてみる。
どうも、高級キーボードというと東プレ製のRealforceシリーズ一択らしい。もちろん(変態レイアウトでない)テンキーレスタイプもちゃんとラインナップされている。
ということで、結局買ったのが109レイアウトからテンキー部分を除いたスタイルのRealforce91。(109とか91とかいうのはキーの数)
コネクトはUSBとPS2と2タイプあるが、私のマシンのマザーボードBX2000のUSBは1.1しかないので、当然PS2。色は重苦しい黒はいやなのでアイボリーホワイト。
英語配列の86Uというのもあって、こちらはDIPスイッチでCtrlキーとCapsLockキーを入れ替えられるという魅力的な機能がある。どちらにするか迷ったのだが、変換・無変換キーを結構使う上に86UはUSBしかないので断念。
到着してみると、コンパクトなわりにズシリと重い。質実剛健な感じである。肝心なのはキータッチだ。キースイッチが静電容量無接点方式というそうだが、まあ詳しいことはググってもらうこととして、打鍵してみれば違いは瞭然。軽い、小気味良い、疲れない。
税込み15,500円とキーボードにしては高価だがそれだけのことはある。静電容量無接点方式は壊れにくいということなので、じっくり使って元を取ることにしよう。
これで少しはここやそこの更新も増えるかもしれない、などとほくそえんだが、自分の怠惰を棚にあげて道具のせいにしてはいけません。
110.5.46.129 電 808 0 1262394000 謹賀新年【本】私的年間ベスト10【2009】あけましておめでとうございます。
寅年の年賀状はこちらです。
特に書くこともありませんので、例年通り昨年読んだ本のベスト10などを以下に。
120.74.180.236 本 807 0 1262217600 大晦日にワイド液晶で絵を描くと
- 「逝きし世の面影」渡辺京二(平凡社ライブラリー)
- 「屍鬼」小野不由美(新潮社)
- 「ボヴァリー夫人」フローベール(新潮文庫)
- 「単純な脳、複雑な「私」」池谷裕二(朝日出版社)
- 「戦国の村を行く」藤木久志(朝日選書)
- 「新編日本の面影」ラフカディオ・ハーン(角川ソフィア文庫)
- 「思ひ出の記」小泉節子(ヒヨコ舎)
- 「大誘拐」天藤真(角川文庫)
- 「青い虚空」ジェフリー・ディーヴァー(文春文庫)
- 「カムイ伝講義」田中優子(小学館)
昨日まで仕事だったので、今日一日で大掃除。くたくたです。
年賀状用にひさしぶりにPCで絵を描いたけど、23インチワイド液晶は描きやすい。17インチ×Wディスプレイのときより表示面積は減っているのに?
ちょっと計算してみると、以前は1024X768X2=1572864ドット。
今は1920X1080=2073600ドット。
表示ピクセル数は1.3倍以上になっているのだから当然か。以前はペンタブレットとの関係で絵を描くのに使えるのは3分の2位だったし。
あたりまえといえばあたりまえだが、理屈で納得できるとすっきりする性分。
123.198.11.101 TV 806 0 1262134800 8月〜12月の読了本【8月の読了本】
- 『屍鬼』(上下)小野不由美(新潮社)
大部なだけでなく内容も日本の吸血鬼小説の金字塔。特に山間の村を舞台にリアルきわまりない農村の日常とフォークロアとしての吸血鬼伝説を描く前半は素晴らしい。ロリコン臭のするエンディングが気に入らないが。【9月の読了本】
- 『青い虚空』ジェフリー・ディーヴァー(文春文庫)
ハッカーを主人公にしたコンピュータ・ミステリとしては最高の出来。- 『ヒューマノイド』ジャック・ウイリアムスン(早川SFPB)[再]
- 『完訳宝島』スティーブンソン(中公文庫)
パイレーツオブカリビアン、だけでなくハリウッド映画の冒険ものの原典原型源泉。- 『名画の言い分』木村泰司(集英社)
美術解説書というよりヨーロッパ歴史の解説書。カルチャーセンターの講演のような口調が気に入らないが内容はわかりやすい。【10月の読了本】
- 『さよならダイノサウルス』ロバート・J・ソウヤー(早川SF文庫)[再]
- 『松江の小泉八雲』岡戸武平(恒文社)
- 『芥川龍之介全集一巻』(ちくま文庫)
【11月の読了本】
- 『女嫌いのための小品集』パトリシア・ハイスミス(河出文庫)
- 『奴らは渇いている』(上下)ロバート・R・マキャモン(文春文庫)
スケールの大きい吸血鬼パニック小説だが、『屍鬼』の読後だったせいか期待したほどではなかった。- 『幽霊の2/3』ヘレン・マクロイ(創元推理文庫)
「このミス」何位かだけど、ミステリ的な部分より、出版業界人の描写が面白い。- 『夜歩く女』ヘレン・マクロイ(創元推理文庫)[再]
【12月の読了本】
120.74.180.236 本 805 0 1261184400 おしゃべりなレストラン 〜ア・ラ・カルト
- 『白夜』ドストエフスキー(角川クラシック文庫)
- 『逝きし世の面影』渡辺京二(平凡社ライブラリー)
明治以降の近代化によって失われた江戸期の「文明」の特に明るく魅力的な側面を、幕末から明治初期に訪日した西洋人たちの見聞記によって描き出した稀有の書。素晴らしい。往時の日本人は寅さんみたいな性格の人がうじゃうじゃいたらしい。- 『戦国の村を行く』藤木久志(朝日選書)
搾取する領主と虐げられる農民という教科書的な日本中世像を丹念な資料読みでくつがえす。もちろん戦禍は苛酷であるが、それを生き抜いて行く農民社会がそんな単純なわけがない。英雄たちの活躍ばかりが歴史じゃない。意外な話満載で面白い。私事でバタバタしているのだが、命の洗濯に青山円形劇場にて『おしゃべりなレストラン 〜ア・ラ・カルト リニューアルオープン 準備中〜』をいとこ夫婦と四人で観劇。日替わりゲストはROLLY。
21年目にして白井晃と陰山泰が抜け、高泉淳子ワンマンショーという感。新メンバー山本光洋と本多愛也ももちろん腕利きだが、さすがに去年に比べていささか厚みに欠ける感じは否めない。
来年以降、新顔ふたりが高泉淳子と対等に渡り合えるようになるやいなや。帰りは劇場近くのスペイン料理の店でひさしぶりに呑み会。と言っても4人でワインを白赤一本ずつあけたくらいだからたいしたことはない。鶏のレバーペーストと烏賊墨がグッド。
120.74.180.236 劇 804 0 1259024400 リーマン予想&ポアンカレ予想BS-hiのハイビジョン特集で「リーマン予想」「ポアンカレ予想」の数学の2大難問に関する番組を連続で見た。
感想は2ちゃんねる実況の以下のレスが端的に著わしている。
「さっぱり意味分かんないけど見てて時間の無駄って気はあまりしない」「リーマン予想」は素数に関する問題。「素数を使った関数ゼータ関数がゼロになる点は複素平面上の一直線上に現れる(適当なので間違ってたらごめん)」というものだが、番組で一番盛り上がったのは、大学のコーヒールームで初対面の数学者と物理学者の対話。最近の仕事に就いて聞かれた数学者がゼータ関数のゼロ点の間隔の式を見せると物理学者が「これはウラニウム以上の重元素のエネルギー量の式とそっくりだ」という。初対面の会話かい!
「ポアンカレ予想」は宇宙の形に関する位相幾何学(トポロジー)上の問題。150年解けなかった問題の証明がインターネット上に出てるという噂が立ち、世界中の数学者が半信半疑(というより一信九疑ぐらい)で検証してみるが間違いを見つけることができない。
執筆者であるロシアの学者グリゴリー・ペレルマンを招待して講演会が開かれ一線の位相幾何学者が参集する。ところがペレルマンの講演をだれも理解することができない。なぜなら証明は位相幾何学だけでなく微分幾何学や物理学を駆使して行われたからだ。
などと偉そうに書いてるが、私にはさっぱりわからなかった。わからなかったけど、超抽象である数学の究極の二つの難問に、どちらも物理学的世界が関わってくるのがなんだかわからないが面白い。
数学にしても物理学にしても人間が便宜的にカテゴライズしたもので、自然のありようの根本に迫っていけば、通底してくるのはあたりまえなんだろうけど、それにしてもね。
210.153.194.74 科 803 0 1257814800 「マクベス」を見に能登へ(2)
宿泊した「能州いろは」は外観は小さいが、館内は清潔な畳敷きでくつろげる綺麗な宿。
焼魚、温泉玉子、湯豆腐などたっぷりと和テイストの朝食をいただいた後、散策へ。
まずは噂の加賀屋を見学に。
外観やサービスはリンク先のサイトを見てもらうととして、ちょうど団体客がチェックアウトする時間で仲居さんがずらりといならんでお見送りをしている。気のせいか仲居さんも美人を揃えているようだ。なかでひときわ華やかな美貌が若女将であろう。さすがにいい着物を着ている。
広いロビーでは琴の生演奏。奥の土産物エリアへ行ってみると、これが下手なデパ地下よりよっぽど広い。そしていいものを置いている。これでは駅前がさびれるはずだ。
ふき抜けの回廊には人口滝を流し、の中央に空中に吊るされるようにガラス張りのバーがある。ゴージャスというか、知り合いのおばさんが言い間違えたゴージャラスという形容がよく似合う。 (ゴージャスとデラックスとデンジャラスが混じってしまったらしい)
一角には昭和天皇&香淳皇后、天皇皇后両陛下、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻、紀宮殿下が宿泊された際の写真がパネルになっている。芸能人の写真を麗々しく飾っている木っ端ホテルとは格が違うわけですな。写真には皇族の方を満面の笑みで案内する紳士が。昨夜蛇の目寿司でお話したあの社長ではないですか!
加賀屋を出て、次は真向かいにある「辻口博啓美術館ルミュゼドゥアッシュ」に。
辻口は地元出身のパティシエ。ご本人のは美術品としてはお笑いだが、漆器工芸家「角偉三郎」の美術館が併設されていてこちらはなかなか素晴らしい。
隣接されているカフェでコーヒーとケーキ、じゃなかったスイーツをいただく。たたずまいから一つ千円以上とかと思っていたらそんなこともなく、地方ならではのリーズナブルなお値段。味はもちろん大変結構でした。コーヒーも旨い。
昼は七尾の食彩市場で海産物をたっぷりとるつもりだったが、加賀屋の土産物屋で意地汚く試食しすぎたのとスイーツのおかげで、あまり腹がへらない。焼き鯖と温泉玉子を日本海を見ながら食するだけにする。
帰路:食彩市場→能登空港→羽田。
120.74.180.236 旅 802 0 1257814800 「マクベス」を見に能登へ(1)
能登演劇堂で無名塾公演「マクベス」を見てきました。
羽田→能登空港→和倉温泉。旅館「能州いろは」に荷物を置き、温泉町をひと巡り。
七尾中島の能登演劇堂は650席ほどの劇場だが、背後が直接深い森というロケーションを生かして、舞台後壁の大扉が大きく開いて森に続くという画期的構造を持っている。
開演早々、早速大扉が開き、遠くの森から本物の馬に乗って騎士たちが登場する。
ラスト近く例の「森が城に押し寄せる」シーンでは、森深くで実際に火を焚いた白い煙が上り、生々しい樹の香りが客席まで立ちこめる。大勢の地元のボランティアによるエキストラが支えた「森」が客席に向かって実際に押し寄せてくる。
映画やTVなどでは到底味わえない演劇ならではのスペクタクルを満喫しました。
マクベス劇としては非常にオーソドックス。76歳の仲代達矢は思ったより声も出ていて無難なマクベスだが、最後の殺陣は途中から兜で面を隠してのボディダブル。さすがに年齢的なものを感じる。同じマクベス劇の「蜘蛛巣城」の三船敏郎のような内側から悪がほとばしり出てくる迫力は望むべくもないが、その分人間的優しさや弱さが表現されたマクベスだった。
若村麻由美も迫力はもう一つだが、夫を暗黒面にひきずりこむ美しさと官能性は十分。私の好みもありますが、妖艶なマクベス夫人は演劇的華がありました。
マクベス観劇後、和倉に戻り「蛇の目寿司」で夕食。解禁したばかりのナマコはじめ、ブリもトロも甘いシャリも旨い。安い。
一緒にいった町の名士っぽいおじさんたちとマクベスの話を。若村麻由美さんは稽古期間中も上演期間中も町の清掃のボランティアをしてるそうな。先客が出ていったあとで、蛇の目寿司の主人が「今のは加賀屋の社長だよ」と教えてくれた。加賀屋とは和倉ではもちろん日本一とも言われる旅館。
明日はのぞくだけでものぞいてみよう。
120.74.180.236 劇 801 0 1257642000 記憶スケッチ 「ウサギ」「黒柳徹子」mixiのアプリ「記憶スケッチ」。2値しか使えないシンプルな絵描きツールを使って、ランダムに出たお題を何も見ずに描く、というのがルール。
早速描いてみたのが次の2点。実は最初に出たお題は「稲葉浩司」だったが、半年ぶりでそれは無理!と思い、パスしました。
そもそも絵を描いたのが半年ぶりくらいの上に、はじめてのアプリで筆がうまく動かずあせりました。
しかし、記憶だけで描くとなると、実際に見たりさわった兎はもちろん思い出すけど、やはりデューラーやシートンや手塚治虫(W3)の印象深い兎の絵の記憶がたよりになりますなあ。
黒柳徹子さんの若く美しいときも知っているのに、絵は妖怪のようになってしまいました。すみません。着物は左前だし。
120.74.180.236 絵 800 0 1257555600 川辺の鳥たちと塔ならんで日向ぼっこ。
鷺はもう一羽いる。つがいだろうか。
鴨はもっとうじゃうじゃ、鴨南蛮100人前くらいいる。
目測でその高さ現在200m。
最終的には630mを超すらしいから、当然この画像には収まらなくなる。
120.74.180.236 獣 799 0 1257296400 文化の日はクリムト・円空・運慶NHK-BShiは終日美術の巨匠特集。さすがは文化の日。
と言っても一日中TVにへばりついているわけにもいかないので、クリムト、円空、運慶のみ視聴。
【クリムト】
日本人でちょっと美術に興味のある人なら誰が見ても琳派の影響を感じ取れる。ウィーンの博物館の学芸員がちゃんと言及していたので、日本人としてはほっとしたが、考えてみれば、日本美術はすばらしいが、世界に影響を与えられるのは近世以前のみなのだよなあ。
【円空】
円空、7歳で母を失い、仏門に入る。32歳にして仏像を彫り始め、諸国を放浪する。30年間に生み出した仏像は12万体と伝えられている。還暦を迎え故郷の寺に三体の仏を寄進したのち、数年五穀を絶ちて自ら墓に入り即身成仏する。
円空にとって彫仏は芸術などではなく自己実現なんてしゃらくさいものでもなく、仏門の者としての行だったのだろうと思う。
ふと思ったのだが、人が小声でしゃべっていることを表わす「ブツブツ」という擬音語。あれは「仏々」なのだろうか。
【運慶】
高野山の八大童子像など、めったに見られないのが見られたり、東大寺阿行像の制作過程の解明など、実にありがたい番組だった。
しかし運慶ファンだという作家藤沢周をはじめとする指揮者や現代美術家等の仏像素人のなんの意味もない長談義には実にいらいらさせられた。いらない、時間がもったいない。もっと修復過程を見せてくれ。
滝山寺の三像(聖観音菩薩立像・梵天立像・帝釈天立像)と円城寺の大日如来座像は一度は生で拝顔したいものである。
120.74.180.236 美 798 0 1256864400 初冬の気配/芥川/平成の毒婦/胃カメラ120.74.180.236 本 797 0 1254618000 昭和記念公園のカマキリとコスモス
- 10/25
- つい2週間くらいまでは、数え切れないくらいいた土手沿いの川辺の黒弁慶蟹。土曜日は一匹しか視認できず。ジョギングの楽しみが一つ減った晩秋の午後。
と思ったら、夏の間はさっぱり見えなかったユリカモメが今日は何十羽も羽根をやすめていた。鷺はアオサギとシロサギが一羽ずつ。河鵜が二羽。- 東の空には工事中の新東京タワーが着々と背丈をのばしている。目視で200mに達したくらいだろうか。
初冬の気配であります。- 10/26
- 電車で隣り合わせた中年男性の読んでる本の章題が目に入った。「できる子供に育てる十二の極意」。眉間に皺がより読んでる表情がけわしい。余計なお世話だろうが、このおじさんの子供はなかなかしんどそうである。
- 10/27
- ちくま文庫の「芥川龍之介全集一巻」を読了。「鼻」「芋粥」「羅生門」とかあらためて読み返すのもいとおかし。初読の中編「偸盗」が収穫。芥川がアクション書くのがうまいとは。黒澤明への影響を「藪の中」「羅生門」より色濃く感じる。
- 10/27
- 明日のワイドショーは男四人殺しの詐欺女の話題がトップだと思うが、偶然にも今日、風呂で読んだ根岸鎮衛「耳嚢」の一話が砒素で夫を殺そうとする毒婦の話。まあ、こちらは未遂で終わり「おもしろきことゆえここにしるす」と〆られていた。
- 10/28
- 定例の胃内視鏡検査。はじめて呑んだのは10年前、4回目ともなると慣れもあり、機器の直径も細くなり、最初のような恐怖感や苦痛もない代わり、エロ触手に襲われる美少女になった妄想にも無縁。まあ、結果異状なしだったのでこんな与太も書いていられる。
- 10/29
- そうか、本は地域通貨と化しているのか。目から鱗が落ちる。では今は江戸末期の改鋳ラッシュというところだろうか。→松岡正剛の千夜千冊〜本の現場
10cmを超すカマキリを見たのはひさしぶり。写真を撮るより、もっと観察しとくんだった。記録より記憶とは思うのだが。
花も多いが、カメラをもつ人も負けずに多い。あと、犬もいっぱい。
120.74.180.236 獣 796 0 1254445200 キングコング(ピーター・ジャクソン)
TVでピーター・ジャクソンの「キングコング」を見た。
ジャングルの狭い道での恐竜との遭遇、ヒロインをめぐるT-rexとコングの対決、巨木の橋を根扱ぎにして追跡隊を崖下へ放逐、等々元祖オブライエン版(1933)へのオマージュ満載も好ましい。
もちろんCGやセットを含めた描写力は、元祖はもちろん1976年のギラーミン版よりも桁違いに素晴らしい。
が、いかんせんコングがかっこいいのはいいのだが凛々しすぎる。キングコングは多くの暗喩を込めて好色な目でヒロインを見つめなければいけません。
元祖の登場シーンでは、悲鳴をあげるヒロイン、フェイ・レイのカットの直後、コングのギョロ目がアップになるのだが、この目が実に好色な狒々親父そのものなのだ。
1976年版でも、半裸でびしょぬれのジェシカ・ラングを手の平に乗せたコングが吐く息で乾かし、ジェシカが恍惚となるシーンがある。映画としての評価は低いようだが、コング映画の本質はよくわかってらっしゃるようだ。
ひきかえ、最新版コングのナオミ・ワッツを見つめる目は、ちょっとすねてつっぱった少年の目ですな。リアルで健全ですがちと物足りない。
新ヒロイン、ナオミ・ワッツは撮影当時38歳とはとても思えぬ美しさ。エロさではジェシカ・ラング、色気ではフェイ・レイにはかなわないが、親近感のある上品なエロチシズムで十分ヒロインでありました。
120.74.180.236 映 795 0 1254013200 朝青龍は天才だった
大相撲秋場所千秋楽優勝決定戦で朝青龍が白鵬をすくい投げでくだして24回目の優勝。
朝青龍が右下手を深く取り直したとき、あれれと思った。あの体勢なら右の前みつをあおって左上手から攻めるのがセオリーのはず。私が妻に偉そうに説明してると解説の北富士氏も同じことを言っていた。
不利になるかと思ったが、逆をついて見事に下手投げからすくって勝った。私も北富士も天才ではないということだ。こちらはど素人あちらは元横綱だけど、朝青龍に及ばなさ加減では大差ない。
北富士によれば、白鵬も予測できなかっただろうということ。あとから考えれば、朝青龍は一見自分が有利な体勢でも、食い下がったままだと徐々に白鵬に逆転されることを肌で感じて、思い切って勝負に出たのだろう。だが、普通、感じただけではこわくて自分有利の体勢からは思い切ったことはできないものだ。
できるのは、天才です。
120.74.180.236 闘 794 0 1253926800 カムイ外伝@ビッグコミック
9年ぶり掲載の「カムイ外伝」目当てで「ビッグコミック」を買った。漫画雑誌を買うのも9年ぶりだ。(画像はカムイ外伝新作扉絵) ビッグコミック一冊に料理がテーマの漫画が3本もあった。アメコミに料理漫画があるとは思えない。
それにしてもどの作品もモノクロで旨そうに食材を描く技術はたいしたもんだ。スクリーントーンマジックか。
水木しげるが「遠野物語」を描いている。アシスタントは使っているのだろうが絵が変わっていないのに驚嘆。
逆に「ゴルゴ13」は話はあいかわらず面白いが、絵が劣化している。線にキレがない。抜けがない鈍重な線になってしまっている。スタッフが変わったか、同じ人でも老化したか。それほど好きな絵ではないが、いかにも「劇画」臭い絵が見られなかったのは残念だ。
120.74.180.236 漫 793 0 1253494800 殿様蛙vs黒弁慶蟹
江戸時代の人よろしく、(たいした距離ではないが)浅草寺まで歩いていってみたのだが、その途中、隅田川沿いの水辺にトノサマガエルを発見。
よく見ようと顔を近づけると、私の動きに驚いたのか、カエルではなく、そばにいたクロベンケイガニが横歩きに逃げ、なんとトノサマガエルの顔を踏んづけたではないか!
本来なら「この無礼もの!」と問答無用で手打ちになってもしかたのないところだが、鷹揚な殿様だったようでみずから一歩お退きになっただけでおとがめのご様子はない。
そのままトノサマガエルもベンケイガニも鼻つきあわせたまま微動だにしない。
まあ、悪いのは驚かせた私であるので、写真を撮ると早々に御前をひきさがった。お二方とも失礼いたしました。
120.74.180.236 獣 792 0 1253322000 東京ガールズコレクション
妻と娘とBSハイビジョンで東京ガールズコレクションを見ていた。ファッションもさることながら、長谷川潤が美人だ、山田優がスタイルいい、香里奈は素敵だなどとワイワイ言っていたら、、ラストでスーパーモデル富永愛が登場。 うーむ、高校野球にイチローが出てきたような。「ファッション通信」で他のスーパーモデルと一緒に見ているときはそれほど感じなかったが、ものすごいオーラを発してるのが画面上からでもわかる。
他のTGCのモデルさんたち(美貌は上でも)のゴージャスさがなんか安っぽく見えてきた。本物はすごい。
(画像は当日のものではありません)
私の感想だけではなんなので、傍証として2ちゃんねるの当該番組の実況スレを検索したら、該当時間のレスはこんなんでした。↓
120.74.180.236 美 791 0 1252976400 ブルー・ワールド
783 :衛星放送名無しさん :2009/09/19(土) 22:26:07.18
富永さんかっけえ
787 :衛星放送名無しさん :2009/09/19(土) 22:26:17.15
レベルが違いすぎだろ
788 :衛星放送名無しさん :2009/09/19(土) 22:26:22.18
余裕だな
790 :衛星放送名無しさん :2009/09/19(土) 22:26:19.31
エラが・・・
791 :こころ :2009/09/19(土) 22:26:28.71
まんが道場の人??
794 :衛星放送名無しさん :2009/09/19(土) 22:26:30.22
今まで出まくってたモデルたちのしょぼさが際立つなあ
795 :衛星放送名無しさん :2009/09/19(土) 22:26:31.41
鳥肌が立つな。見てはいけないものを見たときのように
798 :衛星放送名無しさん :2009/09/19(土) 22:26:38.18
怖いよw
799 :衛星放送名無しさん :2009/09/19(土) 22:26:39.59
格が違った
804 :衛星放送名無しさん :2009/09/19(土) 22:27:04.97
別もんだな富永ロバート・R・マキャモン『ブルー・ワールド』(文春文庫)読了。
マキャモンはスティーヴン・キングとデーン・クーンツの中間ぐらいのテイストのホラー&サスペンス小説作家。
キングほどくせがなく、クーンツほど通俗ではなく、ストーリーテリングのうまさは二人より上ではないかと思う。
日本では思ったより人気がないのか代表的な長編が絶版で読めないのが困ったものである。
元々長編作家だと思っていたが、本書は短編集。短編は寡作ながら、なかなかうまい、こじゃれたホラーが楽しめるが、やはり一番面白いのは、長めの中編というかほとんど長編といっていい長さの表題作「ブルー・ワールド」。
ヒロインはバリバリのポルノ女優。彼女に恋してしまうのが敬虔なカソリックの神父。もちろん童貞。連続殺人鬼は出てくるサスペンスではあるが、ホラーというよりべたべたのラブ・ストーリーである。心理描写が実にうまい。のちの傑作長編「魔術は夜ささやく」の前哨的作品として読んでも面白い。
表題の「ブルー・ワールド」はヒロインの故郷の黄昏時の光景の記憶なんていう説明がありますが、まあヒロインの住む世界の暗喩なんでしょうな。ポルノ映画を昔はブルーフィルムなんていいましたから。
しかし、なんでHな映画が「ブルー」なんだろう?日本人の感覚だと、どう考えても「ピンク」だと思うのだが。
で、ググってみると感覚の問題ではなく、米国で法律上その手のフィルムはブルーに着色することが義務づけられていたらしい。
うーむ、これなら間違えてとんでもない映像をお堅い席で上映してしまうなんていう定番のシチュエーションは避けられるというものだ。
ヤザワ某が宣伝してた「ブルーレイ」はもちろんHなディスクではない。
120.74.180.236 本 790 0 1252368600 鬼怒川、ライン下りとソフトクリーム
今年の夏休みは短めにしたので、混雑必至の9月の大連休(シルバーウイークとか言うそうな)前に温泉にでもということで、6〜7日の日月に一泊で鬼怒川に温泉旅行。
鬼怒川の街は、なんだかそこら中に鬼の像が建てられている。造型も悪くはない。まあ、どこでも一緒で芸のないゆるキャラよりはよほどよい。
宿は、できたばかりの大吊り橋のすぐそばというロケーションのホテルサンシャイン。13階という部屋だったので眺めは良い。
天気は晴朗、のんびりとすごさせてもらった。温泉地はあまり繁盛しているとはいいがたいが、日光の世界遺産の影響か、外国観光客もそこそこ見かける。
昼食は二日とも栃木牛を出す店。
二日目は龍王峡の「わらび」で大田原牛ハンバーグと鬱金(うこん)豚ソテー。
「わらび」はたまたま前日山下真二がTVで紹介していたので、えらく混んでいた。番組で褒め上げていたほどではないが、まずまずの味。
それより一日目に昼食を取った、鬼怒川駅前の「ライフ」のローストビーフランチが安くてうまい。
駅前ではもう一つ小さなみやげもの屋でやっているソフトクリームが美味。バニラと「とちおとめ」のミックスがおすすめです。
120.74.180.236 旅 789 0 1252109400 西本願寺10年大修復NHKハイビジョン特集「世界遺産西本願寺10年大修復を追う」
京都の世界遺産・西本願寺の御影堂の10年をかけた大修復の記録。
屋根を支える曲線を描く材木は、その通りの曲がりを持つ原木を四年がかりで全国の山から探し出す。
材木を正確に削るチョウナの美技。
白壁の土は信徒が奉納した藁をつきまぜて3年寝かせる。
寝かせることにより藁が微生物に分解されて細かく均一な繊維になり、ひびわれを防ぐ。
土を塗る際にも、藁の長い繊維を斜めに漉き込み、ひび割れ防止とする。
漆喰は職人の手造り。
ツノマタという海藻から糊を作り、麻の繊維を混ぜ、石灰に練り込む。均一になるよう何時間も足で踏んで揉みこむ。更に和紙を煮たものを混ぜこんで白さを出す。
瓦を作る土は全国5箇所の土をブレンドする。筒状に練った土は紐のように結ぶことができる。ひび割れもちぎれもしない。
収縮乾燥を計算にいれ13%大きく作る。形ができてから焼く前の乾燥に一年かける。
一日三度見回り、手でさわった冷たさの加減で土中の水分のかたよりを判断し、位置や置き方を変えて均一な水分の状態にしてゆく。
一睡もせずに三日かけて焼き、四日間放置して冷やしたあとに窯をあけると、銀色に輝く巨大な鬼瓦が姿を表わす。
120.74.180.236 美 788 0 1250986200 世界陸上マラソン日本団体銅メダル日本選手は佐藤敦之の6位入賞がトップなのに、なぜに銅?と思ったら、
- :ケニア
- :ケニア
- :エチオピア
- :エチオピア
- :ケニア
- :日本
なんですね。そりゃあ、日本3位だわ。
というか、上位5人が全部アフリカ勢での6位入賞ってすごい!
100m、200mのファイナルに入ったぐらいすごいよ。
120.74.180.236 ス 787 0 1252418400 ジュリー・アンドリュースの魔法
海苔Pだか唖汚だか知らないが、小汚い人間の起こした薄汚い事件の報道を見たり聞いたりして汚れた眼や耳を清めるのに、ちょうどいい番組をNHK-BSでやっていた。
ザッツ エンターテイナー!よみがえる伝説のステージ−ジュリー・アンドリュース
1993年の日本公演を当時まだ珍しかったハイビジョンで撮影したクリアな映像。ジュリー本人と故アンドレ・プレビンの指揮&ピアノとNHK交響楽団のフルオーケストラというシンプルにして贅沢な構成。
1935年生まれだから58歳のステージのはずだが、信じられない声域と美貌とメリー・ポピンズのまま変わらぬ体形。サウンド・オブ・ミュージックやメリー・ポピンズのナンバーはもちろんだが、ガーシュインのメドレーとリチャード・ロジャースのワルツメドレーが圧巻。歌の合間にほんの少しだけ入る語りが英語の教材のような美しさだ。
一昨年あたりのインタビュー映像もあったが、70歳過ぎとは思えぬ美しさを保っていて、それ以上になんとも聞き易い美しい英語も健在。世界中の英語国民がみんなこういう英語をしゃべってくれたら、日本人もヒアリングに少しは苦労しないで済むだろうと思われる。
今は声帯を痛めて歌手は引退しているが絵本や自伝を出版して、子供たち相手の講演をしているというからイメージのまんまである。一緒にプロデュースしている娘さんというのが、普通の元気なおばさんでスーパースターなおかあさんと同い年のように見えるのが(母親の方が若すぎるのだが)気の毒なような微笑ましいような。
心まで清められたような気分だが、次のライザ・ミネリのショーでちょっと俗な世界にもどしてバランスを取る。といってもこちらもスーパーなステージであることは変わらない。
120.74.180.236 TV 786 0 1249737758 Opera 導入テキストエディターをWZから秀丸に変えたついでにメールソフトも秀丸メールにしたことは7月20日に書いた。
ブラウザの方は長年IE6のままだが、特に不自由も感じず使ってきた。
ところがYoutubeやTwitterなど、よく使うサイトで「
InternetExploror6には対応しなくなりますのでバージョンアップしてください」などという失礼なメッセージが表示されるようになった。こちらはOSがWindows2000なので、バージョンアップしようにも最新のIE7や8には対応していないのだよ。
Win2Kはあと2年がんばるつもりなので、選択肢はIE以外のブラウザしかない。
普通はFireFoxとなるのだろうが、うちの環境では重くなることは間違いない。
ということで、タイトル通りOperaを導入することにした。
導入は別に難しいことはない。公式サイトでダウンロードしてインストールするだけ。あっというまに終わる。
動かしてみるとレンダリングは綺麗だし、動作も軽い。タブ、スピードダイヤル、マウスジェスチャーといったIE6にはない機能も便利だ。
IEのお気に入りをOperaのブックマークにインポートすることも簡単にできるが、これはOperaのインポート機能を使うより、複数のブラウザのブックマークの同期を取る専用ソフト「BookSync」を使うことをお勧めする。
Windowsのスタートメニューのお気に入りを編集して、BookSyncで同期を取っておけば、スタートメニューからサイトを開くのも、Operaのブックマークで開くのも同じ感覚でできるのでストレスがない。
ただしOperaはIEはもちろんFireFoxに比べてもシェアの小さなマイナーなブラウザゆえのデメリットもある。
その最大のものは「Googleツールバー」がOperaに対応していないことだ。他の諸々の機能はどうでもよいが、検索時に履歴や補完候補を自動でプルダウンしてくれる機能は重宝していたのでないのは非常に痛い。
Operaのウイジェット版「Googleツールバー」もあるが、肝心の検索補完機能がないので意味がない。
しかたがないので、Googleのアカウントを取って履歴を使えるようにし、Operaのスピードダイヤルに登録してワンキーで飛べるようにした。常に検索ウインドが出てるより一動作だけ多いが、なんとか同じ機能を使えるようになった。
もう一つアンチウイルスソフトのAVGのリンクスキャン機能もIEとFireFoxにしか対応していないが、これは取りあえずはどうしようもないので、おいおい方策を考えることにする。
次はそろそろADSLから光に切り替えることにしよう。いまさらだけど。
127.0.0.1 電 785 0 1249478509 写楽〜幻の肉筆画江戸東京博物館「写楽〜幻の肉筆画」展に行って、一部で話題の東洲斎写楽の肉筆扇面画を見てきたけど、う〜ん、絵としては同時に展示されていた大首絵の方がはるかにいい。例えば「二代市川門之助の伊達与作」のストイックな線にじーっと顔を寄せて(近眼なので)見るとみなぎる力に圧倒される。
しかし写楽よりも、私は個人的に好きな鳥文斎栄之と菊川英山の逸品が見られたので大満足。
栄之は優美な立ち姿の「略三幅対女三之宮」。栄之は元々五百石取りの旗本。今でいえば事務次官クラスが萌え絵を描くようなものか。今よりそのへんはもっと大らかだったのかもしれない。
それより更に絶品なのは菊川英山の「風流夕涼三美人」。色っぽいのなんの。保存状態もいい。会場ひとまわりしたあと、二度も見にもどってしまった。
喜多川歌麿「歌選恋之部深く忍恋」「錦織歌麿形新模様浴衣」、柳川重信の「大阪新町ねりもの」(遊女のコスプレ)のシリーズ4点、葛飾北斎の「百物語」が5点。
他にも鈴木春信、鳥居清長、歌川国貞、歌川国芳、渓斎英泉といった有名どころの保存状態の良い逸品が揃っているので、浮世絵の好きな人は見逃す手はない。
127.0.0.1 美 784 0 1249392068 夏休みはホラー本とか恐竜本とか
今年の夏休みは特に予定もないので、毎日2kmほど走る以外は家にこもって積ん読本の処理をしている。今は小野不由美の「屍鬼」。夏らしくホラーなのはよいが、ハードカバー2段組み上下巻合わせて1250頁1.5kgというのは嫌がらせとしか思えない。
父親に頼まれた足立恒雄の「無限の考察」が届いた。傘寿を越して整数論を読もうというのはどういう心境か。渡す前にちょいと覗いてみたが、なかなか面白そう。心境もなにも単に面白いからに違いない。
こちらは本を読むのも根気がないので、数十頁も読むと一息いれたくなる。これも以前買って封をあけていなかった「Encyclopedia Prehistorica Dinosaurs Pop-Up」を取り出してながめる。
題名はいかついが子供むけの「恐竜の飛びだす絵本」だ。これがよくできていてなかなか楽しい。(上の画像参照)
文章も子供向けの私でもなんとかわかる英語ながら、内容は結構しっかりしていて面白い。というか私が幼稚なんだろうが、まあいいや。
開くときに、小さくガォーなどと言っているのだから幼稚なことは間違いない。
127.0.0.1 本 783 0 1248702747 宮里藍のキスゴルフに興味は全くないんだけど、写真がかっこいいので貼っときます。
127.0.0.1 ス 782 0 1248529858 1月〜7月の読了本【1行感想追加】今年も半分過ぎたので、読んだ本をまとめてみた。[再]は再読了。
【1月の読了本】
- 『蒼い描点』松本清張(新潮文庫)[再]
火サス土ワイの原点。最初にこの構造を造ったのはすごい。- 『蟹工船・党生活者』小林多喜二(新潮文庫)
- 『岩佐又兵衛―浮世絵をつくった男の謎』辻惟雄(文春新書)
牛若丸の母の白き柔肌に散る血飛沫の美しさ。【2月の読了本】
- 『ファウンデーションと地球(上下)』アイザック・アシモフ(早川SF文庫)
ファウンデーション完結!だったのか?あのロボットたちの末の物語が感慨深い。- 『金剛石のレンズ』オブライエン、フィリッツ=ジェイムズ(創元SF文庫)
- 『太陽の簒奪者』野尻抱介(早川JA文庫)
ストーリーは他愛ないがハードSFらしいディテールが楽しめる。- 『室町お伽草紙』山田風太郎(新潮文庫)[再]
巨匠練達の域のエンターテインメント。ストーリー展開は闊達自在。- 『影を踏まれた女』岡本綺堂(光文社時代小説文庫)[再]
秀逸の怪談集。「一本足の女」は官能的に不気味な傑作。「猿の面」もそくそくと怖い。【3月の読了本】
- 『半七捕物帳(一)』岡本綺堂(光文社時代小説文庫)[再]
This is the Edo.【4月の読了本】
- 『ボヴァリー夫人』フローベール(新潮文庫)
緻密な心理描写、骨太の性格造型、冷徹な女性観察。- 『しゃぼん玉』乃南アサ(新潮文庫)
泣かせの技巧の冴え。- 『見知らぬものたちの船』ボブ・ショウ(サンリオ文庫)
80年代の宇宙船ビーグル号の冒険。どちらかというと80年代の比重が大きい。- 『推理小説作法』江戸川乱歩(光文社文庫)
- 『盗まれた街』ジャック・フィニイ(早川SF文庫)[再]
乗っ取り侵略ものSFの元祖。派手な道具立てがないところが好ましい。【5月の読了本】
- 『マグダラのマリア』岡田温司(中公新書)
図版多し。それにしてもキリスト教はなぜにそれほど女がこわいか。- 『恐怖の誕生パーティ』ウイリアム・カッツ(新潮文庫)[再]
愛する完璧夫に過去がない?!定番にしてB級ハリウッドテイストだがうまい。- 『マンハッタン連続殺人』ウイリアム・カッツ(サンケイ文庫)[再]
連続殺人鬼を追う実直な刑事。定番にしてB級ハリウッドテイストだがうまい。- 『高校殺人事件』松本清張(文春文庫)[再]
ですわ調の女子高生探偵が懐かしくて再読。- 『梅雨と西洋風呂』松本清張(光文社カッパノベルス)[再]
風俗嬢にはまる中年男の身も蓋もない心理描写がリアルこの上ない。- 『火神被殺』松本清張(文春文庫)[再]
- 『思ひ出の記』小泉節子(ヒヨコ舎)
小泉八雲の未亡人が夫の思い出をてらわず語る。「愛という言葉を使わず愛を書け」と曹操に言われたわけでもないだろうが、愛という言葉を使わずに伝わってくるのは愛情です。【6月の読了本】
- 『新編日本の面影』ラフカディオ・ハーン(角川ソフィア文庫)
その夫が愛した旧き日本。- 『二銭銅貨・パノラマ島奇談』江戸川乱歩(講談社文庫)[再]
「心理試験」「陰獣」「D坂の殺人事件」- 『白髪鬼』岡本綺堂(光文社文庫)[再]
表題作は怪異なことが起っているかどうかさだかでないのに、ラストの1行でこの怖さ。- 『災厄の町』エラーリー・クイーン(早川ミステリ文庫)
「配達されない三通の手紙」というタイトルの方が有名。評判ほどではない。- 『単純な脳、複雑な「私」』池谷裕二(朝日出版社)
流行の脳科学のベストセラー。評判通りの面白さ。昨今の脳科学ブームは一時のなんでも心理学ブームを連想するが、少なくとも本書はそんなきわものではない。あのうさんくさいクオリアもさらりと出てくるだけだし。【7月の読了本】
127.0.0.1 本 781 0 1248097799 秀丸エディター/秀丸メール
- 『孤島の鬼』江戸川乱歩(創元推理文庫)
大乱歩最高の長編小説だということだが、まあまあか。フリークスの描写は面白いが、いまとなってはさほどショッキングというわけでもないし。- 『しあわせの書?迷探偵ヨギガンジーの心霊術』泡坂妻夫(新潮文庫)
この本に出てくる奇術を家族にやってみせたらうけました、というかこわがってた。- 『ワーニャおじさん』アントン・チェホフ(岩波文庫)
短いし簡単に読めるが、何度も読むと何度も発見があります。- 『大誘拐』天藤真(角川文庫)
面白さだったら日本ミステリの全歴史の中でも十本の指に必ず入る。間違いなし。- 『カムイ伝講義』田中優子(小学館)
- 『ブルー・ワールド』R・R・マキャモン(文春文庫)
土手をジョギングでどっぷり汗かく以外は本読むだけの連休。
ただぶっとおしで読み続ける集中力がないので、途中途中でソフトの移行などをする。
先週はテキストエディターを10年ぶりにWZ-Editorから秀丸エディターに変えた。秀丸エディターはインターネットも普及していない時代にパソコン通信のNIFTYのアカウントで購入した。10年も使っていないしパスワードも忘れていたし、再購入しようと思ってメールすると、NIFTYのアカウントはちゃんと生きていて、メールアドレスだけ変えてくれ、即使えた。バージョンアップごとにお布施を要求するソフトばかりの時代に申し訳ないくらいである。
折角なのでメールソフトもいまさらだがOutlookExpressから秀丸メールに変更。秀丸エディターの正規ユーザーはそのまま無料で使えるのだが、決しておまけというクォリティではない。
残念ながらOutlookExpressからの移行はワンタッチとはいかなかった。
まずメールアカウントはiafファイルのインポート機能がないので、手打ちするしかない。まあ、これは少ないからいい。(パスワードを忘れてて冷や汗かいたが)
メールデータもOutlookExpressのDBXファイルを一発インポートというわけにはいかない。1メール1ファイルのeml形式にしなければいけない。OutlookExpressのメール一覧を全選択してエクスプローラにD&Dすればいいのだが、フォルダが沢山あるので結構大変。さいわいOE2(OutlookExpress-To-OE5/6MultiConverter)というツールを見つけたのでこれでemlファイルに一発変換。これをフォルダごとに秀丸メールにインポートした。まあ、ひまつぶしにはちょうどいい。
今日から使い始めたが、OutlookExpressよりはるかに軽快で機能もかゆいところに手が届く感じでなかなか快適。もっと早く変えとくべきでありました。
127.0.0.1 電 780 0 1245937800 チョコレート・ファイター
新宿ピカデリーで『チョコレート・ファイター』を見てきました。
いやあ、これは面白い、というか、すごい!アクション映画好きは必見!!
あの「マッハ!」「トム・ヤム・クン」のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督作品の新作の主人公は、なんと女の子!
能天気なジャッキー・チェン映画とは違って、ストーリーはやや重い。なにしろヒロインはかわいくて強いが、知恵遅れ(サイトだと自閉症だが映画では「脳に障害」だった)という設定だ。そのうえ愛する母は元バリバリのマフィアで今は極貧で白血病。そんなこんなで前半30分はリアルなノワール風味だが、このパートもなかなか良い。後半のアクション爆発に向けてもっと抑えても良かったくらいだ。
肝心のアクションのものすごさはリンク先のトレイラーを見ればわかる。
マッハのトニー・ジャーばりのテクニックとジャンプ力だが、女の子ならではのしなやかさが加わって、その武闘は美しくかつ壮快。
路上でからんできたチンピラと。製氷工場でおっさんたちと。同じく肉解体場で包丁人たちと。宿敵のマフィアと戦う前に3回も半端ないアクションシーンがある。
マフィアたちとのクライマックス決戦はさらにヒートアップ。最後の最後でビルの壁面を使ってのアクロバティックなシーンがあるが、まったくワイヤーもCGもトランポリンもなしで撮ったというのだから、もう言葉がありません。
敵も猛者ぞろいだが、一番の強敵はブレイクダンスのような変な技を使う少年。ビクビク変な動きがあきらかにチック症だ。チック症対自閉症。日本だと文句をつけてくる馬鹿が出そうなえぐい設定だが、これが面白い。
ヒロインのゼン(禅)を演じる"ジージャー"ヤーニン・ウィサミタナンは今年24歳だというが、どうみても16、7歳にしかみえません。
あと、ヒロインの実の父親の日本ヤクザ役に阿部寛。なかなかかっこいい役。
東京では渋谷で1館だけしばらくやっているようだ。もう一回行きたいなあ。
127.0.0.1 映 779 0 1244382556 ターミネイターから人工知能へ『ターミネイター』は一作目が一番いいな。二作目が評判いいが、感動作っぽいつくりがちとうっとおしい。
最近ひまなときや就寝前には人工知能を妄想している。もちろん精密なものではなく、書くはずのない小説のネタ程度だが。刺激と反応と閾値。優先順位の累積。命令の整列。三原則の要素分解。ZZZzzz....
当然、人工知能は周辺機器とのフィードバックを変数として扱い情報として記憶するだけでなく、それによってプログラム自体を修正したりモジュールを追加したりできなくてはいけない。
だから人工知能の容れ物としてのボディも当然妄想する。人工骨格。人工筋肉。人工皮膚。ただ空隙が空気ではつまらない。充填物=ロボットの血を夢想すると妄想がとめどなく広がっていく。
そういえば、映画『エイリアン』に登場するアンドロイドは白い血を持っていた。私の妄想とはちと方向が違うが。
127.0.0.1 映 778 0 1244209675 足利事件とDNA鑑定なぜか「DNA鑑定を過信してはいけない」みたいな論調が多いのは、おかしい。
当時のDNA鑑定では「800人の1人程度の確率で一致した」という結論がでただけで、一致していないのを一致したと誤ったのではない。当時の科学的情報としては正しい。
当時の精度だと、1億人の日本人のうち12万人は菅家さんと一致するのだ。ちょっと大きい学校なら一人二人は一致するだろう。市内程度のエリアで考えても数十人は一致する(犯人の可能性のある)人間はいただろう。その数字は提示されているのだから、それをどうとらえるかが司法の判断だ。
「当時裁判員制度があったら、私たちはDNA鑑定をうのみにしていいのだろうか」と、頭に虫がわいたようなことを言っているマスコミが多いが、「800人に1人の一致」を証拠の一つとして判断しなければいけないというだけの話しなのだ。難しいには違いないが司法判断とはそうしたもんでしょ。
今の技術なら簡易検査でも数万人に1人、厳密な検査なら1兆人に1人の確率まで精度は上がっている。検体の取り違えなどのおそれを考えて複数回の再検査は必要だろうが、(DNA検査だけが理由の)冤罪の可能性などはほぼないと言っていいのではないだろうか。
逆に言えば、進歩したDNA鑑定だからこそ、冤罪を晴らせたのだとも言える。いくら自白を強要したとしてもDNA不一致という科学的事実は覆せない。
司法関係が反省しなくていけないとすれば、DNA鑑定を採用したことではなく、その後技術が進歩しているのに速やかに再鑑定しなかったことである。
わたしら一般人へのこの事件の1番の教訓は昔も今も「パチンコなんぞに熱中して子供をほったらかしにしてはいけない」ということですな。そんなとこに貢いでも、半島に流れてテポドンになって返ってくるだけである。
あと、公訴時効制度はもう廃止にしてもいいのではないかい。
127.0.0.1 時 777 0 1242704903 山陰道初夏の旅(3)【足立美術館】
旅館をチェックアウト後、安来の足立美術館(http://www.adachi-museum.or.jp/)に向かう。
安来駅に展示してある安来節の人形が笑える。
足立美術館は地元出身の実業家・足立全康が一代で築き上げたコレクションを展示しているが、なにより有名なのは5万坪の日本庭園である。
「枯山水庭」「白砂青松庭」「苔庭」「池庭」、島根の山並みを借景に取り込んで見事に美しい。庭そのものが美術品と言っていいだろう。
しかし、あまりに人工的に過ぎて、虫の声も蛙の声もまったくしない。
……うーん、「2001年宇宙の旅」で最後にボーマン船長がたどりついた幻影の邸宅を連想してしまった。
私が造園に関する知識もないし庭園を見る訓練も全然していないせいか、良さがもう一つわからない。私の単なる好みとしては、松江のハーンの家中屋敷のつつましい庭の方がずっと好きですな。
収蔵品は横山大観をはじめとする日本画のコレクションだが、これはなかなかすごい。幸運なことに「あなたが選ぶこの1点」という人気コンテスト的特別展を丁度やっていたので、代表的な収蔵品をほぼ見ることができた。
なかでも橋本関雪の動物画が秀逸。特に「遅日」が素晴らしい。これが見られて満足しました。
*
安来から米子へ、米子空港からANAで、羽田には18:00には到着。
夕食は羽田空港内の「赤坂璃宮」で黒酢の酢豚セット。値段の割にまずまずおいしくリーズナブルでした。
ということで、今回の旅日記はおしまい。一番印象に残ったのは、松江で見た「小泉八雲」の幻影でしょうか。
127.0.0.1 旅 776 0 1242618459 山陰道初夏の旅(2)昨日とうってかわって気持ちのよい青天である。
【松江イングリッシュガーデン】
早めに朝食を済ませ、花の庭を見に、松江イングリッシュガーデンへ行く。
「英国式庭園殺人事件」というピーター・グリーナウェイの映画があったなあなどと思いながら人気の少ない良く手入れの行き届いた庭園を散策。
【月照寺人喰大亀伝説】
イングリッシュガーデンから一畑電車というローカルな鉄道で松江市にもどり、まずは月照寺を訪う。
小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが松江に住んでいる間、毎日のように散歩し、ここを自らの墓所に願ったという。
この名も姿も美しい寺の奥深くに、巨大な亀がいた。
私たちがその威容をつらつら眺めていると、黙々と落ち葉を掃いていた老人が、故事来歴を色々と話してくれた。こんな言い伝えがあるという。
1760年頃、月照寺の池に住んでいた亀が、夜になると妖力を使って大きくなり、寺を抜け出しては城下の子供をさらって食い続けた。それを知った寺の住職は大きな亀の石像を造らせて、かつての藩主の墓所に安置したところ、池の亀は悪さをすることが無くなったと云う。
この大亀は小泉八雲も随筆に記している。
松平家の藩主が亡くなった後、亀を愛でていた藩主を偲んで大亀の石像をつくった。ところが、この大亀が夜になると城下で暴れ人を食らうようになった。困り果てた住職が深夜、その大亀に説法をすると、大亀は涙を流して住職にこう頼んだという。「わたしにもこの奇行を止められません。貴方にお任せいたします」。そこで亡くなった藩主の功績を石碑に彫り込み、その石碑を大亀の背中に背負わせてこの地に封じ込めたと云う。
実際に前に立つと恐ろしくでかい。まさにガメラだ。石碑の重さだけで2tあるという。石碑がなければ回転して飛んでいきそうである。
寺の美しい池には本物の亀がのんびりと甲羅干しをしていた。あと何百年か生きればこやつも妖力を得て化けるのであろうか。
【玄き城―松江城】
月照寺を出て、お堀沿いに武家屋敷、ヘルン(小泉八雲)宅等を見ながら、松江城に向かう。
広い城趾公園の石垣の路を歩いてゆくと、黒々としたお城の天守閣が見えてくる。往時の登城する侍の気分を味わえてちょっぴり感激である。
白漆喰の城のような華やかさはないが、いかにも不味公のような粋人の殿様が住むのにふさわしい落ち着きのあるいいお城である。
展示されている刀剣甲冑武具の数々もさすが徳川家所縁だけに見事なものだ。城中には籠城のための井戸があり、上層階には石垣を登ってくる敵めがけて石や熱湯を落とす仕掛け窓もある。
しかし、それらの戦力は一度も使われることなく、明治をむかえたらしい。
備えあれば愁いなし。それもよきかな。
【城下町そして宍道湖の夕焼け】
川端にはアオサギがいたり亀が甲羅干しをしていたり、空を見上げれば必ずといっていいくらい鳶が輪を描いている。城下町といってもまだ自然は残っている。
松江は良い町である。その風情は観光スポットを点でつなぐように見るだけですますには惜しすぎる。川巡りの舟を除けば車やバスはもちろんレンタサイクルさえ使わず、市内はすべて歩いて移動したが、ラフカディオ・ハーンがほれこんだ町のかすかな匂いぐらいは感じられたような。
一っ風呂浴びたあと、宍道湖畔の夕焼けスポットに出かけたが、若干雲がかかって惜しいなり。しかし茜色に染まる湖上の天空、夕闇に沈まんとする嫁ヶ島、湖面に反射する金色の夕陽を満喫。
まあ私のまずい文章より、このあたりの風景はハーンの「神々の国の首都」(『新編日本の面影』所収)にまことに美しい文章で記されているので、一読されたい。
夕食は地ワインで、島根牛陶板焼き(やや小さいが)、鱧の葛椀、鱸奉書焼、穴子蒸物、鯛めし等々。宿自慢の鯛の兜煮を猫またぎになるまでやっつけて満腹であります。
127.0.0.1 旅 775 0 1242487404 山陰道初夏の旅(1)GWの混雑を避けて休みを取り、島根県に旅行。つれあいが全部計画を立てたので、私は事前にインターネットで飛行機を予約したくらい。日程も前日に頭に押し込んだ。
17日は荒れ模様の天気予報だったがなんとか羽田からJALは無事離陸。しかし出雲空港到着時はかなりの雨になっていた。
【出雲大社の古代巨大神殿】
まずは出雲大社に参拝。普通神社の拝礼作法は二礼二拍手一礼だが、ここは二礼四拍手一礼なので注意。家族の健康と、ここは縁結びの神様なので周囲の独身男女の良縁を祈る。
出雲大社は巨大な〆縄が印象的で、立派な本殿は改修中だったが、高さは24mある。
島根県には東京ドームに匹敵する大きさの出雲ドームがあるが、出雲大社の古代神殿をはばかって、高さは伝承の16尺を超えないようにしたという。
画像はCGだが島根県立古代出雲歴史博物館に行くと10分の1の縮尺の模型を見ることができる。さらに50分の1の縮尺で色々な復元仮説による模型もあり、ここは一見の価値あり。
この復元を担当したのは大林組。「古代出雲大社の復元」によれば、もし実際に復元したら6年の歳月と120億円の経費(1989年見積)がかかるそうな。そのくらいでこれだけのものができるなら十分に元がとれそうな気がするが、いかがなものだろうか。
【フランス絵画の19世紀】
出雲大社を出た頃にはますます雨脚が強くなってきたので、予定していたイングリッシュ・ガーデンは明日に回し、島根県立美術館に向かう。昼食も美術館のレストランで取る。
宍道湖畔に建つ広々とした気持ちの良い美術館では、丁度「フランス絵画の19世紀展」が開催されていた。
ドラクロアやミレーももちろん良いが、あまり見る機会のないアカデミズム系の絵が面白い。
「写真のような」描写力や神話や聖書をテーマとする幻想志向物語性は、現在のアメリカン・イラストレーションに引き継がれているなあとつくづく思う。たとえば左の画像はアンリ・レーマンの「預言者エレミヤ」だが、まんまボリス・バレジョーのようではないですか。
他にブルトン「休息」、シャヴァンヌ「聖ジュヌヴィエーヴの幼少期」、デュラン「エルネスト・フェドー夫人の肖像」など。デュランの「ヘベ」は武部本一郎を彷彿とさせるので、見る機会のある方はご確認あれ。本展は6月12日から横浜美術館に巡回する。
【籔内佐斗司/マナカナ】
美術館を出ると雨はすっかり上がり、外に出ると湖畔が非常に気持ちの良い遊歩道になっている。芝生には籔内佐斗司の兎が走っている。
兎の写真を撮っていると、若い団体が楽しそうに歩いてきた。その中の女の子の顔がどこかで見た顔である。しかも同じ顔が二人いる。今春までこの地方が舞台のNHKの朝ドラのヒロインを演じていたマナカナである。
う〜ん、かわいいけど全然普通の子だなあ。オーラがないぞ(笑)。一緒の友人たちも落ち着いた感じなので、大学の友人たちとプライベート旅行かなと思った。あとで宿の人たちに聞いても彼女たちを呼ぶイベントなどはないらしい。
旅行から帰ったあとで、マナカナのブログで確認したら事務所の慰安旅行だったらしい。それにしては全員素朴な感じで業界人臭さは微塵もなかった。
*
宿は「なにわ一水」。湖畔なので眺めは抜群。本日の食事は島根牛のすき焼きをメインにした純和風。汁物は当然しじみ汁。
127.0.0.1 旅 774 0 1241537894 連休中の読書とDVDとドラマ【ドラマ】
『ハゲタカ』
NHKで連休中一挙再放送。本放送中見逃していたけど、また、5話の最初30分を見逃したorz
日本でも英米に負けないドラマ作れるじゃないですか。
【DVD】
『ウルトラQ』
「ゴローと五郎」に生き生きとした素敵なセリフ満載。
- 「大変な猿キチガイで村人からはエテキチエテキチと呼ばれているくらいなんです」
- 「こいつになに言っても無駄でさあ。唖にものを言える道理はねえよ。ワハハハハハ」
- 「土人たちが守り神にしている大猿です」
【読了本】
127.0.0.1 TV 773 0 1241278583 旧安田楠雄邸庭園
- 『高校殺人事件』松本清張(文春文庫)
- 『マグダラのマリア』岡田温司(中公新書)
どこに言っても大混雑間違いない連休は近場でまったり。
ということで公開中の千駄木の旧安田楠雄邸庭園を見に行く。(現在は五月飾りの展示中。見事な細工は一見の価値あり)
本格的和建築の中に、大正期らしく、天窓・ガスストーブの暖炉・スレート瓦といった当時の最先端の流行が取り入れられている。
が、その流行部分が瑕疵となっているのは皮肉ではある。伝統的な日本建築の部分は文句なく素晴らしい。というかいかにもすごしやすそうで人間的であります。
安田財閥の総帥の邸宅がいまはナショナル・トラストの持ち物。大震災も大空襲も生き延びた奇跡の屋敷も相続税にはかなわなかったらしい。
文化財としての保存義務を課した上で、相続税を減免するなどの法律がないと、文化なるものはどんどんなくなってしまう。まあ、薄っぺらなることもある意味日本的ではあるけれど。
127.0.0.1 美 772 0 1240067853 米沢守の事件簿
Movix亀有『米沢守の事件簿〜相棒シリーズ〜』を見る。語るに落ちるというミステリの定番のラストをぴたりときめるのは難しいものだ。
老舗のコロンボやそのフォローワーの古畑でもうならせるようなのはめったにない。
私がいままで読んだり見たりしたミステリーの中で、この落ちが一番見事に決っていたのは、江戸川乱歩の「心理試験」でありましょう。
「決まる」というのは、以下の三要素を完全に満たしていること。
- 語るに落ち方が不自然でなく、
- 見る側の予想がつかず、
- 犯人である論理性があいまいでない。
本作は……まあまあ。三要素についてはいずれも60点ぐらいか。
110.67.111.171 映 771 0 1239463018 TV桟敷の休日独り留守番につき、まったりTV桟敷の休日
NHK-BShi舞台中継「きみがいた時間ぼくがいく時間」上川隆也他
時間旅行・タイムスリップというのは浦島太郎の昔から、独特の感動を物語に持たせるには格好のSF的テーマだ。演劇集団キャラメルボックスのこの舞台もそこそこ成功しているが、一つ大きな矛盾があるのが痛い。(ネタバレにつき詳述しないが、一つ前のスリップでなぜ成功しなかったがわからない)
*
NHK-BShi 内田吐夢「宮本武蔵・二刀流開眼」
お通さんの入江若葉がだんだん垢抜けて美しくなってくる。
佐々木小次郎の高倉健がなんというか微笑ましい。
突然谷啓がでてきて達者に笑わせる。
*
NHK-BShi HV特集「浮世絵・本当の色がよみがえる」
最近、富山県の農家から大量(380枚以上)の浮世絵の版木が見つかった。しかも広重や国芳などの名品ばかり。
農家の先祖の鉱脈師が江戸のつぶれた版元に残っていた版木を故郷に持ち帰っていたものだという。
鉱脈師は別に好事家だったわけではない。富山に多い薬商人が色刷り版画を薬のおまけにしていたことに目を付け、江戸の一流版木を元に印刷して薬屋に売って大儲けをたくらんだらしい。
ところが(富山まで来るような酔狂な)一流の摺師が見つからずに頓挫。先祖代々蔵に眠っていた版木は邪魔にされ、焚き付けとして他人に渡ってしまう。譲られた人が燃やそうとしたところ、あまりに精緻な彫りに驚いて燃やすのを思いとどまったという、まさに間一髪の危うさ。
おかげでいままで謎だった浮世絵の刷られた当時の色彩の再現が可能になった。
その再現過程の面白いこと、できあがった再現絵の色鮮やかなこと。この方面に少しでも興味があって本番組を見逃した方は、NHK-BShiのHV特集は時をおいてBS2次いでNHK総合で再放送するので、ゆめゆめ見逃すことなかれ。
127.0.0.1 TV 770 0 1238858181 花見と宮本武蔵ウオーキング&ジョギングがてら東白鬚公園で満開のソメイヨシノと花見客を見物。
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nhk-bshiで内田吐夢『宮本武蔵』『宮本武蔵般若坂の決闘』と見る。傑作なり。
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2003年の同日(正確には明日だが)の日記にも「花見/宮本武蔵」とある。丁度NHKの大河ドラマが「宮本武蔵」の年でもあった。
年々歳々花相似たり
127.0.0.1 TV 769 0 1238770828 ヤッターマンフカキョンがむっちむちでエロくてエロくてちょっとかわいくて、大画面でドアップで、もうおじさんはたまりません。眼福眼福おなか満タンで120%満足でした。終わり。
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……気を取り直しズボンを履きなおして感想を書くと、実によくタツノコプロアニメの世界が再現されているなあと。なにより原作へのリスペクトが感じられるのが好ましい。あえて名前はあげないが人気アニメを実写化してコケた作品の共通点は、原作をリスペクトしてるふりをしながら実は「映画が上」目線で作っていることだ。(結果として原作以上を目指すのとは別の話)
CGや美術・衣装で登場人物・事物を再現しているだけではない。
映画に登場する敵メカは3台、最後のラスボスとの戦いを含めて山場は四つ。2時間を4で割ると30分。原作アニメの1週分と一緒だ。つまり、原作とほぼ同じテンポ・リズムまで再現されているということだ。さすがは三池崇史。ギャグはちょっとすべってましたが(笑)
エンドロールのあとに予告編のパロディがあるので観に行く人は見逃さないように。しかしパロディでなくて本当に続編作ってくれないかな。見たいよ、白ドロンジョ様。
127.0.0.1 映 768 0 1237814033 DVD『メトロポリス』を見る産総研、女性型ヒューマノイドロボット「HRP-4C」を発表。
リンク先は画像が豊富なので、美少女ロボットの仕上がり具合はそちらで確かめていただくこととして、2ちゃんねるでは「俺の嫁キター」とか「この方向で開発していくなら消費税15%までは耐えられる」とか、おおむけ好評のようである。まあ、←の画像のヒップラインはなかなかだとは思います。
とはいえ、私の好みとしては、リアルドール系の顔ではなく、もっとロボットらしいのが望ましい。「コブラ」のレディや空山基のセクシーロボットの系列です。
この系列の元祖といえばなんといっても「メトロポリス」のマリア。
巨匠フリッツ・ラング監督の1927年の無声映画にして、史上初の本格的 SF 超大作。フィルムの4分の1は失われ残った部分も傷みが激しかったのを徹底的に修復したものが2002年にDVDとして発売され、さらに日本語版が2006年に出たのが上記DVDだ。その修復版ははじめてユネスコに世界遺産として認められた映画作品でもあるらしい。
時代のせいもあってSFとしてのストーリーは甘甘だけど、いわゆる表現主義の色濃い未来世界の美術が素晴らしい。主演の女優ブリギッテ・ヘルムの美貌だけではない体をはっての大熱演もあり、クライマックスにかけての盛り上がりはかなりのものだ。
しかしなんと言ってもこの映画の最高の見所は美女ロボット(映画中では機械人間と呼ばれている)の登場シーンだろう。左の画像をじっくりごらんいただきたい。
特にソースを見つけたわけではないが、この造型は東洋の仏像の影響を受けているのではないだろうか。観音菩薩のような姿の機械人間が化ける少女の名がマリアというのも、偶然とはいえ面白い。
機械人間が化けたあとの姿は左の画像。マリア観音ならぬ男たちを惑わす歓楽街の踊り子なのだが、その歓楽街の名が「YOSHIWARA」というのにはちとまいりました。
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昨年にはさらに「メトロポリス」ファンには嬉しいニュースがありました。
110.67.118.141 映 767 0 1237044821 ユリイカ諸星大二郎特集1970年のデビュー作『ジュン子・恐喝』はもちろん、COMの佳作入選『硬貨を入れてからボタンを押して下さい』からリアルタイムで読んできた愛読者としては、いまさら教えてもらうことなど何もない(偉そうですみません)と思っていたのだが、やはり読めば面白い。
なにより漫画評論の方法論がだいぶ変わってきているのが面白い。80年代あたりには全くなかった「絵」(特に描線)についての考察が増えているのだ。所収の評論15本の半分以上がなんらかの形で作者の「絵」から作品構造をとらえようとしている。「絵」に言及していない評論はどんなに難しい理論を展開しても薄っぺらに感じられるほどだ。
漫画に絵が大事なのはあたりまえのことのようだが、90年代くらいまでの、いわゆる漫画評論なるものは文芸評論家・映画評論家・マスコミ系学者の手すさびのようなもので、漫画のストーリーのみを対象に従来の文芸批評映画批評の手法で「分析」したものばかりだったのだ。当然のことながら「絵」に関する考察は皆無だったし、彼ら評論家に「絵」を論ずる能力などありはしなかったのだ。文章の良し悪しがわからずに小説を批評しているようなもんですな。
これが変わってきたのは、やはり夏目房之介の功績だろう。本書で竹熊健太郎の書いているとおり漫画評論は夏目以前以後で大きく区分されるもだと思う。
大二郎の「絵」の不定形な魅力は誰もが認めるところだし、本書の夏目房之介と若手漫画家の対談でもじっくり考察されている。が、その画風には山川惣治などの絵物語の影響があることを最初に指摘したのは手塚治虫らしい。
その手塚治虫が諸星大二郎・星野之宣と鼎談を行ったときのエピソードが面白いので紹介しておく。
鼎談の席に大遅刻してきた手塚は連載中の雑誌の編集者を引き連れて現われ、ホテルの壁にゲラを押し当てて校正をしてからやっと席につくという多忙ぶりだった。
さて鼎談がはじまると手塚が星野に質問をした
手塚「あなたは大友克洋の影響は受けてないの」
星野「受けるのが怖くて作品を読まなくなるほど一時は受けました」
手塚「そういえばあなたの○○という作品のその他大勢のキャラクターに大友タッチが入っているね」星野はそれは聞いて真っ青になるほど驚き、圧倒されたらしい。
これには後日談があり、鼎談の企画者であった竹熊健太郎がそのとき手塚と一緒に来た編集者からその日の裏話を聞いた。
「手塚さんはマネージャーが集めた諸星さんと星野さんの本を会場に向かう車の中でダーッと見ていたんです。おそらく鼎談のときにつっこむポイントを探していたんでしょう」
手塚さんはそういう人なんです、と竹熊は書いている。
これを手塚治虫がせこいとみるか、すごいとみるかだが、まあ、あの多忙の中で、当時は自分よりずっと格下だった若手漫画家に対してこの執着。やっぱり「すごい」に軍配を挙げるしかないでしょう。
110.5.46.129 漫 766 0 1236958364 星新一と松本清張最相葉月『星新一 一〇〇一話をつくった人』(新潮社)読了(したのはだいぶ前だけど清張を最近読み返しているので)。
ショートショート作品は名高いが、あまり評伝評論の対象となっていない星新一の実像に迫った労作であることは間違いない。
その中に星新一は松本清張を「清張だけは許せん」と言って憎んでいたという話が出てきた。
清張の短編「石の骨」には星の祖父、小金井良精がモデルの人物が出てくる。在野の人類学者の発見を圧力かけてつぶす学会の重鎮だから、あきらかに悪役だ。
星新一は祖父の日記から、在野の学者(「石の骨」の主人公になった人物)の発見を大いに認めていた記述を発見して、清張の小説の記述は事実無根であるといきまいてる。
星新一から見れば、「石の骨で」祖父を悪役にしたのは清張の安易なご都合主義と見えたことだろう。
だが、実際に良精が圧力をかけたという噂はあったらしい。
事実がどちらであったとしても、在野の学者を学会が認めなかったのは史実だし、その学会という組織を一人の人物を象徴させるのは 小説の手法にすぎない。
しかも、小説自体はフィクションであり、登場人物の名前も違えているし、星の憎悪は(気持ちはわかるが)筋違いなような気がする。
しかしまあ当事者(またはその家族)となるとそうは割り切れんのでしょうなあ。
120.74.180.236 本 765 0 1236583577 キチガイを流行らそう「生放送の「笑っていいとも!」でゲストの女優が「キチガイ」と話したことに、番組アナウンサーが謝罪する事態があった。一般的に「放送禁止用語」とみられており、テレビ局でも不適切だと判断した。
イタリアでは「仕事をしないで趣味に没頭する人」のことを「サンペー」というらしい。
語源はなんと日本アニメ「釣りキチ三平」だという。
どうせなら、「趣味に没頭する人」は「サンペー」ではなく「キチ」の方で、正しくは「キチガイ」だとイタリア人に教えてやって、正しい日本語を使ってもらいたい。
イタリア人俳優が来日して社交辞令のつもりで「ワタシハニホンノエイガダイスキデス。クロサワキチガイデス(にっこり)」とか言ったりしたら楽しいではないか。
127.0.0.1 言 764 0 1236410713 夢百景:股間大豊作こんな夢を見た。
陰毛が異常に伸びている。
長さは足先にとどくほど、一本一本も菜箸ぐらいの太さで海底の昆布のごとく繁茂している。
これは切らねばなるまいと園芸用鋏を持っていざ切ろうとするが、なぜか躊躇してしまい、なかなか切れない。
周りを見渡すと、男も女も私と同じように股間に大量に生やして平気でいるではないか。
ズボンの裾からまるで長袴のようにひきずって颯爽?と闊歩している。
で、殿中でござるぞ。
127.0.0.1 夢 763 0 1235892263 半七捕物帳に正蔵あらわる岡本綺堂を読み直しているが、「半七捕物帳」に次のような一節があった。
娘の執念だとか祟りだとか、飛んだ林屋正蔵の怪談で巧く世間を誤魔化そうとしたんだろう。それで世の中が無事息災で通って行かれりゃあ闇夜にぶら提灯は要らねえ理屈だ。
――光文社時代小説文庫「半七捕物帳(1)」所収「お化け師匠」
今、林屋正蔵と言えばこぶ平のことらしいが、私が物心ついて落語に親しんだ頃、正蔵と言えば、林屋木久蔵(現:木久扇)の持ちネタ「彦六伝」で有名な稲荷町の師匠=林屋彦六のことだった。
彦六=当時の正蔵は芝居噺と並んで怪談噺が得意だったが(私も末広だったか鈴本だったかで聞いたことがある)半七にも言及されているところを見れば、江戸時代から正蔵と言えば怪談噺がお家芸だったのだろう。
それにしては、こぶ平はもとより先々代(こぶ平や泰葉の祖父)の正蔵も怪談噺など一辺もやったことはないようだ。まあ、こぶ平も先々代も下手っぱちだから別に聞きたいわけではないが。
120.74.180.236 笑 762 0 1234966533 五七五なつぶやき曇天の 堤を走る 二人連れ 足元ピューマ 口からチャイナ
平成の 笑いはドリフを 超えられず 旧作コントに 子等はのたうつ
如月の 真夏日に歩む 土手の路 金髪ジョガーの 汗がまぶしき (いやらしい意味で)
臘梅の 香りを知りし 蔵の街
127.0.0.1 雑 761 0 1234793598 テレビ桟敷の一日〜志乃輔&賢太郎BS−6『落語研究会』立川志乃輔特集。
- 立川志乃輔「猿後家」
- 立川志乃輔「新版・蜆売り」
いまや柳屋さん喬と並んで独演会のチケットが取れない噺家である志乃輔の落語二本をじっくり二時間。
余計なゲストも出ず、民放でもBSだとこういうちゃんとした番組が少しはある。志乃輔落語、女性に色気が足りないのをのぞけば非のうちどころのない面白さ。
*
NHK-BSハイビジョン『小林賢太郎TV』
アイデア・ストーリー・大道具・小道具・ファッション・演技、全てにおいてスタイリッシュな笑い。こういう笑いもあっていい、いやあるべきだと思う。笑いの絶対値はラーメンズの相方片桐仁がいればより大きくなったと思うネタもないではなかったが、その分純度は高かった。
127.0.0.1 笑 760 0 1234361553 女達磨図@栃木市
喜多川歌麿の『女達磨図』を「とちぎ蔵の街美術館」に見に行く。 本図が栃木市の民家で発見され、辻惟雄先生が歌麿の真筆と鑑定したときのドキュメンタリーをNHKで見たが、そのときの状態はかなり痛々しいものだった。(上の図参照)。
作品を500万円で買上げた市が150万円かけて修復したとのことだが、見事に皺や汚れは見えなくなっていた。
他には地元出身の田中一村などなかなか良いものが展示されていた。
*
栃木市は「蔵の町」として宣伝しているが、江戸と川で結ばれた水運で栄えた町らしく、旧く立派な家屋が多く路も広々して気持ちがいい。市街を流れる巴波川には見事な鯉と丸々と太った鴨が群生して、なんとものんびりとした風情である。
中でも旧家岡田家の記念館の別邸「翁島」が素晴らしい。日本建築の粋というか、使用されている木材の美しさと建具職人の技は間違いなく芸術品だと思う。
*
127.0.0.1 美 759 0 1234022858 浅草飯田屋の泥鰌鍋
映画「ALWAYS三丁目の夕日」のロケ地にもなった「ALWAYSかまや」というフレンチレストランで昼食。私は栃木牛のフィレステーキ。相方は海老と桜鯛のポワレ。料理も悪くないが、なんといっても店そのものが一見の価値あり。(2番めの画像参照)旧栃木市教育委員会の建物だったらしい。 私ら夫婦と父と妹で浅草の飯田屋で食事。
一応母の何回忌か。(何回なのか全員覚えていないのがなんだが、とりあえず)
- 泥鰌鍋。私と父はマル(骨あり)、妻と妹ヌキ(抜き)。
- 吉乃蔵を3合。
- うざく
- ぬた
- やまかけ、お新香
- 鯰の唐揚げ(絶品)
- 鰻の白焼き(これも旨い)
- 玉子焼き
料理のうまいとこではどうしても玉子焼きをたのみたくなる。ここのは甘め。母の作る玉子焼きは甘めだったので、私も妹も母の作ってくれた弁当の玉子焼きの味を思い出す。
127.0.0.1 食 758 0 1233936383 時代劇の美女を見て時代劇を二日続けて見て思う。似顔絵に描きやすいような特徴を持つことは美女としてはマイナスでも女優としてはプラスではないか。
松たか子(隠し剣鬼の爪)のほお骨と栗山千明(浪花の華)の唇。
栗山千明好きな人は今「浪花の華」を見逃してはいけない。男装の美剣士は栗山千明でありすぎる。
127.0.0.1 TV 757 0 1233763525 つぶやき5キロのウォーキングから帰って汗をふいている。血圧124。良好。
体重は三ヶ月で10キロ減。これ以上は減らさない方がいいな。
*
で、前回照合文字が読めずに断念したTWITTER入会に再挑戦。なんとか入れたよう。あの文字変形はもう少しなんとかならんのか?というか、変形する必要はないだろうと思う。
*
能面:増阿弥陀作増女の画像をPCの壁紙にする。
優しげな孫次郎オモカゲも悪くないが、私は増女に惹かれる。家族は壁紙を見てびびっている。
*
地球が忘れられた遠い未来。伝説にいわく、人類の始源の星の特徴は例外的なほど巨大な衛星を持つ惑星だそうな。
そうか、お盆のような月を仰げるのは人類の特権なのか。
127.0.0.1 雑 756 0 1232203141 雪松図と能面
三井記念美術館に「―国宝雪松図と能面―展」を見に行く。
「雪松図」は以前にも見たことがあるが、応挙の傑作。何度見ても素晴らしい。「松竹梅の屏風」も「雪松図」より小品だが、これも超絶技巧画。
ただ、今回のお目当ては美術館所蔵の「旧金剛宗家伝来能面」54面(重文)全点初公開。さすがに結構な人出だったが、おして行くだけの価値はあった。
特に室町期の女面の微妙な口唇部の曲面はいくら見ても見飽きない。ほぼ実物大に印刷されている図録を買ってきたが、微妙な立体感は本物を目に前にしないとわからない。
能面はあきらかに彫刻作品であるが、純粋に彫刻芸術として独立しているわけではなく「能」という「芸能」あっての存在であることは間違いない。
室町期の能と能面、桃山期の茶道と工芸、江戸期の歌舞伎と浮世絵。現代の「****」と美術or芸術。「****」に何が入るか考えるのも面白い。
127.0.0.1 美 755 0 1231771777 蟹工船・党生活者小林多喜二『蟹工船・党生活者』(新潮文庫)読了。
カムチャツカの沖で蟹を獲り、それを缶詰にまで加工する蟹工船「博光丸」。それは、様々な出自の出稼ぎ労働者を安い賃金で酷使し、高価な蟹の缶詰を生産する海上の閉鎖空間であり、彼らは自分達の労働の結果、高価な製品を生み出しているにも関わらず、蟹工船の持ち主である大会社の資本家達に不当に搾取されていた。
情け知らずの監督者である浅川は、労働者たちを人間扱いせず、彼らは懲罰という名の暴力や虐待、過労と病気(脚気)で倒れてゆく。初めのうちは仕方がないとあきらめる者や現状に慣らされた者もあったが、やがて労働者らは、人間的な待遇を求めて指導者のもと団結してストライキに踏み切る。
しかし、経営者側にある浅川たちがこの事態を容認するはずもなく、海軍が介入して指導者達は検挙される。国民を守ってくれるものと信じていた軍が資本家の側についた事で、目覚めた労働者たちは再び闘争に立ち上がった。
(Wikipediaのあらすじより)
「プロレタリア文学の金字塔」ということで食わず嫌いでいたのだが、最近人気だというのをいい機会として、読んでみた。ところが、これが実に面白い。
恐れていたような共産主義理論のお説教もほとんどなく、蟹工船内部の労働者の日常生活や荒海での苛酷な労働の描写がリアルかつダイナミックだ。文章も力強く、無骨だがうまい。ぐいぐい頁を繰らせる力を持っている。
これといった主人公を特定せず、漁夫工夫たちは群像として描かれている。それも理想化された「労働者」ではなく、時代劇の一揆百姓や流れ土方のような描かれ方なのが面白い。船に物売りにくる女たちの尻はさわるわ、若い雑役夫のオカマは掘るわ、宴会ではその子をみんなで廻すわ、猥雑きわまりないあらくれ男たちだ。
個々人の描写が集団に埋もれてしまったのがこの作品の欠点と言われているようだが、その分全体が骨太い印象を受け、この小説に限っては効果的だと思う。
その代わりと言ってはなんだが、監督浅川のカリカチュアライズされた悪役ぶりが目立っている。ラストでもお約束のどんでん返しを食らいおいしいところを持って行く。
*
併載の『党生活者』は日本共産党員としての著者の自伝的小説で、これもスリリングでなかなか読ませる。
戦前だから共産党が非合法だった時代で、家を出、名も姿も変え、各地の工場に潜入してはストライキを主導しては逮捕される生活が緻密に描かれる。
彼らを捕まえようとする特高警察や憲兵隊との虚々実々の駆け引きはリアルなスパイ小説のようである。(この小説が書かれた一年後に著者は特高警察に逮捕され、拷問により死亡する)
蟹工船と異なり、主人公の精神生活や党員仲間の個性もじっくり描かれる。美人の女性闘士の造型などなかなか魅力的である。主人公との心理的関係など隠れた恋愛小説的描写もあってうまいものである。
しかし、理想主義的ではあるのだが、自分達の思想に一切疑念をいだかないのが、あの時代に戦争に反対した唯一の党ということを考慮しても、現代の自分から見ると少々鼻につく。
自分に好意を抱く女と、ただ非合法活動に便利だという理由だけで同棲し、彼女の収入で生活し、彼の影響による言動で職を失った彼女に女給にでもなれと勧める。彼と逢えないで淋しがる彼女を「意識が遅れているから」と軽蔑する。そういった主人公の心理がまったく「批判的でなく」描かれているのがいささか不気味である。
「革命後の社会は革命の進行に内包されている」という意味のことを小田実が書いていたが、社会主義革命の果てに実現したのがソ連邦であり北朝鮮だったことを思えば「党生活者」の果てに来る社会について小説では逆説的に描かれていたという感想は、皮肉に過ぎるだろうか。
210.169.69.162 本 754 0 1230820876 あけましておめでとうございます年賀イラストはこちらから。
左の絵は下書きです。ひさしぶりに紙に鉛筆で書きました。
210.169.69.162 絵 753 0 1230625041 【本】私的年間ベスト10【2008】歳の暮れなので例年通り、今年読んだ本のベスト10を選んでみた。
自分が面白かった基準。1位はいまごろ読んだのかという感じだけど、一番面白かったのだからしかたがない。他は、う〜ん、例年より小粒かな。
- 「細雪」谷崎潤一郎(新潮文庫)
- 「河鍋暁斎」ジョサイア・コンドル(河出文庫)
- 「眼中の人」小島政二郎(岩波文庫)
- 「奇想の江戸挿絵」辻惟雄(集英社新書)
- 「星新一1001話をつくった人」最相葉月(新潮社)
- 「夜の来訪者」J・B・プリーストリー(岩波文庫)
- 「宇田川心中」小林恭二(中公文庫)
- 「ゲゲゲの女房」武良布枝(実業之日本社)
- 「哀れなるものたち」アラスター・グレイ(早川書房)
- 「ナイフ投げ師」スティーヴン・ミルハウザー(白水社)
他に今年読んだ本は以下の通り(読了順)。数冊は抜けてるかもしれない。
- 「塚原卜伝」講談本(講談社文庫)
- 「耳袋秘帖〜赤鬼奉行根岸肥前」風野真知雄(大和文庫)
- 「耳嚢(上)」根岸鎮衛(岩波文庫)
- 「朝のコント」フィリップ(岩波文庫)
- 「武士道」新渡戸稲造(岩波文庫)
- 「サムライとヤクザ」氏家幹人(ちくま文庫)
- 「千の脚を持つ男」シオドア・スタージョン他(創元SF文庫)
- 「人間のない神」倉橋由美子(新潮文庫)
- 「妖女のように」倉橋由美子(新潮文庫)
- 「臨場」横山秀夫(光文文庫)
- 「ドラキュラの世紀」ディヴィッド・J・スカル(国書刊行会)
- 「ファウンデーションの彼方」アイザック・アシモフ(早川SF文庫)
- 「ドーキンスvsグールド」ステルレルニー(ちくま文庫)
- 「軟弱者の言い分」小谷野敦(ちくま文庫)
- 「平妖伝」羅貫中/加来耕三編(小学館)
- 「百頭女」マックス・エルンスト(河出文庫)
- 「新約聖書を知っていますか」阿刀田高(新潮文庫)
- 「クラッシュ」バラード(創元SF文庫)
- 「舌鼓ところどころ」吉田健一(中公文庫)
- 「エデンの黒い牙」ジャック・ウイリアムスン(創元SF文庫)
- 「新釈四谷怪談」小林恭二(集英社新書)
- 「20世紀の幽霊たち」ジョー・ヒル(小学館文庫)
- 「読者よ欺かるるなかれ」ディクスン・カー(早川ミステリ文庫)
- 「氷の華」天野節子(幻冬舎文庫)
- 「天窓のある家」篠田節子(新潮文庫)
- 「ワーグマン日本素描集」清水勲(岩波文庫)
昨年より若干少ないようだけど、量的には今年の方が読んでいる。
NHKの「黒澤明特集」で「赤ひげ」を見たあと、山本周五郎の原作「赤ひげ診療譚」を読み返したら、これが面白い。続けて同じ著者の「ながい坂」を読み返し、次は松本清張を読み返すという感じで再読している量が結構多いからである。
私も老人力がかなりついてきたので、一度は読んだはずの本でも新鮮に読めるのが実にありがたい。
そんなこんなで読み返したのが前記の他に、
- 松本清張「証明」「延命の負債」「巨人の磯」「黒い空」「天才画の女」
- 殊能将之「ハサミ男」「鏡の中は日曜日」「美濃牛」
- 藤沢周平「隠し剣孤影抄」「隠し剣秋風抄」
まあ、こんなことばかりしてると積読が減らないので、今は再読は控えてますけど。ただ、集中力がなくなっているので一冊を一気に読むことができない。何冊かを平行でだらだら読んでいる。
今は「岩佐又兵衛―浮世絵をつくった男の謎」辻惟雄(文春新書)、「カムイ伝講義」田中優子(小学館)、「継母礼賛」バルガス・リョサ(ベネッセ)の3冊。
年明けにどれか読了記を書けたらいいのだけど、さて。
120.74.180.236 本 752 0 1229242530 ア・ラ・カルト〜役者と音楽家のいるレストラン
中年夫婦2組で青山円形劇場で『ア・ラ・カルト〜役者と音楽家のいるレストラン〜』を観劇。
クリスマスの夜のフレンチレストラン「ア・ラ・カルト」を舞台にしたオムニバスドラマ。1989年以来毎年1ヶ月の公演を続けてきた知る人ぞ知る人気舞台で、席を取るのも大変なのだが、一緒に行った夫妻の娘が劇場スタッフにいる関係で正面のなかなかいい席で見ることができた。
おしゃれで楽しい舞台の内容は興味があればググってもらうこととして、設定が設定だけに、見てるだけでお腹が減ることこのうえない。
場所は青山だし、終演後ワインで食事でもと思ったのだが、私も含め4名中2名が体調不良で断念せざるを得なかったのが残念。体調を整えて新年会でもということでお開き。
観劇はひさしぶりだったが、やはりライブはいいですな。
127.0.0.1 劇 751 0 1228748231 ワーグマン日本素描集
清水勲編『ワーグマン日本素描集』(岩波文庫)読了。
日本最初の漫画雑誌『ジャパン・パンチ』を創刊して、幕末維新の文明開化の実相をつぶさに描くとともに、アーネスト・サトウやパークスらに同行して歴史的な事件の数々をヨーロッパに通信したワーグマン(1832‐91)の作品の中から、日本および日本人をテーマとするスケッチを多数収録。絵でみる幕末維新史ともいえる貴重な記録。AMAZONの商品説明より)
「タイムマシンがあったらどの時代へ行きたい?」と聞かれたら、もちろん一番目はジュラ紀だが、二番目は江戸時代と答える、時代劇好きな私である。
タイムマシンが完成したという話は聞かないので、江戸時代を間接的にでも体験しようと思うと、記録にたよるしかない。文献はともかく、ビジュアルな記録となると写真は一般的でないので絵ということになる。
浮世絵も含め日本画も悪くはないが、幕末から明治にかけて日本に来た、いわゆるお雇い外国人の絵が、記号化された浮世絵にはない、非常にリアルな感触を伝えて来る。筆法がリアルということではなく、いかにも現代の我々が実際に江戸期の日本に降り立って目の当たりにしたような生々しさがあるのだ。
なかでも有名なのが、このチャールズ・ワーグマンだ。日本最初の漫画雑誌『ジャパン・パンチ』を創刊して、幕末期の歴史的事件(生麦事件等)を数々描いたことで有名なイギリス人だ。
日本についてすぐ宿泊した寺で水戸浪士襲撃に遭遇し、床下に隠れて描いたスケッチがイラストレーテッド・ロンドン・ニューズに載ったというから、なんとも激動の時代にやってきたものだ。それでも日本に腰を据え日本人妻をめとり、ジャーナリストとして活躍したというから肝の坐った男である。
のちにフランスから来たジョルジュ・ビゴーの活躍に押されたこともあり、晩年は恵まれなかったようだ。実際にビゴーと比べてみると絵そのものはビゴーの方がうまい(下図参照)。ワーグマンの方が有名なのは弟子に高橋由一や五姓田義松などののちに高名となる日本人洋画家がいるせいだろう。
それでも、本書に載っている素直な筆致の日本の庶民のスケッチは、まさに実在の江戸庶民を目の前にしている感がして、本業の戯画よりずっといい。
210.198.167.170 本 750 0 1227886286 紅葉と黄葉
写真は北小金の本土寺。
紅葉を愛でる習慣を持つのは日本だけなのだろうか。
源氏物語に紅葉狩りのシーンがあるが、ホメロスにも三国志にも水滸伝にもそんなシーンはないようだ。英米文学でも読んだ記憶はない。紅葉するカエデ科の植物は世界に広く分布しているから紅葉という現象そのものはあると思うのだが。
紅葉の赤色色素は普通、日光の当たる葉の表側のみにできる。葉の裏から見ても赤いのは葉緑素がなくなって透明になっているため表の赤色が透けて見えるからだそうだ。まれに山から風が吹きおろしてくる地形にある楓などで風にあおられて葉の裏側にも陽が当たり、表裏両面が赤く染まる場合もあるらしい。
まあ、表裏の色合いの違いがつくりだす模様もまた美しいものである。
なぜ紅葉や黄葉が起るのか、実ははっきりとはわかっていないらしい。
日照時間の短くなる冬期に葉を維持するのは非効率なので、不要な葉緑素(クロロフイル)は分解して、葉自体を落としてしまうまでは理屈に合う。
しかし、どうせ落としてしまう葉の中に、光合成エネルギーを費やして、糖から色々な色素(赤色のアントシアン、黄色のカロチノイド、褐色のタンニン)を生成する。なぜわざわざそんなことをするのか?
防虫効果にしても土中への栄養保存効果にしても、色素生成のコストにはとても見合わない。
今のところ、はっきりした効果は日本人の目を楽しませることだけのようだ。
120.74.180.236 科 749 0 1226745790 ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情
国立西洋美術館にて『ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情』展を見る。
人の気配のない穏やかな風景画。無機質なまでに静かな室内、寡黙な後ろ姿の人物。静謐の支配する謎めいた空間。
というようなことをマスコミでもネット評でも異口同音に言われているが、まったくその通りの作品群。
私が惹かれたのは、いわゆるマチエール。なにをもってそう感じるのかわからないのだが、絵の具が塗り込められた長い長い制作時間が伝わって来るような絵の表面。
ストイックなまでに綿密な構成とか、色々書きたくなるのだが、絵が静かな佇まいを見せているがために、どうも見た側が饒舌になってしまうようだ。
とりあえず今年見た展覧会(あまり見てないけど)の中では、一番。
127.0.0.1 美 748 0 1226572864 よみがえる源氏物語絵巻NHK-BSハイビジョン『よみがえる源氏物語絵巻』
数年ほど前に数ヶ月の間をおいて放映されたシリーズの連続再放送。今日は第四夜。大相撲ダイジェストの直後に始まるのでついつい見てしまって、ここのところ寝不足気味です。
名古屋の徳川美術館と東京の五島美術館に保存されている国宝『源氏物語絵巻』。ワビサビといえば聞こえがいいが、絵の具はボロボロに剥げ落ち、残っている部分も色は褪せ、素人目にはおせじにも綺麗とはいいがたい。
そんな瀕死の国宝を数枚づつ何ヶ月もかけて分析し、平安当時の描法と絵の具を用いて、練達の日本画家たちが再現模写する。
再現なった絵巻の色鮮やかなこと、これが「雅〜みやび〜」だよなあ。古色蒼然たるオリジナルより再現絵をじっくり見てみたい。
しかし、美術的な興味もさることながら、再現していく過程、特に画材の分析&推理が下手なミステリーより面白い。
文化財研究所が電子顕微鏡や蛍光X線装置など科捜研ばりのハイテク機器を駆使して元素レベルまで分析する。
同じ白色でも鉛が検出されれば鉛白、カルシウムなら胡粉が使われたことがわかる。赤色で水銀が検出されれば辰砂(しんしゃ)、動物性有機物なら臙脂(えんじ:原料はカイガラムシ)、植物性有機物なら蘇芳(すおう)といった具合だ。
絵の具が蘇芳を使っていたことがわかっても、電子顕微鏡で調べると表面に乗っているだけで染み込んではいない。普通なら紙に染み込んでいるはずなので、今度は紙を調べる。
材料は楮(こうぞ)とわかり、最高級の楮で紙を漉くが、現物の紙ははるかに繊維が細かく目が詰んでいる。紙を一度溶かして再度漉く「漉き返し」を行うがまだ繊維が長い。今度は木槌で叩く。丸一日叩く。さらに大理石のような丸石で丹念に丸一日こすり磨く。こうして出来た、たった2枚の紙を渡された再現担当の日本画家の女性は緊張していた。それはそうだろう。
しかし、にじみはなくなったが、オリジナルに残っている赤の微妙な照りが蘇芳を塗っただけではまだ再現できない。画家は古文書に当たって膠を混ぜたり旧い技法を試してみる。最後は砂糖を混ぜて煮詰めることで適度の粘性とてかりを得ることができた。
こんな試行錯誤をじっくり見せてくれるのが実に面白い。
本日も23:30から。今日も寝不足になるのかな。
120.74.180.236 美 747 0 1225723715 赤ひげと赤ひげ診療譚、細雪と細雪NHK-BS2『没後十年 黒澤明特集』。
土曜日は『赤ひげ』
黒澤明は女優を撮るのが下手だ、という評を時に聞く。
おそらく、女優を光らせることに興味はないようだし、女優自身の代表作となるような映画を撮らないと思われているのだろう。
しかし、京マチコの代表作はなんといっても『羅生門』であることを思えば、どうもこの評は当たっていないようである。
本作においても主役の三船敏郎・加山雄三をさしおいて光っているのは、根岸明美、二木てるみ二人の女優の熱演だ。
根岸明美の独り芝居の長台詞も圧巻だが、二木てるみの表情と目の演技を際立たせる照明の妙ったらない。
ほとんど原作に忠実なエピソードの中で、二木てるみの演じたおとよという少女は本編中もっとも重要な人物でありながら、原作では、ほんの数行しかでてこない。ほとんど映画オリジナルのキャラクターである。それでいて山本周五郎の『赤ひげ診療譚』の世界と違和感ないのは、彼女を取り巻くエピソードを原作の細かなエピソードから組み上げているからだろう。名作を映画化する際の最も正しい改変の方法だろうと思う。
対照的だと思ったのが市川崑の『細雪』だ。映像はなかなか美しく悪くはなかったのだが、あとから谷崎潤一郎の原作を読んでみて、映画がとんだ改悪作品だということがわかった。
大きな山場の一つでヒロインの心理への影響からして外せないはずの大水害のエピソードがまるっきりない(黒澤なら大喜びで撮ったろう)のも驚いたが、それよりも人物の類型化がひどい。
石坂浩二演ずる次女の婿さんが同居する義妹(演ずるのは吉永小百合)に惹かれていて彼女が嫁いでいったあと一人涙にくれる、などという陳腐きわまりない設定は原作には全くない。映画化としては最も忌むべき安易なメロドラマ化だ。
市川昆はきらいな監督ではないし、横溝正史ものや木枯紋次郎などの娯楽作品の映画化は達者なものだったが、谷崎はさすがに映像の美しさだけでは手に負えなかったということなのだろう。
120.74.180.236 映 746 0 1224863855 20世紀の幽霊たちジョー・ヒル『20世紀の幽霊たち』(白石朗訳/小学館文庫)読了。
あのスティーブン・キングを父に持つホラー作家のホラー短編集。
ジャンルも作風も偉大な父に似ているが、単なる矮小版ではなく、父より更に文学よりと言えるだろうか。
20弱の作品が収められているが、やはり純粋なホラーに近い作品が面白い。
「マント」「年間ホラー傑作選」「蝗の歌をきくがよい」といったところ。
しかし、収録作中のベスト作品は文句なく「ポップ・アート」。ホラーというよりファンタジーだが、これを読むだけも元がとれる。と言っても700頁近くて1000円。なんともコストパフォーマンスの高い娯楽である。
ただ、作風としては父親のキングと同じく、あまり私の好みではない。
うまいのだが、耽美性というか美学というか、ホラーに不可欠な(と私は思う)なにかが欠けているような気がする。
要するにポーに連なる人ではないということだ。
その意味で私が一番好きなホラー作家は『血の本』のクライブ・バーカーであります。
127.0.0.1 本 745 0 1223740532 淡彩の日
東京藝術大学美術館『線の巨匠たち−アムステルダム歴史博物館所蔵 素描・版画展』
- アレクサンドル・カラーム「木々のある風景」
- レンブラント・ファン・レイ「この人を見よ」
- ヤン・デ・ブラーイ「歌う少女」
- レンブラント・ファン・レイ「ウルカヌスに捕らえられたマルスとヴィーナス」
- アルブレヒト・デューラー「聖エウスタキウス」
他にも秀作多数。
*
谷中の町は今日は祭り。町中にいわゆるアートな催事がいっぱいで、藝大生のミニコンサート、ミニ展覧会などがそこかしこで見られる。いつも休日は閉まっている骨董屋なども開いていてなかなか楽しい。
*
東京都美術館『第47回現水展』
つれあいの知人の女性が佳作入選しているので見に行く。同会場ではフェルメール展もやっているが、さすがに長蛇の列でした。
61.198.190.206 美 744 0 1221407673 密林からの手紙アマゾンからのダイレクトメール。
Amazon.co.jpのお客様へ、
Amazon.co.jpで、以前にマルキ・ド サドの本をチェックされた方に、このご案内をお送りしています。『青春と変態 新装版』、現在好評発売中です
……おいおい(苦笑)
会田誠の絵や漫画は好きだけどさ、今回は小説。レビューを見るかぎり、私とは変態のベクトルが違う。っていうか、私は変態じゃないし。(たぶん)
*
最近読んだ漫画ではこれがまあまあ面白かった。
内容はアマゾンのレビューでも読んでもらうこととして、私が連想したのはブラックジャック。非常に個人的なルールで顧客を判断し、ルールを守る限りは誠実に対応する。相手がルールを破ると…… 。ブラックジャックは一見ニヒルだが根はまあ愛他主義、イノセントブローカーは一見(いい意味で)おこちゃま、裏切られると(悪い意味で)おこちゃまという違いはあるが。
127.0.0.1 漫 743 0 1220457204 黒澤明『どん底』の死神NHK-BS2『没後十年 黒澤明特集』
『虎の尾を踏む男たち』とか、結構見逃しているのがあるので、こういう番組はありがたい。 先日は『蜘蛛巣城』の三船敏郎と山田五十鈴の緊張感漲る二人芝居にしびれ、昨日は『どん底』の緊密な群像劇を堪能した。観ながらちょろりと舐める酒が旨い。
『どん底』は地の底にあるような江戸時代の貧乏長屋が舞台。斜めにかしき畳がけばだつセットはシュールなまでにすさまじい。いがみあいののしりあう住民たちと貪欲な大家夫婦とその美しい妹の欲のぶつかりあいがダイナミック。飽きない。面白い。筋が読めない。ラストも意外。
長屋に飄然と現われる巡礼の老人役が左卜全だが、これが名演。飄々とした優しさで住民の心を癒し唐突に去って行く。こんなに芝居がうまい人とは思わなかった。
このキャラクタはいったいなんなのかと放送後の解説では問いかけていた。山本晋也監督は「
キリストみたいな聖者。神の目を持つ人ではないか」といい、プロデューサー氏は「天使ではないかと思う。山田五十鈴の女将が悪魔で天使と悪魔を対比させたのではないか」うーん、どちらもピンとこない。私には左卜全は死神にしか見えないけどなあ。優しい死神。
- 鋳掛け屋の女房が肺病で死に掛けているときにやってきて、飲み屋に出かけた亭主を差し置いて死に水をとってやる。
- クライマックスの大家が頓死する大騒ぎのさなか、忽然と姿を消す。
- 去ったあと、ラスト近くアル中の役者くずれが老人の言葉が元で首を吊る。
どう考えても死神でしょう。魂を三つ手に入れて飄々と地獄へ帰って行く後ろ姿が見えるようではないですか。
110.5.46.129 映 742 0 1219586653 内股一本
私的に今回のオリンピックのハイライトシーンは女子柔道63kg級の決勝、谷本歩実の一本勝ちにつきる。あんな見事な内股は男子でも見たことない。顔もなかなかかわいい。 北島康介はもちろん女子レスリングでも銅メダルを取った男子陸上短距離にしても、世界に伍して戦える選手を見ての感想は、みな白人や黒人に渡り合える堂々たる筋肉の持ち主だということ。
対して世界に通用しなかった男子バレーや女子陸上は外人に比べて筋肉が貧弱だった。これから日本スポーツ界が浮上する鍵があるとすればこのへんだなと、素人ながら思った次第。
女子400m×4リレーの選手なんて、丹野を筆頭に普通に街を歩いている綺麗な娘ッ子なんだもんなあ。女子レスリングのメダリストたちはといえば、みんな男前でチャーミングでありました。
127.0.0.1 ス 741 0 1218205535 対決−巨匠たちの日本美術上野の東京国立博物館平成館に『対決−巨匠たちの日本美術』を見に行ってきました。
平日17:00入りだったのになかなかの盛況。特に目玉作品があるわけではないので企画の勝利だろう。
本当にライバル関係だったのは狩野永徳vs長谷川等白位だが、この二人の(当時における)優劣を決めたのは徳川将軍家。歌麿vs写楽を直接評価したのは版元の蔦屋重三郎だが最終的に(当時における)優劣を決めたのは(版画を買った)江戸の庶民だ。
ことほどさように画家をとりまく環境は変化したが、彼らが何に向かって創作したかは結局対決でもなんでもなく本人のみが知ることなんだろう。木喰vs円空なんてライバル視とは全く無縁そうな二人が、実ははりあっていたらそれはそれで面白いが、そんな火の鳥鳳凰編みたいなことはまさかあるまい
*
帰りは谷中のたんぴょう亭。汗をどろどろにかいたので生ビールのうまいこと。生を2杯。菊正宗を冷やで2合弱。酒量はこのくらいがちょうどいい。鯖・鯛を刺身で、鯛は天麩羅でも、かますを塩焼き、最後は焼きおむすびで〆。
210.234.4.155 美 740 0 1217947375 海:クラゲ:赤福詳細は明日にでも
◇
といっても特筆するほどのことはないなあ。
ホテルの食事のとき、臨席の二人連れ(20代後半は30代はじめか)ホテルの部屋着などを着て、あきらかに二人だけで泊まってるカップルなのだが敬語で話している。よそよそしいというほどではなく、仲は良さそうだが他の若者のカップル客のようなまったり感がない。
う〜ん、どういう関係なんだろう。一番近いのが、昔は良くいた見合い結婚の新婚旅行が一番雰囲気が近いが……いまだに謎である。
余計な御世話といえばそのとおりだが、こちらも銀婚過ぎの夫婦、他人観察ぐらいしなきゃ間がもたんのだよ。
210.234.4.155 旅 739 0 1214059837 美人も一皮むけば『Modeling the Figure in Clay』(Bruno Lucchesi/WATSON GUPTILL)読了。
著者のBruno Lucchesiはイタリアの著名な彫刻家、らしい。
彼が26インチの塑像を作る過程を多くの写真で説明したのが本書。と言っても通常の制作方法ではない。
まずアルミニュームの芯の上に粘土で完全な骨格を作る。
次にその骨格の上に正確に粘土の筋肉を一つずつ張りつけて、いささかグロティスクな剥き出しの筋肉像を造り上げる。
最後にその骨肉像を粘土の皮膚でくるんで髪など細部を整えれば、画像のような優美な女性像が完成する。
もちろん著者のLucchesiも、いつもはこんな手順で作っているわけではない。写真文章担当の共同著者の序文によれば、美術解剖学的理解のため本書を制作したとのことだ。
実際、フィギュアや彫刻、塑像の制作の参考にはなりそうもない。美術解剖学の理解の点は私には判断しようもない。
しかし写真を見て説明をぽつぽつ読むだけでも十分に面白い。イブを創造する神の気分、と言うのはおおげさだが、怪物の妻を造るフランケンシュタイン博士(をのぞき見る)ぐらいの気分は味わえる。
61.198.185.246 本 738 0 1212936141 Wonder Woman: The Hiketeia『Wonder Woman: The Hiketeia 』(DCコミックス)読了。
先々々週、二日ほど休みを取って、世界遺産厳島神社に行った。帰りは神戸に寄ってきたのだが、神戸は個性的な古書店が結構あり、東京より洋書店が残っている。そんな店の一つで衝動買いしてしまったのがアメリカンコミックの「Wonder Woman: The Hiketeia」。
30年位前にTV放映していたワンダーウーマンの原作コミックだが、当時の絵柄はなんだかださくて全く興味がなかった。まあ、左のような感じである。(左は本書ではない。下の2枚が本書の画像)
しかし、90年代後半から2000年以降のアメコミの絵の変化は著しいものがあるらしく、神戸の店の店頭で出会った本書はなかなかにアーティスティックである。たちまちはまってアマゾンでハードカバーを2冊注文してしまった。衝動買いした同じ本がアマゾンでは1000円近く安く売っていたのには参った。
2番目の絵は表紙だが、「なぜバットマンが?しかも踏みつけられて…」という疑問はごもっとも。
本書では、妹の復讐のため殺人を犯した女性がワンダーウーマンに庇護を求めたため、法の忠実な守護者としてのバットマンと敵対することになる。ワンダーウーマンはスーパーマンに匹敵するパワーの持ち主だが、バットマンは人間。当然表紙のようなことになってしまうわけである。バットマンファンにとっては業腹なことだろう。
バットマンもスーパーマンもワンダーウーマンも同じDCコミックのヒーローヒロイン。とりあえずは作家性が重視される日本では考えられないが、アメコミではそれぞれのヒーローが別のシリーズの作品に出演するのは当たり前のようだ。
日本の漫画出版は基本、小説と同じカテゴリーだが、アメコミは編集長の力が絶大で、むしろ映画のプロデューサーに近いのではないかと思う。だから、作家も日本の漫画のように固定してはおらず、映画のスタッフのような扱いだ。日本の原作&漫画のような単純な分業ではなく、ライター(脚本)、ペンシラー(下描き)、インカー(ペン)、カラリスト(彩色)、レタラー(文字描き)と分けられてきっちりスペシャリストとしてクレジットされている。ときには各々複数人、さらに章ごとに違う人が明記されたりしている。
だからなのか絵のクオリティーは高い。しかし漫画として面白いかどうかは自分が日本人であることを差し引いても少々疑問である。少なくとも日本の漫画の方が個性的ではあり、ストーリーも変化に富んでいる。
どうも現在のアメコミ(特に本書のようなハードカバー本など)は一般の若者をターゲットにはしておらず、いわゆるマニア向けであるような気がする。表題の「Hiketeia」はギリシャ悲劇における嘆願を主体とする儀式のことだそうだが、とても一般的な単語とは思えない。
ストーリーもギリシャ悲劇の「オレステス」をモチーフとしたカタルシスもないダークな話である。ギリシャ悲劇らしく復讐の女神も現われる(下の絵参照)。
ちなみにバットマンの最新作コミックではスーパーマンとワンダーウーマンが恋仲で、なんと子供までいるのだそうな。もう、なんだかわかりません。
61.198.185.246 漫 737 0 1212850074 河鍋暁斎ジョサイア・コンドル『河鍋暁斎』(山口静一訳/岩波文庫)読了。
幕末明治期の天才画家河鍋暁斎。その群を抜いた画力に惹かれた弟子の中には、かの鹿鳴館の設計者コンドルがいた。「暁英」の画号を持つ愛弟子が、親しく接した師の姿と、文明開化の中で廃絶した日本画の技法を克明に記し、暁斎の名を海外にまで広めた貴重な記録。。(AMAZONの商品説明より)
なんといっても著者が師暁斎より贈られた「十七世紀大和美人図」について解説した章が圧巻である。
暁斎はこの英国人だが気の合う弟子コンドル(著者)が、政府主催美術展で賞を得たことがよほど嬉しかったのだろう。この大作を著者の目の前で制作している。もちろん著者はつぶさに見学し師の手順と説明を克明にノートに筆記した。
そのノートを元に書かれた本書の解説も文庫判で十八頁に及ぶ。木炭による素描に始まり、各部の線描、彩色、背景の個々のオブジェクトの描き方まで微に入り細を穿って描写されている。丁寧で明晰な文章は、漫然とした美術番組の制作画像などよりよほど臨場感にあふれていてわかりやすい(ような気がする)。
おそらく私のような素人にはプロの制作を見ても肝となる部分がわからないのだろう。コンドルのような玄人でしかも論理的な頭脳の持ち主(コンドルは鹿鳴館やニコライ堂を設計した大建築家)がポイントとなる部分を明確に説明してくれた文章の方がわかりやすいのは当然だ(どうもこの明晰で論理的な解説というのは日本人の苦手とするところのような気がする)。
「十七世紀大和美人図」だけでなく「龍頭観音図」「鯉魚遊泳図」といった代表作それぞれについて解説してある。また、基本的な「画材」の扱い、多数の素描を例にして「画法」を説明し、暁斎の技術の一端なりをなんとか残したいという真摯さが伝わってくる。
たくまずして西洋人に対する日本画論になってるのも面白い。平静平易な文章なのに読んでて少し興奮してしまった。名著であります。小さいながら百点以上の挿図挿画を含み、これが文庫で読めるのだからありがたいことだ。
もちろん暁斎の生涯、師事した者だからこそ書ける天才ぶりのエピソードも盛り込まれているが、著者であるコンドルの人となりの方も興味深い。そのへんは訳者解説に詳しいが、コンドル伝などもあれば読んでみたいものだ。
211.126.31.74 本 736 0 1212243179 フリーなソフトたち(3)画像関連ツール【アルバム整理】
絵を描くのはもっぱらPainterかPhotoshop。自分で描いた絵などは整理というほどのものではないし、サイト用にHTML化することで整理はされているともいえる。
厄介なのはネットを見てると自然?と集まる画像の数々(風景・動物などもあるがもちろんおねーちゃん画像が一番多い)。及び、自分と家族の撮ったデジカメ画像。フィルム代も現像代もかからないのをいいことに枚数ばかり増えてくる。
純然たるアルバムソフトとしてはGoogleがフリーで提供しているPicasa2がさすがに良くできている。フォルダという概念に縛られず、PC内の画像全てを一覧できるインターフェイスはなかなか新鮮。行方不明の画像が見つかるなんてこともあります。サムネイルも見やすく、表示もスクロールも早い。
しかし、私のPC内の画像はすでにかなり細かくフォルダに仕訳けして管理してしまっている。私の方がフォルダの縛りから逃れられていないのでメインの画像管理ツールにはできなかった。
画像はマイピクチャに全部入っている、というような人におすすめする。じっくりタグ付けしていったら面白いマイ画像データベースができる(はずです)。
【シンプル画像ビューワ】
OSのファイラ(エクスプローラー)に画像サムネイル機能などなかった時代から、私はシェアのACDSee(クラシック)を使っている。ブラウザ部分の機能は時代遅れだが、いまだに画像連続閲覧の軽快感はこれが一番だと思う。
フリーの画像ビューワにもIrfanView、VIX、XnView、FastStoneImageViewer、Leeyesなど高機能なソフトが沢山あり、使い勝手もACDSeeに遜色ない。
しかし高機能すぎるのも良し悪しで、レタッチはPhotoshopには当然及ばないし、アルバム機能もOSのファイラーで十分である。
そのためか、ACDSeeの最新版には開いて見るだけの軽いモードが備わっているが、もっとシンプルなフリーソフトがある。
Bmapはまさにシンプルビューワーの極致。操作と機能はシンプルだが対応画像の種類は多い。関連付けておいて、エクスプローラーで画像を選択→Enterキーで画像を開いてESCキーで閉じる、という単純明快な使い方ができる。
しかし、拡大縮小さえできないのはいくらなんでもという人にはFastStoneMaxViewer。
レタッチやスライドショー等、カタログ以外のほとんどの機能があるのに動作は軽快だ。拡大率を固定できたり微妙なところの使い勝手がいい。今はAcdSeeをサブにこれをメインのビューワとして使っている。
元は英語版。メニューやメッセージだけだったら日本語化しなくてもなんとかなるが、英語版のままだとファイル移動などで使うフォルダ検索ダイアログに日本語のフォルダ名が表示されないので、日本語化はほぼ必須。
同じように軽快感が売りのソフトにはMassiGra、NkV、Vieasなどがある。デザイン・スピード・細かな機能は色々違うので、適当にググってお好みでどうぞ。
【イメージキャプチャ】
この記事で使っているような画像や、仕事でマニュアルを作るときなどに必要な操作がスクリーンキャプチャーだ。
プリントスクリーンキーを押せばよさそうなものだが、Photoshopで切り取って保存とかは正直面倒くさい。そこで専用ツールの出番になる。
FastStoneCapture。指定ウインドや矩形選択はもちろんだが、ブラウザで1画面に収まらないページをスクロールして1画像にできるのが非常に便利である。
画像を切りとるとすぐ編集画面になる、レタッチ、トリミング、簡単なドロー、必要な機能はほぼ揃っている。
類似ソフトは色々使ったが、今のところこれが一番。
【類似イメージ検索】
調子に乗ってWEBでおねーちゃん画像を集めまくると、同じ画像を何回も集めてしまいがちである。記憶も薄れてくるし、前保存したのより画質がいいかもなどと欲張ってついつい重複画像が増えてしまう。
そのような類似画像を(ファイル名でなく画像自体の類似で)検索してくれるソフトも(当然)たくさんある。処理速度、検索精度等特徴があるので、自分にあったのを選ぶのが吉。
私の選択は Image Compare。
それほど頻繁に使うわけではないので、インターフェイスがシンプルで分かりやすく扱い易いのがいい。速度はあまり早くないが検索精度はなかなかです。
*
以上で私の愛用しているフリーソフトの紹介というか覚書は終了。
211.126.31.74 電 735 0 1211640949 フリーなソフトたち(2)テキストエディターネットに画像や動画があふれる時代になっても、具体的な情報の主体は「文字」が担っている。
というわけで今回のテーマはテキストエディターだが、Windows付属のメモ帳以外にテキストエディターをいじったことのない人も多いだろう。メモ帳もWin98以前より随分進歩している。あえて他のエディターを使う理由として考えられるのは次の3つくらいだろうか。
- プログラミングする人がソースエディターとして使う。
- HTMLをタグ手打ちで書く人がHTMLエディターとして使う。
- 小説・シナリオ等、大量のテキストを書く人が使う。
1のプログラミング、昔はCやBasicのソースをテキストエディターで書いてコンパイラ&リンカで実行ファイルを作成という手順を踏んだ。私もDOS時代はMIFESというエディターが必需品で、もっとも良く使ったソフトだった。しかし、今は.NET等の統合環境で作成するのが主流。テキストエディター単体の出番はほとんどなくなってしまった。
2のHTMLの作成でも、画像処理ができてWYSWYG(画面と印刷が一致)でCSSやXML対応な統合ソフトが一般的で、タグ打ち派は少数派の変わり者だけだろう。
3の文章書きは、一時はワープロより軽くて早いことからエディターで書くのがプロっぽいように言われたこともあったが、今のPCのパワーならワープロの重さはあまり気にならないだろう。テキストエディターにはアウトラインや段落という概念がないので、実は文章書きの基本機能を欠いている。WORDや一太郎のようなワープロソフトの方が文章書きには向いているのだ。
ということで「テキストエディター死亡」、という結論なのだが、個人的にはDOSの頃からの習性なのか、テキストエディターでカリカリ書くのが好きなのだから仕方がない。
前述のようにDOSではMIFES、WINDOWSになって最初は秀丸、ここ10年はずっとWZ-editorを使ってきたが、さすがに最近はなんでもできる高機能なエディターはうっとおしくなってきた。単純なものはメモ帳で十分。WZはプログラミング専用にして、同じテキストでも上記用途別にエディターを変えた方が使いやすいと思いはじめている。
【プログラミング】
これは商売なので、さすがに市販ソフトのWZ-editorを使っているが、開発も終わってしまい、なにに乗り換えるか思案中。
【HTML書き】
ずっとWZ-editor+HTMLCMDを使ってきたが、タグ直接手打ち派としては極力シンプルな方がいい。ということで見つけたのがCreccentEve
定型句機能でタグを挿入できる。タグを閉じられる。ブラウザを更新できる。文法チェックができる。これで十分。文字コード判別変換機能等必要な所はこまやかで好感度が高い。
ただ正規表現が使えないので検索・置換機能は弱い。ここはまだWZ-editorとの併用がかかせない。
【縦書き文章】
テキストエディターはそのソフトの性質からなのか機能重視で、デザインは二の次になりやすい。秀丸などは最たるもので、あのアイコンのデザインが嫌なので秀丸は使わないという人もたくさんいる。その他のシェアウエア、フリーウエアもデザインのレベルはまあ大差はない。
そんなやぼったさとは一味違うのがO's Editer2
縦書きで表示編集印刷ができるテキストエディターを探していて見つけたのだが、印刷書式をカスタマイズして登録でき、しかもそのスタイルのまま編集できるユニークな「WYSWYGエディター」だ。ヘルプにも「見た目がクール」を目指したとある。
見た目重視なのに動作があまり重くならないのもいい。縦書き編集も、ワープロソフトはもちろんWZ-editorに比較しても軽快だ。
2000円のシェアウエアだが、まあそれだけのことはある。
【メモ&テキスト管理】
ちょっとしたメモをパパッと取るのにエディターを起動して保存するのは結構面倒である。WZ-editorにはWZ-MEMOというおまけがついているが、お世辞にも使いよいとは言えない上に動作も不安定だ。
私が愛用しているのは紙2001というフリーソフト。その後紙CopiLiteという名前に変わり開発&サポートは終了しているが、ダウンロードはまだできるようだ。
有名ソフトだが、開発者が癖のあるタイプのようで2ちゃんのソフトウエア板などでは製品版がかなりボロクソに叩かれている。叩かれてるといっても、主にHTMLスクラップの機能とサポート全般についてなので、テキスト管理専用として使うのにはあまり関係ない。
ホットキーで呼び出してパッと書けばなにもしなくても保存されるので手間いらず。メモ一つがテキストファイル一つなので管理が簡単。「箱」という機能でカテゴリー分けもできるが、箱=フォルダなので分かりやすい。
プライベートでは1000強のメモ(テキストファイル)をこれで管理して重宝している。
*
本日は以上。次は画像ビューワーについて書く予定。
110.5.46.129 電 734 0 1211040749 フリーなソフトたち(1)Windowsはお世辞にもスマートなOSともパーフェクトなOSとも言えないが、唯一のアドバンテージは対応アプリケーションが圧倒的に多いこと。まあ、これはWindowsが支配的な地位にあるからで、結果にすぎないかもしれないが、いまだにWindows2000であまり不自由もなく日々を過ごせているのは、色々なフリーウエア&シェアウエアのおかげである。
【ウイルス駆除ソフト】
MS-OFFICEやゲーム以外でもっとも個人がお金を出して買っているソフトはこのカテゴリーだろう。理由は言わずと知れているが、この分野でもちゃんとフリーソフトが何種類もある。 → 無料アンチウイルスソフトの紹介
私が使っているのは「AVG Anti-Virus FREE」。ウイルス検索率などはとりわけ優秀というわけでもないらしいが、常駐させても重くならないのがいい。
日本語版はないし、日本語化パッチも最新版はないので最初の設定は辞書を引きながらになるが、UIはわかりやすいので難しくはない。一度設定してしまえば、度々、UIにお世話になることもないからあまり問題にはならないだろう。バージョンが旧いが日本語の詳しい解説ページもある。
上記の紹介サイトによれば、日本語化パッチが追いつかないのはバージョンアップが頻繁だかららしい。そのサイトでは欠点として挙げていたが、バージョンアップされないソフトよりずっと安心だと思うのだが。
【ディスクトップ時計】
いわゆるウィジェットのたぐいだが、デスクトップをごちゃごちゃ飾るのは趣味ではない。必要なのは時計ぐらいだ。 こういう小物は見てくれが命なのだが、フリーには意外とデザインがださいものが多い。シンプルなのはいいが機能一点張りだったり、逆に凝りすぎていたり。
中では、このYtClockが、Mac版もあるだけに?すっきりと洒落ている。
スキンを選択したりカスタマイズできる。マウスが近づくと半透明になるし、透明度も変えられる。私のデスクトップは一番左、つれあいのデスクトップは一番右のクマの時計が表示してある。
【PC高速化他ユーテリティ】
YtClockにはPC内臓時計のネット時刻合わせ機能がないが、Xtuneを常駐させているので常に正確な時刻を表示している。Xtuneの機能は次の5つ。
- 時刻合わせ(インターネット経由でパソコンの時刻を修正)
- インターネット高速化(各種インターネット回線に対応)
- システム高速化(パソコンの性能に合わせて自動高速化)
- メモリ最適化(メモリの利用状況に合わせて自動最適化)
- 個人情報の保護(パソコンに残った不要な個人情報を削除)
重宝してるのは最初の時刻合わせ。次の3つは使っているが効果があるのかはよくわからない。最後の機能は全く使っていない。
*
本日は以上。この次はテキストエディター、次は画像ビューワーについて書く予定。
58.157.55.186 電 733 0 1210949746 川本喜八郎「死者の書」
昨日の深夜はかの川本喜八郎の「死者の書」をNHKBSハイビジョンで最後まで見てしまったので、今頃になって眠い。
人形はもちろん素晴らしい。何度も何度も替えるヒロインの衣装の古代裂(に見える布)が美しい。
驚いたのはストップモーションアニメのはずなのに、薄衣や黒髪が見事に動く。軽やかに柔らかに動く。
そこだけCGなのか、扇風機で風を送って実写なのかとも思ったが、上記サイトの制作日記を読んで謎が解けた。
奥津「領巾(ひれ――ショールのように肩に羽織った布)の縁にはワイヤーが入っていて、実は堅いものなのですが、それを軽くて柔らかい布に見えるよう動かすのが大変でした。
それから、その領巾は上から何本かのタングステンという糸で吊っているのですが、それが0.02mmという髪の毛よりも細い糸なので自分たちの目にも見えず、その長さを変えながらアニメートするのに苦労しました。」
なんと、気が遠くなるような作業ではないか。布でこれなら、あの髪の毛は……見当もつかない。ものすごく大変なのだろうが、ものすごく面白いだろう。なんだかうらやましい。
どんな手間をかけても映像はほんの数秒だが、豊かな髪の毛をほどいてファサリとふくらみながら落ちるシーンなどは、ただそれだけで胸にズキリとくるものがある。
こういうのを見ちゃうとCGアニメはつまらんなあ。
211.126.30.176 映 732 0 1209989658 山川惣治展弥生美術館で開催中の『山川惣治展』に行った。
子供の頃見て感動したものを大人になって見直すと、なんだこんなだったかとがっかりすることが結構多い。今回もやや覚悟して行ったのだが、いい意味で裏切られた。
もちろん白眉は「少年ケニヤ」。ターザンの少年版ではあるが、キャラクタの魅力という点では、金髪の美少女ケイトと大蛇ダーナを擁するケニアが元祖ターザンに僅差で勝っていると(私的には)思う。
やたら恐竜が出て来るのも嬉しい。これがレトロな復元形態ながら、量感といい生物感といい、図鑑的で精緻な最近の恐竜イラストにはないダイナミズムがある。要するにわくわくしてくるのだ。
「少年ケニヤ」は昭和28年版とその後表紙と扉絵を描きなおした昭和51年版が展示されていた。51年版の方が垢抜けた画風ではあるが、旧版の方が迫力がありずっといい。しかし画家自身として描き直さずにはいられないのだろう。このへんは手塚治虫と一緒だね。
*
「少年ケニヤ」の先駆的作品で作者の出世作「少年王者」について、面白いエピソードがムックに載っていたので紹介しよう。お偉い良識なるものの害毒は昔も今も変わらない。
小松崎 いやァ、やっぱり少年物ではじめて男の子が女の子をだっこしてる絵をかいたのは「少年王者」じゃないかな。あれはセンセーションを起しましたよね。
山川 新聞にかかれたよ。『朝日』のコラムかなんかでね。少年王者がすい子を抱いて子供物を汚した……驚いたね。あれにはびっくりしちゃった。
小松崎 倒れてるの助けるの、当たり前なんだけどね。でも、それが当時はすごく革命的だったんだよ。
(小松崎茂と山川惣治の対談「古き良き時代」筑摩書房より)
*
後年、「ナショナルキッド」というTV番組がありまして、宇宙人が主人公の、まあ今でいうヒーロー物なのだが、そこで主人公がヒロインの女性を上の絵のように抱きかかえるシーンがあった。
番組中の少年少女(小学生役のレギュラー)たちのうち、リーダー格の少年(つまり中で一番イケメン)が、やはりリーダー格(もちろん一番美少女)の少女を(ヒーローヒロインを真似て)お姫様だっこしたのだ。
ほほえましいシーンということなのだろうが、視聴していた小学生低学年であった私は結構ドキドキしたのでした。しかし、決して汚れはしなかった、と思う。
◇
帰りは谷中のチョコレート専門店「シェ・イナムラ」でチョコレートケーキを2種類買って買える。店で食べていくこともできるのだが、さすかゴールデン・ウィーク。結構な混雑ぶりで店員さんみなてんぱっていて、とてもそんな雰囲気ではなかった。
ここのチョコレート詰め合わせはバレンタイン(でなくてもいいが)にはおすすめ。ただし、少々お高いので本命専用に。
58.157.55.186 美 731 0 1209826368 フォトショマジック休日も仕事を自宅に持ち込んでいるというていたらくで、なかなかネットをのぞくこともできないでいるが、この連休で客が動かない分追いついて、なんとか一息つけそうではある。
そんなわけでひさしぶりにPhotoshopでもいじりたいなと思っていたが、本日のところはとりあえず網戸の張り替え、雑草の始末などで終わった。
*
YOUTUBEにPhotoshopのチュートリアルやデモが随分アップされている。
作例は人物写真だが、私もたまにデジカメ画像を加工したりする。
なんでもできるのでついやり過ぎちゃうんですなあ。冷静に見返すと、加工前の方が味があって良かったりする。せいぜい、シミやにきびを消す、毛穴開いてるのだけ消す、歯や肌の色あいを健康的にする、ぐらいにしとくのが一番魅力的に仕上がると思う。幅を数%縮小するのは、まあ、アリです(笑)
リンク先は極端な例だが、他のも、加工前の方が人間味があって魅力的に見えるのは皮肉なことだ。
とはいえ2点ともプロの作例なのだろう。見事な技術ではあります。ただ、フリーハンドの髪の毛はひどいな。あれなら私の方がましだぜ。
61.198.196.223 絵 730 0 1205072955 落語な日暖かで実にお出かけ日和の休日ではありましたが、NHKBSHiで『立川談志 きょうはまるごと10時間』をやるとあっては出かけられない。
演目は「やかん」「へっつい幽霊」「三方一両損」「芝浜」「粗忽長屋」「品川心中」(珍しい後半も聞けた)、そして「居残り佐平治」52分。いいラインナップですな。
といっても10時間ぶっとおしでTVにかじりついていたわけではない。
爆笑問題の談志を語るだの、友人知己の座談会などに興味はない。お目当ては当然家元ご本人の落語のみ。番組の冒頭でそれぞれの噺の放映時間のタイムテーブルがテロップで流されたから、時間になったらTVをつければいいだけ。民放では考えられない。さすがにNHKは親切だ。
ここのところ、NHK総合放送では深夜に上方落語を特集していたし、この姿勢を忘れないでくれれば受信料など全然惜しくはない。
61.198.185.158 TV 729 0 1204468341 フェイク・スイーツ写真は知人の芸術系高校生の娘さんの作品。おいしそうでしょ。
私の米寿のお祝いに作ってくれた……ものでは全然なく、立体感覚養成を目的とした授業の課題だそうだ。課題は「自由に粘土で立体を作る」。そう、これは全部粘土でできた「ショートケーキ」なのだ。
浅草はほど近いので合羽橋で食品サンプルは見慣れているが、粘土製とはおどろいた。スポンジのフワフワ感や苺のみずみずしさ、生クリームの適度な湿り気まで質感が良く出ているではないですか。
フォルモやファンドなど色々な種類の粘土を組み合わせているのではないかと思うが、写真で見る限りなので、今度じっくり本物をおがませてもらいたいものである。
しかし楽しそうな授業だなあ。
◇
読了記をさっぱり更新しなくなってしまったので、日記の読書カテゴリの記事を書名別索引に追加しました。約70冊分。著者名別索引はまだです。
211.126.30.104 美 728 0 1202739819 スウィーニー・トッド
MOVIX亀有に『スウィーニー・トッド』を見に行く。
監督ティム・バートン、主演ジョニー・デップで19世紀が舞台の伝説的復讐劇と聞いて期待せずにはいられない。
いわゆるグラン・ギニョール、スプラッター・ホラー・ミュージカル。流される血の量は画面に現われるだけで小さめの風呂桶いっぱいくらいはありそうだ。
さんざん鼻血を出したので血には驚かないが、射殺や撲殺ではなく、なんといっても副題は地獄の理髪師。剃刀でズッパリ切られるのが痛そうでたまらない。喉のあたりがムズムズする。対抗できるとすれば地獄の歯科医くらいか。地獄の耳鼻咽喉科医も結構怖いかもしれない。
彩度を抑えた19世紀英国の貧しい街並みが美しい。どんより湿ったロンドンの空気が美しい。モノクロームに近い画面にほとばしる真紅の
血飛沫 が美しい。ジョニー・デップとヒロイン、ヘレナ・ボナム=カーターは怪演だが、これが映画デビューとなる若いカップル役の二人が初々しくも美しい。おぞましい復讐劇の清涼剤になるかならないかは微妙なところだが、特に若い航海士を演じたジェイミー・キャンベル・バウアーの美貌は、血飛沫が苦手な人も見にいく価値があるかもしれない。
*
帰りはつれあい推薦の松戸のイタリア料理の店へ。赤ワインとミートパイを頼んだのは言うまでもない。
127.0.0.1 映 727 0 1201928326 混成言語一昨日の仕事帰りに六本木から乗ったメトロ車内でのこと。
私の斜め前の席に女子高生の二人組みが坐って英語で会話していた。時刻は16:30ぐらい、下校時間だったのだろう。
顔を見るとあきらかに東洋人(日本人)と白人のハーフだ。ハーフの風貌というと白人の濃さと東洋人の薄さを打ち消しあって、いい具合になる、と言う先入感(期待感?)が私にはある。
しかしその二人は、普通の白人と普通の東洋人がまざって目の色は薄く髪もナチュラルな鳶色だが、顔立ちはいたって普通。普通のハーフでというのも変だが、そうとしかいいようがない。要するに美少女ではない。
ハーフというと土屋アンナみたいのを連想してしまう私が馬鹿なだけだが、私のような日本人も少なくないだろうから、勝手に期待?されるご当人たちにとっては迷惑な話だろう。
そんなくだらないことを半分考えながら本を読んでいた私の耳に彼女たちの会話が聞こえてくる。その年頃の少女にふさわしいやかましさは英語でも日本語でも同じだなあなどと思っていると、どうもただの英語にしては少々妙である。
あきらかな英語(もちろん私は内容はわからないが)の途中に、どうも英語らしくない断片がちょろちょろとまざっているのだ。「それで」とか「そしたら」などの間投詞、あきらかに日本語である。
そのうちその日本語の分量が増えてくる。「;laksd;fjnfafpっていうかra[wp@szxdhgak、ってキレてさあfklda;ga@[456#)%D冗談じゃないよね」という感じだ。
日本語は訛りがない完全な、というより完璧にいまどき女子高生らしい発音、英語はネイテブっぽい流暢な発音。それが切り替えの休符も一切なく、まったくランダム(のように私には聞こえた)にまぜこぜにしてしゃべっている。しかも少女二人ともがその調子で、なんの違和感もなく会話を続けていくのだ。
会話の雰囲気はただのがらの悪い女子高生だし、たぶん話の内容もしょうもないことなのだろうけど、なにか不思議な話芸のようで聞き入ってしまいました。
*
しかし、21世紀らしい言語空間に接した日の私の買物は、怪談の古典本、怪談映画のDVD、落語ドラマのサントラ、と、まるっきり昭和テイストだった。
これで小春日和の縁側で渋い茶をすすりながら怪談でもゆっくり読めれば、落語のご隠居らしくて申し分ないのだが、残念ながら集合住宅住まいでベランダしかない上に、小春日和どころか今日の東京は雪になるそうな。
127.0.0.1 雑 726 0 1201841860 CT体験
結石の検査のため、日大病院でCT(Computed Tomography)=X線コンピュータ断層撮影を受けた。
といっても、造影剤も使わず、妙齢の看護婦さんに「ズボンをヒザくらいまで下ろしてください」と言われて情けない格好でベッドに横になっただけ。あとはベッドが勝手にスライドして、こちらは指示通り深呼吸を2回しただけで、5分足らずで終わってしまった。あまり書くこともないので、ネットで拾った一番おおげさな画像を載せておく。私がくぐったのはこれよりだいぶつつましい。
10分ほどで写真ができたので、それを持って診察室へ。結果は石は見当たらず、尿検査も血液検査もまったく異常なし。先生は「石が出て直っちゃったんだねえ」と物足りなさそう。まあ、初診のときがすでに「昨日石が出たんですが」という、出産後に産婆を呼んだような間抜けな患者だったのでしかたがない。
「日頃、水をたっぷり取ってね」という簡単な注意だけで、無罪放免。また石ができることもあるだろうが、とりあえずこれで2年くらいは石の心配はしないでよさそうだ。
127.0.0.1 身 725 0 1200822252 『耳嚢』より「金精神の事」『
耳嚢 』を読みはじめた印象は、怪談集というより根岸鎮衛が面白いと思ったことはとりあえず何でも記しておくという、今ならブログのような趣の随筆集のようである。市井の事件、噂、将軍貴人の逸話(かなりよいしょが入っている)、剣豪の伝説、名所旧跡の縁起、藝談。落語や笑い話の元ネタのような話もある。
中にエロっぽい怪談という、怪物領域向きというか、私好みの話があったので以下に紹介してみる。
現代語訳は不肖私なので、間違いがあるやもしれませんが、ご容赦のほどをお願いします。
*
金精神 の事127.0.0.1 本 724 0 1200580901 耳袋
津軽藩の藩士が語るには、藩内にカナマラ大明神といって、黒銅で作った陽物(男根形のこしらえ物)を神体として崇拝し祭っている土地がある。「どういういわれがあるのだ」と聞いてみると、土地の古老が答えるには「昔、この地にひとりの長者がおりまして、夫婦には一人の娘がありました。娘は大変な美人に成長し、その姿の艶麗なることは近隣に比べるものがありませんでした。父母の娘を愛することはたとえようもありません。土地の若者たちは競って贈り物をし、娘を妻にもらい受けようとしましたが、長者には男の子がいなかったため、娘に婿を取ることにしました。しかし、なんたることか、婚姻が整ったその夜に花婿が頓死してしまったのです。その後も何人か婿を入れましたが、いずれも最初の夜に即死したり逃げかえったり結婚が成立した者は一人もいませんでした。両親の驚きは尋常ではありません。娘に聞いてみると『みんな初夜の交わりのときに即死したりおびえたように逃げ出したりするのですが、私にもなぜなのか訳がわかりません』という答えで、父母はこれも何かの因果かと嘆きましたが、逃げ帰った男の一人をつかまえて問いただすと『花嫁の陰中に鬼の牙のようなものがあるのです。私は傷を負って逃げ出したのですが男根を食い切られた者もおるでしょう』と話しました。この話はやがて広がってしまい、娘もつらい思いをしていました。ところが、ある男がこのことを聞き、私が婿になりましょうと申し込んできました。男は銅で陽物を拵えて婿入りしてくると、初夜の閨にその黒銅を持ち込み、まず花嫁の陰中にそれを入れました。例の如く、花嫁の情が高まってくると牙が黒銅に食いついてきました。牙はすべて砕け黒銅を取り出すと一本残らず抜け落ちました。この後、娘は普通の女性となり男と幸せに暮らしたということです。その後、長者の家では黒銅の男根を神として祭り、今にいたるまで崇敬しているのです」と語った。
出産した結石の分析と治療のため、耳鼻科で通っていた日大病院の泌尿器科へ行く。鼻血の次は石でお世話になります。
ここから勤務先までの途中に行きつけの古本屋があり、ついつい買ってしまうのは前にも書いた。
今回買ったのは根岸鎮衛著『
耳嚢 』(長谷川強校注/岩波文庫)。上中下で二千円はお買い得。ここのとこ体調が悪いのであまり重い本は読みたくない。ので、つれあいに借りた時代小説『耳袋秘帖〜赤鬼奉行根岸肥前』などを読んでいた。まあ、内容はTVの時代劇程度の軽さでなんということはないが、この小説の主人公が実在の南町奉行、
根岸肥前守鎮衛 。奉行としても有能だったらしいが、江戸の面白い話不思議な話奇妙な話を千編も集めた奇談集『耳嚢』を著わしたことで名高い。宮部みゆきの「霊験お初」シリーズにも登場する。
小説を読んでいるうちに、本物の『耳嚢』を読みたくなっていたので丁度良い。時代小説家のネタ元としては、旧くは『今昔物語』、ちょっと前は
松浦静山 の『甲子夜話 』が有名だが、最近はこの『耳嚢』が人気のようだ。読みはじめたばかりだがなかなか面白い。現代語訳ではないが、平安時代などの古文ではなく江戸期の随筆なので難解な言い回しなども少なく、まずまず読みやすい。一年くらいかけてのんびり読むとしよう。これを読み終わったら、『甲子夜話』をさがしてみようか。
58.157.55.186 本 723 0 1200494438 二年ぶりの石昨年末からずっと調子が悪かったのだが、今朝、排尿時に珍々の付け根に痛みが走った!
これは結石に違いない。二年前のような激痛発作はなかったが、間違いない。あわててもしかたがないので、たっぷり水を呑んで出勤。
会社について早速トイレに行った。しかし、勢いがもう一つだったか、石がせりあがってきた感じはしたのだが、出口まで達せず、途中で停まってしまった。気持ち悪いったらありゃしないが、排水用タンクが空になってしまってはしかたがない。
水、紅茶、お茶をがぶ飲みして昼前に再チャレンジ。
今度は水量十分だったので、ぐりぐりっぽーんという感じで無事発射成功した。やれやれ。
出てきた石は4mm×2mm程度、大きさは二年前のものと大差ないが、二年前のような鋭い角のような部分がなく比較的円い形だったので、激痛がなかったのだろう。
鼻血の次は石。出してばかりだ。たまには金とか聖杯とかホイホイカプセルとか出て来れば面白いのだが。
58.157.55.186 身 722 0 1199177622 謹賀新年
朝から酒を呑んで寝てしまったので、こんな時間に更新。 もうちょっと色っぽい絵も描いているのだけど、間に合わなかったので、家族用の年賀絵でご挨拶させていただきます。
本年もよろしくお願いします。
210.169.68.46 絵 721 0 1199103172 【本】私的年間ベスト10【2007】恒例の今年の読了本のベスト10です。
- きもの 幸田文(新潮文庫)
- 神は妄想である リチャード・ドーキンス(早川書房)
- 愛その他の悪霊について G・ガルシア・マルケス(新潮社)
- 日本の歴史をよみなおす(全) 網野善彦(ちくま学芸文庫)
- 儒教とは何か 加持伸行(中公新書)
- ロリータ ウラジミール・ナボコフ(新潮文庫)
- AΩ 小林泰三(角川ホラー文庫)
- コスモポリタンズ サマセット・モーム(ちくま文庫)
- 敵 筒井康隆(新潮文庫)
- 魔女は夜ささやく ロバート・R・マキャモン(集英社)
今年読んだ本は40冊強。数は少ないが良い本に巡り合えた年だと思う。読める本は年々減っているけれど、読む本を選んでいるせいでもあるのだ。いや、ほんと。
210.169.68.46 本 720 0 1198162544 塚原卜伝耳鼻科通いもようやく終わった。通院途中の古本屋にも当分寄らなくなるので、何か能天気なのを一冊と思って買ったのが、「講談名作文庫『塚原卜伝』」(講談社)。
昔の人はこういうのを楽しんでいたんだなあなどと上から目線で読みはじめたが、根が時代劇好きなおっさんなので、すぐはまってしまった。
時代考証は目茶苦茶だが、文章の調子が実に面白い。エンターテインメントは乗りの良さが大事なのは今も昔も変わらない。
『やっ』と一声うちこむ竹刀、心得たりと伊勢守、陰のかまえを陽にひらき、
丁々発止 、、丁発止 、十七八合というもの打ち合ったるありさまは実にものすごいばかりでございます。まさに「声に出して読みたい日本語」である。
井川洗涯の挿絵がなかなかいい。
◇
最初に書いたとおり、やっと耳鼻科の先生から治療終了のお達しをいただいた。最初の鼻血大量噴出が8月の終わり。長かった。
まあ、傷はふさがっても出易いことはかわりないので「
出たらいつでもいらっしゃい」とのこと。ありがたいが、あまり行きたくはありません。でも、ありがとうございました。いつ鼻血が出るかとひやひやしている日常から開放されただけでも随分気分が違います。別の医院で2年ぶりに検査した胃内視鏡も異常なし。今回は鼻から通すタイプだった。少し痛いが喉から入れるものより全然楽。こういった技術はまさに日進月歩でありますな。
ピロリ菌もゼロだった。抗ウツ剤も増やさずに済んだし、血圧も安定している。
ということでなんとか体調もやっと上向いてきてがんばるぞ、と思ったらもう年末ではないか!
210.169.68.46 本 719 0 1196608448 秋のような初冬のような休日今日は珍しくつれあいが歯痛で熱を出し寝ていた。私もちょっとした家事をする以外は、おとなしく快楽亭ブラックの落語のCDを聞いたり(家族とはいえ女性がいるとこでは聞くのをはばかれるような内容なのだ)、アダムスの画集をながめたり、楳図かずおの『神の左手悪魔の右手』を読んだり(無茶苦茶怖い)してすごす。
*
読み終わった本も結構あって感想も書きたいのだが、どうも進まない。書名だけでもメモしておく。なぜか神・宗教に関わるのを偶然にも続けて読んでいる。
リチャード・ドーキンス『神は妄想である』、宮部みゆき『楽園』、マキャモン『スティンガー』『魔女は夜ささやく』、加持伸行『儒教とは何か』、小谷野敦『日本売春史』、小林泰三『AΩ』、乃南アサ『ボクの町』、快楽亭ブラック『放送禁止落語大全2』、網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』
61.198.187.18 雑 718 0 1196346475 アダムスファミリーの人鼻血ブー以来、大学病院の耳鼻科に週一回ほど通っている。やっと完治が近くなってきた模様。
毎回見てくれるのは若くて色白の美人先生。いつも行きつけの会社のとなりの内科医院の院長先生は長身のハンサム。年4回ほどメンテナンスしてもらう歯科医院は私よりちょっと年下ぐらいの美熟女先生。私の医療環境は美形が多い。治癒効果が少しはあがりそうな気がするがどうだろうか。
*
朝病院に寄ってから会社に行くまでの道に昔よく通っていた古本屋がある。素通りできずに寄ると、二回に一回はなにか買ってしまう。
今日、目に入ったのはチャールズ・アダムスの画集。三百頁もあるズシリとくるハードカバーの大型本。なんと千五百円という嬉しい価格。思わず美人の店員さんに値段を確認してしまいました。もちろん買いましたとも。
英語版なので、キャプションはピンとこないのも多いが、だいたい絵を見ればわかる。ほくほくほく。
58.157.55.186 絵 717 0 1195742890 『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌展
東京ミッドタウンに引っ越したサントリー美術館に「国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌展」を見に行った。 有名な甲巻の、やはり現物をみないとわからない墨の濃淡の妙を堪能したが、あまり見る機会のない、乙巻丙巻丁巻が意外と面白い。
乙巻は動物図鑑、丙巻は北斎漫画のような人物絵巻。そして丁巻はまるっきり絵柄の違う飄逸な線ながら、デッサンの確かさは上の画像をご覧あれ。
26日以降展示替えがあるらしい。また行けたらいいのだが、今日も結構混んでいた。仕事を無理矢理17時で終わらせ18時少し前に見はじめたときはまだ空いていたが、全て見終って再度甲巻を見ようと戻った19時には長蛇の列、二度見はあきらめて出口に向かった。16時〜18時くらいが狙い目のようだ。ご参考まで。
211.126.31.153 美 716 0 1194101269 黒い顔友人のサイトで見事なロールシャッハテストの模様を見たとき、私が(中学生だったと思うが)昔作った切り絵を思い出した。
二つに折った紙を切って拡げたときの左右対象性が面白くて何枚か作ったが、スクラップを見直したら一枚だけ残っていた(たぶん、自分では一番出来がよかったのだろう)。モチーフは悪魔のような鬼のような怪物の顔。雀百までというか、進歩がないというか。
210.169.69.101 絵 715 0 1193577518 コスモポリタンズサマセット・モーム『コスモポリタンズ』(龍口直太郎訳/ちくま文庫)読了。
短編集。収録された30編のほとんどが文庫判で7、8頁、一番長くても20頁に満たない。当時(1924〜29年)の英米文学ではポーのような短編の名手はいたが、これほど短い小説は前代未聞だったらしい。
それだけに2編くらいはエッセイに毛が生えたような話もあるが、ほとんどは意外性のあるラストで締まる切れのある名品ぞろいである。「ショートショート」の元祖と言っていい。
「意外性のあるラスト」と言っても、最近のミステリーショートショートのような驚かすことだけを狙ったような落ちはない。短い中で簡潔に描写された人物の内面が、ラストの科白であざやかに浮かび上がる、という見事な話がたくさんある。うまいものである。
「コスモポリタン」は連載された雑誌名だが、「国際人」の名称にふさわしく、ヨーロッパだけでなく上海や横浜、神戸から南海の無名の島までが小説の舞台になる。鳥羽の養殖真珠なんてのも出てくる。
モームの名人芸を気軽に楽しめる一冊。30編の内、私が一番好きなのは「ルイーズ」。戦慄すべき悪女の話であります。
210.169.69.101 本 714 0 1192973612 怪獣は美術だ三鷹市美術ギャラリーに怪獣と美術−成田亨の造形芸術とその後の怪獣美術−展を見に行った。
伊豫田さん情報により見逃さずに済んで感謝。終了一日前の休日とあって混雑を覚悟したが、意外と空いていた。嬉しいような淋しいような。
怪獣映画や怪獣絵画については古今東西かなり見ているつもりだが、ひいきめ抜きで、やはり成田享の怪獣造型力は世界一であると再認識。
成田自身、怪獣造型を手遊びとは捉えていない、本業の「芸術」と不可分なものであったのが伝わってくるのが嬉しい。
TV映像に直接つながるデザイン画は画集等でよく見ていたが、一枚絵として描かれた作品群がとてもいい。ウルトラマン・ウルトラセブンのレジンの彫刻の前にはしゃがみ込んでながめてしまった。また粘土を捏ねてみたくなる。
*
ジェロニモンとグビラのデザイン画はTVより遥かにかっこよかった。
疾走するケムール人を描いた素晴らしい水彩画があったが、あらためてケムール人の正体はアレだろうと思う。
110.5.46.129 美 713 0 1191761696 ワインラベルの巨匠牛久ワイナリーで神谷伝兵衛記念館などを見てきた。神谷伝兵衛はデンキブランで有名な神谷バーの神谷。日本ワイン醸造の父だそうな。園内のレストランで食事をしたが、飲んだのはワインではなく地ビール。昼間っから3種類の地ビールを飲み比べて、今は眠くてしかたがない。
記念館は巨大なワイン樽と真っ暗な貯蔵庫は雰囲気たっぷりだったが、まあ想像通り。
展示物で面白かったのは、外国のワイナリーから贈られたというワインのコレクション。ラベルがすべて巨匠レベルの画家の手になるもの。画像は左がピカソ、右がバルチュス。他にデルボー、キスリング、ウォーホール等、そうそうたるメンバー。
バルチュスのラベルは児童虐待だと難癖がついて、米国では絵の部分を空白にして販売されたそうな。ワインは大人の飲み物だろうに、無粋なことである。
61.198.191.127 美 712 0 1190554249 武部本一郎展
弥生美術館で開催中の『武部本一郎展』に行った。 もちろん世界一のデジャー・ソリスを描いた武部本一郎。
私にスペースオペラの面白さを教えてくれたバロウズ(ターザンの原作者)の火星シリーズ・金星シリーズ・ペルシダーシリーズの創元文庫の原画がたっぷりあったのは感涙ものでした。火星シリーズの未発表挿絵(未採用の別バージョン)もあったり、ファンの方は見逃さないのが吉でしょう。
天才型ではなかったようで、初期の紙芝居絵や挿絵があまりうまくなかったのはご愛敬。岩田専太郎や石原豪人が最初から上手かったのとは対照的だ。ターザンの挿絵などは昭和30年代の作品と15年くらいあとの作品と並べてあったが、出来は雲泥の差だった。やはり創元のSF関係の挿絵を描いたあたりからが最盛期でしょう。そのかわり晩年の作品までずっと筆勢の衰えは感じられなかった。
*
いつも河出書房から出る展覧会に合わせたリーズナブルなムックはなく、内容貧弱で莫迦高い画集があったきり。これならもう一回原画を見にきた方がいいので、当然買わない。
*
近くの根津神社と乙女稲荷神社にお参りする。この辺は根津藍染町、根津八重垣町などの粋な地名だったようだ。今は根津何丁目という無粋な名前に変わってしまっている。
◇
マキャモン『スティンガー』(扶桑社文庫)、小林泰三『家に棲むもの』(角川文庫)、網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』(ちくま文庫)、筒井康隆『ヘル』(文春文庫)、ドーキンス『神は妄想である』(早川書房)、快楽亭ブラック『放送禁止落語大全2』(洋泉社)読了。
マキャモン『魔女は夜ささやく』(文藝春秋社)、サマセット・モーム『コスモポリタンズ』(ちくま文庫)、楳図かずお『私は真悟1〜6』、桑田次郎『ウルトラセブン1・2』購入。
61.198.191.127 美 711 0 1188133339 鼻血ブービリー・ザ・ブートキャンプなどで汗を出して夏を乗り切ろうなどと張り切っていたら、好事魔多し。
鼻掃除などしたら、タイトル通り鼻血ブー状態になってしまった。それも粘膜や毛細血管でなくまともな血管を傷つけたらしく、結構な量で止まらない。暑くて少しのぼせてもいたのかもしれない。
元々鼻炎気味で、ひどくなると鼻血がでることもあるのだが、こんなにひどいのははじめてだ。
実は最初に傷つけたのは先週で、医者には一週間はいじるとまた出血するよと言われたのに、守らなかった私が全て悪いのです。
呼吸もしづらくなってきてちょっとパニックになったが、幸い休日診療で耳鼻科が開いていたので、血まみれで駆け込んだ。
両鼻(傷ついてない方にも廻るので)にガーゼをいやというほど詰込まれ、血止め薬を処方していただき、なんとか流血は小康状態。2日後にガーゼを抜くまでは呼吸も満足にできません。情けなや。
そんなことで、折角の休日なのに何もできませんでした。色々、不義理をしているみなさん、すみません、もう少しお待ちください。 (結局、言い訳かい)
61.198.191.127 身 710 0 1186671247 信州旅行
去年は松坂で籔内佐斗司作品に遭遇したが、今年は長野の善光寺で籔内佐斗司の作品に出会った。
(日程:小布施→黒部→白馬→長野)
3枚目は、手前の馬鹿も背景のオブジェも、もちろん籔内佐斗司の作品ではない。
*
黒部で見つけた長野名物リンゴをモチーフにしたおみやげグッズ。その名も「リンゴリゴ14」。
どこにもさいとうプロの許諾とかの文字はないのだけど大丈夫なのかいな。
210.169.68.236 旅 709 0 1185959768 三つの訃報先週末から思い出深い有名人の訃報があいついだ。私にとっては参院選より大きなニュースでありました。
*
スウェーデンのTT通信によると、20世紀を代表する映画監督で演出家のイングマール・ベルイマンさんが30日、同国フォール島の自宅で死去した。89歳だった。 (7/30:asahi.com)ベルイマンは本当に大好きな監督だった。以前書いた日記にリンクを貼っておく。→魔術師
*
現代人の孤独や絶望感を描いた「太陽はひとりぼっち」や「赤い砂漠」で知られるイタリアの映画監督ミケランジェロ・アントニオーニ氏が30日、ローマの自宅で死去した。94歳だった。(8/1:ZAKZAK)『さすらい』は退屈で寝てしまった記憶があるが、『欲望』や『情事』はサスペンスフルな心理描写が面白かった。モニカ・ビッティが美しく妖艶だったし。
*
“プロレスの神様”として知られ、無我ワールド・プロレスリングの名誉顧問を務めるカール・ゴッチ(本名カール・イスターツ)さんが28日、米フロリダ州タンパで亡くなったことが分かった。82歳だった。(7/30:ZAKZAK)40年近く昔に国際プロレスに来たとき(ゴッチは40代前半だった)、当時でも200kg近くあったモンスター・ロシモフ(アンドレ・ザ・ジャイアント)をジャーマンスープレックスで投げて固めたのを見た。凄かった。相手がジャンプしたんじゃないのなどという書込みが2ちゃんにあったが、リアルで見た私が断言する。そんなことはない。
50歳近いときには猪木のキーロックを片手で持ち上げてはずした。そんな外し方見たことなかった観客はどよめいたな。格闘技系のような言われ方するけど、スタイリッシュなプロレスラーとしてすばらしかったと思う。
本物の河津掛け(後ろにバタンではなく、かけた脚を軸に相手を放り投げる)はこの人が猪木にかけたのと、相撲の陸奥嵐のしか見たことない。
61.198.187.86 映 708 0 1184596710 14歳楳図 かずお『14歳』(小学館文庫)読了。
文明が荒廃した近未来。バイオ鳥肉の細胞から誕生した天才科学者"チキン・ジョージ"を中心に、滅亡の危機に瀕した人間たちの苦闘を描く、楳図ワールドの集大成的作品が、待望の文庫版で登場。 (AMAZONの商品紹介より)
昨日の口直しではないが、SF漫画史どころか日本SF史に残る傑作。読後のインパクトは『火の鳥未来編』も『アキラ』も到底およぶところではありません。
著者の休筆直前作ということもあって、途中から絵があきらかに荒くなっていく。絵に楳図独特の生理的怖さが感じられないのが少し物足りないが、人類・宇宙の未来史という壮大なテーマを怒濤のようなストーリーテリングで語り尽くすドライブ感は素晴らしい。
未来の車・都市・宇宙船といったガジェットは、現在の漫画のスマートなメカニカルな描写と比べれば泥臭い。泥臭いがオリジナリティバリバリの楳図にしか描けない未来のオブジェクトは、ハリウッド紛いの「SF」漫画にはない面白さでいっぱいだ。
ただ、ラストが端折り気味なのが惜しい。ラストの感動は『漂流教室』の方が上ではある。その分スマートにまとまった『漂流教室』にはない異様なわけのわからなさがある。目を疑うような性的な暗喩・直喩も満載で、今、もう一度読み直したくてしかたがない。
61.198.187.86 漫 707 0 1184507285 竜の柩高橋克彦『竜の柩』(祥伝社ノンノベル)読了。
“竜とは何か?なぜ西洋では悪魔、東洋では聖なる存在なのか?”古代文化の栄えた津軽十三湊、長野皆神山ピラミッド、諏訪と出雲…。奇怪な土地買収事件を発端に、各地に残る“竜”の痕跡を辿り始めたTVディレクター九鬼虹人に執拗な妨害が連続した。やがてローマ・ヴァチカンの黒い影が浮上し、謎を追って九鬼はインド、パキスタン、トルコの調査行に旅立った…。待ち受ける敵と謀略。“竜”が語る驚愕の真相とは?文明史とその定説を覆す壮大な推理で激賞を浴びた大河伝奇巨編。 (AMAZONの商品紹介より)
左の画像は講談社文庫版の表紙
紹介文にある通りムー系の伝奇小説で、半村良など数少ない良質の例外をのぞいて、あまり私が好みとするジャンルではない。しかし、ネットでは結構評判が良く傑作だとの声も高いので、読んでみたのだが……
冒頭に登場する人物の名前が「九鬼虹人」「咲村純」「東哉期」「緒方連一郎」「有明蓉」「宗像剛蔵」というネーミングセンスなのには嫌な予感がした。予想違わず、いやあ、読み終わるのがきつかった。
バカ話はきらいではないし、本書も世界の伝説に竜=空飛ぶ円盤説を探すバカ話の部分だけ拾い読みしていけばまあそこそこ面白い。しかしそれらをつなぐ地の部分=人間のドラマ部分がなんとも稚拙で退屈きわまりない。
バカ話も単なる雑多な事実をつなぎあわせてスゴイでしょと言っているレベルで歴史観をくつがえす斬新な視点も、仮説に託した思想性もない。
文章は輪をかけてひどい。「無惨そうな視線」という日本語になってない表現や、役不足の使い方を間違っていたり、科白はくさいわ青いわ、もうプロの作家のレベルとは到底思えない。
下手なアクションや敵役との闘争などはやめて『星を継ぐもの』のように歴史トンデモミステリーの謎解きだけで構成したらまだ面白かっただろう。別に惜しいとは思わないが。
*
年の功で、本の選択は誤らなくなってきたのだが、たまにはこういうこともある。
心はずまないが、つまらなかったというのも情報のうち、と思い一応書いておく。
61.198.187.86 本 706 0 1183903699 カツ丼のレシピ週末は珍しくかみさんが風邪を引いて熱を出していたため、ひさしぶりにおさんどんをすることになった。
病人はおかゆに玉子か梅干しを落としてやればそれでいいのだが、腹っぺらしのいつ帰るかわからない餓鬼はそういうわけにもいかない。私も結構空腹だし、会社の帰り(金曜夜)にスーパーで豚カツを2枚買った。
ソースとキャベツの千切りだけでは、揚げ立ての自家製ならともかく出来合いのカツレツではちょっとさびしい。一手間かけてカツ丼にすることにする。
さいわい冷蔵庫には長葱があった。カツ丼には玉葱というレシピが多いが、ちょっと甘すぎてしまうので私は長葱を使う。
まずタレを作る。めんつゆを薄めるだけでも良いが、出しをきかそうとすると塩味が強すぎる。簡単なので自分で合わせる。以下の通り(分量は2人前)。
- 水 200CC
- 和風出し顆粒 小さじ1
- み り ん 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 醤 油 大さじ1
- 砂 糖 小さじ1
長葱大1本をざく切りにして上記の出し汁で煮る。葱が透明になったら火を止める。
丼にご飯を盛っておく。
親子丼用の片手鍋に切ったカツ一人前を並べ、煮汁と葱を入れて火にかける。軽く煮立ったらかき混ぜた玉子を廻しかけ、表面が固まりはじめたら煮すぎないうちに火から下ろし、丼のご飯の上にさっとのせれば出来上がり。
誰か帰ってくればそのたびに一人前ずつ作れるのが丼もののいいところ。面倒くさくなったら自分でやらせればいい。
*
土曜日は冷凍の味付け鶏肉を残り野菜(キャベツ・人参)とニンニクをたっぷり入れて炒めてなんとか格好をつける。なんだか疲れたので(疲れてなくても)洗い物や掃除は子供にまかせる。
日曜日にはかみさんも元気回復。やれやれ助かった。料理をするのは嫌いではないが、献立考えるのがいやなのだなあ。生来の不精者なのでしかたがない。
61.198.187.86 雑 705 0 1182008932 トムとジェニー/楳図かずおを買う友人がセカンドライフに開いたギャラリーの猫テーマ展示用に描いた絵をこちらのギャラリーにも登録。
肝心のセカンドライフはインストールはしたのだが、私のマシンが旧いせいか(旧いせいだ!)クラッシュしまくりでログインできないでいる。今日一杯格闘してだめだったら、会社のマシンにインストールしてしまえ。
◇
ヤフオクで楳図かずおの漫画を続けて落とした。
一点は私の妻が推奨の『ミイラ先生』。 初期の正統的怪奇少女漫画。今、読むとつっこみどこ満載で結構笑える。
もう一点は作者の最高傑作との評判ながら未読だった『14歳』全巻揃い。(17冊が新書判、2冊が文庫判だった)。
さすがに油の乗り切った頃の作品らしく、絵が力強く濃い。楳図かずおと諸星大二郎の全盛期の絵はすぐわかる。描きこみが半端でなく、画面が全体的に黒々としている。
『14歳』も冒頭からえぐいシーンのつるべ打ち。これは楽しみだ。じっくり読むとするべえ。
210.198.152.236 漫 704 0 1180796038 劇場サマセット・モーム『劇場』(新潮文庫/龍口直太郎訳)読了。
天性の才能を駆使し、堂々たる舞台女優となった46歳のジュリア。彼女は、美男俳優で劇場経営者でもある夫や、20年来プラトニック・ラブを捧げ続ける貴族に囲まれていたが、たまたま劇場の経理を担当した23歳の青年トムに夢中になる。そして、トムの心が新人女優に傾いたのを知ったときジュリアは…。(AMAZONの商品紹介より)
全然知らなかったが今春映画化されて公開されたらしい。華やかなトップ舞台女優がヒロイン、上記紹介にもあるように彼女を取り巻く男たちも美男ぞろい、いかにも映画向きな小説のように思える。
しかし、この小説の面白みはヒロインの独白にある。地の分での小難しい心理描写が少ない代わり、いかにも女優さんらしいリアルな心理の変化を表現する独白が巧みだ。モームはうますぎる。
だから本当の意味で映画向きかどうかは疑問だが、小説としては実に面白い。恋愛のかけひきの描写は精緻だし、恋愛が大きな要素が占めるのはたしかだが、決して恋愛小説ではない。
中年を迎えたヒロインが自分の女性的魅力に疑問を感じ、若い恋人から裏切られ、実の息子から生き方を否定され、普通だったら陰鬱な展開になりそうなシチュエーションが続くのだが、モームの造型したヒロインはこれらの危機に天性の演技力で立ち向かうのである。結構かっこいい。
ラストはこの小説が恋愛小説であることを否定しつつ、いかにも大人の物語らしい場面で締めくくる。読後感はとてもいい。
210.198.152.236 本 703 0 1180453446 殯の森NHK-BSハイビジョン『
殯 の森』(監督脚本・河瀬直美)を見る。田園の中の老人ホームの日常から始まる。科白を日常音に溶けこませるドキュメンタリーのようなタッチ。
茶畠の緑が鮮烈な映像が美しい。最初は妙に説明的なセリフが多いわりに説明不足な感じがして、大丈夫かいなと不安になりながら見ていたのだが、杞憂でした。
後半、登場人物が初老の男と若い女性介護士の二人に絞られると、にわかに画面が緊張し、感情のほとばしり以外の科白はなくなっていく。
男は妻を、女は子供を、それぞれ失った二人が心を再生する物語、と言えば陳腐だけど、ほとんど科白にたよらず二人の肉体的行動と森の映像だけで、ああ二人は再生したんだなあと思わせるラストに持っていく。前半の科白や出来事の数々が伏線としてそこにたどりつく。うまいもんです。
二人が彷徨する山中が不気味なほど美しい。
森の中の深い木陰と木洩れ陽のコントラストを撮るのはすごく難しいと思うのだが、この映画での森の光りの美しさは黒澤明の『羅生門』の薮の中の木洩れ陽に匹敵とすると思う。
二人で盗んだ西瓜を食べさせっこしたり、夜の森の闇の中の二人を焚き火の赫い光りだけで浮かび上がらせたり、官能的なシーンも結構ある。どれもラストにつながるのが、官能性を更に増している。
たっぷりと満腹感はあるが、どうも隠されてる仕掛けがまだありそうな気がして、ひさしぶりにまた見たい気にさせられる映画でありました。
*
出演俳優について
- うだしげき……間寛平と平田満のハーフ
- 尾野真千子……しなやかな体当たり
- 渡辺真起子……うまい
*
もちろん、今年のカンヌ映画祭のグランプリ作品。これから単館上映するというのに、TV放映してしまっていいのだろうか。見れば私のようにもう一度見たくなるという自信があるのだろうか。
58.157.55.188 映 702 0 1180197623 スパイダーマン3MOVIX亀有で『スパイダーマン3』を見る。
まあ、好きなシリーズだし、本作も面白いのだが、少々詰込みすぎ。大作になりすぎたのかもしれないが、3人も悪役をいっぺんに出すことはないだろう。
SFアクション映画にしては、人間的なドラマがよく描けているところが好きだったのだが、そこが稀薄になってしまった。悪役は一人にしぼって人間関係をじっくり撮ってほしかった。
「ヒロイン ぶさいく」でググると「スパイダーマン」が一番ヒットするらしいが、MJ役のキルスティン・ダンスト、たしかに美人ではないが、演技はうまいしチャーミングだと思うけどなあ。ブロードウエイのスターはたしかに似合わないが、売れないクラブ歌手役はぴったりだ(ほめている)。冒頭の蜘蛛の網の上でのデートシーンの笑顔は美人でした。
ヒロインの恋敵役は私の好きなブライス・ダラス・ハワード(シャラマン監督『ヴィレッジ』のヒロイン)。元々赤毛なのを金髪に染めているので最初は気がつかなかった。MJのキルスティンは逆に元々金髪なのを赤毛に染めている。どちらも素の髪色のときの方がチャーミングなのはいうまでもない。ブライスはすばらしく上手い役者さんだが、本作のちゃらいモデル役はちょっと役不足でかわいそう。
*
毎度、思うがピーター・パーカーの下宿の管理人の娘が妙に可愛い。横溝映画の坂口良子と一緒で、綺羅星の如きヒロインたちよりこういう役が印象に残ったりする。
*
映画はいつも「夫婦50割引」で二人分で二千円で見てるのだが、今回はなぜか窓口の女の子に「あ、証明書はいいですよ」と言われた。「見た目でわかるから?」と聞いたら「アハハハ」という答えだった。
否定せんかい!
210.198.152.236 映 701 0 1179242409 水森亜土展
先週の日曜日は上野のデパートでやっていた水森亜土展に行ってきた。ご本人のパフォーマンス付き。
私のイメージではないだろうが、もちろん妻のリクエストである。
といっても、実は私もそんなに嫌いではない。
佃公彦風の子どもの絵はどうでもよいが、思春期以上の女性像のセクシーラインは結構なものだ。それも男から見たエロスというより、女の子のセルフイメージとして求めるセクシーさというところか。
しかも「かわいさ」も捨てないで同時にかかえているような欲張りなところが現代風で、今も「亜土ちゃん」として人気を保っている理由なのだろう。
首から上は少女で、首から下は女性。ベティ・ブープも同じフォルムだと思うが、彼女が活躍した当時は完全に男性向けのセクシーシンボルだったはずだ。マリリン・モンローやディートリッヒと同じカテゴリだ。
しかし、そのベティも日本で最近再ブームになったときは、男性向けのセクシーシンボルではなく、女性にとっての「かわいい」キャラクターとしての復活だった。
アメリカと日本の違いなのか、時代的な違いなのかは、わからない。
58.157.55.188 美 700 0 1178376984 横溝映画ということで、NHK-BSで角川映画の金田一耕助シリーズをずっと見てしまった。『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『獄門島』『病院坂の首縊りの家』。
市川崑はあまり思い入れのある監督ではないが、このシリーズのお蔭で金田一耕助は石坂浩二、彼の泊まる旅館の女中は坂口良子でないと物足りなく思うようになってしまった。
というのも角川映画以前に何度か金田一ものは映画化されているが、原作通りのイメージで金田一耕助を表現したのは『犬神家の一族』が最初だったのだ。私も市川崑以前のATG映画『本陣殺人事件』を見ているが、中尾彬の金田一は噴飯物でした。
今回見た映画の内容については特に書くこともない。ただ、気がついたのはシリーズ通して同じ役なのは主役の石坂浩二だけで、他の常連、加藤武、小沢栄太郎、大滝秀治、草笛光子、三條美紀、いずれも映画ごとに違う役柄だということだ。次はあの人はどんな役を振られているのかという楽しみはたしかにある。
常連でひときわ異彩を放っていたのは白石加代子だ。彼女が登場するだけで、一気に画面の空気が変わってしまうものすごさがある。稀代の名女優といっていい。さらに三木のり平と伴淳三郎の芸が見られるのだから、チャンネルを合わせる価値は十分にありました。
女優陣はいうまでもなく、美しいが、やはり岸恵子と佐久間良子の美貌が図抜けていた。今の女優さんはスタイルは遥かにいいが、彼女たちに匹敵する気品と美貌の持ち主はなかなか現われていないような気がするのは年寄りの視野の狭さでありましょうか。
*
私がはじめて読んだ推理小説(探偵小説)は、ジュブナイルのホームズものを除けば、実は横溝正史の『本陣殺人事件』なのだ。父親が貸してくれたのだが、子ども心に「世の中にこんな面白い小説があるのか」と思ったものだ。次がエラーリー・クイーンの『神の灯火』だった。これまた「世の中にこんな面白い小説があるのか」とど胆を抜かれた。
子どもだって、いや、子どもだからこそ、心温まるためになる小説より、少々血が流れ人が殺されるくらいの小説の方が面白いに決まっているのだ。子どもたちにこそ、悪書を与えよ。
61.198.185.202 映 699 0 1178286687 大正シック展
どこへ行っても混雑の休日、すいていそうなところと考えた末、東京都庭園美術館に『大正シック〜ホノルル美術館所蔵品』を見に行った。 いわゆる大正モダンの日本画を主とした展示。着物姿の若いご婦人の来場者も少なくなく、展示内容とマッチした会場の雰囲気も合わせてなかなかの眼福でありました。
作品の中では、切手にもなっている、橋本五葉の「髪梳ける女」「化粧の女」「夏衣の女」の三美人画が素晴らしい。いわゆる大正ロマンの甘さがくどくない凜とした画風。西洋絵画の写実性と浮世絵の粋がいい感じで融合している。
顕著なのが髪の描写で、浮世絵木版の精緻な線描で西洋画の奥行きと立体感が表現されている。彫師や摺師もすごい人が残っていたのでしょう。
左の絵のモデルは往年の大人気女優入江たか子だそうな。ちょうど昨夜はNHK-BSで彼女の出演する『病院坂の首縊りの家』を見たところだ。瀕死の老婆の役だったが、若い頃は大変な美人だったのですな。
横溝映画特集は連続で放映されてたのを4作続けて見てしまった。今さらだけど、感想は明日にでも。
110.5.46.129 美 698 0 1177853809 芝桜の丘
快晴の休日、秩父の羊山公園に芝桜を見に行った。 見事な花の絨毯とそれを囲む人の波。美しい日本は泰平なり。
みなさん、花を見ることそのものより、写真を撮ることが主目的のようにお見受けした。もっと花をじっくり見た方がよろしいのではないか。記録より記憶です。
なんて言いながら(撮影はつれあいまかせだが)自分でも写真をアップしているのだから人のことは言えない。悠然と花をスケッチする初老のご婦人もお見かけしたのに、スケッチブック一つ持っていかなかった私など偉そうなことは全然言えない。
若い頃は全然興味がなかった花などを見たい気になってきたのも、老人力の一種なのだろうか。 芝桜といっても桜ではない。花忍(はなしのぶ)科で学名は「Phlox sublata」。Phloxは炎のことだそうな。原産地は北アメリカ。
地に這うようにして咲くが、5弁の花びらは桜そっくりのハート型だ。色違いの品種はは桜よりずっと多彩だ。
あざやかな緋色、さわやかな青紫、淡いピンクの花は良く見ると白い花びらに濃いピンクが走っている。真っ白な品種は雪面のように真っ白で目に痛いほどだ。
これほど色は違っていても、中心の雄蕊(花粉)はみな濃い黄色だ。同じ濃厚な香りが鼻孔を刺激してきて、同じ科・属なことを伝えてくる。
*
芝桜の丘はこの季節のみ有料。外の芝生には、まだ花の残る枝垂れ桜が日陰を作っていた。ここで弁当をつかう。日射しは強いが風が涼しく、うとうとと寝てしまう。
夢は見ていない。
61.198.185.202 旅 697 0 1177252964 夢百景:角栄&有働その一 田中角栄
連日地方選の宣伝カーの立候補者名連呼を聞かされていたいたせいか、またまた妙な夢をみた。
だれか候補者の選挙事務所でボランティアをやっている。投票用紙にかポスターにか田中角栄の名前をみんなで書いている。
「竹内くんは角栄さんの似顔絵も描いてよ」と言われる。角栄の似顔絵なんて描いたことないし、もう亡くなっているからモデルにもならないし、あわてるがネットでさがせば写真はたくさんあるだろうから大丈夫だろうと思い直す。
亡くなっているのに候補者であることは疑問に思わない。しかしだれかが「田中なら真紀子さんじゃんなかんべ?」と言ったところで目が覚める。
その二 有働由美子
NHKアナウンサーの有働由美子さんと一緒に仕事している。有働さんは夢の中ではNHKアナウンサーではなく、取引先のバリバリのキャリアウーマンのようだ。私は彼女の仕事上のソフト開発に雇われたらしい。
有働さんは一度結婚したのだが、交通事故で夫をなくし自分も片足を失ったのだという。「こっちは義足なの」と右足をしめすが、フレアースカートに浮き上がる脚の曲線は美しい。
(義足の一件は先日ひさうちみちおの漫画『山本さん家に於けるアソコの不幸に就いて』を読んでいたからに違いない)
ここから夢はエロティックな色合いを帯びて来るが、情景は単に二人で机をならべて仕事をしているだけだ。ただ彼女が筆記具をとろうとするときなど、左に並んだ私の頭ごしに腕を延ばして取ろうとする。ノースリーブの彼女の腋の下が私に触れ、湿り気が伝わって来る。腕の皮膚は金色に輝き汗が薄く光っている。
それから進展は(残念ながら)ない。フェイドアウトするように終わってしまう。
それにしてもなぜ有働アナウンサーなのだろう。おなじNHKなら、せめて後任の伊藤敏恵さんや、前のお天気おねーさんの荒嶋さんにお願いしたかったところだが、いや、有働さんでもありがたいことです、わがままは言いません。
110.5.46.129 夢 696 0 1176647926 乱菊物語谷崎潤一郎『乱菊物語』(中公文庫)読了。
戦乱の室町時代、播州の太守赤松家と代官浦上家の深核な確執、謎の海龍王と遊女かげろうの伝奇物語など、史実、伝説を題材として、自在な想像力で描き上げた異色の娯楽大作。(AMAZONの商品紹介より)
画像は本書の表紙ではなく、ずいぶん昔に映画化されたときのポスターだ。
この画像通り娯楽色の濃い時代伝奇。反目する両家がついに激突という物語が最高に盛り上がったところで執筆は中断、未完のままというのが惜しい。
滑稽味と雅な道具立てが著者らしいが、特に目立つのが文章の見事さだ。漢文、韻文、美文を自在に駆使して波瀾万丈のストーリーが流麗に綴られて行くのだが、文章にわざとらしさがなく身についたものという感じがするのだ。
最近また時代小説はブームになっていて良い作家も文章の上手な作家もいるが、やはり大谷崎の文章レベルは別物だと思い知らされた。
一応、著者の代表的作品は読んでいるし、文章のうまさなどあたりまえだと思って特に意識したことはなかったのだが、本書のようなエンターテインメント性が強い作品だからこそ、他の作家と比較しての力量の違いを意識してしまったということなのだろう。
61.198.185.202 本 695 0 1175958123 My Life In The Database.ここの日記は、ほとんど読書メモと化している。オフタイムには本を読む以外なにもしていないのだからしかたがないが、やたらたまる読了本、積読をいかに管理するかが問題だ。問題ではないと思う人は、私の年齢になると記憶力が減衰するという事実を思い出してほしい。
ネットの読書系のサイトや2Chanのスレッドをのぞくと、千冊以上の蔵書をデータベースに打ち込んで管理しているという人も結構いる。大変な労力だろうと思う。私も手持ちの本は一応データベースに入ってはいるが、特別に入力に時間を費やしているわけではない。人にたのんでいるわけでもない。下の画像の日記ソフトを使っていることで蔵書登録を自動化(というほどのものでないが)している。
日記というより小遣い帳ソフトと言った方がいい。右上のフォームにその日に使った品目(昼食とかコーヒーとか本とか)を入力して金額を入れ費目を選ぶだけである。費目に「本」を選ぶと別フォームが開いて、著者と出版社と体裁(文庫か画集か等)を入力できる。どの項目も一度入力すると次からは一覧から選べるので手間がかからなくなる。
ここで登録し終わると自動的に未読リストに追加される。読み終わったら、下の「▼」ボタンをクリックすると未読本のリストが出るので、選択するとその日の日付が読了日として登録され未読本から読了本に変更される。ちょっとした感想も書込めるが、あまり使わない。
要するに小遣い帳を付けていれば、蔵書リストも自然に追加されるので、二重に入力する手間がいらないという仕掛けである。小遣い帳を付けるのも面倒だという人にはさすがに向かない。
ずいぶん昔にそんなことができるソフトがないかさがしたが、ぴったりくるものはなかった。しかたがないので、ACCESSとVBAで自作した。あまりデータ登録だと気負わずに使えるのが取り柄だ。使いはじめてから十年以上になるので、データも900件(冊)近くになっている。それ以前の本に関してはもちろんデータベースには入っていない。読み易くするための整理が目的でデータ登録が目的ではないからそれでいいのである。
当時はカレンダーコントロールなんて洒落たものはなかったので、カレンダー機能も自作した。昔はCで曜日計算ルーチン作ってカレンダーを作ったがVBにはWEEKDAY関数があるので楽なものだ。祭日法制の変更には対応したが、春分秋分の日の自動計算は面倒なのでやってない。そのうち気が向いたら入れるつもりでいたけど、締め切りがないとやらないもんです。十年ほったらかし。
こんな全くの俺様ソフトですが、ACCESSとVBAの使い方に興味のある方の参考にはなるかもしれないので、ここにおいときます。確定申告の時期の医療費控除などに結構使えている。記憶力がさっぱりなので、どこそこに行ったのはいつだったかとか調べるのにも、重宝している。……書いていてなんだか情けなくなってきたな。
61.198.185.202 電 694 0 1175439346 「夢の古代文明紀行」の立花隆NHK-BSハイビジョン特集『夢の古代文明紀行 謎の巨大遺跡50』第一夜。
出て来る遺跡群はお馴染みのもあり、お初に目にするのもあり、いずれも素晴らしいものでしたが、面白かったのはラストのゲストのコメント。
作家の立松和平が「
人間は全然進歩したとは思えないんですね。自然を感じる力などは確実に衰えている。祈る気持ち、宗教的な心を取り戻さないと古代文明の謎は解けないと思う」などと、いかにも番組の流れにそった情緒的な感想を訥々と述べた。すると評論家の立花隆がすぐに反論する。
「
私はそういう考え方には異論があって、例えばインカ文明は素晴らしかったけど、その宗教は太陽に生贄をささげたり非合理なものだった。スペインがインカを侵略したのは、銃が自然を滅ぼしたというより、合理性が非合理性に打ち勝ったという面もある」世界は読み解くが空気は読まない立花隆の面目躍如、笑ってしまいました。
考えてみれば、古代文明とはその時点での合理の極みだったはず。当時のモダニズムであり科学と進歩の最先端が今に残されている古代遺跡だと思えば、感傷的に懐古的にのみ眺められるのは遺跡にとっても本望ではあるまい。
*
しかし、立花隆。
インターネットが普及しはじめた頃、ニュース23にゲスト出演して、ネットが知の道具としていかに素晴らしいかをニコニコしながら嬉しそうにしゃべっていた。新しい玩具を手に入れた子どものような笑顔でした。
司会の筑紫哲也がいかにも嫌そうに苦虫をかみつぶしたような顔で聞いていたのが忘れられない。
123.198.8.66 TV 693 0 1174834653 舞い上がったサルデズモンド・モリス『舞い上がったサル 』(中村保男 訳/ダイヤモンド社)読了。
私たちが動物であるはずがないという間違った考えが生まれてしまった。傑作絵画を描き、大聖堂を建立し、交響曲を作曲できるのなら、なぜその人間を他の動物と比較できるのか。何か間違いがあるにちがいない。私は神々か宇宙人のよってこの地上に降ろされた存在なのであって(略)他の動物と似た姿をさせられているのだが、本当は生物界の外に存在しているのだ、と信じこむようになってしまった
「裸の猿」を書いたときに私が訂正してやろうとしたのは、まさにこの間違った考えだった。(本書第6章246頁)
「人間は堕ちた天使ではなく舞い上がったサルである」というコピーは秀逸だが、キリスト教圏の人間には辛辣でも、日本人にはあまりインパクトはないような気がする。私たちは自分たちが天使だなんてだいそれたことは普通考えない。
『裸の猿』でモリスは、人間の女の膨らんだ乳房は直立して見えなくなったお尻のコピーだと主張した。内側の粘膜が露出した人間独特の唇もこれまた直立して見えなくなった陰唇のコピー。どちらも性的誘惑信号ですね。私の大好きな仮説であります。
その他、人類にはカワウソのように水中生活時代があったとか、刺激的で大胆な仮説満載で、ずいぶん評判にもなったが、当然のように攻撃も激烈だったようだ。
しかし、めげない著者は、都市生活者を動物園の動物との類似で論じた『人間動物園』や人間の行動を動物学の目で見た『マンウォッチング』『ベビーウォッチング』のシリーズを次々と書いた。いずれも面白い。
本書は著者の過去の著者の集大成的内容だ。各章も「狩りをする猿」「人間動物園」「身体言語」などほとんどが過去の著書に対応している。
魂や生死の問題を扱った「不滅の遺伝子」の章が目新しいかなという程度で、過去の著作を読んでいればあえて読むほどのことはない。逆にこれ一冊でモリスの著作の概要がわかるので、これだけ買うのもいいかもしれないが、やはり面白さは『裸の猿』の方が上だ。
ネットの書評ではモリスはどうもトンデモ扱いされているようなのが、愛読者としてはちょっと不満である。キリスト教徒やそうでなくても人間が動物とは違うと思いたがる人々の神経を逆なでするようなところが不評を買うのだろう。そのへんは同門の『利己的遺伝子』のリャード・ドーキンスと同じだ。(モリスは絵描きとしてもプロでドーキンスの本の表紙や挿絵も描いているらしい)
読めばわかるがモリスの説は面白いだけでなく、説得性にも富んでいる。論理的でもある。さすがにドーキンスほど緻密ではなく、ところどころ飛躍するところもあるが、ごまかしているわけではないので面白さは減じない。
ただ、人間の習慣や伝統を論じているところでは、無意識に人間一般というよりヨーロッパ人を基準にしているところが目につくのが日本人としては気になる。モリスは文化人類学者にはない動物学者の目で人間を見ることで新鮮な発見をしたことは間違いないが、文化人類学者でないゆえの落とし穴もあったということだろう。
◇
最近、忙しくて絵や映画を見に行ったり絵を描いたりできないので、ストレス解消は本買うぐらいしかない。ここ2ヶ月の主な(忘れてるのもありそうなので)購入本と読了本。
遠藤寛子『算法少女』(ちくま文庫)、グレッグ・イーガン『ひとりっ子』(ハヤカワSF文庫)、芦原すなお『わが身世にふる、じじわかし』(創元推理文庫)以上読了。
61.198.187.16 本 692 0 1174141221 フューチャー・イズ・ワイルド
以下未読、谷崎潤一郎『乱菊物語』(中公文庫)、スタニスワフ・レム『虚数』(国書刊行会)、筒井康隆『恐怖』『ヘル』(文春文庫)、『敵』(新潮文庫)、サマセット・モーム『劇場』(新潮文庫)。ドゥーガル・ディクソン、ジョン・アダムス『フューチャー・イズ・ワイルド』(松井孝典監修/土屋晶子訳/ダイヤモンド社)読了。
冴えた着想、しかもめっぽう面白いこの未来の博物誌(アニマル・プラネット・チャンネルの最近の七回シリーズの手引き書でもある)で、地質学者であり古生物学者のディクソンと、自然史テレビスペシャルのプロデューサー、アダムスは、今から2億年後の地球にはどんな生命が生きているのかに思いを馳せる。
惑星進化についてコンピュータを使った約110ものイラストを駆使し、著者たちは、地球全体に広がる超大陸(パンゲアIIと呼ばれる)いっぱいに、青い大きな空飛ぶ翼竜や、発光性のサメ、象の体とイカの触腕と「スター・ウォーズ」のジャバ・ザ・ハットの顔を繋ぎ合わせたような森に住む巨大なイカなどを描き出す。(AMAZONの商品説明より)
えー、上の説明通りの本です。出て来る空想生物の姿と設定が楽しい。
しかし、かつてのドゥーガル・ディクソン本『アフター・マン』や『新恐竜』は大型本だったのに、本書は四六判の普通のハードカバーになってしまった。文字は多いが画期的なことが書いてあるわけではなく、肝心の絵が小さくなってしまったのが残念だ。
前記2冊も大型本は絶版で、今は本書と同じ版元から小さくなって出てるようだ。これから手にいれようという人は古書店で旧版の大型本をさがすことを強くお勧めする。迫力が段違いなのだ。
絵そのものもいかにもコンピュータ・グラフィックな3Dになってしまい、個性がなくなってしまった。『アフター・マン』『新恐竜』のディズ・ウォリスのイラストの方がずっと迫力があって好きだったなあ。
*
本書に登場する体重8トンの陸棲巨大イカ「メガスクイド」 *
スタンフォード大生物学教授だというパルンビという人が本書の序文を書いているのだが、読んでいて次の部分に違和感を感じてひっかかってしまった。
2億年間。地球の歴史から見ればほんのまばたきほどの短い年月のあいだに、これほど多くのまったく新しい生物が進化して栄えるようになるとは、いったい誰が想像できただろうか。
言いたいことはわかるが、2億年は本当に「地球の歴史から見ればほんのまばたき」なのだろうか。
地球の誕生から約50億年、これからどのくらい存在するかわからないが太陽の恒星としての寿命を考えるとあと50億年がいいとこだろう。よって地球の寿命は100億年。人間の寿命を100年とするとちょうど一億倍だ。すると地球にとっての2億年は、人間の寿命に換算すると2年になる。
どう考えても「ほんのまばたき」ではない。46歳から48歳までならたいした変化はないが、12歳と14歳と16歳ではずいぶん違う。地球にとっても2億年は決して短い期間ではあるまい。
つまらないことにイチャモンをつけているようだが、科学解説書がおおげさな比喩を使うのは、素人を馬鹿にしていることに他ならないと思うのだ。
たとえば、この分野の大先輩アイザック・アシモフなら、こういういいかげんな比喩の使い方はしなかったろう。むしろ2億年が地球にとってどのくらいにあたるのか、面白おかしく、しかも興味深い考察をして読者に楽しい一章を提供してくれたに違いない(例:『空想自然科学入門』の「まあその辺の大きさだ」の章)。それがプロというものだ。
61.198.187.16 本 691 0 1172328972 うつうつひでお日記吾妻ひでお『うつうつひでお日記』(角川書店)読了。
吾妻ひでおが描く事件なし、波乱なし、妄想ありの日々の記録。『失踪日記』の吾妻ひでおが、仕事もせずに読書とうつとお笑い&格闘技番組に明け暮れた、どん底の2004年7月〜2005年2月までの日常を、淡々と綴ったプライベート日記。心にしみます! (AMAZONの商品説明より)
ある日の著者の行動はこうだ。
- 朝7:30寝床で煙草。まずいのでまた寝る。
- 朝8:30寝床で煙草。まだまずいのでまた寝る。
- 朝9:30煙草がやっとうまくなったので起床。
- 朝食:トースト(黒みつ)
- 2時間ほどつらいつらいといいながら仕事(この頃は「便利屋みみちゃん」)。
- 仕事中はラジオで大西ゆかりを聞いている。
- 昼食:なっとうそば、かき卵即席ラーメン等のめん類か、なっとう玉子系ぶっかけめし。
- TV「笑っていいとも」と「ごきげんよう」は必ず見る。
- 散歩:行き先は図書館と本屋。たまに断酒会の集まり。
- 本屋はほとんど立ち読み。図書館で毎日のように多くの本を借り、多くの本を読む。
- 散歩の帰りに必ずアイスを買う。
- 一日の内なんどか不安発作におそわれる。
- 夕食:かなり楽しみにしていて好きなおかずのときはごきげん。
- TVを見る。格闘技(K1、プライド)とお笑い番組は必ず見る。
- 睡眠剤と精神安定剤をぼりぼり飲んで寝る。
以上は本書の中の適当なページを抜粋したものだが、なに、他の日もほぼ全く変わらない。仕事の内容が「失踪日記」に変わったり、仕事が全然なくなってこの日記を描くだけが仕事?の時期があったり、たまに編集者に会ったりするくらいの変化しかない。その他、強いていえば、アシスタントやファンから物をもらったりすることが嬉しそうに特筆されている。
よくある作家日記のように、作家仲間や有名人が登場するわけでもないし、グルメな有名店にいくわけでもない。創作のアイデアの断片が描かれているわけでもない。要するに有名人の日記というよりも市井の一般人の日記、例えば(インタビューで著者自身が意識していたと言っているが)山田風太郎の『戦中派不戦日記』などに近い。読書量が半端ないのも似ている。
そこかしこになんの脈絡もなく著者お得意の美少女のイラストは入ってはいるが(書き忘れたが、著者は散歩の途中での女子高生観察は怠らない)、そんな内容だから、吾妻ファンでもない人に薦められるか、と言えば、躊躇せざるをえない。
「ロリータ」の次が吾妻ひでおでは信じてくれる人は少ないだろうが、私は美少女イラストには興味はない。それでも本書はまったりのんびり楽しく読むことができた。だらだら加減が波長があうのだろう。軽かったとはいえ私も鬱症状の経験があるので、つらいことも明るくのほほんと描く著者の距離感がなんとも心地よくもある。
『失踪日記』のときも書いたが、この人は絵がうまい。大ゴマを使わずほとんどのコマに全身を入れる。毎日ほぼ同じ場所の散歩の場面でも毎度違う背景を律義にさらりと描きこむ。それに元アル中と現うつ病というわりに、全然絵に荒れが見られない。一日2頁しか描けないと悲鳴は挙げているが、線が乱れたり書き流したりしていない。「仕事はイヤだ」と言いながら「息抜きは紙に絵を描くこと」なんだから、まあ、そういう人なんでしょう。感服。
61.198.184.130 漫 690 0 1171896482 ロリータウラジーミル ナボコフ『ロリータ 』(大久保康雄訳/新潮文庫)読了。
ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。…」世界文学の最高傑作と呼ばれながら、ここまで誤解多き作品も数少ない。中年男の少女への倒錯した恋を描く恋愛小説であると同時に、ミステリでありロード・ノヴェルであり、今も論争が続く文学的謎を孕む至高の存在でもある。多様な読みを可能とする「真の古典」の、ときに爆笑を、ときに涙を誘う。(AMAZONの商品説明より)
リンク先は話題の若島正の新訳だが、あえて旧訳をアマゾンマーケットプレイスでゲットした。
格調高いばかりの文学作品かと思っていたが、意外と笑える。ストーリーテリングもうまくてなかなか読ませる。ラストにはアクションまであるサービスぶりだ。
ヒロインの本名はドロレス・ヘイズ。「ロリータ」は愛称だ。
いわゆるロリータ的存在を指す言葉は本書では「ニンフェット」 だ。主人公の小児性欲者ハンバートに言わせると、ニンフェットの資格があるのは8歳から14歳までらしい。
ハンバート氏と出会ったときのロリータは12歳。それから約2年間、二人は一緒にすごすのだが、ハンバートはいつもロリータの機嫌をとることに汲々としているのに、15歳位になったらどうやって捨てようか考えているのが、せこいというかずるいというか、笑ってしまう。
かように、この変態中年男ハンバート氏の愛情は戯画的にグロテスクに描かれている。それでも、というかグロテスクであるゆえにか、一種美的(不思議と性的ではない)感興を覚えるのがナボコフの文章の魔術的なところだ。
といって、一方的にハンバート氏の心理ばかりを追いかけているわけではない。
淫蕩な小娘に見えるロリータが実は何を感じていたのか何を考えていたのか何を失っていたのかが、後半になって見えてくるのがミステリー的に面白く、かつ切ない。
現代でロリータを読むとき、「ロリコン」という社会現象をはなれて読むのはなかなかに難しい。それでもそんなしょうもないことは、できうるかぎり頭からとっぱらって読むにしくはない。それだけの価値はある面白い小説です。
61.198.184.130 本 689 0 1170745070 夢百景:ところどころ力士が降るでしょう夢の中ではデフォルトで空が飛べる私だ。BS2で『2001年宇宙の旅』を見たあとの昨夜の夢では、当然のように体は無重力状態だった。
どこかの旅館の一室、卓には鍋料理が出されている。仲居さんが鍋用の木製のしゃもじを私に手渡す。
そのしゃもじを自分の尻にあてがうと、途端に体が宙に浮き上がる。天井にぶつかりそうになるのを欄間や柱を足で蹴ってなんとか阻止する。しゃもじを離せばよさそうなものだが、勢い良く落ちそうでこわくてできない。
天井を蹴った勢いで、窓から外へ飛び出してしまう。そこは4、5階はありそうな高さだった。あわてて目の前の杉の大木にしがみつく。しゃもじは手放してしまったようで、もう体が宙に浮く感じはない。
見回すとそこは鬱蒼とした杉の林の中で、他の木の枝にも昔の友人が登っている。新参者の私を見ているようだ。
家に帰りたくなって、枝から一気に飛び降りる。
軽く十数メートルはある高さだが、ふわりと心地よく着地する。
着地点は相撲の土俵の上。場所は林の中ではなく、国技館のような建物の中に変わっている。天井は上を見ても見えないくらい高い。
はるか上方から相撲取りが飛び降りてきた。
横綱朝青龍だ。見事な着地をぴたりと決めて、満足そうに笑うと土俵下に下りてきた。私の姿は目に入らないようだ。
朝青龍は腕組みして上を見上げる。ライバルたちが飛び降りてくるのを見守って(にらみつけて)いるのだ。
他の力士は着地が決まらず、前や後ろに転がったり、つんのめっったりして土俵の外に飛び出てしまう。
どうも今場所も朝青龍の優勝のようだ。
223.132.25.40 夢 688 0 1169564399 バラバラ2先週発売した週刊誌あたりで、バラバラ事件の「識者」による分析もほぼでそろった感じだ。
私のような一般読者には、殺人に至る動機はともかく、なぜバラバラにしたのか、バラバラにすることができたのかが一番不可解な点である。
推理作家いわく「
現代の若い人は自分に相対する社会という感覚が欠如しているがゆえに『殺人者である自分』と『日常生活の自分』を無意識に住み分けている(から平気でバラバラにできた)」評論家いわく「
日本は一度つまづくと簡単にリセットできない社会。上流のプライドを保てない恐怖が、人生をリセットするためバラバラ殺人をひきおこした」精神科医いわく「
現代人は小泉元首相のような白黒はっきりしたわかりやすさを求めている。極端な合理性の追求によって精神活動から常識や分別を分離させた人間は簡単に猟奇的な犯罪を起こすようになる」どれが誰とは書かないが、なんとも空疎な言葉の羅列ばかりで説得性のないことおびただしい。私のような馬鹿でもなにか違うのではないか思うばかりで、一つとして納得できるような説明はない。そんなことで殺人はともかく、肉親や配偶者の肉体を自分の手でバラバラにできるわけがないではないか。
そんな中で唯一これかもと思えたのは、週刊文春の林真理子氏のエッセイであった。正直、彼女のエッセイは肌合いが合わないのだが、時々これは鋭いと思う文章に出会うことがある。
林女史は(主に夫殺しについて)こう書いている。ひょっとするとこの妻、人を殺したり切り刻んだりすることの好きな人じゃないか。(略)これだけの苦痛(DV)を与えられたのだから、相手にも制裁を加えられるべきだと考えるプライドの高い、そして人を殺すことにも興味がある人間ではないのか。
さすがに作家である。事件を社会一般に拡げて薄めたりせず、殺人者個人の個性に凝縮して考えている。いや、感じている。
考えてみれば、昔からバラバラ殺人もあったし肉親殺しもあった。現代人がどうたらこうたらなどという皮相的な話ではなく、おおげさなようだが人間存在に根ざした問題だと思ってしまった次第であります。
61.198.184.130 時 687 0 1168524666 バラバラ飢饉の村の少年の家に一夜の宿を借りた武蔵は、夜中に刃物を研ぐ音に目を覚ます。何をしているかと怪しむ武蔵を、臆病だなと笑う少年はこの刀で人間を切れるかと尋ねる。腕にもよるが誰を斬るのか問われた少年は、父だと答える。獣でもしない所業ととがめる武蔵に少年は一言。だって切らなくちゃ一人ではお墓まで運べないもの。
〜吉川英治『宮本武蔵』の一挿話〜
なんなんでしょうね。このバラバラ殺人の多さは。
エリート夫婦のDV夫殺し(12月16日)
3浪兄の妹殺し(1月5日)
矢作川の土手に切断遺体(1月11日)発見されたばかりの最後の事件をのぞいて、どちらも暴力団でも外国人でもない、経済的に恵まれた一般人が犯人なのがより猟奇的に思われ、マスコミが大騒ぎなのもむべなるかな。
冷酷な人、残忍な人が増えた、とも思えない。結局、バラバラ事件の増加は住環境の変化ではないかとふと思う。昔なら死体を丸ごと埋められるような庭を持つ家は少なくなかったが、今は少々金持ちでも家はマンション。死体を埋めることなどできやしない。まして焼却炉など個人で持つ人はすくないだろう。
気軽にたき火をしたり死体を埋められる空き地も減ってしまった。車で捨てに行くにしても、集合住宅なら駐車場まで死体をまるごと運ぶのは人目につきやすく非常に危険だろう。
であるからにして、バラバラにして運ぶしかない、ということになるのではないか、と愚考する次第。
61.198.185.157 時 686 0 1168091517 純愛時代大平健『純愛時代』(岩波新書)読了。
愛は純粋なもの…であるべきなのだろうか? メール恋愛にはまった青年や外国人労働者と恋におちたOL,ピュアな恋のイメージにとらわれるフーゾク嬢など,過剰なまでに潔癖な“純粋さ”を求めて現実のなかで傷つき心を病んでいった若者たち.彼らを通して脆く崩れやすい現代人の心の姿を描き出す.(AMAZONの商品説明より)
愛の物語ではあっても、同時に心の病の物語でもある。歯の浮くような恋愛論や斜めに構えた人生論などを読まされる心配はない。かといって精神医学専門用語一杯の無味乾燥な心理の図解でもない。人(患者)をじっくり見ながらさらりと描いたスケッチというのが、一番近い印象だろうか。
『顔をなくした女』でも書いたが、この著者の紹介する臨床例はやたら面白い。そのまま映画やTVドラマになりそうな話ばかりだ。読んでるうちにこれが精神病患者の話だということをつい忘れてしまう。
そう、これは治療過程の記録なのだ。だからネットで見かけた「著者の分析や考察をもっと多く深く読みたかった」「純愛を求めるから心を病んだのか? まで踏み込んで欲しかった」なんていう感想はちょっと的外れということになる。
著者の臨床医としての分析や考察は治療のための手段であって、分析そのものが目的ではない。治療のために逆効果と思えば、患者との発病因についての会話は中止して日常生活についての質問に切り替えたりする。投薬だけで病状が寛解すればそこで治療を終了させてもいいのだ。フロイト流のコンプレックスの分析などは治療に絶対必要なものではなく、ときに悪影響を及ぼしたりもするようだ。
しかし、著者は(全ての例ではないが)患者の状態がすっかり良くなった頃に、発病の状況(原因ではない)を明らかにしようと試みる。すでに治療はほぼ終了なのに、なぜなのか。著者は次にように書いている。
一般に患者というのは、たとえ病状が良くなっても、いや、良くなればなるほど自分が精神に変調をきたしたという事実に不安を覚えるようになる。(略)発病状況が充分に理解できるようになれば、その不安は大幅に軽減し、患者は回復後の生活に目を振り向けることができるようになるのだ。
なんにしても挿話は面白い。特にパソコン通信で出逢った若者と人妻の物語は、シチュエーションはありきたりのようで、意外性に富み「電車男」よりリアルでかつロマンチックだ。
著者の文章のうまさかもしれないが、その他の登場人物のいずれも、透明で繊細で、病人なのに痛々しさより軽やかさを感じられて、不謹慎ながら少し羨ましくなってしまったのでありました。
◇
桐野夏生『ローズガーデン』『魂萌え(上下)』(講談社文庫)、ウラジミール・ナボコフ『ロリータ』(大久保康雄訳/新潮文庫)、浦沢直樹『PLUTO(4)』、諸星大二郎『スノウホワイト グリムのような物語』、吾妻ひでお『ときめきアリス〜定本』購入。
61.198.185.157 本 685 0 1167815204 江戸の春を偲ぶ
今年の東京国立博物館の『博物館に初もうで』はもう一つ面白くなさそうなので、江戸東京博物館に正月気分を味わいに行く。 「北斎展-風景画の世界」はたいしたことはなかったが「徳川家茂とその時代」展が以外と面白い。黒船来航時に孝明天皇が将軍家茂に宛た手紙などは、国情騒然たる緊迫感が伝わってくる。
お二方とも本気で日本国の行く末を案じていたのだなあと粛然とする思いでしたが、140年後のわれわれとしては、なるようになって色々あってこうなりました、としか言いようがありません。
61.198.185.157 史 684 0 1167577338 あけましておめでとうございます本年もよろしくお願いします。
配色を暖色系の冬バージョンに変更しました。変化していない人はお手数ですがブラウザの更新ボタンをクリックしてください。
ひさしぶりの更新が年賀状になってしまいました。やはり絵を描いてるのは楽しいですな。これをきっかけにまた描きはじめられるといいなあと思いつつ、初日の出を待ちます。(嘘です、とっとと寝ます)
*
大晦日は毎年友人が蕎麦を届けてくれる。今年のその蕎麦をすすりながら、K-1を見ていたのだが、だんだんアホらしくなって消してしまった。
いつのまにか家族が紅白を見はじめる。私は年賀状など描きながら、歌の合間の司会の仲間由紀恵嬢の登場シーンのみ見に隣の部屋をのぞく。
夏川りみだけはしっかり見て聴いた。
さて、三が日は特に予定がない。年末に録りだめたポワロとミス・マープルでもゆっくり見るとしよう。
61.198.185.157 雑 683 0 1167404164 私的年間ベスト10【2006】ちょっと早いですが、恒例の今年の読了本のベスト10。今年は順位はつけません。読了日の昇順です。
- 王女マメーリア ロアルド・ダール(ハヤカワ文庫)
- 孤宿の人 宮部みゆき(新人物往来社)
- 黒い時計の旅 スティーヴ・エリクソン(白水社)
- 念力家族 笹公人(宝珍)
- 流れる 幸田文(新潮文庫)
- 悪魔のような女たち ジュール・バルベー・ドールヴィイ(ちくま文庫)
- 魔の山 トオマス・マン(新潮文庫)
- ヨーロッパ文化と日本文化 ルイス・フロイス(岩波文庫)
- 最後にして最初の人類 オラフ・ステープルドン(国書刊行会)
- 人体 失敗の進化史 遠藤秀紀(光文社新書)
読了記を書いていなかった何冊かについて少しだけ。
『孤宿の人』
当代一の巧者である著者がさらにステージを一つ上がったと思わせる時代小説。「泣かせ」が上手すぎるのが逆に欠点だが、それをとっぱらっても骨太の「悲劇」でありました。『魔の山』
いい意味で予想を裏切られた快作。一度読んだだけではとても感想を書く気になれないので近いうちに再読したい。『人体 失敗の進化史』
21世紀は生物学の時代だそうだが、世に流行るのはブレインマッピングや遺伝子工学などスマートなサイエンスだ。本書は「動物の解剖学」というまことに泥臭い、しかし生物好きの原点に帰った楽しさが新鮮な一冊。*
今年はほとんど絵も描かず、本ばかり読んでいたような気がしたけれど、のべ50冊。年々読書量は少しずつだが落ちている。量より質と思いたいところだが、そんなことも考えず素直に読みたい本を読んでいくのが一番良さそうだ。なんとも平凡な結論だが、しかたがない。
61.198.185.157 本 682 0 1166969499 2006クリスマス今年は見事なほど絵を描いていないなあ、ということで、今年はサンタガールは久々の休暇のはずでしたが、年賀状でも描くかという休日、ついうっかりサンタガールを描いてしまいましたので、載せます。
昨日はかみさんと竹の塚のイルミネーションを見物に行ってきました。足立区が気合いを入れているだけあって仲々見事なものでした。妻の友人の地元なのですが、その友人は自宅のイルミネーションで区内グランプリを勝ち取ったそうな。十万円以上は毎年かけてるそうですが、グランプリはささやかなれど、見返りでしょうか。
帰りに寄ったダイニングバーは下町とは思えぬお洒落度でしたが、安いだけに味はいまいち。山芋の大蒜バターソテーとシーフードオムレツは及第点だったが、ハウスワインは珍しいほどの不味さ。あわてて生ビールを追加してしまいましたとさ。
◇
ゆうべは少々酔っ払っていたので、どんな絵を描いて、どんな文章を書いたのかうろ覚え。目覚めたときは冷や汗物だったけど、それほどひどくはないようで一安心(まだ醒めてない?)
58.157.55.187 絵 681 0 1166277562 フィギュアスケート黄禍論フィギュアスケート・グランプリファイナルなんぞを見ていた。
今期シリーズの総合得点トップ6が出場する大会だが、女子シングルは日本が半分の3人、韓国・スイス・ハンガリーが各一人。実に東洋人が西洋人の倍である。しかもショートプログラムを終わった時点で上位3人は日本・日本・韓国の順である。ペアの方も上位2組は中国、3位はUSAだが女性は米国籍の日本人だ。つまりアイスダンス以外の女性選手は東洋人が上位を独占しているわけだ。開催国のロシア人は盛り上がらないのではなかろうか。
これからは東洋の時代だ、などと阿呆なことは思わない。おそらく、この現象の原因は2002年のソルトレークオリンピックの採点疑惑事件に端を発する採点法の大幅な変更だろう。詳しいことはウィキペディアでも見てもらうこととして、順位点というかなり主観的な採点法から、要素点という客観的採点法になったことは間違いない。
元々はカナダとフランスのペアが金メダルを争ったのがはじまりだったが、漁夫の利を得たのは日本を筆頭とする東洋勢だったようだ。
主観的な採点法では見た目と伝統の西洋人が有利に決まっているが、客観的に要素をこなせば高得点を得られるなら東洋人も負けていない。バイオリン等の弦楽器系コンクールで日本や韓国の東洋勢が強いのも同じ状況なのかもしれない。
あ、見ためについては伊藤みどりの昔ならいざしらず、今の日本選手は決してヨーロッパ人に負けてないと愛国心旺盛なエロオヤジである私は強く思うものである。特に浅田真央のしなやかな肉体や安藤美姫のグラマラスな肉体と比べると、ハンガリーやスイスの選手のボディは鈍重にさえ見えてしまうのは、日本人のひいき目でありましょうか。
日本男子も高橋大輔がトップに僅差の2位につけて健闘しているしなかなかハンサムなのだが、残念ながら顔もスタイルも見た目は1位のブライアン・ジュベール(フランス)に遠く及ばない。
210.198.156.78 ス 680 0 1165845510 功名が辻
NHKの大河ドラマなんてものを年間通して見たなんてのは、はじめての経験だった『功名が辻』も昨日の放送で最終回を迎えた。 司馬遼太郎は別に好きな作家ではない。ただ単に仲間由紀恵見たさだけが理由だったが、大石静の手練れの脚本はなかなかのもので一年間十分に楽しませていただいた。戦国時代は好きな時代だし。
しかし、織田、豊臣、徳川の盛衰の歴史を見ていると、いわゆる戦国期の英雄と言われている人たちは、意外なほど戦死が少ないことに気がつく。信長は例外だが、他は家康にしても秀吉にしても畳の上で天寿を全うしている。あの武田信玄、上杉謙信もあれだけ戦っていながら最期は病死である。
逆にいうと、どんな華々しい死に方をしても戦死してしまった人間は、、否応なく歴史上の脇役の位置に蹴落とされてしまうということなのだろう。浅井浅倉はもちろん、明智光秀も松永久秀も、所詮、戦国歴史ドラマでは脇役でしかない。
何はともあれ、生きのびた者が勝者であった。比べれば現代の勝ち組負け組など、なにほどの差があろうとは思われぬ。生きていれば勝ったも同然。
61.198.183.227 TV 679 0 1164289150 名もなき毒宮部みゆき『名もなき毒』(幻冬舎)読了。
どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。(AMAZONの商品説明より)
前作『誰か Somebody』は淡々としたソフトミステリーだったが、本書は「理由」以来久々の本格ミステリーだ。
犯罪も連続毒殺事件と本格派だし、登場人物も多く癖のあるキャラが何人も出てくる。アクションも泣かせもサスペンスもある。
その上、著者の出世作『火車』の犯人を上回る悪人キャラが登場する。この、一見普通なんだけど内面は毒のかたまりのような人物の造型こそ、本書最大の読みどころでしょう。この人物は、現代の社会人なら一人ぐらいは似たタイプに出逢ったことがあるのではないだろうか。あの人のあの人格がエスカレートしたらたしかにこうなるかも!というリアルな怖さがある。
前作の淡白な終わり方と大いに異なり、ラスト近くでは主人公が危機に陥るハリウッドムービー的クライマックスが訪れる。たしかに盛り上がるが、私の好みだけいうと、ここだけはあまり好きではない。『誰か…』のラストがあっけないという感想がたくさんあったが、むしろああいうラストこそこの連作にはふさわしい。
宮部みゆき得意の「いい人」キャラは、本作では運送会社のべらんめえ経営者・萩原社長。映像化するときは渡辺哲がいい。
61.198.189.166 本 678 0 1163861972 肉筆浮世絵展 江戸の誘惑江戸東京博物館に『ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展 江戸の誘惑』を見に行った。
土曜日は夜7時半までやっているので、午後4時頃に入ったのだが、それでも結構な混みようだった。
やはり肉筆はいい。浮世絵は好きだが、大きさがせいぜいB4ぐらいしかないし版画の宿命で色数が限られる(そこが良いところでもあるのだが)。肉筆だとそういった制約から解き放たれた絵描きの技量一杯が見られるような気がする。
出品作では、やはり北斎が光っている。「大原女図」の艶やかさとデッサン力のたしかさ。「唐獅子図」の筆捌き。北斎の娘応為の「三曲合奏図」の帯の立体感の見事さも観客の目を奪っていた。
私の好きな鳥文斎栄之の作品がたくさん出ていたのも嬉しい。大身の旗本らしい凜とした品のよい色気が肉筆によく似合っている。栄之に限らず、肉筆の場合、衣服の模様・配色が版画ではできない緻密さ華麗さで描かれているのが眼福である。2点出ていた肉筆の春画でもそれは同じで、春画なのに肉体描写より衣服の描写に力が入っているようだ。
絵の形態も多様だった。掛け軸、屏風はもちろん、芝居の看板、団扇絵、風呂敷。北斎の竜虎・龍蛇の2図はこの展覧会のためにボストン美術館が元々の提灯絵として復元していた。
掛け軸は絵本体でだけなく表装がいずれもすばらしい。粋で豪奢。表装した職人の名は残っていないのかもしれないが、これだけで十分に芸術品でありました。
*
帰りは息子と待ち合わせ、娘のバイト先のイタリアン居酒屋へ寄るが土曜の夜とて満席で入れない。仕方がないので近くの豚カツ屋へ。有名な店ではないがここは何をたのんでもうまい。私と息子は上ロースカツ定食。口に入れると豚肉が香ばしい。肉が吟味してあるのだろう。妻はカキフライ定食。カキはプリプリで汁気たっぷりだが薄い衣はパリっと揚がっている。満足して店を出たあと、もう一度先程のイタリアン居酒屋へ。ハンバーグとタコのオリーブオイル焼き(どちらも絶品)でワインをいただく。満腹満足で帰ってきたが、う〜む、また太りそうだ。
61.198.186.220 美 677 0 1163255991 誰か Somebody宮部みゆき『誰か Somebody』(光文社カッパノベルス)読了。
財閥会長の運転手・梶田が事故死した。遺された娘の相談役に指名され、彼の過去を探ることになった会長の婿・三郎は、梶田の人生をたどり直し、真相を探るが……!? 著者会心の現代ミステリー。(AMAZONの商品説明より)
著者の最新ミステリー『名もなき毒』を読む前に、前作である本書をまず読んでみた。
ミステリーではあるが、謎解きやトリックはさほど秀逸なものではない。伏線もミステリーを読みなれた人にはすぐわかる。『模倣犯』や『理由』のような作品を期待して読んだ人は少々物足りない思いをすることだろう。
探偵役も実に平凡な人間だ。警官でも探偵でもなく普通の会社員、大会社グループのグループ内広報誌作成を業とする広報部勤務のサラリーマンである。妻が創業者の会長の妾腹の娘であることぐらいが特筆すべきところか。TVドラマなら敵役のポジションだ。
舅である会長には信頼されているが、とりたてて優秀というわけでも特殊な技能があるわけでもない。善人で妻と娘をこよなく愛する家庭人だ。妻は美しく性温順、娘も素直で可愛らしい。義父も人格者で、主人公に善意に発する依頼はするが無理もいわなければひいきもしない。
道具立てはリアルだが人間関係は現実味のない現代のおとぎ話のような設定だ。
となると「はぐれ刑事純情派」のような人情派刑事物を連想するが、私の読了後の印象はハードボイルドミステリーに近いものだった。
ハードボイルド系の探偵は常に孤独だ。本書の主人公は幸福な家庭には恵まれてはいるが、他の人間関係については孤独だ。傍目にはあまりにも恵まれているがゆえに、善かれと思って助けてきた被害者から、毒ある言葉を浴びせられたりする。実の両親親戚とは絶縁状態だ。
ここで「おとぎ話」のようだった主人公の境遇が、やはり哀しみや寂しさと隣り合わせであることが見えてくる。それゆえにこそ、彼にとって家族がどれほど貴重かが読者にひしと伝わり、おとぎ話のような設定の非現実性を忘れてしまう。
やはり宮部みゆきは、うまい。
61.198.189.166 本 676 0 1163083354 モナリザの罠西岡文彦『モナリザの罠』(講談社現代新書)読了。
ダ・ヴィンチの「仕掛け」を知的に読み解く。人気番組「世界一受けたい授業!!」で話題の美術案内人が誘う“芸術=興奮”ワールド。(AMAZONの商品説明より)
「デヴィ夫人」という呼び名はありえんという非難をときどき聞くことがある。「スカルノ元大統領夫人(未亡人)」であってデヴィという名前に夫人をつけるのは変だ、というわけだ。
しかし本書によれば「モナ・リザ」の「モナ」は正しくはイタリアのモンナ(夫人)、リザは実在したリーザ・ゲラルディーニのファーストネーム。すなわち「デヴィ夫人」とまったく同じ構造のわけである。
綴りは「モンナ(MONNA)」だが、では「モナ(MONA)」だったらイタリア語ではどんな意味になるのだろう。……なんと「女性器」を指す言葉だという。だから「モナ・リザ」と発音したらイタリアではどう聞こえるかというと……少なくとも「モナリザを見たい」などと軽々しく発言しない方がよさそうだ。
ただし、英語読みだとMONNAはMONAになってしまうので、あながち間違いだとばかりは言えないらしい。しかし著者によれば、だからこそ『ダヴィンチ・コード』の「モナリザという綴りに暗号が仕組まれている」という「事実」はおかしいことになる。ダ・ヴィンチが母国語のイタリア語を使わずわざわざ当時マイナーだった英語で謎を作るわけがないからだ。まして当時は絵画に画家自身がタイトルをつける習慣自体がなかったという。
わざわざ刺激的な部分を選んで紹介したが、本書はただ刺激的な謎本でも、ヒット映画の便乗本でもない。著者は「ダヴィンチ・コード」以前から、ダ・ヴィンチ及びモナ・リザに言及してきた人で、決して最近のダ・ビンチ謎ブームに乗ったわけではない。(出版社の意図はともかく)
著者には『絵画の見方』『名画の見方』といった著書があり、従来の感性に重きをおく絵画批評に異を唱える観賞法を展開している。本書でも定番のモナ・リザ批評が批判の対象とされている。
モナ・リザの絵そのものより、数多のモナ・リザ論、とりわけ現代の批評家も意識しないではいられないほどの金字塔とされているウォルター・ペイターのモナ・リザ論こそ、著者によれば「罠」の最たるものであるらしい。
ペイターは夏目漱石も東大で授業のテキストに使っていたほどの美文にして名文だそうだが、彼の批評によって、なんとモナ・リザは「吸血鬼」またはそれに類したモチーフを描いた絵とみなされていたことがあるという。なぜ?という答えは本書を読んでいただくこととして、現代の鑑賞者への影響についての部分を引用しておこう。
もし、あなたが『モナ・リザ』を見てもなにも「文学的」な気分を感じないことで、自分がこの絵を理解できていないように思っているとすれば、あなたも確実にペイター的な批評の被害者となっています。
後半は、北方の写実主義と南方の理想主義の融合とか、ルネッサンスの先駆だとか、色々と『モナ・リザ』の異色性を強調している。興味深いのだけど、少々贔屓の引き倒し気味の感じは否めない。
そのへんは差っ引いても、気軽に読める現代的な『モナ・リザ』解説本でありました。
210.169.69.168 本 675 0 1162651323 ひさしぶりの更新今日、物欲日記を二年半ぶりに更新しました。いかに物欲がなくなったかという味けなくかつジジむさい内容です。やれやれ。
読了記もだいぶたまってます。インプットは結構しているのですが、アウトプットする気がなかなか起きません。とりあえず、買った本だけでも書いておこう。
*
西岡文彦『モナ・リザの罠』(講談社現代新書)、マイク・コナリー『ブラック・ハート』(扶桑社文庫)、宮部みゆき『誰か』(カッパノベルス)購入。
61.198.186.220 雑 674 0 1161525879 ルソーの見た夢、ルソーに見る夢世田谷美術館に『ルソーの見た夢、ルソーに見る夢』展を見に行った。新日曜美術館で今日メインで紹介していた割には、そこそのの人出で大混雑というほどではなかった。
アンリ・ルソーの系譜にある画家たち=いわゆる「素朴派」や、それ以上にルソーに影響を受けた日本人画家たちの作品は充実している。岡鹿之助や松本竣介のような西洋画家ばかりでなく、土田麦遷や小野竹喬の日本画や植田正治のような写真家まで、バラエティに富んでいて楽しめる。
しかし肝心のルソーの作品は20展余りで少ない。横尾忠則や青木世一のルソーのパロディ作品は素晴らしいが、肝心のルソーの元絵、『眠るジプシー』『フットボールをする人々』『蛇使いの女』が出ていないのは、あまりにも淋しい。『私自身、肖像、風景』もなかったし。
211.126.30.94 美 673 0 1160232820 トロイア戦記/ヘレネー誘拐・トロイア落城クイントゥス『トロイア戦記』(松田治訳/講談社学芸文庫)読了。
ホメーロスの『イーリアス』と『オデュッセイア』を架橋する壮大な長編叙事詩である。作者は三世紀のギリシャの詩人クイントゥス。『イーリアス』のあとを受け、アマゾーンの女王の華麗な活躍、戦争の端緒を開いた王子パリスの末路、木馬作戦の顛末、絶世の美女ヘレネーの数奇な運命等、魅力あふれる多数の挿話をちりばめつつ、トロイア崩壊までを描く。本邦初訳。(AMAZONの商品説明より)
トロイア戦争後半から終結までの物語、まさに「戦記」である。その点、漂流譚でありファンタジーロマンの色濃い『オデュッセイア』より『イリアス』に近い。英雄や神々の感情描写ではホメロスに及ばないが、戦闘描写の密度の濃さは優るとも劣らない。
続々登場する戦士たちがなかなかキャラ立ちしていて華やかだ。
トロイア戦争最大の英雄アキレウスに立ち向かうのは、まずはアマゾネスを率いる女王ペンテシレイア。白い肌を黄金の甲冑に包み、月の輪型の盾を携え、諸刃の斧でギリシャ方の男たちを次々と殺戮する。しかし、所詮アキレウスの敵ではなかった。エチオピアの黒い英雄メムノーンもその豪勇で大いにトロイア勢を鼓舞するが、アキレウスの一撃で命を失う。そのアキレウスも神アポロンの見えない毒矢にアキレス腱を傷つけられ天に召される。
アキレウスを失い、トロイア方にはあのヘラクレスの孫エウリュピロスが来援しギリシャ軍はたちまち劣勢になる。この劣勢を一気に挽回したのが、アキレウスの嫡子ネオプレプトレモスの参戦である。ついに戦場で、ギリシャ神話の二大英雄アキレウスとヘラクレスの子と孫が刃をまじえ雌雄を決することとなる。
1800年も昔の物語だが、戦闘描写は結構詳細でなかなかえぐい。少し引用してみよう。
たちまち彼の胸をつらぬいて無惨な穂先が通り抜け、食道を断ち切って戦士に死をもたらした。埃まみれの血には食物がまざっていた。(略)
その矢は近くにいた勇敢なデーイオポンテエースの左目に当たり、右の目をつらぬいて飛びだし、眼球を切り裂いた。(略)デーイオポンテエースはまだ立ってよろめいていた。そこでテウクロスは二の矢を放ち、これはビシッと喉に当たった。その矢は一直線に飛んでクビの神経を断ち切った。苦痛にみちた死がデーイオポンテエースを襲った。
もちろん、古代ギリシャ文学である。リアリズムだけではない。戦士の蛮勇は死神に操られ、戦争は神々の意志であり、なかでも尊重されるのは至高の神ゼウスの意志である。そのゼウスでさえ運命の神の紡ぐ糸を左右する力はない。
男と男が殺し合っていた。死神(ケール)たちや運命神(モロス)は呵々大笑し、しきりに武者震いする不和の女神エリスはとてつもない声で叫び、これに応じて戦闘神アレースが恐ろしい声をあげ、トロイア勢には大きな勇気を鼓吹し、ギリシャ勢をひるませ、たちまちその戦陣をゆさぶった。
戦争の最後は誰もが知っている木馬作戦によるトロイア方の敗北に終わるが、物語は陵辱されるトロイアの悲劇もあまさず記していく。勝利者であるギリシャ軍にとってもハッピーエンドは待っていない。彼らのおごりを憎んだ神の意志によって招来された大嵐がギリシャ船団を襲い、彼らの帰路が苦難に満ちたものであることが暗示される。
そし、大地を揺るがす神ポセイダーオーンの起した天変地異によって、誇り高きイリオンの都トロイアが水没したところで物語は終わる。
古代の物語とも思われぬ少々ニヒリズムただようラストは、余韻深きものでした。
◇
コルートス/トリピオドーロス 『ヘレネー誘拐・トロイア落城』(松田治訳/講談社学芸文庫)読了。
トロイア戦争は世に名高いが、戦争の発端の一部始終を伝える作品となると、『ヘレネー誘拐』が現存するのみである。一方、戦争最後の夜の悲劇に焦点を絞り、有名な「トロイアの木馬」の製作過程を詳述した作品も『トロイア落城』の他にない。クイントゥス作『トロイア戦記』と相互補完し、トロイア戦争の全容把握に不可欠な小叙事詩二篇。本邦初訳。(AMAZONの商品説明より)
と、紹介にはありますが、小品でもあり読み応えは全然ない。『トロイア戦記』を読めば足りる。『トロイア落城』も『トロイア戦記』の後半部の方がはるかに詳しい。
210.169.69.2 本 672 0 1159633250 戦闘女神・吉田沙保里土曜日は格闘技の日でした。K1でホンマンvsバンナではなく、もちろん、女子レスリング。マイナーな競技ながら、中継した日本テレビはグッジョブだ。
レスリング:世界選手権女子55キロ級でアテネ五輪金メダリストの吉田沙保里が4連覇と、国際試合100連勝を達成した。
いやあ、全面アウェーの中国でここまで全階級制覇というのもすごいが、吉田沙保里の101連勝は凄すぎる。こうなったらカレリンの114連勝や柔道の山下の203連勝も更新してほしいものだ。
100連勝のかかった準決勝は固くなったか、タックルを返されてヒヤッとしたが、あとは危なげなし。相手の攻めてくる動作の起りがしらにタックルで足を取るので、相手の攻撃がどんどん出なくなるのがわかる。すばらしい。
今の日本の五輪競技やメジャーな競技のアスリートで文句なく世界に敵なしは、吉田とハンマー投げの室伏広治の二人だろう。室伏の方が階級制ではない分グレードはちょっと上かな。
61.198.199.162 闘 671 0 1159367289 美しい国の言葉トシのせいか、TVのアナウンサーの発音が妙に気になることが多くなってきた。先日もNHKのニュース番組で「鉄砲」を「てっぽう」」と前にアクセントをおいて発音していた。番組中にでてきた一般の人(研究者や種子島の住民)が発音していたとおり「てっぽう」が正しい日本語のアクセントだろう。
「旬の味」の「旬」も、TVでは「しゅん」と発音されることが多い。これも正しくは「しゅん」でしょう。耳ざわりでしかたがない。
別に私の好ききらいというだけではなく、本来「ドラマ」→「ドラマ」、「でんしゃ」→「でんしゃ」のように、日本語の単語は日常化していくにしたがって、語頭にあったアクセントの強調が消えて平板化していく。「旬」も「鉄砲」も十分に日本語としてなじんでいるのだから、語頭にアクセントをおかれると違和感を感じるのだ。
もしかして、私が関東人だからゆえの勘違いをしているかもしれないが、最近の公共放送での変化であるということは間違いない。原因は、わからない。
61.198.199.162 言 670 0 1159102479 パイレーツ・オブ・カビリアン・デッドマンチェスト丸の内ピカデリーに『パイレーツ・オブ・カビリアン・デッドマンチェスト』を見に行く。
これを見に行くために前作をDVDで買った(1000円ちょっとと安かったこともあるが)。今回も映画的面白さは十分だが、あからさまに「次回に続く」ものだったので感想は据え置き。ただ、敵海賊がグロいという前評判だったが、どちらかというと旧くなった寿司ネタという感じで、ちょっとあぶってわさび醤油をつければいけそうな感じでありました。
しかし本格的な海賊映画というのは、私たちの世代には郷愁を感じさせるものがある。ラム酒のラッパ呑みや呪われた幽霊船などのお約束の設定がたまらないのだ。『ピーターパン』『宝島』など少年向けの翻訳小説で読んだときのわくわく感が蘇ってくる。漫画だと石森章太郎の『黒い幽霊船』なんて傑作もありました。
*
帰りには谷中の『トルソ』という小さなイタリア料理店で、車海老とトマトのパスタをいただく。一人できりまわしている気さくなシェフに、ソースの甘みの出し方をうかがうと、トマトの甘さは胡椒で出すのだと教えてくれた。
61.198.199.162 映 669 0 1159022383 最近の力士の所作と小泉純一郎時代の終焉最近、大相撲の取組み、時間一杯で自分のまわしをバシッと叩いて気合いを入れる力士が増えたようだ。朝青龍の専売特許だと思っていたが、かっこいいのでみんな真似をしているのだろうか。
高見盛の「気合い入れ」も人気はあるのだが、真似をする力士はさすがにいない。あれは特殊な才能がいりそうだから、おいそれとは真似できないのだろう。真似をしても白星につながりそうもないのも一因かもしれない。
◇
明日、秋場所優勝の朝青龍に総理大臣杯を授与するのは、安部官房長官らしい。小泉時代の終わりを実感させられて、正直ちょっとさびしい。別に小泉シンパではないが、なんといっても最近の首相の中では、抜群に面白かったではないか。郵政解散と刺客候補なんていうサプライズはなかなか天才的戦術家であると思えたものだ。筑紫哲也の仏頂面とセットで忘れられない。
主要マスコミによれば、次の政権への期待はアジア(マスコミ用語では中朝韓3国を指す)との関係改善だそうだ。私は頭が悪くてよくわからないのだが、その3国といわゆる関係改善をして、なにかいいことがあるのだろうか?
小泉以前、関係悪化していないころの3国との関係といえば、散々金を払って、国民を拉致され(それを知らされず)、領土である島を武力で占領され、国定教科書に日本を諸悪の根源と書いている国に日本の教科書に難癖をつけられ、特に今と変わったところ良かったところなど一つもなかったのではないだろうか。
小泉が辞めたら、早速途絶えていた首脳会談が復活するようだが、過去の3国との首脳会談は結局経済支援を約束させられて終わっていたような記憶しかない。小泉時代は少なくとも日本国民に役に立たない金を払わなくて済んだ分、国民の利益にかなっていたと思うのだがどうか。
◇
クイントゥス『トロイア戦記』(講談社学芸文庫)、マイク・コナリー『ナイトホークス(上下)』『ブラックアイス』(扶桑社文庫)、谷崎潤一郎『武州公秘話』(中公文庫)、遠藤秀紀『人体 失敗の進化史』(光文社新書)購入。
61.198.199.162 闘 668 0 1158069148 金剛力士vs大魔神NHK『迷宮美術館』で運慶の東大寺金剛力士像を見た。
全高8.4m。
ゆらりと動き出すところを、妄想して恍惚としました。
……来年は奈良に行こう。
唐突に思ったことは……『日本沈没』もいいけれど『大魔神』をリメークしないかな。
210.198.165.124 美 667 0 1156085676 最後にして最初の人類オラフ・ステープルドン 『最後にして最初の人類』(浜口稔訳/国書刊行会)読了。
数度の大戦争を経験した人類は、24世紀、ついに世界国家を実現、高度な科学文明を築くが、核エネルギーの暴発が地球のほぼ全域を焦土と化してしまう。わずかに生き残り、世界再建を果たした人類を襲う火星人の侵略、生物兵器に端を発した疫病の蔓延。度重なる災禍によって肉体的、精神的に退行した人類は、しかし再び進化の階梯を登り始め、地球を脱出して金星や海王星に移住を開始する…。20億年に及ぶ人類の未来史を驚異の神話的想像力で描いて、アーサー・C.クラークらに決定的な影響を与えた伝説的名作。
(AMAZONの商品説明より)
感想は明日以降。他の読了記予定『魔の山』『ヘレネー誘拐・トロイア落城』『ホメーロスの諸神讃歌』『日本の漢字』……あくまで予定なので書けないかもしれない。読む方優先なのだが、感想書いとかないとすっきり読み切った気がしないのもたしかなのだ。
61.198.191.159 本 666 0 1155998455 ミミズクとオリーブ/嫁洗い池芦原すなお 『ミミズクとオリーブ』、『嫁洗い池』(創元推理文庫)読了。
美味しい郷土料理を給仕しながら、夫の友人が持ち込んだ問題を次々と解決してしまう新しい型の安楽椅子探偵――八王子の郊外に住む作家の奥さんが、その名探偵だ。優れた人間観察から生まれる名推理、それに勝るとも劣らない、美味しそうな手料理の数数。随所に語り口の見事さがうかがえる、直木賞受賞作家の筆の冴え。
讃岐名物の「醤油豆」。焼いたカマスのすり身と味噌をこね合わせた「さつま」、黒砂糖と醤油で煮つけた豆腐と揚げの煮物。カラ付きの小海老と拍子木に切った大根の煮しめ。新ジャガと小ぶりの目板ガレイ(ぼくらの郷里ではこれをメダカと呼ぶ)の唐揚げ…次々と美味しいものを作るぼくの妻は、なんと名探偵だった!数々の難問を料理するそのお手並みを、とくとご賞味あれ。
(AMAZONの商品説明より)
シリーズ物短編ミステリの第一集と第二集。はっきり言って、ミステリとしての推理部分はまるでつまらない。どんな謎だったか全然覚えていない。しかし、小説としては面白い。
なんといっても会話が愉快である。毎回、ワトスン役のしょぼくれた小説家の家に彼の旧友の剛腕刑事が訪ねてきては難事件について語るのだが、この小説家が役にたたないくせに、だまって聞いていない。なにかと茶々といれるのに刑事が言い返して掛け合いになるのだが、これが漫才のようで笑える。読む方は癖になって次も読みたくなる。
もう一つ魅力は上の紹介文にもある、毎回登場するちょっと珍しい讃岐料理の数々の美味しそうな描写だ。冷静になって考えると、実際に食べたらそんなに旨くはないのではとも思うが、そこは文章の力だろう。小説を読んだあと、こちらもたまらなくなってウルメを焼いて一杯呑みはじめたりしてしまう。
最後に忘れていけないのは、名探偵役である「奥さん」、作家の妻である。名前もないこの女性は、実に「男の理想」として描かれている。美人で聡明、料理が上手くて趣味は実益もかねた縫い物、出かけるのは嫌いでいつも着物で家にいる。長電話もしないし、まめで綺麗好きで夫への気働きも抜群。……フェミニストが火病を起しそうな設定だが、男の考える妻の理想像であるのは間違いない。まあ、こんな人は現実には存在しないから安心してもらいたい。
この夫婦には子どもがいない。しかしそのかわりと言ってはなんだが、話の最後に必ず、おくさんのかわいがっている一羽のミミズクが家の庭にやってくる。浮世ばなれした名探偵おくさんは知恵の女神アテナの化身なのだろう。
61.198.191.159 本 665 0 1155048604 ガッツ石松と亀田小汚いものは見たくないので、当然、亀田の試合なんてものは見ていない。
いろいろ言われているようだが、私がなにより不思議なのはアンナモノの視聴率が40%を超えているということだ。
見た人はその時間をドブに捨てたような気分になったことだろう。人生を無駄遣いすることはない。良いボクシングの試合が見たかったら、長谷川穂積やイーグル京和の試合を見ればいいのだ。さもなくばWOWWOWに入って、世界の一流どころの試合をジョー小泉さんの駄洒落に耐えながら見るのも良い。野球だってメジャーリーグ、サッカーだってワールドカップが人気なのだから。
アンナモノを見た視聴者より悪いのは、当然、彼ら(善良なる視聴者)をだましたTBSですね。
ボクシングの試合中継を地道に続けて(金を正しく出し続けて)いれば必ずヒーローや名勝負は生まれる。それをバラエティ的予定調和に無理やり収めようとするから、こういう醜悪なことになる。ハプニングや偶然のドラマを恐れていて、なにがテレビマンだと言いたい。「笑っていいとも」の「友だちの輪」が最初期にはあきらかにヤラセなしアポなしだったと言ったら驚かれるだろうか。それがいつしかぬるい予定通りの対談コーナーになってしまった。しかし、その感覚でボクシングをやられたらたまらない。
もっとも、TBSにはタイ人をかませ犬に使って超人的ヒーローを作るということでは前科がある。キックボクシングの沢村忠という成功(?)例があるのだ。あの味が忘れられないのかもしれない。
もっとも沢村は亀田と違って天才だったが、それでも過酷な使われ方をして消えていった。毎週毎週30分番組で倒し倒されつのKO劇を演じさせられたら、どんな鉄人でも壊れてしまう。TBSは同時期に同じ30分番組でウルトラマンを放映していたから、沢村もTBSから見れば同じカテゴリーだったのかもしれない。悪い怪獣がムエタイ戦士で、スペシューム光線の代わりに真空飛び膝蹴りで敵を倒すというわけだ。
まあ、亀田親子やTBSがどうなろうと知ったことではないが、これで世間からボクシングがうさんくさく思われ、名試合を見る機会が減るかと思うと口惜しい。
亀田は今回の試合で初回に見事にひっくり返されて、あとはグダグダだったそうだが、初回のダウンというとあの大場政夫の2度のフライ級防衛戦を思い出す。あの名勝負をリアルタイムで見られた私は幸運だった。
ガッツ石松や輪島功一も大場と同時代に世界チャンピオンだった人々だ。試合後の番組で亀田親子は彼らを批判したガッツ石松に対し奴よばわりしたりタメ口をたたいていたが、ボクサーとしての石松は彼らからみたら雲上人のはずだ。
中南米北米の強い選手がごろごろしている層の厚いライト級で戦い、若い時にボクシング史に残る名チャンピオン、ロベルト・デュランに挑戦して10回KOで敗れている(これも見ているが、失神KOではなく毎回鉄拳を雨霰と浴びてのイヤ倒れだった)。その負けを糧にした(のだろう、多分)その後、やはり強豪世界チャンピオン、ロドルフォ・ゴンザレスを見事なKOで倒して戴冠し、5度も防衛している。
まあ、昔話をはじめるときりがないので、興味ある方はここや、ここを見てほしい。
なんにしても、石松と亀田では、同じボクサーでもマウンテンゴリラとニホンザルほど貫禄に違いがあるということだ。
210.169.69.168 闘 664 0 1154789647 寿き焼@夏休み更新が停まっていましたが、例年通り夏休みで、ネットにもつながない一週間をおくっていたわけです。
今年は松坂の和田金で和牛の味を堪能するのが目的。私はアメリカンビーフはあまり好きではない。別に贅沢なわけではなく、牛より鶏肉や豚肉の方が好きな安上がりな体質なのだ。そんな私でも、やはり旨い牛肉はうまい。とろけるようで甘いというだけでなく、牛肉の本当の香り(いわゆる牛臭さとは別物)がするのだ。もちろん値段も安くはないが東京で同じ味とサービスだったら軽く倍はする。
肉食の歴史が浅い(というか中断があった)日本人にとって、牛肉はやはり贅沢品なのだ。贅沢品だからこそ、甘く柔媚で香り高い製品を作れたのだろう。肉は主食であろうアメリカ人やオーストラリア人などの意見はまた違うのかもしれない。なんにしても、私は当分牛肉を食べたいとは思わない。豚肉と鶏肉の日常にもどるとしよう。
松坂もなかなか上品な良い街である。松坂城址も石垣しか残っていないが、紛いものの天守閣を復元したりなどしてしないのが、まさしくつわものどのの夢の跡……風情を感じさせて味わい深い。隣接している本居宣長記念館で昔の日本人の勉強ぶりに頭が下がり、城外の武家長屋跡の美しさに日本家屋の良さを認識する。
今年最高気温を記録した日だったが、和建築の風通しの良い二階から松坂の街を眺めているとエアコンのない時代でも、夏を過ごせた理由がわかるような気がする。
市内のとある茶店の二階がミニギャラリーになっていて籔内佐斗司の作品が展示していた。
翌日からは、人の少ない海岸で何もせず、ぼんやりと泳ぎ、あとはごろごろ眠って過ごす。海辺で読書三昧のつもりだったが、本も読まなかった。
ということで、更新やメールの返事は明日からということであしからず。
61.198.197.98 旅 663 0 1153579404 プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展東京国立博物館平成館で『プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展』を見てきた。
若冲の「紫陽花双鶏図」「鳥獣花木図屏風」(デジタル日本画!)といった垂涎の作品を眼前にするのは、文字通り眼福。特に「花鳥人物図屏風」「鶴図屏風」の白地に濃墨と薄墨だけで描かれた極限までシンプルな表現に参りました。「紫陽花双鶏図」のような高密度高彩度の迫力絵とは対極の飄逸な線と形。これだけで十分満足であります。
若冲人気で名前を冠した展になっているが、他にもいいものがたくさん出ている。円山応挙の「懸崖飛泉図屏風」、長山蘆雪「白象黒牛図屏風」、河鍋暁斎「妓楼酒宴図」など、見逃すには惜しい名作揃い。プライス氏の眼の高さを思い知らされる。琳派の鈴木其一という画家はこの展覧会ではじめて知ったが、知的なとてもいい絵で気に入ってしまった。
これほどの逸品が全てUSAにあるというのは、日本人としてはちょっと口惜しいが、戦後、世界ではもちろん日本でも全く評価されていなかった若沖(だけではないが)の絵を「自分の眼だけで」選び出してコレクションし日本で再評価させたのがプライス氏だ、というのでは文句のつけようがない。
若沖だけでなく、琳派の酒井抱一や鈴木其一の再評価のきっかけもプライスコレクションだという。
バブル期にゴッホやセザンヌなどの「評価の定まった」絵画を法外な価格で買いあさった日本の大馬鹿経営者とは、比べるのも無理なほどまったくレベルが違うのはたしかだ。
それだけにプライス・コレクション全体には統一されたなにかを感じる。奇想とかユーモラスな表現への好みはもちろんだか、フランク・ロイド・ライトに師事した建築家らしいガチッとしたものがある絵が好きなんだろうなと思う。
その意味で2500円の展覧会カタログは迷わず買うことをお勧めする。私は冒頭のプライス氏自身が自らのコレクションを語る文章を読むだけでも、買った甲斐があったと思った。
この展覧会の珍しいのは、かなりの数の絵(特に大きな屏風絵)がガラスケースのない状態で、変化する光源の元で展示されていることだ。まるで昔その絵が飾られていた和室で朝日から月夜までの一日を早送りで見たような気分にさせてくれる。日本画の特に金箔地の光の効果を見せてくれる博物館の英断に感謝したい。この日本画を見るための光の工夫もプライス氏の研究にかなり示唆されているらしい。
61.198.197.98 絵 662 0 1153032592 花道の麗人大相撲名古屋場所も早や中日。今場所は朝青龍が好調なので気分良く見られる。
残念ながら名古屋場所はここのところ入りが悪い。今場所も二階席以上は空席がかなり目立つ。
それを補うかのように、名古屋の桟敷席は華やかだ。はっきり言えば、かなり派手めのおねーさん方の姿が目立つ。高そうな着物にひさしをそびやかした髪型。東京場所は地味。大阪も派手だが名古屋には及ばない。
まあ、大相撲はハレの場所。少々けばくても華やかなのは正しくTPOに合わせたファッションと言えるだろう。
毎日見ていると、一日こっきりではなく、連日同じ席に同じ顔が坐っている。もちろん、着物は毎日違う。大女将風が多いが、若女将も少なくない。
正面西の端の砂っかぶりや、数列後ろ東花道寄りになかなかの美女が来ているので、興味ある向きは注意して見るのがよろしかろう(肝心の取組みを見逃さないように)。
毎日だけでなく(名古屋場所は年一度なので)毎年見かける方もいらっしゃる。前述の二人もそうだが、特に目立つのが東の花道ぎわの席が定位置の年配の女性。ひときわ高価そうな品のいい着物を粋に着こなして、連日観戦している。当然毎日違う着物です。
この女性が素敵なのは、見ている様子から本当に相撲が好きなのが伝わってくることだ。制限時間近では固唾を呑んで見守り、贔屓らしい力士が勝つと嬉しそうに笑い、負けると悔しそうだが笑みは忘れず、結果がどちらでも惜しみなく拍手をおくる。観客の鏡である。
すぐ座布団を投げるような(心根の)貧しい客は見習ってほしいものだ。(特に九州場所がひどい)
絵は、特定の一人ではなく大女将風大相撲愛好者の合成イメージ。本物のみなさんは化粧はもうちょっと濃いめかもしれない。
210.198.152.203 闘 661 0 1152434530 ファッション通信ファッションにもブランドにも、全くうといおっさんの私だが、TV東京(and BSジャパン)の『ファッション通信』はかれこれ10年以上見続けている。
世界屈指のデザイナーとモデルと演出家が金をかけて作ったショーなんだから、面白くないわけがない。30分と短いし、なにも考えずに綺麗なものを見るのは精神衛生上、大変よろしい。
番組の監修・出演を続けてきたファッションジャーナリストの大内順子さんがナレーションも担当している(一人ではないが)。これが実に独特というかクサいというか、いかにもファッションという感じで盛り上がるのだ。
昨年はナポレオンとジョセフィーヌをテーマに 究極のマスキュリン・フェミニンで見せた「ドルチェ&ガッバーナ」の、今年のテーマはゴシック・スタイルとロック・テイストのミックス。ボリューム感のある布地のあつかいでグラマラスな成熟した女性のゴージャスで力強い女性像をを提案しながら、胸元や裾のリボンでガーリーな雰囲気も表現するという、なんとも贅沢なコレクション。ミラノトレンドを牽引する「ドルチェ&ガッバーナ」がどんな進化を遂げるのか、今年も目を離せません。……何を言っているのか半分もわかりませんが、このナレーションがないと、「ファッションショー」を見ている気がしない身体になってしまった。
数日前、NHK-BSでもミラノコレクションを放映していた。これが全然面白くない。見せているものは同じなのだが、あのナレーションがないのだ。やはり、『ファッション通信』はあのクサいナレーションあっての『ファッション通信』なのだと再認識した。
クサさだけではなく、ショーのメークアップの詳細の解説があったりして、そのへんも、興味ある人にはためになる(と思う)。
最近はNHKの『新日曜美術館』より『美の巨人たち』の方が面白いし、TV東京の30分のアート系番組はなかなか侮れません。
61.198.199.114 TV 660 0 1152060702 テポドンの6割はパチンコでできている
- アメリカ独立記念日に北朝鮮ミサイル発射
- 北朝鮮ミサイル発射と同時に韓国竹島周辺海域調査
これを偶然の一致と思うのはよほどおめでたい人だけだろう。
日米政府はノテウとジョンイルがつるんでいると疑って(確信して?)いるだろうけど、今回の北朝鮮と韓国のあからさまな行動はそれを誇示しているともとれますなあ。
早いとこ日本海にイージス艦と迎撃ミサイルをずらりと配備してくれないと、のんびりネットもしてられない。牛肉ぐらいとっとと解禁してやろうじゃないか。食べないけど。
あとパチンコは全面禁止の方向で。覚醒剤は持ってるだけで死刑でよろしく。
あと、↓この人たちが今なにしてるか、ちょっと気になる。
58.157.55.188 時 659 0 1151763269 ヨーロッパ文化と日本文化(子供編)
日本のマスコミの取材団、朝鮮総連の提案を受けて平壌入り前回の続き。しつこくて申し訳ないが、ネタの宝庫なので。
子供が放火して家族を焼殺したり、母親が子供を虐待死させたり、といった事件が続くと、決まって「最近の若い親は育て方を知らない」とか「最近の子供はこどもらしさがない」とかいう声が聞こえてくる。すると逆に「『最近の若いものは』という言葉は何千年前の粘土板にも残っている」なんていう反論が出てくる。
では、実際に昔=16世紀の日本の子供とその育て方はどうだったのだろう。フロイスが書いているところをいくつか抜粋してみよう。
- われわれ(ヨーロッパ人)の子供は多大の寵愛と温情、美食と美衣によって養育される。日本の子供は半裸で、ほとんど何らの寵愛も快楽もなく育てられる。
- われわれの間では鞭で打って息子を懲罰する。日本では滅多におこなわれない。ただ言葉によって譴責するだけである。六、七歳の小児に対しても七十歳の人に対するように真面目に話して譴責する。
- われわれの子供は青年になってもなお口上ひとつも伝えることができない。日本の子供は十歳でも、それを伝える判断と思慮において、五十歳にも見られる。
- われわれの子供はその立ち居振る舞いに落ち着きがなく優雅を重んじない。日本の子供はその点非常に完全で、全く賞賛に値する。
- われわれの子供は大抵公開の演劇や演技の中ではにかむ。日本の子供は恥ずかしがらず、のびのびしていて、愛嬌がある。そして演ずるところは実に堂々としている
どうだろう。日本のことを書いてるとは到底思えないほど、21世紀の日本人の子供とその親とは全然違っているではないか。前回も紹介したとおりフロイスは決して親日家ではない。むしろ日本人を見る目は辛辣だ。だから差っ引いて考える必要はない。ほとんど事実だと思っていいだろう。
やはり、日本人と日本文化は「今頃の若いものは」と言われているとおり、一世代ごとに微妙に劣化し、400年の間にフロイスが書いた美点のほとんどは雲散霧消してしまったのかもしれない。
しかし、400年の間になくなった悪徳もある。フロイスが書いている16世紀の子供と僧侶の関係である。
- われわれの間では世俗の師匠について読み書きを習う。日本ではすべての子供が坊主の寺院で勉学する。
- われわれの教師は、子供たちに尊い教義や正しい行儀作法を教える。日本の坊主は子供たちに弾奏や唱歌、遊戯、撃剣などを教え、また彼らと忌まわしい行為をする。
「忌まわしい行為」とはもちろん衆道=男色のことですね。現在でも、僧侶はともかく、学校の教師が生徒と淫行して逮捕なんていう事件は、毎週のように起きているので、なくなったとはとてもいえないか。
61.198.191.241 本 658 0 1151678813 ヨーロッパ文化と日本文化ルイス・フロイス『ヨーロッパ文化と日本文化』(岡田章雄訳/岩波文庫 )読了。
イエズス会宣教師ルイス・フロイスは、35年間日本での布教に努め、長崎で生涯を終えた。その間、当時の日本の社会を細かく観察し、ヨーロッパ文化と比較・対照して記録した。筆は、衣食住、宗教生活、武器から演劇、歌謡等々多方面に及ぶ。
【目次】男性の風貌と衣服 / 女性の風貌と風習 / 児童 / 坊主 / 寺院、聖像、信仰 / 食事と飲酒 / 攻撃用および防禦武器 / 馬 / 病気、医者、薬 / 書法、書物、紙、インク、手紙 / 家屋、建築、庭園、果実 / 船とその慣習、道具 / 劇、喜劇、舞踊、歌、楽器 / その他の異風、特殊な事
(AMAZONの商品説明より)
信長の庇護をえて布教の生涯をおくり、長大な「日本史」を著わした著述家でもあるフロイス。異人の目で当時の日本を活写する文章は素直に面白い。ただ、首をかしげる部分も多々ある。
違いの妙を強調するためか、誇張した表現(ヨーロッパでは女性が食事を作り日本では男性が作る等)や、「なぜ、これを比べるか?」という無理やりな組み合わせなどだ。
特に同業ライバルの僧侶寺社に対しては、容赦なく過激にその悪行(酒色怠惰物欲)を暴きたてている。当時のキリスト教会が東洋の仏教僧よりずっと清廉潔白だったとはとても思えないが、フロイス自身は敬虔な人物だったのだろう。それでも野蛮な東洋の異教徒を教導しに来たつもりの白人である。言葉の端々に先進国としての優越感がほの見えるのが、ちょっとつらにくい。
フロイスが列挙した東西の相違点には、単純に技術的にわが国が遅れを取っている点もあれば、肉体的条件(あちらは大きく、こちらは小さい)、気候風土など自然条件による違いなどももちろんある。挙げられている中には単なる偶然の産物でほとんど意味のないものも多い。しかし、それらをさっぴいてもなかなか日本人では気付かない興味深い点も多い。
例えば、ヨーロッパでは革、石、金属などの素材を使っているものが、日本では多く「紙」が使われれている。「障子」などは端的な例だが、これは和紙の吸水性、強靭性に依るところだろう。フロイスも「
われわれは紙の上に(乾燥のため)砂をまく。彼等の紙はインクを直ちに吸い取る(ので砂の必要がない)」と書いている。日本人の小刀による細工技術には感心するが、馬術はヨーロッパの方がはるかに優れていたらしい。
医術ももちろんヨーロッパの方が進んでいた。しかしフロイスはこうも書いている。「
ヨーロッパ人の肉体は繊弱なので、治癒が非常に遅い。日本人の肉体は頑健なので重傷、骨折および災厄からも、われわれ以上に見事に、しかも一層速やかに快復する。」……う〜ん、スーパーニホン人。*
ここで(特に女性に)質問だが、もし16世紀(の女性)に生まれ変わるとしたら、日本とヨーロッパとどちらを望むだろう。条件をそろえるため、どちらも裕福な階級に生まれるとする。
まあ、たいがいの女性はヨーロッパと答えるだろう。しかし、フロイスの書いた「ヨーロッパと日本の女性の違い」を読んでもらいたい。
- ヨーロッパでは財産は夫婦共有である。日本では各人が自分の分を所有している。時に妻が夫に高利で貸しつける。
- ヨーロッパでは妻は夫の許可がなくては、家から外へ出ない。日本の女性は夫に知らせず、好きな所に行く自由を持っている。
- ヨーロッパでは娘や処女を閉じ込めておくことはきわめて大事なことで、厳格におこなわれる。日本では娘たちは両親にことわりもしないで一日でも幾日でも、ひとりで好きな所へ出かける。
- ヨーロッパでは女性が文字を書くことはあまり普及していない。日本の高貴の女性は、それを知らなければ価値が下がると考えている。
- ヨーロッパでは女性がワインを飲むことは礼を失するものと考えられている。日本ではそれはごく普通のことで、祭りの時にはしばしば酔払うまで飲む。
どうだろう、意外に「自由」ということでは、ヨーロッパより日本の女性の方が満喫できていたようではないか。
え、それでもヨーロッパの方がいい?あっちの男の方がイケメンだからぁ?
むむ、これは16世紀でも21世紀でも変わらないで残っていることの一つだな。大変残念ではあるが。
110.5.46.129 本 657 0 1151412235 悪魔のような女たちジュール・バルベー・ドールヴィイ 『悪魔のような女たち』(中条省平訳/ちくま文庫 )読了。
若い陸軍士官と高貴玲瓏たる美女アルベルトの秘密の逢瀬をまつ戦慄の結末、パリの〈植物園〉の檻の前で、獰猛な豹の鼻面をぴしりと黒手袋で打つ黒衣の女剣士オートクレールの凄絶な半生、みずから娼婦となってスペインの大貴族の夫に復讐を図る麗しき貴婦人シエラ=レオネ公爵夫人…。華麗なバロック的文体で描かれた六篇の数奇な物語を、魅力あふれる新訳でおくる。
(AMAZONの商品説明より)
著者は貴族出身で、19世紀フランスの小説家にして批評家。民主主義と平等を憎み、現実の王党派も軽蔑した反時代的思想家。かなり面白い人のようだが、作品も負けず劣らず、一筋縄ではいかない面白さです。
ファムファタルというのか、6編すべてのヒロインの個性が強烈で、ありきたりの悪女は一人もいない。しかも、すべて男の視線から描かれるので、ヒロインがより謎めいてエロティックに見えてくる。
編中では『ドン・ジュアンの最も美しい恋』と『罪のなかの幸福』が秀逸。
他の物語のヒロインはすべて成熟した大人の女性だが『ドン・ジュアン……』だけは13歳の小娘だ。純真で無邪気、であるがゆえに悪女になりえる。悪女ぶりも無邪気であるのだけれども。
『罪のなかの幸福』のカップルは圧倒的に美しい。以前、別のアンソロジー(創元の『怪奇小説傑作集4』)で澁澤澤龍彦訳を読んだのだが、直後にこんな夢を見たのを思い出した。夢の内容と小説の中身はまったく関係ないが、出てきた白人カップルはあきらかに『罪のなかの幸福』の主人公たちでありました。
著者は現代人から見たら、もちろん差別主義者だ。だからこそ書ける美しさもあるということだ。著者は1ダースで1組のつもりだったらしく、あと6編の作品があったはずなのに、前半6編(本書)だけで発禁処分となり、発表の機会を失ってしまったということだ。なんとも残念なことである。
210.198.167.123 本 656 0 1151245916 インサイド・マン両さんの街とは思えぬお洒落な店がある(歩いている人は私もふくめて両さんっぽいが)亀有アリオのMOVIXで『インサイド・マン』を見に行った。
監督は社会派のスパイク・リーということで、サスペンスものはどうか心配だったのだけど、その危惧は半分当たって半分外れた。
冒頭の犯人らしき男の独白から一転、銀行に強盗グループが押し入り、居合わせた行員と客50人をすばらしい手際で人質にして、立てこもる。銀行周囲はあっという間に封鎖され、腕利き刑事デンゼル・ワシントンが呼び出され、犯人と交渉にあたる。犯人の目的がわからないまま、虚々実々の駆け引きが繰り広げられ、やがて警官隊が突入・人質は救出されるのだが……
ここまでは実に快調なテンポ、臨場感も緊迫感も文句のつけようがありません。ところが、ここから謎の解明までが脚本がくだぐだ。謎や仕掛けも決して悪くないのだが、解決や解明のシーンの描写がうまくないので、もう一つカタルシスが感じられないのだ。監督のサスペンス映画の経験不足が出てしまったというところだろう。
※ここからネタバレがあるので注意※
ジョディ・フォスターが、銀行の会長に派遣されたやり手弁護士として登場するが、このスターを出すためだけのようなキャスティングは不要だろう。会長の秘密の暴露はこのあまり役に立たない弁護士がするのではなく、主役の刑事がラストでする方が効果的だ。
まんまと成功した犯人と主役の刑事がすれちがうシーンがあるのだが、刑事がそれに気がつくのがラストでガールフレンドといちゃついているとき、というのはあまりにマヌケな終わり方だ。これはシーンの順番を変えて、すれちがうシーンをラストにして、刑事が遠ざかり銀行内部に消えて行く。犯人がこちらに近づいてきてENDというのが、ベストの終わり方でありましょう。
スパイク・リー、名監督なのかもしれないが、サスペンス映画に関しては一年生ですな。できのいい一年生だとは思うけど。
58.157.55.188 映 655 0 1151069547 ギリシア神話ノート毎日のぞいているプロの絵描きさんのブログで、ギリシア神話をモチーフにしたデッサンの連作が展開されている。
元々ギリシア神話は大好きなので(鉄腕アトムのプルートウの巻やサイボーグ009のミュートス編でわくわくしたタイプ)、懐かしくなり本棚のギリシア神話関係を掘り返してみた。
折角なので少し紹介してみよう。小説でも詩でも戯曲でも絵でも彫刻でもギリシア神話は基礎知識なので知っておいて損はない、というより、物語として純粋に面白い。
【入門書】
阿刀田高『ギリシア神話を知っていますか』(新潮文庫)
がお手軽だが、私のおすすめ、というか私が最初にギリシア神話に接したのは次の2冊。
- トマス・ブルフィンチ『ギリシア・ローマ神話』(岩波少年少女文学全集)
- ヨハンナ・インゲ・フォン・ ヴィーゼ 『夢を掘りあてた人―トロイアを発掘したシュリーマン』(岩波少年少女文学全集)
しかし、この「岩波少年少女文学全集」はとおの昔に絶版になっているらしい。
ただし、今読み返すとブルフィンチの紹介するギリシア神話は後述するオウィディウスあたりのロマンティックなものがかなり混じっていて、元々(というのが何かも諸説あって面倒くさいが)のギリシア神話とはと少しちがう気がする。
シュリーマン本も少年向けだっただけに、シュリーマンがクリミア戦争でロシアに武器を売っていた死の商人だったなんてことは全然書いてなかった。それを知ってもシュリーマンを嫌いになったりは全然しないのだが、知ったのが少年時代だったらどうだったかはわからない。
【叙事詩】
ということで、一番面白いのはやはり原典の叙事詩。最も重要で有名なヘシオドスとホメロスのほとんど全ては邦訳が出ていて、多くが岩波文庫で読めるのだからありがたい。
どんな神話伝説でもそうだろうが、ギリシア神話は異説類話の固まりで、天地の始まりからして、ヘシオドスとホメロスでは全然違う。
キリスト教だと「天地創造」だが、ギリシア神話では絶対者が創造するのではなく、なんかわからないもやもや(カオス)が固まったり(ヘシオドス)、最初から大海があったり(ホメロス)して、天地が勝手に生成される。神々が生まれるのはそのあとだ。
- ヘシオドス『神統記』(岩波文庫)
基本中の基本。天地生成から神々の興亡、巨人族との戦い、ペルセウスやヘラクレスの英雄伝説。アルゴ探検隊。そしてトロイア戦争からオデッセウスの苦難の旅まで、代表的な話はすべて網羅されている。必読!といっても短いし、力強い素朴な語りですぐ読める。ゼウスが巨人族を雷挺で打ち倒すところなどは勇壮でわくわくします。- ヘシオドス『仕事と日』(岩波文庫)
実直な農民詩人だったヘシオドスが弟に神話や格言で信仰を説く教訓談。有名なパンドーラーの神話で女の怖さについてを弟に教えたりしています。- ホメロス『イリアス(上/下)』(岩波文庫)
英雄アキレウスを主人公としたトロイア戦争物語。ヘシオドスよりずっと長く表現も洗練されていて、筋も複雑。英雄・戦士の意地の張り合い、感情表現が面白い。神々も結構人間くさく描かれています。- ホメロス『オデュッセイア(上/下)』(岩波文庫)
『イリアス』が(色々な挿話があるにせよ)基本的に戦地が舞台で、力と勇の戦士アキレウスが主人公だったの比べて、こちらは知の英雄オデュッセウスの漂流譚。さらにストーリーは波瀾万丈で、妻と王国を取り戻すラストにもカタルシスがあります。- ホメロス『四つのギリシア神話―ホメーロス讃歌より』(岩波文庫)
原典は20以上の神々についてのエピソード集だが、本書はそのうち細かいものをのぞいて四編を訳出している。デメテル讃歌、アポロン讃歌、ヘルメス讃歌、アフロディーテー讃歌、いずれもオリンポス12神の中でもスター級の神々。よく知られたエピソードの原典なので、これも必読でしょう。- アポロニオス『アルゴナウティカ―アルゴ船物語』(講談社文芸文庫)
ホメロスはたくさん邦訳があるがアポロニオスの邦訳はたぶんこの一冊のみ。有名な金羊毛皮を求めるイアソンやヘラクレスたちの英雄の冒険旅行。イアソンはアキレウスやオデュッセウスに比べると小粒だが、彼に狂恋の炎を燃やす王女メディーアの存在感が補ってあり余る。【補完】
長編叙事詩は以上。もちろん他にも漏れている話はたくさんある。それらの補完と、事典的な目的には次の2冊がある。
- アポロドートス『ギリシア神話』(岩波文庫)
次のオウィディウスなどと違い、古代ギリシアの著述を典拠としたテキスト。内容は神々の血統を連綿と無機的に書き連ねたもの。読みやすくはないが、包括的系統的な理解には欠かせないと言われている。ホメロスの二編の補完にはなるけれど、後述の現代の研究者が編んだものの方がはるかに読みやすいので、原典にこだわらない人はそちらの方を。- オウィディウス『変身物語(上/下)』(岩波文庫)
オウィディウスは古代ローマの詩人だけに、ヘレニズム的な情緒的で甘美な物語が多い。いわば、ローマ版聊斎志異だ。いわゆるギリシア神話のイメージに一番近いかもしれない。【悲劇】
ホメロスよりずっと後代になるが、神話を下敷きにしたギリシア悲劇(&喜劇)も現代の文学や美術や演劇への影響は、もしかしたら神話そのものより大きいかもしれない。
神話のファンタジックな要素はほとんどなくなり、強烈な人間ドラマの原型がごろごろしている。後代の精神分析学が深層心理の命名をギリシア悲劇に依った理由がよくわかる。
昔、人文書院版の全集を気ばって揃えたが、今ならちくま文庫ですべて手に入る。
- 『ギリシア悲劇1〜アイスキュロス』(ちくま文庫)
「縛られたプロメテウス」が圧巻、ただしアイスキュロスの真作ではないという説もあるらしい。- 『ギリシア悲劇2〜ソポクレス』(ちくま文庫)
もっともストーリーテリングに優れていると思う。「オイデイプス王」はギリシャ悲劇の王ですね。- 『ギリシア悲劇3〜エウリピデス(上/下)』(ちくま文庫)
もっとも人間的でリアルな作風。それなのにラストではほとんど機械の神(デウス・エキス・マキナ)が唐突に現われて解決するのが面白い。- 『ギリシア喜劇〜アリストパネス(上/下)』(ちくま文庫)
妻たちがセックスストライキで戦争をやめさせる「女の平和」が傑作。【現代の解説本】
- 呉茂一『ギリシア神話(上/下)』(新潮文庫)
網羅的でありながら、膨大な情報量が系統的に整理されていて読みやすい労作。私が持っているのは絶版になっている単行本で、索引が充実していて重宝している。文庫版に索引が収録されているかどうかは未確認。- カール・ケレーニイ『ギリシア神話(神々の時代/英雄の時代)』(中公文庫)
こちらも情報量といい解説といい、呉本と甲乙つけがたい良書。その他、お好みで。
- 高津春繁『ホメーロスの英雄叙事詩』(岩波新書)
- 澤柳大五郎『ギリシアの美術』(岩波新書)
- 中村善也『ギリシア悲劇入門』(岩波同時代ライブラリー)
- 三枝和子『男たちのギリシア悲劇』(福武書店)
- 藤縄謙三『ギリシア神話の世界観』(新潮選書)
*
以上が既読。ほとんどすべて20年以上前に購入したものなので、今は新訳になったり手軽な文庫になったり、さらに手にいれ易くなっていると思う。
【未読】
アマゾンのリンクを調べたついでに、未読のギリシア神話関係もちょっと調べてみた。興味をひいたものを以下に列挙してみる。
- ピエール・グリマル『ギリシア神話』(白水社―文庫クセジュ)
神話集ではなく、神話学の変遷の歴史を紀元前から現代に至るまでまとめた本。- グレーヴス『ギリシア神話』(紀伊国屋書店)
「一冊だけ選ぶならこれ」という定番中の定番。ただし高価。- ヒュギーヌス『ギリシア神話集』(講談社学術文庫)
ローマ帝政記にローマ人にギリシア神話を紹介するために編まれたラテン語の神話集の邦訳。全277話もあり、本書のみで伝えられている話もかなりあるらしい。- コルートス『ヘレネー誘拐・トロイア落城』(講談社学術文庫)
『イリアス』では詳しくは語られていない、戦争の発端と戦争の終結を歌う小叙事詩。あまり神話的な要素は多くなさそうだ。- ホメーロス『ホメーロスの諸神讃歌』(ちくま学芸文庫)
岩波文庫では抄訳だったものの完訳、訳註も豊富らしい。【購入】
上記のうち、『ヘレネー誘拐・トロイア落城』と『ホメーロスの諸神讃歌』をアマゾンに注文。
210.198.168.28 本 654 0 1150636295 ビル・ゲイツ引退米マイクロソフトのゲイツ会長、08年中に経営の一線から引退へ
私がネットをはじめた頃は「マイクロソフト=悪の帝国」というのが常識で、ビル・ゲイツをクソミソにけなすのがトレンドだった。(今もそうか?)
PCの業務用ソフト作りを生業としていて、NEC、富士通、IBM等のおれさま規格に振り回されていた身としては、実はMSのWindowsによるPCシーンの支配は大歓迎だったりしたのだ。
マイクロソフトが色々けなされてきたことは、天下を取ったのがIBMでもアップルでも同じことを言われたことだろう。ビル・ゲイツの戦略は取りたてて悪でも善でもあるまい。どんなに儲けても、PCやネットという本業から逸脱しないのは、ホリエモンあたりと大いに違うところだ。この点においては「善」と言い切っていいと思う。
マイクロソフトの戦略で一番非難されたのはIEをOSに無料で組み込んでネットスケープ社を追い落としたことだろう。逆にマイクロソフトに対抗したIBMやサンマイクロのネットPC等の戦略はうまくいかなかった。彼らはハードやソフトをMSより「売ろう」としたから失敗したのだろう。
今、マイクロソフトの牙城を脅かしているのはYahooやGoogleなどのネット企業だ。かれらが売るのはハードやソフトでなくてサービスだ。そしてそのサービスはどれも利用者から見て「無料」である。やはりただより安いものはない。無料より強い商品はない。
もちろん、YahooもGoogleもボランティアではない。広告料金という収入源があり、その広告費用はスポンサーの商品の価格に乗っている。間接的に消費者である我々が支払っているわけだ。それでも、新聞やTVやもろもろの媒体よりずっと低コストであることは間違いない。ということはYahooやGoogleに本当に脅かされているのは、マイクロソフトではなくて、新聞やTVであるはずなのだ。
今のところ、ネットで流れる情報のほとんどは二次情報であって、一次情報は新聞やTVや出版に依存している。しかし、取材力を持つどこかの新聞社か出版社が一次発信媒体をネットに移行するのも時間の問題と思える。そのとき「ネット=無料」の常識をつらぬけるかどうか。収入を広告に全面依存して公正な報道を保てるのか。
こちらは野次馬として見物しているだけだが、予想しているだけでもなかなか面白い。
211.126.29.237 電 653 0 1150555599 集中講義織田信長小和田哲男『集中講義織田信長』(新潮文庫)読了。
【目次】時代を先取りした信長 / 信長が生み出した尾張国とは / 武功から情報の時代へ / 「一所懸命」観の転換 / 発想力抜群の信長 / 能力本意の人材登用 / 武士道観念を変えた信長 / 乱世を治める峻厳さ / 思考の柔軟性と合理性 / 安土を天下の府とした意味 / 信長の演出力と美学 / 言行から信長の性格を読む / 信長が求めた政教分離 / ねらいは太政大臣か将軍か / 信長は天皇をどうしようとしたのか / 自ら神になろうとした信長 / 謀反を招いた信長側の問題点
珍しく見続けているNHK大河ドラマ『功名が辻』。もちろん目的は仲間由紀恵さんなのだが、意外なところでは織田信長役の舘ひろしがイイ。それほど好きな役者ではなかったのだが、魔王的な信長を演じてダースベイダーのような凄味を発している。私の中では『影武者』の隆大介を超えた歴代最高の信長役者となった。ということで、信長本を読んでみました。
*
著者は『呪術と占星の戦国史』等の著書がある戦国史の第一人者。網羅的に信長の先進研究を紹介してくれていて、過不足がない。延暦寺や安土城址の発掘調査での成果などは従来とは違う信長像を提示していて興味深い。
もちろん手軽な文庫本なので、一つ一つの考証部分が物足りないのはしかたがない。興味がある問題については類書に進め、ということでしょう。
信長のスローガン?として有名な「天下布武」。印にも使ったこの言葉は単に武力で日本を支配する、ということではなく、公家や寺家より上位に武家を置くという、一種の武家革命思想であったということだ。これが最終的に「本能寺の変」につながっていくわけだが、そのへんは読んでのお楽しみ。
*
信長研究の一次資料としては「信長公記」とフロイス「日本史」が有名だが、どちらも単なる断片的紹介ではなく、きちっと弱点や疑義も指摘されているので納得が行く。
ただ、こうなると一次資料が読みたくなってくるなあ。さいわいどちらも学術ものとしてはかなりリーズナブルな価格で出版されている。とはいえ一般人の趣味で読む本としてはちと高い。積読本を片づけながら、徐々に買って行くとしますか。
◇
といいながら、ちょっと高めで厚めのSFを買ってしまった。
オラフ・ステープルドン『最初にして最後の人間』(浜口稔訳/国書刊行会)購入。
211.126.29.237 本 652 0 1149689947 阿弥陀堂だよりNHK-BS映画劇場で『阿弥陀堂だより』を見る。
北林谷栄の名演と樋口加南子の美しさと寺尾聡の剣の舞と信濃の自然を映して、これは名画でした。
田村高廣が凜として逝き、小西真奈美が可憐に生きる。Dr.コトーは真摯に悩み、香川京子はひそやかに耐える。
監督は黒澤組二代目小泉尭史。『雨上がる』はいまだミニ黒澤明という感がぬぐえなかったが、本作は悠揚迫らざる映像と脚本が独特の小泉節となって感動させてくれました。いい気持ちで眠れそうだ。
211.126.29.237 映 651 0 1149423938 芸術選奨文部科学大臣賞パクリ部門大詰め 盗作疑惑 和田氏「プロなら違い分かる」/スギ氏「裏切りだ」5日に芸術選奨 臨時選考審査会
しかし往生際の悪い先生だ。
違いもなにもこれを見たら疑問の余地なく盗作でしょう。その中から左に例をあげてみたが、他に指摘を受けたものもこれに負けず劣らず「間違いさがしですか?」というくらいの見事な出来(そっくり)である。
上が和田義彦先生の「ダンス」、真中がスーギ氏の「The ball,Nocturne」。少しは変えればいいのに。
下に変なのがおまけでついてるが、拙作の「血の味」。せめてこのくらい変えてあればオマージュとかインスパイヤとか言えたのではないだろうか。
私のはもちろん比べようもないヘッポコだが、別にスーギ氏や和田先生のを真似したわけではない。10年位前に描いた絵だから、もしかしたらスーギさんが私のをネットで見てインスパイヤなんたらで、それをまた和田さんがオマージュかんたらで(ないない)
冗談はさておき、文化庁もとっとと和田先生にやった賞を取り消してスーギ氏に謝罪しないと、日本は世界の笑い物になってしまう。ああ、恥ずかしい。
*
ネットによって一般人が情報発信能力を持った時代には、なかなかパクリはやりにくいだろう。
昔はパクリやり放題だった漫画の世界も色々と槍玉にあげられている。
「ドラゴンボール」をパクった「クロス・ハンター」や「スラムダンク」にNBAの画像のトレスがいっぱいなどなど……。みんな容赦ないなあ。
私は漫画にはうとくなってしまったので、別のジャンルの模倣ネタを紹介しよう。
左の浮世絵は歌川国芳の『木曽街道六十九次の内 落合 久米仙人と晒女』。今昔物語の中の洗濯女の太股に眼がくらんで雲から落ちた仙人の話を描いたのでしょう。なかなかに色っぽい絵です。
しかし、この絵が発行された天保期より30年ほど昔(寛政期)に喜多川歌麿が下のような絵を描いている。艶本『多歌羅久良』の中の一枚だが、どうです、構図も人物の手足の振りも男の顔もそっくりではないですか。
私はそれぞれの絵を画集で見ただけなので、業界での評価がどうなっているかは知らないけれど、どう見ても、国芳、やりやがったな、というところです。
国芳は好きな絵描きだけれど、この絵に関しては、やはりオリジナルの歌麿の方が迫真力も絵の品も上ですな。国芳はただ落ちてるだけだけど、歌麿の描くのぞき男が植木棚とともに落下した瞬間のダイナミズムは、現代のイラストレーションと比較しても遜色ない。男女の顔の色気もさすがに歌麿だ。
それでも国芳は、背景なり服装なり、オリジナリティを色々と付け加えてはいる。その点は和田先生よりずっと良心的といえるのではないかな。
210.169.68.58 美 650 0 1148808690 あなたに不利な証拠としてローリー・リン・ドラモンド『あなたに不利な証拠として』(駒月雅子訳/ハヤカワ・ポケット・ミステリ)読了。
警官を志望する若きキャシーは、レイプ被害者のマージョリーと出会う。だが捜査を担当したロビロ刑事は、事件を彼女の自作自演と断じる-。男性社会の警察機構で生きる女性たちを描く10篇を収録した短篇集。
(AMAZONの商品説明より)
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞受賞、帯には「池上冬樹氏絶賛!読みながら何度も心が震えた」とあり、各誌紙の書評でも好評、いやがうえにも期待してしまったが、……ちょっと期待はずれ。
まず、まったくミステリではない。いわゆる警察小説でもなく、殺人や事件は起きるが謎解きや追跡はもちろん、捜査の描写さえほとんどない。かわりにあるのは女性警官(元もいるが)たちのドメスティックな日常や、職業や性別ゆえの心理的葛藤だ。著者は元々現役の警官だったというだけに、それらの描写はさすがにリアルで緻密である。
しかし、一篇一篇を普通小説として読めばなかなかのものだが、連作短編としては物足りない。それぞれの主人公があまりにも似すぎていて個性が感じられないのだ。
せっかくルイジアナ州バトンルージュ市警という舞台を同一にしたのだから、次の短編では前の短編の主人公が相対化して描かれるような(例えば、篠田節子の『死神』のような)重層化された視点があれば、もう少し連作として深化したような気がして、惜しい。
この作風なら長編の方がむいているのではないかなあ。次作が長編なら追っかけてみようかな。
*
著者ドラモンドの経歴がちょっと興味深い。
ニューヨークのカレッジで演劇を専攻するが、家族と南部へ引っ越すとルイジアナ州立大学の私服警官(これがどういう資格なのかよくわからん)を経て、バトンルージュ市警で制服警官を5年間勤める。交通事故がきっかけで30歳で退職したあと、ルイジアナ州立大学で英語の学士号と創作の修士号を取得し、大学で教鞭を取るかたわら執筆に勤しんでいる。
……本人の努力はもちろんだが、再挑戦しやすい米国社会を感じさせられる多彩さではないですか。
210.198.166.252 本 649 0 1148654326 流れる幸田文『流れる』(新潮文庫)読了。
大川の流れるほとりの芸者屋に、住み込んだ女中・梨花。この花街に暮らす芸妓たちの慣習と、自堕落で打算のからみあう、くろうとの世界に、梨花は困じながらも、しろうとの女の生活感覚で、誠実に応えて、働き、そこに生きる人々に惹かれていく…。時代が大きく移り変わる中で、抗いながらも、流されていく花街の人々と、そこに身を置いた女性の生活を、細やかに描いて絶賛された長編小説。新潮社文学賞、日本芸術院賞受賞。
(AMAZONの商品説明より)
ひさしぶりに美しい日本語を堪能した。よい文章は頭脳だけでなく、味覚や嗅覚までも刺激する。美味でありました。
まず、小説の冒頭を引用してみる。
切餅のみかげ石二枚分うちにひっこんでいる玄関へ立った。すぐそこが部屋らしい。云いあいでもないらしいが、ざわざわきんきん、調子を張った色んな声が筒抜けてくる。待ってもとめどがなかった。いきなりなかを見ない用心のために身を斜によけておいて、一尺ばかり格子を引いた、と、うちじゅうがぴたっとみごとに鎮まった。どぶのみじんこ、と聯想が来た。
その「家」の空気が肌に感じるようではないですか。この見事な文章がこのあとたんとんたんとんと流れるように続き、「しろとさん」の中年女性が玄人の街に生きる日々をつづっていく。
ヒロインは「くろうと」の芸妓たちからしろうととして距離を置かれるが、やがてしろうとの強さを獲得し、居場所を得、この街にいたいと思うようになる。しろうと女中の主人公が主人の長唄の稽古の出来不出来を見抜いて、「あんたは本当にしろうとかい?」と不審かられるのはちょっとすごい。
しかし、主人公の教養物語・成長物語というような小説ではない。やはり彼女の役割は「眼」である。あきらかに著者の分身である彼女の鋭い観察眼が、くろうとの街の「文化」とそこに住む女たちの性格・心情を活写していく。それがまた通りいっぺんの風俗描写や性格描写ではないのだ。
主人公が「みとっていきたい」と思うほどの名妓である女主人の描写。主人が姪の娘にしがみつかれて座り込むというか尻もちをつくシーン。
軽く笑い笑い横さまに倒れていくかたちのよさ。(略)腰に平均をもたせてなんとなくあらがいつつ徐々に崩れて行く女のからだというものを、梨花は初めて見る思いである。なんという誘われかたをするものだろう。徐々に倒れ、美しく崩れ、こころよく乱れて行くことは。横たわるまでの女、たわんで畳へとどくまでのすがたとは、人が見ればこんなに妖しいものなのだろうか。
同じことを、花街のラスボスのようなベテラン名妓が目覚めて蒲団から起き上がるだけの仕草からも感じ取り、主人公は嘆息する。
自分がざっぱくない起きかたをしているように思ったもんですから、羞しい気がして、……(略)ほんとに女らしいこなしなんてなかったんで、いまさら大変な損をしたような気がしまして
これを文化といわずしてなんといおう。
「不倫は文化だ」といって思いっきり笑われた俳優がいた。彼の場合にはとても当てはまらないが、色事の中に幸田文が描いたような「立ち居ふるまい」までを含んでいたら、それは文化といわざるをえないだろう。
*
こういう小説を面白く思えるようになったのも、年齢のせいだろうとは思う。
昔、この手の小説を亡母が「いいよぉ」と薦めるのを、「えー、だれも殺されないんじゃ、つまらん」などといって馬鹿にしてました。いまさら不明を恥じてわびることもできないが、申し訳ないことをした。いやあ、実に面白い小説でした、って遅いよ。
210.198.166.252 本 648 0 1148309329 これがレスリングだ2006女子レスリング・トヨタワールドカップ名古屋の最終日が21日、名古屋市の稲永スポーツセンターで行われ、日本が3年連続5度目の優勝を飾った。
日本は予選リーグ2戦目となるウクライナ戦で、1番手の51キロ級を落としたが、59キロ級から盛り返し、6−1と大勝。決勝でもカナダを相手に1番手から6連勝した。優勝が決まった後、72キロ級の浜口京子が敗れるという波乱があったが、決勝での6−1という圧勝は女子レスリング王国・日本の強さを見せつけた形だ。
MVPには国際試合無傷の96連勝の吉田沙保里が選出された。
[Yahoo!スポーツナビ]2006/5/21
と簡単に言うが、吉田の96連勝は谷亮子をはるかに上回る大記録だ。しかも谷の48kg級と違い、層の厚い55kg級での快挙。もっと注目されてもいいと思うけどなあ。五輪の金メダリストで世界チャンピオンということでもひけを取らんし。
いかんせん、レスリングはわかりにくい。ちょろ見していた娘も「ええぇ、あれで勝ったの?」と不可解な様子。女子プロとは違うんだっての。
吉田は高速タックルで有名だが、決勝での最初のポイントのタックルもただ早いだけでなく、取ったあとの体重の寄せ方が抜群だ。後半胴タックルを巴で返されそうになっても、空中で反転してちゃんと相手の上に着地するし、相手の体も含めてのバランス感覚が凄まじいのだろう。私は男だし、吉田沙保里よりふたまわりは大きいが、彼女と喧嘩したら10秒以内に負ける自信がある。
210.198.166.252 闘 647 0 1146984712 これがボクシングだ世界ボクシング評議会(WBC)ミニマム級タイトルマッチ12回戦が6日、東京・後楽園ホールであり、タイ人の同級王者、イーグル京和(27)=角海老宝石=が、フィリピン人の同級1位、ロデル・マヨール(24)=三迫=を3―0の判定で降し、昨年8月に奪回したタイトルの2度目の防衛(通算3度目)に成功した。マヨールは世界初挑戦に失敗。日本ジムに所属する外国選手同士による世界戦は今回が初めて。
○イーグル京和(判定)ロデル・マヨール●
[毎日新聞]2006/5/6
ひさしぶりに格闘技を見てどきどきわくわくした。亀田のクソ試合の400倍、K1の250倍は面白い。それなのに、亀茶番がゴールデンでこちらの録画中継が深夜とはなんたることだ。
怪我による一敗のみで実質全勝のチャンピオンと無敗でKO率も高い最強挑戦者。どちらが統一王者でもおかしくない対戦は、前半は挑戦者が最軽量級とは思えぬ強打とアグレッシブな動きでチャンピオンにダメージを与える。左まぶたから流血し右目を腫らし生涯はじめての劣勢に陥ったチャンピオンはそれでも冷静にチャンスをうかがい、中盤からボディブローを中心に盛り返していく。両者の攻防のレベルの高さは、興奮より陶酔をさそうほどだ。
会場は後楽園ホール、リングアナウンスも昔風で、いかにもボクシングらしくていい。あしたのジョーの世界だ。チャンピオンは日本のジム所属のタイ人だが色白で端正なイケメンだ。リングサイドに来ていた日本人のおくさんは……まあ愛敬のあるタイプ、子供が天使のように可愛い。
挑戦者も日本のジム所属のフィリピン人、こちらは色黒でいかつい顔で、いかにもな風貌。ただしリングサイドに来ていた奥さんは色っぽいフィリピン美人。こちらは3−0の判定勝ち?
紹介されたリングサイドの有名人は千代大海ぐらい。他に伊集院静と内館牧子が来ていた。
強豪ウイラポンを破ったバンタム級の長谷川穂積といい、最近の日本ボクシング界は素晴らしいチャンピオンが結構生まれていて楽しみな時代を迎えている。スポーツ新聞は早速「イーグル、亀田に挑戦状!」とか低劣なあおりを書いているようだが、そんな阿呆な試合より、次はイーグルと新井田の統一戦をやってくれ。
◇
ローリー・リン・ドラモンド『あなたに不利な証拠として』(駒月雅子訳/ハヤカワ・ポケット・ミステリ)、ジュール・バルベー・ドールヴィイ『悪魔のような女たち』(中条省平訳/ちくま文庫)、カール・ハイアセン『幸運は誰に?(上下)』(田口俊樹訳/扶桑社ミステリー)購入。
61.198.191.19 闘 646 0 1146909124 フィンランドのアラビア窯展天気のいい日の美術館めぐり第二弾、東京都庭園美術館に『北欧のスタイリッシュ・デザイン〜フィンランドのアラビア窯展』を見に行ってきました。
美術館は旧朝香宮邱。建物そのもが美術品といっていい美しさなので、毎度内装を見るだけでも飽きない。庭は綺麗だし、世が世ならとても下々の我々が楽しむことなどできない。時代に感謝というところだ。
展覧会の内容はリンク先などを参照してもらうとして、フィンランドといえばトーベ・ヤンセン。ムーミンをモチーフとした陶器も何点か出品されている。原作者本人の原画によるマグカップも特別コーナー(三階のウインターガーデン)に展示されているので、ファンの人はお見逃しなく。
*
美術館を出たところに、二頭のアフガンハウンドを散歩させている美人がいた。白い生成りのコートに黒いパンプスが良く似合う。
犬の散歩にもきちっとした格好をするんだと変な感心をしてしまった。私の住んでいる下町のねーさんたちだったら、良くてジーンズ、へたすりゃジャージの上下だ。足元は99%スニーカー。街の風景というものは建物や道路だけでは決まらないものだね。どちらがいいというものでもないかもしれないが。
58.157.55.188 美 645 0 1146753945 現代植物画の巨匠展損保ジャパン東郷青児美術館に『現代植物画の巨匠展』を見に行く。
天気は快晴、風は涼しく、一年に何日とない気持ちのいい日、美術館は新宿の高層ビルの42階だから眺望は抜群、入場してすぐの窓から東京一円を望める。
以前にも「植物画世界の至宝展」で、英国王立園芸協会のボタニカルアートコレクションを見ているが、今回はシャーリー・シャーウッドという個人の方のコレクション。この女性は植物学者だけど、夫君はオリエント急行のオーナーだというすごい金持ちらしい。
作品は近代のものが多いので、技術は洗練されている。ほとんどが水彩画だが、細密画の極みのような描写はやはり現物を見ないとわからない。
リアルに描かれていればいるほど、写真とは違うなにかがあらわれてくる。帰りがけに夕食の買物に寄ったスーパーで玉ねぎの表面をつらつら眺め入ってしまいました。
61.198.191.19 美 644 0 1146668164 快楽亭ブラックの放送禁止落語大全快楽亭ブラック『快楽亭ブラックの放送禁止落語大全』(洋泉社)読了。
ネタの名前だけで放送禁止! 皇室ネタ、宗教ネタ、下ネタに古典のパロディ…、この男にタブーはない! テレビもラジオも放送禁止、寄席さえ出入り禁止の究極芸人・快楽亭ブラック、初の過激猛毒落語集。
「ネタの名前だけで放送禁止」というのは、たぶん「一杯のかけそば」のパロディ『一発のオマンコ』だろう。もちろん、本書に伏せ字なしで収録されている。洋泉社えらいっ!
これが出版できるということは、なかなか日本の言論の自由もすてたものではない。タイトルだけでなく内容の方も、ここに引用するのもちょっとやばいんじゃないかというネタが勢揃いだ。たとえば『道具屋・松竹篇』には脚本家を目指す与太郎が考えた「名字なき子」というシナリオが出てくる。もちろん安達祐実が一世を風靡した「家なき子」のパロディだが、その内容たるや……
郵政民営化で調子にのった小泉政権が次に民営化したのが、なんと宮内庁。植樹祭や国会の開会式や大臣の認証式まで有料化して最初は順風満帆だったのだが、株式会社化したのが運の尽き。株を創価学会に買い占められ、株主総会で池田大作が天皇になってしまう。あわれ天皇皇后両陛下は住み慣れた皇居を追い出されてしまう。皇室の切れ目が縁の切れ目と黒田家から離縁された紀宮殿下とともに親子三人が落ち行く先は三河島の四畳半アパート……
……ふう、引用する私の方がひやひやします。
この噺をある落語会でかけたとき、次の出番だった笑福亭鶴瓶が「こいつ気違いやで」とつぶやいたそうだ。それ以後鶴瓶はブラックと一緒の落語会には出なくなったたらしい。
ブラック師匠は別に左翼でも右翼でもあるまい。単にサービス精神が旺盛すぎるだけなのだろう。客を笑わすことに命を賭けているだけなのだ。逆に怒らせてしまうことも多いのは、まあしかたがないところだろう。
シモネタが平気な人なら、面白さは保証します。
しかし、落語は話芸だ。活字にしてしまってはわからない部分もある。そこはサービス精神満点のブラック師匠。本書にはちゃんとCDがついている。『道具屋・松竹篇』がまるまるともう一編。お得だと言えるでしょう。
61.198.191.19 本 643 0 1146581494 ダ・ヴィンチ・コードダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード』(越前敏弥訳/角川文庫[上中下])読了。
ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっていた。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く……。
ベストセラーになるだけの面白さがあることはたしかだけど、ストーリーは常套的ミステリの範疇で、はっきり言えばありきたりだ。まあ、その分、読みやすいことはたしかで、ハリウッドが映画化するのもうなづけるのだが。
ダイイングメッセージのパズルもそれほど秀逸とは言えない。
なんといっても面白いのは、本書の冒頭に
この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述は、すべて事実に基づいている。
と、書かれている、聖杯伝説やキリスト教伝説等の事実?の部分である。
読んでいて一番興奮したのは、クライマックスの真犯人の対決場面ではなく、中盤、教授の友人がヒロインに聖杯伝説についてレクチャするシーンである、特にレオナルドの『最後の晩餐』の絵に示されたキリストの真相には、わくわくさせられた。
しかし、ならば、小説より、本書の訳者付記に書かれていた参考資料となる書物を読んだ方がもっと興奮させられるのではないだろうか。
ということで、何を読もうか物色中。キリスト教関係の伝説についての無知を痛感させられたのが、本書を読んだ一番の収穫?のような気がする。
*
ここからはちょっとネタバレなので、未読の方はご注意ください。
*
キリスト教には無知だが、本書で提示された謎というか、教会の陰謀についてはさほど意外な感じはしなかった。他の宗教でもよくあることだからなあという感想。特に
異教の象徴や儀式をキリスト教の伝統と融合させ、双方が受け入れやすい混血の宗教を創り出したというのは、古代日本で似たようなことを仏教がやっている。本書では「異教」が具体的になにを指すのか書かれていない。しかし欧米文学で「古代の神々」と呼ばれるギリシャ神話自体、本書でキリスト教がしたという「女性原理の圧殺」の前科がある。神話の怪物=ゴーゴンや巨人や大蛇はほとんど全て大地の女神ガイアの末裔だ。醜い蛇の髪を持ち空を飛ぶのは復讐の女神たち。いずれもオリンポスの神々(男系制の新しい支配者)に征服される前は支配者だった、母系制部族の神々(大地母神)だったと言われている。
いずれにしても、処女から生まれて一生童貞のキリストより、馬飼い夫婦の子でマグダラのマリアを愛して妻にしたキリストの方が、ずっと面白いし魅力的だと思う八百万の神の国の私なのでした。
*
ここの『反・ギリシャ神話』はとても面白い→バルバロイ!
61.198.191.19 本 642 0 1145584604 スターウォーズとテンプル騎士団
「原始キリスト教の世界」というページもあるのに今さら気がついた。『ダ・ヴィンチ・コード』文庫版はまだ上巻を読み終わったところだが、謎の重要なキーワードとして、テンプル騎士団の最後について書かれている。
中央集権化を狙った教皇クレメンス5世は、当時強大な権力を握っていたテンプル騎士団の壊滅を画策する。秘密裡に勅令をヨーロッパ全土に発し、1307年10月13日の金曜日に一斉に騎士団を逮捕・処刑させた。
……『スターウォーズ・エピソードIII』のジェダイ騎士団の最後にそっくりだと思いませんか。
以前、私は『レンズマン』のレビューで「
スターウォーズはビジュアルイメージの部分でクロサワ映画の影響が強いことは有名だが、こうしてみると物語の骨子はアメリカの伝統的スペースオペラの系譜のもとにあることがよくわかる」と書いたが、考えてみればSFに登場する「銀河帝国」的なものは、スミスでもアシモフでもヴォークトでも、中世以前をモデルにするのが、いわば伝統だ。ヨーロッパ史あたりをもっと勉強した方が、本でも映画でももう少し楽しめるのでしょうな。難儀なことであります。
*
最近更新が止まっていた映画レビューサイト「m@stervision」に、スターウォーズ・エピソードIIIのレビューがアップされていた。やはり、m@氏もEP3の出来には大いに不満らしく、☆二つという評価だが、m@氏の脳内補完はさすがに老舗、私の妄想などよりはるかに面白い。うーむ、この設定のEP3が見たくてたまらん。ジョージ・ルーカスの作家としての劣化がいまさらながら口惜しい。
◇
安達祐実の母有里さん(48)が熟女ヌード、祐実の夫井戸田潤は不倫疑惑
井戸田潤のお相手は元の彼女らしい。つまらん。
私はまた、安達祐実母と義理の息子の井戸田が不倫しているのかと思ったのに。それならば、どろどろ度背徳度はかなりのもので注目度もはるかにアップしただろうに、大変残念である。
◇
浦沢直樹『PLUTO 3』(小学館コミックス)、幸田文『流れる』『きもの』(新潮文庫)購入。
58.157.55.188 映 641 0 1145197202 幸田文の日本語NHKの地上デジタル波の受信状態が悪いので今日の『功名が辻』はBS2の再放送を見ていた。う〜む仲間由紀恵さんは泣き顔も美しいのう、などどほくほくしているうちに流れで次のNHKアーカイブス「あの人にあいたい」も見てしまった。
何十年前の映像か知らないが、インタビューされているのは、幸田文さん。いわずとしれた文豪幸田露伴の娘にして、名エッセイスト小説家。インタビューの内容に目新しいことは別にないが、聞き惚れてしまったのは文さんの話し方、しゃべりかただ。
決して美声ではないが聴きづらくなく。ぱきぱきと歯切れが良くテンポよくどちらかといえば早口だが、やかましくない。ざっくばらんだが下品ではない。ああ、これが本当の江戸弁だよなあ、と思ってしまいました。記憶をさぐってみれば、文さんと同年代だった祖母も若い頃(といっても私が覚えているのだから50代くらいの時か)はこんなしゃべり方だったような気がする。
こういう本物を聴くと、TVや映画に登場する「江戸っ子」の「江戸弁」は全くうそっぱちなのがよくわかる。最近は落語家のしゃべる江戸弁もいいかげんなことでは例外ではないな。
まあ、いいものを聴いた、というだけで別に江戸弁を復活させたいなどとは全然思わない。とりあえず、日本橋の上の高速道路はとっぱらった方が気持ちいいだろうとは思うがね。
110.5.46.129 言 640 0 1145071297 念力家族笹公人『念力家族』(宝珍)読了。
俊英の短歌集。野暮な感想等は割愛して、以下私が好きな歌をいくつか引用紹介する。(収録歌数:約180)
死に際に極楽往生確信する祖母を嘲笑う背後の死に神
愛犬に翻訳声帯装着し聴く第一声はわれの悪口
落ちてくる黒板消しを宙に止め3年C組念力先生
レントゲン写真に肋骨映らないアダムと名乗る生徒の微笑
無口なるクラスメイトを訪ねれば山田けい子の蝋人形あり
地球儀でサッカーしている俺たちに天変地異のニュース飛び込む
少年時代友と作りし秘密基地ふと訪ぬれば友が住みおり
胴上げをされたる男が目撃すアパート二階の殺人事件61.198.184.7 本 639 0 1144749740 お笑いに見る現代人の根源的不安
すさまじき腋臭の少女あらわれて部屋の般若の面が割れたりなんておおげさなタイトルだけど、要するに先週録画した『エンタの神様2時間スペシャル』の感想だ。
といっても、いわゆるアルアルネタには飽きてきたので、腹抱えるほど笑ったのはコント二つしかなかった。
一つ目はネタを見るのはおひさしぶりのインパルスの「インターネット地獄」。
ネットで知り合い富士の樹海に停車中のクルマの中で自殺を決行しようとするボケの板倉とツッコミの堤下。
二人はもう一人待ち合わせた吉田という女性を待っている。
板倉の携帯に合コンの誘いメールが入る。
板倉はそわそわしつつ「今日はいけねー」と返信するが
「相手は巨乳三人」「しかも全員AV女優」
等と次々再返信され、板倉はまったく自殺する気がなくなる。
「樹海じゃなくて渋谷で自殺しよう」とかわけわからんことを言い出すが、死ぬ気満々の堤下には一切通用しない。
板倉の挙動不審を怪しんで携帯を強引に取り上げメールを読む堤下。
「なんだー、行きましょうよ、こんなおいしー話教えてくださいよ」と豹変する。
板倉も大喜びで渋谷に向かう。
と、ここまではベタな落ちだが、最後っ屁があった。
いまだ現れない女性を思い出し
「吉田さん、どうしましょう」
「いいっすよ。もうこないでしょ。それにたぶん、吉田さん不細工ですよ」
「そうですよね。俺もそう思ってたんですよ」
「不細工なら約束やぶっていいのか?!」というとこだが、観客も「そうだよね、そういう女って不細工だよね」という和気藹々とした共感のもと、大爆笑。
続いて、今、私が一押しのコント3人組、東京03。こちらも合コンネタだが。シンプルにスーパー?の従業員控え室での合コンメンバー選びから始まる。
仲間に呼んででもらえず暗くなっていた男が、誘われたとたん超ハイテンションで盛り上がって笑わせる。
「何はともあれ相手のメンバーの顔はどーなの?ブスじゃねーの?」
「はいー。写メ到着ぅ!」
「おー、文明の利器」
「えー、超かわいーじゃん」とさらに盛り上がるが、写真を見たとたん、なぜか一番盛り上がっていた男がさっと暗くなり、「俺、やっぱり行かない」と言い出す。
他の二人は当然「なんでだよ」「なに考えてんだよ」とあわてる。
「だって相手超美人じゃん、モデルみたいじゃん……俺、自信ねーよ」
「なにいってんだよ。だいじょうぶだよ」
「大丈夫じゃねーよ、じゃあ聞くけど、俺かっこいいか?お前が女の子だったら、俺が来たらアタリか?」
「なんだよ、お前かっこいいよ、山田五郎みたいだよ」などと一人は持ち上げようとするが、もう一人も「おれも、やっぱりやめるわ」と退きはじめてしまう。
このあとオチまでは省くが、残った一人の科白が秀逸。
「おれはどうだよ?それは、かっこよくはないよ!かっこ・よくはないけど、かっこ・悪くはないだろ?な?な?」……リアルですね。この感覚、(あえて「今の」とは言わない)若い人の根源的恐怖をついているのではないだろうか。
もてるもてないだけが男女関係の尺度になってしまった日本とかなんとか言われてますが、この「もてる/もてない」は「勝ち組/負け組」みたいに単純に二分できるものではないのだよね。東京03のコントでよくわかるように「相手」あっての相対的なものなのだ。「容姿」という単一の価値によって積み上げられたヒエラルキー。ホリエモンのように「金さえあれば」と言っても、それに続くのは「やれる」であって「もてる」ではない。
この真実を小谷野敦が百万言をついやして『もてない男』『帰ってきたもてない男』を書くより、東京03の数分のコントの方が赤裸々にあばいていると思える夜でありました。
*
東京03が相対的もてない男たちとするなら、絶対的もてない男たちの聖地は2ちゃんねるの「モテない男性」板、通称「喪男」板だ。同病相哀れむ身として私が愛読するスレッドを紹介しておこう。
喪男が一人の時にするおかしな行動
男って、なんて悲しい生き物だろうと海より深く地獄よりさらに深く思い知らされるスレ。61.198.184.7 TV 638 0 1144594412 顔をなくした女―〈わたし〉探しの精神病理
限りなく広がる思春期の妄想again
ここにこそ人生があるのではないかと、ふと思ってしまうスレ。もちろん誤解だけどね。大平健『顔をなくした女―〈わたし〉探しの精神病理』(岩波現代文庫)読了。
色々本を読んでくると「精神分析」というジャンルは、いっときはまる人が多いのではないだろうか。私もご多分にもれずフロイトやユングや小此木圭吾や岸田秀等を読んで人間心理がわかったような気になった時があった。フロイトの汎性欲論やユングの元型理論はキリスト教やギリシャ神話のようにいまや欧米文学の基礎教養だろう。
しかし、エディプスコンプレックス論やアーキタイプ論が人間の心のメカニズムの真実を現しているかというと大いに疑問だ。早い話、分裂病や鬱病患者にいくら精神分析をしたところで、病気は治らないらしい。やはり効果があるのは投薬であり休養なのだろう。精神分析は科学というより文学に近いという方があたっているのかもしれない。
飽きっぽい私も、今はいわゆる精神分析や心理学というジャンルには興味はないのだが、本書の著者大平健だけは別で、今でも新刊を見かけると買ってしまう。『豊かさの精神病理』や『やさしさの精神病理』は今読みかえしても面白い。
著者は心理学者ではなくれっきとした精神科の医師で臨床の現場の人である。当然投薬治療を主としているのだろうが、対話療法というのか、いわゆるセラピーに長けているようだ。患者との対話の中で、患者の微妙な言葉つかいに真の(患者にとっての)意味を探っていく過程は、(使い古された言い方だが)推理小説のようである。
医学業界の内輪話的エッセイもあるが、なんといっても、紹介されている特異?な精神病症例が興味深い。
表題作の女性は、いつも顔を手で覆い、指の間からのぞきながら「わたし、顔がないんです」と訴える。魔王に顔を盗まれたのだという。
自分は「○○上人の生まれ変わりだ」と主張する青年は、家族の止めるのを振り切って「自分」が開祖の宗派の本山に登る。高齢の管長は青年の言い分を聞くや「ははあ」といって合掌し青年を拝んだという。同道した家族も驚いたことにこれで青年は正気に戻ってしまったという。これだけで話は終わらず青年はやがて再発し、著者の元に治療に通うことになる。
この手の本の定番「多重人格」の症例も収録されているが、「
多重人格の様々な人格たちは『本人の一部が分離発展して一人前づらするようになったものだ』というのは必ずしも正しくないようだ」という指摘は新鮮だ。「僕が実に興味深いと感じていた人格の生活史をとり終わる頃になると、どういうわけか新しい人格が出現していた。平凡な人格に僕が飽きかけていると別の魅力的なあるいは凶暴な人格が登場していた。どうも、僕の関心を繋ぎ止めておくために、次々と新たな人格が出てくる……そんな感じなのだ」どれも面白い。面白い精神病理話を書くには、やはり医学的というより文学的才能が必要のような気がする。それとも文学的才能とは実は精神医学的側面と重なるところが大きいのだろうか。
◇
ダン・ブラウン『ダ・ヴィンチ・コード(上中下)』(角川文庫)、笹公人『念力家族』(宝珍出版)、星野之宣『2001+5スペースファンタジア』(双葉社)購入。
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先週末は4シーズンぶりに夫婦でスキーに行ってきました。シーズン終了日の上越というのにまた積雪は280cmもあった。前日は吹雪だったという上々のコンディションでなんとか骨も折らずに帰京。筋肉痛も特になかったけど、これは用心してきつい斜面は敬遠したおかげ。年取った分、少しは智恵もついたということか、不精になっただけか。前者ということにしておきたい。
61.198.184.7 本 637 0 1143816957 ペン先の殺意ミステリー文学資料館編『ペン先の殺意』(光文社文庫)読了。
純文学系作家のミステリー短編アンソロジー。
たまには☆などつけてみる。(☆五つで満点、小さい☆は0.5)
谷崎潤一郎「柳湯の事件」☆☆☆☆
強いて言えばサイコ物ですが、ミステリーというよりやはり「奇妙な味」だろう。湯船に沈む死体の不気味な描写が秀逸。色々なアンソロジーに選ばれているだけのことはある名編。
芥川龍之介「疑惑」☆☆☆☆
地震と火事の中、目の前で妻を死なせてしまった男の自分自身への疑惑と恐怖。極限状況の人間の心理がひきおこす悲劇なのだけれど、味わいはホラーのようだ。男の指が一本ない原因が最後まで明らかにならないのも妙にこわい。
大岡昌平「お艶殺し」☆☆
実際の事件に材を取った、のちの『事件』等の先駆的短編。奇妙な三角関係や殺人の動機が捻っているようでもう一つピンとこない。
佐藤春夫「女人焚死」☆☆☆
こちらも実際の事件を元にしているが、凄惨な死体の具体的描写や逆に淡々とした捜査経過の記述、冷静な推理的想像が、事件の異常性を際立たせて、なかなか読ませる。
松本清張「記憶」☆☆☆☆
松本清張が非ミステリー?と思われるかもしれないが、元々は芥川賞作家だ。本編は清張得意の自己幼児期記憶探索もの(「潜在光景」「天城越え」なんていう傑作がある)。後の有名な短編につながる要素もあるが、初期作品だけに味わいは素朴だ。しかし清張の抑制の効いた文体と詩情はこの頃から健在だ。
坂口安吾「選挙殺人事件」☆☆
著者には『不連続殺人事件』という有名な長編ミステリーがあるが、本編は思いつきの域を出ない愚作。滑稽を意識した文章はさすがにうまいので☆一つだけおまけ。
小沼丹「バルセロナの書斎」☆☆
稀覯書をめぐる殺人事件。可もなく不可もない。雰囲気はいいので☆一つおまけ。
山川方夫「ロンリー・マン」☆
ショートショートだというだけで、今になって読み返すまでさっぱり頭に残らないつまらなさ。
曽野綾子「競売」☆☆
ありきたりの詐欺話。
倉橋由美子「警官バラバラ事件」☆☆☆☆☆
小学校の女教諭が同棲していた警官を殺してバラバラにして捨てたという実際の事件をもとにした傑作。冷徹な心理描写が鬼気迫る。後のベストセラー「OUT」(桐野夏生)を先取りしたような内容。解説によれば、著者の意に沿わない作品だったようだが、それでも傑作です。
遠藤周作「憑かれた人」☆☆☆
趣味にのめりこむ「マニア」な人の末路を描いて、そこそこ面白い。のめりこむ対象は著者得意の切支丹伝説。切支丹関係は素人歴史研究の穴場だというのはなかなか興味深い。
五木寛之「ヒットラーの遺産」☆☆☆☆
裏マスコミに生息する悪徳ジャーナリストを主人公に、「ヒットラーの伝説の秘密兵器用の巨大砲弾を発注された工場」という魅力的な謎を追いかけるハードボイルドタッチの佳編。もっと長い作品にしたら面白かっただろうと思う。
井上ひさし「鍵」☆☆☆☆
手紙文だけで構成された短編集『十二人の手紙』の中の一編。谷崎潤一郎に同名の長編がある。本家谷崎版は日記だという違いがあるが、あきらかに本編は谷崎版のパロディだ。それが読者へのひっかけにもなっているところが憎い。
村上春樹「ゾンビ」☆
マイケル・ジャクソンのスリラーのパロディだが、まるでつまらない。
58.157.55.188 本 636 0 1143471014 黒い時計の旅スティーヴ・エリクソン『黒い時計の旅』(白水uブックス/柴田 元幸訳)読了。
仮に第二次大戦でドイツが敗けず、ヒトラーがまだ死んでいなかったら…。ヒトラーの私設ポルノグラファーになった男を物語の中心に据え、現実の二十世紀と幻のそれとの複雑なからみ合いを瞠目すべき幻視力で描き出した傑作。
ヒトラーが死ななかったら……というとSFの平行世界ものを連想する。ディックの『高い城の男』なんて傑作もありました。
しかし例によってエリクソンの小説はそんな単純には話は進まない。書かれる世界もヒトラーが死んだ/死なないの二つだけではない。
主人公がヒトラー(作中ではただ「Z」と呼ばれる)に書きあたえるポルノは主人公の幻想であるのだが、その幻想も一つの現実であり、作中のヒロインは肉体を持ち人間としての苛酷な過去がある。どちらの世界が現実というわけではなく、お互いを幻視しあい、お互いの世界から生まれ、時間軸も大きな円環を描き、お互いの世界につながっていく。
いくつもの世界がからみあう構成は『Xのアーチ』より更に複雑だ。
ああ、私の文章力では、いかにも難解で読みにくそうにしか紹介できない。『Xのアーチ』のレビューでも書いたが、全然そんなことはないのだ。たしかに予定調和的なストーリー展開は望めないが、一つ一つのエピソードは面白く、文章は力強く気高く、「普通の小説」にはないめくるめくような感覚を味わえる。
エリクソンは癖になる。ちと高いのと他のは訳者が違うので躊躇しているのだが、やはりもっと読みたい。次は処女作の『彷徨う日々』あたりにしようかな。
61.198.187.140 本 635 0 1143376878 長谷川潔展木蓮の花満開の横浜美術館に、『銅板画家 長谷川潔展』を見に行く。
有名なマニエル・ノワール(黒の技法)の闇に浮かび上がる静物画に瞠目。
天鵞絨 のような闇の質感は、やはり現物を眼前にしなければわからない。マニエル・ノワールではない、ドライポイントで木々を描いた作品も素晴らしい。技法的なことは全く無知な素人眼にも、線刻が完璧にコントロールされていることがわかる。それなのに、ペン画や細筆のような勢いを感じられるのが不思議だ。勢いのあるモチーフ(例えば樹木)を正確に刻めば、勢いも正確に再現されるということなのだろうか。
今日が最終日だったこともあり、図録は売り切れていた。人気もあるのだね。
61.198.187.140 美 634 0 1143038522 想像力の芸術展 2006原宿のアルスギャラリーに『国際幻想芸術協会〜想像力の芸術展 2006』を見に行く。
幻想芸術というと、マグリット、ダリ、エルンスト、デルボーといった巨匠を思い出すが、やはりそういう既存のイメージから離れた作品に眼がいく。
例えば市川伸彦氏の『バス亭』。明るい色彩の画面にゴチャゴチャとたくさんのオブジェがぶちまけられているのだが、全体としては静謐な感じなのが不思議だ。緻密な描写とデフォルメされた形態が楽しい。
モノクロームで異彩を放つ伊豫田晃一さんの2点は旧作と新作。素人目にも線密度の向上に瞠目する。モチーフは生命体のように動的で遺骸のように静的だ。
印象的だったのは、作者の方々のプロファイルを拝見していくと、若い作家の方ほどエロスの表現に禁欲的な感じがしたこと。私に近い年代の人の作品には、なんらかの形でモチーフに含まれているエロチシズムが、よりナマな表現をされているように感じた。もちろん、どっちがいい悪いということではない。年代的なものか世代的なものなのか考えるととても面白い。
やはり絵を描くのはいいなあ、と力をもらえた展覧会。歴史的名作もいいけれど、アクチュアルなものも見ていなければいけませんな。
61.198.187.140 美 633 0 1142951827 クリスマス・プレゼントジェフリー・ディーヴァー『クリスマス・プレゼント』(文春文庫/池田真紀子訳)読了。
スーパーモデルが選んだ究極のストーカー撃退法、オタク少年の逆襲譚、未亡人と詐欺師の騙しあい、釣り好きのエリートの秘密の釣果、有閑マダム相手の精神分析医の野望など、ディーヴァー度が凝縮されたミステリ16作品。リンカーン・ライムとアメリア・サックスが登場する「クリスマス・プレゼント」は書き下ろし。
私は海外ドラマ、特にアメリカのミステリドラマが大好きである。最近だとNHK-Bで放映されていた『名探偵モンク』『デスペラートな妻たち』『FBI』などだ。かの『刑事コロンボ』もそうだが、日本のミステリドラマにくらべて脚本が面白い。先が読めない。気持ちよくだましてくれる。
50年位前の『ミステリ・ゾーン』『ヒッチコック劇場』を今見直しても、脚本のうまさという点は変わらない。伝統の強さを感じるところだ。
本書の面白さにも、同じエンターテインメント先進国としてのアメリカの強さを感じる。なにしろうまい。読者の意表をつくうまさは職人芸だ。
16本の収録作のうち、私のベスト3をあげると「ジョナサンがいない」「釣り日和」「被包含犯罪」。表題作の「クリスマス・プレゼント」は「ボーン・コレクター」シリーズの登場人物が活躍する番外中編。終盤で二転三転するストーリー展開をたっぷり楽しめる。
ただし、16本ほとんど全部、どんでん返しの妙味に徹した小説だ。それ以上の人物造型や心理描写等を期待してはいけません。結末の意外性を虚心に楽しみましょう。
61.198.187.140 本 632 0 1142780193 ブッデンブローク家の人びとトーマス・マン 『ブッデンブローク家の人びと』(岩波文庫/望月市恵訳)読了。
北杜夫激賞のトーマス・マンの自伝的小説。
著者25歳にしてはじめての長編小説だというのに、このうまさはなんだろう。
チェーホフの描いた没落の物語は貴族が主人公だが、こちらは裕福な商人=近代の資本家一家の盛衰の記録だ。
重々しく、ある意味単調な主題なのに、意外なくらい軽快に読み進むことができた。それは読者に、登場人物の誰にも過剰な感情移入を強いない、絶妙な距離感のせいだろう。
精妙な人物造型や面白いエピソードも色々あるが、なにより私にとって印象的なのは重要な登場人物四人の「死」の描写である。
悲劇性を盛り上げる劇的な死でも、ストーリー重視のテクニカルな要素としての死でもない。人々の歴史を書いていくと必然的にあらわれる「普通の」死の実相が多様な手法で描かれている。
初代の母の苦痛に満ちた死、二代目、三代目の唐突な死、四代目の必然的ともいえる早すぎる死。だれにでも訪れる、しかしだれもが日常的には目をそらしている「死」の様相にきちっと向かいあって描く筆致は繊細で冷徹だ。
小説のうまさよりも、作者の若さでこの死への洞察に、私は慄然としたのでした。おそらく私が作者がこの小説を書いた年齢で読んだとしたら、なにも感じなかったに違いない。
歳をとるのは悪いことばかりではない。
210.198.168.206 本 631 0 1141570470 岩田専太郎展弥生美術館で開催中の『岩田専太郎展』に行った。
日本挿絵史上の巨人。生涯に描いた挿絵、実に6万点。昔、毎日新聞社で出した4冊揃いのムックを持っているのだが、今回の展示とかぶっている絵が数点しかないのがすごい。
全盛期には30時間で24枚の挿絵を描いたそうな。しかし展示作品を見る限り、荒れた感じは全く見えない。流麗な線やデッサン力はもちろんだが、なにより構図が斬新でデザインに工夫が凝らされていて飽きない。
何本もの連載小説の挿絵を抱えたときは、それぞれ画風を変えて描いたそうだ。まさにプロフェッショナルだ。色紙に書く言葉が「迅速正確親切」だというのが笑える。「おれは芸術家ではない、挿絵職人だ」という江戸っ子らしい斜に構えた自負が感じられるではないですか。
*
弥生美術館は竹久夢二美術館が併設されていて同時に見られる。そこで気がついたのは、村主章枝は春信美人というより「夢二美人」の方ががぴったりだということでした。
◇
大平健『顔をなくした女』(岩波現代文庫)、諸星大二郎『トゥルーデおばさん』(朝日ソノラマ)、トオマス・マン『魔の山』(新潮文庫)購入。
210.198.156.19 美 630 0 1141135346 イナ・バウアーいまや流行語大賞も狙えそうないきおいだが、フィギュアスケートのイナ・バウアーはIna Bauer(西ドイツ・1958,1959世界選手権4位)が考案した技だそうな。2ちゃんで「近所の公園で毎朝じいちゃんばあちゃんがイナバウアーの練習をしてるぜ」という書込みがあった(笑ったけど)。どうも、ブリッジすることだと誤解されているようだけど、イナバウアーは左右のエッジを180°開いて体側方向に滑る技だ。金メダリスト荒川静香はそれに美しいブリッジをとりいれてるわけで、言わばレイバック・イナバウアーだ。
トリノ五輪の救世の女神、荒川静香は、開幕前のイタリア地元紙の美人アスリートの特集に選ばれていたそうな。(もちろん日本から唯一)。私も彼女は美しいと思いますが、日本ではなぜか安藤美姫の方が(フィギュア試合前までは)人気があったようだ。2ちゃんでは「荒川は片桐はいり似だ」なんて言われてたし。
荒川静香はクール・ビューティと呼ばれているけど、日本人より欧米人に受けるアジアン・ビューティなのだろうね。
大友克洋は「欧米人が見た日本人の顔」を描ける漫画家と言われた。それは多分に漫画的な理想化の否定であり、大友以前の漫画の(顔の)理想化は欧米化であったわけだ。逆に「欧米人が見る日本人(荒川静香)の美」を描けるなら描いてみたいと思ったりしている。
もしかしたら、それは浮世絵の描いた美人に戻ってしまうかもしれない。荒川静香は歌麿美人で、村主章枝は春信美人。安藤は……う〜ん、浮世絵だと下女顔で美人には入りません。
210.198.156.19 ス 629 0 1140360836 ふ、復活更新が二週間ぶりになってしまいました。いいわけすると、ここ2ヶ月ほど絶不調で心と体をメンテナンスしておりました。(別に仕事も休んではいませんが)
結石出して絶好調だったはずだったのに、高血圧が発覚して降圧剤治療をし、不安神経発作を起して抗鬱剤を服用し、お前ほどストレスない奴はいないはずなのになどと言われ、ストレス少なくても上品だからこたえるんだよと反論したいのを我慢し、痛くはないけど胃がもたれるので、胃カメラまで呑んだけどただの胃炎で、異常なし。ついでだからピロリ菌を除菌して、今に至る。
今は、血圧も血液検査も正常、心も平安。なんとか常態にもどりました。描きたいモチーフもちょろっとでてきたので、そろそろ更新再開。またごひいきにお願いします。
58.157.55.188 身 628 0 1139150992 週末の美女たち昨日は私の大好きなマルチナ・ヒンギスがシャラポアに快勝(今日の決勝は残念だったけど)。今日はBSの再放送でフィギュアスケートグランプリファイナルの浅田真央ちゃんと、大河ドラマなど見たことないくせに、今年だけは仲間由紀恵さんみたさに毎週かかさず『功名が辻』。家にいると新しくしたTVで美女ざんまい。眼が満腹して寝るだけで全然絵描いてません。いかんなあ。
しかし大河ドラマ見て思ったのは、室町時代の女性の風俗(髪型・服装)はもっとも日本女性を美しく見せるのではないかなあ、ということ。比べると江戸時代は洗練されすぎて技巧にすぎているかもしれない。
◇
【本】氏家幹人『江戸の怪奇譚』(講談社)、ジェフリー ディーヴァー『クリスマス・プレゼント』(文春文庫)、購入。
61.198.196.102 TV 627 0 1138886771 容疑者Xの献身東野圭吾『容疑者Xの献身』(文藝春秋)読了。
数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリ
天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか
作者はこの作品で直木賞をとりましたね。たしか去年の「このミス」の国内1位だったし、それだけのことはある「推理小説」であります。
トリックはシンプルにして大胆。伏線も結構あからさまなのでミステリー読みには見当つく人もいるかもしれないけど、ミステリー読みではない私は、謎解きの驚きは結構なものがありました。無駄のない読みやすさで値段分は十分楽しめる。ラストには泣かせもあるしね。
ただ、この作者全般にいえるけど「推理小説」としてはともかく、「小説」としてはもう一つコクが足りない。宮部みゆきや横山秀夫にくらべ、登場人物の彫りが浅い気がしてしまう。
別に探偵や犯人や被害者の心理や生い立ちや日常をねちこく書け、というわけでない。たとえば本書のラスト近くになって容疑者Xの専門の数学や隣家の母娘に対する熱情が描写される。
きっと作者は「推理小説」作法としてのくせから、容疑者Xの心を「犯罪の動機」と同一視して、詳細な描写をラストに持っていってしまったのだろう。
しかし、この心理は秘密でもなんでもないのだから、もっと小説の冒頭に描かれてもよかったのではないかと思う。その方がその後の容疑者Xの行動や謎への感情移入が深まり、小説としてのコクも深まったに違いない。
やはり私は固定された「動機」より流動する「心」の方が読んでいてワクワクする。
まあ、文句は言ったが、なんでもラストがハリウッドアクション風になる昨今のアメリカンミステリーよりはずっと面白い。
61.198.196.102 本 626 0 1138545066 ひさしぶりのアルコール今日はこじんまりとした法事があり、親と弟家族でひさしぶりに呑み会。アルコールもひさしぶりだ。ひさしぶりのわりにはいい呑み方ができた気分がする。
酒の肴は孫(私や弟の子供たち)がもう彼氏だ彼女だといってるのを父に教えて驚かせてたり、たわいないものですが。
酒はだらだらと呑むのが一番うまい。あくまでだらだらであって、べろべろでもれろれろでもない。
ちょっといい気持ちで、話をすることが楽しい程度の血中アルコールを保つ程度にアルコールを補給する。
アルコールはそのときの気分に合ったものならなんでもいい。昨日は最初はビールであとは梅酒と焼酎のお湯割。
これは自分のペースで呑まねばうまくいかない。さしつさされつではだめなのだ。
あとは体調がいいこと。昼間、地元の親睦会で餅つき大会があり、ひさしぶりに筋肉労働をしたこともよかったのかもしれない。
まあ、あしたからの筋肉痛は間違いないな。
61.198.196.102 食 625 0 1136906041 私的年間ベスト10【2005】後ればせながら、昨年読了本のベスト10です。毎度アクチュアルなラインナップでなくて申しわけない。
- Xのアーチ スティーブ・エリクソン
- 進化しすぎた脳 池谷裕二
- 吉田茂という逆説 保阪正康
- よもつひらさか往還 倉橋由美子
- 嘘つきアーニャの真っ赤な真実 米原万里
- 震度0 横山秀夫
- ぼんくら 宮部みゆき
- お鳥見女房 諸田玲子
- 王女マメーリア ロアルド・ダール
- 殿下と騎手 ピーター・ラヴゼイ
今日の気分ではベスト10ではなかったが、惜しい3冊。いずれもはずれはない。
210.198.176.101 本 624 0 1136348783 あけましておめでとうございます
- ドミノ 恩田陸
- ステップフォードの妻たち アイラ・レヴィン
- 遺伝子と運命 ピーター・リトル
本年もよろしくお願いいたします。
年賀状、メールいただいた方、ありがとうございました。
まずはごあいさつまで。
58.157.55.188 雑 623 0 1134910796 銀盤の美少女・掛け値なし今年はサンタガールを描けるか微妙です。最近、絵を描いてない。気分を一新しなければなあ。野ブタパワー注入!、といけばいいのですが。
*
本もなかなかまとめて読めていない。通勤では『ブッデンブローグ家の人々』を読んでいて、こちらはゆっくりだけど順調。今ちょうど中巻の半ばまできました。他は何冊も読みかけ散らしている状態。たまに適当に既読本を再読したり、なかなか進みません。
*
今日はBSフジでやっていたティム・バートンの『スリーピー・ホロー』を再見。やはりこれは傑作です。
*
夜は「フィギュアスケート・グランプリファイナル・エキジビション」を、NHKなら松岡修造のやかましい声を聞かなくてすむのにと思いながらも、最初から最後まで視聴。ショート・プログラム、フリー、エキジビションと三日連続で浅田真央ちゃんを堪能。私は成熟した女性好きだったはずなのに、このお嬢さんだけは別。TV買い替えて良かったとつくづく思いました。おじさんはちょっぴり嬉しい。
210.198.157.149 雑 622 0 1134696801 露出する老人たち/耐震強度偽造仰木彬前オリックス監督の訃報(合掌)に接して「いい人は早く亡くなるのに、なぜナベツネは元気なんだ?」と思った人も多かろう。
マスコミが伝える虚像の真実はともかく、実際「悪い奴ほど世にはばかる」というのは本当のようだ。年を取っても元気な老人はいわゆる「好々爺」より「意地悪爺さん」が圧倒的に多い。
耐震強度偽造問題の黒幕=内河健・総合経営研究所所長を見ていると、薬害エイズ事件の安部英・元帝京大副学長を思い出してしかたがない。
倣岸な態度・所作、不遜な風貌、自分は悪くない悪いのは全部他人だという言動、いずれも二人に共通している。長寿と健康の秘訣であろう。うらやましい性格であるようなないような。
*
渦中の人、姉歯(元)建築士のインタビューを昨日のTVで見たが、なんだか晴れ晴れとした表情をしているように見受けられた。
考えても見てほしい。
あの貧相な事務所の外見からして、おそらく彼は(少なくとも営業的には)あまり優秀な建築士ではなかったのだろう。
木村建設や平成設計から使ってもらえなかったら路頭に迷う弱小事務所。クライアントからはコストダウンを迫られる。暗に(明に?)法律違反を強要される。ことわれば仕事がなくなる。
えい、ままよ、どうせ、こんなインチキ計算書、検査ではねられるに決まっている。そうしたら「ほうらやっぱり無理ですよ」といって正しい計算をやり直せばいい。
ところが検査はなんの問題もなく通ってしまった。
さあ、これで法律違反の命令に反対する根拠は(道徳的理由を除けば)なくなってしまった。さぞつらかったろう。告発する勇気も断る気概もなかったのがなさけないが、あのヅラではしかたがない(関係ないか?)。人が死ぬ原因になるかもしれないインチキ計算書を量産して鉄筋を減らしても、鉄筋代は一銭たりと姉歯氏のもとに入ってくるわけではない。高級なヅラを買えるわけでもない。
それが、いまやすべては明るみに出て、財産も資格も仕事もすべてなくなり懲役実刑を課せられるかもしれないが、それだけのことだ。もう本人はうじうじ悩むことはない。クライアントや家族を気にすることもない。カルト宗教団体にお布施を巻きあげられることもない。想像に過ぎないが、いま彼の心は安らかで澄明で、落ちついているのではなかろうか。気になるのはヅラをはずすタイミングくらいか。
58.157.55.188 時 621 0 1134211997 女系天皇71%が女系天皇を容認 皇位継承順位は意見二分(共同通信-12月10日)
神社本庁「男系天皇継承に努力を」(産経新聞-12月3日)
初代の神武天皇のY染色体は男系でなければ継承されない(煙管のけむり-7月16日)私は天皇制については別にあってもいいんじゃない、程度の消極的賛成論者だ(論というほどではないが)。黒田清子さんの結婚式をみても、折角天皇御一家は国民から好意的に見られているのだから、未来の国造りの象徴としてもう少し「うまい使い方」があるのではないかと思うが、今日は書かない。
天皇家自体が絶えてしまっては、ありようもへったくれもないからだ。女系天皇容認は「側室」が許されない以上、必然の選択だろう。男系固執もわからないではないが、しかし「神武天皇のY染色体」を持ち出すのはすごいね。たしかに男系だけで相続していれば「天皇家のY染色体」が継承されているのはたしかだ。Y染色体は男にしかないのだから。
天皇制が伝統的装置である以上、男女平等を持ち出すのは筋違いだろう。なにか特定の「遺伝子」を継ぐという意味では、男系でも女系でもどちらかに徹すれば意味がある。男系にY染色体があるのなら、女系にはミトコンドリアがあるからだ。ミトコンドリアは核ではなく細胞質内にあるから卵子からだけ継承される。もし天皇家が女系相続だったら、天照大神からミトコンドリアが万世一系で受け継がれたことだろう。
まあ、明治以前の天皇制の伝統が遺伝科学の知識に基づいているわけがなかろう。どっちにしても単なる後づけだ。とはいえ、男系にこだわる人々がY染色体に目をつけたのは慧眼である。ここは今上天皇陛下(皇太子殿下でもよいが)に精子を凍結保存いただいて、天皇継承が女系になってしまったら、いつか皇位継承第一位の男子が妊娠された段階で凍結した精子のY染色体と交換したらよかろう。今は難しくても遠くない未来には実現可能だろう。われながら名案である。まあ、私は男系でも女系でもどっちでもいいけど。
210.198.165.163 時 620 0 1134139902 帰ってきたもてない男小谷野敦『帰ってきたもてない男』(ちくま新書)読了。
もちろん、あの『もてない男』の続編。著者の小谷野教授はベストセラーになった前書刊行後、裏切り者と呼ばれつつも結婚することができたらしい。しかし、あえなく離婚。筋金入りのもてない男としてパワーアップして帰ってきたわけである。
前作は恋愛論でも社会論でもなく、あくまで「欲望を遂げられない男の文学史」であった。しかし本書は文学論の部分は少なく、『もてない男』への反論への再反論を主とした社会論の色が濃い。
特に上野千鶴子あたりのフェミニズム論者への反論が小気味いい。「コミュニケーション・スキルを磨きなさい」という上野に対して「生まれつき恋愛する能力のない者もいるのだ」と身もフタもない反論をする。「そういう人(もてない男)はオナニーをしながら死んでいってください」という上野の言に、著者は「それをもてない女にも言えるのか」と疑問を呈する。上野のフェミニズム的主張は「学歴の高いもてる男女」を暗黙の対象にしているのではないかという著者の主張は、ちょっと目からウロコのまっとうな意見ではないだろうか。
著者のもてないことへの怨念もかなりのものだが、「俺は東大卒なのになぜもてない」というのが基本にあるようだ。もちろん著者は自分のもてない原因は冷静に分析している。(背丈、趣味その他色々色々)
反論しているだけではなく、著者はフィールドワークもおろそかにしてはいない。テレクラ、出逢系、結婚サービス等もみずから体験し、報告している。まあ、あまり新鮮味はないのだが。
しかし本書に限らず、もてない男の話というのは悲哀きわまりないのだが、どうしても滑稽味を帯びてしまう。男は滑稽なまでに悲しいということでしょうか。悲しいまでに滑稽だということかな。どちらにしても身につまされることです。
210.169.68.189 本 619 0 1134053405 男性更年期はTVでぼ〜結石さわぎは一段落して、その後の腎臓機能検査も異常なし。元気はつらつ!といきたいところなのだが「おれもトシだなあ」と身にしみたせいか、しばらく体調が悪かった。珍しく風邪ひいたりだるかったり、フィジカルよりむしろメンタルの方にきてるようで、ウダウダグダグダとすごしてしまった。
医者に行ったり、職場や取引先には「おれは加減悪いからいたわるように」と宣言したりして、だいぶ気が楽になり、調子ももどってきた。ということで、書くネタもつきているのだが、リハビリ兼ねてなにか書いておこう。
*
唯一変わったことと言えば、TVを買い替えたくらいか。12、3年使ったSONYの28型ワイドがついに駄目になった。全てのチャンネルがザラッザラの画面。人の顔が全員黄疸にかかったようにまっ黄色になってしまってはしかたがない。秋葉原のヨドバシでシャープのAQUOS LC-32AD5という液晶デジタルTVを購入した。
夫婦とも結構TV人間なので、これはなかなかいい買物でした。今までなんと汚い画面で見ていたことか。アナログ放送はほぼすべて同じ番組を地上波デジタルで見られることを今さら知ったのだが、この画質がすばらしい。
一番驚いたのは鎌倉さん(News9)や塚原愛さん(お笑いオンエアバトルの司会)などNHKアナウンサーの脚がきれいなこと。4:3のアナログをワイド画面で見ると横に引き伸ばされてしまうので、顔はでかめに脚は太めに映ってしまう。デジタル放送は最初から16:9なので本来の太さで表示されるというわけだ。いままで大根足だと思っていてごめんなさい。
調子がもどったといっても、バリバリ絵を描くとはいかず、TVが良くなったのをいいことにボーっとドラマばかり見ています。いかんなあ。ドラマはほとんど見ない、なんてかっこつけてたのになあ。一番はまっているのは『デスパレートの妻たち』と『相棒』。あとは『野ブタをプロデュース』『ブラザービート』も妻や娘のつきあいで見はじめたらちょいはまり気味。いかんいかんなあ。
*
メンタルが低調なときに、栃木の痛ましい事件などを視聴するとほんとにこたえました。他人事と思えず動揺してしまうのですね。ちょっと落ち着いてきたのでなにか書いておきたいけど、明日以降。 211.4.128.84 TV 618 0 1132412051 吉田茂という逆説保阪正康『吉田茂という逆説』(中公文庫)読了。
本書を読むと、小泉首相の政治手法、独断的なところ一徹なところ、そして敵対する者への対処、吉田茂に良く似ている。小泉純一郎、異端児と呼ばれているが、かなり意識して保守本流・吉田茂を範としていると見たがどうか。
吉田茂は現在の外務大臣麻生(スネオ)太郎氏の祖父にあたる。私は長男の英文学者吉田健一の父としての方が印象深い。吉田茂、言わずとしれた戦後初の総理大臣だ。
その人間像は、現代の基準で言うとやはり右翼的人物として分類されてしまうのだろう。しかし、どうしてそんな単純な人物ではない。
ばりばりの反共主義者。開戦に反対し投獄された反軍主義者。
「臣吉田茂」と自ら称する天皇崇拝者。洒脱でシニカルな英国仕込みの外交官。
日本憲法の制定時の首相にして警察予備隊という名の軍隊=自衛隊の生みの親。しかしアメリカの再軍備要請をのらりくらりとかわし、旧勢力復活を断固制した旧軍嫌い。
これらの互いに矛盾しているかに見えるすべてが吉田茂である。現代のなんでも右翼左翼でわける基準からすると、さてどこにおいていいのか困惑するしかない。まさに「吉田茂の逆説」である、
本書によれば、別に吉田茂が変幻自在融通無碍だったというわけでもない。まったく逆で、頑固一徹このうえない、ゆるがない思想の持ち主だったようだ。
「陸軍が権力を握って反米英であった20年弱は日本が本来の道を外れて変調した時期であり、その時期を除けば、明治以来の近代日本にはなんら誤りはない」というのが吉田茂の歴史観であった。
敗戦後、首相となった吉田は「昭和陸軍が登場しなければありえただろう、陸軍登場以前の歴史と連続性をもった日本」を「マッカーサーを利用して再生」しようとした。
この理念を実現する戦略という意味で、吉田は占領下の政治家外交家として実に有能な官僚であった。マッカーサーや日本政界に対する吉田の駆け引き、権謀術数が本書の読みどころでありましょう。
本書は文庫としては600頁もある大著である。内容も固くて、どちらかというと私の苦手なジャンルなのだが、これが結構面白く読めてしまった。特に中盤、開戦の和平工作、戦中の公安のスパイに見張られているような生活から投獄。本領を発揮する戦後占領化での活躍、あたりが面白い。
よくも悪くも戦後日本政治の構造・体制のかなりの部分は吉田茂が作ったのは間違いない。
没後40年近いが、ここにきて、戦略戦術が吉田茂を彷彿とさせる人物が、抜群の支持率を誇る首相として日本に君臨している。意味があるのやらないのやら、どちらににしても興味深いことではあります。
*
吉田茂元首相の旧邸宅(神奈川県大磯町)が存続の危機に陥っている
211.126.30.71 本 617 0 1131893810 川端龍子展江戸東京博物館に『生誕120年川端龍子展』を見に行く。
特に前知識も無く観に行ったのだが、日本画というイメージを超えた大作ぞろいで、なかなか見ごたえある展覧会でした。
たとえば「草の実」の紺地に金泥のみで描かれたススキの群れの超絶技巧。「臥龍」の奥行きある立体的な龍図。ダイナミックな波涛渦巻く「鳴門」の大迫力。ゼロ戦の透明な機体越しに雄大な山なみが見えるという「香炉峰」の破天荒な構図。その他にも「こう来るか」というけれん味たっぷりな大作が数多い。この展覧会はおすすめ。
しかし、なぜか日本画の展覧会は常に空いている。もう少し人気が出てもいいのになあと、ちと思う。個人的には空いていてのんびりじっくり見られるのでありがたいのだが。同じ入場料なら得した気分になる。今日はその少ないお客の中に、粋な唐桟縞を着こなした美女がいて、さらに得した気分でした。
210.198.156.19 美 616 0 1131116007 毒殺日記16歳の少女が起した「母親毒殺未遂事件」。少女がブログに「観察日記」を残していたことが、マスコミに格好のネタを提供しているようだ。
TVでは専門家と称する人がいつものように「現代の若者は……人より優れていることを証明しようと……ネットで全能感を……」などと躊躇せずしゃべりまくっております。よく自信満々に色々なことを言えるものだ。
ネットの専門家の方が概して謙虚のようだ。
医学都市伝説の「
世の中には訳わからんことする人は多い、というあたりで勘弁して頂くしかありません。自分の痛みには敏感だが、他者の痛みには全く目を向けられないという人はいますからなぁ。あの年代なら、精神疾患の始まりである可能性は高いのではないかなぁ、というのが精一杯の意見。」というのが誠実な意見ではないかなあ。とりあえず、少女の尊敬する人物がグレアム・ヤングというのがキモだろう。
グレアム・ヤングとはこんな男だ→「殺人博物館」
映画化もされている→「グレアム・ヤング 毒殺日記」
中学生にして「好きな有名人が稀代の毒殺魔」というのは、そういうふうに産まれてきてしまった、としかいいようがないだろう。
61.198.184.80 時 615 0 1131012144 シン・シティ最近は映画は「夫婦50割引」をフル活用していたのだが、昨夜はひさしぶりに一人で丸の内ルーブルに『シン・シティ』を見に行った。
好悪の激しく別れる映画、私は激しく気に入りました。原作はフランク・ミラーのアメコミ。プログラムによればコミックではなく、グラフィック・ノベルと呼んでいるようだ。漫画と劇画の違いのようなものか。
どんな漫画かというかと、次のサイト(暗黒太陽通信)に詳しい。
http://members.jcom.home.ne.jp/jun1f2/archive_books/dametokillfor.html
http://members.jcom.home.ne.jp/jun1f2/archive_books/bigfatkill.html映画は漫画の世界を忠実に再現している。原作者が共同監督に名をつらねているだけのことはある。モノクロームとポイントカラーという映像表現やキャラクターの激似ぶりだけでない。動きや情感や雰囲気や、かもしだす世界が実にフランク・ミラーなのである。正確にはモノクロではなくグレースケール。その分、漫画より映画の方が湿り気を感じて、またそこが良い。
ちょっと見だとブレードランナーなどダークな近未来を描いたSFを連想するかもしれないが、ジャンルとしてはハードボイルドやフィルム・ノワールだ。犯罪と暴力の支配する架空の街。漫画的に過激な暴力は過激すぎてブラック・ユーモアのようだ。ハードボイルドらしく胸にせまるロマン。いや、いいですな。
キャストもすごい。タフガイ刑事役のブルース・ウイリスははまり役。ハルクのような怪人マーブを演じたのはミッキー・ローク。『ナイン・ハーフ』のエロ男には見えません。私のお気に入りは娼婦の大ボス・ゲイル役のロザリオ・ドーソン、エロすぎ(下図参照)。『ロード・オブ・ザ・リングス』のイライジャ・ウッドは全然イメージの違う凶悪凶暴な猟奇犯罪者を演じている。
唯一不満なのは、シン・シティの女神、ストリッパーのナンシー役のジェシカ・アルバが脱いでいないこと。本人はストリップショーを見学に行ったりやる気満々だったらしいが、父親がダメを出したらしい。チッ。
61.198.184.80 映 614 0 1130677211 顔は恐竜100万年左の絵をクリックすると女子百景No.112のページに飛びます。
タイトルはあと付け。顔がラクエル・ウェルチに似ているかなあというのもあとから気がついた。
自分の絵を見返してみると、なんだか髪フェチのようだ。実生活では全然そんなことはないのだが、絵に描くのは、どうも好きなようだ。
かといってヘアスタイルとかファッションにはあまり興味はない。要するに不定形なものをわさわさしこしこ描いてるのが好きなのだ。
61.198.189.210 絵 613 0 1130571661 石が出た一週間ぶりの診察。先生はレントゲン写真を見ながら「先週より1.5cm落ちてる。膀胱の出口の手前まで来てるからもうちょっとだな。薬を続けて縄跳びでもやって」とおっしゃる。
こりゃ、長期戦だなと思って帰ってきて、まずトイレに行った。尿の出もあいかわらず景気よいのだが、「ん?」という感じでちょっと違和感があった。
し終わってから、便器をのぞくと、なにやら異なものが水辺に落ちている。ティッシュの端でひょいと拾い上げると、あきらかに石である。痛みもなにもなく、産まれてみればあっけない。
デジカメに接写機能がないので、ボケボケだが左上がその写真。長径は約4mm。ボケててよくわからないが、表面は結晶化してごつごつしている。ファンタスティック・フォーの岩男みたいな感じだ。こいつがグリグリ狭いとこ動いていれば、痛かったのも納得。
*
石が出た出た♪石が出た♪ と、うかれて、近所に最近できたインド料理店に家族で繰り出す。気さくなインド人夫妻が出してくれる料理は、なかなか本格的。巨大なナンが軽くて甘くて絶品でした。
61.198.189.210 身 612 0 1130061298 ひさしぶりの女子百景左の絵をクリックすると女子百景No.111のページに飛びます。
毎日一枚描きたいけど、それは無理。せめて一週間に一枚ぐらいはと思っても、結果は月に一枚も怪しい。
やはり毎日一枚描くぞ、と思って、やっと一週間に一枚ぐらいの結果になるのかな。
◇
昨日の造影剤を入れてのX線検査によれば、石は10cmぐらい下降して膀胱の手前まで来たそうな。先生は「もうすぐだな」というけれど、まだ全然出産の気配ありません。調子悪いけど、だましだましのんびり待ちます。
211.4.129.166 絵 611 0 1129863541 体内の固いモノ先週の日曜(10/16)、突然の腹痛と腰痛に見舞われた。激痛の上に血尿まであったので、さすがにあわてて救急病院に駆け込んだ。(実際は駆けることなどできないので、家族が車を呼んで運んでくれたのですが)
診断結果は「
尿管結石」。ぼうこうと腎臓の間の尿管内に米粒の半分くらいの石があって、こいつを押し出そうと尿管が痙攣するのが痛みになるらしい。とりあえず点滴と座薬で痛みはおさまり、帰宅することができた。今後は服薬して石が自然に出てくるのを待つしかないらしい。せいぜい水やお茶をがぶ飲みして大量におしっこをするとしよう(ビールでもいいのかな‥‥)
ネットで「尿管結石」を調べてみると、体を動かす、縄跳びや逆立ちがいいなんて書いてある(一応医療関係のサイト)。早速やってますが、ほんとに効くのかいな。
病気の痛みの中ではかなり上位の方で、難産の陣痛に匹敵するらしい。これで「女は痛い思いして子供産むんだからね」などといわれたら、「おれだって同じくらい痛い思いして石産んだぜ」と言い返せる。まだ産んでないけど。
いつ石を産めるかということだが、ネットの体験談によれば、こちらの人は8日間、こちらはなんと8ヶ月だそうだ。やれやれ。どちらのサイトも作者が鉱物関係なのがおかしい。
8ヶ月かかった人は石が出る前の数日間、排尿のたびに珍々の付け根に激痛が走ったそうな。今からちょっとびびってます。8日で出た人の方は、「あれ、なんか通った」程度だったらしいが、こちらでありますように。
*
あそこの中の固いモノといえば、骨標本の通販サイトを見つけました。色々な動物の各部の骨がそろっているらしいが、ここはその中の陰茎骨のページ。
えーと、人間のをさがしてもありません。人間は霊長類で唯一陰茎骨のないサルなのですね。
神がアダムの肋骨を取ってイブを作ったというけれど、人間の肋骨はゴリラやチンパンジーより少ないわけではない。だから、肋骨というのは間違いで、実は陰茎骨だったのではないかという説があるらしい。どっちだっていいけど。
槍先を障子でためす大たはけ211.121.45.118 身 610 0 1129387822 チャーリーとチョコレート工場丸の内ピカデリー2に『チャーリーとチョコレート工場』を見に行く。
ティム・バートン監督でジョニー・デップ主演、期待通り、私好みの展開と映像で2時間たっぷり楽しませてもらいました。同監督作品では『シザーハンズ』系列だ。原作はロアルド・ダールの有名な童話。未読だが、いかにもダールらしい微妙なダークさ加減がティム・バートンと妙に合っているような気がする。
なんといっても大工場の造型、特に外観が素晴らしい。ファンタジックな内部の描写も、あまりCGにたよることなく(といってもどこがCGなのか良くわからないのだが)手造りな質感が好ましい。
主役のジョニー・ディップ、その父親役のクリストファー・リーはもちろん、5人の少年のキャスティングが絶妙だ。いい子はとことんいい子に見え、悪い子はこれでもかというワルがき。童話らしく戯画化されている。
ある意味本作の主役である「ウンパルンパ族」が歌い踊るギャグが何度もくり返される。くり返しはお伽話の定型的文法ではあるのだが、ちょっとベタすぎてしつこい。ここはもう少し洒落た感じにできなかったものか、というのが唯一の不満。
*
同監督の次回作(来週公開)はパペット・アニメ『コープスブライド』。こちらはあきらかに『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』寄り。ナイトメアのジャックがカメオ出演しているのではないか、などと今から妄想中……うー、楽しみ。
◇
ロアルド・ダール『王女マメーリア』(ハヤカワ文庫/田口俊樹訳)、トオマス・マン『ブッデンブローグ家の人々(上中下)』(岩波文庫/望月市恵訳)、スティーブ・エリクソン『黒い時計の旅』(白水社Uブック/柴田元幸訳)購入。
61.198.199.65 映 609 0 1128953448 暗鬼乃南アサ『暗鬼』(文春文庫)読了。
両親、弟妹、祖父母に曾祖母。今時珍しい大家族に嫁いだ法子を待っていたのは、何不自由ない暮らしと温かい家族の歓待だった。しかしある日、近所で起きた心中事件に彼らが関係しているという疑惑を抱いた法子は、一見理想的な家族を前に疑心の闇にはまっていく。やがて暴かれる、呪われた家族の真実とは。
よくできたサイコサスペンスホラー。えらく薄気味悪く後味悪いラストはいかにもB級ホラーっぽいが、私はきらいではない。
奇態な家族の正体は早いうちに割れるので、ミステリー的どんでん返しのカタルシスはない。読みどころはやはり、嫁ぎ先の家族に疑心を感じたり逆に親愛感にとらわれたり、振幅の激しい主人公の心理描写の巧みさだろう。
文庫の初版が1993年、オウムの事件の2年前だが、この家族の「手口」はまさしく「宗教」の手口だ。新興(とは限らないが)宗教が普通の人の判断力を失わせ盲目的な信者に変えていく手順が、閉鎖的独善的な家族と被害者の嫁という関係に置換えられて精緻に描かれる。被害者だった嫁が徐々に加害者に化していくのもオウムや他のカルト(とは限らないが)宗教と同じだ。
家族や友人は無条件に大切なものではない。大切なのは「宗教にはまっていない」家族や友人だ、と私は思うのである。そして一度「はまった」家族や友人を助け出すのは容易なことではない。はまりそうな人には本書を読むのを薦めるのも良いかもしれない。
211.121.45.118 本 608 0 1128696949 ぶりっ子は死語ではない/MS-IMEの気配り娘「まったく、ぶりっこ女は腹が立つ」
父「はあ?」
娘「なんで男はぶりっ子が好きっちゅうか、だまされるの?」
父「ぶりっ子って、たとえばどんなんだよ。」
娘「海行ったとき、ばりばり泳げるくせに、いい男が近づいたら、急に友だちの浮き輪うばって『波がこわ〜いん』みたいな芝居をした○○!」
父「そりゃ、強者だな」
娘「取られた子は本当に泳げないから、パニくってたんだから(ちなみにあたしじゃない)」
父「具体例はわかったから、一般的にはどんな『ふり』をするわけ?」
娘「背が低くてぇ、」
父「背は小さいふりはできねえだろう!」
娘「高いところはあたしどどかな〜い、どれどれ俺がとってやるよ、みたいな、ちっ!」
娘「あと、お化けとかでる映画こわ〜いとか。あたしだってこわいんだよ!」
父「……そういう子はこわいめにあったとき、どういう声だすんだよ」
娘「『きゃぁああ〜〜』って叫んでしがみつく、みたいな」
父「お前が楳図かずおのマンガ読んでいて、おれにうしろからワッと脅かされたときはどんな声だしたか思いだしてみろ」
娘「……『うぉおお〜!』といって飛び上がった」
父「な、こわがりとかぶりっこ以前の問題なんだよ。『うぉお〜』じゃなくて『きゃぁあ』という練習でもしてろ」
娘「……けっ」
◇
以前、MSーIMEの(初期状態では)「
躄 」や「跛 」が変換できないという「欠陥」について書いたことがあるが、最近「支那 」も変換できないことを発見してしまった。「亜米利加」「英吉利」「独逸」「露西亜」は変換できるのに。それどころか「西班牙」や「瑞西」でさえできるのに、江戸明治以来の日本文学では比較にならないほど使われている「支那」が変換できないのはどういうわけだ。中国様にお許しをいただいていないからかな。
「
癩病 」も変換できません。これまた日本の小説でも翻訳小説でも多用されている単語なのに。差別うんぬんとは全く別の問題だと思うのだが、まったくへんてこな世の中になってしまったものだ。私が使っている辞書はWXG4なので「支那」も「癩病」も「非人」も悪意なく無邪気に変換します。「虎舞竜」や「男闘呼組」が一発で変換できるのはどうかと思うが。
61.198.188.189 言 607 0 1128243854 中一弥挿絵原画展/池波正太郎の絵合羽橋道具街のはずれにある池波正太郎記念文庫に『江戸の風景―中一弥挿絵原画展』を見に行く。
中一弥については以前、自伝のレビューを書いたので、そちらを参照していただくとして、おどろいたのは同時に展示されていた池波正太郎の絵。
絵が好きというのは知っていたが、これは趣味の域を超えている。日本画風の魚の絵など鶴太郎よりずっとうまい。鬼平の挿絵を自分で描いたものまであったが、これでは挿絵画家の方も気が抜けない。自筆の年賀状の干支の動物の絵も洒脱でいい。まいりました。
来週はかっぱ橋道具まつりなので、食器や調理道具の買物のついでによって見るのもおつなもの。30分もあれば余裕で見られます。かっぱ橋のおみやげにはストラップミニ寿司がおすすめ。
211.126.29.27 美 606 0 1127658553 朝青龍六連覇/メイド絵ああ、面白かった。来場所も優勝すれば連覇の新記録。間違いなく史上最強だ。
横綱はサイヤ人かジェダイ(シス?)に違いない。本割では栃東を界王拳かフォースで気絶させてたし。
◇
相撲ネタだけ書いて終わるのもなんなので、なんの脈絡もないけど、最近発見した史上最強のメイド絵を紹介します。
Jean-Etienne Liotard という18世紀の画家が描いた『チョコレートを運ぶ少女』。秋葉原にはいません。
61.198.199.129 闘 605 0 1127572679 玉座の習作
今描いている絵に玉座を描こうと思ったのだけど、なかなかうまくいかない。3Dソフトの助けを借りればいいかもと、色気を出したのだが、いかんせん私の蒸気機関PCではまともに動くソフトはなさそうだ。
しかたがないので、ひさしぶりに紙細工でミニチュアを造ってみた。ひどい出来だけど、構図を決めるだけだからいいのだ。手先を使ってるとボケ防止になりそうだし。
*
SALAさんが作ってくれた3D画像。データもいただきました。ありがたやありがたや。
◇
飛鳥井頼道『尾形光琳―江戸の天才絵師』(ウェッジ)購入。
211.121.45.118 絵 604 0 1127486760 夫が多すぎて/乱れるサマセット・モーム/海保真夫訳『夫が多すぎて』(岩波文庫)読了。
ここのとこちょっと古典に回帰しとります。
第一次世界大戦直後のイギリス。戦死した夫の親友と再婚して子供までもうけた美女ヴィクトリア。彼女の元に突然死んだはずの夫が帰って来る。
……昔教科書で読んだ『イノック・アーデン』を思わせる設定の戯曲。当然、大悲劇が開始されるはずが、そこは辛辣をもってなるモーム、物語はドタバタと喜劇……というより笑劇が展開します。
まず、ヴィクトリアはけなげな戦争未亡人どころか、わがままきわまりない自己中心女である。夫もそんな妻への情熱はさめているようだ。夫婦は生還した親友に事実を知らせる役目を押しつけあう。
元の夫も事態を把握すると、このままヴィクトリアを親友に押しつけて自分は自由の身になろうと甘言の限りをつくす。今の夫もそうはさせじと策を弄し、多弁を費やす。
科白がうまい、テンポもいい。あっというまに読めます。
二人の男が乾杯するラストシーンの余韻がなかなかいい。上演されたときの舞台が目にうかぶ。そのまんま加藤健一事務所あたりで今やっても全然おかしくない気がする。
やはりモームはうまい。いままで読んだ短編はいずれも面白かった。『手紙』『雨』などはミステリー好きの人にもおすすめ。
長編は読んだことがないので『人間の絆』か『月と六ペンス』、どちらか読んでみようかな。
◇
映画も古典に回帰していて、早く帰れた夜はNHK-BSの成瀬巳喜男特集なんぞを見ている。21日は高峰秀子主演の『乱れる』。
嫁いですぐに夫に戦死された礼子は、夫の実家である酒店を18年間切り盛りしていた。東京の仕事を辞めて戻ってきた義弟の幸司は、酒におぼれけんかにあけくれていたが、礼子はそんな彼をいつも優しくむかえていた。ある日、幸司は長年礼子を思い続けてきた気持ちを彼女に打ちあけるが・・・。
義弟役は当時人気絶頂だった加山雄三。美しい未亡人と11歳下の義弟という設定が萌えました。
愛を告白されて動揺するヒロインの演技が素晴らしい。ドラマチックな背景でなく、小さな酒屋の店内という日常性の中での細やかな心理描写がたまりません。情熱的な情事の場面などはないけど、二人がただ長距離列車に乗って弁当を食べているだけの場面が不思議と官能的。モノクロ画面のライティングとカメラが美しい。
それはないだろうという無理矢理なラストに興をそがれたけど、高峰秀子がきれいだったからいいや。昔の日本の女優さんは本当に綺麗です。というか、日本映画のことだけではないな。
61.198.199.129 本 603 0 1127123973 写楽・歌麿と黄金期の浮世絵
天気が良いので千葉市美術館に『写楽・歌麿と黄金期の浮世絵』を見に行く。 題名にいつわりなく写楽・歌麿の代表作がしっかり展示されていた。
しかし、休日だというのにがらがら。好きなだけ展示絵を独占し、顔をすれすれまで近づけて堪能できました。
浮世絵独特の空刷り(からずり=着物の織などを色を付けずに凹凸だけて表現する技法)などは印刷ではほとんど出ない。本物に鼻を押しつけるように見なければわからないので、混んでいては見る意味がない。空いているのはありがたい。
同時開催の『青木コレクションによる幕末明治の浮世絵』まで見られて、値段はなんと200円。公共施設ならではだが、千葉市民がうらやましい。
歌麿といえば美人絵だが、今回の展示で私が一番ひかれたのは、海浜の貝殻を描いたシリーズ。細密描写のリアルさもすごいが、貝殻の筋を空刷りで立体化している刷りがまたすごい。他にも私の好きな鳥居清長や長文斎栄之の名品も出ていたし、文句なしの展覧会でありました。
*
帰りに美術館そばの「あづま庵」という蕎麦屋に入り、天麩羅定食を食す。大振りのエビ天が3本入って、椎茸、獅子唐、海苔もうまい。吸い物もお新香もいい味で、ご飯も大盛り。これで1350円は安い。千葉市民がうらやましい。
211.121.45.118 美 602 0 1126448224 北京原人の逆襲/地球へ2千万マイル選挙は自民党圧勝の模様だが、とりあえず、良かろうと悪かろうと郵政民営化ぐらいも実現できないようでは日本はフェイドアウトしちゃう、という危機感の表れでしょうな。郵政民営化法案反対の民主党に政権交代してもしかたがないところだろう。
私のつれあいは一日中投票所立会いのボランティア。見てればいいだけなのだが、投票はしたものの「私はどこに帰ればいいんだろう」なんていう婆ちゃんがいたりして結構大変らしい。
ということで、私は留守番、家でのんびり映画鑑賞。キングコングが元ネタの二つのB級ムービーを堪能しました。
かの大迷作『北京原人 Who are you?』とは全く関係ありません。円谷英二の弟子を特撮監督に迎えて作った香港製キングコングであります。
特撮や巨大原人の造型はチープだが、一気呵成の脚本はラウレンティス版のキングコングなどよりはるかに面白い。ラストは元祖キングコングよりずっとドラマチックだ。
私のいうことだけでは信用できないむきは、老舗「最低映画館」のレビューを見よ。(リンク先に金髪美女のヒロインの画像あり)
日本語版もあるが、私は安価な北米版を買った。英語はわからないがクローズドキャプションもあるし、脚本も物語も簡にして明なので無問題。ただし、リンク先で購入しようと思った人にははくれぐれも自己責任での決断をお願いする。
『地球へ2千万マイル』。少し前にNHK-BS2で放映したものの録画。
こちらはかのレイ・ハリーハウゼン入魂のダイナメーションで宇宙怪獣が暴れ回るウルトラQテイストのクラシックSF。ブルース・リーとチャック・ノリスが戦ったローマのコロシアムで、「金星竜イーマ」と米軍がドンパチやります。イーマの姿は上半身ゴリラで下半身ティラノザウルス。ラストはキングコングそのまんま。
さすがにチープ感は少ないけれど、脚本の面白さは『北京原人の逆襲』の方が上ですな。
なんにしても、こういった怪獣大暴れものの基本フォーマットを作った『キングコング』偉大だったんでしょうね。最新作がどんなできかが気にかかる。
ハリウッド最新作と『北京原人の逆襲』を無謀にも勝負させると、(興行成績は勝負にならないだろうけど、私には興味ない)特撮は当然1万対1くらいの差で最新作の圧勝。ヒロインの美貌は僅差で『北京原人…』の勝ち。ヒロインの露出度は100対1で『北京原人…』の完勝、というところでしょうか。
210.198.177.64 映 601 0 1126280871 スター・ウォーズ悪の迷宮『スター・ウォーズ悪の迷宮(上下)』ジェームズ・ルシーノ著/富永和子訳(ソニー・マガジンズ文庫)読了。
映画『エピソード3』の冒頭につながるクローン大戦ノベル第5弾
小説は登場する固有名詞に思い入れがあるから読めるには読めるが、あえて読むほどのものではない。ただ、AMAZONのユーザーレビューでは「
エピソード3は残りの半分だった」なんて書いてる人がいましたが、SWは映画だけでなく、シリーズをとりまく膨大なサブストーリー、サブオブジェクトがあるのだね。ジョージ・ルーカスはおそらくそれをふまえた上で『エピソード3』を撮ったのだろう。だからといって映画のだめさ加減が許されるわけではない。二次産物の助けを借りねば理解できない映画とは、単に完成度が低い映画だということにすぎない。
しかし、こういう二次小説を読んでいると、ルーカスの生んだジェダイのイメージがもはや独立して、ある世代の共有財産になっているということはひしひしと感じて、その直撃世代としては感慨深い。
日本の映画マスコミは黒澤映画のSWへの影響を強調する。私は前にも書いたとおり、シリーズの物語の骨格は古典的SFを踏襲していて、黒澤映画の影響は日本の鎧兜のようなベイダーの姿や両手切りのライトセーバーなど、ヴィジュアル面に限られると思っている。
それでも、ジェダイとフォースによって構築されている世界観のなんと、日本の剣豪小説に似ていることか。エピソード3のクライマックス、オビワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーの溶岩の星での決闘が、宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島の決闘を連想させて(パクリだとかではなくて)ちょっと誇らしいのは、日本人の身贔屓が過ぎましょうか。
61.198.180.244 本 600 0 1125152121 スター・ウォーズ エピソード3出遅れもはなはだしいですが、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』を日劇PLEXで鑑賞。
うーん、エピソード4につなげなければいけないのはわかるが、あまりにもつじつま合わせに終始しすぎ。シリーズ中の悲劇パートであることはわかっているでしょう、てな感じで、観客に甘えすぎの脚本と言わざるをえない。
スターウオーズは痛快娯楽SF活劇でなければならない。ヒーローが悪の手先となりヒロインが非業の死をとげることがシリーズの設定上さけられないとしても、予想を1%も超えないあんな凡庸な脚本でいいはずがない。
ではどうすれば良かったのか?そんなに難しいことではない。前にも書いたが、ぐずぐすしていないでダース・ベイダーを誕生させてしまえばいいのだ。観客はベイダーの正体も誕生秘話もほとんどわかっているのだから、そこをクライマックスに持っていく必然性はないのだ。あれでは絶対悪の化身だったベイダー卿のイメージが、単にだまされた男となって矮小化されてしまうだけではないか。やはり、みずからの力への渇望から暗黒面に堕ちてほしかった。
本当はベイダー誕生が前作のラストだともっとよかったのだが、今回だったら、前半1時間でとっととベイダー卿への変身を終了させるべきだった。観客の気持ちをどんよりさせる悲劇は早い目に終わらせて、後半は生まれた双子をうばわんとする皇帝&ベイダー卿の追撃とパドメ&オビ=ワンの逃走をじっくり描けばよい。怪物と化したベイダー卿の恐ろしさを再認識させ、ハラハラドキドキの末に最後に双子とオビ=ワンが逃げきれば、観客に爽快感=カタルシスを与えることができるではないか。
どうしても悲劇にしたければ逃走劇の最後にパドメの死を持ってくる手がある。ひきかえに子どもたちの逃走を成就させればパドメの死も意義ある崇高なものになったことだろう。
作劇上だけでなく、エピソード5でベイダーがルークが自分の子どもであることを知っていた事実とも、つじつまがあうではないか。
*
あと、ハン・ソロ少年は絶対登場すると思ったのになあ。かっぱらいとかろくでもないことばかりしている悪ガキ。見たかったなあ。ランドという黒人のダチとつるんでいれば申し分ない。
*
CGなどの特撮の物量攻勢は、まるでオモチャ箱をぶちまけたようで、すさまじいかぎりだが、最初にエピソード4の冒頭でスターデストロイヤーを見たときの感動からはほど遠い。贅沢をしすぎて味がわからなくなったのか、情報量がこちらの摂取能力を超えているのか。どちらにしてもちょっとさみしい。
210.198.169.110 映 599 0 1123512207 伊勢神宮にて伊勢志摩旅行記2。
神社・仏閣・教会。いずれも宗教施設だがその趣きはずいぶん違う。
神社・仏閣・教会の中で私が一番好きなのは神社だが、純粋に施設空間が好きなだけで、神社につきもののお祭りは好きではない。祭りでない静かなときにぼーっと眺めているのがよい。巫女さんにも興味はない。
仏閣=お寺(仏教)は建物そのものに仏の気配はあまり感じない。仏の気配をになっているのは寺内の仏像の方だろう。だから寺は健在でも、御本尊の仏像が盗まれたりしたら大変だ。どんな場所どんな建物でも、仏像があるところ仏がお在しますところとなるような気がする。
教会(キリスト教)は建物自体が神との交信装置としての機能を持っているように思える。聖母の胎内のごとく密閉された空間の中に、天からステンドグラスを通って神の光りが侵入し、神の子イエス像を照らす。どんな場所でも教会をしかるべく建てれば神の端末となりえるのではないだろうか。
そして神社(神道)は社(やしろ)はそれなりに美しいと思うが、建物よりむしろ場所に意味があるような気がする。いわゆる「神域」である。建物が朽ち果てても神主や巫女がいなくとも(自然が失わなければ)その場所には変わらず神がいる。というより場所が先で建物はあとなのだ。
キリスト教のような一神教なら神は唯一神。唯一の存在が光となってそれぞれの端末(教会)に力を及ぼす。多神教の日本の神様は八百万もいて、ときどき出雲に集まったりするが、いつもは八百万ヶ所にいる。
伊勢神宮に参拝したあと、御料酒を取り扱う酒店で、荒塩をなめながら冷やした濁り酒を飲みつつ、そんなことを考える。
210.234.10.46 旅 598 0 1123421494 マコンデ美術館今夏の休みはゆえあって昨年と同じ伊勢志摩旅行でした。
二日目に鳥羽から車で5分ほどの場所にある『マコンデ美術館』を観覧。
なぜこんな場所にあるのかわからないが、日本唯一のアフリカタンザニア美術館だそうだ。黒檀の自然木から掘り出されたマコンデ彫刻と強烈な色彩のティンガティンガ工房の絵画を中心に500点以上展示されている。
民芸品に毛がはえたようなもんだろうとたかをくくっていたのだが、見てびっくり。土俗的な生命力というステロタイプな印象だけでなく、シュールでアブストラクトでポップでコミカル。奇っ怪なデザインは見ていて飽きない。
たとえば左上は「口が横についている妖精」。これでもかなりおとなしいデザインの部類だ。
かと思うと、左下の「子どもを抱いた女性」のような、菩薩像を思わせる端正な作品もある。画像ではよくわからないが、この女性像はほんと、美しいです。
私もここに来るまで誤解していたのだが、ここの展示物の大半は過去の遺産ではない。現代のアフリカの(もちろん伝統に基づいてはいるが)彫刻家・職人のアクチュアルな作品がほとんどなのだそうだ。
モチーフで一番多いのは人物。次いで妖精や悪魔。そして動物だ。人物像は人種的特徴がよくいかされた美しく力強いものだ。こんななつかしい人にもあえる。
*
カルピスの商標は黒人を差別しているからノーグッドなどと頭に虫がわいたようなことを言っていた日本人がいたが、かれらがこの彫刻群を見たらなんというだろう。マコンデ彫刻の美しいフォルムも彼らには黒人をおとしめるデザインにしか見えないのだろうか。案外、かれらには作った人の国籍によってデザインがちがったように見えるのかもしれない。
*
今日の新日曜美術館は東京都美術館「ルーブル美術館所蔵エジプト美術展」の紹介だった。エジプト美術の彫刻は技術が非常に高くリアルだが、アフリカ美術を見たあとだとちょっと面白くなかった。だって左右対象なんだもの
ゲスト出演していたルーブルの学芸員の女性によると、今回の展覧会のテーマは「古代エジプト人を人間として見る」なんだそうだ。そんなことをわざわざ言わなくても普通の日本人は古代エジプト人は人間だと思っていると思うけどなあ。いままでフランス人は古代エジプト人を人間として見ていなかったのだろうか。翻訳(通訳)が変だったのならいいけどね。
210.231.24.62 美 597 0 1122993797 でっかいでっかい野郎衛星映画劇場『でっかいでっかい野郎』。
垢抜けないタイトルだけど、中身も垢抜けない。渥美清演ずる「松さん」のキャラはまるっきり寅さん(『男はつらいよ』と同年の作品)だし、ストーリーは先が読める。ギャグも切れ味がいいとはいいがたい。
ただ「男はつらいよ」シリーズと違うのは脚本が結構生臭いことだ。主人公が片思いしてるのは寅さんと一緒だが、ちゃっかり娼婦と半同棲していたりする。マドンナの娘も純真なようで現実的でしっかりしていて自分勝手だ。「パンパン」なんてはしたない言葉も平気で口にする(寅さんではありえない)。恋敵の青年もどうにもいけすかない若造だし、松の恩人の院長先生(長門裕之)は好人物だがすけべえだ。その奥さんの岩下志麻も美貌は女神のようだが、性格は普通で決して理想的には描かれてはいない。
脚本上のギャグは全然切れていないが、補ってあまりあるほど役者は名人上手ばかりだ。渥美清はもちろん、マドンナの頑固な祖父を演じる伴淳三郎がすばらしい。さすがの渥美も食われるほどだ。
女優陣は、もちろん岩下志麻はほれぼれするほど美しい。もっとも美貌盛りなるときでありましょう。マドンナ役の中川加奈はスパイダーマンのキルステン・ダンストみたいであまり魅力がない。本編で一番チャーミングなのは、松さんにべた惚れの気のいい娼婦を演じた香山美子でありました。
ということで、寅さんより大人向けの佳品。監督・脚本は『砂の器』の野村芳太郎。1969年、松竹喜劇映画全盛の頃の作品であります。
210.231.24.62 映 596 0 1122907793 原寸美術館 画家の手もとに迫る結城昌子『原寸美術館 画家の手もとに迫る』(小学館)読了。
絵を見る唯一無二の方法は実物を見ることである。画集で見ることは補助であり代替品でしかない。
というのは理屈ではわかるが、単なる絵好きでしかない当方、人気の美術展で押し合いへしあいして前を通り過ぎるように瞥見するだけで、実物を見たぞ的気分になるのはなんだか自分でもこっけいだ。
そこで本書である。絵を中途半端に全体像を見せるのではなく、主要な部分を「原寸」で印刷するという、今まであったようでなかった、まずは「画期的な」画集である。あたかも眼前の画布を食い入るように見ている気分が味わえる。
収められているのは、一度は画集で(いくつかは実物を)見たことがあるいわゆる定番の名画だ。
その数33点、ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、フェルメールは各2点。ミケランジェロ、デューラー、ボス、ブリューゲル、レンブラント、ベラスケス、ダヴィット、ターナー、ミレー、モロー、マネ、ルノワール、モネ、セザンヌ、シスレー、ゴッホ、ゴーガン、スーラ、ロートレック、ルドン、クリムト、シーレ、エルンスト、ダリ、ボナール、ルオー、ワイエスが一点ずつ。作品もそれぞれの代表作だ。たとえばゴッホは『星月夜』、ワイエスは『クリスティーナの世界』。デューラーは銅版画でなく水彩画の『野ウサギ』だが、これがまたいい。
普通の画集だと、あたりまえだが絵の全体像を把握することを重要視している。ともすると文学的歴史的付加価値が鑑賞に影響するが、原寸でどんと目の前に提示されると、絵がキャンパスの上の絵の具のかたまりであることがはっきりする。筆の跡や細かな色の置き方を目で追っていくと結構感動します。
やはり、元々でかい絵が面白い。ボッティチェリの『春』やミケランジェロの『システィーナ礼拝堂天井画』、ボスの『快楽の園』などが圧巻だ。逆にモローの絢爛豪華な『雅歌』が意外な小ささなのに驚かされる。
本書はかなり売れているらしく、AMAZONでは次の入荷が8/23だそうだ。少なくと私は買って損はしなかった。おすすめであります。
61.198.188.166 美 595 0 1122478882 CROCKET26日は台風接近中の東京国際フォーラムに『コロッケ芸能生活25周年記念コンサート』を観にいってきました。
年寄りなので、物まね芸は桜井長一郎とか小野エーイチとか旧いとこから知っているけど、その頃に比べて今の物まね芸はエンターテインメントとしてはるかに進化している。そのなかでもコロッケはスゴイ、というのがナマだとしみじみわかる。
しかし、なんでだれかに似ているということがこんなに面白いのかね。似顔絵も同じだけど、コロッケの芸は山藤塾の過激な作風のだれかれを思い出す。
集大成的コンサートということでテレビで見たことあるネタがほとんどだったが、いくつか(スマップ中居、八代亜紀等)はあきらかに前回聞いたときよりうまくなっているのがおどろきだ。
といってもさすがに新鮮味は少ない。三時間たっぷり生で観ると半年ぐらいはちょっとおなかいっぱいである。
◇
この映画が妙に気になる。オズの魔法使いのような鏡の国のアリスのような雪の女王のような話みたいだけど、異様な傑作か、ひたすら退屈な大駄作かどちらかに転びそうだ。中途半端ということはあるまい。どちらにしてもちょっと疲れそうではある。
211.4.129.135 笑 594 0 1121963687 大アマゾンの半魚人DVD鑑賞。『大アマゾンの半魚人』。
50年代を代表するモンスター映画として傑作の誉れ高い(高橋克彦などは絶賛だ)が、もちろん今見ればつっこみどころは満載だ。それでも傑作であることは間違いない。
なんといっても半魚人(原題ではクリーチャー、劇中ではギルマン)の完璧な造型。50年も前の作品なのにまったくしょぼいところがない。モノクロであることに助けられてるとお思いかもしれないが、モノクロでもしょぼいのはごまかせないことは『All Monsters Attack』でいやというほど見せられた。このギルマンの造型は本物である。この作品がなければ、ナショナルキッドの『海底魔王ネルコン』もウルトラQの『海底原人ラゴン』も楳図かずおの『半魚人』も生まれなかったことは間違いない。
半魚人の地上での登場シーンは、『フランケンシュタインの怪物』や『狼男』などでおなじみのクラシカルホラーそのもので目新しいものではない。しかし水中シーンは斬新だ。ギルマンスーツを着た役者さんの泳ぎがすばらしい。半魚人の存在を知らずに泳ぎを楽しむヒロインに半魚人の視点で寄っていくシーンは、あきらかに『ジョーズ』の冒頭で引用されている。
『ジョーズ』との違いは、こちらには「エロティシズム」があることだ。ヒロインのジュリー・アダムスのナイスバディぶりは左の画像のとおりだが、画面ではさらに筋肉質でかっこいい。ギルマンが彼女に惹かれていることはあきらかだが、『キングコング』ほどあからさまではない。
あからさまではないが、彼に気付かない彼女の泳ぎにシンクロするように、ギルマンは優雅に泳ぐ。よりそうように愛撫するように泳ぐ。怪物ものには珍しいほど美しくて妖しいシーンだ。
この映画は大ヒットしたらしい。当然、続編、続々編が作られた。しかしどちらも大駄作との定評だ。ほめているレビューを見たことない。まあ、そんなものである。ちょっと残念。
211.4.129.135 映 593 0 1121874512 殿下と騎手ピーター ラヴゼイ/山本やよい訳『殿下と騎手』(ハヤカワミステリ文庫)読了。
舞台が19世紀ヴィクトリア朝。偉大なる騎手アーチャーが拳銃自殺し、検視審問では熱病による錯乱とみなされた。だが、その評決に疑問を抱く者が1人だけいたのだ。時の英国皇太子アルバート・エドワードである。
英国の実在の(かのヴィクトリア女王の)皇太子を探偵にするという発想が面白い。登場人物も実在の人ばかり。実際に王家の人々の愛人だったなんていう噂のあるスキャンダラスな人々が次々と現われる。英国近代史を知っていると倍は楽しめる(のだろう)。
なんといっても作者のやんごとなき人を書く距離感がいい。
皇太子そのひとの一人称という形式。殿下は英国流のユーモアをちりばめた面白い文章を書くが、いかんせん探偵としてはどうも優秀とはいいかねる。見当ちがいなところばかり調べては運良く真相に近づくが、目の前にあるのに気がつかなかったりする。
では腕っぷしや度胸はというと、これも銃声がすると女性をさしおいてまっさきにソファの影にかくれたり、暴漢につかまって河に投げ込まれて死にかけたり、はなはだもってたよりない。
では、人情派のいい人かというと、ここだけは王族らしく尊大でプライドは大変高い。
そのわりにヴィクトリア女王には頭があがらず、呼出しにびくびくしたり、母女王のお気に入りの妻のごきげんをとるのに懸命だったり憎めないところもある。(そのくせ女好きで妻の目を盗むのにも一所懸命だ)
本格ミステリとしては同じ作者の『偽のデュー警部』にはとても及ばないが、ユーモアミステリとしては出色。なんといっても品がいい。殿下のキャラはなかなか魅力がある。その証拠に殿下の冒険はシリーズ化されている。
*
日本でもだれか「殿下の冒険」を書かないかなあ。
パーティの真っ最中にやんごとなき宮様が急死。自然死としてかたづけられるが、同席していた皇太子が疑問に思い、弟や妹と謎をとく。弟君は魚類学者としての知識を活用して、魚毒による毒殺であることを喝破する。鳥類学者の妹君はパーティ会場の庭の小鳥の行動から犯人を推理する。ついに犯人をつきとめた皇太子はお忍びで犯人を広壮な山の別荘にたずね問い詰めるが、犯人は逃走。皇太子は登山で鍛えた屈強な肉体で山岳地帯を追いつめていく。
皇后陛下が皇太子たちの話を聞いただけで謎を解いちゃう、安楽椅子探偵ものも面白いかも。「さすが、おかあさま!」とこどもたちは感心するが実は大見当違い。ひきこもりがちの皇太子妃がぽつりとつぶやいた一言が真相。皇后は「フン!」
……やっぱり日本ではまだ無理だろうなあ。
210.231.24.62 本 592 0 1121788534 夢百景:悪魔のはらわたいやあ、なんでこんな夢見たかなあ。変な夢を見たときは必ずここに書くことにしてるけど、いくらなんでも昨夜のは人格疑われそうだ。しかし、みちゃったものはしかたがない。こんな夢を見たときも正直に書いたのだから、今回も書いてしまおう。
早い話が『悪魔のはらわた』である。といっても夢の中で鬼畜な所業を展開したわけではない。だいたいホラーは好きだがスプラッタは苦手だ。
いきさつもなにもなく、突然闇の中に裸の女体が横たわっている。年齢もよくわからず、顔立ちも人間らしくなくロボットめいて無表情。長いストレートの黒髪を真中分けにして仰臥している。肉付きもみっしりとしていて生身というより大理石の彫刻のようだ。
不思議なのはその下腹部。柔らかそうな内臓のようなものがぽったりどっさりと乗っている。たぶん腸なんだろうが、傷も見えないし血もまったくなく色はややピンクがかった白。肉屋のショーケースのなかの白モツそのままだ。
その女体の前に私も裸で立っている。ただ立っているわけにもいかないのでおもむろにその女体におおいかぶさる。で、普通なら陰部、今は白モツが積んである中に普通に挿入してみると、これが実に気持ちいい。イカの塩辛とかブタモツにつっこんだらどんな感じか想像してみてほしい。そのとおりの気持ちはよいのだかなんだかたよりないような感触だった。動かしたかどうかの記憶はないが、すぐ終点についたようで目がさめた。射精感はあったが、覚醒してみると別に夢精していたわけではない。ほっとしたような、ちょっと残念なような変な気持ちだ。
しかし、なんでこんな夢見たかなあ。きっと熱帯夜だったからに違いない。(暑いだけではこんな夢みません)
211.4.129.135 夢 591 0 1121610008 Xのアーチスティーヴ・エリクソン/ 柴田元幸訳『Xのアーチ』(集英社)読了。
フランス革命直前のパリに始まる、後のアメリカ大統領T・ジェファソンと黒人奴隷サリーとの時空を超えた愛。1999年12月31日と2000年1月1日の間に存在するXデー。壮大なヴィジョンで描くラヴ・ストーリー。
てなこと言ってるけど、冒頭はたしかに歴史ロマンらしくはじまります。ところがヒロインが決断する(パリに残るかアメリカにもどるか=愛か奴隷か?)一瞬をさかいに世界が分離してしまう。SFでいうところのパラレルワールド。もう一つの世界の設定は中世的宗教が支配しているのに背徳的に猥褻といういかにもSF的だ。しかし世界と世界のインターフェイスはSF的ガジェットではない。日常的描写のままにいつしか世界が切り替わる。
ワープを制御するスイッチは時空を支配する時空連続体ではなく、ヒロインの自由への希求と所有される欲求との葛藤だったりする、ような気がする。
なんて書くといかにも読みにくそうだ。ところがこれがすいすいぐいぐい読める。文章の力がすごい。訳文がすばらしい。「アメリカ一の幻視作家」らしいけど、文体は明晰で幻視だとすれば実にはっきりした幻だ。
読み終わるとぐったりするけど、それだけのものは得られます。マルケスとかラテンアメリカ小説の好きな人なら、USAにもこんな小説があるぜということで、おすすめ。
◇
東京国際フォーラム『高橋真梨子ライブ』に大人の女の声を聞きにいく。耳で聴き脊髄で効く。
211.4.129.135 本 590 0 1121304997 夢百景:エミゥに乗るこんな夢を見た。
朝、起きてみると家の両側から赤土の土手が左右に延びている。向かい側も土手で、土手にはさまれた家の前の道路も赤土のままである。乾燥した明るい色の土の道が延々と続いている。
道なりに歩いていくと、前方から巨大なエミゥが歩いてくるのが見える。頭のてっぺんまで3mくらいありそうだから、大きさはむしろモアだ。
危険だと思い「エミゥがくるぞう」と叫びながら走ってもどるが、道には誰もいない。人家もなく、車も人工物らしきものもない。いつのまにか家からは遠くはなれてしまっているようだ。まわりは明るい赤土色一色だ。
よく見るとエミゥはさほど危険そうには見えない。近くに寄っても恐れる様子も怒るそぶりもない。
思い切って背中に飛び乗ってみた。エミゥはなにごともなかったように歩き続ける。都合よく手綱のようなものが肩についているので、それを引っ張ると方向を変えてくれる。別に行きたいところもないので、のんびりとエミゥまかせで赤い路を進んでいく。
そのうち、なにかに追われていることに気がつく。車なのか野獣なのかわからないが、なにか黒いもやもやしたものが後ろから迫ってくる。
私が教えるより先にエミゥも危険に気づいたらしく、突然走り出すと一気に土手を駆け上がる。ぐんぐんスピードをあげていく。土手の高さがどんどん高くなっていく。すでに下の道まで10mはありそうだ。視界の左右は赤い色が高速で流れていくだけで、前方しか見えない。背後も見えないが、気配で黒いものがどんどん迫ってきているのがわかる。
黒いものに飲みこまれそうになる寸前、エミゥの手綱を引いて土手からジャンプする。浮遊感と落下感。路の真ん中のこんもり盛り上がった土の小山に着地する。さほどの衝撃もなく、そのまま走り続ける。黒いものは頭上の土手(というより高速道路のような景観になっている。決して人工物ではないが)をそのまま走り抜け遠ざかっていく。
私はエミゥからいったん降りて一息つく。エミゥになにかしゃべりかけるが、エミゥはおだやかな表情でなにも答えない。しかし、私が話していることは理解しているようだ。
旅を再開しようと、エミゥにまた乗る。さっきはまたがっていたのだが、今度はおぶさるような格好になってしまう。しっかりつかまるため、前に腕をまわすとエミゥの胸のふくらみに手が触れる。たしかめるようにつかむと柔らかい感触が伝わってくる。
エミゥがクスリと笑ったような気がした。
223.132.25.40 夢 589 0 1121000903 宇宙戦争其の参(しつこくてすみません)てなわけでタコ型宇宙人。1950年代SFパルプ雑誌の挿絵風。
この形にすると「宇宙人」というより、やはり「火星人」と呼びたくなる。『宇宙戦争』の宇宙人が地球に持ち込んだ植物は真っ赤な色をしていた。これは人間の血液で育つということと火星の赤い色も現しているのだけど、スピルバーグ版『宇宙戦争』でもこの設定は踏襲していた。宇宙人は火星からきたのではないようだったけど。
そのスピルバーグ版の宇宙人。1953年のジョージ・パル版の宇宙人にそっくりだ。だからスピルバーグに他意はないのだろうけど、小柄なそのデザインからはなんとなく東洋人をイメージしてるような気がするのは僻目だろうか。
これが偉大な体躯を持った見ためでも圧倒されるような宇宙人だったら、敗北感もいや増し、映画のイメージもずいぶん変わったことだろう。敗戦直後の日本人のような気分か。
原作ではどうかというと「
大きな、灰色を帯びた、まんまるっこい、おそらく熊くらいの大きさのしろもの(井上勇訳)」という描写があるから、人間より大きいことは確実だ。H・G・ウェルズの原作は火星人を人類を超越した存在として書いている。ピエール・ブールの『猿の惑星』のように他国人(日本人)の暗喩としての宇宙人ではない。もちろん、同じ英国人でもウェルズとブールでは作家としての大きさは比べ物にならない。だが、それだけなくウェルズの時代には非白人が脅威であるという概念そのものがなかったのかもしれない。ウェルズが50年遅く生まれていたらどのような『宇宙戦争』を書いたことだろうか。
211.4.129.135 映 588 0 1120830763 宇宙戦争その弐(今日はネタバレ満載につき、未見の人は注意してください)
見るまでがまんしていた、ネットの宇宙戦争評を読んで回っている。m@stervision氏のところをてはじめに、風野ドクターのところからトラックバックをたどっていくと色々と読めます。
さすがにみんな色んな解釈をしていて面白い。
本格的怪獣映画として見たり、キャッチボールシーンにスピルバーグの暴力描写の非凡さを見たり、プロの批評家解説屋の文章よりずっと斬新でためになる。
ラストの傷ひとつないボストン風景は、実はトム・クルーズの夢なのではないか、天国の風景ではないのか、という解釈はおどろいたけど、思い出してみると納得。トムがトライポッドを爆破した直後に画面はきりかわって、群集が道をぞろぞろと歩いていた。「ボストンへ」という標識がかかっていたが、あれはすでに「天国へ」だったのかもしれない。
そんな意味も、もしかしたらこめられているのはないかと思わせるだけの映画であった、ということなんだろう。
私が読んだ中では一つぐらいだったが「宇宙戦争っていうタイトルなのに宇宙が舞台じゃない!」という感想が多かったというのには驚いたなあ。一般常識だと言ってくれ。SFファンでなくたってオーソン・ウェルズがラジオドラマにしたときに本気にした人がたくさんいて全米がパニクったというエピソードぐらい知っていておくれよ。
なぜ電子機器はだめなのにビデオカメラは無事だったのか、などのどうでもいい瑣末な疑問を除くと、一番つっこまれてたのは、やはり宇宙人の敗退理由。100万年も観察してて微生物の研究くらいしてるだろう、ってところ。
たしかに100年前の原作の時代なら、無敵の宇宙人がちっぽけなバクテリアに倒されるというのは「意外な驚き」だったかもしれないが、現代ではちょっと無理がありすぎる。(原作では細かな宇宙人の生理学的設定が書込まれていて結構納得させられてしまう)
わざわざレトロなSFっぽくラストでナレーションをいれているんだから、「宇宙人たちを倒したのは彼らの予想を超えた突然変異を起こしたウイルスだった」とかフォローをいれておけばよかったのに。「彼らが地球に持ち込んだウィルスが地球環境で予想外の突然変異を起こした」でもいい。しかたがないから、自分でナレーションを脳内補完しておこう。(モーガン・フリーマンが日本語かい)
*
難攻不落のトライポッドも「大阪では何体かやっつけたらしい」というセリフがあったが、きっと大阪のオバちゃんの血を吸ってあたってしまったのだろう。宇宙人も気の毒に。
210.198.165.94 映 587 0 1120748005 宇宙戦争ということでSF大作3本の中から、私的に一番期待の『宇宙戦争』を日劇PLEXで鑑賞。仕事で銀座にいったついでに券を買って席を予約、妻と待ち合わせて19:00の回に行ったのだが、そんなことをする必要もないほど全然空いている。えー、あまり人気ないの?
ところがどっこい、これが大変な傑作。近年のSF映画の中でも屈指といっていいのではないか。『未知との遭遇』も『ET』も全然好きではなく、『A.I.』は大嫌いな私だがスピルバーグのSFを見直しました。
なんといっても冒頭30分がすごい。
トム・クルーズの役は港湾労働者だ。一時間に40もコンテナを降ろせる腕前は上司からも一目おかれている。だが、離婚した家族から見ると単なるダメ親父だ。妻と再婚相手の豪華な邸宅があとで出て来るが、トムの家はトレーラーハウスの一歩手前のようなみすぼらしさだ。このへんのていねいな描写もおとーさんとしては好感度アップである。
普通すぎるほど普通の離婚家族の日常描写が、町の交差点でのアレとのファーストコンタクトから一気に大災厄がダッシュする。
地底から突然の怪物=ウォーマシンの登場、群集大パニック、トムの必死の逃走、子ども二人をひきつれて大逃走の開始、までが半端なく怖い。洒落にならない恐ろしさだ。『ガメラIII』の渋谷のシーンが一気に色あせてしまった。
スターウォーズなどだと破壊される風景も未来都市、観客から距離感があるが、こちらはいま現在アメリカのどこにでもある田舎町が、リアルこのうえない壊れ方をする。阪神大震災や911テロが頭をよぎる。スピルバーグの思うつぼである。
ストーリーもラストもH・G・ウェルズの100年前の原作に忠実すぎるほど忠実。50年前のジョージ・パルの『宇宙戦争』だとエイ型の飛行機械にされていたウォーマシンも原作に忠実な触手付きトライポッド。SF者としてはそれだけでおなかいっぱいであります。
ジョージ・パルの映画の有名なシーン(地下室に隠れているところを宇宙人に探索されるサスペンス)のあからさまな引用もあって、スピルバーグのリスペクト精神にニヤリとさせられる。パル版では最後の拠点になった教会が最初に崩れ落ちるのも、たぶんオマージュなのだろう。ウェルズの原作とパルの映画を見ておくと2倍とは言わないまでも、1.5倍は楽しめることでしょう。
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もちろん、物足りないところもある。ウォーマシンは地下に何万年も埋まっていたことになっているが、そんなに昔から作戦練ってきてラストのアレは唐突すぎないか?原作では空から巨大なシリンダーが降って来る。この方が絵的にも物語的にもしっくりくると思います。
それと宇宙人の形態はやはり蛸型でお願いしたかったなあ。
210.231.24.62 映 586 0 1120660010 怪物大行進『シスの復讐』『宇宙戦争』と、上映中または封切り間近のSF大作が目白おしなので、ウォーミングアップをかねて『All Monsters Attack』というDVDを鑑賞。
B級C級の、SF映画というより怪物映画の予告編ばかりを60本も集めたという物好きこのうえない一枚。しかも画質が悪い。
『キングコング』に始まり『アルゴ探検隊の冒険』に終わる。中盤くらいには『ゴジラ』をはじめとする東宝怪獣映画が集まっているが、円谷映画の特撮がハイテクに見えるぐらい他の映画のその手のシーンはださいしょぼい大笑い。大勢でつっこみながら見るのが正解なDVDだからそれでいいのであるが。
『怪獣ゴルゴ』とか『ロボットモンスター』とか、本や雑誌でしか見たことがない幻の迷作怪作たちの映像が見られるのも収穫。話のたねだけなら予告編で十分である。
本編を見たくなるのは1、2本しかない。それも正統的な興味でなく若いアメリカンな女の子が巨大化する『Village of the Giants』など、下世話な興味でみたくなるのがあるだけだ。(左の画像参照)
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われらが東宝映画の怪獣たちはもちろん着ぐるみだが、外国の特撮シーンにはは色々な手法があるのがあらためてわかるのが面白い。
『地底世界』など着ぐるみもちゃんとある(発泡スチロールっぽさ全開のひどいできだが)が、やはり主流なのはモデルアニメ=コマ撮り方式だ。
元祖は『キングコング』のオブライエンだろうが、その弟子のハリー・ハウゼンが確立した「ダイナメーション」が有名だ。『シンドバッド7回目の航海』の骸骨戦士とか『恐竜100万年』のアロザウルスなんてとこは見事でした。あの『ジュラシックパーク』もスピルバーグはぎりぎりまでこの方法で作ろうとしていたらしい。
もちろんダイナメーションはできあがりは素晴らしいがコストがかかる。使えないような低予算映画はどうするかというと、「実在の生物」を使っている。『恐竜100万年』でもいくつかのシーンで使われているが、作り物のヒレやトゲで「メイクアップ」した本物のイグアナや毒トカゲを人間と合成して巨大に見せかけるという手法だ。(下の画像参照)俳優は結構豪華な『地球の中心への旅』や『失われた世界』なども恐竜はこの安直な方法だった。
本物の生物なのだから、モデルアニメよりリアルに見えそうなものだが、これが全然そうでもないのが不思議だ。どの予告編か忘れたが、恐竜が飛びかかってくるシーンを撮りたかったらしいのだが、どう見てもイグアナが(だれかに)放り投げられたとしか見えない動物虐待なカットがあって、見てる連中全員大爆笑でした。
単に合成技術が稚拙なだけではなさそうだ。イグアナはどう化粧してもイグアナで恐竜には見えない、というのが一番イタいところだ。ならば巨大蜘蛛ならそのまま大きくなったという設定なのだからリアルかというと、やはりこれも変である。本物のタランチュラを使った『失われた世界』より、コマ撮りした『Tarantura』の方がずっとリアルである。
やはり本物の生き物は演技していないから画面から浮いてしまうのではないか。いくら合成しても細かな動きがその場の動きではないのだ。これがコマ撮りやCGIならクリエイターが細部に演技をつけられる。場の雰囲気を込められる。
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なんだか最近のマンガのアシスタントまかせの背景が、妙にうまいんだけど写真加工バリバリで人物と違和感ありまくりなのと似ているような気がする。最近といってもここ15年くらいのことで、本当の最近のマンガはちらりとのぞく程度なので、見当違いのことを言ってたらご勘弁。
大好きという漫画家ではないのだけれど、ちばてつやの描く背景、特に家、部屋の描写は絶品だった。(過去形なのは最近の作品を見てないから、他意はない)住んでる人の生活の匂いまでしてくるような絵の触感は、写真加工では絶対に出せない。あの技術の進化系のマンガっていうのは今あるのだろうか。
210.198.155.121 映 585 0 1120315243 『罪と罰』と謎ドストエフスキー/江川卓訳『罪と罰』(岩波文庫)読了。
これで読むのは5回目。3回目と4回目はここにもレビューをあげている。
前4回は米川正夫訳の新潮文庫だったが、今回はあの『謎とき罪と罰』の作者、江川卓訳の岩波文庫だ。格調高い米川版も捨てがたいが、江川版は現代的なこなれた日本語で実に読みやすい。新潮は二分冊だが岩波は上中下の三分冊。文字レイアウトも余裕があって目が疲れない。はじめて読む方には岩波版がおすすめだ。
読みたい本がたまっているので、あまり再読をする方ではないが、それでも何冊か折りにふれ読み返す本はある。再読の目的は大きく三つに別れると思う。一つ目はあたりまえだが知識の再確認。ノンフィクション系の場合はほとんどこの理由だ。最近記憶力が衰えてきて再読の頻度が上がってきたのがなさけない。
小説を再読する場合は、最初の感動や面白さをもう一度求めて、というのが多い。よくできたエンターテインメントなら、おなじみの約束された楽しみをなんども享受できる。キャラクターの会話が小気味いい作品も再読をさそうが、これも同じ理由だ。
3番目は読み返すたびに新しい発見、感動がある本。以前読んだ意味の下から別の意味が見えてくるような層の厚い作品だ。もちろんめったにそんな小説があるわけはない。本書は本当に少ないその一冊である。
今回は前4回に比べて、普通に面白かったという印象が強い。新訳のおかげか、すでにストーリーが頭に入っているせいか、人物の行動や心理がくっきり明瞭にわかって、やたら面白い。読んでいるあいだわくわくしっぱなしで、読み終わりたくない気持ちにひさしぶりになってしまった。
今回のテキスト上の発見?を以下にメモ。
作者は人間の心=魂=脳中を神と悪魔の戦場とみなしているようだ(もちろん単純な宗教的な書き方はしていないけど)。主人公の犯罪行為や罪の意識といった重い表現だけでなく、軽い戯画的な表現も散見している。たとえば……
この瞬間、ラスコーリニコフは何かにちくりと刺されたように感じた。たちまち彼の気持ちはがらりとひっくり返った。
(第一部上巻108頁)
ちくりと刺したのは……たぶん悪魔だ。
また、江川卓は『謎解き罪と罰』の中で、『罪と罰』にラスコリニコフとソーニャが肉体的に結ばれたことを暗示するテキストを「発見」したとを記している。(もちろん本書には直接的な描写は皆無である)
およばずながら私も気になる部分を「発見」したのでここに記す。かの二人ではなく、別のカップルなのだが。
主人公ラスコリニコフは犯罪実行後の夕刻、錯乱状態で下宿にたどりつき気絶するように眠り込む。
彼は恐ろしい叫び声ではっとわれにかった。(略)号泣と罵声は刻々に強まっていく。そのうちに、ふと彼は、騒ぎの中に下宿のおかみの声を聞きつけ、愕然となった。彼女は吠えるような声でうめき、悲鳴をあげ、泣きわめき、いかにもせきこんだ調子で何やらかきくどいているが、その言葉はまるで意味をなさない。何か哀願しているらしいが、もちろん、それは、階段で情け容赦もなくなぐりつけられている彼女が、なぐるのをやめてくれと頼んでいるのだろう。彼女をなぐりつけている男の声も、憎悪と興奮にかられて、もうぜいぜいとあえぐだけになっている
(第二部上巻233頁)
ラスコリニコフは警察が家宅捜索に来ておかみを尋問しているのだと恐れおののくが、翌朝になると何事もなかったことが判明する。夢だったのだろうか。その日は友人の快男児ラズミーヒンが尋ねてくるが、彼はいつのまにか下宿のおかみをてなづけていて、ラスコリニコフに良いようにとりなしてくれる。
引用部分を以前読んだときは、単にラスコリニコフの罪の意識と高熱から生まれた幻覚か悪夢だと思っていたが、実はラズミーヒンとおかみさんの情事の物音ではないだろうか?夢うつつのラスコリニコフの耳に壁づたいに二人のあえぎ声や行為の物音が聞こえて悪夢を誘発したのではないだろうか。
う〜ん、読み返せば読み返すほど、そうに違いなく思えてきた。
レンズマンの近親相姦といい、こんなことばかり「発見」する自分がなさけないやら誇らしいやら。
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小説のラストは広い意味のハッピーエンドです。私もエピローグの感動シーンにたどりつくことをめざして何度も何度も読み返してきたのかもしれない。えらそうな再読第三の理由だけでなく、結局、第二の理由が肝心ということですな。思い切りカタルシス。
210.198.165.128 本 584 0 1119802268 スウィングガールズDVD鑑賞。『スウィングガールズ』。
文句なく秀作だし、特にラストの演奏シーンには感動させられる。おそらくスウィングジャズがもっとも似合わない設定を考えたのだろう。答えは女子高校生とズーズー弁と東北の雪景色。当たっている。見事です。
でも、よくも悪くも『ウォーターボーイズII』なのだ。シーンの一つ一つがウォーターボーイズのあのシーンこのシーンといちいち対応してるように思えるのは、狙っているのかもしれないが、やはりマイナスだろう。ウォーターボーイズを見ていなければもっと素直に感動できたかもしれないけど、それでは意味がない。
致命的なのは、またしても指導者役に竹中直人を起用した点。役者としてはきらいじゃないけど(秀吉役はきらいだけど『シコふんじゃった』の大学生役は良かった)またかよ!と思ってしまう安易なキャスティングだよなあ。
では、だれがいいのかと言われると困るけど……雨上がりの宮迫とか?本田博太郎とか?竹中直人より濃いか……
210.231.24.62 映 583 0 1119797817 村内美術館所用があって八王子に出かけたので、前から気になっていた『村内美術館』に寄ってみる。
バルビゾン派(ミレー、コロー、クールベ他)を中心にキスリングやルノアールなど、なかなかいい絵がある。彫刻もブールデルや佐藤忠良など秀作あり。ブールデルの「浴女」のどっしりしたお尻の量感に惚れました。
家具のムラウチがやっている(ムラウチ本店に隣接している)だけに、館内に置いてある休憩用のソファ、や机・椅子がすばらしい。ふところに余裕のある人なら、観覧後ムラウチ店内で財布の紐もゆるもうというものだ。貧乏な私は図録を買うぐらいで精一杯ですが。
館内出口外の休憩室も見晴らしもよく空いていてゴージャスな気分になれる。機会があればまた来たい。ワイエスも一点あるらしいし展示変えを見逃さないようにしなくては。
◇
昨夜10時20分頃、メールフォームからメールをくれた方、メールも本文も空でした。まちがってボタンをクリックしただけならいいのですが、心あたりありましたら再送をお願いします。
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本文とメール欄が空だとワーニングだすようにcgi変えようかな。
210.234.4.193 美 582 0 1119173063 植物画世界の至宝展東京藝術大学美術館に『500年の体系〜植物画世界の至宝展を見に行く。
さすが、園芸大国イギリス。英国王立園芸協会のボタニカルアートのコレクションは2万点以上あるそうな。タイトルに500年の体系とうたっているのに偽りなく、展示作品は16世紀から現代のものまであった。
ルネッサンス以前のは「絵画」というより「図譜」というのがふさわしい感じ。芸術性より正確性を追求していることが精緻精細な描写から伝わってくる。
19世紀末からは少し様子が違う。やはり写真の発明と普及の影響が大きいようだ。絵画にとって「写真のようだ」というのが褒め言葉になるのは、逆説のようだが写真のない時代に限る。その逆説のような真実が、写実性を旨とした植物画の世界ではよりストレートな破壊力があったのだろう。
しかし、全盛期に比べ植物画は衰退したとはいえ、消滅したわけではないようだ。20世紀以降の作品ももちろん展示されていて、私にはこちらの方が好ましかった。リアルなんだけど写真にはないなにかがある。植物画が図譜から絵画になったということだろうか。
中ではColin Enbersonという人の「ツバメズイセン」の絵が私的には一番。写実性の塩梅が私好みでありました。もう一つ、今井眞利子の「コシノカンアオイ」も、萌えひろがる白い根がSF的想像力をかきたてられるような迫力。もし行かれる方がおりましたら、ご注目ください。
◇
スティーヴ・エリクソン『Xのアーチ』(柴田元幸訳/集英社)購入。
210.198.176.153 美 581 0 1118929164 JpegAspect(Painter出力Jpegファイル修正ツール)昔、私がCGを描きはじめた頃は、ちょうどPainterがアマチュアCG絵描きの間でメジャーになりかけだった。バージョンは4ぐらいだったでしょうか。同じように画像ビューワーの方はSUSIEというソフトが当時のメジャー。今ではSUSIEプラグインは色々な画像ファイルをデコードする標準になっている。
ところがPainterで出力したJPGをSUSIEで開くと、一本の縦棒のようにしか表示されないという現象が起り、ちょっとした騒ぎになった。
色々調べてみると、Jpegファイルはアスペクト比というピクセルの縦方向横方向の表示密度を指定する情報を持っている。Painterで作ったJpegファイルはここに72:1というわけわからん数値がセットされていることがわかった。
たいていの画像ビューワーはアスペクト比情報なんて無視して1:1で表示するので、なんの問題もなかったが、SUSIEは内部情報に正確に表示させているのが裏目に出てしまったようだ。SUSIEの仕様が正しくてPainterが間違っているのだが、SUSIE側では専用プラグインを作ったりすぐに対応した。しかしPainterの方はメーカーにいくら要望を出してもこれが全然直らないしパッチもでない。極東のフリーソフトで表示できないくらいなんでもない、ということなのだろう。
しかし極東のアマチュアCG絵描きたちはそうもいかない。Painterで描いても最終出力は別ソフトで行ったりしてしのいでいた。私もJpagファイルのアスペクト比該当部分を修正するフィルターソフトを作ってNIFTYで公開したりした。今も使っている人もいるかもしれない。
実はこのPainterのバグはバージョン8.1からは直っているらしい。しかし私は8.1どころか、いまだに6.1を使い続けている。もはやSUSIEで画像を見る人も少ないだろうけど、間違った情報が書込まれたファイルをアップロードするのは気持ちが悪い。結局、いまだに自作のフィルタソフトも手放せないでいる。
この自作ソフト、慣れてしまっているので、さほど気にならなかったのだけど、旧いだけにコマンドプロンプトで動くタイプでスマートではない。ちょっとドラッグ&ドロップを使うソフトを作る機会があったので、ついでにこのツールも移植してみた。上の画像は起動イメージ。(画面はこれだけ)
使ってみると、やはりコマンドラインより全然楽である。下のライオンの絵なども、このツールを通してからアップロードしている。もし私と同じように旧態依然たる環境で絵を描いている人がいたならば、下にリンク貼っときますので自由に使ってください。いまどきのPCなら、上のリンクの実行ファイルだけでたいてい動きます。(Windows98SE以上対応)
*
実行ファイルのみダウンロード(12KB)
インストーラー付きダウンロード(1411KB)
210.231.24.62 電 580 0 1118545783 The 100 blue days [ 3 ]
『The Blue Day Book』(Bradley Trevor Greive/石田享訳)より。その3。 61.198.197.62 絵 579 0 1118414248 ヤング・アン・バンクロフトand utterly exhausted.
ぜんぜん、元気なんかでない。
ファンというわけではないが、やはり『卒業』の主人公のダスティン・ホフマンを誘惑する年上女性役(左の写真)が印象深いですな。ホフマンが演じた童貞のみっともなさも身につまされました。
むしろ私は旦那のメル・ブルックス監督のファンだった。有名な『ヤング・フランケンシュタイン』や『新サイコ』ももちろん面白いけど、西部劇パロディの『ブレージングサドル』がおすすめ。『サイレント・ムービー』にはアン・バンクロフトも「大女優」役で出演してました。
そんなアン・バンクロフトも『奇跡の人』の教師役でブレークするまでは、B級映画できゃーきゃー悲鳴をあげる役ばかりだったらしい。ジェイミー・リー・カーティスと同じだね。でも、Bムービー好きとしては「ヘレン・ケラーを叱咤する女教師」より「巨大ゴリラに襲われるお色気娘」の画像をもって追悼したい。左の画像をクリックして合掌。ご冥福を祈ります。
◇
この家政婦さんは「個人情報保護法」適用外なんだね。
*
「家政婦」さんと「メイド」さんの違いはどこか。たぶん、年齢なんだろうけど、その境界は何歳なのだろう。まあ、大問題ではないけれど、とりあえず花田家の遺産の行方よりこちらが気になる。
61.198.197.62 映 578 0 1117877621 ベティ・ブープということで、左はベティ・ブープ嬢のポートレート。ここのところ、Internet Archiveからフリー動画を落として毎晩一本(10分弱)見ている。
ベティさんが日本に紹介されたのは昭和初期のことらしい。猫のフェリックスと同じく、アニメは知らなくともキャラとしては知ってる人も多いだろう。『日本製ベティ・ブープ図鑑 1930‐1960』という大部の図鑑が出ているくらいだ。筒井康隆もファンらしく、彼女の評伝?『ベティ・ブープ伝―女優としての象徴 象徴としての女優』を書いている。
そう、ベティさんの職業は女優なのだ。マリリン・モンローが『お熱いのがお好き』の中で、
プップ、ペデドゥ…なんて甘ったれた声で言っていたのはベティさんのパロディ、というか、先輩・女優ベティ・ブープのものまねだったのですね。などと書いているとベティ・ブープのファンのようだが、子どものときは、あの顔はなにか気持ち悪くて好きではなかった。ベタベタナヨナヨした妙なセクシーさもきらいだったし、正直興味はなかった。ひいきはマイティ・マウスのセクシー&バイオレンスの方だったのだ。
しかし、今回ベティさんを見直してみると、キャラクターもセクシーさやかわいらしさの表現もそこそこ楽しめる。私のストライク・ゾーンも広がったものである。進歩、なのでしょう。
アニメーションとしての表現レベルは高い。ベティさんの顔は記号化したデザインだけど、表情が固定化していなくて目や口がなめらかに動き続ける。筒井康隆が「
やはりベティさんにロックは似合わない。スウィングでなくちゃなあ」というように、音楽の使い方が洒落ている。怒る父親の顔が蓄音機になってしまうような、いかにもアニメ的変形による感情表現。そこかしこに出てくる妙なキャラクター、特にお化けたちがユニークだ。といっても作品によってばらつきは大きい。『Snow White』や『Minnie The Moocher』なんてとこを見てほしい。杉浦茂や佐々木マキが描くようなキャラクターたちがたっぷり出てくる。『Minnie The Moocher』のの幽霊は佐々木マキの、『Snow White』の最後に出てくるドラゴンは杉浦茂の、それぞれの作品に出てきても全然おかしくない。彼らはベテイ・ブープというかフライシャー兄弟の影響をかなり受けているのだろう。
アニメだけでなくマックス・フライシャーが描いたベティ・ブープのコミック・ストリップ(新聞連載漫画)もある。10年前くらいにオールカラーでリバイバル出版されたらしいが今は絶版だ。アマゾンジャパンのマーケットプレイスだと25000円くらいする。Amazon.comだと50$だ。さて、どうしようかな。
61.198.190.63 漫 577 0 1117357027 クラシック・カツーンズ(アニメ)大昔、私の祖父の家にテレビジョンがきたときは、近所のこどもたちがのぞきにくるぐらいの事件だった。
私がそのテレビで見た初めての(記憶している)映像はフライシャー兄弟のアニメ『ガリバー旅行記』だ。その後、自宅でもテレビが見られるようになってからも、一番見たいのはアニメ。国産初のTVアニメ『鉄腕アトム』がはじまるのはまだ先の話だから、もっぱらアメリカ産のアニメばかり見ていた。
ディズニーやポパイはもちろん、『ヘッケルジャッケル』『ウッドペッカー』『バックスバーニー』なんて色々雑多な番組をかかさず見た。ビデオやDVDなんてなかった時代、見逃したりしようものならもう取り返しがつかない。一生の不覚といった気分になったものである。
いまやなんでもDVDになる時代。ふと思い立って昔のアメリカンアニメのDVDを検索してみた。結構出ているではないですか。しかも安い。早速3枚購入。下のリンクはアマゾンコムだが、買ったのは全て(価格調査の結果)ビデオユニバースだ。
まずは1958年の『Felix The Cat (Collector's Edition)』($9.98)。
邦題は「猫のフェリックス」だったかな。キャラだけは今もかなり知られているのではないだろうか。
黒猫フェリックスは何にでも変形する万能の黄色いバッグを持っている。この黄色いカバンをわが物にしようと狙っているのが悪の科学者「大博士」。毎回奇想天外なカバン強奪作戦を決行しては、フェリックスとカバンに痛い目にあわされる。
ラストで大博士は自分で作ったオシオキマシンでわが身にお仕置きを加えるのがお約束。このへんはタツノコプロのアニメに影響を与えているような気がする。
大博士とは芸のないネーミングだが、今回見直してみるとオリジナルも単にProfessorなんだね。それよりなにより当時白黒だと思ってみていたのが、綺麗なカラーだったのにビックリ。うちのTV受像機が旧かったわけではなく、当時はカラー放送自体なかったのだ。日本初のカラーアニメ番組は1965年の『ジャングル大帝』まで待たねばならない。
絵はさすがに古めかしいが、決してヘタなのではない。鉄腕アトムのアニメを再放送で見たとき絵がヘタで愕然としたが、それとはだいぶ違う。それを思うと日本のアニメもずいぶん進歩したものだ。
次は1941年の『The Complete Superman Cartoons - Diamond Anniversary Edition』($9.99)。
かのフライシャー兄弟の「スーパーマン」だ。なんといっても絵が素晴らしい。レトロなマシーンの美しさは必見。→サンプル1、サンプル2。
ただ、機械はなまめかしいのに女性(もちろんロイス・レーン)があまり美人でないのが残念。ファミリー向けにお色気を抑えたのでしょうか。
ちょっと期待はずれだったのが『Mighty Mouse and Friends』($3.95)。
「マイティマウス」はスーパーマンのように空も飛べる怪力の超能力ネズミ。ちょっと色っぽいテイストもあるスラップスティックアニメで、私はミッキーマウスよりずっと好きなのだが、購入したDVDには一話しか収められていない。他は似たようなアニメ(英語だとCatoonsというようですが)のアンソロジー。画質も音質も劣悪で安いだけのことはありました。
DVDを買うほどのことはないけど、ちょっと見たいという向きには次のサイトがおすすめ。
Searchウインドにキーワード(たとえば「Superman」)を入力し、カテゴリーに「Open Source Movies」を選んで「Go」ボタンをクリックすれば、5000ものタイトルから検索してくれる。該当の頁に飛んだらストリーミングで見てもいいし、ダウンロードもできる。いい時代になったものです。
さて今宵は、ベティ・ブープでも落としてみるとするかな。最初ベティさんをネット検索するとき、ブープ(Boop)なのにブーブ(Boob)と記憶していて、ぐぐったらアダルトサイトばかりヒットして、まいりました。
61.198.190.63 漫 576 0 1117032589 そして誰もいなくなった政府は保育所の整備など育児支援策に重点を置いた少子化対策をとってきたが、十分な効果があがっていない。少子化は政府の想定を上回るペースで進んでいる。
出生率の低下ペースは鈍ってきたものの、このまま少子化の流れが続けば社会保障や経済社会に大きな影響を及ぼすことは避けられない。政府の少子化対策の見直し論が強まるのは確実だ。
(日経新聞:2005/5/24)
少子化は、日本ほどではないにしろ先進国共通の悩みだ。各国それなりの対策をしているのだろうけど、さしたる効果があがっているところはないようだ。
まあ、大変なのはたしかだけど子どもを持つのは面白い。だけど人様に薦められるものでもない。「家」制度が確固としてあった頃は一家を構え親になることは義務であり、それなりの社会的見返りもあった。今は得なことはなにもない。理屈で考えたら子どもを作る理由がなくなるのも無理はない。
だけど、あくまで理屈で考えたらであって、人間だって生物だ。生物はほっとけば子孫をつくるものである。
姉妹とその子供たちは英国ダービーの公営住宅に住む母親(38)と同居している。子供の父親は誰も一家を支援しようとしないため、一家は年に31,000ポンド(約600万円)の手当を受けて生活している。
ジュリーは娘たちの妊娠は学校に責任があるという。若いうちのセックスの危険性について説明をしなかったというのだ。「世間は私が悪い母親みたいに言うけど、責任は学校にあると思うの。若い娘への性教育は必要だわ。」
(Tokyo Fuku-blog:2005/5/24)
こちらが元記事(The Sun)。たくましい三母子の写真は必見。
なんとも無責任な「貧乏人の子沢山」のような感じがしてしまう。しかし、実は、こういった十代の妊娠出産を積極的にサポートするという政策をとった国があるというのをきいたことがある。たしかノルウェーだったが、そこも日本と同じくどんなに少子化対策をしても効果が上がらなかった。唯一、ティーンエイジャーの妊娠出産奨励?政策のみが効をそうしたそうだ。
日本だと若くて子どもをつくるのは優秀じゃない奴ばかりで、センスのない派手な漢字の名前をつけたり、変な髪型させたり(決して往生際の悪い某元世界チャンプのことではない)、虐待したりしてるような印象がある。しかし本当は十代で妊娠出産するのは生物的には一番いいはずだし、生物的に一番いい選択をして自己実現も可能な社会にしなければ、少子化なんて止まるはずがない。
でも、少子化がなぜ悪いか、もう一つはっきりしませんなあ。世界的に見たら人口過剰は間違いないんだから。世代間扶養を前提とした日本の社会モデルを見直すことの方が肝心だと思うけど、難しいのかな。思い切れば意外と簡単そうだけど日本の優秀な官僚の方々ではちょっと無理かな。
61.198.190.63 時 575 0 1116751697 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展どこでも美術館が比較的空いているのは、「会期はじめ」「平日」「午前中(または夕方以降)」だそうだが、「会期終盤」「休日」「午後」という三重苦の中、国立西洋美術館に『ジョルジュ・ド・ラ・トゥール展』を見に行ってまいりました。
カラバッジョ派などと言われていて、たしかに光りと闇のコントラストが印象的だ。しかし描かれている光源がロウソクのせいか(ミュージアムショップでは蜜蝋を売っていた)、光りも闇も暖かく、カラバッジョより静的で宗教的な色合いが濃い。
大混雑ではないもののやはりそこそそこ混んでいた。特に大作「ダイヤのエースを持ついかさま師」の前は黒山のひとだかり。
全体に光りが当たっていて、宗教的なモチーフでもなく、いわゆるラ・トゥール的ではないが、すみずみまで神経の行き届いた精緻な傑作。人々の表情や、衣服の質感、凝った装飾品、見ていて飽きない。人気が集まるのも無理はない。
対照的なのが「書物のあるマグダラのマリア」。無駄なモチーフを削ぎ落としたシンプルな表現が、なんとも好ましい。
解説によれば「全裸なのにほとんど官能性が感じられない」だそうだ。
私は十分官能を刺激されましたが。
真作だけでなく消失作品を中心に模作も随分展示されていた。ルーブル所蔵の「大工のヨハネ」は出ておらず、代わりに模作だったのは残念だが、ラ・トゥールの真作は40点しか確認されていないそうだ。そのうち22点が見られたのだから、まあ良しとするべきか。
61.198.190.63 美 574 0 1116517674 宗教的人物「Harpyia」の習作/途中。
61.198.190.63 絵 573 0 1116347539 昏睡暴走無名犯16日午後2時ごろ、京都市中京区の寺町商店街にある土産物店「好栄堂」に、ワゴン車が突っ込んだ。この事故で、店員の鈴木典子さん(56)が頭を強く打って死亡し、買い物に来ていた観光客がけがをした。五条署は、運転していた生花店アルバイトの男(25)を現行犯逮捕し、業務上過失致死傷容疑で調べる。
男は調べに対し「姉小路通を走っていたが、途中から記憶がない」「過去に記憶が途切れたこともあり薬を飲んでいた」などと話しているという。男にけがはなかった。
(朝日新聞:2005/5/16)
ずいぶん不可解な記事ですなあ。
まず、なぜ被害者の名前が出ているのに加害者の名前は出ていないのか。
「
過去に記憶が途切れたこともあり、薬を飲んでいた」ってまで書いて肝心の病名が書いていないのはなぜか。記憶が突然途切れる病気って色々あるけど、ポピュラーなとこでは癲癇(てんかん)、ナレコレプシー、糖尿病性昏睡。糖尿病やナルコレプシーなら病名出すだろうけど、出てないとこからみて十中八九癲癇でしょう。
こういうことが起きないよう未来の車には脳波検知器がついていて癲癇性脳波を検知したら発進できなくなる、というSFが筒井康隆の『無人警察』だ。この作品が教科書に載ったことをきっかけに「日本てんかん協会」が抗議し、びびった出版社の対応に激怒した作者が断筆宣言するに至ったのは、ご存じのとおりだ。
原因が癲癇でも糖尿病でも、きちっと服薬など自己管理して発作を抑えられる人にまで運転免許等を取り上げる必要はないだろう。事故を起した犯人が責められるべきは「昏睡すること」ではなくて「昏睡することを知っていて運転したこと」だ。だけど、人間は完璧ではない。ときには薬を飲みわすれることもあるだろう。結果的にこの事件のように人命が奪われることがあると、病気を理由に免許を制限することも差別とはいいきれない気がしてくる。
さらにおかしいのは、恣意的に名前を出したり出さなかったりするマスコミだ。せこい操作はせずに事実だけをきちんと伝えられないものかね。どうも「大衆を教導する」つもりになっているようなのがしゃらくさい。それに「病名」を理由に責任能力がないように扱われる方が差別された気分になるのではないかなあ。
*
マスコミの記事がいかに恣意的に書かれているかにはこんな例もある。
露天商手伝い川本隆之容疑者(29)から事情を聴いたうえで、16日未明に監禁の疑いで逮捕した。産経新聞:「一緒にいたかった」供述 女子高生を手錠で監禁の男
3週間監禁された事件で、逮捕された露天商手伝い、鄭隆之容疑者(29)読売新聞:好きになれ、と女高生監禁20日間…露天商手伝い逮捕
露天商手伝い鄭隆之容疑者(29)を監禁容疑で逮捕した毎日新聞:手錠かけ、女子高生を22日間 容疑の29歳男を逮捕
露天商手伝い、川本隆之容疑者(29)を監禁容疑で逮捕した容疑者名という重要な情報が見事に四紙で二分されている。これが芸能人や相撲取りが逮捕された事件なら、間違いなく芸名(or四股名)と本名、両方しっかり書かれることだろう。
ただ、どちらが情報歪曲度が高いかといえば、通名しか書かない朝日、毎日側だろう。これが韓国人や中国人ではない在日外国人、たとえば通名佐藤一郎、本名ジョン・スミスさんが犯罪を犯したとしたら、ジョン・スミスを伏せたまま報道されるとは、とうてい思えないものね。
218.218.215.44 時 572 0 1116248891 The 100 blue days [ 2 ]
『The Blue Day Book』(Bradley Trevor Greive/石田享訳)より。 61.198.190.63 絵 571 0 1115648705 よもつひらさか往還lonely
孤独で、
倉橋由美子『よもつひらさか往還』(講談社文庫)読了。
古い木のドアと開けると、そこには年齢不詳のバーテンダー・九鬼さんがいて慧君という青年がカウンターに腰掛けている。彼は夜毎に九鬼さんのつくる妖しげなカクテルをを呑み、美女を伴ってどこかへ消えてゆく。慧君の行き先は毎回違うのだが、どうもこの世ならぬ体験をして来るらしい。
倉橋由美子の読者にはおなじみ、「桂子さん」シリーズに連なる連作短編集。主人公の慧君は桂子さんのつれあいの入江老人の孫の青年だ。
桂子さんと血のつながりはないようだが、『夢の通い路』の桂子さんと同じく、この世の人ではないものたちとこの世でない場所で交感し交歓する能力にめぐまれているらしい。もっとも桂子さんのように自力では無理で、メフィストフェレスのような九鬼さんの「魔酒」の力を借りなければならないが。
慧君のお相手は毎回違う。鬼女であったり、式子内親王の幽霊であったり、人形であったり、ドクロであったりする。ドクロといってもただのしゃれこうべではない、どうやら小野小町の骸骨らしいのだがこれがなんとも愛らしくエロティックなドクロなのですね。
彼女?たちと慧君は男女の契りを結び、ときには同棲?したりもするが、もちろん相手は魔界のもの。逢瀬も別離も夢か魔酒のもたらす幻のごとくで慧君を翻弄したり茫然とさせたりする。
物語はいわゆるホラーやファンタジーの約束事にはしばられない。能か狂言のような幽玄な雰囲気の中、軽やかに想像力は飛翔して読み手はめくるめくような、しかしまったり落ち着いた不思議な気分が味わえる。そう、いい酒を飲んだときのような気分ですね。
酒といえば肴、出てくる食べ物もおいしそうだ。ただしこれまた正体はわからない。龍の肉かもしれないし、鬼女の骨髄かもしれない。たとえば地獄の女王の化身であるふくろうがみずから食べさせる自分の羽根の根元の肉なんてものがでてくる。その味はこんな感じらしい。
最初は柘榴の実を思わせる果実の香りと甘酸っぱい果汁で口中を喜ばせ、次いで淡白だが複雑微妙な滋味を含んだ肉の味で舌を喜ばせた。
うー、よだれが出そうだ。
61.198.190.63 本 570 0 1115202824 アール・デコ展/春陽展実にさわやかなお出かけ日和。満開のツツジを見ながら東京都美術館に『アール・デコ展』を見に行く。
そういえば私のこどものころ「モダン」というのはこんな感じだった、ことを思い出させるデザインの、絵や家具や宝飾品や陶器や磁器やガラス器の数々で目の保養。
しかしなんといっても大好きなタマラ・ド・レンピッカの油彩画が見られたのが収穫。「電話と女II」「マルジョリ・フェリの肖像」、もっとも良いころの作品だと思う。なまで見たのははじめてだったけど、思ったより抑えた美しい発色、明確なフォルム、艶麗な陰影、作品には満足でありましたが、マリー・ローランサンが3点以上出ているのに、ポスターにも使われているレンピッカがたった2点なのは大いに不満。
*
同じ都美術館でやっている『春陽展』ものぞいてみる。(伊豫田さんの「Legion」を発見!)いつも思うのだが、この展覧会、特に絵画部門は上下にも配置されているので首が痛い。素晴らしい作品も多いのだが、あまりの密度に絵を見る気持ちの余裕が失われる。応募も多いのだろうからしかたがないのかもしれないが、ちとつらくて惜しい。
*
見終ったのが夕方、のども乾いたので館内のレストラン「ラ・ミューズ」につれとコーヒーでも飲もうかと立ち寄る。小腹もすいたのでケーキセットかサンドイッチでも食べるかなどと、話ながら入ったのだが、席についたら、なぜか生ビール2杯とソーセージにフライドポテトになってしまった。うまかった。
61.198.190.63 美 569 0 1115125054 The 100 blue days
『The Blue Day Book』(Bradley Trevor Greive/石田享訳)より。 Everybody has blue days
誰でも落ちこむ日がある。
素晴らしい動物写真と秀逸なキャプションが笑えるピクチャーブック。4、5年前に竹書房から日本語版が出たことがあるけど、今は絶版らしい。
動物百景の代わりにしばらくこれの紹介を続けてみたいと思います。絵が下手くそでわからないかもしれないけど、動物はホッキョクグマ。千代大海ではない。
61.198.190.63 絵 568 0 1114955431 Bitter & Sweet左は新聞に載っていたチンパンジーの赤ちゃん。霊長類の味覚に関する実験で上は苦いものを食べたとき、下は甘いものを食べたときだそうだ。あまりに面白い顔なので写真を元にちょっといたずら描きしてみたけど、う〜ん、残念ながら写真の方がずっと面白い。
そういえば、うちのこどもたちも赤ん坊のときはこんな顔したなあ。
◇
懸案のハーピーはやっと描きはじめたけど、あと一ヶ月くらいかかりそう。のんびり楽しみます。
◇
ピーター・リトル『遺伝子と運命』(美宅成樹訳/講談社)、浦沢直樹『プルートゥ2』(小学館)購入。
『プルートゥ』の今回のおまけはマーブルチョコレートパッケージ入りのアトムシール。私の世代には無茶苦茶なつかしいが、前回の『地上最大のロボットの巻』まるまる一冊に比べるとかなり割高な感じ。次はどうせなら『青騎士の巻』あたりをB5判でつけてくれると嬉しいのだが。
61.198.190.63 絵 567 0 1114526225 ステップフォードの妻たちアイラ・レヴィン『ステップフォードの妻たち』(ハヤカワNV文庫)読了。
郊外の高級住宅地ステップフォードは美しく平和な町だった。だが主婦たちはみな家事にしか興味のないおとなしい女性ばかり。越してきたばかりのジョアンナは、そんな主婦にはなりたくなくて、最近越してきた活動的な主婦たちと友だちになった。しかしその友だちも、一人また一人と別人のように家事に励み始める。彼女たちにいったい何が?次は自分の番だと気づいたジョアンナは…
映画『スッテプフォードワイフ』の原作本。映画はファッションとセットを除けばまったくの凡作。チープなSFまがいのアクションといい、ふやけたハッピーエンドといい、悪い意味での最近のハリウッドらしい映画だった。
しかし、原作である本書は面白い。隠れた傑作ミステリーと言ってもいい。ミステリーというよりホラー、でもなく、いわゆる「奇妙な味」というとらえどころのない形容がふさわしい。
静かな日常的な描写の中にかすかな違和感が徐々に徐々に積み重なって、不安と恐怖感を醸成していくテクニックは同じ作者の『ローズマリーの赤ちゃん』を思い出させる。SF的な謎も映画のようなチープな見せ方はせず、最後まで謎めいて余韻を残す。さすがにアイラ・レヴィンはうまい。
よくこんな端正な原作を、あんなに凡庸な映画にできるものだと、逆に感心してしまいました。
218.218.216.227 本 566 0 1114261143 四千年の国『水滸伝』を読んでいると、ひんぱんに賄賂をばらまくシーンに出くわす。盗賊集団が主人公だからやたらと官憲に逮捕される。手元不如意だったりすると拷問されたりひどい目にあう。しかしたいていは牢屋役人のしかるべきところに金をばらまいて、手加減してもらう。拷問も形ばかりで牢内の楽な仕事につかせてもらったりする。別にとりわけ要領がいい奴というわけではなさそうで、それが当たり前のようである。
まあ、大昔の話ではあります。しかし、日本の時代劇でも賄賂のやりとりは出て来るが、もっと後ろ暗そうにしている。「越後屋、お前もワルよのう」「お奉行さまこそ」などと悪であることを自嘲?している科白が定番なのだから、少なくとも当たり前のことではなさそうだ。
*
こちらは現代の話。Aさんは亜細亜の某大国で工場を経営している。しかるべき役所のしかるべき担当者にしかるべき金を送らないと「おたくの電力の割り当てはない」と言われてしまうそうだ。一度割り当てをもらっても安心はできない。突然電気が停まったりする。あわてて贈り物をとどけると翌日にはなぜか復旧するのだという。
Aさんは日本人ではない、しばらく前に某英国から返還されたところの人ではあるが立派な某大国現地の人である。だから反日的いやがらせというわけではない。おそらく「あたりまえのこと」なのだろう。ただしAさんは「同じ某国人として恥ずかしい」と言っている。当たり前とは思っていない某国人もいるということだ。
*
もう一つは日本人のBさんの場合。海外在住で芸術方面のプロデューサーをしている。自分がマネージメントするミュージシャンを亜細亜の某大国でも売り出そうとしている。もちろんコンサートを開けば某大国でも歓迎されるであろうレベルのアーティストだ。ただしその国の体制では芸術的商業的イベントを行うにもお役所の認可を得なければならない。
Bさんは水滸伝の登場人物ではないので、普通に書式をそろえ、かの国の法律にのっとって申請をしたそうな。現代の役人は水滸伝の時代より親切らしく、なにも知らないBさんにていねいに「チケット千枚を(裏で)まわすように」と教えてくれた。もちろん断れば認可はおりないことが激しく予想される。結局、イベントはとどこおりなく行われたそうだ。
賄賂を堂々と要求した役人も悪気はないらしい。契約完了後悪びれもせず向こう持ちで一席もうけてくれてヤアヤアで終わったらしいが、「二度と某大国とは仕事したくない」というのがBさんの弁である。
127.0.0.1 時 565 0 1113663272 失踪日記吾妻ひでお『失踪日記』(イースト・プレス)読了。
全部実話です(笑)
突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働、アルコール中毒・強制入院まで。
波乱万丈の日々を綴った、今だから笑える赤裸々なノンフィクション!
まったく上の紹介のとおり。リアルこの上ない。悲惨なのに笑える。(ごみ捨て場から拾ってきた)とんでもない食べ物がおいしそうに思えてくる不思議。主人公だけでなく読んでるこちらまで旨そうと思ってしまう。いや、読んでるときだけですが。
作者は元祖ロリコン漫画家として有名だが、SF者にとっては『不条理日記』や『メチルメタフィジック』の(本当の意味の)本格SF漫画家だ。さらにエロいの好きの私としては『やけくそ天使』のやけくそな作者である。いまだに単行本が出れば必ず買ってしまう三人の漫画家の一人である。
ノンフィクションといってももちろん漫画。またこの漫画がうまいのである。解説のとりみきも書いているとおり、例えば頁を三段に律義に割って、ほとんどのコマに全身像を描いている。うまいなあとつくづく思う。アップにすれば迫力が出ると思ってそうないまどきの漫画家には描けんだろうなあ、などと年寄りっっぽい感想が出るほどうまい。
失踪しようとホームレスしようとアルコール中毒になろうと天才は天才のままでありました。
210.198.176.43 本 564 0 1113575317 ゴッホ展/夜桜いまだ花粉症が治まらず、くしゃみを連発しそうで映画を見に行く勇気が出ない。美術館ならまだいいかもということで、竹橋の近代美術館に『ゴッホ展〜孤高の画家の原風景』を見に行く。
ゴッホが影響を受けたというゴッホ以外の画家の作品で数合わせはしているが、肝心のゴッホのめぼしい出品作は少なく、これで1500円はちと高い。「夜のカフェテラス」を見られたのは良かったけど、「アルルの跳ね橋」も「鴉が群れ飛ぶ麦畑」も「ひまわり」も「オベールの教会」もなんにも出ていない。やはりアムステルダムに行くしかないね。貧乏人はつらい。
*
次に行きたい展覧会は『アール・デコ展』。カルティエやシャネルはどうでもよいが、なまで見たことがないタマラ・ド・レンピッカの油彩画が見られるとあってははずせない。う〜ん、1点しかでてなかったら泣きだな。
*
美術館を出たところのお堀端の桜がまだ半分ほど残っていたので、ちょっとした夜桜見物。それにしても最近の桜の花はやけに白くないかい。昔はもう少しピンクが濃かったような。これでは「頬を桜色にそめた」が顔面蒼白になったことになってしまうじゃないか。
210.198.176.38 美 563 0 1112797270 リアル・ゲーム/寿命延長薬AZOZ BLOGから二題。
*
撃たれると電気ショック!本当に痛い「究極のシューティング・ゲーム」が間もなく登場か!?
アメリカ・テキサス州にあるVirTraシステム社によって開発された「本当に痛みを感じる体感システム」が、一般家庭用のゲーム機に使用されて間もなく登場するかもしれないとのこと。もともとは軍や警察が訓練で使用するために開発されたものとか。
この体感システムは、画面上で敵に撃たれると、実際に強い電気ショックがプレイヤーに伝わり、まさしくその痛みで本当に倒れこんでしまうかもしれないというもの。今まで軍の訓練等では「撃たれたら振動するベスト」が使用されていたが、「心臓が激しく鼓動して手に汗握る・・もっと緊張感のある体感システムを」と同社が更なる研究を行ってきた結果、開発されたものだという。(略)
痛い思いをしないでスリルを味わえるからいいのではないかと思うけど。
次はもちろんエロゲーに応用でしょうね。スタンガンなんていう雑駁なものではなく、もっと繊細かつ独創的なインターフェイスを開発してもらいたいものだ。
*
イギリス・アバディーン大学のジョン・スピークマン教授が、もし人間に投与した場合、寿命があと30年延びる可能性がある薬の開発に成功したとのこと。
研究対象となっているのは、新陳代謝に大きく関与しているチロキシンという甲状腺ホルモンの一種。このホルモンは病原菌や体内組織に被害を及ぼすものを体から除去する働きをしているとのこと。(略)
また、教授は「短命だったネズミと(新薬を投与して)長生きしたネズミの寿命の差を人間に置き換えて計算すると、それはおよそ30年となる。でも誰だってその30年を介護生活で送りたくはないでしょう。この薬が実用化されれば、もっと有意義に長生きすることができるようになるのです」と研究への意気込みを語る。(略)
本当なら慶賀すべきことだが、この計算があてはまるのは人間の寿命が50年そこそこだった頃のことではないだろうか。80年以上生きる人が珍しくなくなった現在はすでに寿命が30年延びてしまった状態ではないのだろうか。
コンピュータのスピードと一緒でCPUばかり早くしても全体のパフォーマンスは上がらない。メモリやハードディスクがついてこられなければ遅いままだ。人間の寿命も一ヶ所だけ延ばしてもどこかがボトルネックになっていれば一蓮托生で御陀仏だ。
究極の方法は遺伝子操作しかないだろうな。クローンを作って脳移植なども考えられるけど、どんな方法が実現してもだれでも使えるようにはなかなかならないだろう。「だれに」施すかが大問題になりそうだ。金正日に500年も生きられたりしたらたまらない。
61.198.198.15 科 562 0 1112361319 ミラーマンの復習筒井康隆『ミラーマンの復習』(角川書店)読了。
前作『ミラーマンの時間』は顔にアザのある少年が超能力を持つ話で、よくできたジュブナイルだった。続編?になる本書はだいぶ様子が違う。つながりのあるのは題名だけでまったく違う小説と考えていいだろう。
主人公は中年の社会学教授植木勝弘。あきらかに「実在のミラーマン」植草一秀氏のパロディだろう。「復習」は「復讐」にかけてあるのだろうけどさだかではない。
女子大で社会学を教えている主人公はハンサムでコメントがうまくマスコミの寵児である。美人の妻とかわいい娘を持ち家庭は円満、学生のうけもいい。しかし内面にはいろいろな(滑稽な)妄想がうずまいている。
妄想と現実をシンクロさせて現実の馬鹿馬鹿しさをきわだたせる手法は著者の得意とするところだが、やがて妄想と現実の境界があいまいになってくる。主人公だけでなく、読者でさえ書かれていることが植木の妄想なのか現実にしゃべったりやったりしていることなのかわからなくなってくる。不安である。だけど妙に快感でもある。
このもやもやぶりがどんどんエスカレートしていくのだが、突然焦点が合ったように妄想と現実が一致し、植木教授がわれにかえったとき、鏡を使ったワイセツ行為を教え子に告発され逮捕されてしまう。(現実事件の手鏡を使ったのぞきよりだいぶ大掛かりでずっと気持ちよさそうな方法です>詳細は読んでのお楽しみ)
しかし彼の犯罪の実行そのものはあいまいにしか描写されない。告発は本当なのだろうか。ここから小説はにわかに本格的ミステリらしくなってくる。
植木教授を救うべくさっそうと現れる探偵役は植木の同僚(という設定の)アノ唯野教授である。唯野教授に犯罪捜査なんてできるのかと読者は不安を抱くが、教授は得意の哲学的タームを駆使して警察の挙げてくる起訴事実を次々と
煙に巻く論破する。そんな教授の雄姿?に感銘を受け協力していくのがアノ(アノばっかりだな)神戸美和子ではなかった神戸大助である。富豪刑事、そんなこをとして警察をクビにならないか心配してしまうが、彼だけでなく筒井ワールドのキャラクターがそこかしこに顔を出す。神戸家のお手伝いをしている美少女はたぶん火野七瀬だと思うが、読んだ人、どう思います?後半は前半のメタ小説ぶりは鳴りを潜め、往年のドタバタSFを彷彿とさせるハチャメチャな展開となって楽しい楽しい。最後にはミステリファンも満足するだろうどんでん返しもぬかりなくある。筒井康隆ならではの意外すぎる犯人にはアンフェアの声さえもあがらないだろう。
筒井ファンなら絶対、買いの一冊。
218.218.216.227 本 561 0 1112194141 嘘つきアーニャの真っ赤な真実米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)読了。
著者の米原万里は国際会議ロシア語同時通訳者にして、大宅壮一ノンフィクション賞を本書で受賞したエッセイスト。週刊文春の読書欄でその名は知っていたが、日本共産党の幹部だった米原昶の娘だということは本書を読んではじめて知った。
著者がまだ小学生だった一九六〇年代、父親はソ連が指導する国際共産主義運動の機関誌的雑誌の編集局に日本共産党の代表として派遣されていた。著者もプラハのソビエト学校で中学まですごすことになる。学校はもちろんロシア語だが、同じような境遇の同級生は学校全体で実に五十ヶ国以上の国から集まってきていたという。
本書に収められた三編のノンフィクションの主人公は三人とも、このプラハ時代の著者の親友だった同級生の少女たちである。
なんていうと、けなげな少女たちのご立派な生き方を綴った、いかにも堅苦しい随筆を想像するが、これがとんでもない。苦笑微笑爆笑を禁じ得ない、実に面白い読みものになっているから不思議だ。三話目の少女たちと厳格な先生のジョークのようなかけあいのエピソード(かなりのシモネタ)など、作ったのではないかと思うぐらい面白すぎる。実際そっくりの話をジョーク集で読んだことがあるが、もしかしたら著者の体験が元ネタかもしれない。
なにより三人の少女たちの個性がきわだっている。
ギリシャ美人のリッツアは勉強はてんで駄目だが、スポーツ万能。シモネタ大好きでやたらませていて、思春期のクラスメートの中にあってはセックス知識と男の見極め方の権威である。彼女に言わせると「
男の善し悪しの決めては歯」なんだそうだ。そんなリッツアの夢は映画女優。「贅沢して、いい男と片っ端から寝てやるつもり」――これがギリシャ共産党闘士の娘の科白だろうか。表題作にもなっている、ルーマニアの要人(あのチャウシェスクの側近だ)の娘のアーニャの話はさらにすごい。同級生を堅苦しくも常に「同志」と呼び、共産主義思想の教科書のような科白が口癖なのに、本人はブルジョア以上貴族並みの暮らしを満喫している。著者もふくめ同級生はみな結構な住居(百平米のアパートメント)をあてがわれているのだが、アーニャの一家はそれさえも「狭く」て、自分たちだけ城のような館を借りて住んでいる。家事をまかなっているメイドをも「同志」と呼んでいるが、彼女が屋根裏部屋に起居していることに全然矛盾を感じない。
もちろんそんな彼女たちも決してイヤな人間ではなく、著者は彼女たちと友情をはぐくみ、それぞれが帰国しても親友として文通をしばらく続けたりする。しかしそれもだんだん間遠になり稀薄になっていく。日本人同士ならそのまま「やがてすべてがいい思い出になりました」で平穏に終わるのだろうが、幸か不幸かそうはいかない。やがてくる世界情勢の激変が彼女たちをそのままではいさせてくれなかったのだ。
いわゆる「プラハの春」でチェコスロバキアはソ連の戦車に蹂躙され、ベルリンの壁は崩壊し、チャウシェスクは殺され、ソ連さえも消滅し、ユーゴスラビアの内戦でさらにおおぜいの人々が死ぬ。かつての親友たちは完全に音信不通になり、連絡先はもちろん生死さえもわからない。
いてもたってもいられなくなった著者は三十年ぶりにかつての親友たちをさがす旅にでる。再開にいたるまでの過程も結構サスペンスフルなうえ、再開は少女時代には知り得なかった(ちょっとほろ苦い)真実を露にする。
ひさしぶりに知らない世界を垣間見た感のある上質のノンフィクションでした。
◇
倉橋由美子『よもつひらさか往還』(講談社文庫)、吾妻ひでお『失踪日記』(イーストプレス)購入。
218.218.215.224 本 560 0 1111925519 水滸伝の世界高島俊男『水滸伝の世界 』(ちくま文庫)読了。
水滸伝との出会いは40年以上前、親に少年向けの『三国志演義/水滸伝/聊斎志異』を買ってもらったときだった。少年向けとはいえなかなかの名文で挿絵もすばらしく、夢中になったものでした。どこかへ失くしてしまったのがかえすがえすも悔やまれる。
三国志は登場人物が偉い人ばかりでもう一つピンとこなかったが、水滸伝にははまった。主人公の名前も
九紋龍史進 とか豹子頭林沖 とかなかなか粋でかっこいい。登場人物は盗賊や人殺しといった乱暴者ばかりで痛快きわまりない。はじめて読んだ頃は、ちょうど漫画の世界でははじめて?行儀の悪い乱暴者を主人公にしたちばてつやの『ハリスの旋風』がはじまったときだった。時代の気分にも合ったのかもしれない。ひさしぶりに読みたくなって、岩波の抄訳の方の水滸伝を読み終わったのだが、もう一つ物足りない。完訳水滸伝を読もうかどうしようかというところで、まずは本書を読んでみることにした。著者が週刊文春で連載している国語に関する辛口コラムも愛読していることだし。
目からうろこの話がたくさんあったのだが、詳細は読んでいただくこととして、いくつか箇条書きにしてみよう。
- 水滸伝は中国小説史上屈指の名文であること。三国演義(いわゆる三国志)などくらべものにもならないらしい。
- ただし、前半と後半とで文章の質は段違いであること。中国では前半だけの七十回本のみが水滸伝だと思われていた時代が長かったらしい。(正式には百回本、百二十回本というのもある)
- 水滸伝研究は江戸期以来中国より日本が進んでいたこと。元々中国より多種類の版本が伝存していて、北京図書館にある原本も元々は日本にあったものらしい。
- 抄訳ではわからなかったが、殺人の描写はかなりえぐいこと。刃物で刺したあと内臓をつかみ出すような場面がかなりあるらしい。
- つかみだすだけでなく、そのあと倒した敵の肉を食ってしまうような場面も一つならずあること。だいたい主人公たる百八人の豪傑の中には、人肉饅頭屋を生業にしているものもいる。
- ところが女色に関してはえらく淡白なこと。英雄色を好むという言葉とはまったく正反対で、ささいなことで人をぶっ殺して食ってしまうような暴れ者も強姦のたぐいは一切行わないし、女色に迷うこともない(西遊記の猪八戒のようなキャラはいないということだ)。
ということで、完訳水滸伝に挑戦することに決定。ただし期日未定。
◇
朝青龍というのは水滸伝の登場人物のあだ名にありそうだが、本人の面構えも梁山泊の豪傑に入っても全然おかしくなさそうだ。しかし。横綱が優勝を決めた相撲に座布団を投げるような奴に相撲を見る資格はない。というか、座布団を投げられないような構造にしろよ>相撲協会。
58.157.55.188 本 559 0 1111501301 バイナリー・システム昨日の続き、アシモフ博士の『次元がいっぱい』からの問題の答えを……まずは1(グラム)から順々に組み合わせを考えていく。
- 1gは1gでしか測れないから1g。
- 1g×2でもよいが2gを選べば、1gと合わせて3gも測れるので効率的。よって2g。
- もちろん、2g+1g。
- 3+1、2+2、2+1+1、色々な選択肢があるが、2gの時と同じ理由で4g。
- もちろん、4g+1g。
- 4g+2g。
- 4g+2g+1g。
- ここで手持ちがなくなったので、新しい錘を追加。8g。
……ここらへんでパターンが見えてくる。8gを追加したことにより、今まで測れた7gを足して15gまで測れるようになる。よって次に追加しなければならないのは16gだ。つまり次々と倍の錘を選べばいいんですね。
ということで、答えは次の10個の錘の組み合わせになる。
1g、2g、4g、8g、16g、32g、64g、128g、256g、512g
たとえば200gを測るには64+32+4の組み合わせだ。1000gなら512+256+128+64+32+16+8。10個全部を使えば1023まで測ることができる。
10組の数字を2の累乗で表わすとより簡単に書くことができる。
20、 21、 22、 23、 24、 25、 26、 27、 28、 29
これを逆順に並べて加算記号でつなぐと
29 + 28 + 27 + 26 + 25 + 24 + 23 + 22 + 21 + 20
この10の項目のそれぞれを使ったり使わなかったりすることで、0〜1023までのすべての整数を表わすことができる。「使ったり使わなかったり」というのは、要するにゼロをかけるか1をかけるかということだ。ということで、この数列は二進法そのものだったんですね。
上の例でいくと、200を二進法で書き表わすと、1100100だ。1000なら1111111000、1023はもちろん1111111111だ。
私のようなソフト造りを生業をしている者でも日頃二進法を意識しているわけではない。それでも一応コンピュータの基本が二進法であることは十分にわきまえている……つもりだったけど、こうわかりやすく説明されると、素直に感心してしまう。
二進法(バイナリー・システム)の原理を発見したのは300年も前の人、ライプニッツだそうだ。コンピュータにうってつけであったけれど、コンピュータのために考え出されたものではないのですね。
*
二進法小咄
「世の中には10種類の人間しかいない。
二進法が理解できる人間と二進法が理解できない人間だ」
「それじゃあ2種類しかいないじゃないか?!」
「きみはもちろん後者だね」10種類を10進法で表わすと……
210.198.157.185 本 558 0 1111408399 次元がいっぱいアイザック・アシモフ『次元がいっぱい』(ハヤカワNF文庫)再読了。
仕事がたてこんで疲れているときは、感情移入の必要な小説を読むのは結構しんどい。社会系のノンフィクションでもおなじだ。
意外と楽に読めるのが科学エッセイ。それも生物学や天文学などより抽象度が高い数学がいい。ただし、むずかしいのはだめ。高校生、できれば中学生程度で習う内容を楽しく解説している、なんてのがぼおうっと読むには最適だ。
ということでアシモフ博士の『次元がいっぱい』を再読。こういう風に楽しく悠揚せまらざる筆致でユーモアたっぷりに解説してくれる科学者はなかなかいない。物理学の分野ではガモフ博士という先達がいたが、こちらも名前からわかるとおりアシモフと同じくロシア系だ。なにか才能というか伝統があるのだろうか。
たとえば円周率「π」について。
πはごぞんじのように
3.1415……と無限に続く小数だ。それも10÷3=3.333333……のような循環性は一切ない、分数であらわすことのできない数=無理数である。この「πが無理数である」という事実がドイツの数学者によって証明されたのは16世紀。それ以前にも多勢の数学者によってπの値は求められていた。古代ギリシャの時代にすでにアルキメデスが
3123/994=3.14185……というかなりの近似値を算出しているという。17世紀には小数点以下35位、無理数証明の直前には72位まで求められていたらしい。その後ももちろん算出競争は続いたけれど飛躍的に伸びたのはコンピュータの出現からだ。元祖コンピューターENIACは70時間かけて小数点以下
2035位まではじきだした。現在のオーダーはたしか10億桁以上に達しているはずだ。それに比べて17世紀の小数点以下
35位というのはずいぶん不正確な感じがする。正確な建築や科学計算にはまるで使えなさそうだ。実際にはどうなのだろう。本書では太陽系をまるまる囲む円を描くという壮大な例をあげている。直径160億km、円周は500億km近い。これほど巨大な円を描いても、小数点以下
35位のπ(ルドルフ値というそうな)を用いれば、その誤差は原子一つ分よりはるかにちいさい。陽子の実に100万の1だという。既知の宇宙(というのがなんなのかは私に聞かないように)を包む円を描いても誤差は1万分の1ミリよりもっと小さい。現在はおろかはるか未来でも科学・技術が要求するだろう正確さを、17世紀で証明されたπの値がすでに上回っていたということだ。21世紀に至ってそれを「およそ3で良し」と子どもに教えるなどと、17世紀人に申しわけないというものだ。
この項、明日も続けますが、ここで問題。
いくつかの錘(おもり)を組み合わせて1から1000までのすべての整数のグラム数を表わすのに、もっとも少ない数の錘の組み合わせを求めよ。
【条件】
1グラムの整数倍のどんな重さの錘も選べる。
あるグラム数を表わすのに何個の錘を使ってもかまわないおひまなときにでもどうぞ。
210.234.4.146 本 557 0 1111328329 花粉症デビュー今冬は鼻炎もでず、調子いいなあと思っていたのもつかのま。ここ2週間くらいくしゃみ鼻水が止まらない。そのうえ、いままでなかった目のかゆみまで勃発。ついに私も花粉症デビューとあいなったようだ。
たまらず土曜日に耳鼻科に行って薬をもらってきたが、これが利きすぎたのか眠くてしかたがない。今日も遅くずるずる起き出して食事をし、かたづけものをしたあとちょっと一休みして本を読んでいたらいつのまにか眠っていた。クロロフォルムを嗅がされて誘拐される神戸美和子もかくやと思われる強烈な眠気。せっかくの休日ほとんどなにもできなかったのが口惜しい。
こんこんと眠り続けるだけ。美しい女性ならば眠り姫だが、きたない中年親父では絵にならないことおびただしい。ゴミと一緒である。
しかし「花粉」だからあまりきたないイメージがないが、正体は結局スギやヒノキの精子だと考えるとなんですな。日本の春の空気中には精子が満ち満ちていて、それが私やあなたの目や鼻の粘膜に入りこんでアレルギー反応を誘発しているのだ。外出から帰ってきた私やあなたの衣服や髪の毛にはびっしりと精子がこびりついていて、ちょっと体を動かすとそれが目や鼻に入りこむ。これはかゆいはずである。
まったく、スギやヒノキの性行為というのははた迷惑なものだ。そんなに盛大に巻きちらさなくてもいいではないか。スギのめしべにたどりつかずに私の鼻粘膜に着地してしまったスギの精子にはまったくご愁傷さまだが……こっちだって迷惑なんだよ!
210.234.4.146 身 556 0 1110900542 模様替えといっても、直近の日記をホームにも表示するようにしただけなのであまり変わりばえはしない。
方法は頭3件だけ出力するシンプルなCGIをSSIでホームページに埋め込んだ。日記をリンクから呼び出した場合と相対アドレスが違うので、そのままだと画像がリンク間違いで表示されない。解決策としてIMGタグのアドレスを変更して出力するのにちょっと手間取ってしまった。
今後の変更予定
- CGIデータと別に記事ごとの固定HTMLを出力。
- 1に対してのコメントを投稿できる機能。
できればコメントがあったらメールを受け取れるようにしたい。- 1を基準にしたトラックバック受け入れ機能。
- 更新をRSSで公開する機能。
と、これだけやればWebLog(ブログ)の機能をほぼ満たすことになると思うけど、できるころにはブログも時代遅れになっていたりするかもしれない。
218.218.215.224 電 555 0 1110033675 ポーランド人ジョーク/水戸の一日刃渡り12cmのナイフが頭に刺さっている事に全く気付かない男
頭痛と食欲不振に悩まされていたポーランド人男性(63歳)は頭にナイフが刺さったのに気付かず、しばらくそのままで生活していたという。
ある日、あまりにも長く続く頭痛を何とかしてもらおうと、とにかく医師の診断を受けるため病院へやってきた。そこでようやく医師が頭に刺ささっているナイフを発見したとのこと。
この男性は以前酔っ払って台所にあった踏み台から足を滑らせて転落したことがあり、その衝撃により、おそらく落ちていたナイフが頭に刺さってしまったと考えられている。「その瞬間は血も出なかったし、大して痛みすら感じなかった」と男性は話している。
後日、お気に入りだったナイフの握り部分だけ落っこちているのを男性は発見。刃の部分はいったいどこにいってしまったのか不思議に思っていたという。
診断によると、ナイフは右耳のモミアゲ辺りから突き刺さっており、そのまま口蓋付近(頭蓋底部分)にまで進入、顎骨にあたって止まっていたとのこと。普通なら動脈、神経組織が傷ついてしまって当然な状況にもかかわらず、まるでそれらを避けて刺さったかのように全く損傷はなかったという。
(AZOZ BLOG)
エスニック・ジョークの世界でポーランド人といえば、なぜか知能が足りない民族ということになっているのを思い出してしまった。
電球一個の取り替えに何人のポーランド人が必要か?
五人。
一人がテーブルの上に立って電球を天井のソケットに合わせる。
あとの四人がテーブルを持ち上げてグルグル回す。ある男がバーに入ってきて言った。
「よう、とっておきのポーランド人ジョークを仕入れたんだ。聞いてくれ」
バーテンは男に顔をよせて言った。
「よく聞け若いの。俺はポーランド移民だ。それから、お前の両隣、そいつらも そうだ。それから向こうのテーブルに座ってる奴、入り口の近くでお前を にらんでる奴、みんなポーランド人だ」
男は、ニコニコしながら言った。
「だいじょうぶだよ。わかるようにゆっくり喋ってやるから」◇
親戚の法事があって水戸に行く。帰りに雪の偕楽園で観梅。三分〜四分咲きというところか。公園内では水戸黄門ご一行の扮装をした一座が歩いていて、一緒に写真を撮ってくれる(無料)。
天下の副将軍ではあるが、水戸光圀公はたまたま副将軍だったわけではなく、水戸様はもともと将軍になる資格はないから「副将軍」なのだ、というのはトリビアネタにはなるのだろうか。同じ御三家の尾張と紀伊は大納言、水戸は藩祖が徳川家末弟だったこともあって格下の中納言なのだからしかたがない。そんな水戸藩が最後の将軍慶喜公(一橋家に養子にいった)を生むのだから皮肉なものだ。
そんなことを思い出した雪景色の一日。
210.234.4.146 笑 554 0 1109602336 助太刀屋助六NHK-BS映画劇場『助太刀屋助六』。
岡本喜八監督の追悼放映をしたのは結局NHKだけか。民放はみんなホリエモンにでも乗っとられてしまえ。
映画館で見損なっていた(当たらなかったらしくとっとと終わってしまった)のがいまさら口惜しい。
快適なテンポ。快調の音楽。山下洋輔と林英哲のコラボが時代劇なのにモダンモダンにしている。この粋さは黒澤明や山田洋次にはない、岡本喜八ならではだね。
クライマックスからラストにかけてちょっとテンポが落ちてぐだっとなるが、それをさっ引いても77歳の監督の作品とは思えません。真田広之が全編にわたって披露する身のこなしがまた秀逸。見てるだけで心地よい。(二十四歳という設定はさすがに苦しいが)
至福の90分をありがとう。合掌。
211.121.45.144 映 553 0 1109496175 ぼんくら(上下)宮部みゆき『ぼんくら(上下)』(講談社文庫)読了。
数年前ハードカバーが出たときにすぐ借りて読んでいるのだが、最近出た続編『日暮らし』を読みはじめてみると、ほとんど前作を忘れている。加齢による記憶力減退をなげいてもしかたがない。文庫になっている本書を買って再読した。
宮部みゆきの時代小説である。私がレビューするまでもなく、うまいし面白い。決して明るい話ではないのに読後感がいいのは、人物造型がうまいせいだろう。
魅力的な人物像の書き手として山田風太郎が一番と思っているのだが(忍法帖が苦手な向きは例えば『エドの舞踏会』などをお読みになるとよいと思います)、宮部みゆきの腕前は山風に匹敵する。
本書では、まずは少年たち。
超記憶術を習得した人間レコーダーのデコ、なんでも計らずにはいられない計測マニアの超美少年弓之助など、実にキャラが立っている。
宮部みゆきは『ステップファーザーステップ』をはじめ少年を描くのが実に上手だ。ただしリアルだというのではない。はっきりいって、こんないい子は現実にはいないだろうと思うような少年ばかりだ。独身の女性がこんな甥っ子がいたらいいなあと思い描くような(たぶんに妄想的な)少年たちだ。ショタコン的だといってもいいかもしれない。
(あわてて付け加えるなら、これは性別が逆でもよくあるパターンだ。独り者の男性がこんな姪っ子がいたらいいなあと思い描くような(たぶんに妄想的な)少女たちだ。ロリコン的だといってもいいかもしれない、てな具合)
しかし、そんな少年像が全然いやみではなく、こんな小僧が身近にいたら楽しかろうと思わせるのは、これはもう筆力以外のなにものでもないですね。
ただ、リアルでない分、少年たちは戯画的である。(戯画的なのが悪いわけではない)
「魅力的な人物」はむしろ大人たちだ。
特に主人公の八丁堀同心井筒平四郎がいい。神仏も信ぜず手柄にもあくせくせず長屋の人々の日々に気を配る。別に高邁な理想を持っているからではない。ひとえに生来の怠惰のためである。
もう一人の重要な登場人物、長屋の重鎮、煮売り家のお徳さん。四十過ぎのおばさんなのにキュートである。映像化するなら、藤山直美に演じてもらいたいものだ(どこかのサイトで泉ピン子と書いていた人がいたが冗談は勘弁してほしい)。
平四郎には阿部寛、悪役の湊屋総右衛門には平幹二郎を配役希望。
218.218.215.224 本 552 0 1109429454 黙示録論D.H.ロレンス『黙示録論』(福田恆存訳/ちくま学芸文庫)読了。
あの『チャタレイ夫人の恋人』のロレンス最晩年のクリスト教(特にアポカリプス=黙示録)論。
第七の封印や海から上がる獣や悪魔の数字666など、アポカリプスには派手なイメージがあるが、本書はさすがにてごわかった。ロレンスの思想の深さもあるだろうが、キリスト教にまったく無知な私が読むのはさすがに無理だったかもしれない。
ただし、巻末には「黙示録論」全編が付録として載っている。福田恆存の訳者の域を超えた熱のこもった序文・解説・訳註もついている。難解だとばかりはいっていられない。
ロレンスは『チャタレイ…』の舞台にもなった英国の炭坑町に生まれ育った。両親はもちろん、住民は敬虔なプロテスタントばかり。当然、幼少の頃からキリストの教義にどっぷりひたって育った。しかしロレンスはおのれの血肉となった宗教思想(特に黙示録)に嫌悪感を抱く。「
私の本能が聖書に憤りを覚えるのだ」反撥したのはロレンスだったからだろう。普通は素直に敬虔なプロテスタントが再生産されるだけだろう。その憤懣とはなんなのか。ロレンスは詳細に、しかし熱情をこめてアポカリプスを分析していく。
人類は永遠に貴族主義者と民主主義者との二つの陣営に分裂してしまった。民主主義はクリスト教時代のもっとも純粋な貴族主義者が説いたものである。ところが今ではもっとも徹底した民主主義者が絶対的貴族階級へ成り上がろうとしている。イエスは貴族主義者であった。使途ヨハネもパウロもそうだった。
宗教は、殊にクリスト教は二元的相貌を具えることとなった。強者の宗教は諦念と愛を教える。が、弱者の宗教は強きもの、権力あるものを倒せ、而して貧しきものをして栄光をあらしめよと教えている。世界にはつねに弱者の方が強者より多数である。爾来第二のクリスト興が勝ちを制してきたし、なお今後も勝ちを制しつづけるであろう。弱者は誰かがこれをして支配しないならば、みずから支配者の側に廻る。
ただし、本書は反宗教や無神論の書ではない。訳者も
ロレンスが反逆したのはプロテスタントでありピューリタニズムであって、クリスト教そのものではない、とあとがきで読者に注意を促している。のちに栄光のうちにあって統べ治らさんという大望こそはつねにクリスト教の根底に巣食っていたものであり、いうまでもなくこれこそ、この世で現在ただちに統治の座につかんとする野望の惨めに打挫がれた表れにすぎないのである。ユダヤ人は容易にはぐらかしうる存在ではなかった。彼等はこの地上に統治の権を振わんものと固く決意していたのである。
たとえいまは殉教の業苦を忍ばねばならないとしても、そしてこの目的実現のためには全世界が壊滅されねばならぬとしても、おお、クリスト教徒たちよ、なんの怖れることがあろう、君たちだけは王者としてこの世を統べ治らし、かつての暴君たちの首根っこを土足にかけることもできるというものだ!
これが黙示録のご託宣である。
「
暴君たち」とはイスラム世界のことではなく、黙示録が書かれた時点ではローマ帝国のことである。ロレンスは自身の思想の突破口として、キリスト教が抑圧し無視してきた異教の精神にも目を向ける。
時間とは、無限に真直ぐな線に沿った持続なりという吾々の観念は、無惨にも吾々の意識を不具にしてしまった。それに反して、円環的に運動するものという異教徒たちの時間概念にはもっと自由闊達なものがある。
終末思想対輪廻思想ですな。
断片的な引用ばかりでなさけないが、残念ながら私の言葉で書けるほど咀嚼していないのだ。副題にもなっている「現代人は愛しうるのか」という命題が最後の章に出て来るが、なぜここにたどりつくのかさっぱりわからん。
正直いって大好きなロレンスのあの緊張感あふれる小説世界のうしろにはどんな思想があるのかという興味がなければ読み切れなかったろう。
ただしアポカリプスそのものはなんだかわからないが謎めいていておどろおどろしくて面白い。四匹の獣や二十四人の長老、あまたの獣のヴィジュアルな描写はなかなか絵心をさそわれます。
210.198.177.58 本 551 0 1108910835 手芸フェスティバルIN川越私のつれあいと娘のパッチワークの師匠である遠藤亜希子先生が出展している「NHKおしゃれ工房『手芸フェスティバル』」をつれあいのおともで見に行く。遠藤先生は同番組常連の美人講師なのである。
パッチワークキルトも見るのは絵と同じ。先生の作品は年代ごとの代表作が出ていたが、デビュー時の落ち着いた配色、あるときから原色を生かした強い配色、最近の華やかで楽しい色使いと変遷が楽しめる。黒糸のステッチを生かしたイラストっぽいデザインのくずし方が面白くて好きだ。ちょっと旧い連想だが「暮らしの手帖」の花森安治の装画を思い出した。アメリカンモダンライフ。
*
川越の街は戦火を浴びなかったようで、旧い蔵屋敷が沢山残っていてそれを利用して街おこしをしている。「小江戸」がキャッチフレーズだそうな。
たしかに江戸時代風蔵造りの町並みも大正モダン風洋館の町並みも美しく面白い。そういった建物が思い出したようにポツリポリツあるのではなく、揃っている(すべて二階建て)のがいい。比べて(川越だけでなくどこもかしこも)戦後以降の町並みは汚いねえ。もしかしたら私たちは日本史上もっとも美的でない建築環境に生きているのかもしれない。
醜さの元凶はやはり、色彩、材質の不調和による配色の醜さだろうね。最悪は「看板」「POP」である。茶系、黄褐色系の柔らかな町並みに青赤黄白黒の原色の看板が無神経に加えられているのは、まるでゴミがぶちまけられているようだ。アジア的ではあるが、日本的だとは思えない。川越の江戸時代風蔵造り商家の屋根には美しい木目の看板が挙げられている。これは綺麗だ。ちゃんと目立つし。
川越の街、町並みは美しいが売っているものはたいしたことはない。なんでもかんでも芋づくしというのはちょっとなあ。地ビールもサツマイモ入りじゃないの?と冗談いったら本当に原材料に入ってました。鰻はうまかったけど。
210.234.4.178 美 550 0 1108299769 ステップフォード・ワイフということで、六本木ヒルズのVIRGIN TOHO CINEMASへ『ステップフォード・ワイフ』をうちの女たちと一緒に見に行く。
う〜ん、ファッションとセットは楽しめるけど脚本はいまいち。出だしは快調だが、ミステリの底はすぐ割れる。謎そのものは陳腐(1972年の原作だからしかたがないが)なのだから、もっと伏線をばりばり張ってくれなければいけない。ステップフォードのそれぞれの住人の過去をヒロインが(元ニュースキャスターなのだから)記憶していたりすればもっと面白くなっただろうに。
ニコール・キッドマン、ベット・ミドラー、グレン・クローズ他、役者はみな達者で演技は楽しめます。
*
原作はアイラ・レヴィン。映画化された作品では『ローズ・マリーの赤ちゃん』が有名だけど、デビュー作『死の接吻』を最初読んだときはどぎもをぬかれた。日本のミステリ作家の回想録みたいのでもよく出る作家で、弱冠二十三歳で「死の接吻」を書いたという事実にみなさん凹んだようです。「死の接吻」も映画化されたけど、これはどうしようもない駄作。「ローズマリー…」は作品も映画もよかったけど、次の『ブラジルからきた少年』は普通。あとの作品はずっと落ちる。そんな印象が強かったのでこの映画の原作は未読。だけどちょっと読んでみたくはなりました。
*
映画館のトイレで西城秀樹とすれちがった。渋い赤い革のジャケットの彼は「オペラ座の怪人」を見に来ていたようです。
210.198.177.58 映 549 0 1108219969 (エロポンあらため)覚書:ブログについて前夜の『タモリ倶楽部』の特集「エロポン」にいたく興味をひかれ、「よーし、とーさんエロポン大人買いしちゃうぞ」などと宣言したのもつかのま、ひさしぶりに聞いた夏川りみの歌声に心洗われ「とーさん、もう悪いことしません。エロポンも忘れます」などと改心した冬の夕暮れ、いまはやりのブログとやらについて愚考してみる。
*
ブログのサービスサイトではトラックバッグやらRSSやらコメントやら色々特徴は列挙されているが、ユーザーから見た最大の魅力は(たぶん)オンラインで書込めるということなんだろうね。やはりFTPでアップロードというのはやや敷居が高いのだろう。
それと、どこでも同じような形式=標準化されていることも安心感をもたれるのだろう。そこそこ自分らしさを出せる程度にはカスタマイズもできるようだし。
他の商品でいえば、メーカーがあの手この手で「電子手帳」や「モバイルなんたら」をいくら出しても消費者は(一部の新しもの好きを除いて)乗ってこなかったのが、「携帯電話」になったらあっというまに普及した、というのに似ている気がする。
私はいわゆるプログラミングで口を糊しているが、その本業の業務用ソフトでは、まずメニューがあって各機能ごとのフォームを開くという形式が基本だ。しかし、少しこなれてくると最初から最も多用する機能のフォームが開いて、そこから必要が生じたら各フォームを開く、もしくは最初のフォームだけで全ての機能(レポートの印刷とか)も使えるような仕様の方が使いやすい(少なくとも私はできるだけそう造る)。
現在のブログの画面構成もその傾向が強いようだ。一画面でほぼそのサイト全部を見わたせるようなデザインになっている。そのためか、初期のころはサイトの一部にブログを追加したという形が多かったが、今はブログをホームにしたり、ブログだけで成り立っているところが増えてきたようだ。
当サイトの対応はというと、(できる限り)自前主義なのでブログサービスを使うことはまったく考えていない。このページでもオンラインでの更新やデザイン変更・コメント機能はついている。ない機能ではRSSとトラックバックはちょっと魅力なので使ってみたいが、しかけを調べるのも実装するのも今はちょっと時間がない。仕事の勉強にもなるので今年中にはなんとかやりくりして仕掛けてみたいとは思ってはいるのですが。
その前に「オンラインでの画像投稿」と「CGIで管理してHTMLで保存」を実装しなければ。やりかたはわかっているのだけど、やはり休みはスクリプトいじるより絵描きたいからあとまわしになってしまうのだよなあ。
◇
八杉龍一編『ダーウイニズム論集』(岩波文庫)読了。小林信彦『侵入者』(文春文庫)購入。
211.126.28.14 電 548 0 1107443993 犬との不倫/獣姦文学館犬との不倫現場を目撃され、新妻に「離婚してくれ」と嘆願する夫
新婚ホヤホヤだったにもかかわらず、夫(24歳)が愛犬とベッドでよろしくやっている現場を帰宅した妻(20歳)が目撃して驚愕、さらに夫が「こいつ(犬)を愛してしまった」と、この妻に離婚を申し出るという事件がカンボジアで発生した。
記事によると浮気相手の女性(雌)は2歳になる雑種犬。この夫は犬と性的関係を持っただけでなく、犬への愛を押さえきれなくなっていたのか、ついには「君よりも犬の方が好きなんだ」と妻に激白したという。
それを聞いた妻はますます激怒、最終的には警察が駆けつける騒ぎとなった。事実確認のため、警察官がこの夫に質問したところ、「え・・はい、あの・・確かに犬とやってました」と答えたという。
「幼女が好き」よりはずっと許せると思うけどね。奈良幼女殺しの小林薫のようなのはいかにも現代的な鬼畜だろう。あまり神話伝説でも聞かない。獣姦の方はというと、こちらはギリシャ神話から聊斎志異までネタにはこと欠かない。
リンク先の事件?は人間の牡(男)と犬の牝だったが、フィクションの世界では犬系の牡と人間の牝(女)という組み合わせが優勢のようだ。『南総里見八犬伝』(滝沢馬琴)の八房(♂)と伏姫(♀)など、妖しい話がけっこうあります。
この手のカップルが登場する小説の、私のベストチョイスは次の5冊。犬好きでもそうでなくてもお勧め。
- 『犬狼都市』(澁澤龍彦)【ファキール(♂)と朝倉麗子(♀)】
カップルが結ばれる美しいシーンがクライマックス。- 『シリウス』(オラフ・ステープルドン)【シリウス(♂)とプラクシー(♀)】
これまた、カップルが結ばれる美しいシーンがクライマックス。- 『犬』(中勘助)【婆羅門僧(♂)と女(♀)】
邪恋に狂った僧が犬に変身し女も犬に変えて思いを遂げるという、あの「銀の匙」の中勘助のファンなら腰を抜かしそうなお話し。- 『孤児』(ロバート・ストールマン)【バリー(♂)とレネイ(♀)】
DON MAITZの表紙絵が素晴らしい。- 『狼の紋章』(平井和正)【犬神明(♂)と青鹿晶子(♀)】
これが獣姦だというのはさすがに無理があるかな。狼男が主人公だがセックスするわけではないから。でも、愛はある。人獣交婚というと、ずばり『人獣怪婚』なんてのもあります。同じシリーズ(ちくま文庫・猟奇文学館)には『人肉嗜食』や『監禁淫楽』なんてのも。人によってはお勧め。
210.234.4.178 本 547 0 1107440243 Mr.インクレディブル映画:丸の内ピカデリー『Mr.インクレディブル』。
みなさんやあちらこちらの感想と同じ、映像もアニメートも脚本も全て完成度の高い傑作でした。
なので、感想は省略してちょっと気がついたところだけを少し書く。ヒロインのインクレディブル夫人は東ちずるに似ている。ライバルのプラチナ・ブロンドのミラージュはMEGUMIに(胸ではなく顔が)似ている。悪役のシンドロームはくりーむしちゅーの有田に似ている。……て、似ているリストだけかい。
政府のエージェントのおっさんはトミー・リー・ジョーンズにそっくりだけど、こういう場合、ギャラは支払うのだろうか。
この映画を見た後、『アンブレイカブル』を見ると、さらに趣き深く見られそうだ。おすすめ。
210.198.153.70 映 546 0 1106840238 脳とダーウィン女刑事もののレビューはあと三冊残っているのだけど、ちょっと一休み。1月9日に書いた購入予定本のうち実際買ったのは結局『進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線』のみ(売れているらしい)。一緒に「脳」つながりで『脳男』も買ってしまった。こちらは乱歩賞受賞のミステリー。どちらも読了、どちらも面白い。特に前者はへーっ、ほーっ、う〜むなどと声をたびたび発してしまうくらいの面白さ。レビューはおって。
今は以前買った『ダーウィニズム論集』を読んでいる。最近のではなく『種の起源』が発表された直後の論争の抜粋集。当時の大騒ぎが伝わってくるようでなかなか面白い。おさめられた論考の中に『進化しすぎた脳』の中で力説されていた文章とリンクしているかのように思えた一節があったので引用してみる。
まず、トマス・ハクスリ「ダーウィン氏の著作『種の起源について』が生物的自然現象の原因に関する完全な学説として占める一についての批判的検討」(1863)から
私は、ヒトと下等動物の間の構造的差異は性質も大きさもきわめていちじるしいもので、たとえダーウィン氏の見解がいかに正しくてもこの特別の変化が起ることなどとても想像できない、と主張する人たちの意義に対する反論に努力してきました。(略)
ヒトがまさにヒトであるようにヒトを成り立たせつくっているものは、なんでしょうか。それはヒトの言語能力だとはいえないでしょうか。言語は人に経験を記録する手段を与え、それぞれの世代を先行の世代よりいくらかずつ賢くし、宇宙の確定された秩序にいっそうよく合ったものにさせます。ヒトを人たらしめる――過去を見また未来を見て、いくらかぼんやりした意味でですがこの驚嘆すべき宇宙の働きを理解する――そのものは、そしてヒトを全野生動物の世界から区別させるものは、経験を記録する言語能力でなくてなんでしょう。(略)その機能的差異は、われわれの現在の研究手段では全く検知しえないものでありうる構造的差異に依存するものだということを、私はいうのです。
次に『進化しすぎた脳』の第四章から。
人間は声を自由に操れるようになった。「咽頭」……人間はほかの動物と違って咽頭を持ってるでしょ。咽頭を持ったがゆえに、言葉をしゃべれるように脳が再編成されて、今僕たちは言葉を自由に操っている。これはとても大きな影響を脳に与えた。なぜかというと、言葉というのはコミュニケーションの手段としてあるだけじゃなくて、つまり、信号としてあるだけじゃなくて、人間が抽象的な物事を考えるのに必要なツールになったんだ、そういう話をしたね、つまり、意識とか……「クオリア」という言葉を覚えているかな、覚醒感覚ね。ああいった抽象性、いわゆる「心」を生みだすのは「言葉」」である、という話になった。極言すれば心は咽頭がつくったともいえるんだ。
前者は後者より140年以上も前のものだ。それだけの時をへだて分野も違いながら、両者の文章が呼応しているようではないですか。たまたま私が同時期に読んだだけかもしれないけど、そうだとしても、こういうのに出会うのが本読みの醍醐味の一つであると思います。
211.121.46.207 本 545 0 1106147693 コフィン・ダンサージェフリー・ディーヴァー『コフィン・ダンサー』(文春文庫/上下)読了。
映画化され話題を呼んだ『ボーン・コレクター』に続き、四肢麻痺の科学捜査専門家リンカーン・ライムを主人公としたシリーズ。ベッドから一歩も動かずスーパーコンピュータなみの頭脳で犯人を追い詰めていく異色捜査官の本作における敵は、その刺青から「コフィン・ダンサー(棺桶の前で踊る死神)」と呼ばれる殺し屋。大陪審で大物武器密売人に不利な証言をする予定の証人を消すために雇われた彼によって、民間航空運輸会社の社長兼パイロットがその毒牙にかかり、彼の妻が次の標的に。大陪審まであと2日。追う者と追われる者の息詰まる勝負の行方は…。前作『ボーン・コレクター』もなかなか傑作だったが、そのレビューで私は次のように書いている。
唯一不満なのは、やはり動機の稀薄さかな。きちんと説明されているようで、犯罪行為を産み出す必然性を納得させる描写が不足していることは否めない。ミステリーの犯人が「天から声を聞いて殺人を行う」タイプが主流になって以来の構造的欠陥だとは思う。動機以外の小説としての要素が良すぎるのでなおさら気になるのかもしれない。そんな些細な欠点など全然帳消しにしてしまうのが、アメリア・サックスとリンカーン・ライムの心理のドラマだ。今回の印象はちょうどその逆だ。アメリアとライムの恋愛感情も相変わらずつかずはなれず、じれったいくらい徐々に深まってはいくのだが、全然本作の本筋ではない。アメリアは自分の一瞬の躊躇で同僚を犠牲にしてしまい、全編を通じて悔いを噛みしめながら捜査に没頭するのだが、それすらあまり印象は深くない。
そのかわり、今回は犯人側の行動と心理がじっくり書きこまれている。冷静沈着、決して自分の痕跡を残さない謎の殺し屋は、あのリーンカーン・ライムと互角の頭脳戦を繰り広げるプロフェッショナルでありながら、しかし頭の中では常に(架空の上官と)会話をし続ける電波な奴でもある。彼にとって他人は自分の仕事のために利用する存在でしかなく、一時の潜伏先を確保するためだけに孤独な女をナンパしてちゃちゃっと殺してしまう。
しかし、利用しようと途中で拾ったホームレスとかすかに心が触れ合い、内面をちらりと明かしたりする。殺し屋の印象が殺人マシーンから殺人を職業にしてしまった人間に微妙に変わっていく。このへんから私は捜査チームではなく、この殺人者の方に感情移入してしまった。読んでいくうちに彼の精緻な犯罪が成功することを期待するようになってしまったのだ。標的となる人物もななかなかユニークでそれなりに魅力的に書きこまれているにもかかわらずだ。
もちろん「虚々実々の罠また罠」や「驚愕のどんでん返し」なども色々あるのだが、この孤独な殺し屋の描写だけでも、私には前作より本作の方が点が高かったのでありました。
219.192.0.78 本 544 0 1105972849 報復ジリアン・ホフマン『報復』(ヴィレッジブックス)読了。
太陽の街フロリダは、キューピッドに怯えていた――それは若い金髪美人ばかりを狙い、何日も被害者をいたぶったあげく、生きたまま心臓をえぐり出して殺す連続殺人鬼の名だ。
捜査は難航したものの、偶然、キューピッドが捕らえられる。やり手と評判の女性検事補、C・Jが担当することになったが、法廷で犯人の声を聞いた彼女は愕然とした。それは今なお悪夢の中で響く、12年前に自分を執拗にレイプした道化師のマスクの男の声だった! こいつを無罪放免にしてはならない――恐怖に震えながらも固く心に誓うC・Jだったが、次々と検察側に不利な事実が発覚しはじめ……。
「全国の書店員が熱狂!」「P.コーンウェルも裸足で逃げ出す」と帯の惹句は大変なさわぎだ。私はコーンウェルの検屍官シリーズがさほどの傑作だとは思わないが、それでも本書の方が上とはいいがたい。
前半はとても面白い。女性検事補が毅然として告発せねばいけない相手が、自分を過去にレイプした相手とわかったときの驚愕。憎悪せねばならないのにまず感じるのは圧倒的な恐怖だ。なんとか自分がこいつを絶対に有罪にしてやると決意しても、自分が被害者であることがわかれば担当検事からはずされてしまうジレンマ。自分を慕ってくれるやり手の刑事にも真実をうちあけられず、しかも決定的な証拠を挙げることのできない焦燥……。
とっくに犯人がつかまっているのにじわじわ怖さを感じさせるストーリーテリングのうまさはなかなかのものだ。このあと事態は急変、二転三転、意外な展開で読者を飽きさせないのだが……
いかんせん、後半面白くなってきたところで逆にいやな予感がしたとおり、いかにもなハリウッド映画的展開になっていく。ヒロインが凶悪な犯人の罠にはまり絶体絶命ハラハラドキドキ、ってやつですね。
それがいけないわけではないが、あまりに予想通りだとしらけてしまう。最近のアメリカのミステリ作家は自作が映画化されることを前提に作品を書くのかね。それともハリウッド映画的展開がもう血肉と化しているのだろうか
もう一つ、ヒロインがレイプによって受けた心の傷、いわゆるPTSDを強調しているわりに、あまり躊躇もなく担当刑事といい仲になってしまうのはなんだかうすっぺらな印象でした。もうちょっと葛藤してよ!
61.198.189.231 本 543 0 1105886841 張形と江戸をんな田中優子『張形と江戸をんな』(洋泉社新書)読了。
目次
1.欲望の発露(錦の袋にはいった「女の性」女の性欲と張形文化 ほか)
2.快楽の追及(奥女中の性を描いた『床の置物』数字をめぐるおかしさ ほか)
3.開放感の伝播(性愛の先進地・上方の張形・京に遅れをとった江戸の張形 ほか)
4.好事家の世界へ(変貌する張形の用途・女のマスターベイションを描く文化 ほか)
浮世絵や古川柳でおなじみの「
張形 」(女性自慰用の模造ペニス)をテーマに、美貌の社会学者田中優子が江戸のセクシュアリティを考察したのが本書。西洋では女性には性欲がないという神話が支配的だったが、日本にはマスターベイションのタブー視がなく、女性の性欲についても肯定的だった。その証拠が浮世絵に描かれたあまたの張形である。
というのが著者の主張だ。私も江戸文化や浮世絵を愛するものではありますが、あまり西洋文化と比較して江戸文化の優位性を強調するのもどうかなあ。江戸時代だって張形に限らずセクシュアルな画像は公的には禁止されていたわけだし、西洋でも「女性に性欲がない」というのはたてまえにすぎなかったのではないか(参考→度会好一『ヴィクトリア朝の性と結婚』中公新書)。
しかし気になるのはそこだけで、本書中で紹介されている多くの浮世絵の図版と解説は文句なく楽しい。テーマが淫具と自慰なのだから写真やリアルな絵などだったら下品になってしまうところだが、浮世絵の飄逸な線だとそうならないところが不思議だ。
同じ張形がモチーフでも、上方(西川祐信)だと現実の具体例をカタログ化したように実用的で、江戸(菱川師宣)だと想像上の使用例をストーリー化するといった違いがある、というのも面白い。ただし最初はとにかく関西から流行し江戸に伝播したらしい。このへんも現在の風俗産業の流行と同じだね。
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ここのところ、女刑事(検事)もののミステリを続けて読んだので、明日から順次感想を挙げたいと思っています。『報復』『コフィン・ダンサー』『凍える牙』『花散る頃の殺人』『鎖』。
219.192.0.78 本 542 0 1105350316 国芳・暁斎展東京ステーションギャラリーに『国芳・暁斎展』を見に行く。
横幅17メートルという河鍋暁斎の「新富座妖怪引幕」が圧巻。これを見るだけで入場料(800円と安いけど)の元は十分に取れる。その他、暁斎の「地獄太夫と一休」「枯木寒鴉図」、歌川国芳の「宮本武蔵と巨鯨」「勇婦於松」等有名どころはしっかり押さえているリーズナブルな展覧会だ。お勧め。
私が一番引かれたのは暁斎の「文読む美人図」。三回見に戻ったが、唐輪髷に結い上げ低めに帯を締めた堂々たる立ち姿をじっとながめていると動悸が速くなってくる。妖しや。
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図録は普通。それにしても先日買った「大水木しげる展」の図録はすごい。二千円とはとても思えない充実ぶり。水木しげるの好きな人には絶対のお勧め。(会場以外で買えるかどうかは知らないが)
61.198.189.231 美 541 0 1105260238 ダフニスとクロエーロンゴス『ダフニスとクロエー』(岩波文庫/松平千秋訳/挿画ボナール)読了。
エーゲ海に浮かぶ美しい島レスボスの自然に囲まれて育った山羊飼いの少年ダフニスと羊飼いの少女クロエー。春の田園に芽ばえた幼い恋は、やがて二人をはぐくむ自然と季節とともに移りゆくにつれ、しだいに成熟した愛へと深まっていく
ゲーテが激賞したというギリシャ古典小説の傑作だけど、一時は「岩波文庫唯一のエロ小説」と言われてました。(今はサドなんかも入っているから唯一ではなくなってしまった)
このころ(二〜三世紀)の物語でありがちな「ひと目会った瞬間に恋に落ちる」ようなご都合主義な展開でなく、二人の成長とともに徐々に恋愛感情がはぐくまれていく様子が丁寧に描かれている。
接吻もし、ときには抱き合いもするのだが最後の一線が越えられない。こわいのでもなんでもなく「やり方がわからない」のだ。
長老が(遠まわしの)「性教育」をしてくれたり、二人とも羊飼いと山羊飼いだから羊の「しかた」を見て推理したりするのだが、人が教えてくれたのと山羊のしかたでは「向きが違う」ので二人は大いに悩み、結局どうしてよいかわからない。
上の絵はシャガールの連作『ダフニスとクロエー』のうち「フィレータースの教え」。性教育を実地に試しているところですな。もちろん、小説中には行為の詳細な描写はない。
結局、ダフニスを見初めた熟女がセックスの手ほどきをしてくれる(このへんもグローイングアップ系の映画では定番の展開ですね)のだが、それをクロエーにどうもちかけていいかわからない。
そんなこんなでもたもたしている二人には、他の男に横恋慕されたり海賊にさらわれたり色々な試練がのしかかる。クロエーだけでなくダフニスまで男色漢に迫られる。このときのダフニスが相手をとがめる科白が面白い。
牡山羊が牝山羊に乗るのはあたりまえだが、牡山羊が同じ牡に乗るのは誰も見たものはいない。牡羊でも牝でなしに牡を相手にすることはせず、鶏だって牡が牝のかわりに牡とつるむことはない。
古代ギリシャでも同性愛はあまりほめられた話ではなかったようだ。(キリスト教と違い犯罪というわけではないようだが)
まあ、なんだかんだあっても最後はめでたしめでたし二人は末長くしあわせに暮らしましたとさで終わる。
古代ギリシャの風俗やいかにも牧畜社会らしい食べ物の描写が楽しい。ヘシオドスの『仕事と日々』あたりと併読すると面白いと思います。
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今朝の朝日新聞の読書欄で気になった本をメモ。いつもは読みたいと思うのはあまりないのだが、今日は大漁。時間もスペースも小遣いも厳しいのでこのうちどれを購入するか熟考するとしましょう。
- ニコラス・ハンフリー『喪失と獲得―進化心理学から見た心と体 』(紀伊国屋書店)\2,625
- 池谷裕二『進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線』(朝日出版社)\1,575
- P・リトル 『遺伝子と運命』(講談社ブルーバックス)\1,575
- 西沢淳男『代官の日常生活―江戸の中間管理職』(講談社選書メチエ)\1,680
- テリー・プラチェット『天才ネコモーリスとその仲間たち』(あすなろ書房)\1,785
- ジョン・クリストファー『トリポッド 1 襲来』(ハヤカワSF文庫)\651
61.198.189.231 本 540 0 1105109522 水木しげる展江戸東京博物館に『大(Oh!)水木しげる展』を見に行く。
なにより、絵がうまい。漫画や紙芝居以外のタブロー絵画もずいぶん出ていたが、特に風景画がうまいしご本人も好きなようだ。天才少年画家といわれ、極貧の中、自力で正規の美術教育は受けていたようだ。
展示されていた自伝漫画によれば戦地で片腕になったときのエピソードがすごい。手術した軍医は元々は目医者。麻酔もろくな薬もなく、ただ斬り落としてリバガーゼをあててておくのみという治療。腕を失いマラリアに罹って半死半生の身でなお、腹だけはやたらに減っていたという。
水木しげるや、今は漁師をやっているらしい白土三平や(この二人に限ってかもしれないが)ガロ系の巨匠の基本的な画力と生命力は、同時代の他の漫画家よりどうも上のようだ。
図録と画集『妖怪道五十三次』まで買ってしまいちょっと散財。『五十三次』は本当に版木を彫って刷り上げた、53枚組14万円のセットもあったがさすがに手がでません。
211.4.29.37 美 539 0 1105020921 武蔵忍法旅山田風太郎『武蔵忍法旅』(ちくま文庫)読了。
ちくま文庫が独自に編んだ『山田風太郎忍法帖短編全集』の第8巻。半分が未読、半分が既読。
当然、未読の方が新鮮なはずなのだが、やはりそれまで他の短編集に収録されていないというのはそこまでなのか、既読の三編の方が面白さも(再読なのに)奇想の新鮮さもかなり上である。
例えば「近衛忍法暦」。もちろん奇天烈な忍法を使う忍者が活躍するのだが、その忍法によって露になる秀吉の朝鮮出兵の動機が秀逸。実際にこんな気持ちで秀吉は出兵を決意したのではなかろうかと思わせられる。身もふたもないリアルさに中高年としては微苦笑をさそわれた上に慄然とさせられたりする。
未読だった中では「彦左衛門忍法盥」がちょっと面白い。旗本奴が現われはじめた江戸初期を舞台に昭和の戦前派戦後派をパロディにした怪作だ。「下馬棒(げばぼう)組」「呑堀(ノンポリ)組」「放屁(ヒッピー)組」などという言葉遊びがさすがに旧さを時代を感じさせるが、ラストに至って、むしろ書かれた70年代より、21世紀の今現在の状況の方が呼応しているような気になってくる。
いつもながらの感想だが、いつの世も人間は変わらない、ということでしょうか。
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北杜夫『マンボウ恐妻記』(新潮文庫)購入。
219.192.0.78 本 538 0 1104935102 夏目家の食卓TBS『夏目家の食卓』
宮沢りえは美しく可憐で本木雅弘には品がある。久世光彦の演出はさすがで、市川昆の『吾輩は猫である』よりずっと面白い。年末年始で見た番組では一番の収穫。
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D.H.ロレンス『黙示録論』(ちくま学芸文庫)、マイク・アシュリー『SF雑誌の歴史 パルプマガジンの饗宴』(東京創元社)購入。
210.198.167.149 映 537 0 1104760643 悪魔の発明/ほら男爵の冒険 渋谷シアター・イメージ・フォーラムでカレル・ゼーマンの特集を2本見る。一本ずつ普通のロードショー料金なので二人で行くと結構かかるけど、まあ、めったに見られないゼーマン作品なのでしかたがない。ゼーマン作品は大昔NHK衛星放送開始時くらいにたまたま放映された『彗星にのって』を見て以来いかれているのだ。一般受けするかどうかは疑問だけどオールドSFファンとしては大満足でした。『悪魔の発明』はジュール・ベルヌ原作。潜水艦を駆使する悪の伯爵が強力な爆薬を発明した科学者を拉致してアジトの火山島に連れていく。一緒にさらわれた助手の青年が同じ囚われの身の美女を味方につけて悪人たちの野望を挫こうとするのだが……
まあ、ストーリーはどうでもいい。全体の映像がベルヌの『海底二万理』の挿絵のような銅版画のイメージで造られている。背景の海や山はもちろん船や城やインテリアまでも細密な水平線が引かれた銅版画なのだ。その銅版画を背景にして実写の人物が動き演技をする。銅版画風の海と実写の波が合成されていたり、アップになった小道具大道具にまで銅板を模した線描がひかれている凝りようだ。
『ほら男爵の冒険』はさらにファンタジー度夢想度がアップしてゼーマンらしさが堪能できる。月に到着した宇宙飛行士をファンタジー世界の住人が出迎える。シラノ・ド・ベルジュラックやほらふき=ミュンヒハウゼン男爵だ。ほらふき男爵は宇宙飛行士と共に地球にもどり冒険の旅に出る。トルコ兵千人を倒してとらわれの姫を助け、海賊と大魚に呑まれて世界の海を一周し、旧友の戦争に参戦して大砲の弾丸に乗って宙を自在に飛行する。その間、宇宙飛行士とお姫さまの恋を争い、三人でまた月にもどっていく。
描写もお話しも奇想天外奇妙奇天烈。空想幻想の世界を視覚化するのには、CGなどを駆使して徹底的にリアルさを追求する方法が今は主流だけど、ゼーマンのようにリアルにはほど遠いが、徹底的に見る人の脳の空想力幻想力妄想力を刺激していく方法もあるのだよね。こちらの方法はよほどの天才がやらないとただのショボい映像で終わってしまうだろうから、決して主流にはなりえないだろうけど。
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帰りはほど近い六本木ヒルズのライトデコレーションをおのぼりさんよろしく見学して帰途につく。
210.198.167.149 映 536 0 1104630994 私的年間ベスト10【2004】あけましておめでとうございます。
今年最初の本欄は昨年読了本のベスト10です。あまりアクチュアルなラインナップでなくて申しわけない。
- 戦中派焼け跡日記 山田風太郎
- 偽のデュー警部 ピーター・ラヴゼイ
- 完全な真空 スタニスワフ・レム
- お鳥見女房 諸田玲子
- コフィン・ダンサー(上下) ジェフリー・ディーヴァー
- 凍える牙 乃南アサ
- しゃばけ 畠田恵
- 白土三平論 四方田犬彦
- 硝子のハンマー 貴志祐介
- 取り替え子(チェンジリング) 大江健三郎
次点が二冊。
- 夜が終わる場所 クレイグ・ホールデン
- バルタン星人はなぜ美しいか 小林晋一郎
ここにちらほら書く以外ほとんど読了記書いてないけれど、書くのをあきらめたわけではない。メモ程度は書いているので今年こそまとめたい、と例年言ってるなあ。
昨年の読了本はざっと50冊弱。一昨年に比べざっと二割減ですな。読書もそろそろ量より質に転換する時期、なんてことはいいたくないので、今年は読書量も巻き返したいと思います。
210.198.167.149 本 535 0 1104401136 ゴジラ FINAL WARS午前中で仕事納め。つれあいには忙しいと断られ、一人
いそいそ淋しく有楽町日劇Plex2に『ゴジラ FINAL WARS』を見にいく。『映画』としてはどうだかわからないが『ゴジラ映画』としては満点でしょう。いやなことを忘れて能天気な元気を出すには最高です。
ゴジラには思い入れはあるものの、それほどのゴジラファンというわけではない。最近の数本はまったく見てなかったし。ひさしぶりに感じたのは、日本の特撮もレベルがあがったなあ、ということ。怪獣バトルが童心とかマニア心とかにたよらなくても普通に楽しめるレベルに達していた。昭和ゴジラがプロレスなら、平成ゴジラがUWF、『FINAL WARS』はK−1というところか(わかりにくい比喩ですみません)。ハリウッドの特撮はすごいけど、重量感のあるモンスターバトルというのは見たことないから実質世界一といっていい(のかあ?)。
ラドンやモスラの形態や飛翔シーンもかっこよくなっているし、元々もっさりした印象のあったアンギラスのスピード感あるアルマジロアタックなんて、曙がバク転したぐらいのインパクトがあった。サイボーグ怪獣=ガイガンの戦い方はSWのボバ・フェットを意識してるみたいだし。怪獣好きは見て損はしないことを保証します。
人間ドラマ(笑)は軽くはしょって、アクションに徹していたのはこの映画に限っては正解。脚本は過去の東宝特撮映画とスター・ウォーズやドラゴンボールの色々つぎはぎてんこもり。主役の松岡はゴクウで(最高の怪演がはじけまくっていた)北村一輝はベジータだ。そういうこと。
映画のコンセプトが怪獣バトルロイヤルだからか、やたら格闘家が出ていた。準主役というか一番かっこいいとこを持っていったドン・フライはもちろん、南極でまったりしていたグッドリッジやレイ・セフォーもいい味を出していた。ミュータント部隊の鬼隊長船木誠勝は強すぎ。X星人にヒクソン・グレイシーがいなくてよかったね。
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ひとつ文句をつけるなら、折角海外ロケも敢行したのだから、「国連から派遣された美貌の女性科学者」は菊川怜ではなくて、だれか金髪の……
210.198.167.149 映 534 0 1103381470 スカイ・キャプテン日比谷スカラ座2『スカイ・キャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』。
いやあ、面白かった。私のようなオールドSFおたくにはたまりません。アンジェリーナ・ジョリー最高。ジュード・ロウ美男。グイネス・バルトロー優美。スクリーンの大きな映画館でやってるうちに見に行けなかったのは痛恨の極み。よーし、とーさんDVD出たら買っちゃうぞ。
エンパイアステートビルに「接岸」するヒンデンブルグ号。ニューヨークを襲うレトロなスタイルの巨大ロボット。羽ばたくUFOのような飛行機械。対するヒーロー、スカイ・キャプテンが駆るのはなんとプロペラ戦闘機。なのに水陸両用。ヒロインはロイス・レーンのような向う意気の強い金髪美人。銀塩カメラとタイプライターをバリバリ使いこなす。
スーパーサイエンスとアナログ計器が共存している世界は鉄人28号かペンギン村か。フラッシュ・ゴードンかキャプテン・フューチャーか。全編に散りばめられた細かな引用を上げていったらきりがない。パンフなどに載っていなくて私が気がついたネタも結構ある。50〜60年代のSFパルプ雑誌のヴィジュアルイメージが多い。たとえばクライマックスの「方舟」ロケットは、フランク・R・ポールという人の描いたそっくり(というよりそのものずばり)の絵がある。ロケットの形だけでなく、つがいの動物が詰まれていくとこまで同じだ。
巨大ロボットもラピュタのロボットに似ているが、これもむしろSFパルプ雑誌のロボットのイメージだろう。光る眼の部分のデザインはSFクラシック映画『地球の静止する日』のロボット、ゴートに似ている。金属の触手と細い脚は『宇宙戦争』(映画でなく小説の方)のウォー・マシンかもしれない。
しかしオタクっぽいトリビアルなネタだけでなく、意外と繊細な小技が効いている。スカイ・キャプテンはヒロインをはじめ、みんなからジョーと呼ばれている。なのにアンジェリーナ・ジョリー扮する女軍人だけがジョセフと呼ぶ。なにか他とちがう二人の関係を暗示してうまい脚本だと思いました。007シリーズを連想させるラストシーンも予想を軽く裏切ってくれてなかなかおしゃれ。
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オタクな世界をプロフェッショナルなキャストとスタッフで造り上げた監督の次回作はE・R・バローズの『火星のプリンセス』だそうな。そりゃー嬉しいですが、あまりにツボにはまりすぎると逆に不安であります。
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大塚英志『オタクの精神史』(講談社現代文庫)、保阪正康『吉田茂という逆説』(中公文庫)、クレイグ・ホールデン『夜の終わる場所』(扶桑社ミステリー文庫)、山田風太郎『武蔵忍法旅』(ちくま文庫)購入。
219.192.0.78 映 533 0 1102516569 熱狂婦人の群れBBSに「外人は大人の顔になるのが早い」という話題がでたが、西洋人にとって「大人の顔になる」のは価値があることなんだろうね。
日本人はなにがなんでも「若い」ことに価値がある。年齢を重ねることを忌み嫌う、かのように思える。うちの娘や友達をみていても、彼女らが重要視する価値は「かわいい」ことだ。(まあ、ボキャブラリーがないだけかもしれないが)
つい最近話題になった韓国人俳優に熱狂するおばさんたちも、大人の女として一歩離れて自分を見たら、みっともなくてあんな真似はとうていできないだろう。きっと、自分が大人であることを忘れて、自分の中の(あると思いこんでいる)「かわいさ」にしがみついているのに違いない。
だって、冬ソナのペ・ヨンジュンって、熱狂婦人たちが少女だったころに夢中で読んでいただろう(そのころの)少女漫画に出てくる美青年そのまんまではないか。
61.198.190.63 時 532 0 1102428498 雨上がるBS映画劇場『雨上がる』。
どうしても黒澤明の遺作を弟子が撮った映画という目で観てしまうが、そんな先入感をはぶけば端正な良い時代劇でした。いまやちゃんとした所作と立ち回りを見ただけでも秀作と呼びたくなるのが情けないが、寺尾聡もなかなかの殺陣を見せて達人ぶりを見事に演じている。
しかし娯楽映画としては、ちょっとバランスが悪い。(以下ネタバレにつき注意)城での御前試合のすぐあと、宿への帰り路で主人公は侍の一団にに襲われる。中盤の見せ場である御前試合で盛り上げたあと、またすぐ立ち回りである。このテンションで盛り上がっていくのならいいのだが、そのあとは淡々とした夫婦情愛物語がラストまで続くのだ。主人公が剣の稽古をしに妻と離れる場面があるのだが、私はてっきりここに悪侍たちが現われて妻がさらわれるのだと期待してしまった。そしたら夫は淡々と帰ってきて「ではいきましょうか」「はい」だもの、こけてしまいました。
もちろんアクションだけが映画ではない。情愛物語ならではの見せ場も盛り上がりもあるから、決して面白くなくはないのだが、やはり悪侍たちとの対決はラストに持ってきてほしかった。
寺尾もよいが妻を演じた宮崎美子ははまり役。それよりさらにはまり役は主人公の浪人を剣術指南に採用しようとする殿様を演じた三船史郎だ。親父ゆずりの口跡の悪さと大根ぶりはかなりのものだが、豪放磊落でちょっとわがまま、でも考え方は真っ当というキャラに実にはまっている。うまい演技でなくとも光ることがあるのが映画の不思議さだけど、それを引き出した小泉尭史監督、黒澤組二代目だけのことはあると思いました。
他に松村達雄、井川比佐志、原田美枝子という黒澤映画にはおなじみの達者な面々。
219.192.0.78 映 531 0 1102235764 HANGA 東西交流の波展今日は予報では雨。一日絵でも描いていようかと思っていたが、明けてみれば師走というのに真夏日。異常気象の中、インドアにこもっている気にはとうていなれず、芸大美術館に『HANGA 東西交流の波展』を見にいった。
古今東西の版画(木版、エッチングetc.)が240点。まあ、有名どころが多く新鮮さはないが、デューラーの「犀」が見られたのは嬉しい。
近世近代のに比べて現代版画はどうも素人には難解で良さがわかりません。ウォーホールやリキテンシュタインがいくらもてはやされても、はあ?と馬鹿丸出しで口をあけているしかない。横尾忠則とヴンダーリッヒは良かったけど。
240点中一番インパクトがあったのは結局(これまで何度も観ているのだけど)北斎の「神奈川沖波裏」でした。北斎のは「萬福和合神」の交合図も出ていた。春画がそのまま展示されているのを見たのははじめてだ。
技術的に舌を巻いたのは、江戸時代の小紋の型紙。精緻な紙の切り抜きを眼前数センチで見たけれど、コンマ何ミリが制御された仕事は神業としか思えません。
219.192.0.78 美 530 0 1102171943 フィギュア仏大会の表彰台は美男子揃い踏み今日のフィニッシュはすごかった。といってもガオグライのハイキックではなく、フィギュアスケートフランス大会・男子シングルの表彰台の話。
百景掲示板でもちょっと話題のアメリカの「王子様」ジョン・ウィアーが優勝したが、2位3位も王子様の影が薄くなるような超美形ぞろい。男の私が見ても口がポカンとあいてしまうような光景でした。
ウィアーは少女と見紛うような美少年だが、準優勝のフランスのユベールはさわやか系の男らしい美男。きわめつけは、3位に入ったカナダのエマニュエル・サンデュ。濡れたような黒髪、彫刻のような美貌、フェロモンむんむんの風貌は、やっぱり東洋人ではとてもかなわない。彼に比べたらペ・ヨン・ジュンなんてただののっぺりしたにーちゃんだ。
たまたま娘と二人で観ていたのだが、例によって選手たちの美貌をネタに、心温まる会話がくりひろげられたのだった。
私「俺が金髪の美女に生まれ変わったら、さっきの王子様みたいのより、こういうフェロモンむんむんのと○りたいと思うぞ、きっと」
娘「○りたいとかいうな。それに生まれ変わりのたとえが逝っちゃってるし」
私「生まれ変わるには一度逝っちゃわないと……んなことより、王子様とフェロモン男は女から見たらどうよ」
娘「たしかにあたしも王子様よりこっちの方が好みかな。でも王子様につきあってくれと言われたらつきあっちゃうけど。」
私「言われねー言われねー」
娘「そりゃ言われないかもしんないけど!」
私「いや、外人は日本人の顔なんてわかんないから、もしかしたらうわ何をす☆△○!×_◇?〜※◆;・・」◇
K1は冒頭にも書いたガオグライの試合だけ見ればいいという感じかな。
210.169.69.98 ス 529 0 1101480451 マチス展/オランダ・マニエリスム版画展仕事を早めに上がって、国立西洋美術館で『マティス展』を見る。
もちろん、有名な切り絵作品「ジャズ」をはじめ、マチスの「色」を堪能したのだけれど、意外とよかったのが彫刻作品。あのデフォルメされた人物画そのままのブロンズ像が、実際に立体感と量感を持っているのを見ると、その存在感にちょっと感動しました。直後に常設展で見たロダンの端正な彫刻がつまらなく思えてしまった。
なかでも「背中」という4点のブロンズの連作が面白い。題名通りたくましい女性の背面がモチーフなのだけど、最初の作品は骨格や筋肉表現がリアル。それが2点目3点目と段々表現が単純化されていく。4点目=最後の作品はほとんど抽象彫刻で両脚などまっすぐなただの円筒になってしまっている。が、これが実に力強い形なんですね。
今回も展示されている「ヴァイオリニスト」という絵に描かれている人物がまさしく円筒のような脚なのだが、彫刻『背中』を見たあとだとその形に説得力があるのだから不思議だ。
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常設展では『オランダ・マニエリスム版画展』。
お札の肖像画のような超絶技巧のエングレーヴィングやエッチング。
モチーフには結構猥雑なのもあって私好みでありました。
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西洋美術館は地下展示場ができてからははじめて。金曜日は20時まで開館。夜はさすがにゆったりと見ることができる。
61.198.191.248 美 528 0 1101216550 玉堂/紅葉/マイヨール絶好の紅葉見物日和ということで、以前から行きたかった御嶽山の玉堂美術館へ。川合玉堂は大好きな日本画の巨匠です。この美術館、展示品は多いとは言えないが、多摩川の渓流に面した石庭が美しい(左写真)。玉堂の画室も再現されていたが、こんな空気のいいところで渓流と山並をのぞみながら毎日絵を描いていられたのなら長生きもしようというものだ。うらやましや。
御嶽駅をはさんで渓流をさかのぼったところにあるのが御岳美術館。コーヒーを飲みながら、展示品を鑑賞できるスペースがあるのが面白い。
彫刻にいいものがある。有名な荻原守衛「女」やマイヨールの「トルソー」など。とくにマイヨールのはあまりにも完璧なフォルム。完璧な肉体は芸術的感銘とはちょっと距離があるように思うけど、この「トルソー」は完璧すぎるゆえに肉体というより神性のようなものを感じさせられてしまった。帰りがたく、なんども見に戻ってしまいました。すいているのをいいことにずうっとまわりをぐるぐるまわっていたのだから、かなり気味の悪い人だったかも。
61.198.191.248 美 527 0 1101135401 記憶で描くその1掲示板で話題のでた「記憶だけで描く」その1。
『ナンシー関の「記憶スケッチアカデミー」』のお題で最初に眼についた(過去に描いたことが一回もない)「ラクダ」を記憶だけで描いてみたのだけど……顔がヤギだか犬だかアホ面の人間だか……ラクダの正確な姿を知るのがこわくて図鑑を見られません(泣き)。
◇
ジリアン・ホフマン『報復』(ヴィレッジブックス/吉田利子訳)購入
61.198.191.248 絵 526 0 1101043871 マラソン日和今日はよい天気でしたなあ。息子は例年の区民マラソン大会に参加して去年よりちょっとタイムが落ちたとか言ってくやしがってました。元気なことで。
イタリアのジェノベーゼが優勝、2位は嶋原清子、昨年の優勝のアレムは3位、千葉真子は4位だった。解説の増田明美によれば千葉は小出監督が「太ったんじゃないか」というのを気にして、前日はウドンを数本という食べ方だったそうだ。でも、優勝したジェノベーゼは筋肉の発達したがっちりした体つきだったよ。千葉の細さとは対照的だ。
たしか高橋はこの前も肋骨を骨折していなかったけ?千葉もそうだけど、減量が悪影響を及ぼしてるような気がするのは素人考えだろうか。マラソンは細いほどいい、軽いほどいいというという常識?で骨や筋肉が貧しくなっているのでなければいいけど。小出監督、精神的指導力には長けているのだろうけど、あまり科学的には見えないからなあ。印象だけで言ってるので間違ってたら申し訳ないが。
210.169.68.247 ス 525 0 1100616630 ゴジラ!仕事が忙しいとかいいながら、BS2のゴジラ特集をずうっと見ているのだから我ながらしょうがないね。
昨日は『キングコング対ゴジラ』を夜中の2時まで見てしまったから眠くてしかたがない。小学校あがりたてくらいのときにリアルで(映画館で)見たときはワクワクしたのだが、今見ると駄作ですなあ。話の運びがまるで社長シリーズだ。
最初の『ゴジラ』は思っていた以上の傑作。キンゴジ以降にくらべて脚本にも編集にもゴジラの姿態にさえ品がある。白黒だからアラが目立たないということもあるだろうが、夜空にそびえる闇色のゴジラの巨体は恐怖感がある。東京攻撃場面の最後のカット、焼け野原と仁王立ちのゴジラの絵は実に名シーンであると思いました。
その後の被災者の描写など、中越地震のあとだけに生々しいったらありゃしない。平成版『ガメラ』シリーズが怪獣に蹂躙される建物の中にいる「人間」を描いた、と評価されたけど、それは新しさというより、初代ゴジラへの回帰であったんだね。
今日は『三大怪獣地球最大の決戦』。これもリアルタイムで見たのだが、今回見ても『キンゴジ』よりはだいぶまし。コントのような怪獣バトルも「味」だと思えば許容範囲。プロレスを見ているようなものである。現在の眼で見てもキングギドラの造型と動きはかっこいい。ウネウネと動く三つ首と二本の尾の生物的リアルさはCGにも負けていない。操演の勝利ですな。
なにより「電波金星人」若林映子がとんでもなく美しい。この魅力は小学生だった私にはわからなかったなあ。未熟でありました。
211.121.46.207 映 524 0 1100320307 石森章太郎の思い出掲示板にちょっと書いたが、家族とイタズラ描きで遊んでいたら、昔よく模写した石森章太郎キャラは、結構そらで描けることが判明した。調子にのって、Painterで描き直したのが、左の絵。
描いてから、旧いマンガ本をひっぱりだして検証してみた。「さるとびエッちゃん」は似ても似つかないので削除。市さんの顔(眼の下のシワとあご)と島村ジョーの顔(眼と眉)と光線銃をちょっと描き直した。あとは記憶で描いたままなので、まあ微妙です。
でも、009の下半身のデッサンはひどいな。ミュータントモグラの眼の下は土に隠れているのが正しい。昔の漫画家はベレー帽がトレードマークでした。
『サイボーグ009』はおそらく日本で一番最初期の新書判コミックだろう。(本当の一番は同じ著者の『ミュータントサブ』だと思うが、当時の版元のコダマプレスはたしか倒産してもうないはず)
『サイボーグ009』は少年キングの連載当初からリアルタイムで読んだが、もうはまったものです。なんといっても「サイボーグ=改造人間」というガジェットが魅力的だった。ごぞんじのように登場人物たちは改造によってそれぞれ個性的な超能力を持っているのだが、主人公の能力は「加速装置」。なんとも独創的な能力だと思っていたのだが、ちゃんと元ネタがあることを後年知ることになった。
元ネタはアルフレッド・ベスターの名作『虎よ、虎よ!』だ。一般人の何百倍のスピードで動けて姿も見えなくなるという能力の内容はもちろん、奥歯が加速スィッチになっているというとこまで一緒である。本歌取りするのはかまわないけど少しはアレンジを加えたらいいだろうに、と思ったものだ。どうも石森章太郎にはこの手のことが多くて、大好きだったのにだんだん熱が冷めてしまったのでした(だんだん面白くなくなったということの方が大きいけど)。
『仮面ライダー』以降はほとんど読んでいない。
61.198.198.236 絵 523 1098608794 戦中派焼け跡日記やっと少し余裕ができてきたら、天気がぱっとしない。こんな日はのんびり読書にふけるが極楽。ということで読みかけだった『戦中派焼け跡日記―昭和21年』(小学館)を読む。
戦後最高のエンターテインメント作家、山田風太郎が24歳の医学生だった若き日の日記。どんな時代だったかというと、こんな時代だ。
七時四十分東京駅着、地下道に並ぶ。蜜柑の皮など食い捨てる男をM・P胸ぐらつかんで叱りつけている。言葉分からぬながら日本人はぺこぺこして皮を拾い上げる。
今の日本にはM・Pはいなくなったけど、平気でゴミを食い捨てる人も復活してしまったね。
当時はちょうど新憲法発布直前でもある。若き著者は戦争放棄について懸念を表し日本の将来を憂慮する。
不戦の憲法その試みにおいて壮なるべくその志において美なりとするも、不可避の事を憲法化して世界に公言し、後に至ってこれを破るの他なきに至らば、その事情よし已むを得ざるも世界は之を認めずして、唯法を破るの事実を責む。(略)政者三思四省して千秋の末を想うべきなり。
『戦中派不戦日記』、『戦中派虫けら日記―滅失への青春』と読みついできて、常に驚くのはその読書量である。ミステリー等内外の小説をはじめ、古典、漢文、ほぼ一日一冊くらいのペースではないだろうか。医学の勉強はもちろん、疎開先の農作業を手伝い、長文の日記を欠かさない。それなのに自分は生来の怠け者と半分本気で思っているらしいのが困ったものだ。天才なり。
たとえば陸奥宗光の『蹇蹇録』を読んでの感想を引用してみる。敗戦直後の若き純な知識人の思いが伝わってくる。
明治は古し昭和は新し、されど歴史の眼をもってせばその時間的前後は問うに足らず、勝利の明治人の方が敗北の昭和人より遥かに偉大なりしこと決定的なることを知る。而して、例え我田引水自画自賛の気味多少免れずとするも陸奥の俊敏無比の外交家なりしことと、大東亜戦にかくのごとき人なかりしこと――本戦争敗北の真因は、科学の劣等なりしこととともに、外交の拙劣その第一等に属するものにあらざりしかと考う。
この「明治人」という言葉には注がいる。著者はのちにエッセイ(『風眼抄』所収)で「
明治人とは時代を創り上げた人々のことであって(略)たいてい文久とか慶応に生まれた人々である」と指摘し、「自称「明治人」こそ、あの未曽有の大敗戦をまねき、戦後においても滑稽なほどの醜態をさらした日本歴史上比類のない骨なしの世代ではなかったか」と評している。当時の風俗や若き風太郎の思考生活ばかりに興味がいくが、日記に記される日々の自然描写、情景描写が美しい。たとえばこんな朝の風景。
朝霧深し。白々と長るる中に、紫の木蓮、薄紅のシャクナゲの花濡る。霽れて染めたるがごとき蒼空現る。空気透徹して光燦爛と満地に漲り微風快し、梨の花盛り、その樹の下を花散るがごとく白き蝶舞う。無花果、桑の白き枝もその先端に青き固き新芽を巻き出せり、コーヒー色に濡れたる畠土より、エンドウも青き髭を空中にサシ伸ばし有り。白き日の下に蛇ととぐろを巻けり。燕小川の水面を掠め、水浴をなす。椿の花、堆く落ち積みて妖麗なり。苗代の水冷ややかに光り雀おどしの黒き布片微風にゆらぐ。金色の蜂また美なり。
例えばこんな夕刻の情景。
松林の緑暗みて、黄昏に茫と溶けるころ帰る。遠き山脈に残雪ひかり、手凍るがごとし。上限の黄色なる月昇りて、家近くなりたるころ吾が影路上に浮かぶ。
もちろん、日記である。天気や物の値段やその他俗っぽいできごともたくさん書かれている。
十円出したら釣がない。乗客が細かくしてくれて五円五十銭出したら十銭のツリも呉れぬ。女車掌はワニ革の財布のような顔をした少女であったが、ツンツンして生意気不遜極まる。
まだ、本書のあとに刊行されているものだけでも、『戦中派闇市日記―昭和22年・昭和23年』、『戦中派動乱日記―昭和24年昭和25年』と続く。楽しみはまだまだつきない。
211.126.29.15 本 522 0 1098160334 不謹慎と思いつつ笑ってしまったニュースを3本ほど金融庁は18日、7月末に2金融機関から提出されたマネーロンダリング(資金洗浄)関連の情報を含むフロッピーディスク2枚が同庁内で所在不明となったと発表した。このうち1枚については金融機関と取引した者の氏名や、取引場所、取引相手方の個人情報が含まれていた。
いまどき、フロッピーかい?! というのも驚きだが、バックアップはどうなってるのだろう?この紛失でデータがなくなって追求が不能になってしまったとしたら、大問題。心配がデータの外部流出だけなら、たいしたことはない。迷惑をこうむるのはやばい取引をしたお金持ちの方々。私ら貧乏人には関係ないもんね
“横恋慕”。県警職員の同僚宅に忍び込んだとして、福井県警は19日までに、県警運転免許課行政処分係長を住居侵入の現行犯で逮捕した。同僚宅では以前から、妻の下着が盗まれる被害が相次いでいた。この係長、どうやら美人妻に恋心を抱き、パンツ泥棒に入ったようで…。
(略)課長の妻について、あわら署関係者は「取り立てて美人というわけではないが、明るく好かれるタイプ。それで気に入られてしまったのかも…」と、身内のトホホな事件に困惑している。
下着盗られただけでも大迷惑なのに「
取り立てて美人というわけではない」と断言された被害者は踏んだり蹴ったり。これこそ悪質なセカンドレイプではないかいな。今ごろ近所で「あれが取り立てて美人ではないAさんの奥さん」とか言われているのではないか、他人事ながら心配です。PRAVDA英語版が「ビッグフットと生活していた少女の告白」という、にわかに信じがたい記事を掲載している。これはセントピーターズバーグの精神科医ニコライ氏によって最近明らかにされたもので、彼の担当していたある女性患者の診察記録を文章として書き直したものである。
詳細はリンク先をどうぞ。下手な映画より面白い!まあ、眉唾もののホラ話として聞くのが正解なんだろうけど、これだけよくできた話(謎めいたラストのB級テイストが思い切りツボ)だと無理にでも信じたくなりました、私は。
しかし……2ちゃんだと、ここは「(ビッグフットのではなく)少女の画像、激しくきぼんぬ」というところか。
223.133.81.214 時 521 1098023716 興福寺国宝展東京藝大美術館に『興福寺国宝展』を見に行く。くたびれている時はボリュームが小さいこの美術館がちょうどいい。
やはり鎌倉期の木像が良い。(主な出展物の写真)十二神将は4体が出ていた。四尺位の小品ながら力感、デザイン見応えがある。2m以上の巨大な四天王像よりずっといい。良く見ると十二神将が「国宝」。四天王が「重要文化財」。露骨に違うものだね。
いつもは四天王に踏みつけられている邪鬼の立像が出ていた。展覧会上期は天燈鬼、今日は龍燈鬼。上目づかいのユーモラスな表情といい、デフォルメされていながら力感たっぷりの筋肉描写(尻!)が素晴らしい。
しかし圧巻はやはり「国宝 金剛力士立像 阿形」だった。憤怒の表情といい写実的かつ劇的な筋骨といい、これだけで十分入場料の価値はありました。
いつも空いている藝大美術館にしては結構な混みよう。父親に話したら「ああ、二回くらい見たな。興福寺だとがらがらなんだけどな」とのこと。それはそうだろうけど、なかなか南都まで気が向いたときに行くというわけにはいかないからね。
219.192.0.78 美 520 1097418455 地上最大のロボット/PLUTO浦沢直樹『PLUTO 1 (1) 【豪華版】 ビッグコミックススペシャル』(小学館)。アマゾンに注文していたのが思ったより早く到着。
掲示板にも書いたように、浦沢直樹の『MONSTER』が私にはもう一つという印象だったので購入を躊躇していたのだが、そんな先入観を吹き飛ばす面白さ。ひさびさにわくわくしながらマンガを読んでしまいました。
原作?である手塚治虫の鉄腕アトム『地上最大のロボット』がB5判で別冊としてついている。(同じB5判のカッパコミクス判なら古書店でとんでもない値段だろうからお得かもしれない)40年近い時代差のある作品を比較するのもなんだが、あえていえば、昭和ガメラと平成ガメラの違いというところだろうか。
原作ではロボット同士の格闘が前面に出ていて、ロボットたちの個性の描写はあっさりとしていた。あっさりといってもそこは手塚治虫、10人近い登場ロボットそれぞれのキャラは見事に立っているのだが、それぞれのロボットの人生まではわからない。そこまで描くことは、当時の雑誌連載マンガでは許されることでもなかったろう。
さすがに平成浦沢版は描写のボリュームが違う。たとえば、プルートウと2番めに闘うノース2号は執事ロボットなのだが、原作と同じ科白にたどりつくまでに、ノース2号と主人の(感動)物語に100頁近くが費やされる。
もちろん手塚治虫の原作にそれだけの行間を想像させる力があるということも言えるのだが、やはり現代のマンガの方が進歩している、というのが正解だろう。これはミステリーでもホラーでも色々な分野についても言える。ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』よりキングの『呪われた町』の方が現代人には面白いだろう。例外は映画かな。ガメラはリメークの方がすばらしい稀有な例だが、あとは『七人の侍』でも『サイコ』でも『グロリア』『ゴジラ』でも、圧倒的に原作の方が面白い。
『PLUTO』も、ロボットの造型だけは手塚治虫の原型の方が力強い。ゲジヒトやアトムは人間と変わらない外見なのでしかたがないが、ノース2号のフォルムなどは原作の方がずっとかっこいい。
人物もうまいのだが、美人系の女性がみんな基本的に「YAWARA」顔でドイツ人に見えないのは『MONSTER』から進歩してないですね。美人でない女性はちゃんと西洋人顔にしてるのだから力不足というわけではないのだろう。
それ以外は文句はない。鉄腕アトム以外にハンニバル・レクターやブラックジャックを彷彿させるキャラも登場して、今後どんなキャラが登場するのか非常に楽しみであります。
219.192.0.78 漫 519 1097327508 アメリカン・ジョークの世界杉田敏『アメリカン・ジョークの世界―カテゴリーでさぐる笑いの構造』(ジャパンタイムズ)読了。
ジョーク本には目がない。フランス小咄、ユダヤジョーク、ロシアジョークはもとより、中国明朝の『笑府』や日本の古川柳も好物である。しかし何十冊も読んでくると似たような話しが多くなり、斬新なのにはなかなか出会えなくなってくる。
本書は原文でアメリカンジョークが紹介され、続いて邦訳と解説があるという体裁。日本語にしたらわからないだろうという話も載っているので、さすがにほとんどが初見だった。
もう一つの特徴はジョークをカテゴリー別に分けていることだ。冒頭で五つのカテゴリーから代表的なのを30紹介している。この30というのは、アメリカで14,500人を対象に行われた調査に使われたもの。アメリカ人もなかなかジョーク好きだ。
そのアンケートによる好きなジョークのカテゴリー別順位は次のとおり。
順位は古今東西どこも変わらない感じ。日本だと人種差別ジョークは少ないが、これは鎖国の影響だろう。その代わり地方差別ジョークは多い。
- sexual joke シモネタ
- ethnic joke 人種差別ネタ
- hostile joke 自虐ネタ(ヒロシです……)
- wordplay joke 地口、駄洒落、言葉遊び
- silly joke アホバカネタ
*
一番人気のsexual jokeから一つご紹介。
3人姉妹がそれぞれデートに出かける夕方のことです。
長女「おかーさん、私、ピートと食事に行くわ」
ママ「いいわよ、楽しんでいらっしゃい」
次女「私はランスと踊りにいってくる」
ママ「わかったわ」
三女「私はバックといくの」
ママ「だめ!あなたはうちにいなさい」
これだけだと、なにがおかしいのかさっぱりわからないが、原文は次のとおり。
Three young sisters had dates that evening.
The first one said, "Mother,I'm going out with Pete to eat."
"All right," Mother said, "Have,a good time."
The second sister said, "I'm going out with Lance to dance."
"O.K."
Then the youngest girl said, "I'm going out with Buck tonight."
"No,no," Mother said, "You are not going out."
"Pete to eat"、"Lance to dance"、とデートの相手の名前とデートですることが韻を踏んでるのですね。なのでBuckとすることはfuckだろうということで、お前にはまだ早い!とマミーは思ったのでしょう。
*
不人気のsilly jokeはたしかに面白くないのが多かったけど、中では妙な味が印象的だったのを一つ。
A policeman walked up to a man with a frog growing in his ear.
Policeman: "Sir, what is that thing sticking out of the ear?""
Frog: "I don't know. It started out as a wart."
wart:いぼ。
61.198.191.147 本 518 1096706307 イチローを見て思う警官が耳からカエルを生やした男の方へ歩いてきた。
警察官:「あなたの耳から突き出ているのは何ですか」
カエル:「知りません、最初はイボだったのです」
やっと、その瞬間をリアルタイムで見られた。257安打のタイ記録のときには花火があがっただけだが、新記録達成時にはさすがに試合は中断し、チームメートの祝福を受けたあと、イチローは観客席に出向き、前記録保持者シスレーの娘であるご婦人に挨拶、一緒にいた孫だか曽孫だかたちとも握手をかわしていた。なかなかいいシーンでした。
日本のマスコミは昨日の時点で
あと1本といっていたが、タイ記録までではなく、新記録まであと2本がやはり普通の感覚だろう。なぜあんなカウントダウンの仕方をずっとしていたのだろう。それはともかく、あらためて見てみるとイチローはまずまずハンサムである。
松井秀喜もゴジラでにしこりだけど、男らしいいい顔をしている。野茂も仏頂面のイメージが強いが決して醜男ではない。長谷川は髪が薄い弱点に目をつぶれば美男といってもいいだろう。小泉首相を除けば世界のマスコミにもっとも露出する日本人である大リーガーたちが、見てくれがよろしいのは偶然とはいえ、喜ばしいことではないだろうか。木田、石井、松井稼、田口……微妙ではあるが。
その意味で新庄が日本にもどってきてしまったのは、惜しかった。あとは中村紀が日本球界に骨をうずめてくれることを祈るばかりである。
61.198.191.147 ス 517 1096298341 拾遺『成田真由美が競泳で7冠』って、普通にすごくないか?イアン・ソープなみじゃないか。
これがパラリンピックでなくてオリンピックだったら、間違いなく国民栄誉賞だろう。というか、私が小泉首相だったら総理大臣賞だすけどね。
◇
アテネオリンピックの「栄光への掛け橋だ」で職人芸を見せつけたNHKの刈屋富士夫アナ。相撲中継でも地味に小技を出しているのだね。
力士紹介で「
61.198.191.147 ス 516 1096201421 ヴィレッジ出る出る出島」ってのはなんだよ。笑っちゃったじゃないか。日劇PLEX『ヴィレッジ』。
ナイト・シャマラン監督の作品は『シックス・センス』にしても『アンブレイカブル』にしても、私には決して損をしない映画という安心感がある。売り物のサプライズ・エイディングと叙述トリックは常に賛否あるが、私が好きなのはむしろ語り口の方だ。カメラワークは心地よいし画面作りも丁寧だ。サスペンスフルな雰囲気を盛り上げていく編集、カット割りがうまいし、無駄なカットがない。
本作では、アンドリュー・ワイエスの絵を思わせる今世紀初頭のアメリカの農村風景が素晴らしい。実際ロケ地はワイエスの居住地のすぐ近くらしい。シャマラン監督初のラブストーリーという触れこみだが、旧弊な村が恋愛の背景となっていることでロマンチック感がいや増します。ヒロインの女優さんがやけにうまいと思ったらロン・ハワード監督の娘なんだね。
ただし、売りのどんでん返しの方はあまり効いていなかった。私が無心に見ていれば結構驚いたのだろうけど、見ながら「この村は本当は[全体が刑務所で、村民は重罪人の子孫。閉じ込められているのにそれを認めたくなくて勝手に伝説を創造した。外界は死刑のなくなった未来社会]だった」なんていう余計な先読みをしたのが良くなかった。全然当たっていなかったけど、いらない想像をした分、驚きが半減してしまった。シャラマン監督の映画を見るときは無心で行くことを薦めます。(自戒)。
恒例の監督自身のカメオ出演はこれまた恒例の鏡映像との合わせワザ。ちょっとわかりにくいのでご注意。(一緒に行ったつれあいは気がつかなかったらしい)
◇
ここひと月ばかり、頭ん中がVBとPERL(と少しC)で一杯で他のことを考える余裕がありません。絵を描くこともできない。この状態もあと2週間程度で楽になる(なってほしい)予定なので、更新もそのあとにはなんとかしたいです。
61.198.191.147 映 515 0 1095172209 石原豪人展弥生美術館で開催中の『石原豪人展』に行った。9/12(日)
一世を風靡した挿絵画家だけど、私には少年マガジンなどの「大図解口絵シリーズ」やプラモデルの箱絵が懐かしい。初期の時代物は岩田専太郎を俗っぽくしたような画風。後年は劇画やアメリカンイラストっぽくなる。ノーマン・ロックウエルが好きだったらしい。
なにを描いても怪奇性とエロスがただようけど、過剰ではない。平明でわかりやすく、思想的なところやカルト的なところは全くない。いかにも職人的な画風である。そこが好きなのだがね。
いっとき、あまりに「濃すぎる」画風が売れなくなって、SM雑誌や「さぶ」などにも描いていたという。「
仕事に貴賎はない。仕事を差別しない人間こそ本当に高級なんだ」なんて言ってなんでも描いたらしい。どんなものでも描けるし、どんな題材でも絵が描ければそれでよし、という人だったようだ。究極の職人だね。さぶの「美青年」絵もうまいんだけど、内藤ルネのような「その趣味の人」らしさは全然感じない。だれにでも薦められるというような展覧会ではないが、私はひさしぶりの石原豪人をたっぷり堪能しました。講談社は「(少年マガジンの)大図解百科シリーズ」を復刻しないかなあ。当時の少年雑誌にはアイドルの水着写真は絶対載っていなかったけど、大伴昌司監修、石原豪人絵の大図解シリーズを毎週読めた少年時代は、結構ゴージャスだったと思います。
110.5.46.129 美 514 1094827591 2001年宇宙の旅BS映画劇場『2001年宇宙の旅』。
今週のBS2の映画劇場はSF映画特集。1958年の『禁断の惑星』(ロビー!)から『エイリアン』(リプリー!)の1〜3、そして『2001年〜』というラインナップ。なんだかんだ全部見てしまった。
『スターウォーズ』が1977年製作だから、1968年の本作は『禁断の惑星』とのちょうど中間に位置する。
しかし特撮のリアルさは、『禁断の惑星』とは雲泥の差で、映像の見事さは『スターウォーズ』にも遜色ない。ゆっくりとした時間の流れが感じさせてくれる宇宙空間の広さは、最近のテンポ優先のCG映画からは得られないものだ。
もう、何回見たか忘れたぐらいだが、ディスカバリー号内部の美しさは何度見ても見飽きない。スタイリッシュな未来(あれ、2001年はもう「過去」なんだ)像は、もう美術品だね。
ただし、後半木星についてからの幻想場面はさすがにだれる。あそこを今のCGでなんとかしたら完璧なんだけど、まあ、ないものねだりですな。
61.198.198.253 映 513 1094392571 ハリーポッター/同時代ゲーム丸の内ピカデリー『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』。
冒頭からのダークな雰囲気とホラー風味はなかなかいいのだが、脚本がなんだかぎこちなくてのれなかったなあ。ハリーの笑顔で終わるわりにカタルシスも感じれられないし。
なんたらサウンドシステムとやらでドカンドカン低音が響く上にクライマックスでは、椅子までぐらぐら揺れ出してこれは凄いシステムだと思ったら、なんと本物の地震でありました。
*
予告編の見たい度ナンバーワンはなんといっても『キャットウーマン』。『スパイダーマン』などにくらべると微妙にB級なテイストを感じるのだが、でもいいの。ハル・ベリーが露出度の高いコスチュームで褐色のボディをブイブイいわすんだから、こりゃあ、見なくちゃなるめえ。駄作だろうとなんだろうと見に行きます。シャロン・ストーンの悪役というのも私にはツボっぽい。
◇
この日、5打数5安打のイチローに対し、敵地ホワイトソックスのファンから、スタンディングオベーションが行われた。実感はないのだが、こういうのを同時代で目撃しているというのはきっと稀有な羨ましい体験になるのだろうね。
旧くは双葉山の69連勝なんてのもそうだろう。
私の場合はモハメド・アリが復帰して剥奪されたタイトルを奪回するまでをリアルタイムで見ていたのが、それですね。
61.198.199.27 映 512 1094050216 姿三四郎?えっ、日本人のくせに感動しない? 「非国民と言われそうだが、柔道の女子78キロ超級、おれ、感動しなかったんだ」と恐る恐るつぶやく。
アテネの名場面を頭の中で再生してみた。キューバのベルトランと塚田真希(つかだまき)の決勝戦。ベルトランの大外刈りが決まったかに見えたが「技あり」。そのまま抑え込まれ万事休す?の塚田が左手を取ってクルリと反転。後ろけさ固めだ。25秒のカウントダウン。大逆転劇だった。
「あれ、感動しなかった?」
「新聞は感動!感動!と書いているけど、何か、スポーツという感じがしない。90キロぐらいの女性選手が抑え込まれると、太い脚がほとんど動かない。美しくないよ
なるほど。そう言えば、僕も、あの時、柔道選手の超肥満は健康上、問題はないのか、と心配した。
単純な私は柔道ではあの試合が一番感動した(8/24の記事参照)のだが、人によって見方はずいぶん違うものだ。
別に非国民とは思わんが、この記事の筆者が柔道見るのはオリンピックのときだけなのは間違いない。この人はたぶん肥満ではないのだろうが、塚田のように時間目一杯動けるのだろうか。
新体操や水泳や陸上の「美しさ」もあれば、柔道や相撲や重量挙げや砲丸投げの「美しさ」もある。その違いがわからなくてもジャーナリストはできるのだね。
まあ、奇をてらっただけだろうから目くじらを立てることもないのかもしれないが、「友人の話し」としてるのはフェアじゃないよなあ。
*
関連リンク
210.198.152.95 ス 511 1093791291 アンブレイカブルということでオリンピックの最終日。うちの女たちは男子バレーボール決勝ブラジルVSイタリア、フェロモンむんむん男たちの対決にキャーキャー言っとりました。私はもちろん新体操個人決勝だが、イスラエルの美少女カテリーナ・ピセッキが決勝に残っていないのでちょっとテンションが上がらない。若い頃の倍賞千恵子によく似ているアンナ・ベッソノワの応援に切換えたのだが、軟体美女カバエワに負けちゃった。まあ、みなさん美女なので、だれが勝っても文句はないですが。
*
でろりとした日曜。随分前の映画をDVD鑑賞『アンブレイカブル』。
当時ネットでの評判は散々だったので見逃していたのだが、これが意外と面白かった。いや、傑作といっていいくらい面白かった
どうも、期待はずれとか金返せとか言ってた人たちはかなり先入感を持って見過ぎてたんじゃないだろうかね。というかシャラマン監督の前作『シックスセンス』と同じようなサプライズを予想していたのかもしれない。「アンブレイカブル=壊れない。不死身の男の驚愕の正体」そして物語がすべてひっくりかえるみたいな感じのね。さもなくば、正体が判明してからのアクション一杯の大活躍の方を期待してたのかもしれない。サム・ライミやキャメロンの映画みたいな。
そんな先入感を持たずに見れば、無駄な科白が一つもない、実に端正に練り上げられた、見事な映画です。鏡を使ったカメラワークが多用されたり奇をてらっているようで、すべてのカットは無駄なく物語に奉仕している。
ただ、漫画(できればアメリカンコミックのヒーローもの)に理解ある人でないと、登場人物の心情にハア?という感じかもしれない。『Xメン』や『スパイダーマン』シリーズがヒットしている今見ると、より味わい深いかもしれない。『スパイダーマン2』から特撮を剥ぎ取って、ある方向に進化させると、この映画になるに違いない
219.192.0.78 映 510 0 1093313175 五輪瞥見【美女ウォッチ】
2ちゃんでは、
[1] 柔道野村忠宏選手の美人妻、[2] 通訳のおねーさん(だれ?)、[3] 柔道塚田真希の姉思いの妹、という順位のようだが、私の方は今回はアシスタントのニンフたちに目を奪われて、美人選手探しはしていない。(2ちゃんのランキングには選手がいないじゃん!)日本選手の活躍でそっちに頭がまわらないということもあります。美人ではないかもしれないけど、サー!の福原愛ちゃん萌え。「
頭は真っ白、顔は真っ青」とか受け答えが15歳とは思えないうまさなんだよね。可愛さや面白さも微妙に加味して、基本的に頭のいい子なんでしょう。自分で「前人未到のン連覇をなしとげまして」なんておっしゃる某大選手とはちょっと違う。わたし的ヒロインはやはり柔道の塚田真希。劇的な逆転劇。投げられて押さえこまれそうになったのを逆に返して、押さえ込んだときにペロリと舌を出した、というか舌なめずりしたシーンがアテネオリンピックの(今までの)ベストシーンであります。相手は塚田選手の後ろ袈裟固めでまったく動けない。一本勝ちして塚田が両手を挙げた瞬間、わが家族も声をそろえて叫びました。「太ってて良かった〜!」
……実際、塚田は男女合わせた日本柔道選手の中で最重量だそうだ(井上康生や鈴木桂治より重い)。「柔道選手団最重量の塚田です」とみずから挨拶して笑いを取るそうだから、いいやね。【アナウンサー】
やはり、「
伸身の新月面が描く放物線は栄光への架け橋だ!」という歴史に残る名セリフを着地とともにピタリと決めた刈屋富士夫アナにつきるでしょう。金メダル。元々、ロボコンの実況などで気の利いたアドリブをかましてくれるし、声も滑舌もいいしイケメンだし、オリンピック以前から注目していたのですよ。ニュース読みやナレーションは「美術系」石澤典夫アナ、実況は刈屋アナで決まりでしょう。(なにが)【レスリング】
浜口京子選手は残念だったけど、あのうるせー親父がいなかったらもーちょっと本領発揮できたのではないか。そろそろ親離れ子離れの時期ではないのかいな。
アニマル浜口はもちろん元プロレスラー。国際プロレスでラッシャー木村と組んでいた職人的名プロレスラーだった。引退後は元のボディビルダーに戻ってジムを作り、ほとんどプロレス界には顔を出していないようだ。だから京子ちゃんのプロレスデビュー→神鳥と対決!なんて悪夢は金輪際ない……と信じたい。
同じような人では、馬場や猪木のサポート役をずっと務めた「火の玉小僧」故吉村道明もそうだった。引退後は古巣の近大相撲部で後輩の指導に当たり、プロレス界には一切かかわらなかったらしい。
よほどイヤな思いをしたのだろうか。
110.5.46.129 ス 509 1093013566 やわら柔道最重量級男女とも金メダル。いやあ、気持ちよかった。鈴木桂治の小外刈りや内または美しかったし、塚田真希の試合展開もドラマチックだった。今回は不可解な判定があまりないのも気持ちよく見られている一因だろう。
2ちゃんねるで「
オリンピックを楽しんできます、とか言ってた世代が一番だめだったよなあ」という発言があった。当たっているとは思うのが、その世代がコーチや指導者になってきたのが、今回の成果につながったような気もするのだよね。2ちゃんねるといえば、井上康生の試合の前に「
井上はポカしそうだけど阿武にはがんばってほしい」なんて書込みもあった。ねらー、おそるべし。*
それにしてもアテネオリンピックのアシスタントのおねーちゃんたちはみんな綺麗だ。ギリシャがこんなに美人国だとは知らなかった。さすがミューズやニンフの末裔たちだけのことはある。
◇
今日は大阪出張。順調だったが、おかげで少々仕事が忙しくなりそうな気配。
211.126.30.174 ス 508 1092583803 スパイダーマン2日劇PLEX『スパイダーマン2』。
アメコミ好きとしては、オープニングにしびれました。かっこよすぎ。結構ベタなロマンス好きとしては、ラスト、MJに顔を見せたシーンでウルッとしました。原作をしっかりリスペクトしてる作りなので、MJとうまくいかないわけはないのだけどね。(原作ではとっくに結婚して娘もいる)
SFアクションはさすがに今回の方が上だが、青春映画としては前作の方が若者たちの人間関係がこまやかに描かれていたようが気がする。今回は主人公の悩みに重点がおかれたのでしかたがないが。
悩むヒーロー像に関しては前作のときの拙レビューを引用しておこう。スパイダーマンだけでなく、悩むヒーロー像はマーベルコミックの得意技でアンチヒーローという言葉で呼ばれてました。
昔、虫プロが出していた『COM』というマンガ雑誌があって私は創刊号から愛読していた。そこに翻訳家小野耕世が外国マンガを紹介する連載記事があったのだが、その一回めが「スパイダーマン」だった。たぶん本邦初紹介だろう。ナショナルコミックの『スーパーマン』に対抗する、マーベルコミックの等身大のヒーロー、いや「アンチヒーロー」と紹介していた。おそらくこの「アンチヒーロー」という言葉もここではじめて使われたのではないだろうか。
敵役のドク・オクトパスの造型は前作のグリーン・ゴブリンよりはるかにかっこいい。キャストの濃い顔のアルフレッド・モリナは『ショコラ』では敵役の男爵役で出ていた。ちょっと荒井注に似ている。ついでにヒロインのキルステン・ダンストと卓球の福原愛は似ている。
とにかくスパイダーマンの飛翔シーンが気持ちよくてこのシリーズは大好きだ。ニューヨークの摩天楼ジャングルを撮るカメラが美しい。1と違ってシネマスコープだしね。
219.192.0.78 映 507 1092465899 血中コンピューター生命の遺伝情報を担うDNA(デオキシリボ核酸)に簡単な処理を加えると、半導体になることが、独立行政法人「物質・材料研究機構」と東北大学などによるコンピューター計算で分かった。
直径2ナノ・メートル(ナノは10億分の1)のDNAを利用すれば、一般的なシリコン半導体より極微小の電子部品を簡単に作れる可能性があり、研究者らは「次世代部品につながる成果」と期待、15日発行の日本物理学会誌に発表する。
[読売新聞]2004/08/14 03:07
SF者はみんなグレッグ・ベアの『ブラッド・ミュージック』を連想したに違いない。記事のリンク先によればDNAは生体内では絶縁体なので、細胞内でコンピュータチップになれるわけではないようだ。でも、ATCG素子による計算アルゴリズムは応用できそうではないか。なんて、ちょっとわくわくさせられた真夏のニュース。
◇
最近読んで、まだレビューというか感想文書いてない本。忘れないうちに題名だけでも書いておこう。
ピーター・ラヴゼイ『苦い林檎酒』『つなわたり』、杉田敏『アメリカンジョークの世界』、長谷川真理子『進化とはなんだろう』、大江健三郎『取り替え子(チェンジリング)』、モーリス・ルヴェル『夜鳥』、四方田犬彦『白土三平論』、泡坂妻夫『大江戸奇術考』。
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仕事で八重洲地下街を通ったので、八重洲古書館で岩波文庫ばかり7冊購入。本を買うのはひさしぶりだ。また積読と書いてない読了記がたまってゆく。
ダーウィン『種の起源』(上下/八杉龍一訳)、『ダーウィニズム論集』(八杉龍一編訳)。進化論発表時の世の雰囲気を知りたくて。
ロンゴス『ダフニスとクロエー』(松平千秋訳)。アテネ五輪記念?
ドストエフスキー『罪と罰』(上中下/江川卓訳/岩波文庫)以前読んだのは米川正夫訳の新潮文庫版。『謎解き罪と罰』の江川卓訳はどんなんだか、読むのが楽しみ。
61.198.189.205 科 506 1091803765 酒は百薬の長?今年の夏休みはつれあいと二人(娘も息子も一緒には行きたがらない)伊勢・志摩にでかけた
まあ、楽しくはすごせたのだが、どうも夏風邪の影響が残っていたのか、出発当初はなんとも体がだるくてしかたがない。そのだるさは一日めの午前中まで続いた。
それでも伊勢神社内宮門前のうまいものやがたちならぶ、おはらい町・おかげ横丁の面白さにうかれ歩いていた。あいにく小雨まじりの天気で、むし暑い。神宮の御料酒「白鷹」を取り扱う老舗の「三宅商店」で、たまらず冷やした濁り酒を飲む。といってもぐい飲み一杯百円を自然塩をつまみに飲むだけなのだが、これがうまい。冷たい濁り酒が全身にしみわたり汗がすーっとひいて行く。呑みおわった時にはきれいさっぱり体のだるさがとれていた。
「白鷹」と「塩」を買いこんだのは言うまでもない。
210.198.169.85 旅 505 1091454355 『偽のデュー警部』ピーター・ラヴゼイ『偽のデュー警部』(早川ミステリ文庫/中村保男訳)読了。
以前、友人知己お薦めの『煙草屋の密室』を妹に借りて読んだとき、まとめて貸してもらった中の一冊。長期間積読にしておいたのが間違いだった。これは私が今まで読んできたミステリーの中では、5本の指に入る面白さでありました。
1920年代という時代設定(チャップリンも登場する)、書かれたのも1982年、20年以上前だが、面白さとは古びないものだ。イギリスからアメリカに渡る豪華客船内という「密室」で殺人事件が起り、探偵も被害者も犯人も証人も野次馬も船客、という設定はアガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』などを連想させる。船が舞台という点ではパット・マガーの『目撃者を捜せ! 』か。どちらも名作中の名作だ。それらと比べても決して本書は遜色ない。
トリックらしいトリックは出てこない。しかし「先の展開の読めなさ」や伏線の張り方の巧妙さは先に挙げた諸作と比べても本書が上だろう。題名からも察せられるとおり、「偽警部」が探偵というのもユニークだ。しかも、この偽警部、乗船した目的は、女優で大金持ちの妻の殺害なのである。その他登場する人物たちの描写もイギリス人作家らしいユーモアと皮肉が効いていて楽しい。大富豪夫婦のやりとりなどは『ダーマ&グレッグ』のグレッグの両親そっくりで笑いました。
しかし、本書のラスト、ハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのか、いまだに悩んでいるのだが、これは作者のたくらみに見事にはめられたということでしょうな。
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娘の中学時代の親友で、今はニュージーランドで高校生活を送っている子がいる。彼女から娘に入ったメールによれば、授業で「ドラキュラ」について調べねばならなくなり(どんな授業なんだ?)ネットで検索したところ、うちの「吸血鬼企画」にぶつかってしまったそうだ。
まさかキーワード「ドラキュラ」で同級生の父親のサイトがヒットするとは思わなかったのだろう。娘にたしかに父親のサイトか確認してきたそうだが、確認できると「大変助かりました」と伝えてくれと返信がすぐきたそうだ。お役に立てたのは嬉しいのだが、もっとちゃんと学術的なサイトも調べた方がいいのではないかと、ちょっと(だいぶ)心配になった。もっともテキスト的資料というより、ドラキュラの絵を描いて添付したかったようで、それなら参考にはなるかな、と一安心。
210.198.169.85 本 504 1091285489 ASAKUSA STYLE FIREWORKS今日は浅草の花火。うちの近くから見えるのだが、昨年は風が冷たくてふるえながら見た記憶がある。今年の暑さなら缶ビールがうまい花火見物になりそうだ。
今年から隅田川沿いに新しくできた公園の芝生にたくさんの地元民が集まり、案の定、みんな缶ビールを片手に花火を楽しんでいる。
われわれ夫婦のビニールシートの前は8人ぐらいの若者のグループ。花火そっちのけで話に夢中。4カップルだから、遠くの花火より近くの彼女や彼氏なのはしかたがないか。
後方にはインド人の家族。まったくわからない言葉でしゃべり続けているが、ご主人に携帯電話がかかってきた。流暢な日本語で商談らしき会話の最後でこう言っていた。「トーキョーの花火は世界一だね!」
肝心の花火は毎年見ていても、なにかしら新しい趣向があり飽きない。深い色合い、乾いた爆裂音、かすかに香る火薬の匂いはTV中継では絶対味わえない。晴れた夜空の下、川風が心地よく、なかなかよい気分の花火見物でありました。
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【ニューヨーク30日共同】ボクシングの元統一世界ヘビー級チャンピオンのマイク・タイソン(米国)が、30日に米ケンタッキー州ルイビルで行われた試合でダニー・ウィリアムズ(英国)に4回KO負けした。私の中ではタイソンは、イベンダー・ホリフィールドに11ラウンドTKOで敗れてWBA世界ヘビー級タイトルを失った試合で終わっている。もう8年も前だ。全盛期はそれよりもさらに前、デビューから4年間くらいだろう。いいトレーナーとマネージャーがついていれば、もう3、4年は全盛期を延ばせたかもしれない。もったいない話だ。しかし、優秀なトレーナーやマネージャーを馘首したのはタイソン自身。人格や運やスタッフすべてをふくめて「ボクサー・タイソン」なのだから、「もし」や「れば」の話をしてもむなしいことではありますな。
210.198.169.85 雑 503 1090762356 真珠の耳飾りの少女7/23(金) シネスイッチ銀座にて『真珠の耳飾りの少女』を観る。
金曜日の会社帰りにつれあいと和光前で待ち合わせて見に行ったのだが、まだ結構混んでいた。知らなかったのだが金曜日は女性半額デーだとのこと。まあ、得したような気分だが、要はロードショー料金が元々高いのだよなあ。今は二番館、三番館や名画座という便利なものもないし。シネスイッチ銀座は元の銀座文化。2本立てで350円の時代にはずいぶん洋画を見せてもらったものである。
それはともかく、映画は私的本年No.1(何本も見ていないのにNo1も2もないもんだが)のいきおい。ストーリーうんぬんよりなにより、フェルメールの世界をよくあそこまで映画で再現したと思う。映し出される一カット一カットが、フェルメールのあの絵この絵を連想させる。絵に直接つながるアトリエや登場人物のコスチュームだけでなく、オランダはデルフトの風景や屋敷の影や光までが、フェルメールが絵を描いた時代の世界としての説得力がある。
脇役の女中頭の姿が、『牛乳を注ぐ女』を連想させる、貫禄ある体格、コスチュームなのにはニヤリとさせられる。
少女役のスカーレット・ヨハンセンはフェルメールの絵には全然似ていないが、清純さと官能性をあわせ持つ独特の美貌と演技は素晴らしい。ヌードどころか、髪の毛でさえなかなか見せないのだが、顔のアップだけで脊髄を直撃するものがありました。もちろん女優の力だけでなく、演出と撮影の妙でありますな。
7月30日まで。
210.198.169.85 映 502 1090390867 暑い日はやはり鰻ですか?∈(゚◎゚)∋昨日の東京の最高気温は39.5度。今朝は未明でも30度を超えてたそうな。もう熱帯だね。
キリンが16日まとめた消費者の意識調査によると、夏ばてした時に食べたいものは、男性は「うなぎ」「焼き肉」など味の濃い料理、女性は「麺類」「野菜料理」などあっさりした料理と性別で好みが分かれた。
調査はインターネットで6月18〜24日に実施、全国の20歳以上の男女8347人から回答を得た。
「夏ばてした時に食べたい料理は何ですか」という質問(複数回答可)に、男性は「焼き肉」「うなぎ」がそれぞれ41.1%と同率で首位。そば、そうめんなどの麺類は40.7%で2位だった。
一方、女性は麺類が50.9%でトップ、2位は野菜料理の30.1%とカロリーの低い料理が主流。焼き肉は3位でうなぎは5位だった。
[毎日新聞]
鰻や焼肉を食べられる時点で夏ばてしてないという意見もあるけれど、疲れているときは高蛋白でビタミン豊富なものを取ったほうがいいのはたしかだ。鰻は柔らかくて食べやすいしぴったりではあるが、美味しいのは高いし、本当は真夏より脂ののった秋の方がうまそうだ。
なので、昨夜のうちの夕食は豚肉たっぷりゴーヤチャンプルー。豚肉はビタミンEたっぷりで疲労回復にはよいですよ。ゴーヤの苦味で頭もはっきりするし、なにより安い。
といいながら、やっぱり鰻も食べたいなあ。できれば尾花か前川で<もっと稼ぎなさい。
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暑さ対策にはこんなのもあるらしい。
この作業着、実際着てみて驚いた。涼しい、いや、寒いくらいだ。「汗をかいてると、とりわけ涼しいんです」と、作業着に身を包んだ男性――開発したピーシーツーピーの市ヶ谷弘司社長――は涼しい顔だ。
「空調服」という名のこの作業着、背中についた2基のファンが、体全体に風を送って汗を気化。気化熱で体が冷えるという仕組みで、お風呂上がりの濡れた体に扇風機が心地よいのと同じ原理だ。
[ITmediaニュース]
作業着としてなら良いのだろうだけど、くつろげるとは思えないなあ。そばにこれ着てる人がいたら見た目だけで暑苦しそうだし。
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とりあえず、日本政府に猛暑対策としてやってほしいのは、外回り営業マンと会社や役所の偉い人の「上着着用禁止条例」ですね。もちろん国会議員さんには率先して半袖シャツで登庁してもらいましょう。(「省エネルック」なんていう頭ゆるんだような茶番はなしよ)
210.198.169.85 時 501 1090292245 鼻づまりの休日せっかくの連休だったというのに、ひさしぶりに夏風邪などをひいてしまった。土曜日は微熱ながら発熱して寝込んでいたし。この日記で検索したら、風邪ひいたのは一年半ぶりだ。その前は5年くらいひいていなかったので、頻度が上がってきた?やだな。
しかたがないので、本読んだりDVD見たり絵描いたりまったりすごしてましたが、いまだに鼻がつまっていて本調子ではない。
今週はそ〜っと仕事をして調子をとりもどし、週末は映画を見にいこう。とりあえずの予定は『真珠の首飾りの娘』(もうすぐ終わってしまう)、次は『スパイダーマン2』(無料券もらった)。
その前に暑中見舞いも完成させなければ。もちろん人魚のねーちゃんです。
219.192.0.78 身 500 1090138523 硝子のハンマー貴志祐介『硝子のハンマー』読了。
日曜の昼下がり、株式上場を目前に、出社を余儀なくされた介護会社の役員たち。エレベーターには暗証番号。廊下には監視カメラ、有人のフロア。厳重なセキュリティ網を破り、自室で社長は撲殺された。凶器は。殺害方法は。すべてが不明のまま、逮捕されたのは、続き扉の向こうで仮眠をとっていた専務・久永だった。青砥純子は、弁護を担当することになった久永の無実を信じ、密室の謎を解くべく、防犯コンサルタント榎本径の許を訪れるが―。密室殺人といえば本格推理小説の王道中の王道。あの『黒い家』の著者が執筆に4年かけたというだけに、パズルまがいの新本格とは一味も二味も違う完成度だ。
本書は二部構成になっている。第一部では事件と謎が提示され、探偵役の二人(ホームズ役は泥棒上がりの防犯コンサルタント、ワトソン役は美貌の女弁護士)が次々と仮説を立てては密室のからくりに迫ろうとする。この仮説の一つ一つとそれが否定されていく過程が、本格好きにはたまらなく面白い。「変装入れ代わり時間差トリック」などは凡庸な新本格作家ならこれで一本書いてしまえるくらいだ。本書ではあっさりいかに現実性がないかをあばかれてしまう。やっと二人が真相にたどりついたか?というところで、謎の解明はもちこされひっぱりながら一部は終わる。
二部はがらりと趣きが変わって、真犯人の一人称的描写になる。彼の生い立ち境遇から犯罪の動機、計画立案の過程、実行手順が丁寧に描かれる。このへんは本格、新本格だとさらりと流されてしまうところだが、倒叙ミステリーなみにじっくりと書込まれている。一部だけだと新本格としてなら良いかもしれないが、パズルだけの底の浅い小説になってしまう。この二部のおかげで「小説」としての厚みが出た。「殺人にいたる動機」などはまだ少し説得力に欠けるとは思うけどね。
一部二部ともに、現代のセキュリティ事情について実に良く取材研究しているという印象だ。やはりこれくらいでないと読みごたえのある小説にはならない。もうミステリーならなんでも読むということもなくなったので、このレベルの作品だけ読めれば満足です。なんてことをいうと一年に一作も読むものがなくなってしまうかな。
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今気がついたが、たったこれだけの文章で「新本格」が4回も出てくる。しかも、すべて否定的な意味合いで使ってる。たいして読んでいないが、どれもひどかったということですな。『占星術殺人事件』だけはまあまあだったけど。
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祝朝青龍四連覇。来年の名古屋場所では、横綱朝青龍は間違いないが、大関には白鵬、黒海あたりが来ていそうだ。う〜ん、インターナショナルで面白い。日本勢も勉強嫌いのでぶばかりスカウトしていないで、レスリングや柔道の猛者をターゲットにして育てれば面白くなるだろう。なんといっても大相撲はまだまだ安定度も格式も経済力も捨てたものではない。少なくともプライドやK1よりアスリートの就職先としては魅力的だとおもうのだけど。
219.192.0.78 本 499 1089813621 チョコレートの誘惑NHKーBS映画劇場『ショコラ』。
フランスの小さな村にやってきたヴィアンヌと娘のアヌーク。ヴィアンヌは不思議なチョコレート・ショップを開店する。客の好みをピタリと当て、しかもそのチョコレートは客を必ず幸せにしてしまうのだ。厳しい戒律に縛られた村人の心が解き放たれ、チョコレートのおかげで自由な空気が広がり笑顔があふれた。そんな中、伝統と規律を重んじる伯爵が、彼女達を村から追放しようと村人に働きかけて…。最近映画を観る頻度が極端に落ちていて、いわゆるハリウッド的大作しか観なくなっていた。こういういい映画をたくさん見落としているんだろうなあ。実に映画らしい映画でした。
『バベットの晩餐会』とか、食べ物の魔力で人々が変わっていくという話しは大好きなのだ。小説だとハリー・クレッシングの『料理人』なども面白い。まして『ショコラ』はチョコレートだ。ただの料理・デザートではない、もともと媚薬だった妖しさが映画にそこはかとないエロチシズムを与えている。魔力というのも単なる形容でなく、映画の随所にちらちらと魔術的不思議が埋めこまれている。あからさまなファンタジーよりこういうのが好きだ。
なんといっても主役のジュリエット・ビノシュが美しい。決して美人でもないし派手な格好をするわけでも濃厚なラブシーンがあるわけでもないのに、とてもエロい。顔や胸元や足先のなにげなく撮るカメラの視線がうますぎ。あまりめだたない役だけどジョニー・デップもかっこいい。私の好きなレナ・オリンが珍しく耐える地味な役で出演。ビノシュより9歳も上にはとても見えない。今回は蜘蛛女ではないので男を誘惑したり殺したりはしないが、しっかりフライパンで殴り倒していた。
219.192.0.78 映 498 1089208853 トロイアの女たちそうですか『トロイ』はやはりダメダメですか>H2さん。
H2さんのレビューを読みそこなっていましたが、前世紀の話しなのに「何世紀も支配してきた我々が」なんていう科白があるというのをどこかで読んで、一抹の不安はは持っていたのです。ギリシャ神話好きなもんで期待してたのに残念。木馬の場面でラオコーンはどんな映像だったんだろう?とか。*
DVDが出たらレンタルで観るぐらいがちょうどよさそう。
『トロイ』でヘレンを演じたダイアン・クルーガー。良くはしらないけど、静止画で見るかぎりなかなか綺麗。私のヘレンのイメージからは少し清楚に過ぎるかなあ。
トロイのヘレンで有名なのは、やはり1955年の『トロイのヘレン』のロッサナ・ポデスタ。これまた見たことはないのだが、左の写真の驕慢なお姫さま、右の写真の野性的な少女、ともになかなか良きヘレンだと思う。
しかし私の見た一番のヘレンは『トロイアの女』のイレーネ・パパスだ。載せた写真はあまり良くないが、映画で見せた黒髪黒い瞳のいかにもギリシャ的な風貌のヘレン像は強烈でした。
映画そのものはキャサリン・ヘップバーン、バネッサ・レッドグレーブという名女優が火花を散らす大悲劇だ。彼女たちの嘆きの原因である悲惨な戦争の元凶でありながら、かつて裏切って捨てた夫、敵将であるメネラオスにしおらしく命乞いをするヘレネ。しおらしく見せながら実は自分の魅力に自信満々である。何年たっても彼女の色香に逆らえないメネラオスは剣を握り締めながら、ついに振り下ろすことができない。
う〜、書いていてぞくぞくしてきてしまったぞ。
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『トロイアの女』の原作はエウリピデスの同名のギリシャ悲劇だが、エウリピデスには『ヘレネ』という作品もある。夫を裏切ってトロイアに行ったヘレネ(ヘレンはヘレネのローマ読み)は実は女神ヘラが作った幻だったという能天気な話し。ヘレネは戦争の間、僻遠の地にかくまわれていて、なにも知らずに闘っていた夫と、戦後涙の再会をするという昼ドラか韓ドラのようなベタな展開。エウリピデスもなんでこんなの書いたのだろう。いや、なかなか面白いのですがね。
61.198.188.82 映 497 1089125244 夏休みの宿題娘の高校は夏休みの課題がやたら多い。これが普通なのか、読書感想文まである。先生の推薦は岩波ジュニア新書とのことだ。
もう少し歯ごたえのあるのにしたらどうだいと思ったが、実際に言葉を発するときはもっとひねってしまうのが悪いくせ。「ジュニアってんだから中学生向けじゃね?先生に馬鹿にされてるな」なんだから、ろくでもない親である。本当はジュニア新書といってもなかなかのラインナップで馬鹿にしたものではない。
一覧をてれーっと見ていた娘のチョイスはなだいなだ『いじめを考える』。理由は「
感想文が書き易そうだから」。どうも、感想文を書かせる宿題が本嫌いを作っているというのは真実のようである。「お前なあ、そんな安易な発想はみんながするに決まってるじゃないか。夏休み明けにはいじめについての感想文が百もならぶぞ」と私。「えー、そんなこといったってどうしたらいいんだよ」
で、買ってやるからと、私が選んでやったのは次の2点。
松沢哲郎『チンパンジーはちんぱんじん』。
長谷川眞理子『進化とはなんだろうか』。
自分の好みを押しつける親というのも本嫌いを作る要因のような気もするが、いいの、自分の読みたくない本を買うのはストレスがたまるから絶対買わないのだ。
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およそ35年ほど前のことになるが、倉橋由美子さんを訪ねて高校生に読ませたい1冊を選んでもらいにいったとき、即座に、「それなら、やっぱりホメロスね」と言われたことが、いまなお耳の奥に残っている。やはり、このくらいのことは言いたいよなあ。ホメロスの『イリアス』『オデュッセイアー』とヘシオドスの『神統記』くらいを読んどくと、『トロイ』は絶対面白いと思う。(って『トロイ』はまだ見ていないや)みんな岩波文庫で手軽に買える。リンクはまた後日。
倉橋由美子の挿話は松岡正剛の千夜千冊の第999夜から引用。明日かあさってには千夜達成。もちろん刮目して待っている。
219.192.0.78 本 496 1089038827 アダルトコミックな画集を買うEsteban Marotoの『Wonders』。アマゾンで1,414円。
随分昔に、銀座のイエナで買ったアラビアンナイトを描いた画集に魅了されたイラストレーター。ジョン・ヴァーリイのSF『バービーはなぜ殺される』の豪華本の挿画を描いていたので絵柄を見れば知っている人もいるかもしれない。
官能的的な女体のデッサン力は抜群で、特にペン画のシャープな描線がうまかった。本書は鉛筆画が主でペン画がないのが残念。うまいのは変わっていないが、今はうまい人はたくさんいるし、題材もヒロイックファンタジーっぽいのはMarotoらしさが感じられず、あまり面白くない。カラー画もあざとい配色で感心しない。
残念ながらちょっとはずれでした。
Luis Royoの『Visions』。アマゾンで1,910円。
今のうまい人の代表。ヨーロッパのヘヴィメタ系バンドのCDジャケットで有名らしい。
Marotoの描く美女はソフィア・ローレンやキム・ノバクのようなクラシカルな美女だが、Royoの描くのは現代的な美少女だ。ただし小悪魔的で妖艶。Serpieriほどハードコアではないが、SMやタトゥーやドラッグが似合う危険な美しさである。
Marotoもそうだが、Royoの画像もネットで沢山手に入る。だけどやはり印刷された画集の大きさで見ると、印象が全然違う。脊髄にズンとくるものがあります。
こちらは当たりでした。
219.192.0.78 美 495 1088573337 ナウなヤングがディスコでフィーバー国立国語研究所(甲斐睦朗所長)は29日、分かりにくい外来語を日本語に言い換える第3回の提案(中間発表)を公表した。今回は33語が対象で、進行の妨げになるものや場所を示す「ボトルネック」は「支障」とした。一般からの意見を受け付けたうえで、8月にも最終発表する。70年代風の表題を言い換えると「今風の若者たちが発展場で大熱狂」てな感じかな。一気に50年代の香りがしてくるようだ。
「
アカウンタビリティー」はたしかに「説明責任」の方が簡潔でよいけど、「ステレオタイプ=紋切り型」かな?「イニシアチブ」を言い換えて「主導」にすると「イニシアチブを取って進める」は「主導を取って進める」かい?日本語として変だろう。「デジタルデバイド=情報格差」っていうのもなんだかなあ。「デジタル」であることが抜け落ちてると思うけど。単なる「情報格差」ではなくデジタルな情報に対するインフラ(基盤?)やスキル(技能?)の格差で結果として生じてしまった情報収集能力の差のことだろう。そのまんま「デジタルデバイド」の方が良いと思います。国立国語研究所はどこを対象に「提案」してるのか、よくわからないけど、一番意味もなく外来語を使うのはお役所だよね。リンク先にあった中ではじめて聞いた
パブリックインボルブメント(住民参画)なんて、住民を参画させたくなくてわざと使っているような気がするな。大体民間は効率が大事だから、よほど大企業病にでもかかっていない限り無駄な外来語は使っていないはず。「
会議」は「会議」で、いちいち「カンファレンス」なんていう奴はいないだろう。(日本語禁止の会社は例外)あまり日本語になじみのない概念は、言い換えてもすっきりしないので外来語のまま使っていることが多いようだ。たとえば最近の企業には「
コンプライアンス(法令順守)担当部」を設置するとこが増えたようだが、これは日本の会社に「法令順守」という概念があまりなかったということなんでしょうな。漢字だって元々は外来語なのだから、なんでも漢字熟語にすればいいというものでもない。ただ、漢字には「訓読み」がある。漢字という表意文字にやまとことばの意味を連結する天才的発明だ。英語だと「水素」はギリシャ語源の「Hydrogen」で、初読の人はなんのことやらさっぱりわからない。日本語だと「水素」はなんとなく水の素なのだなということはわかる。Hydrogenに非明示的に「Water Element」とルビがふってあるようなものだ。(参考:鈴木孝夫『閉された言語・日本語の世界』新潮選書)
その利点を生かして、あまり一般になじんでいない外来語は単に言い換えるのではなく、フリガナにしたらどうだろうか。
法令順守 、災害予測地図 というような感じだ。昔の新聞や本は漢字の多くにルビがふってあって、いつのまにか漢字や熟語を覚えたものだ。コストはかかるだろうが、使うべきコストだと思うけどね。*
外来語はわからないわからないといっていないで辞書をひけよって話でもあるのだが、「リストラ(Restructuring)」をひいても「大量解雇」とは出てないよなあ。これこそ言い換えが必要だ。「大量解雇」にするか「再構築」にするかで、その会社の本当の「スタンス」がわかる。
210.198.169.132 時 494 1088434478 まんが道NHKの『BSマンガ夜話』をひさしぶりに見た。
なにより笹峯愛ちゃんの復帰が嬉しい。サトエリはひどかったなあ。愛ちゃん、あいかわらず可愛いですが、ちょっと痩せすぎなのが心配。それにひきかえ岡田斗志夫さんは思いっきりリバウンドしてました。
本日のテーマは『まんが道』。常連のコメントも和気あいあいで良かったが、視聴者メールの「このマンガを読んでから手塚治虫を手塚先生と呼ぶようになりました」というのに一番同感。漫画家志望でもないのにただの読者の私もなぜか手塚先生と書いてしまう。ちなみに私は「まんが道」では、トキワ荘の漫画家時代より高岡の新聞社時代のエピソードが好きだ。
「トキワ荘」と言えば一つ気になっていることがある。「まんが道」に限らず、色んな漫画家が「トキワ荘物語」を描いているが、その中の登場人物としての石森章太郎と赤塚不二夫のコンビ(二人は同部屋で合作もしていた)。どうもホモっぽいニュアンスを匂わされているような気がするのだが、私の病的な想像力による邪推でしょうか。機会あれば『トキワ荘青春物語』などでご確認いただきたい。
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K1やプライドのKOに比べて、ボクシングのKOは見ていて胸にズキンとくるのだが、なんでだろう。私の偏見ですかそうですか。
61.198.190.10 漫 493 1088088439 少女地獄長崎の小6同級生殺害事件をきっかけにいまさらながら小中学生たちの世界を知らないことに気がついた。
これは少なからぬネットの住人にとっても同じだったようで、読冊日記の風野ドクターなどはぱどタウン潜入までしてガキンチョ帝国の実態をつかもうとしている。掲示板も「小中学生のネットマナーや友人関係論で盛り上がっている。これがなかなかすごい。ぱどタウンに比べれば2ちゃんねるなどは、なんと知的で洗練されていて良識にあふれていることだろう。
若きネットワーカーたちにして、小学生のコミュニティは驚愕の異文化であったらしい。私のような年寄りにはそれこそ異星の客であろう。
幸い、身近に最近まで小学生だった連中がいるので、高校生の娘や中学生の姪っ子に小学生時代の友人関係について聞いてみた。案の定というかなんというか、小学生の頃は彼女たち(特に娘)にとってあまりいい時代ではなかったようだ。
クラスがいくつかのグループにきっちり別れていて、グループ間に暗黙の
階層序列 があったそうだ。士農工商エタ非人だね。しかし江戸時代ほど「身分」は固定的ではなく、だれかが所属していたグループ内で気まずくなると(グループリーダーのおぼえが悪くなると)なんと「格下げ」になってしまうのだという。「格下」のグループがすんなり受け入れてくれるのか疑問だと思うのだが、明日はわが身と思うのか、とりあえずどこかのグループには属せるシステムだったようだ。で、その格下格上というのはなんできまるのかというと、これが「のりの良さ」なんだそうだ。「なんだそりゃ」という感じだが、みんな必死で「のりの良さ」を演じていたというのだから、つらいね。
娘などは「小学校は思い出したくもない。中学校や高校はみんな仲良くてもう幸せ(は〜と)」なんだそうだ。よかったね。今頃そんなことを知った私は当然親失格でありますな。
姪っ子は世代が違うのかそれほど露骨な「格」的なものはなかったらしい。
それと、娘のクラスは一時荒れていたが、これも先生がなめられたとか嫌いとかいうのとは全然関係ないそうだ。「ただなんとなく荒れてしまう」のだそうである。う〜ん、勉強になる。やはり異星の客であるね。
とはいっても、茫洋たるはるか昔の記憶をたどってみると、私の小学生時代もそんなに良き人間関係があったとは思えない。昔はよかった、という大人の繰り言は単なる健忘症か記憶の歪曲の可能性が高いと思って間違いあるまい。
もう大人になっていて良かった。目が覚めたら小学生にもどっていたなんてことにはなりたくないものだ。
219.192.0.78 時 492 1088002387 黒船っちゅうものがきたそうなNHK『その時歴史が動いた〜大江戸発至急便 黒船あらわる』。なかなか面白かったのでメモ。
浦賀にペルリ率いる黒船がやってきてから、日本全国にその情報が伝わるまでに2週間足らず。鉄道も車もない時代に、驚異的な速さである。しかも江戸藩邸を持ち独自の情報網を駆使する大名だけでなく、商人や大百姓をとおして庶民たちもあまねく知ってしまった。情報を伝達する力はインターネットやTVラジオのような手段の前に、なにより好奇心や警戒心などの「情報を欲する心」なのだね。
時の老中首座阿部正弘は弱冠27歳。ペリルのもたらした国書は当然、国家の最高機密だ。それを旗本や譜代大名だけでなく外様大名にまで「情報公開」した。さらに武士だけでなく、町人にまで公開して、広く意見を求めたのいうのだから驚きだ。国論の統一のためだろうが、江戸300年の泰平の果てにもちゃんとこういう政治的判断をくだせる人物がいたことが一番驚異なのかもしれない。
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モーリス・ルヴェル『夜鳥』(創元推理文庫/田中早苗訳)購入。
210.169.69.31 史 491 0 1087726715 長沢節展弥生美術館『長沢節展』を見に行く。
山本耀司や川久保玲も学んだセツ・モードセミナーの創設50周年を記念した展覧会。今日はたまたま会期中2回だけあるファッションショーに当たって、得した感じ。
このファッションショー、あの狭い弥生美術館でやるのにはもったいないような本格的なもの(ただし音楽もなにもない)。1970年に銀座ワシントン靴店と組んでプロデュースした「モノセックスショー」を再現したもので、衣装も当時のまま保管されていたのを使っている。モノセックスと銘打っているだけに、男女が同じデザインをまとっているのだが、大変セクシーで眼福でありました。
長沢節は靴のデザインを担当しているが、このデザインもなかなか官能的。展示されていたデッサンにも「足裏がうまく描けた」とか「甲の線がシャープだ」などというコメントがある。かなりの足フェティッシュだったようだ。
私はファッションのことは全然わからないが、展示されていた絵は文句なく素晴らしい。特に墨による筆の線描が見事で、いわゆるスタイル画の域を超えている。まあ、飯野和好、上田三根子、峰岸達といった超一流イラストレーターの師匠なんだからあたりまえか。どんな先生だったかはこのへんに詳しい。
210.198.156.19 美 490 1087487639 あなたの魂に安らぎあれ神林長平『あなたの魂に安らぎあれ』読了。
核戦争後の放射能汚染は、火星の人間たちを地下の空洞都市へ閉じ込め、アンドロイドに地上で自由を謳歌する権利を与えた。有機アンドロイド―人間に奉仕するために創られたそれは、人間のテクノロジーをひきつぎ、いまや遥かにすぐれた機能をもつ都市を創りあげていた。だが、繁栄の影では、ひとつの神話がアンドロイドの間でひそやかに伝えられている。「神エンズビルが天から下り、すべてを破壊し、すべてが生まれる…」果して破壊神エンズビルは本当にあらわれるのだろうか?―人間対アンドロイドの抗争を緻密なプロットで描く長編デビュー作。神林長平は昔から気になっていた作家なのだが、いままで一冊も読んだことがなかった。そこで長編デビュー作の本書から読みはじめたわけなのだが、う〜ん、可もなく不可もなく。
感覚を移管して自由に飛び回るシャンターとか魅力的なガジェットはたくさんでてくるし、アンドロイド社会と人間社会の対立とかSF的設定もしっかりしている。だけど、もうそれだけで面白がれるSFファンではなくなってしまった私には、もう一つ物足りない。
ただしデビュー作にしては文章はそこそこ、プロットは水準以上で完成度は高い。次は名高い『戦闘妖精雪風』を読んでみよう。
◇
21世紀研究会編『色彩の世界地図』(平凡社新書)購入。
210.169.69.31 本 489 1087051322 ないしょないしょ―剣客商売番外編池波正太郎『ないしょないしょ―剣客商売番外編』読了。
越後、新発田の剣客・神谷弥十郎の道場で下女として働いていたお福は、主人が暗殺されたため、下男の五平と一緒に江戸へ出る。が、新しい主人の御家人・三浦平四郎も、そして五平も、神谷を殺した無頼浪人の凶刃に倒れる。三浦に手裏剣の手ほどきを受けていたお福は、三浦の碁敵・秋山小兵衛の助太刀をえて、見事、仇を討ち果たす。数寄な運命を背負った女の波瀾にとんだ成長の物語。けなげだけど凜としている若い女性の成長物語だが、いい意味で描写は軽い。私の好みだと山本周五郎や藤沢周平のようなもう少しコクのあるしつこいくらいの方が好きなのだが、池波正太郎の粋な味もなかなかいい。実にするすると読める練達の文章が心地よい。りりしいヒロインがいとおしい。ヒロインを取り巻く人々の善意の塩梅が甘すぎず辛すぎない。
『剣客商売』や『鬼平』のお馴染みの登場人物がそこかしこに現われるのでファンには楽しいだろう。
左の画像では小さくてよくわからないが、中一弥のカバー装画が素晴らしく、実はこの絵に魅せられて買ってしまいました。
219.192.0.78 本 488 1086513786 半落ち無料券をもらったので地元の区民会館で映画『半落ち』を見た。
なかなかいい映画でした。何がいいって原作を崩さず、そのまま映画化したこと。原作にはそれだけの力がある。それと上手な手堅い俳優ばかりでキャストを固め、ジャニーズやアイドル系女優?などを出していないこと。おかげで映画らしい映画を落ち着いてじっくり堪能することができました。
達者な役者たちの中でも、うだつのあがらぬ弁護士を演じた国村隼がいい。その妻役の高島礼子だけはミスキャスト(小さな役だが)。できれば室井滋で見たかった。
国村よりさらによいのは樹木稀林。ラストの慟哭の場面ではおっさん(私だ)の目がなんだか熱くなってしまいました。さすがの演技です。
*
原作は文春の年間ミステリーベストと宝島のこのミスで1位に選ばれ、直木賞候補になっているが、受賞はのがしている。この日記を書くのにネットを検索するまで知らなかったのだが、落ちたのは選考委員の林真理子がいいがかりをつけたかららしい。
興味がある人はこちらを参照。ただし、リンク先は思い切りネタバレしているので、これから見たり読んだりしたい人は見ないことをおすすめする。
210.198.152.6 映 487 1086432045 宇宙服のトリビアQ:日本に「本物の」宇宙服はいくつある?
A:[一つ。]
Q:その宇宙服のお値段は?
A:[12億円。NASAにボッたくられたっぽい。]
Q:その宇宙服の重さは?
A:[120Kg。地球上での訓練は浮力のある水中(早い話しプール)でやるそうです。]
Q:宇宙服の前面のパネルの文字は裏文字で書かれている。なぜ?
A:[あのヘルメットでは自分の胸元は見えないので鏡で見るから。鏡は某経済評論家御用達の手鏡…ではなくて手首の内側についている。]
NHK教育TV『科学大好き土よう塾「どうして宇宙では宇宙服を着るの?」』から。
司会はNHK解説委員の人と中山エミリー。小学生向けの番組なので、小学生三人がレギュラーで出ているが、そのうちの一人の女の子がなんというか、立派な体格をしている。もしやと思い、2ちゃんねるの実況板をのぞいて見ると、
案の定「NHK教育を見て5751倍賢く ムチムチ雪乃タン(;´Д`)ハァハァ」なんていうスレが立っている。……中山エミリーの立場は。しかし、2ちゃんねらーの嗜好が的確に察知できるようになっても、自慢にはならない……というか人としてまずいですか、そうですか。
答えは反転文字なので選択すれば読めます。
210.198.152.6 科 486 1086360996 完全な真空スタニスワフ・レム『完全な真空 』(沼野充義訳/国書刊行会)読了。
架空の書物の書評集という斬新なアイデアで書かれた本書の著者は、あの『惑星ソラリス』の作者である。
レムが書こうとして果たせなかった架空の本たち、らしいのだが、さすがに斬新なアイデアの宝庫である。それも思いつきレベルではなく、世界観をくつがえすレベルのアイデアまである、レムの面目躍如たる一冊だ。以下、いくつかを紹介。
「完全な真空」。まずは序文からして、本書自体の書評である。その書評が本書に収録されているメタ構造にちょっとくらっとしますな。
「ロビンソン物語」。ロビンソン・クルーソーのパロディである主人公は、自らの想像力によって従順な下僕たちを無から創造する。ちょっとミルハウザーにありそうな話しだが、下僕に満足しないロビンソンは次々新しい従僕を創る。たとえば三本脚の女性のフライデーなどだ。そしてロビンソンは自分の創造物に翻弄されてしまう。
「ギガメシュ」『ユリシーズ』がジョイスの『オデュッセイア』であるように、『ギガメシュ』はハナハン(もちろん架空の作家)の『ギルガメッシュ』(古代バビロニアの叙事詩)である。そこに記述されている言語学的マジックを詳細に評論しているのだが、実際に小説化することは不可能だろう。
「性爆発」。セックスの商品化人工化の行き着く果てに人工爆発の対処法として発明された性欲を失わせる薬物が事故によって、全世界に散布されてしまう。本書では軽めのアイデアの作品。
「新鋭隊長ルイ十六世」。ナチの親衛隊将校が、隠匿した財物で南米奥地に閉鎖的な王国を築く。ナチ上がりなのにゲルマン文化風ではなくフランス風王国なのが皮肉だ。矛盾のかたまりのような王国の描写と王位継承者の物語は実に面白そうである。小説化されたら読んでみたい度は本書中一番だ。
「白痴」。「白痴」はもちろんドストエフスキーの「白痴」をさしている。しかし本書の白痴の子供が、ムイシュキン侯爵のように天使のように無垢なのは、両親の幻想の世界の中だけである。
「イサカのオデュッセウス」。主人公は天才である。普通の天才は世間に歓迎される。一級の天才は生前は理解されず、認められるのは未来の世代によってである。しかし主人公は最高レベルの天才であるがゆえに未来永劫認められることはない。
「ビーイング株式会社」。偶然を装って願いを実現させるサービスをする企業によって全てが動かされている世界。諸星大二郎が描きそうな話しだが、そういった企業が複数あり、互いに諜報活動をして相互干渉しながら企業活動をしているから話はややこしい。
「我は僕(しもべ)ならずや」。本書中の白眉。架空の科学理論パーソネティッスク=電脳世界上のヴァーチャルワールドの話しなのだが、単純な人間世界の模型ではないところがレムだ。純粋に数学的論理によって構築された世界、ただし自然界の法則とはなんら似通ってはいないが、世界内の論理は整合している。その世界はたとえば3次元であることにも縛られない。4次元でもN次元でも可能性はある。……イーガンも含め現在のSF作家のだれもこの高みに達していないのは間違いない。
「新しい宇宙創造説」最後のテーマは「神」である。宇宙の創造者についての思索はいつのまにか、物理法則自体がゲームであるという奇想天外な展開をする。ゲームといっても通常のゲームの概念ではないのだが、要約不可能。
最後の「解説」まで「書評」なのはやりすぎではないかい。
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大江健三郎『取り替え子(チェンジリング)』(講談社文庫)、池波正太郎『ないしょないしょ〜剣客商売番外編〜』(新潮文庫)、神林長平『あなたの魂に安らぎあれ』(早川JA文庫)購入。
219.192.0.78 本 485 1086249486 小6同級生殺害マスコミ迷走中女児は掲示板以外にも3月ごろから怜美さんや他の数人の友人と交換ノートもしており、そのやりとりでも不愉快に思うことがあったという。事件を起こしたことに「掲示板と交換ノートのやりとり以外では怜美さんとはトラブルはなかった」と話した。昔ながらの「交換ノート」も登場しているのに、なぜかマスコミはネット上の書き込みばかりを重視しているようである。
長崎少年鑑別所に収容された同級生の女児とは、チャット(ネット上のおしゃべり)の書き込みが元でトラブルになったとみられているが、作文の中では「顔も姿も見えない人たちと仲良くできるのだろうか」と、ネットへの戸惑いを見せていた。だって、二人は同級生なんだから「顔も姿も見えない人」にはあてはまらないではないか。加害者と被害者がネット上ではじめてあってその後トラブルになったのならともかく、ここでこの文章を引用するのはあきらかにおかしい。「顔が見えない」は「ネット=悪」論の際のきまり文句だから使ってしまったのだろうが、この記事を書いた記者は頭が悪いのか、誤解させようという意図がある悪意ある記事なのか。
また、同じ文集の中で補導された女児は、「将来の夢」は小説家で、「好きな本」として「バトル・ロワイアル」を挙げていた。
映画にもなったこの小説は、同じクラスの中学生同士が殺し合う凄惨(せいさん)なシーンが問題になった。児童相談所の所長が会見でいった「
普通の家庭の普通の子」という情報に、マスコミは困り果ててしまったのだろう。二人ともバスケット部に所属してワイワイやっていたらしいし、「パソコン好きのひきこもり」というマスコミの好きなステロタイプにも当てはまらない。ドキュンな親のドキュンな子でもない。「普通の子ですが、たまたま殺人しました」では記事の体をなさない。「好きな本が『バトル・ロワイアル』」という「ネタ」には、干天に慈雨の心地で飛びついたに違いない。このドラマは事件前日の5月31日午後9時からTBS系列で放送された「月曜ミステリー劇場『ホステス探偵 危機一髪(6)』」。
(略)
計5人の被害者が路上で襲われ、回想シーンも含めて計8回カッターナイフで切りつけられる場面が放映された。
女児は県警の調べに「このドラマを見た。こんなふうにしようと思った」などと供述したという今度はTVドラマにカッターナイフが槍玉に挙げられるのかな。
親の育て方、子への接し方を原因に挙げている「識者」の意見もTVや新聞でかなり見かけた。断言してもいいが「加害者の親がこういう接し方をしたから、こどもが殺人を犯した」なんていう断定的理由は、(この事件に関しては)調査が進んでも絶対に出てこないだろう。加害者の子が友人を切り殺した原因は(たぶん永遠に)わからない。
簡単にはわからないからこそ「心の闇」なんだろうよ。
219.192.0.78 時 484 1086185440 天麩羅の味NHK総合『そのとき歴史は動いた/家康・人生最大の危機の三日間“伊賀越え”』。
ようやく危機を脱した家康は、領地岡崎へ向かう船の船頭にはヤドカリの塩辛をふるまわれたそうな。「
殊の外 風味よし」といったそうだが、それはことのほか旨かったことだろう。そのとき飯も三杯食べたそうだが、徳川家康にはこの手のエピソードが多い。今日の番組中でも触れていたが、伊賀越えの途中でやっと落ち着けた民家で出された握り飯にむさぼりついたとか。
若いときの危機、武田信玄に散々に打ち破られたときも、ほうほうの体で城にたどりついたとたん、物もいわずに湯漬けを三杯かっこんだそうな。(ここでも三杯)
そして最後には茶屋四郎次郎のすすめる鯛のてんぷらをたらふく食ったあとに食あたりで死んだと伝わっている。(異説もあるが)
まあ「
鳴かぬなら鳴くまで待とう不如帰」の人だから、克己の人でもあったのだろう。同年代のライバル豊臣秀吉に勝つには、彼より長生きするしかなかった。それは体に気をつかったことだろう。でも、本当はいじきたないところがあったんだろうね。天下を確実なものにして、最後の最後に気がゆるんだのだということか。きっと鯛のてんぷらは美味なことこのうえなかったにちがいない。
210.198.152.6 史 483 1086101666 小学生が刃傷沙汰TVで被害者の父親が気丈に記者会見してましたな。なぜ、加害者でなく被害者の家族をさらし者にするのかね。娘の死を知ってから間もない(私と同年代の)父親の姿など、あまりにもかわいそうすぎて正視に耐えかねる。
私もふくめ大多数の視聴者の知りたい「情報」は加害者の動機であり事件の原因だ。被害者の家族を見てみたいなんて奴は、もしいたとしても少数だろう(と思いたい)。
と思っていたら、この被害者の父親は毎日新聞の支局長なのだね。今まで散々被害者をさらし者にしてきたマスコミの一員としては、いざ自分の身になった場合は逃げるわけにはいかなかったのだろうな。企業人はつらいね。
これを機会に被害者をさらし者にする風潮はやめにしたらいいだろうに。少年法に守られた加害者をさらせない分、被害者に矛先が向くのだろうが、被害者と加害者の露出度は逆にならねばね。加害者が守られて被害者が守られない社会はどう考えても変だ。
219.192.0.78 時 482 1085313709 スターウォーズ展国立科学博物館『スター・ウォーズ サイエンス&アート展』。
これは予想以上に面白かった。映画のできとは別に、ブツのディテールでは、新二部作の方がさすがに上である。お金のかけ方が違う。
圧倒的だったのはクイーン・アミダラの衣装。数も多いが一つ一つの素材、刺繍などの手間もかかっていてゴージャスである。それにひきかえレイア姫の衣装は…零落して逃亡中とはいえあまりに貧弱。ジャバ・ザ・ハットにつかまっているときの女奴隷衣装が一番素敵だというのはなんだかなである。
ポッドレースのマシンやドロイドの映画そのままの実物大が目に前にあると、動いたり飛んだりしないのが不思議に思えてくるリアルさだ。スターウォーズファンには(あらためていうことではないだろうが)おすすめである。
旧三部作特に第一作は、こんなチャチい大道具・小道具があの素晴らしい映像になったのかという別の驚きが大きい。映画的にはむしろこちらの方が王道かな。
◇
朝青龍、強っ。
◇
ボブ・サップ、弱っ。
210.198.152.6 映 481 1085230774 リサイクル幻想武田邦彦『リサイクル幻想』(文春新書)読了。
立派なビル内のトイレに手拭き用のペーパーが設置されていることがある。たいてい「
再生紙を使って環境に配慮しています」なんてことが書いてある。なんか変だなあと以前から思っていた。自分のハンカチで拭くのが一番環境にいいのではないかい?再生紙だって作るのに電力も水も使って環境にダメージを与えるし、100%古紙で作ることなどできない。「リサイクルは環境に悪い」というのが本書の主張である。たとえば再生ペットボトルは新品より三倍以上資源をムダ遣いする。考えてみれば当たり前で、リサイクルするにはゴミを分別し運搬し蓄積し再生しなければならない。そのためには新品を作る何倍もの労力を費やし電力を使い石油を消費することになる。その上再生された製品は不可避的に性能や耐久性が劣化して、メンテナンスや安全対策など、社会的負担が増大する。
もちろん、だから今のままの消費社会・生産文明でいい、というわけではない。ただ、リサイクル、環境問題、循環社会をちゃんと考えるには、地球全体、少なくとも日本全体を俯瞰した統合的理論が必要だということ。感情的な「地球にやさしい」的発想は意味がないどころかむしろ逆効果であるということだ。
一番基本になるのは、地球上の資源はフローもストックもすべて太陽エネルギーによって作られてきたということだ(例外は原子力のみ)。そこから演繹された目からウロコな発想が本書にはたくさん記述されている。「石油を直接暖房や発電に使うのはムダである。すべてプラスチックにして、ゴミになったらすべて燃やしてその熱で発電するのが資源的に一番効率的」という主張など、今の風潮からはとんでもないことのように聞こえるが、細かな検証を読むと納得せざるを得ない。
マイ箸を持ち歩いて森林にやさしいなどという勘違いをしがちな情緒的環境派ではなく、環境について科学的に考えるには、お薦めの一冊。
*
リサイクルや地球環境問題を考える場合の科学的基礎を知る本としては『資源物理学入門』(槌田敦著/NHKブックス)も良書だと思う。キーワードは「エントロピー」。具体的な資源の話題を例にした「エントロピー」の平易な解説として読んでも面白い。
210.198.152.6 本 480 1085150693 世界の中心で愛を叫んだけものハーラン・エリスン『世界の中心で愛を叫んだけもの』(ハヤカワ文庫/浅倉久志訳)読了。
70年代の伝説のSF作家ハーラン・エリスンの本邦初紹介短編集。といっても出版されたのは1979年。25年ぶりの再読だ。
エリスンの伝説は色々あるらしいが、日本のSFファンには、SF大会ではじめて会ったアイザック・アシモフに「なってねえなあ」といったというエピソードが衝撃的か。
本書に収められた短編は、いかにも70年代らしくドラッグとバイオレンスばりばりで、既成のSFの枠を破壊しようという意欲にあふれてはいるのだが、意余って力足りずというところか。
表題作はあらゆる時代に狂気を流し込む七頭の龍の話し。今となってはちょと平凡。
他には「犬と少年」がいい。崩壊した未来社会。知的な階層は地下に潜り、地上は粗暴な少年たちが徘徊し、血と暴力が支配している。彼らが連れているのは女ではなく(女たちは富裕な人々と地下に潜ってしまった)知能を人工的に発達させられた軍用犬だ。むしろ犬が少年を連れているというべきか。なにしろ少年たちより犬の方が知能も知識も上なのだ。そんな犬の一匹がある日「女」の匂いを嗅ぎつける。
なんといっても題名がかっこいい。本書の原題は「The Beast that Shouted Love at the Heart of the World」だ。他にも『おれには口がない、それでもおれは叫ぶ』(I Have No Mouse, and I Must Screeam)とか、『ラブなんてセックスの綴りをまちがっただけ』(Love Ain't Nothing But Sex Misspelled)なんて短編集があるらしいが、いづれも未訳のようだ。
*
最近、『世界の中心で愛を叫んだけもの』が映画化されたらしい、いまさら、あんな映画化しづらいのをどうしたんだろう、とマジに思っていたら、日本映画だっていうじゃないか。なんと原作も、日本?…SFじゃないぃ??…世界の中心で愛を叫……ぶぅ?!
「けもの」はどこいったんだよ?「けもの」は?
筒井康隆の『朝のガスパール』みたいなパロディタイトルでもないようだし、『白痴』や『嫉妬』みたいな一単語タイトルでもない。そういうのは、昔はパクリといったもんだけど……作者は少しは恥ずかしがっているのかいな?
210.198.152.6 本 479 1084346656 ムイシュキン公爵最近、読了のペースが落ちているが、これは『白痴』をゆっくりと再読しているため。
主人公の「白痴=ムイシュキン公爵」はキリストにもなぞらえるほどの好人物にして、癲癇持ち。周囲の人物はみな彼を困惑しつつも好きになる。対照的な二人の美女からも愛される。恋敵も彼を憎むことができない。でもはくち。
毎度のことながら、世界文学の名作(日本には坂口安吾の同名の名作もあるし)の題名も変換できないMS-IMEは痴呆(こっちは変換できる)である。WXGはできる。
なんどか映画化されているようだが(黒澤映画もある)、現代ではとても適役がいないなあと思っていたら、
一人おりました。→キアヌ・リーブス。
人の好さを物語るエピソードがムイシュキン公爵を彷彿とさせる。なにより2ちゃんねるの芸能人スレッドでマンセーレスばかりというのは、一種の奇跡ではないだろうか。
日本では(元?)劇団四季の松橋登が演じていた。見たことはないけど、こちらも風貌は適役だ。松橋登がロシア人だったら完璧だ。
219.192.0.78 本 478 1083941274 鉄人28号TV東京で深夜にやっているアニメ『鉄人28号』がなかなかいい。鳴り物入りではじまっていつのまにか終わった?『鉄腕アトム』がダメダメだったのとは好対象だ。
下手に現代的にせずに、時代も原作通りに敗戦直後に設定し絵柄も旧さをうまく生かしている。ストーリーは原作とはだいぶ変えているが「鉄人が旧日本軍の兵器だった」という原作のキモを原作以上にふくらましてイイ雰囲気を出している。それでいてロボットの巨大さや飛行する迫力をリアルに出しているのだから、リアルタイムで連載を読んでいた私など、手もなくはまってしまいました。
ショタコンの元祖、オープンカーを乗り回し拳銃をぶっぱなすトラッド少年探偵、金田正太郎クンがちょっぴり屈折キャラになっているのも微笑ましい。
アトムと違い、深夜に放映することで視聴ターゲットを青年以上老人未満に絞ったことが勝因でしょう。
改めて見て思ったことは、アトムのルーツは欧米のSFにあるとすれば、鉄人のそれは、乱歩の怪奇探偵ものだということだ。「鉄人28号」は絶対(いい意味で)SFではない。
◇
武田邦彦『リサイクル幻想』(文春新書)、泡坂妻夫『大江戸奇術考』(平凡社新書)、四方田犬彦『白土三平論』購入。
210.198.152.6 漫 477 1083763352 夢百景:蜥蜴星人最近、あまり面白い夢も見なかったが、連休でいぎたなくた〜っぷりと睡眠時間を取ったおかげか、ひさしぶりで能天気な夢を見た。
といっても、残念ながらストーリー?はあまり覚えていない。
とりあえず宇宙人が地球を侵略しに来る。
姿はトカゲ型。集団で地球人に迫って来る様子は、ちょうどジュラシック・パークのヴェラキラプトルのようだ。ただ、武器らしきものは携帯しているのだが、どうもそれ以外はスッポンポンのようだ。
左の絵の右側のすごんでるのがそれ。デッサンが怪しげなのは夢だからです。たぶん。
なんだかんだあって、なんとか敵の前衛は退却させて何匹かを捕虜にした。彼らを捕らえている研究所に女性科学者が赴任してくる。なんと彼女は(大方の予想通り)宇宙人が化けていたのですねえ。なんともベタな展開だけど夢だから気がつかない。
左の絵の奥のが、その女性科学者が正体を現わしたとこ。監視係が私なんで、私をたぶらかすためか、とりあえず胸はある。
210.198.152.6 夢 476 1083595110 自堕落な連休どこ行っても混んでるしなあ、といつもの通り近場をうろうろとする連休。明日明後日は天気も崩れるようだし、大人しく絵でも描いているとするか。
『旧前田侯爵邸洋館』
旧岩崎邸をさらに凌ぐスケール。しかも無料、しかも空いている。大邸宅が舞台の漫画や小説を書こうなどという人が妄想を膨らませるには、最適の場所である。全ての部屋に暖房を供給する煉瓦造りの竈が中庭にある。巨大な煙突を持つその風情は一見の価値あり。
*
となりの『日本民藝館』ものぞいてみる。パキスタンの刺繍工芸品展はつれあいの好み。私が一番惹かれたのは、鈴木繁男という工芸意匠家の雑誌『工芸』の表紙の元絵。すべて漆絵だそうだが、見事なものです。
*
『田中一村展』(4月29日)。
奄美を描いた画家、田中一村の回顧展をH2さん、伊豫田さんと。
いや、うまい。特に軍鶏を描いた一点は絶品。
そのあとはいつものように銀座の好々亭で談論風発(しゃべりまくりともいう)オフ。
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連休中の夜は、一杯やりながらDVD鑑賞。肴はちょいとあぶった(もらいものの)本物のシシャモ。これが旨い。シシャモには本物と偽者があるんだと。せちがらい。
61.198.186.20 美 475 1083040002 千夜千冊のポオと元号の効用大団円も見えてきた『松岡正剛の千夜千冊』は第972夜。昨日は手塚治虫、本日はポオということで、連日目がはなせません。
特に今日のポオ語りは秀逸だが、特筆したいのは、年代を表すのに元号を使っていることだ。
この天稟の詩人ポーの表現界に向けての出発は文政9年(1826)の17歳に始まっている。他の日にはそんな書き方はしていないようなので、筆者はポオをレビューするために意識して使っているのだろう。意図はどうあれ、これはわかりやすい。ポオの生きた時代の日本は江戸文化の爛熟期。海を隔てて鶴屋南北や瀧沢馬琴が健筆をふるっていたことが、なんの説明がなくてもすんなり脳内で結びつく。
現代日本で公文書の日付表記に元号を優先しているのは、ソフト屋としては七面倒くさい限りであり、とっととやめてほしいものだが、歴史として記憶に残ったものはそれでいい。無味乾燥な数字と違って漢字はイメージを喚起する力がある。たとえば「嘉永」という字面だけで、「文明開化の音がする」ような気がするではないか。
結局、ポオは嘉永2年(1849)に、わずか40歳で意識を失って昏倒したまま死んだ。黒船が浦賀沖にやってくるのは、まだちょっと先のことである。219.192.0.78 本 474 1082876338 魔術師『魔術師』(イングマル・ベルイマン監督)DVD鑑賞。
ベルイマンは大好きな監督だ。コンプリートとはとうてい行かないが『沈黙』『処女の泉』『野いちご』『夜の儀式』『叫びとささやき』『ペルソナ』『冬の光』といった代表作はなんとか見てきた。なつかしき岩波ホールや名画座たち。って岩波ホールは健在か。最近全然行ってないなあ。
ただ、映像やイメージ、緊迫感といった部分はたまらなく好きなのだが、テーマは神学的で深遠にして難解、正直理解力が追っつかないのを背伸びして見てました。
その中でこの『魔術師』は平易で娯楽性に富んでいて、しかしベルイマンらしさも神学的テーマも抜け落ちていない、稀有の一作。実は私が今まで見てきた中で一番好きな映画である。学生の頃にはじめて見てから、名画座にかかってるのを見つけるたびに三回は映画館で見ている。それでも最後に見てから25年ぶりくらいなので、細部は忘れていた。やはり面白かったなあ。これから何度でも見られるかと思うと嬉しくてたまらない。DVD様々である。
19世紀のスウェーデンが舞台。荒野を旅回りの魔術師一座の馬車が行く。超能力を持つ科学者というふれこみの座長。助手の美青年。太っちょで口の達者なマネージャー。媚薬作りと占い専門の老婆。馬車の御者の若者。たった5人のうらぶれた一座だ。途中で死にかけのアル中役者を拾った上に車内で死なれてしまうというトホホな状態で巡業地のある街にやってくる。一行は領事の館に招かれるが、そこで領事・警察署長・医者という当地の名士たちに尋問される。どうやら彼らは近代科学を信奉し、怪しげな魔術師一座に悪意を持っているようだ。下層階級として蔑み、化けの皮をはがそうとしているのですね。
一座は無理矢理館に泊まらされ、翌日街の名士たちの前で魔術を披露することになる。賓客ではなく食事は館の召し使いと一緒に台所で取らされるという屈辱的扱いだ。それでも一行のうちマネージャーと御者は館の色っぽい女中たちとねんごろになり、老婆の媚薬の効き目か?艶笑喜劇を繰り広げる。座長と助手はそんな騒ぎにはくわわらないが、座長には領事の妻が、助手には医者が誘惑をしかけてくる。そんなてんやわんやの翌朝、魔術師一座の興行の幕が開く……
この後、魔術師たちとブルジョアたちのオカルティックな戦いはなかなか見物。優勢劣勢がなんどもくるくると入れ代わる。特に医者と座長がサシで対決する屋根裏部屋のシーンが秀逸。特撮や血糊がなくとも心理劇だけで迫力というのはちゃんと出るのだね。ラストも意外とさわやか?ですっきりします。
座長のフォーグラ博士にマックス・フォン・シドー、助手の[男装の麗人=女装にもどるとどきっとする美しさ]アルマンにイングリッド・チューリン。傲慢で高慢な医者にグンナール・ビョルンストランド。由美かおるの若い頃に良く似た色っぽい女中にビビ・アンデルセン。いずれもベルイマン一家の名優名女優たちだ。
モノクロの画面が美しい。1958年の作品だと考えると保存状態の良さに驚く。数年しか違わない小津安二郎の作品が痛みまくっていたのとは大違いだ。
*
その他最近買ったDVD。『ヤング・フランケンシュタイン〈特別編〉 』、『ファントム・オブ・パラダイス』、『ポーキーズ』。3点とも税込898円の特別セール品。
ベルイマンのDVDも随分出ているのだ。見ていないのもたくさんあるので欲しいのだが、ちと高いよなあ。どうせ読めやしないのだが、英語版がないかとさがして見たが、アメリカではあまり出ていない。少なくとも『魔術師』は見当たらない。ベルイマンに関しては日本は先進国なのだね。
と思ったらイギリスでは結構出ていた。『魔術師』は16ポンドだから約3,000円。日本のアマゾンだと5,040円、楽天のい〜でじ!!シネマでも4,130円だ。う〜む、どこがデフレなんだ?日本ももう少し下げてくれい。
210.198.169.72 映 473 1082611188 結・人質3邦人解放今回の件に関しては、事件そのものより、自分も含めて世間(日本)の人々の反応の方に興味があった。元人質やその家族に感じるこの気分はいったいなんなのか、私は頭が悪いので、もやもやしつつはっきり言葉にならなかった。はっきりさせるために新聞やネットや、日頃こういうことに怠惰な私にしてはまめに意見・記事をあさってみたのだが、もう一つよくわからない。
しかし、これが一応一番自分にはすっきりくる説明かな、というのを見つけた。日付にNAME指定がされてないようなので、少し多めに引用する。これでこの話題は(なにもなければ)当ページでは終了。
唐沢俊一の裏モノ日記(2004/4/16の後半)
219.192.0.78 時 472 1082474771 続々・人質3邦人解放10時のNHKニュースでイラク人質事件続報を見る。嬉々とした表情でいるところがまた、腹がたつ。彼らをいまだ弁護している人々は、とにかく現政権が自衛隊を派遣したことが憎くて、それに反対している彼らを英雄視しているのだろうが、結果 を見れば現政権は彼らの命を救ったことで点数を稼ぎ、(略)結果として、彼ら三人の行動は利敵行為にしかなっていない。一番、彼らに対し怒らなくてはならないのは、自衛隊撤退派の人々のはずだ。それが、これまた“情に流され”て、“平和のために尽くしたのに世間から非難を受ける哀れな若者たち”みたいな扱いをして、一般大衆との乖離を深めている。どこまで純情(馬鹿と同義)なんだろうと呆れる。
(略)
高遠さんという人の家は資産家だそうである。なればこそ、三十いくつにもなった娘に、就職も嫁入りもさせもせず、イラクの少年たちの養護に熱中させておけるので あろう。今井くんのイラク入りとて、自分で稼いだ金で行っているのではよも、なかろう。支援者たち、つまりは人の金で行っているわけである。彼らは恵まれた 環境・恵まれた位置にいて、ドラマチックな非日常の世界の中に身を置いているのである。それをブラウン管のこちら側から見ている者たちは、日常の中に縛りつけられていて、指をくわえて見ているだけだった。彼らの活動がマスコミで伝えられるたびに、人々は、自分たちと彼らの間の“差”を思っていたはずである。彼らの“善意”“ボランティア”という金看板に、表立って誹りを投げつけるわけにはいかないが、心の底のどこかで、必ず“へっ、いいご身分だよ、稼ぎもせずに自己満足できる活動をしているんだから”というそねみ、ねたみがあった筈である。NGOの人々は、そこに今まで、まったく気がつかないでいた。自分たちの活動は崇高なもの故に、世間から善意を持って見られているはず、と思いこんでいた。今回、人質になった人のうち、郡山さんを除く他の二人は、まさにそういう妬みの目を受けるに、あつらえたかのように格好な二人であった。いわば“タマが悪すぎた”。おまけに家族の言動が、これまた世間知らずでありすぎた。今回の彼らに対する悪罵の嵐は、言ってみれば日常の、非日常に対する復讐だったと思う。
あまり、政治的な話題は好きでないのだが、一回書いてしまったのでもう少し。
「肝心なのは自己責任の原則」「喜ばしいが教訓も少なくない」読売新聞社説。
政府・与党内には、救出費用の一部の負担を本人に求めるべきだという議論もある。これは検討に値する。独善的なボランティアなどの無謀な行動に対する抑止効果はあるかもしれない。(4/19)
国際社会は、新生イラクの建設へ、改めて結束を図る必要がある。日本も、自衛隊を派遣し、人道復興支援活動を展開している。人質事件に左右されることなく、国際社会の一員として一層の責任ある役割を果たさなければならない。(4/16)
「イラクの人質事件――解放の喜びと新たな不安」朝日新聞社説。
政府の懸命な努力に加え、人々の窮状を助けようとイラク入りした3人に共感する人々やNGOの世界への訴えが、様々なメディアを通じてイラク社会に伝わったことも役だったのかも知れない。
それにしても、報道機関に政府が全面退避を呼びかけざるを得ないほど危険度の高い国に、自衛隊を派遣する条件である「非戦闘地域」が今なおあると言えるのかどうか。緊迫の度を増すイラクの実相を見れば、そのことも真剣に考え始めなければならない。(4/16)
どちらも脅迫によって自衛隊を撤退させるようなことはするな、というのは一致している。しかし同じなのはそこだけで、あとは見事に真反対だ。簡単にいうと読売は自衛隊派遣賛成で人質ボランティア非難。朝日は自衛隊派遣反対で人質ボランティア擁護。この2紙だけでなく、マスコミやネットの喧々囂々のいずれもだいたいこの組み合わせに色分けできるようだ。程度の差、主張の強弱があるにせよ、いわゆる右翼と左翼だ。自衛隊派遣賛成で人質擁護派(どちらかというと私はこれ)とか、逆に自衛隊派遣反対で人質非難派という意見にはめったにおめにかかれない。私はさびしい。
日本以外なら、ちゃんと次のようなコメントもあって、ふと安心できる。パウエル国務長官のインタビューの紹介ページから孫引き引用。
全ての人は危険地域に入るリスクを理解しなければなりません。しかし、危険地域に入るリスクを誰も引き受けなくなれば、世界は前に進まなくなってしまう。彼らは自ら危険を引き受けているのです。ですから、私は日本の国民が進んで、良い目的のために身を呈したことをうれしく思います。日本人は自ら行動した国民がいることを誇りに思うべきです。また、イラクに自衛隊を派遣したことも誇りに思うべきです。彼らは自ら危険を引き受けているのです。たとえ彼らが危険を冒したために人質になっても、それを責めてよいわけではありません。私たちには安全回復のため、全力を尽くし、それに深い配慮を払う義務があるのです。彼らは私たちの友人であり、隣人であり、仲間なのです。政治的配慮があるにしろ、日本が褒められたら嬉しくないわけがない。ついでにフランスのル・モンドも褒めている。こちらはやや皮肉を感じるが。なんにしてもアメリカでもフランスでも、少しでも対日印象、対日本人印象がよくなるにこしたことはない。イラク人の対日印象もまだ破局的なとこまではいってないようだし。こちらも好印象をうまいこと残して、ひっそり撤退できればそれに越したことはない。
なんといっても、日本及び日本人はは中国韓国北朝鮮といった隣国から嫌われたり妬まれたりしている。将来もめごとが起る確率は高いだろう。そのときアメリカをはじめとする第三国がどちらにシンパシーを持ってくれているか。今回の事件や自衛隊派遣のどの局面が未来の国益にかなっているか、単純に左右の論理では測れない気がする。もちろん私などではとうてい見当もつかないが。
219.192.0.78 時 471 1082204439 アルジャジーラの女(ひと)昨日書いたアルジャジーラのアラビアンナイト風アナウンサーは、早速ネットに画像があがってました。みんな、目のつけどころは一緒というか何というか。
濃厚なフェロモンを、上の写真はハァ〜ッと、下の写真はフゥ〜ッと、まき散らしているようではないですか。
いい悪いは別にして、かの地で女性は黒布で顔を隠すという風習が生まれたのも、納得させられる気がする。
210.198.169.72 時 470 1082101506 続・人質3邦人解放(元)人質の家族には「日本政府の自衛隊派遣こそ事件の原因」と主張した人がいるそうだ。理屈はあっているようだし、私も自衛隊派遣に全面的に賛成しているわけではない(他に選択肢はなかったとは思うが)。それでも、あの家族(と元人質)の様子には違和感がある。
ネットでは『自己責任』とか『自作自演』とか言葉が一人歩きしてる感がありますな。自作自演の可能性はなきにしもあらずだろうけど、自己責任については私自身は人に厳しく指摘できるほどの自信はない。私が感じた違和感はそんなご大層なものではない。
身内が山(といっても本格的高山ではないが)で遭難したことがある。もちろん、入山禁止勧告が出てるような危険な山に入ったわけでなく、単純に道に迷っただけだが。
親戚や友人もたくさん駆けつけてくれたが、やはり一番働いてくれて実際に救出してくれたのは地元の警察の人々だ。(発見したのは私だが、警察の協力がなかったら山に入ることも連れ帰ることもできなかったろう)
まあ、元々は警察に親近感など持ってないし、今でも地元の交番は肝心なときに人気がないのが業腹だ。それでも遭難騒ぎのときには感謝以外の気持ちはまったくなかったし、今でも足利署の方向には足を向けては寝られません。(その節はありがとうございました)
右翼か左翼かとか関係なく、今回のようなことがおきたら、身内をさらって死を代償に脅迫する犯人を憎悪し、たとえそれが仕事とはいえ懸命に救出活動してくれている当局には感謝する、というように心が働くものではないだろうか。救出活動の最中に「山道や道標を整備していなかった地元の責任を追及」したりはしない。
尊敬すべき(と私は本当に思っている)ボランティア活動にいそしむ人々にしては、その反応は人として変だ。それとも政治的に活動している人にとっては、あれが普通なのだろうか。あまりにも非政治的な私にはとうてい理解不能です。
219.192.0.78 時 469 1082039674 人質3邦人解放最初は「イラクのためと思って活動してきた人がイラク人に殺されるのか!」と思って慄然、暗然としたものですが、いまや解放されたと聞いても岡本喜八の『大誘拐』を連想するぐらいで、特に感慨もなくなってしまった。
どうも、釈然としないことが多すぎる。まあ、何年何十年かするうちに今回の事件の真相もあきらかになることだろうけど、そのころには「歴史」だね。
なんにしても、イタリヤ人人質は殺されてしまったし、日本人もまだ二人不明のままだし、手放しに喜べる心境にはなかなかならない。
*
アルジャジーラの女性アナウンサーはアラビアンナイトの登場人物のようでしたな。濡れたような切れ長な眼。バラの花びらのような厚い唇。スーツでマイクに向かっているより、薄物をまとって魔法の絨毯で飛んでる方がお似合いである。
219.192.0.78 時 468 1081695012 スター誕生青山劇場『スター誕生』にて生仲間由紀恵を見る。
加藤茶が「ちょっとだけよ」をやれば、諸星和己も突然ローラースケートで走り回る。美術も一級。満員の観客を満足させるためならなんでもやるプロフェッショナルで贅沢なエンターテインメント。エノケンや美空ひばりのミュージカル映画を思い出させる演出脚本は、ラサール石井。才人である。
ラスト近く三人の主演女優がそろって歌う場面では、それぞれ、仲間由紀恵(顔も声も美しい)は女優、今井絵理子(映画やTVで見るよりずっといい)はミュージカル、島谷ひとみ(う〜ん、細い)は歌手、という印象。
しかし一番キャラが立っていたのは、「私鉄沿線」を唄いながら立ち回りをしたROLLYでした。
61.198.189.220 劇 467 1081263307 情報倉庫ハードディスクを買った。Seagate製の200ギガバイト。DVDのバックアップに使うつもりだ。
もう20年近く前になるが、仕事で金融機関向けに、PCに光ディスク装置を付け、過去の帳票データを収めて検索印刷できるシステムを作ったことがある。索引データを収めるためにハードディスク装置も付けたのだが、当時40メガバイト(ギガではない)で40万円した。単純計算で1メガバイト当たり一万円である。1ギガだと一千万円だ。(メーカー方式の1ギガ=1000メガとして)
今回の私の買い物は税込みで1万5千円弱だった。1ギガ75円だ。18年前に200ギガ分のハードディスクをそろえたとしたら、必要な金額は実に20億円である。13万分の1に値下がりしたわけである。
電卓がはじめて登場したのが1965年、もう40年も昔だ。価格も10万円以上はしたはずだ。今は100円ショップでも売っている。それでも1000分の1、ハードディスクの値下がりぶりには遠く及ばない。
容れ物がいくら大きくても、情報は量より質が肝心。テキストデータなら国会図書館級の情報をすべて個人のPCに収めてしまうことも可能だ。しかし、大いに売れている大容量ハードディスクのほとんどは、映画データやTV番組の録画データを収めることに使われているのだろう。
だけど、それでもかまわない、と思う。やはり良いものほどたくさんコピーされる(はず)。複製が多いものほど未来に生き残っていく確率は大きくなる。
たとえばギリシャ悲劇。「王女メディア」や「オイディプス王」などの傑作が現代文学や映画や思想に大きな影響を与えていることに疑問の余地はないだろう。しかし現存する原典は、大量に創作されただろう作品のほんのほんの一部分だ。なにしろ媒体は粘土板なのだ。ほとんどが割れたり埋もれたりして永久に失われてしまったことだろう。それでも現代にまで残った数編は抜きんでた傑作だったろうと言われている。傑作なればこそたくさん粘土板が複製され、現代まで残ったであろうからだ。(ちょっと論理が怪しいような気もするが)
現代にもどって、あるコンテンツが天下の傑作として国家ライブラリに大事に保管されたとする。それでも、その時々の国家や企業の都合でどんな運命にみまわれるかはわからない。しかし、どんな時でも一般社会の個々人の下に存在する複製の方はしぶとく生き残るのではないだろうか。
だから、DVDにプロテクトをかけたり、そのプロテクトを外して複製するのは個人利用でも犯罪だなどとぬかす輩はくそくらえだと思ってしまうのだ。少なくとも小津安二郎のフィルムをあんなひどい保存状態でしゃあしゃあとしていられるような日本映画界などには言われたくない。複製を許さないのなら、未来永劫絶対に絶版や品切れになどするのでないぞ。
219.192.0.78 電 466 1080998405 バルタン星人はなぜ美しいか小林晋一郎『バルタン星人はなぜ美しいか―新形態学的怪獣論―』(朝日ソノラマ)読了。
ウルトラマンシリーズは誕生以来、数多くの傑作怪獣を生み出した。歯科医師と特撮ファンの2つの顔を持つ著者が、熱い思いをこめて語る「怪獣賛歌」。私と著者はほぼ同年代。もちろん元祖ウルトラシリーズを(熱狂して)見て育った世代だ。しかし、私が成田享デザイン、高山良策造型の真価を思い知ったのは、後年、東急ハンズに買い物に言ったときのことだ。
模型売り場のショーケース。ダースベイダーをはじめとしたスターウォーズシリーズやエイリアン、ETといったミニチュアが並ぶ中、ひときわ、というか圧倒的に造型的にキャラが立っていたのはカネゴン、ガラモン、バルタン星人といったウルトラ怪獣たちだった。その存在感は明らかに他を圧していた。細部を排したミニチュアだったから、特に形態的パワーの違いがあからさまになっていたのかもしれない。
本書はそのへんの感覚を微にいり細にわたって、特撮マニアである著者が語り尽くした同好の士にはこたえられない好事家本だ。私にはやはりQ、マン、セブンの元祖三部作が興味深かった。ウルトラマンの模様のデザインと桑田次郎のエイトマンのデザインとの類似性の指摘などはわが意を得たりという気分にさせられた。いまやその絵柄の後継者もほとんどいないが、桑田次郎の絵の独自性先進性はいくら強調してもし足りない。
他にも、ウルトラセブンの「八つ裂き光輪」のルーツをタツノコプロのアニメ「宇宙エース」に求めるところなど、当たっているかどうかはともかく、リアルタイムに見た世代としてはニヤニヤさせていただいた。
「帰ってきたウルトラマン」以降の昭和のシリーズは私は見ていない。思い入れがないせいか、やはり成田享がはなれてしまったからなのか、紹介されている怪獣たちのデザインは元祖三部作に比べて格段に落ちる。ウルトラファミリーたちのデザインも角がついたりゴテゴテするばかりでチープきわまりない。
それが「ティガ」以降、平成になってからのシリーズは面目を一新する。成田享デザインを見て育った世代が最前線になることで旧シリーズに比肩する造型が生まれてきたというわけだ。もしかしたら成田享デザインは日本にとってすごい財産なのかもしれない。
*
著者の小林晋一郎氏はは思い入れが強烈なせいか、日本の(成田享の)怪獣デザインの独自性、屹立性をハリウッド映画などと比較して、しつこいほど強調する。しかし、それ以前の海外のアートでも見るべきものはもちろんある。
たとえば、左上は1940年代のスペースオペラ『生け捕りカーライル』シリーズの挿絵でエド・エムシュウィラーという画家が描いた宇宙生物たちだ。どうです?ウルトラQっぽいではないですか。
左下は有名なエド・カーティアの『星間生物圏』(1951年)。こちらはウルトラセブンっぽい。というより現在のハリウッド映画のクリーチャーたちがカーティアデザインの影響を強くうけているのがよくわかる。
(参考『図説異星人―野田SFコレクション』)
61.198.198.35 本 465 1080657725 縦書きテスト(みなさん、どう見えます?)61.198.198.35 網 464 1080572049 回転無用私の妹は落語好きでよく友人と寄席に聞きに行っている。
先日も独身OL仲間と行った席で、旧知の年輩婦人集団(六十代〜?)と挨拶をかわしたそうな。
妹たちは前方の席、おばさま軍団は後ろの席につき、噺がはじまった。
「出てきたのがこれが、ちょっと粋な年増、歳のころなら
二七、八 、三十デコボコ……」なんてのを聞きながら「二七で年増なら私なんて……」などと余計なことを考えていたらしいが、やがて噺に老婆が登場してきた。
「ごほごほごほ、あたしゃあ、もうこんな歳ですから、体がえらいのなんの……」
「ばあさん、いくつになったね」
「もう五七でございます」
そのとき後ろの席から、声も音もしないのに、なんとも異様などよめきのようなものが押し寄せてきたそうな。
案の定、帰りに一緒になったおばさまたちは、かしましくまくしたてたらしい。
「もう、五七でばあさんと言われるなら、あたしたちなんてどうなっちゃうの?失礼しちゃうわねー」
たしかに最近の女性は若い人が多いから、五十代でばあさん呼ばわりは無理があるだろう。戦国時代は「人生五十年」だったんだし、江戸時代でもほとんど平均寿命はのびなかったらしいから、江戸落語ではしかたがない。しかし、平成の落語はそのへんアレンジしなければいけませんね。古典を守るのはただ一言一句変えないということではないはずだ。
六本木ヒルズで26日、大阪府吹田市の6歳の男児が自動回転ドアに頭を挟まれ死亡した事故で、森ビル経営責任必至、事故32件無届け
あの回転ドアという奴、入りずらいし不便だし、嫌いである。人間を迎えいれ、送り出す装置という気がしない。まるでゴミを吸い取り吐き出すフィルターのようではないか。
あんな見るからに危険なものに子供を一人で入らせる親の防御本能欠如が信じられない。これが駅のホームで手を離した子供が電車に接触したりしたら、非難されるのは親の方だろう。
もちろん一番悪いのは回転ドアに決まっている。センサーがうんぬんなどではなく、設置そのものがだ。回転ドアの利点は、エアロックと同じで空気の出入りが制御でき、空調効率に有利なのだろう。ビル風にも強そうだし。人の出入りするスピードも一定に押さえられる。要するにすべて管理する側に便利なことばかりだ。利用者であのドアができて良かったとか便利だとか思う人はまずいないだろう。
効率的なようで不便で醜い回転ドアなんてものはこの世からなくすにしくはない。未来が舞台のSF映画でも、回転ドアはまず出てこない。その醜さを美術家は本能的に感じとっているのだと思いたい。
61.198.198.35 時 463 1080470154 怠惰なる週末仕事が忙しいのと花粉症で、文章も絵もなかなかとりかかる気力が起きない。早く復活せねばと思いつつ、週末もでかける気がおきずにぐったり本読んだりTV見てるだけだった。やれやれ。
K-1はしょうもなかったけど、相撲が面白かったのは救い。朝青龍の15勝のうちですごかったのは、対魁皇戦の小手投げ。小手投げは魁皇も得意だが、相手の差し手をひっぱりこんで力任せに振り回す、豪快といえば豪快だが、不細工かつ危険な技。朝青龍のはひっかけるように腕を決めて瞬速で下方に打つ、切れ味鋭い投げだった。来場所もこの小天狗から目が離せない。早く黒海が上にあがってこないかな。モンゴル=グルジア対決が今から楽しみだ。
世界フィギュアは折角荒川静香が優勝したのに、フジテレビの余計なものだらけの中継で興味半減。私の好きなスポーツはたのむからNHK以外は放映しないでくれ。
『お笑いオンエアバトル』のチャンピオンは私の好きなアンジャッシュを破って、これまた私好みのアンタッチャブル。おっと、これは先週のネタだった。
◇
小林晋一郎『バルタン星人はなぜ美しいか』(朝日ソノラマ)、京極夏彦『塗仏の宴―宴の支度』『塗仏の宴―宴の始末』(講談社文庫)、ジャフリー・アーチャー『十四の嘘と真実』(新潮文庫)読了。
210.198.165.132 闘 462 1079621428 綾戸智絵を聴きながら考える『綾戸智絵コンサート』(地元にて)に妻、父、妹と。
やはり、歌はライブで聴いてなんぼ、映画は劇場で見てなんぼですなあ。
◇
それをデジタルで安易に複製して儲けられるのがあたりまえになってしまったのが業界−悪魔の道でした。
……ここまで書いて眠くなったので、続きはまた明日
210.198.165.217 劇 461 1079534722 プライバシーの使い方自由や安全とプライバシーはトレードオフの関係だ。公人であろうと私人であろうとプライバシーはある。だけどそれを守るのは自分の力で守らなきゃ。司法や行政を優先的に動かせる時点でプライバシーうんぬんを言うのはちゃんちゃらおかしい。
最近は「人権」や「プライバシー」との戦いで「言論の自由」はいささか劣勢に見受けられる。これは大いにまずい。「言論の自由」こそ金科玉条、神聖不可侵にしとかないと、おれたち庶民にはまずいことになるのは、歴史をふりかえればすぐわかる。
世の中には言っていいことと言ってもかまわないことがあるのだ。
◇
21歳「一生かけて償っていきたい」当時10歳と11歳で酒鬼薔薇に殺された被害者も生きていれば17、18歳だ。死んでしまった者はどうやっても帰ってこない。犯人が更正しようとどうしようと被害者が生き返るわけではない。殺人者に「償う」方法はないのだ。
本当に「償う」気があるなら自分の実名と居住地を開示することが最低限度の「償い」だろう。
まあ、自分から明らかにするわけはないし、強制するわけにもいかない。「マスコミ開示」ではオモチャにされるだけで、「情報」にはならない。ここはやはりミーガン法制定しかないのでしょうな。今回の「出所の開示」が硬直した司法が少しでも変化していく兆し、だといいのだが。
219.192.0.78 時 460 1077970914 おれは江戸っ子?/オームの不思議一応、生粋の江戸人であるはず(江戸初期から先祖代々当地にへばりついている)私だが、50近くもある項目のうち、該当するのは下記の8項目だけだ。
- 時代劇では、捕物帳ものが好きだ。
- 「3年B組金八先生」のロケ地を知っている。
- 江戸の古地図を見るとワクワクしてしまう。
- 葛飾区亀有公園前に派出所があるかどうか確認済みだ。
- 日本橋の上にかかっている高速道路がじゃまだ。
- 「落っこっちゃった」や「かたす」「うっちゃる」は標準語だと信じている。
- イトーヨーカドー1号店を知っている。
- 実は未だに東京タワーに登ったことがない。
江戸人としてはとてつもなく劣化しているらしい。別にかまわないけど。
- 「おれは世の中に怖いもんはない。おれは世界を征服する。国家を作ったらおまえをナンバー4か5にしてやる」(盲学校時代、周囲に)
- 「頭がでかいので出られません」「触るな、触るな、カルマがうつる」 「目の悪い私に、何ができるでしょうか」(第6サティアンのアジト潜伏を見つかり、地下鉄サリン事件で逮捕されて)
なんといっても最大の謎は、こんな見るからにうさんくさい、男っぷりも悪い人物が、なぜ多くの人々を魅了し崇拝されたのかということだろう。私にとっては金正日、池田大作、大川隆法といったとこも同じように不思議だが、松本智津夫の場合、崇拝者には学者級の人も多かったようだから不思議さは群を抜いている。
オーム信者エリートの高い偏差値は人間判断にはなんの役にもたたなかったわけだ。だって、普通にうさんくさいと思うけどね。それに、人間は飛べません。
◇
諸星大二郎『栞と紙魚子の何かが街にやって来る』(朝日ソノラマ)、ドストエフスキー『白痴(上/下)』(木村浩訳/新潮文庫)購入。『白痴』は岩波でも出ていて昔はその米川正夫訳を読んだのだが、なくしてしまった。再読したくなったが、今回は江川卓が『謎とき「白痴」』でほめていた木村浩訳にした。それに新潮文庫はちゃんと布の栞がついているのが嬉しい。
210.198.177.206 時 459 1077700193 スターウォーズ?の立体映像ディスプレイレイア姫をめざして――360度どこからでも見られる立体映像ディスプレイ。
日立製作所が発表した新ディスプレイは、360度の全ての方向から立体像(動画もOK)が見られるというもの。商品化までには、まだいくつか乗り越えなければいけないことはあるが、スターウォーズのレイア姫の入り口くらいまではいけるかもしれない。立体物を24枚の鏡で囲んで、反射した24の像を一度に撮影。転送されてきた画像を同じ形にならんだ24枚の鏡に投影。鏡の輪の中心(元の実物の位置)にはスクリーンがあり、高速回転(30/秒)している。鏡から反射した映像がこのスクリーンに投影されることにより、鑑賞者がこのスクリーンを見ると、どの方向からもその方向にあった画像が見える。
……リンク先の記事にもあるように、ローテクで力業(笑)。立体映像ディスプレイというより、新式廻り灯篭とでも言った方があってるなあ。白土三平の忍者漫画の怪しげな忍法の解説のようでもある。
しょぼいけど、戦前のSFを読むようでなんだかいい感じですな。この方向に発展することで、立体映像ディスプレイができるとはちょっと思えないが。
以前、デジスタで入賞していた作品で似たようなのがあったのを思い出した。回転する球形の遊具(変形ジャングル・ジム?)につかまって遊ぶ子供たちの映像をまず撮影しておき、夜だれもいなくなった公園の遊具を回転させてその映像を投射する。すると昼間の光景が残像のように遊具のまわりにうかびあがる。まるで子供たちの幽霊が遊具で遊んでいるようで幻想的でした。こちらはしょぼくない。
219.192.0.37 科 458 1077029599 江戸奇人伝これはややタイトルにいつわりあり。プロローグこそ、鼻毛をのばしっぱなしにしたお殿様とか、奇人らしい人が出て来るが、本編はほとんど、幕末史に名を残す外交官僚、
川路左衛門尉聖謨 と彼の家族の話である。川路本人やその妻や子、両親が登場する。みな一般人ではないが、決して奇人変人ではない。むしろ傑物才人であろう。では読んで面白くないかというと、これがすこぶる面白い。みなさんは江戸時代の武家の家庭、妻などというとどんなイメージを持つでしょうか。まずは、しとやか、忍従なんて言葉が思い浮かぶのではないだろうか。本書の主人公川路左衛門尉はある日妻に「
女の嫉妬は七去の中にも挙げられている重い罪だ」なんて教訓をもっともらしく垂れたそうな。妻のおさとさんはどんな反応を示しただろう。旦那さまの仰せはごもっともと恐れ入っただろうか。彼女はすかさずこう反論したのである。「たしかに中国の聖人がそう書いていらっしゃいますが、その聖人が女だったら信じもしましょうが殿方です。こればかりは当てになりませんわ」左衛門尉殿、一言もなかったようだが、さらにおさとが家来の妻女たちにこの話を話すと彼女たちは「さすがは奥様!」と感心したあとこういったという。
われらが礼とやらむいふことを定めたらむには女房を大切にせよということを第一にして、妾などは一人もならむといひたし……わたしたちが礼法を決めたら、まず妻を大事にすることを一番にして、妾を持つなんてとんでもないと言いたいわ。
このおさとさん、ただものではない。抜きんでた才女である。夫の左衛門尉も妻には一目も二目もおいていたらしい。しかし川路家の家来の妻たちも猛者ぞろいである。これが、封建的、男尊女卑の代名詞のような武家の家庭の会話なのだから驚きだ。しかもそれを日記に記しているのは、司馬遼太郎が「こんにちにいたるまで政治家・高級官吏でこの人ほどの観察眼と文章力を持った人はいないのではないか」と激賞した川路聖謨本人なのである。
もちろん江戸時代である。常に妻が夫に口答えしているわけではない。おさとは武家の妻としても嫁としても十分にその分をこなし、夫とも仲睦まじかったようだ。左衛門尉も日記にも他人にも、果ては外交折衝相手のロシア人にまで「わが妻は美人也」とノロケていたとか。このへんは左衛門尉殿、奇人の資格は十分にありそうである。
こんな川路左衛門尉も仕事も家庭も全て順調とはいかなかったようだ。前妻の残した二人の娘は母親に似て気が強く、父の思惑には全くそむいていたらしい。日記の記述も現代の娘の行状に表面上は激怒しても内心で困惑する父親そのものである。
それにしても、維新の英傑がなんとも人間的ではないか。本書のほとんどはこの川路が残した膨大な日記の紹介である。この日記自体も変わっていて、川路が江戸に残した愛する母に家族の日々の様子を知らせるために書いたものなのだ。
司馬遼太郎や城山三郎の書く維新の英雄にも、ちゃんと家庭や家族があり、天下国家と同じ比率かそれ以上に彼の心を占めていたことが伝わって来る。これを卑小化ととるか等身大と取るか読み手しだいなのだが、少なくとも私は読んでる間、楽しくて何度も声を出して笑ってしまいました。
著者の目のつけどころは『大江戸死体考』といい『江戸の少年』といい、常にステロタイプな江戸像をずらしてくれて斬新だ。本書も例外ではない。ただ、連載時の事情なのか文体が妙に軽すぎて無駄が多いのがちょっと残念。
219.192.0.37 本 457 1076855311 日本古武道演武大会H2さんにご招待いただいて『第27回日本古武道演武大会』を日本武道館で見てきました。
卜伝流、心形刀流、渋川流、二天一流、直心影流、神道無念流、関口流柔術、宝蔵院流槍術、水鴎流居合、柳生新陰流、正木流鎖鎌、根岸流手裏剣術、天真正伝香取神道流etc、etc……。武道、武術に造詣が深いわけではないが、時代劇好きとしては、名前しか聞いたことがなかった流派が次々と秘技を演じてくれるのだから、それだけでわくわくしてしまう。
おそらく江戸時代以前にはすべて門外不出のの秘技。縁もゆかりもない人間の前で披露するなどありえないことだったろう。しかしこうして目の当たりにすると、同じカテゴリーの中で優劣が見えてしまうような気がしてくる。たとえば剣術では溝口派一刀流のような現代剣道に近い動きが合理的に見える。私は素人なので詳しいことはわからないが、色々な居合術を一度に見て、色々な斬り方を見られるなんてのも面白い。鎖鎌や琉球古武術の一刀鎌術のような滅多に見られない武術を見られたのもお得な気分。
演武の最初と最後がどちらも砲術で、轟音と火柱はど肝を抜かれる迫力でした。構成もなかなか考えている。
印象的だったのは演武者のほとんどが外人の薙刀術の流派があったこと。おそらく後継者難、弟子不足を解決するために経営努力したのだろう。パンフによれば海外支部もたくさんあるようだ。
もう一つやけに女性が多い剣術の流派があったが、新撰組で有名な流派。沖田荘司ファンの女性とかが多いのだろうか?
◇
氏家幹人『江戸奇人伝』(平凡社新書)読了。
210.198.152.69 闘 456 1076507568 圓山應擧展江戸東京博物館『円山応挙<写生画>創造への挑戦』展を見る。
いつも思うけど、絵というのは実際に見なければわからないものですね。応挙といえば写生というイメージが強い。もちろん質感表現や形態のデッサンは実にリアルなのだけれど、間近に現物を見ると、現実の写真のような再現ではなく、実より真を伝えるべくうまく絵を造ってるなあという印象が強い。
たとえば「群鶴図」。六曲一双の屏風に17羽もの鶴が描きこまれている。一羽一羽の描写はもちろんすごいのだが、姿勢や色合いがそれぞれに描き分けられ、17羽の配置が計算されている感じで、画面に心地よいリズム感がある。
たとえば「雨竹風竹図」。墨の濃淡で描かれているのは群生する竹のみ。それだけで煙るような雨を表現している超絶技巧絵だが、これも遠景近景に配置された竹のリズムが奥行きと雨滴に満たされた空気を感じさせてくれる。
「雪梅図」は三面三幅の障壁画だ。左端に梅の幹。太い枝が右方向に曲がりくねって伸びてゆく。その曲がり方うねり方が画面の奥に行ったり手前に来たり独特のリズムがある。心地よく視線が右に誘導されてゆくと、枝の最先端には小鳥(鴬?)がちょんと止まっている。ああ、日本画はいいなあと思う瞬間である。
しかし、一息の筆の線で笹の葉の形や竹の一節が見事に描かれているのを見るとためいきしか出ない。応挙の使っていたメモ帳?も展示されていたが、そこに描かれていた花鳥草木のスケッチの線描は丸ペンでもでないような細さである。毛数本の筆で描いたのだろうが、その技巧にはただうなるしかない。
会期中、かなり展示替えがあるようだ。終了までにもう一回くらい行ってみたい。
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ミュージアムショップでのつれあいの今回のお買い物は、水鳥をデザインした印鑑。名前に鳥の種類が入っているので、手紙の封緘などに使うつもりのようだ。私は応挙展の図録と下記の本を買う。
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氏家幹人『江戸奇人伝』(平凡社新書)購入。
219.192.0.37 美 455 1076384106 数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活ゲルト・ギーゲレンツァー『数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活』(吉田利子訳/早川書房)読了。
40歳の女性が、乳がんにかかる確率は1%。
乳がんである人が、乳房X線検査で陽性と出る確率は90%。
本当は乳がんでなくても、陽性と出る確率は9%。
あなたが40歳の女性で、検査結果が陽性だったとしたら、
あなたが乳がんである確率はどれくらいですか?
「数学なんて社会にでたら絶対必要ないよね」なんて言ってる人は社会に出てからだまされあざむかれ大損する可能性が高いということをこれでもかと教えてくれる本。
なんていうと、しょうもないハウツー本みたいだけどそうではない。本書が「危険」を指摘する現場は、医療における「インフォームド・コンセント」だったり、HIV検査の信頼性だったり、DNA分析の功罪だったりする。アメリカの司法現場も対象になる。「O.J.シンプソン事件」の評決は正しかったのか?陪審員は正しい情報を正しい方法で与えられていたのだろうか?
ある薬が「治癒率を25%もアップした」と宣伝していたら、普通の人は「この薬を処方すれば今まで40%しかなおらなかった病気が65%も治癒するようになる」と理解するだろう。ところが治癒率は65%ではなくて50%になっただけなのだ。25%というのは処方者全体に対する絶対比率ではなく、治癒率40%に対する相対比率であったのだ。だから嘘でないにしても、みばえの良い方の数字を使う、大きな意味でのごまかしには違いない。
どうやったらだまされないのか、誤解しないで情報を理解できるのか。情報を伝える側はいかに誤解されにくい伝え方をしたらいいのか。著者が提案するのは、確率ではなく「自然頻度」で伝えるという方法だ。
90%ではなく1000人の内900人と表現する。降水率30%とは同じ条件の日が10日あったら内3日は雨が降るということだと教える。どちらでも変わらないように思えるが、自然頻度による表現だと、割合の母集団が明確になるのだ。
薬の治癒率の例でいえば「25%増えた」ではなく、「1000人に処方するといままでは40人だった治癒数が50人になった」といえば間違いようがない。自然頻度は人間が進化過程で獲得した数の把握能力に適した表現方法であるらしい
冒頭に引用した問題も自然頻度をあてはめてみるとすぐわかる。答えは[約9%。残りの91%は偽陽性]。答えが予想とかけはなれていたら、本書を読んでみるのもいいかもしれない。
219.192.0.37 本 454 1075733541 ラスト・サムライ上野セントラル『ラスト・サムライ』。
いやあ、シャイアン族と西郷隆盛とを対比するというのは日本人では考えつかないね。黄金の国ジパングを舞台にしたファンタジーという趣きだが、2時間30分を一気に見せる演出力はたいしたものである。
特に合戦シーンは見事です。NHK大河ドラマが束になってもかなわない。騎馬隊VS鉄砲隊の激突、そのあとの死屍累々のシーンはあきらかに黒澤明の『影武者』リスペクトだが、スピード感のあるカット割はハリウッド的だ。これはこれで心地よい。
反乱軍の隠れ里は『七人の侍』っぽくもあるが、『刑事ジョンブック』のアーミッシュの村のようでもある。村の風俗や出陣前の儀式の描き方はやはり細かくカットを割っていて、いかにもハリウッド的だ。今の人のリズム感には、こちらの方が見やすいだろう。私も2時間半が長く感じなかったのはこの編集のおかげだと思う。
役者はトム・クルーズもがんばっていたが、なんといっても渡辺謙が素晴らしい。英語のセリフも十分に感情を表現して重厚である。最初の登場シーンの迫力はダースヴェイダーなみだ。真田広之も当然文句なし。トムと真田のチャンバラも最近のヘッポコ時代劇より百倍もかっこいい。唯一の綺麗どころの小雪は雰囲気は申し分ないが、いかんせん科白廻しがひどすぎる。『嗤う伊右衛門』も期待できないなあ。明治天皇役の中村七之助ははまり役。御簾の向こうから岸部一徳が出てきそうな気がしてしかたがなかったが。
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こういう映画につっこむのは野暮というのは承知だが、書かないのも健康に悪いので少しだけつっこんでおこう。
- 反乱軍の風俗もメンタリティも、明治時代にも江戸後期にも見えん。どう見ても戦国時代だろう。
- 明治政府が暗殺に忍者は使わんでしょう。だいたい本格的忍者はとっくにいないだろう。
- 刀の見えるとこに銘は入れないと思う。それに「今古有神奉志士」って、銘というより戒名だろ。
- あのラストでは、その後不平等条約を解消させようと努力した陸奥宗光の歴史上の立場が……
- トム・クルーズが来日したときに船から見える日本の風景。富士山はまあいいとして、画面の右端が下北半島、左端が下関くらいのスケールに見えるのだが……
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『永遠のマドンナ〜原節子のすべて』(出版協同社)、京極夏彦『塗仏の宴―宴の始末』(講談社文庫)購入。
219.192.0.37 映 453 1075512909 国会議員の経歴詐称、格闘技界の身長詐称、芸能界の年齢詐称学歴詐称疑惑で民主党を離党した古賀潤一郎衆院議員(45)への対応をめぐり、菅直人代表ら執行部が窮地に立たされている。古賀氏の離党で早期収拾を図りたい意向の菅氏らに対し、党内から「辞職させるべきだ」と反発する声が噴出しているのだ。こうしたなか、同党は留学経験を発表している他党議員について、その真偽を調査する作業を開始。学歴をめぐる掟(おきて)破りの撃ち合いが始まりそうだ。
常識では経歴詐称の議員がそうそういるとは思えないが、永田町有力筋はこう打ち明ける。
「古賀氏の疑惑が表面化した際、某政党の中で大々的に民主党議員の学歴を徹底調査しようとする動きが出た。ところが、自分の所にも危ない議員がいるかもしれないと、結局、立ち消えになったんです」
これはあれだ、K1やプロレスで身長をサバよみするのと同じだね。ボブ・サップが2m175kgって、そんなにあるわけない。NFLの公式記録が193cmだというのは有名な話。これはボブ・サップだけが悪いのではなく、他のK1選手のプロフィルがみんな水増し身長なので「相対的に」ボブ・サップも「拡大」する必要があったのだろう。
逆に大相撲では、身長体重とも少なめにいう風潮があるらしく(入門試験時のサバ読みは別)、横綱双羽黒は公称199cmだったが、プロレスラー北尾になった途端203cmになっていた。(靴底の厚み分?)
芸能人も身長のサバを読む。スマップ中居メンバーはTVで「167cm、一時は173cmって嘘ついてました」と告白?していた。まあ、女性タレントの年齢サバ読みにくらべればかわいいものかもしれない。磯野貴理子は明石屋さんまに「妹を紹介してくれたが、妹さんの方が歳が上だった」とばらされていた。
業界によっては年齢は若い方が価値があるとは限らない。手塚治虫先生は編集者になめられないためなのか4歳くらい上にサバをよんでいた。訃報がでたときにはずいぶん若いのに驚いたし、早逝をいたむ気持ちもひとしおだった。
古賀議員の詐称問題からすると、政治家にとって重要なのは年齢や身長より学歴ということなのだろう。しかし、投票するときこの人は高卒だからこっちのペパーなんとか大卒の人にいれようなんて考えるものだろうか。ペパーダイン大卒と詐称することによって得票はどのくらい変わったのだろうか。調査はできないだろうが、おおいに興味はある。これからは政治家には国際感覚が大事らしいからペパーなんとか大卒なら英語できそうだし、とか真面目に考えた人はいそうである。そう考えるとやはり古賀議員は辞めるべきだろうな。
ライバルのエロ…じゃなかった山拓先生は早稲田大卒なんだね。それより柔道六段、囲碁五段てのがすごい。愛人とばかり乱取りしてないで、柔道好きのロシアのブーチン大統領が来日した時お相手してあげればよかったのに。ブーチンも山拓より井上康生あたりと稽古したいだろうけど。
なんにしても、くだらない抗争はいいかげんにして議員先生には本来の「国政」をしてほしいものである。民間企業で幹部が仕事そっちのけで社内抗争にあけくれていたらどうなるかは自明のことだ。
61.198.188.40 時 452 1075388532 貴腐/夜食フランス革命の激動のなか、頽廃の極みにあった貴族社会でくりひろげられる性の宴。狂乱の果てに辿りついた真実の愛とは、人生とは。夫がいながら生娘のままでいる純真な令夫人を、官能の罠へ誘い込もうと企む侯爵夫人を描いた「貴腐」。性にめざめた老修道女の歓びと、快楽の奈落に沈む若き未亡人を描いた「夜食(スペ)」を収める。一時期、英国王室の恋愛騒動はマスコミに格好の話題を提供した。ダイアナ妃が夫君チャールズ皇太子の愛人の存在にきれたということのようだが、どうもこれは、貴族としてはダイアナ妃の方が心得違いのようだ。
表題作『貴腐』の女主人公オディールも侯爵家に嫁に行く。歳のはなれた夫は愛人べったりで彼女は孤閨の淋しさを親族や両親に訴える。しかし、誰も相手にしてくれない。「妻が夫の恋愛に嫉妬するとはなんてはしたない」「あなたも恋をすればよいのです。そうすれば家庭は円満です」などと言われてしまう。かくしてヒロインは次々と恋をし男を誘惑し夫の愛人とも平然と談笑する、いっぱしの「大人の貴婦人」に成長する。
そんなオディールの前に同い年の美貌の社交界一年生が現われる。彼女は平民出身で既婚だが処女ではないかと噂される純粋無垢な女性だ。そんな彼女にオディールは悪戯を思いつく。
美女が美女を罠にはめていく手際の緻密な描写が面白い。さすがに著者はストーリーテラーである。あとのどんでん返しも予想のうちだが、さらにラストには皮肉なしかけがある。
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併載の「夜食」にも二人の貴族階級の女性が登場する。こちらは14歳の淫蕩な未亡人と56歳の修道女というえぐい組み合わせである。物語も描写も表題作よりさらに過激でエロティックだ。革命や聖職者への皮肉な視線も心地よい。物語の聞き手があのサド侯爵だというのも藤本ひとみの読者には嬉しい。革命に忠誠を誓って告発審査委員なんかをやっているちゃっかりしたサドという珍しい役柄だ。そしてサド侯爵、この小説では結構いい人のキャラなのである。
題名の「夜食」は人生を一日にたとえたときの夜食という意味。カニバルな話ではないのでご安心を。
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ブルガーコフ『悪魔物語・運命の卵』(水野忠夫訳/岩波文庫)、シェークスピア『アントニーとクレオパトラ』(福田恆存訳/新潮文庫)読了。
マルキ・ド・サド『ジェローム神父』(澁澤龍彦:訳/会田誠:絵/平凡社)、澁澤龍彦『菊燈台』(山口晃:絵/平凡社)購入。
219.192.0.37 本 451 1074665732 ブルー・ドラゴン・スープレックステレビ朝日がやめた大相撲ダイジェストをNHKが再開してくれたおかげで、また平日も相撲が見られるようになった。
それにしても昨日の朝青龍の吊落としはすごかった。バックドロップというかスープレックス崩れといおうか。モンゴル相撲にもある技らしいが、相撲の格闘技らしい原初の姿をかいまみせてくれたような気がした。
昔、貴ノ浪が貴乃花を破ったように、河津掛けであの朝青龍スペシャルを返せるのではないかとVTRで確認してみたが、どうも無理のようだ。さすがに朝青龍の足は相手に足をからめられるような位置には置いていない。素人考えのプロレス技(昔、力道山がルー・テーズのバックドロップを河津掛けで防いだように)は通用しないようだ。
あの一番は十分に金を払う価値がある。少々素行が悪かろうと(無邪気なだけでたいして悪いとは思えないが)あれだけ強けりゃ文句はない。ナベツネや内館牧子が見当違いの文句をつけてるが、猪木ボンバイエや石井館長にかっさらわれても知らないぞ。
朝青龍の戦慄的勝ち方の影に隠れてしまったけど、魁皇vs栃乃洋戦も豪快だった。決め手の上手投げが派手だったが、それより立会いのかちあげが強烈。肘から上腕部がまともに栃乃洋の顔面に当たって、アゴが跳ね上がっていた。おそらくあれで栃乃洋の意識がとんで荷物のように投げられてしまったのではなかろうか。
貴乃花が引退してちょっと気が抜けてしまったが、やっと面白くなってきた。若手でも垣添のような活きのいいのが出てきた。本日の朝青龍の相手はその垣添だ。こいつは面白そう。今場所の朝青龍が負けるとすれば意外とこういう相手かもしれない。
219.192.0.37 闘 450 1074430695 赤松麟作展/妖人白山伯東京藝術大学美術館『赤松麟作とその周辺』。
明治という時代を思いっきり感じさせる名作「夜汽車」他を堪能しましたが、それにもましてよかったのが、晩年の自伝絵巻「やっとこどっこい」。
生い立ちやら、画家となってからの愉快なエピソードなどを洒脱な水彩でさらりと描いた挿画と、読みやすい達筆で書かれた絵巻物。画家は五尺(150cm)そこそこの背丈だったらしく、教師になって教壇に上がっても生徒に見下げられてる図などを屈託なく描いていて、なかなか見ていて楽しい。こういうのをさらりと描いて人生を終えられたら、最高だね。
同工の作品で漱石の「吾輩は猫である」や「虞美人草」を絵巻物にしたものが展示されていたが、どれも素晴らしい。
入館料300円と安価だし空いているし、上野近辺に来ることがあればおすすめ。
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幕末から明治維新にかけて日本とフランスを手玉にとった実在の怪人白山(モンブラン)伯。仏文学の泰斗鹿島茂がその妖人ぶりを活写、知的興奮尽きない歴史長編小説。
登場する歴史上の有名人、大久保利通、伊藤博文、井上馨、五大友厚、後藤象二郎、原敬、黒田清輝、高橋是清、ロートレック、ボードレール、ヴェルレーヌ、パスツール。サラ・ベルナール、アナトール・フランス。「妖人」
白山伯 がかかわる歴史上事件、大政奉還、錦の御旗、トコトンヤレ節、薩摩屋敷焼き討ちetc、etc……該博な知識に裏打ちされた幕末裏面史は抜群に面白い。前述したような多彩な(実在の)登場人物。スーパー娼婦「ふらんすお政」の活躍でエロチシズムも十分、留学少年の猟奇殺人事件があってミステリ要素もある。(意外な犯人は歴史上の有名人)
しかし、残念ながらキャラが立ってこない。モンブラン伯をこれほど奇矯に描いていても、その人間性(悪魔性でもいいけど)が迫ってこないのだよなあ。文章はうまいのだが、ラスト近くで説明的会話が多すぎたりと構成に難があるので、ストーリー展開がわくわくしない。小説家というより学者のてすさび的印象がつきまとう。
明治物の名手、山田風太郎が書いたら十倍は面白かっただろうと思ってしまうのは、山風ファンの不幸なのかもしれないが、しかたがない。
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ブルガーコフ『悪魔物語・運命の卵』(水野忠夫訳/岩波文庫)、シェークスピア『アントニーとクレオパトラ』(福田恆存訳/新潮文庫)、京極夏彦『塗仏の宴―宴の支度』(講談社文庫)購入。
210.169.69.249 美 449 1074231923 芥川賞美少女vs直木賞美男美女出版不況救う“女神”は19歳と20歳
白のカーディガンにグレーのスカートという、お嬢様女子大生風の姿で会見場に現れた綿矢さんは、関西交じりのアクセントそのままに、素直に喜びを語った。
今回の受賞作「蹴りたい背中」は2作目。すでに13万部が売れた。クラスからはみ出た主人公の女子高生と、そのクラスメートの「モデルおたく」の男子高校生との微妙な関係を描いたもの。
一方、金原さんの受賞作「蛇にピアス」は、主人公の19歳フリーター少女ルイが、舌にピアスを入れるなど、身体改造で生の実感を得ようとする話。
綿矢さんとは対照的に、肩口の大きく開いた黒のニットに、フレアタイプの超ミニスカート姿。ピアスは両耳に計6個。さらにグレーのカラーコンタクトといういでたちで登場。
やはり、こういう取り上げ方されちゃうよなあ。そりゃあ、マスコミは大喜びだろう。もともと芥川賞は「新星」を登場させて脚光を浴びさせるという営業的性格もあるのだから、人選は妥当だといえるでしょう。
しかし、中堅作家対象の直木賞の方も、今回は江國香織さんと京極夏彦さんという、なかなかヴィジュアル的にも作風の華やかさでもおいしい人たちなのに、口惜しや、完全に割を食いましたな。
そのうえ江國香織さんの受賞作『号泣する準備はできていた』は、NHKアナウンサーに「ごううするじゅんび」などと読まれて、踏んだり蹴ったり。早速ニュースステーションで「NHKのアナウンサーはごうきゅうが読めないんですね」とつっこまれていた。さすが久米っち((c)宇宙人新庄)、NHKには容赦ない。
そういえば、受賞作4冊とも読んでないなあ。読む予定なのも『後巷説百物語』だけである。ごたくを並べる資格はないって? ごもっとも。
◇
スタニスワフ・レム 『完全な真空』(沼野充義訳/国書刊行会)、ゲルト・ギーゲレンツァー『数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活』(吉田利子訳/早川書房)購入。
210.169.69.249 本 448 1073710046 私的年間ベスト10【2003】後ればせながら昨年読了本のベスト10です。まだ、半分もレビューを書いてないので恥ずかしい限りですが。
銃・病原菌・鉄(上下) ジャレッド・ダイアモンド
チンパンジーの心 松沢哲郎
ダークライン ジョー・R・ランズディール
ボーン・コレクター ジェフリー・ディーヴァー
からだを読む 養老孟司
死神 篠田節子
ぼんくら 宮部みゆき
コンクリート・アイランド J・G・バラード
第三の時効 横山秀夫
きみの血を シオドア・スタージョン順番は全く関係ありません。昨年、一冊もなかったノンフィクションが3冊入っているのが特徴と言えば特徴。以下は惜しくも表彰台を逃した6冊。
東海道四谷怪談 鶴屋南北
あかんべえ 宮部みゆき
<癒し>のナショナリズム 小熊英二
エンガッツィオ司令塔 筒井康隆
スーパー・カンヌ バラード
エドウィン・マルハウス スティーブン・ミルハウザーがんばってレビュー書かねば。書くぞ。書きます。
211.126.30.133 本 447 1073289411 猿の惑星昨日は干支にちなんでということか、『猿の惑星』をTVでやっていた。ティム・バートンのではなく、元祖チャールトン・ヘストン主演の方だ。リアルタイムではないが昔一回(TVで)見たことがある。今回はデジタルリマスター版とやらで映像は一応綺麗にはなっているようだけど、地上派放送なのでびっくりするほどではない。できれば、CMなしの衛星放送で見たかった。
おどろいたのは、猿の特殊メークがほぼ完璧だったこと。十分に個性や表情が出ているし、猿らしいリアルさではリメーク版が上だが、ユーモラスな感じや雌猿の素朴なかわいさなどはこちらの方がよかった。特殊メーク以外のSFXや美術はもちろんリメーク版が上だが。
脚本も、有名な衝撃のラストはもちろん登場する猿たちの動機付け、心理描写なども旧版の方に軍配があがる。やはりこの第一作は名作であるね。
とはいうものの、チャールトン・ヘストンの主人公が、猿たちが「英語」を話してることになんの疑問も持たないのは、やはり変だ。この一点だけでしらけてしまうことは確かである。それとも公開当時のアメリカ人は英語が宇宙共通語だとでも思っていて違和感は感じなかったのだろうか。
原作のピエール・ブールはイギリス人だが、日本軍の捕虜になった経験が「猿の惑星」の発想の元になったそうだ。「なんで人間である我輩がこんなイエローモンキーに捕虜にされているのだ」と不条理感に悩まされていたのだろう。ご愁傷様。
211.126.30.133 映 446 1073212191 高畑華宵展本日は二つ前で書いた『高畠華宵展』に行ってまいりました。さすがに弥生美術館のメインだけに充実した内容。混んでいるというほどではないが、結構人は入っていた。若い女性が目立つが、お年を召した方が連れ立って、懐かしそうにうんちくを傾けているのも微笑ましい。
ここをお読みの方はご存じだろうが、弥生美術館の展示はいささかマニアックである。「江戸川乱歩の少年探偵団展」や「伊藤彦造展」は私の、「内藤ルネ展」や「田村セツコ&水森亜土展」は妻の、ツボをつかれてつい足を運んでしまう。今年は「長沢節展」に「石原豪人展」だ。これはどうにも行かねばなるまい。
211.126.30.133 美 445 1073140806 博物館に初もうで去年の初詣は籔内佐斗司の四天王像を見に行ったのだが、今年は東京国立博物館の『博物館に初もうで』にした。
猿をテーマにした作品ばかりを集めた特別展示『申・猿・さる』や、和太鼓御響の野外演奏などのイベントがてんこ盛りで420円は安い。上野の雑踏が嘘のように空いていて、暖かな休日をゆっくり絵を見たり芝生にすわって和太鼓の響きを聞いたり、まったりと過ごす。
ミュージアムショップでは、つれあいが鳥獣戯画の布バッグとブックカバーを買っとりました。私は菩薩像の絵葉書を一枚。福引で風神雷神図の絵葉書をゲット、といってもこれが末等だな。
常設展示の方も、さりげなく新春らしいめでたいものをテーマにした作品に展示替えされてたりするので飽きません。正月、行くところに窮したらおすすめ。本館2回の江戸時代室の一つには伊藤若沖の鶴図が展示されていた。デフォルメされた線は必見。
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J・G・バラード『コンクリート・アイランド』(太田出版)読了。
さて、まだ昨年の読了本ベストも書いてないし、正月休み中になんとかしなくてはいけませんな。
211.126.30.133 美 444 0 1072150539 高畑華宵と歌川国貞日曜日の『新日曜美術館』は高畠華宵の特集でありました。
名高い美少年絵にはあまり興味はないのだが、あらためて見てみると美人画、美少女画がなかなか色っぽくていい。デッサンのたしかさ色彩や描線のセンスは後続の伊藤彦造や山口将吉郎等とくらべても一線を画している。美少女の顔は少女漫画の一方のルーツでありますな。美少年の顔はさすがにすたれてしまったが、いまだ丸尾末広あたりに片鱗をうかがうことができる。
来年早々「高畠華宵展」をやるので興味がある人はここで堪能するのがよろしかろう。。弥生美術館は元々華宵が晩年住んでいた家で、常設コーナーもある。
ゲスト解説者は美輪明宏だったが、他には考えられない究めつけの人選。思想教養も含めたさすがのキャラクタがかもし出す濃厚かつきらびやかなオーラが、番組を美輪明宏色に染めていく。見終ったあとの印象は、華宵より美輪明宏の方が圧倒的でした。「
私が川端康成さんから三島由紀夫さんに紹介されたとき『君は華宵描くところの美少年だ』と言われましたの、フフフ」なんてことをのたまっても、『黒蜥蜴』に主演したころの艶姿が記憶に残っているだけにうなずくしかない。*
番組の中で華宵がいかに人気があったかという事例として、当時の歌謡曲にまで華宵が歌われたことを紹介していた。こんな歌詞である。
国貞描く乙女も往けば
華宵好みの君も往く
なかなか粋な歌詞だが、興味深いのは「国貞」が美人画の代名詞になっていることだ。
歌川国貞 。のちの三代目歌川豊国。浮世絵と言えば北斎、歌麿、写楽。広重、国芳といったところが有名で、国貞の名前が出ることは少ないが、当時の名声から言えば、たぶん国貞がチャンピオンだったのではなかろうか。大派閥歌川派の筆頭で国芳の兄弟子だ。売れない頃の国芳が時めく国貞と往来で出会って彼我の差にえらく落ち込んだという話が残っている。刷り数が多かったからだろう、残ってる絵も数多い。縞や格子で渋い粋好みの国芳とは対象的である。華麗な衣装が特徴で、浮世絵はファッション画でもあったのだということがよくわかる。
あまりネットでも国貞の絵を見かけることも少ないので、私好みのを紹介してみる。浮世絵美人の顔をつっつくと全体が見られます。
結局、国貞は何か新境地とか新技法とかを切り開いた人ではないんだね。先にあげたような人々が開拓し確立した技法・ジャンルの中で、最も洗練された作品を生みだし人気を得たけど、新味も独創性も感じられない。だけど、それは時を隔てて浮世絵全体のロケーションを見られる今だからわかることで、当時は見えないわからない。国貞は幸福な画家人生をまっとうしたことだろう。
同じように一時人気の絶頂をきわめた華宵は、国貞のように人気画家のまま人生を終えるとはいかなかったようだ。しかし華宵は国貞と違って新しいジャンルを切り開いた人だ。だから再評価される時代もやってきた。もって暝すべし。
210.198.156.19 美 443 1071904905 ロボコンへの道地元の高専が、NHK主催のロボコン全国大会で準優勝、そして最高の栄誉「ロボコン大賞」を受賞した記念の講演会があったので、つれあいと行ってきました。
大賞マシンの実演や若者たちの苦労話もなかなか楽しかったけど、技術的にも面白い話がいろいろ。
試合はTVスタジオが会場なので、電波が使えない。必然的に赤外線操縦になるのだけど、いつもテストしている体育館と違って照明が強い。その強い光にセンサーが感応して誤動作しやすいらしい。よく見る試合中のマシントラブルは調整不足だけでなく、そんな理由があったのだ。
今日の講演でも、来場の中学生を壇上にあげて体験操縦をさせていたのだが、パフォーマンスの途中で突然マシンが逆走、暴走して壇上から飛び出しそうになるハプニングが発生。ホールの強い光に感応してしまったらしいのだ。パルプSFではおなじみの「狂って暴れるロボット」を見られて、B級SFファンとしては嬉しいかぎりである。
最後は実際に番組で使用したバレーボール大の球形オブジェを、マシンで客席めがて次々と打ち出すという大盤振る舞い。オフジェクトをゲットしたかわいい女子中学生は同好会部員にサインをたのんでいた。たのまれた部員の男の子たちは照れながら発泡スチロール製のオブジェにサインしてました。
見ていた顧問の先生が一言「自分の名前だけじゃなくて、校名も書くんだぞ」航空高専ロボット研究同好会、大賞おめでとう、来年こそは優勝だ。(大賞連覇も)
◇
横山秀夫『影踏み』読了。
61.198.183.53 科 442 1071331810 ダイヤモンドは目に優しくない12日の金曜日は18:00に妻と娘と上野で待ち合わせ、東京国立博物館の『煌きのダイヤモンド〜ヨーロッパの宝飾400年』を見に行った。
会社帰りらしい女性グループが多く、混んでいたが、さすがに目の保養。なのだが、あまりの煌めき輝きに見応えありすぎて逆に目が疲れてくる。途中で、会場の表敬館の丸天井のステンドグラスの柔らかい光を見上げて、ほっとしたりした。
図録は2,500円とちょいと高かったが、本物を買うことを思えば安すぎて気絶しそうなほどだ。躊躇せずに購入。輝きが強すぎてわからなかった細部が確認できる。こんなすごいのをジャラジャラつけて似合うゴージャスな人を描いてみたいものです。もちろん、叶姉妹みたいな方々ではなく、原節子みたいな麗人をである。宝石も人工より天然でしょう。
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宝石に目がくらんだあとだからか、『フィギュアススケート・グランプリファイナル』をTV観戦していて気がついたことがある。
リンクの内側の壁の広告の色がアイスカラーなのだ。ブルー系とグレー系しか使っていないので氷とマッチしていて目に優しい。選手たちのコスチュームも良く映える。
今までのグランプリシリーズの会場では、赤や黄色やこれでもかという派手な色のロゴがべったり貼られていたものだが、さすが今回の開催地はフランス。どの会社の広告のロゴも、コーポレートカラー?それがどうしたとばかり、モノトーンにさせられている。日本航空の真っ赤な鶴のマークがパリの景観に合わないので許可されなかったという都市伝説(?)があるだけのことはある。
核実験はするし、誤審で柔道の金メダルは持っていくし、最近フランスにいい印象はなかったが、こういうところは日本はちょっとかなわない。
◇
『ナンバ走り』(光文社新書)読了。
210.198.164.97 美 441 1070982097 小津安二郎の『晩春』BS2で小津安二郎監督(生誕100年だそうな)の『晩春』を見る。
父と娘のいい話なのだが、事件も騒動も何も起らない。一見平穏な日常を撮ってちゃんとドラマになっているのが不思議な映画。私と妻は大好きなのに、わがやの娘は「こんな映画を映画館で見てたら私寝ちゃう」などと言ってました。「ばーか、世界の小津だよ。こういう映画の方がちゃんと見るとはまるんだよ」などとむなしい反論をしてやったが、実際、歳食ってくるとこういう映画の良さがよくわかるようになるんだよねえ。数少ない歳取ってよいことの一つである。
まあ、内容はネットで調べてもらうか、このへんを見てもらうこととしてて(不精)、やはり原節子ですなあ。美人であるのはもちろんだが、特筆すべきはその気品。今の若い女優はもちろん、岩下志麻も吉永小百合も、さすがにこの気品は持ち合わせてはいない。
この映画ではきちっとした洋装が多いので、家に帰ってきてちょっと普段着になるだけで、下手なヌードがでるよりどきっとします。そして、笑顔を見せると、モノクロームの画面に濃厚なフェロモンがたちこめるのを感じるのは、私の錯覚であろうか。フェロモンといっても、語義矛盾かもしれないが上品なフェロモンなのだ、これが。色気の方のフェロモンは、共演の月丘夢路が過剰なほどふりまいていました。昔の日本女優さんは本当に綺麗である。
小津監督は自分の分身のような笠智衆が若い娘にもてもての映画を撮りたかったのだ、と言った人がいたが、当たっていそうだ。
*
なんと、この『晩春』を市川崑がリメークしたそうだ(14日WOWWOW)。もう、やめてくれよ。主演は鈴木京香と長塚京三。たしかに今の人の中からといったら、鈴木京香はベストな選択だろうが、原節子とはもちろん比ぶべくもない。まして長塚京三では生臭すぎるだろう。せめて徳井優(引越しのサカイの人)にやらせてほしかったな。
219.192.0.37 映 440 1070956714 キリストの生涯は結構エロかった?ビデオを配ったシュヴェージッヒ牧師によると、ビデオのコピーを依頼したミュンヘンの業者が、誤ってポルノ映画をコピーしたらしい。依頼した300本のうち、200本がポルノだったという。
今回の間違いにひるまず、シュヴェージッヒ牧師は、改めて「キリストの生涯」に関するビデオを配布する予定だという。同牧師は「神は神秘的な方法で福音を伝えるものだ。何より、ポルノを注文した人々が我々が注文した宗教映画を持っているかもしれない」と述べた。
うーん、牧師さん、さすがにポジティブ・シンキング。どんな事実をつきつけられても信仰心はゆるがない(耳を貸さないともいう)ものですなあ。
しかし、「キリストの生涯」を見ようと思ってポルノを見てしまった善男善女はびっくりしたろうな。それがきっかけで夫婦仲が良くなったりしたら、それも信仰のおかげに間違いない。
逆にポルノを見ようと思って「キリストの生涯」を見てしまった人は……悔い改めたのだろうか。これをきっかけに仲がしっくりいかなくなったりしたカップルはいなかったのだろうか?「なんて罪深い私たち!」
そんな奴は「キリストの生涯」が始まったらすぐ見るのやめるだろうって?いやいや、エロいシーンはいつ始まるのだろうと思って最後まで見た人も少なくないに違いない。最初は「お、獣姦ものか?」なんて思ったりしたのだろうか?
◇
そんなエロいことばかり考えたり面白がったりしている私ですが、今日の千夜千冊は、私のセクシュアリティにピーンとくるものがありました。短小包茎のくだりではないよ。
それよりも意識がそもそも両性具有であろうとおもう。しかし、これをもって「男っぽい」と「女っぽい」の両方がぼくの中に共存していたなどと単純に平和的に考えてもらっては困る。そうではなくて、とりあえず前夜「千夜千冊」の“国家と賭博と男と女”のデンをひいていうなら、たしかに両極には男性性と女性性はあるのだろうが、そのあいだが何通りもグラデーションになっているという、そういう両性具有なのである。しかも、そのグラデーションの目盛たるや、時と場合と気分によって、どこにでも動く。
なにか、琴線に響くものがありました。
◇
スパークル・ヘイター『ボンデージ』(新潮文庫)読了、J.G.バラード『コンクリート・アイランド』(大和田始訳/太田出版)購入
219.192.0.37 時 439 1069652281 紅葉六義園にて。
見に行ったのは昨日。色付きはまずまずだが、日射しが弱かったため、輝きがもう一つだった。どんな美しい色も光があってこそなのだね。
そんな状態でも、大型のカメラや三脚を持った人でたいした混みよう。あらためて日本人の写真好きを確認。
高そうな機材を持ってない人は、みなさんカメラ付きケータイを掌底突きのようにつき出してパチリパチリ。カメラ業界はデジタルも含め、高級かケータイかに二分化してきたようですな。
61.198.197.234 雑 438 1069314826 最低映画館曙がK-1に参戦とか、元ハンセン氏病患者の宿泊を拒否したホテルとか、一言書こうかなと思ったネタがないこともないのだが、2ちゃんを覗くと、私が思いついたことなどだれかが必ず書いている。なので、やめときます。
◇
最近見つけて、いっき読みしてしまったサイトの紹介。
いまのところ、「M@STERVISION」、「日のあたらない邦画劇場」とならんで私的三大映画レビューサイトである。
なんたって最低映画だから、まちがっても『マトリックス』とか『グラディエーター』とかのレビューは載っていない。『悪魔のなんたら』とか『地獄のなんたら』なんてタイトルがほとんどだ。一番最近の更新は『ダーティ・キッズ/ぶきみくん』である。監督もスピルバーグやタランティーノの作品などは一切ない。エド・ウッド、ロジャー・コーマン、ラリー・コーエンといった知る人ぞ知るという顔触れだ。
だけど、こんなサイテーの映画があるんだぜ大笑い、というだけのありがちなサイトではないのは、やはりB級映画C級映画への「愛」があるからだろう。もちろん、愛があったって駄目なものは駄目。通ぶってヘンに持ち上げることはせずに、軽妙な文章でちゃんとこきおろしてくれる。(シベ超とかシベ超とかシベ超とか)
そして、スットコドッコイな映画ばかりの中で、駄目映画B級C級に分類されちゃってるし予算的スケール的にもたしかにB級C級だけど、映画としてはA級よりイイんじゃないという映画が、ほんとにたまぁ〜にある。そういう映画の紹介ページがやはり光っている。
たとえば、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をこきおろすだけでなく、『ブレア…』が実はパクリで、元ネタの映画の方がはるかに面白い、なんていう紹介そのものが面白い。いや、映画の方は見たいとは思いませんが。
同じく、『X線の眼を持つ男』の紹介ページにこんなくだりがあった。
B級映画の帝王、ロジャー・コーマンは、デビュー当時のジョナサン・デミ(《羊たちの沈黙》の監督)と食事をした際に、彼にこのように忠告したという。「観客を飽きさせないために、始終カメラを動かすんだ」。
サービス精神満点のコーマンらしい忠告だ。彼はいつも観客を意識していた。観客が喜ぶことだけを考えて映画を作っていた。そういう映画は「B級映画」として軽蔑されがちだが、コーマンはそんなこと屁とも思っていない。映画の王道は「大衆の娯楽」であることを確信していたからだ。賞狙いのつまらない映画ばかり撮ってるバカ(北野たけしとか)には、コーマンの爪の垢を煎じて飲ませてあげたい。
毎週『TVチャンピオン』を見たあと、惰性でTV東京の木曜映画劇場を続けて見てしまうことの多い私には目からウロコのサイトだ。でも、紹介されてる映画の90%は本当の駄目映画だから、やはり笑いながら読むのが吉でしょう。
◇
横山秀夫『クライマーズ・ハイ』(文藝春秋)、ダン・グリーンバーグ『ブロンドの処刑人』(新潮文庫)読了
219.192.0.37 映 437 1068565285 画集を買う:ホッパー、タマラ、ラーソン最近、本屋に寄る回数が激減した。アマゾンなどのネット通販を利用するようになったのが最大の原因だが、会社や自宅の近くにろくな本屋がないせいでもある。
今日はたまたま仕事で霞ヶ関に行ったのだが、霞ヶ関ビル近くの「書原」という書店がまずますの品揃え。ひさしぶりに本棚巡りで愉しんでしまった。
買ったのは画集を3冊。
エドワード・ホッパー、タマラ・ド・レンピッカ、カール・ラーソン。
いずれもタッシェン・ジャパンという版元のニューベーシックアートというシリーズなのだが、なかなか面白いラインナップでリーズナブルなお値段(1000円〜1250円)。
なかでも、エドワード・ホッパーは好きだなあ。陽光とか深い色とかいうと単純だけど、描かれてる空気の匂いが想像できそうなのですよ。実物をまとめて見たことはないのが残念。ニューヨークのホイットニー美術館がかなり所蔵しているようだ。いつか行ってみたいものです。
タマラは絵も官能的だけど、ご本人もアンニュイな雰囲気のすごい美人。1978年にニューヨークタイムスは彼女を「
自動車時代の女神、鋼鉄の瞳を持つ女」と評したそうな。カール・ラーソンはいかにもオールドアメリカンな画風だが、元々はストックホルム出身の移民なのだね。たまにはこういう明るく健康的な絵も見たくなる。
◇
磯田道史『武士の家計簿』(新潮選書)、ジャレッド・ダイアモンド『セックスはなぜ楽しいか』(草思社)読了。
61.198.180.54 美 436 1068477202 女子バレーならやっぱりニッポンチャチャチャだろう選挙もそっちのけで(投票には行きましたが)ワールドカッブ女子バレーを見ている。いやあ手に汗にぎって、家族で絶叫しながら見てるので消化に悪いったらありゃしない。
なかなか日本は強くなって、見ていても楽しいですが、それだけでなく、選手みなさん美形ぞろいで……眼福です。
もちろんトルコやポーランドもモデル級の美人が揃ってますが、日本もどうして負けていない。
2ちゃんの芸・スポ板やバレー板では、おまえら顔しか見てないのかよ、と言いたいくらいの大騒ぎ。でも、私もほとんど彼らと同じこと言いながら見てるなあ。情けなや。
おじさんイチ押しは身長170cmと小柄(なのです)だけどパンチ力のあるアタッカー、高橋みゆき選手です。う〜ん、ほれたぜ。<馬鹿
今日は強敵ポーランドをフルセットで破るすごい試合でしたが、サイドレポート担当の局アナが感極まってインタビューできずに、高橋みゆきたん(娘に「たん」とか言うなとつっこまれてますが)がアドリブでマイクをとって仲間にインタビューするというナイスフォローのおまけつき。→■
しかし、感激したとしても、声が出ないのはプロとして情けないでしょう。これで中継がださくて下品な演出のフジTVでなくて、NHKなら最高なのですが。(ジャニーズいらねー)
*
しかし、久しぶりの書き込みが、これかよ。
210.198.152.246 ス 435 1067764347 高尾山の巨大ミミズ今日は天気もいいので、健康的に高尾山に登ってきた。しかし、みんな考えることは同じと見えて竹下通りと見紛うばかりの混みよう。山道を人の列がところてんのように押し上げられて行く。しかも紅葉にはまだ早かったようで色づき加減ももう一つ。
それでも帰りは参道ではなく、尾根側の稲荷山コースを降りると、少しは人も少なくなり山道気分を味わえた。
鳥の声を聴きながら、樹木の匂いに満ちた空気を吸っているだけでいい気持ちになる。鬱蒼と連なる杉木立を見上げるとすぐ白土三平の忍者漫画を連想してしまう。はるか樹上を黒装束に鎖帷子の人間が飛び交っている幻視を楽しみながら歩いていると、浮き上がった木の根に足をぶつけたりして危ないったらありゃしない。連れ合いにたしなめられつつ、足元を見ると側道に異なものがいるではないか。
巨大なミミズである。きらいな人もいるかと思い、小さいサイズにしておいたが大きいサイズで見たい方は画像をクリックしてください。太さは確実に私の人差し指ほどはあった。長さは、延ばしてみたわけではないので正確ではないが、30〜40cmか(幅ありすぎ)。
↓ネット検索して見ると、さすがにもっと大きいのがいるものですな。
50センチのミミズ(四国・徳島県)
激闘!沢蟹 vs 巨大ミミズそういえば、私のこどもの頃は東京でも、雨上がりの時などは20cmくらいの大物があらわれたこともあったな。
◇
グレッグ・イーガン『しあわせの理由』(山岸真訳/ハヤカワSF文庫)読了。
61.198.180.54 獣 434 1066978931 『第三の時効』図書館で借りた本なので、忘れないうちにレビューをあげておくことにする。
*
横山秀夫『第三の時効』(集英社)読了。著者お得意の連作警察小説。
最近の国産短編ミステリはアンソロジーなどでそこそこ読んでいるのだが、感心するできの作品にはほとんど出会えないでいた。はっきり言ってつまらないのばかり。本書はひさしぶりにミステリ読み始めのころのわくわく感を味わえた最近では稀有の一冊。特に表題作の『第三の時効』は傑作である。
「時効」という法律用語はだれでも知っている。たとえば殺人なら犯行から15年経過すれば官憲に捕まる心配はなくなる。例外として逃亡中に犯人が海外に出国していた場合は時効は停止する。国外に滞在した期間だけ時効になる日が遠のいてしまうのだ。これが「第二の時効」だが、小説やドラマの題材にもされて割合よく知られている事実だと思う。今や、海外にいたことを計算せずに時効を間違えて捕まる犯人なんてのもそうはいないはずだ。しかし、「第三の時効」となるとこれはなかなかわからないだろう。私も意表をつかれました。
この「第三の時効」を仕掛ける楠見という刑事のキャラクターがいい。公安出身の冷血サイボーグ。犯人はもちろん被害者からも仲間の刑事からさえも嫌われ憎まれている。実はいい人だった、などという興ざめな落ちもない。
また、本書の他の作品にも共通していることだが、緊迫した場面の緊張感を盛り上げる文章がうまい。文章がうまいから、意外な犯人などの仕掛けも効果的に生きてくる。
本書の連作短編中には、楠見以外にも個性的な刑事たちが登場して強烈なライバル意識で張り合う。彼らのギスギスした雰囲気が小説に緊張感をもたらしている。彼らを評する上司の述懐が面白い。
私は事件で食ってきたが、彼らは事件を食って生きてきた。実際にこんな強烈な刑事たちばかりなら、もっと検挙率もあがるのではと思うけど、現実はもっと地味なのでしょうな。
◇
小林泰三『目を擦る女』(ハヤカワ文庫)読了。
61.211.2.27 本 433 1066578459 『働く女、遊ぶ女』展昨日の日曜日はサントリー美術館で『働く女、遊ぶ女、日本絵画に見る女性の躍動美』を観た。
秀逸だったのは山東京伝の肉筆美人図『人物図鑑』。写楽の正体とも言われているけど、その描線の切れ味はさすがです。顔の描写も実に色っぽいし、肉筆なので衣装の色合いの深みがなんともいえない。
所蔵は京都細見美術館だそうな。ここはブックマークに入れてチェックしておこう。必ずもう一度見てみたい。
*
美術館を出たあと、赤坂迎賓館周辺を散歩してから帰路につく。この辺は緑が多くて落ち着くが、ごみごみした四谷駅付近に出るといかにも東京な感じがして、別の意味でほっとするのが、妙なものだ。
◇
鹿島茂『妖人白山伯』(集英社)、磯田道史『武士の家計簿』(新潮選書)、ジャレッド・ダイアモンド『セックスはなぜ楽しいか』(草思社)購入。
211.126.28.117 美 432 1066481807 野村萬歳/甲野善紀〜NHK教育つながりネットにつなぐのも億劫な日々が続いているが、こんなことではいけない。のんびりあだしごとを書きこめるような日々こそ、心平安なとき。そういう状態をめざさなければいけませんな。
◇
15日は野村萬斎が出る日比谷シティの
薪能 の券をもらっていたのだが、諸事情により行けずじまい。(妻と知人に行ってもらい券を無駄にはしなかったが)狂言の演目は『
蝸牛 』だったそうな。惜しや。ただ、当日は結構冷えこみ、動きの少ない能の途中では、寒さに耐えきれず席を立ってしまう女性客が多かったらしい。能は狂言より科白が聞き取りにくいから、こごえながら見るのはつらいよなあ。豊臣秀吉などは戦時に包囲した敵城の真ん前に能舞台をしつらえてこれ見よがしに酒宴を張って観劇したそうだ。室町〜戦国の武士たちにはなによりの娯楽だったらしいが、なかなかその実感がつかめない。
*
野村萬斎の狂言なら、先週TVで偶然見ることができた。番組はNHK教育の『能狂言鑑賞入門』。主題は能『
八島 』なのだが、私が見た週はちょうどその中のアイ狂言『奈須与一語 』の回。『平家物語』で有名な那須の与一が扇の的を射落とす場面を、一人で三役(判官、老臣、与一)を演じ分けて再現する。萬斎の演技を省略抜き、フルでたっぷり15分。父で重要無形文化財の野村万作の解説も含まれて、もちろんCMなしの30分、「陰陽師」への言及など一言もない。贅沢な番組でありました。見事扇を射落とした与一を判官(義経)がほめそやすのだが、なぜか「ちちすわんちちすわん」と言う。「乳吸わん=乳でも吸ってこい」なのだが、良き働きをした若者に褒美に母に乳を吸わせてもらってこい、とからかっている言葉なのだそうだ。う〜む、ほんとに母親の乳かい?
萬斎は朗々たる語りで、発声に従って首の太さが変わるのがあきらかにわかる。まるで首がスピーカーに変わってしまっているようで、まさに狂言サイボーグだ。
*
三役を演じるのに、くるくると舞台上で場所を移動するのだが、この動きにも流れるような型の美しさがある。これを見た数日後、同じNHK教育の『人間講座〜古の武術に学ぶ』という番組で古武術家の甲野善紀氏の特集を見たのだが、そこで甲野氏が膝立ちで素早く移動する業を見せていた。その動きが萬斎の奈須与一語の動きとよく似ていたのだ。やはり
古 えより伝わる和の体技、なのでしょうな。実は先週『能狂言鑑賞入門』なんてのを見たのは、直前の桐朋学園のバスケットボール部を特集した番組の流れで見てしまっただけなのだが、この桐朋学園のバスケット部が取り入れたのが甲野氏の古武術だ(今は防衛大のバスケット部も取り入れているらしい)。甲野氏も番組に顔を出して解説していた。妙な偶然である。
紅白や大河なぞはいらないが、NHK教育TVはあなどるべからず。
◇
スティーヴン・ミルハウザー『エドウイン・マルハウス』(岸本佐知子訳/白水社)読了。
小林泰三『目を擦る女』(ハヤカワ文庫)購入。
211.126.28.117 TV 431 1064761331 Googleツールバー/DVDの価格実におでかけ日和の週末だったが、相方が風邪気味のため、近所の買い物ぐらいでまったり過ごす。おかげでたまった読了記が書けたけど、まだ5月分なのだよな。あとは一ヶ月に二ヶ月分ずつ書いていけば年内に追いつくはずだけど、まあそうは机上の戦略通りはいくまい。間をおくとまるっきり内容を忘れてしまっていて往生するが、レビューを書くためにパラパラと読み返すと記憶が蘇ってくる。最近とみに衰え気味の記憶力のためには間をおいて書くのもいいかも。<いいわけいいわけ
◇
Googleのツールバーが新しくなったが、これがなかなか便利だ。
Googleのサイトに飛ばなくてもいつでも検索ができるのはいままで通りだが、検索サイトの国を特定できたり、ポップアップ広告をブロックできる機能が追加された。特にポップアップ広告ブロックは別のフリーソフトを使っていたのだが、Googleツールバーの方がずっと使い勝手がいい。
現在表示中のサイト内のみの検索もできるし、シフトキーを押しながらクリックすれば検索結果を別ウインドウで開くこともできる。Windows95〜XP及びIE5.0以上が条件だが、条件があう人にはおすすめ。無料だしね。
◇
最近、海外のDVD通販サイトを時々のぞいているが、たとえばここで『千と千尋の神隠し(SPIRITED AWAY)』を検索すると、19.89$である。運送代が8.95$、合計しても28.84$、今日の為替レート(111.6円)で換算すると3,218円、送料のぞく本体だけなら2,219円である。アマゾン日本だと4,230円だ。比較的安いい〜でじ!! でも3,712円だ。この価格差はなんなのだろう。
日本のADSL環境は現在世界一安くなったらしい。やればできるはずだよね。<こういう人ばかりなのでデフレが止まらない
61.211.2.81 電 430 1064501858 人形展/チャタレイ夫人の恋人珍しくここのところ、頭がプログラマー頭になってるので、文章書く気にも絵描く気にもなれずにちと困った。
帰ってくると一切仕事のことを考えずに、家族とTVを見ながら食事して馬鹿話しをして本を読んで風呂入って寝てしまう。それなのに朝起きたとき、ぼーっとしてる頭に(プログラミング上の)アイデアがうかんだりするのだ。無意識に(もしかしたら眠っているときに)考え続けているのだろうか。やだやだ。昔はもっと切換えが良かったようが気がするのだが。これも老化の一種だろうか。
◇
NiftyのCGつながりの友人が出展している人形展にオフを兼ねて行ったのも、もう先々週だ。人形が死ぬほどこわいという参加者がいる珍妙なメンバーだったが、ちゃんと愉しむことができたから立派なものだ。
NIF仲間の作品もはじめて間近に見ることができた。やはりCG描いてたときの眼で見てしまうのだが、これが描き(創り)たかったのだ!というのが、絵よりもくっきり顕れているという印象だった。そういう意味で「人形」という表現には「生な力」がある。そこが「怖さ」に通じるのかもしれない。
こわい人形の話しにもどると、一番メンバーがこわがったのは常設展示の昔の赤ん坊の人形だった。子供の人形はやはりこめられている情念がより濃いのだろうか。もう一つは「肉屋」のドールハウス。なぜに「肉屋」。これに勝つには、レンブラントではないが「解剖学教室」のドールハウスでも造るしかあるまい。
彫刻家とピアノの先生と絶対音感のあるCGの達人と物好きなおじさん(=私)という、なかなか創作意欲を刺激されるオフでありました。(そのわりにあれからなにも描いてないな)
◇
今日の『松岡正剛の千夜千冊』は『チャタレイ夫人の恋人』。あいかわらず充実した解説。やはり名作でありますね。また読み返したくなってきた。ニコール・キッドマン主演で映画化されたりしたら嬉しいのだが、今さら、だろうか。
おこがましいけど、私のレビューのリンクも貼っておく。→『チャタレイ夫人の恋人』(2001年11月の読了記)。
◇
スタージョン『海を失った男』(若島正訳/晶文社ミステリ)、『君の血を』(山岸真訳/ハヤカワ文庫SF)読了。
61.211.2.81 美 429 1063545519 『英雄〜HERO〜』丸の内ルーブルで『英雄〜HERO〜』を観る。
もちろん、アクションはすばらしいが、ちと荒唐無稽に過ぎるので史劇ではなく神話ファンタジーとして見るのが吉であろう。
ジェット・リーもトニー・レオンもドニー・イェンもかっこいい。マギー・チェンは艶っぽくチャン・ツィイーは美しい。なかでも見所は最初のジェット・リーとドニー・イェンのビュンビュンしなう槍との戦い。次いでチャン・ツィイーの三日月剣とジェット・リーのスライド・ホールのある剣との闘いか。女同士の紅葉黄葉巻き上げての武闘も華麗だが、ややうるさい。
結局、一番眼に残ったのは、ワダ・エミデザインの見事な衣装の色彩と質感だったりする。
クロサワの『羅生門』まがいのストーリーは中途半端。ラストはあそこまで大悲劇にしないで、もう少し爽快に終わらせられなかったものか。
210.198.155.157 映 428 1063074219 千夜千冊今日は他のサイトを一つだけ紹介してお茶をにごす。
読書ガイドとして重宝させてもらっている松岡正剛の千夜千冊。といっても私には歯の立たない本がほとんどだが。
本日の一冊は『放送禁止歌』だ。この充実したレビュー内容で無料とは信じられない。しかも毎日。
へっぽこレビューを書かないでさぼっている私に爪の垢を送ってほしい。
◇
アン・ルール『テッド・バンディ(上/下)』(権田万治訳/原書房)、イタロ・カルヴィーノ『むずかしい愛』(和田忠彦訳/岩波文庫)読了。
61.211.2.81 本 427 1063016090 野菜泥棒/死刑判決/美女軍団たまには時事ネタを、ということで最近のニュースから。
巨峰400房盗まれる(茨城)、新米240キロ盗難(千葉県茂原市)
最近農作物の盗難が多発しているらしい。さくらんぼにはじまって桃やリンゴやはては芋まで、高価な品種ばかりが被害にあっている。
果物野菜を盗むなんて、不況が原因のせちがらい話しだと思われがちだ。バブル期だったら考えられない。現金かせめて貴金属でなければ犯罪は割にあわない。しかし、いくら景気が悪いとはいえ今だってそのへんの事情は変わるまい。一般人が果物を何百キロも盗んでも、腐らせてしまうのがオチだ。
これは割があうようになった=盗品が容易に現金化できるようになったと考えねばつじつまがあわない。おそらく高級野菜果物の裏の売り捌きルートが確立したのだろう。ブツを手にいれさえすれば、自分で苦労して売り歩かなくても、しかるべきところに持ち込むだけで簡単に現金化できるに違いない。
盗品市場が新宿にあるというピッキング窃盗団と問題の根は同じなのだろう。盗品と知りつつ安ければ買う卸売り業者や小売業者がたくさんいるということだ
◇
死刑が抑止力になるのかどうか私にはわからない。わからないが今週のフライデーにのった宅間死刑囚の手紙?を読むと、「更正」が不可能な人間というのはいるのだとしみじみわかる。決して生い立ちや教育だけを原因には求められないだろう。社会人になってからの職業も公務員だったり結構恵まれている。宅間に限らず「刑務所」や「少年院」のルポや体験記などを読むと、おのれの罪を悔いている者などほとんどいないというではないか。
日本の少年犯罪者=触法少年の再犯率は低いというが、成人してからの統計がないのだから(少年院を出た者が成人してから犯罪を犯しても再犯にはカウントされない)なんの根拠もない。三菱銀行北畠支店猟銃強盗事件の犯人が実は少年時代殺人を犯していたことを、私が知ったのは事件後何年もたってからのことだ。当然警察やマスコミは知っていただろうが、われわれ一般人はもちろん知らされていない。犯人に殺された遺族もその事実を知らされていたのかどうか。
◇
美女好きでは人後に落ちない私ではあるが、あの北朝鮮の「美女軍団」は「美しい」とはとうてい思えない。
ロボットのような動き、感情表現、個性のまったくない化粧・ファッション。そのあとTVに映ったヤンキーまるだしの日本女子選手団の方がずっとチャーミングに見えてしまった。(しまったは余計だが)
あの「美女軍団」に熱狂する韓国の男たちはなにを考えているのだろう。君たちが望んでいるのは「統一」ではなくて「合体」ではないのかい。大韓航空機事件なんてのはもう過去のことなのだろうか。ずいぶんあっさりしたものだ。日本に対してもそのくらいあっさり接してくれると助かるのだが。
61.211.2.81 時 426 1062569341 チャールズ・ブロンソンの映画史に残る肉体チャールズ・ブロンソン氏が亡くなった。先にいっていた愛妻のジル・アイアランドと再会して仲良くやっているだろうか。それとも再婚したことをなじられているかな。
『大脱走』や『バルジ大作戦』『荒野の七人』などのアクション映画の脇役だったが、アラン・ドロンと共演した『さらば友よ』で注目され、初主演した『雨の訪問者』で大ブレークした。なんて追悼記事がどこにでも載っていたが、ブロンソンにはちょっと思い入れがある。私が洋画を見始めたころちょうど大ヒットしたのが『雨の訪問者』だったのだ。
なんといっても印象深いのはあの鋼鉄のような肉体だ。それまでの映画スターはタフガイやたくましい男というのはいても筋肉隆々タイプはいなかった。カーク・ダグラスやショーン・コネリーのような「肉体派」も決してビルドアップされた体ではなかった。
むしろボディビルダーのような体はフリークス的視線で見られていたように思う。発達した筋肉はかっこいいというより滑稽な存在だったのだ。
そのイメージをくつがえしたのがブロンソンだった。ボディビルで造ったような体ではなく、肉体労働(レンガ積み職人)やボクシングで鍛えた筋肉となめし皮のような皮膚を持った「実用的に」美しい体だった。演技や顔より体が注目されたのは、主演映画に必ず上半身裸のシーンがあることでもよくわかる。『雨の訪問者』はもちろん『狼の挽歌』も『ストリート・ファイター』も脱ぎまくりである。当時の観客は「脱がないブロンソン」など認めなかった。
数年遅れてまた「脱ぐヒーロー」が現れる。ブルース・リーだ。そしてついに昔では考えられなかったボディビルダー出身の大スターが登場する。もちろん、アーノルド・シュワルツェネッガーである。彼がスターになれたのは、チャールズ・ブロンソンのおかげ……かもしれない。
「女の肉体の流行」についてはよく語られるが、「男の肉体の流行」についてはあまり語られることがない。しかしここ30年くらいでも、これだけ確実に変わってきているのだ。その流れの中で、チャールズ・ブロンソンの肉体はギラリと光を放っている。
61.211.2.81 映 425 1061994662 火星にクイミング *地球に大接近している火星。妻とベランダに出て、あまり期待せずに東南の空に目をやると、ちょうど雲の切れ間にひときわ明るい星が見えるではないか。かすかに赤みがかっている。火星だ火星だ。タコ型宇宙人も緑色の小人も半裸の赤い肌の王女も六本脚の巨人もいないらしいけど、火星を見るとなぜかSF好きは少しだけ元気になる。
*
クイミング:KWIMING。
フレドリック・ブラウンの傑作『火星人ゴーホーム』に登場する緑色の小人の使う瞬間移動超能力。この能力で緑の小人はどこにでも現われる。人が来てほしくないと思っているところに選んで現われるのである。そして、知りたくないことを無理矢理耳にいれ、他人に知られたくないことを大声で(クイミングしながら)さけびまわるのだ。なんて素敵な宇宙人なんだろう。◇
久米宏さんがニュースステーション引退だそうな。好きな人もきらいな人も激しくいそうな人だが、私が印象深いのはニュースステーションの前に司会をやっていた『テレビスクランブル』だ。相方はあの横山やすし。のると抜群に面白いのだが時に酩酊し時に暴言を吐くやっさんを、久米宏はうまいことコントロールして番組をなりたたせていたのだから大したものだ。司会者としては20年に一人くらいの人でしょう。一視聴者としてお疲れさまでしたといいたい。(しかし最近は10時のニュースはなぜかNHKを見てしまうのだ)
◇
今日、帰宅したら妻に「おとーさんが本を貸してくれたよ」と立派な箱入りハードカバーを手渡された。『秘籍江戸文学選4 末摘花夜話』(日輪閣)。それはいいのだが、父は妻に渡すとき「哲の好きなスケベな本だよ」といったそうな。たしかに艶笑川柳の解説本ではあるし、こういうのが好きなのは間違いないが、先に読んでたのはだれなのさ。
また一度十七八で這い習い
210.198.153.195 本 424 1060660592 本を買った『テッドバンディ』は結局絶版(版元に確認した)で、図書館で借りてしまった。宮部みゆきの『あかんべえ』を読み終わったら読むとしよう。
注文はいつでもいいやと思っていた本が絶版だったなんて目にあうと、なんだかあせって本を買いこんでしまう。しばらく自重していた反動もあるのだが。
本日アマゾンに注文したリスト
- スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス―あるアメリカ作家の生と死』(岸本佐知子訳/白水社)。
ひさしく絶版で手に入らなかったのが復刊された。やれ嬉しや。これでミルハウザーの邦訳はコンプリートかな。- シオドア・スタージョン『海を失った男』(若島正訳/晶文社ミステリ)。
こちらも絶版中の伝説的短編集『一角獣・多角獣』から何篇かと本邦初訳のものを含んでいるらしい。これも楽しみ。- スタージョンで検索したリストから未読の長編『きみの血を』(山本光伸訳/ハヤカワ文庫NV)を注文。
そろそろ止まらなくなってきた。- グレッグ・イーガン『しあわせの理由』(山岸真訳/ハヤカワ文庫SF)も注文。
わたしイチオシのSF短編集『祈りの海』に続く第2オリジナル短編集。わくわく。アマゾンの「
この本を買った人はこんな本も買ってます」リストはやばい。たどっていくと、つい注文ボタンをクリックしたくなってしまう。とっくに今月の書籍予算を超過してしまったので、以下の2冊は来月にまわすことにする。スタニスワフ・レム『完全な真空』『虚数』(沼野充義訳/国書刊行会)。アマゾンのレビューだけでも面白そうでしょ?
来月にまわすのはいいが、今月注文したのは読みきれないだろうなあ。読了記も書かなきゃなあ。そうだ、仕事もしなきゃ。空から時間と金塊が落ちてこないかなあ。<夏休みが終わった反動
61.211.2.123 本 423 1060523531 『ターミネーター3』日劇Plexで『ターミネーター3』を観る。
ネット上では酷評が多かったけど、なんだ、面白いではないか。m@stervision氏のとこが☆5つだったのをあてにして良かった。
いわゆる良質なSFアクションとして安心して見ていられる。伏線の張り方やサスペンスの盛り上げ方もそつがない。スピードとキレに徹した分、人間ドラマが端折られて、コクに欠ける感じは否めないけどね。
なんといっても、ねーちゃんターミネーター役のクリスタナ・'TX'・ローケンがかっこよくて良い。顔もスタイルも私好みで言うことはありません、はい。サイボーグ004みたいな(例えが旧すぎ)全身武器というキャラもツボにはまりました。個人的にはT2の『寄生獣』のゴトーみたいなT1000より、こちらの方が好きですな。できれば、最初に登場したときの全裸シチュエーションをもう少しサービスしてほしかったが、まあこれはしかたがない。
その分、シュワルツェネッガーのT850の方はヌードを大サービスしてくれていたが、20年前と遜色ない肉体だったのは驚きだ。偉い。カリフォルニア州知事になったら、もうT4は撮れないだろうなあ。惜しい。
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本編前に上映していた予告編の中では『トゥームレイダー2』が抜群に面白そうでしたねえ。要するに強そうなねーちゃんが大暴れする映画が好きなのですな。
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今日は東京湾花火だったようで銀座の人出は多かった。浴衣姿のカップルや女性連れも結構見かけた。場所柄もあるのか、ほとんど紺や藍のなかなかクラシックな浴衣だった。いっときの原色を使った餓鬼に媚びたようなデザインのものを見かけなかったが、街の景色が汚くならなくていい。
61.211.2.81 映 422 1060350926 北斎の天井絵/田中本家博物館もう子供たちも夏休みは色々と予定がいっぱいで、当然親に旅行をねだる年齢ではない。それならこちらも少しは大人らしい旅をしようということで、例年の海はやめて温泉三昧することにした。好奇心旺盛な連れ(父・妻)が一緒だったおかげで、ぐーたらな私にしては結構ハードに観光してきました。
といってもご覧のとおり、一番熱心に見てきたのは猿なのだが。猿の仕草は実に面白いので人間どもは熱心に見ているが、猿は見事なほどこちらを無視している。二つめの写真の人間と猿は30cmほどしか離れていない。こんなに間近でも猿はそっぽを向いている。彼らにとってわれわれは全然興味をそそらない係わりあいにならないほうがいい実につまらないものなのだろう。
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小布施では念願だった北斎の『八方睨み鳳凰図』を見る。鮮やかな配色が見事に保たれていたが、これは北斎の招待主の豪商、高井鴻山のおかげで高価な絵の具をふんだんに使えたかららしい。それにしても没前年の89歳の作とはとうてい思えない力のこもった脂っこい絵でございました。おそるべし画狂老人。
小布施には「北斎館」もある。展示の浮世絵はほとんど画集などで見たことがあるものだったが、肉筆絵もかなりあり、やはり間近に見られるのはいい。なかで松の木と桜の木の木肌を再現した2枚の墨絵のリアルさは、若い女性の二人組が「コンピュータで描いたみたい〜」と声を上げていたくらいだった。
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予想に反し、北斎館よりずっと見応えがあったのが、須坂市の「田中本家博物館」だ。
須坂藩の御用商人だった田中家の財物や庭園を公開してあるのだが、須坂藩より財力が上だったというだけに、これが実に豪奢きわまりない。今回は夏をテーマに田中家の女性たちの衣装などを特集展示していたが、たとえば日傘=パラソルだけで何十本もある。それも一つ一つモダンな凝ったデザインで、現代のファッションと比較しても決して遜色ない。大正以前の日本の地方の文化の高さを思い知らされる。
季節ごとに色々な展示をするらしいが、雛人形だけで250、帯だけで80。数もさることながら、江戸時代から明治大正にかけての逸品が、すべて今でも使えるほどの状態で保存されていることがすごい。田中家以上の江戸時代の豪商は銭屋五兵衛をはじめいくらもいるが、維新を越え、現代まで財物を伝えた家はそうそうはないだろう。次代に遺すことに神経を使った生涯がご本人たちにとって面白い一生だったかどうかはわからないが、おかげでわれわれが眼福にあやかれるのだから、ありがたいことは間違いない。
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スパークル・ヘイター『トレンチコートに赤い髪』(新潮文庫)、石井政之『肉体不平等』(平凡社新書)、宮部みゆき『ぼんくら』(講談社)読了。
61.198.186.172 美 421 1059204739 つげ義春byいしいひさいち今日の朝日新聞の『ののちゃん(旧となりの山田くん)』には、つげ義春のパロディが登場した。
3コマ目が『海辺の叙景』、4コマ目が『ねじ式』。いしいひさいちも全国紙で味なことをするものだ。
◇
今日は浅草の花火。うちは外に出ればよく見える。娘は友だちと浴衣を着て見物にいってしまった。息子は花火に興味なさそうなので、妻と二人で近くの空き地にすわってのんびり見物。毎年のことだがこんな寒い日ははじめてだ。風がある分煙がたまらず、花火は良く見えたけどね。どーんと乾いた音もよくとどく。花火は耳でも楽しめる。
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石井政之『肉体不平等』(平凡社新書)、イタロ・カルヴィーノ『むずかしい愛』(岩波文庫)、スパークル・ヘイター『ボンデージ!』(新潮文庫)購入。 210.198.166.70 漫 420 1058777393 ヴィクトリアン・ヌード
東京藝術大学美術館で「ヴィクトリアン・ヌード――19世紀英国のモラルと芸術」展を見る。
パトリシア・コーンウェルによって切り裂きジャックの正体と目されたウォルター・シッカートの絵が見られるという卑俗な興味もあったが、シッカートの絵はドガのような筆致でさほど猟奇的なものではなかった。(深読みすればいくらでもできそうだけど)
展示されている絵はロイヤルアカデミーの画家のがほとんどなので、さすがにテクニックはすばらしい。フレデリック・レイトン 『プシュケの水浴』の滑らかな肌や白い絹の光沢の表現。ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『聖女ユーラリア』の完璧な遠近法。ハーバート・ドレイパー『イカロス哀悼』のドラマチックな構図。ほれぼれします。
しかし、マネやゴーギャンやルノアールの描いたヌードを見てしまうと、アカデミーの画家の描くヌードは紋切型で芸術的感興はあまりわいてこない。神話や聖書に題材をとってないヌードを描くことが厳禁だったというからしかたがないのかもしれないが。自分の恋人の起き抜けの姿を描いたヌードが、私的関係を連想させるということで非難されたらしい。今と感覚が逆である。
ヴィクトリア紳士のエセ道徳を笑うのはたやすいが、そんな理屈をつけてでも裸体画を描き続けてきた画家たちの努力?は、それなりに意義があったのかもしれない。
*
帰りはいつものとおり谷中の「シャーレースイスミニ」でお茶。今日は経営者の謎のスイス人デニーさんも上機嫌だ。妻と娘が一緒だったのだが、二人に庭のカーネーションを摘んでプレゼントしてくれる。私は素晴らしい香りのハーブを一枝いただく。今日は紅茶を淹れるとしようか。
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小谷野敦『性と愛の日本語講座』(ちくま新書)読了。
210.198.166.70 美 419 0 1058454646 ぷつんな(少)女たちその後のTVのニュースによれば、少女4人は両親と4日ぶりに再開し抱き合って喜んだ、そうですが、うちの娘だったら(とっくに小学生ではないが)、嘘ついて渋谷へいかがわしいアルバイトをしに行った時点で、まず一発張りたおしますが。
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うちの娘がやったら……入院させますが。
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榊原悟『江戸の絵を愉しむ』(岩波新書)読了。
スパークル・ヘイター『トレンチコートに赤い髪』(新潮文庫)、篠田節子『斎藤家の核弾頭』(新潮文庫)、小谷野敦『性と愛の日本語講座』(ちくま新書)購入。
61.198.199.114 時 418 1057812731 続・12歳の殺人犯長崎の変態殺人犯の少年の成績が500点満点で465点と聞いて、うちのこどもたちは絶句してましたな。
13歳以下は犯人でも罪人でもないらしいから、彼は数年足らずで義務教育に復帰するだろう。成績の優秀さからいって偏差値の高い大学に入る可能性が高い。将来、小学校低学年の男の子のところに東大生の家庭教師として現れたりするかもしれない。ご両親はいい先生が来てくれたと喜んだりして。なにごともなければいいけどね。
こういう事件の原因は、犯人個人に帰すると思うのだけど、相変わらずマスコミは、社会の反映だの少年犯罪の凶悪化などという見当違いのフレーズを持ち出してくる。
少年犯罪は増えていないし、凶悪化もしていない。
私がこう書いてもあまり説得力がないので、こちらのサイトを参照していただきたい。→少年の凶悪犯罪は本当に増えているのか
少年の凶悪犯罪は昔より増えていないどころではない。昭和20年代後半から30年代にかけて、現在の6倍も発生しているのだ。
最も少なかった平成2年と、最も多かった昭和35年では、件数の差は6.9倍にものぼります。というわけで、本日ここに戦後最もキレやすかった少年が決定致しました。グランプリは昭和35年の17歳、つまり昭和18年生まれで西暦2001年現在58歳の方々です。おめでとうございます。もう一つ注目すべき点として挙げられているは、昭和33年から数年間の強姦件数の多さだ。当時15〜18歳の少年といえば、今は50代後半から60歳ぐらいのおじさんたちだ。連続強姦事件を起こした馬鹿学生について「強姦するような若者は元気があってよろしい」などと言った大臣たちとちょうど同世代だ。その世代に育てられた子供たちの年齢はといえば、強姦した当の大学生やOBたちと近いのではないだろうか。
あまりに平仄が合いすぎてやんなっちゃうね。
61.211.2.123 時 417 1057738766 12歳の殺人犯か?犯人が12歳と聞いても、さほど意外と感じないのがいやになるね。私でさえそう思うのに、専門家が「『まさか12歳が』言葉失う教育関係者」では、情けないだろう。
またまた少年犯罪や少年法については議論百出だろうが、私がこの事件で印象に残ったのは防犯カメラの威力だ。監視カメラのおかげで、これ以上の犠牲者が出なくてすんだ。逆にいえばカメラが設置されていなかったら、さらに犠牲になるはずの幼児がいたかもしれない
監視社会だのプライバシー侵害だのと負のイメージも強いが、別に家の中まで撮られるわけではない。やましいところのない人間にとって防犯カメラは、見られている不安より見守られている安心感の方が強いだろう。これからは街中のカメラはどんどん増えていくだろうし、人々の感じ方も変わっていくだろう。まして、道に座りこんだり電車内で化粧したりしている「傍らに人無きが若き」若者たちは、監視カメラぐらい気にもなるまい。
かといって情報の独占はよろしくない。
国中の(できれば世界中の)主要な屋外カメラがインターネットにつながって、だれでも見られるようになれば完璧なのだが。そうなったらなったで、今度は「都区内カメラ死角マップ」なんてのが商売になるようになるのだろうな。
私の考える社会的必要性の脳内ランキングは以下の通り。
知る知らせる自由と権利>安全な社会>>越えられない壁>>プライバシー
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小熊英二/上野陽子『癒しのナショナリズム』(慶應義塾大学出版会)読了。
61.211.2.123 時 416 1057503720 新日曜美術館『人形の宇宙』RealDollは見飽きちゃうだろうけど、四谷シモンの赤いドレスの人形((金子国義風の顔)なら、いくら見てても見飽きないだろうなあ。
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妻とバーゲンをやっている合羽橋道具街に出かけ、ビアジョッキとご飯茶碗を買う。問屋街なので日曜は開いている店は少ないのだが、それでも近くに祭りがあり、人出は多い。
ろう細工の料理サンプルの専門店などは、みやげにするのだろう、結構外人さんのお客でにぎわっている。金髪の女子大生風の二人組やすごい美形のアベックが、上寿司一人前の模型などをにこにこしながら買っていた。プロ用だけでなく、スシやテンプラのキーホルダーだのケータイストラップなど小物もあるんだね。目玉焼きがかわいい。
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ipgさんにお借りした『幻の湖』をやっと見る。
いやあ、聞きしに勝る怪作ですなあ。一見の価値はあります。監督脚本の橋本忍といえば、黒澤明の盟友で、黒澤映画でもたびたび共同脚本にクレジットされている名匠……のはずなのだが。
レビューは掲示板の方にも紹介いただいた詳しいサイトにまかせるとして、私は主演の南條玲子という女優さん、結構ファンだったのだ。
堀川とんこう演出のTVドラマ『ポルノ女優小夜子の冒険』シリーズで、なかなか達者な演技を見せていた。ポルノ女優にしてはナイスボディとはいいがたいのが難だが、顔はなかなかキュートでちょっとさびしげなところがそこはかとなく魅力的だった。
デビューがこの映画(それも大々的なオーディションの末の)とは、哀歓もただようというものだろう。最近見かけないが、どうしているのだろう。彼女の女優人生に幸多かれと祈る。
◇
青木淳一他『虫の名、貝の名、魚の名』(東海大学出版会)読了。
小熊英二/上野陽子『癒しのナショナリズム』(慶應義塾大学出版会)購入。
219.192.0.37 美 415 1056985214 With my poor English時々反米的なことを書いてるバチがあたったか、突然英文メールが来た。
別に全米愛国者同盟からなどではなく、うちのメールフォームから「あんたの絵が気に入ったうんぬん」という内容だ。それだけなら、滅多にその手のメールをもらったことのない私としては嬉しいかぎりで、おいらの絵も世界中から見られてるのかなどとニヤニヤしていればよかったのだが、メールの真中ぐらいに、
Here is my question.とあるではないか。質問? え、英語の返事を書かねばならないではないか(滝汗)
律義にも画像を自分のPCにコピーすることの許可をもとめてきてくれている。しかも商用に使わず私的鑑賞のためだけだと念を押している。
自慢じゃないが私などは、ネット上にさらしてるファイルはもうコピーし放題、右クリック禁止したりJAVAScriptでコピーしずらくしたりしているサイトなんぞにはiria等を駆使してコピーせずにおくものかと闘志を燃やしたりはするが、コピーの許可を取るなどは思いもつかなかった。反省。
もちろん、必死で辞書をひきひき、プリーズプリーズいくらでもコピーしてちょ、という返事を書いて返信したが、妻と娘は「日本語で書いて相手に翻訳させればいいじゃない。あちらもわけわかめな英語読まされるよりいいかも」などと、私の努力を屁とも思わない発言をかましてくれた。へこむなあ。
気にいってくれたのはいいのだが、メールにはどの絵が好きなのかは書いてなかったので、どれが気に入ったかこちらから質問してみたが、考えてみればタイトルがほとんど日本語だから、書きようがないかな。
210.198.166.70 言 414 1056811675 虎の確率東京育ちなので、周囲には少ないが、ネットの知り合いには阪神ファンがそこそこいる。
彼らが、今年は妙に静かなのだ。
いや、4月いっぱいぐらいは結構はしゃいだ書き込みなんかがありましたが、ここんとこ、彼らのサイトに阪神のハの字も見かけません。
しかし、沈黙のむこうから、なんだか固唾を飲んでる気配が伝わってくるのである。
……本気なんだ。
もし「優勝」とか口に出したら、その途端、夢から覚めてしまうような気がしているのだろう。
安心してください。夢ではありません。阪神ファンではない(別にどこの球団のファンでもない)私にも阪神はいかにも優勝しそうな勢いに見えます。いまのうちから、もうはしゃいどきましょう。
巨人が3勝2敗ペースでいっても、阪神が残り5割でいけば追いつけないと聞くと、これはもう阪神優勝で決まりだと思う。しかし、巨人が10連勝して阪神が10連敗だと追いつかれると言われると、これはありそうな気がするのが不思議だ。
長期間だと確率の法則は強力だが、局所的にはかなりの偏りが生じる場合があるのを経験的に覚えているからだろう。
なんて書いているうちに12連勝12連敗が必要になってしまった。決まりだな。
◇
虎の確率といえばストックトンという人の『女か虎か』という有名な謎小説がある。こんな話しだ。(これから本物を読みたい人は以下の緑字の部分をとばしてください)
昔々、ある国に野蛮な王様がいた。王様には溺愛する一人娘がいたが、王女は身分卑しき若者と相思相愛となり、王様の目を盗んで密会を重ねていた。
しかし二人の関係はついに王の知るところとなり、王女は軟禁され、若者には死刑が宣告された。しかし、この国の死刑にはある特別な決まりがあった。
逃げ場のない闘技場に一人ひきずりだされ、二つある扉のどちらかを選ばなければならない。どちらか一つの扉の向こうには飢えた凶暴な虎がいる。こちらを選んだら死を逃れることはできない。そしもう一つの扉の向こうには美しい奴隷の娘がいる。こちらを選べばその女と結婚し自由の身となる。
若者を見守る観客のだれ一人、どちらの扉が女か虎か知っているものはいない。王とその王女をのぞいては。
自分の愛する人が、虎に命を奪われるか、自分より若く美しい女と結婚して自由になれるか。王女の見つめる中、若者は運命の扉を選ぶため闘技場にひきずりだされた。
彼の必死のまなざしと視線をあわせたとき、王女はかすかな身振りで彼に合図を送った。
歓喜の表情をうかべた若者が勇んで、王女に示された扉を開いたとき、
彼を待っていたのは、女だろうか、虎だろうか。
◇
高階秀爾『近代絵画史(上/下)』(中公新書)読了。
210.198.166.70 ス 413 1056338734 アメグラ、SW、ジョージ・ルーカスここのところ、NHK-BS2で、ジョージ・ルーカスの映画(もちろんSWシリーズ)をやっていた流れか、日曜の夕方にはなつかしきアメリカン・グラフィティが放映されていた。
公開当時は登場人物たちと同じ年代だったので、思い切りはまったものです。
今、冷静に映画として見ても、ジョージ・ルーカスがほんとうにうまく作っていることがよくわかる。故郷から旅立とうとする気持ちと故郷への愛着に引き裂かれる若者のジレンマは、SWのヤングスカイウォーカーに単純化されて再現されているよね。こんなに映画作りがうまいのに、なんでEP2はあんなになっちゃったんだろう。
*
スターウォーズシリーズの方、BSで放映していたのは、最初の3作=エピソード4〜6だ。あとからCGを足した「特別編」だった。
初版公開時も特別編公開時も劇場で見ているが、あらためてBSで見た感想は、「追加シーンは必要ない」だった。
最初の(今から見れば)素朴なSFXで撮ったシーンで映画としては完成している。付け加えられたシーンは単に「にぎやかし」でしかない。むしろきっちり編集されていた流れを阻害しているくらいだ。
もはや、見る側はCGやSFXだけでは満足できなくなってきている。いいことなのか悪いことなのかわからないが、映画本来の良さに立ち返ればいいだけなんだろうね。
なんにしても、元祖スターウォーズのオープニング(スターデストロイヤーが画面一杯に延々と映るシーン)を劇場で見たときの「これだよ!これが見たかったんだよ!!」という感激の記憶だけは永遠だ。
61.211.2.123 映 412 1056264358 空山基展空山基展は予想以上に面白かったですよ。
旧作ばかりだろうと思っていたのが、半分以上が(既存画集に収録されていない)新作だったのが第一の驚き。原画の大きさが思ったより小さかったことが第二の驚き。そして、印刷された画集で十分堪能していたつもりが、やはり原画を見なければ良さがわからないということを思い知らされたのが、第三の最大の驚き。
同行してくれた>H2さんは、会場にいた空山基ご本人に果敢にインタビューを試み、積年の疑問(一つの絵を次々とブラッシュアップしていくが、原画に直接描いているのか?)を晴らしていた。空山画伯も中国のことわざなどを繰り出しながら、明確に回答してくれました。
展示されていた作品の収録されていた画集を購入。ケースに凝るならもっと絵を大きく印刷してほしかった。しかし、やはり原画はいい。大きいのはいい。次の土曜日まで開催しているので空山基ファンや興味のある方は見逃さない方がよろしかろう。
会場をあとにしたあと、H2さんに三越裏にある洋書店を教えてもらう。画集や写真集やコミックなど、なんとも物欲を刺激されまくるマニアックな品揃え。これはまずいなあ(笑)いや、こんなところを知らなかったのは不明のいたり。教えてもらって感謝だが、ここにくるときはしっかり財布の紐をしめておかないと、かたっぱしから欲しくなってしまいそうだ。
その後、好々亭で飲茶、いそむらでギネスを飲みながら6時間ノンストップしゃべりまくりオフ。お疲れさまでした。
210.198.169.122 美 411 1056038779 HTMLメールの疑問デビット・ベッカムと木村拓哉の共通点はもちろん二人ともハンサムだということだが、好みの女性(のレベルというかジャンルというか)も似ているようだね。
◇
うちと相互リンクしているミュールさんのところでHTMLメールの問題についてわかりやすく書かれている。そこからリンクされているこちらの記事には、マナー的なことだけでなく、HTMLメールによる情報もれの可能性についても指摘されている。
もちろん私も、自分がHTMLメールを出すことはないし、もらうのもHTMLメールよりテキストメールの方が好きだ。といっても、HTMLメールが来ても不快になるということはない。自分がだらしがない性格なので、人の無作法にも無頓着なところがあるからだろう。私のような人間は知らずに他人を不快にさせているかもしれないので要注意だ。
幸い、私のところに来るメールはほとんどがテキストオンリーだ。例外は海外のAmazon。注文の確認などのメールまでHTML形式でくる。ところが日本のAmazon.co.jpからのメールはすべてテキストのみなのだ。この問題については、日本と欧米では温度差があるのだろうか。海外でのHTMLメールに対する認識度を知りたいとこだが、どこ調べればいいのやら。
もしかしたら、Amazon.comのページにはHTMLメールの可否についての選択項目があって、英語がからきしの私が見過ごしているという可能性はある。でも、Amazon.co.jpにはそんな項目は見当たらないよなあ。
219.192.0.37 網 410 1055947305 ゴーギャンの授業だれか、私の物欲をとめてくれ。調子にのって、また画集を買ってしまったよ。
Testament: The Life and Art of Frank Frazetta、ハードカバー、160頁で3,590円。収録の絵の半分は既存の画集で持っているものだったが、一回り大きいのと、別バージョンのラフも収録されているのがファンとしては嬉しい。
やっぱりフラゼッタの力強い絵はいいなあ。彩度の高い強烈な色彩もあこがれである。なんだか、またへっぽこ絵を描きたい気が起きてきたぞ。
◇
息子の部屋をのぞくと『近代絵画史上/下』(高階秀爾著/中公新書)なんて本を見つける。学校の一般教養の授業の副読本らしいが、面白そうなので借りてぱらぱらと読んでみる。
中学や高校の美術の授業でも絵画史なんて習ったかどうか覚えてないくらい何も知らないので、あらためてこういう本を読むとなかなか新鮮である。
今日読んだところはゴーギャンの章だ。ゴーギャンが若い画家とブルターニュの森に写生に行ったときに彼に与えたという言葉がすばらしい。
あの樹はいったい何色に見えるかね。多少赤みがかって見える? よろしい、それなら画面には真っ赤な色を置きたまえ……。それからその影は? どちらかと言えば青みがかっているね。それでは君のパレットのなかのもっとも美しい青を画面に置きたまえ……当時のパリのアカデミーでは正確な色調による外界表現が重要だったらしい。その常識からすると、ゴーギャンの教えは実に乱暴なものだったわけだが、彼のいうとおり描いた若者のキャンバスには、なんだかわからないが不思議に美しく輝く作品が生まれていた……
読んでいるうちに面白いエピソードや言葉にぶちあたったら、またここに書き留めることにします。
61.211.2.123 本 409 1055659214 The Forgotten Planetということで、Paolo Eleuteri Serpieriの『The Forgotten Planet』(2000)が来た。Amazonに注文した翌々日には届いた。日本に在庫があったのかいな?
14.95US$が1,534円、消費税込みでも1,611円だ。まあ、お得です。一番最初にDruunaのシリーズを手にいれたのは10年以上前だ。『Morbus Gravis』が載った「HeavyMetal」を銀座のイエナで買った。紙質の悪い3.95US$が1,580円もした。イエナが閉店するのも無理も無い。消費者にとってはいい時代になったものです。
絵は緻密だしセリフは英語だし、辞書をひきひき64頁読むのに半日かかってしまった。
絵は超絶的にうまい。その絵を見せることが最大の目的という作風のせいなのか、日本の漫画とは相当違いがある。
たとえば、ヒロインが廃墟の城から外を眺めていて、背後の物音が気付くシーンがある。彼女の顔のアップにこんなセリフがついている。
「なにかうしろにいる!音がきこえたわ。たぶん、足音!」えらく説明的だ。これが日本の漫画だったら、ヒロインの背後のアップ、足音を表現した小さい擬音、ふりむくヒロイン、アップのヒロインに「足音?!」のセリフ、ぐらいにコマを文節してセリフは最小限にするだろう。
どちらがいいというわけではない。比べるのも愚かしいぐらい、まったく違うジャンルである。
一ヶ所空山基の『The Gynoids』(1993)の中の一点にそっくりのカットがあった。さすが世界の空山、Serpieriにまで影響を与えているのだろうか。
210.198.166.150 美 408 1055514785 Painter8COREL Painterのアップグレード案内がきた。
こんどのバージョンは8だそうだ。私はいまだに英語版の6なのだが、25,000円も払うつもりはないなあ。今年も年貢はパス。お代官さま、もうしわけねえだ。
色を絵の具感覚で混ぜて作れる機能なんて面白そうだけど、絶対必要というわけではないな。ブラシクリエーターというブラシデザイン機能もかなり充実したようだが、とても、使いこなせそうもない。まずデフォルトのブラシだけで700種類もあるという時点で、途方にくれてしまいそうだ。
通常版価格は68,000円、アカデミック版34,000円。フォトショップ優待版なんてのもあって49,800円だ。機能的にもレイヤーマスクがついたり、インターフェイスもPhotoshopにかなり似てきている。
ダイレクトメールのキャッチにいわく、
レイヤーマスク、チャンネルなどを含めて、Adobe Photoshopのファイルと互換性があるので、ソフトウェアを気にすることなくアートに専念できます。だそうだ。
いっそのこと、ブラシエンジン部分だけPhotoshopアドインにして売り出さないかな。2〜3万円代くらいだったら絶対買うけどなあ。
どうも気合いが入らない紹介で申しわけない。アップグレードして快適に動かすにはハードもグレードアップが必要だが、まだその余裕も必要もないのだ。興味ある人にはきっちりレビューしているサイトを紹介しておきます。
詳細なレビュー→アトリエどどど
Painterを使い込んでいるプロのレビュー→JunkPaintingの4月28日の日記。
◇
モーリス・ルブラン『奇巌城』(創元推理文庫)、J・G・バラード『殺す』(東京創元新社)、阿部達二『江戸川柳で読む忠臣蔵』(文春新書)、鶴屋南北『東海道四谷怪談』(新潮日本古典集成/郡司正勝校注)読了。
210.198.166.150 電 407 1055410273 『私のグランパ』筒井康隆『私のグランパ』(文春文庫)読了。
読む前も読んだあとも、主人公のじーちゃん=ゴダケンは、菅原文太しか考えられないな。映画のキャスティング文句なしである。
「なあ慎ちゃん、あいつらをのさばらせちゃいけねえ。みかじめ料なんてものは法律違反で、本来あってはならねえもんだ。だからびくびくするのは、みかじめ料を徴収しているあいつらでなきゃいけねえ。ま、いいから、いつものを作っておくれ」菅原文太の声が聞こえてくるようではないか。
ゴダケンのかっこよさスーパーぶりは予想の範囲を超えるものではない。地上げ屋のやくざを参らせるのも、もう一工夫あって欲しかった。
しかしそんなことより、じーちゃんと、孫娘をはじめとするじーちゃんの家族、昔世話になったり世話をした人々との交情がいいのだ。
かつてのハチャメチャSFの大家とは思えない、声高でない、端正な日本語と日常的なおさえた筆致で、じーちゃんの静かだけど破天荒な活躍がつづられていく。
ラストは孫娘の珠子に感情移入してわあわあ泣くのが正しい読み方でありましょう。
巻末の久世光彦の解説も秀逸。「役者」筒井康隆の声に惚れて出演依頼した話が面白い。
210.198.166.150 本 406 1054611904 蜷川版『嗤う伊右衛門』だそうな『嗤う伊右衛門』は。私の去年の読了本ベストワン。蜷川幸雄の演出は期待大だが、主演が唐沢寿明と小雪というのが、ちょっとなあ。唐沢寿明には文句はないけど、小雪の顔は好みじゃないのでなあ<私の好みで世の流れは決まらない
柴咲コウでもいいし、できればオダギリジョーと仲間由紀恵の『顔』コンビで。蜷川らしくないというなら、阿部寛と小西真奈美なんてどうでしょ。
いや、自分の好みの役者を並べたててるだけなんですけどね。
210.198.166.150 映 405 1054474295 会田誠作品集がやってきた注文していた画集(絵だけではないが)『孤独な惑星―会田誠作品集 』と同じ作家の漫画『ミュータント花子』が来ました。
いや、良い。会田誠は天才です。
なにより技術がすごい。できうれば印刷でなく、現物を見てみたいなあ。その意味で表紙が大作「巨大フジ隊員VSキングギドラ」の部分図で、ディテールがわかるのは嬉しい。今後展覧会を要チェックですな。
技術の高さは、強烈なテーマを表現するのに、既存の美術の文脈の中の色々な手法をうまいこと利用しているのでも良くわかる。日本の戦闘機がニューヨークを爆撃する「紐育空爆の図」は六曲一双の屏風絵として描かれ、一見洛中洛外図のようである。チマチョゴリとセーラー服の少女がそれぞれ太極旗と日の丸を持って対峙する「美しい旗」は戦争画、それも日清日露の頃のそれを連想させる。
ひねったユーモア感覚もツボだった。「岡田有希子の舗道」や「THE AMERICAN ART」には不謹慎とは思いつつ爆笑してしまった。
さて、これから『ミュータント花子』を読みます。ドキドキ。
210.198.166.150 美 404 1054392644 平均的?女子高生のボキャブラリー日頃、高校生の娘と話していると、「かわいい」しか形容詞を知らんのかい、と思うことがしばしばある。(息子は娘に比して寡黙なので観察対象に向かない)
今日、ゆっくり話しを聞いていると、他の形容詞も一応使ってはいることが判明した。
どうやら、良い→悪いを次の七段階に分類しているようだ。
- やばくね?!
- かっこいい!!
- かわいい!
- びみょ〜
- さいてー!
- さいあく!!
- しんじらんないんだけど?!
父親である私の分類はだいたい「4」くらいのようだが、ときには「6」だったり「7」だったりする。
どういう言動を発したとき「7」かというと、みなさんが想像したとおりのときである。
61.198.187.145 言 403 1054262155 金髪、街を行く髪をむぎわら色、いわゆるキンパツに染めたおばさんを通勤車内で見て思う。
かつて「金髪=ブロンド」には一定の付加イメージがあった。ヒッチコック映画等の定番のキャスティングだと金髪はヒロインのお嬢さん、黒髪は男を迷わすヴァンプだ。アメコミやパルプSFの挿画などでも、たいがいそうなっている。
だからなのか、ハリウッドでもマリリン・モンローを筆頭に、金髪に染めてブレークした女優はたくさんいる。カトリーヌ・ドヌーブ、女優じゃないけどマドンナ・・枚挙にいとまがない。
彼女たちが黒髪や赤毛を金髪に染めることによって得られたイメージ要素は、おおむねプラス効果のようだ。だが、モンゴロイド(日本人でも韓国人でも中国人でも)が金髪に染めた場合、同じようなイメージ要素はどうも得られていないようだ。これは一般人だからではなく、金髪に染めた日本の芸能人を見てもそう思う。
もちろんまったく変わらないのではなく、「ある効果」は生まれているのだが、ハリウッドのコーカソイドの女優さんがブロンドにすることによって得られた効果とは全然違うものだ。これはもちろん、金髪に染めている日本人や他の東洋人のおねーさんおばさんは自覚してやっているのだろう。まさか白人のようになりたいと思っているわけではあるまい。
しかし、私のようなヒッチコック大好きなおじさんには、ハリウッド女優がブロンドから得ようとした効果はなんとなくわかる気がするのだが、日本人の金髪女性(男性も)がどういう効果を狙っているのか、もう一つ見当がつかないのである。まさか、似合うと思ってるわけじゃないよね?
61.211.2.123 雑 402 1054131903 漂流教室楳図かずおが『ヘビ少女』や『半魚人』でブレークした頃、私は小学生だった。リアルタイムで読んだわけだが、いやこわかった。強がってはいても実は臆病者だった私には、楳図かずおの漫画は、本当に本当にこわかった。ある短編を悪友に読ませられてトラウマになったくらいである。「楳図」という特徴ある活字を見ただけで鳥肌が立つくらいだった。
もちろん、今ではもうこわくない(いばるほどのことではない)。晴れて読みはぐっていた作品を少しずつ買い揃えているところだ。中でも傑作と名高いのがこの『漂流教室』。先週古本屋で全巻揃いを買ったあと、一気に読んでしまった。たしかに傑作です。
原因不明の爆発によって小学校が未来にタイムスリップしてしまう。大人である先生たちは事態の急変についていけずに次々と発狂して死んでいく。人類が死滅し崩壊しきった地球に残された小学生たちのサバイバルがはじまるのだが、彼らを飢えと渇きと天変地異が容赦なく襲う。やがてこどもたち同士の人間関係も精神状態もぎりぎりの限界を迎える……物語がジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記(二ヶ年の休暇)』を踏まえていることはあきらかだが、そこは楳図かずお。単純な「勇気と友情の少年冒険物語」などは描かない。最初はけなげに友情を発揮してがんばる小学生たちも、やがてたがいに憎悪し仲たがいし最後には殺し合いまで展開する。その心理の変化の描写も、エンターテインメントとしてのご都合主義ではなく(恐怖のための恐怖でなく)実にリアルなのである。こわい。これに比べれば『バトル・ロワイヤル』なんて全然半端です。
同じように『十五少年漂流記』を下敷きにして、少年たちの心の闇=狂気の世界を描いた小説に『蠅の王』がある。ノーベル賞作家ウイリアム・ゴールディングの代表作だが、『漂流教室』は十分に『蠅の王』に匹敵すると思う。
そんなことは抜きにしても、緊張感みなぎる息詰まるような描写のすさまじさ。たたみかけるようなサスペンスフルな展開に一気に読まされてしまう。作者が一番油ののりきった時期だけに絵もストーリーも力強い。ラストも、謎がとけてみんなで感動の帰還をする、というような単純な終わり方はしない。かといって悲惨なシニカルな結末でもない。ネタバレになるので詳述はしないが、十分に感動できるラストであることは保証する。ちょっと眼がうるっとします。
*
←『綾辻行人が選ぶ!楳図かずお怪奇幻想館』(ちくま文庫)。作者の神髄と言える短編が厳選されている。ただし、こわいよ。
表紙の怪人の顔もこわいが、少女の冷たい美貌が妙に色っぽく、より恐怖をそそっている(ような気がする<全然臆病者はなおってない)。◇
藤本正行・鈴木眞哉『偽書武功夜話の世界』(洋泉社新書)、篠田節子『死神』読了。
61.198.181.98 漫 401 1053785723 旧岩崎邸庭園/湯島天神先週、あまりの混雑ぶりにあきらめた旧岩崎邸庭園を再訪。さすがに素晴らしい造作です。豪奢だが派手でない。欲をいえば、実際暮らしていたときの家具(これも豪華だったんだろうな)も配置した状態で見てみたかった。
何室も客室があり、一つ一つに大理石の暖炉があるような大邸宅は映画や小説でしかお目にかかったことのない貧乏人なので、どうしてもアガサ・クリスティや横溝正史の世界を連想して仕方がなかった。この客室のそれぞれに一癖ある客人が泊まっている。真夜中に一発の銃声が響きわたる。部屋から飛び出してきたみんなが、階下のホールに駆け付けると、人々の目に飛び込んできたのは、頭から血を流し倒れている屋敷の主人の姿だった。彼の死体をステンドグラス越しの月明かりが冷たく照らしている……
本館とは別に和風の別館、そしてログハウス風の独立した撞球室が広大(それでも往時の三分の一程度らしい)な敷地に立っている。
撞球室には本館から直接来られる地下通路まであるのだから、それこそ探偵小説の世界である。もちろんクライマックスでは名探偵は地下通路に閉じ込められ、その間にヒロインに犯人の魔の手が迫るのである。
◇
帰りに祭礼の湯島天神にお参り。せっかく無形文化財の人が演じる御神楽が奉納されているのに、舞台の前にとうもろこしや焼き鳥の屋台が出ていて見づらいったらありゃしない。
天神さんは学問の神様なので合格祈願の絵馬がたくさん奉納されていた。「第1しぼうの高校に入れますように」なんてのがあったが、「しぼう」を漢字で書けない子を受からせるのは天神さまといえども難儀なことだろう。
「公認会計士試験に受かりますように」「税理士試験に受かりますように」と連名で書かれた絵馬もあった。一枚で節約したのは、たしかに会計士税理士をめざすだけのことはあるようだが、ご利益は減るんじゃないのかい。
◇
篠田節子『家鳴り』(新潮文庫)、宇月原晴明『信長あるいは戴冠せるアンドロギュナス』(新潮文庫)、モーリス・ルブラン『怪盗紳士リュパン』(創元推理文庫)読了。
モーリス・ルブラン『奇巌城』(創元推理文庫)、篠田節子『死神』(文春文庫)、筒井康隆『わたしのグランパ』(文春文庫)、二宮清純『天才セッター中田久美の頭脳』(新潮社)、J・G・バラード『殺す』(東京創元新社)購入。
210.198.166.70 雑 400 1053057806 アニメ風美少女風芸術
『殺す』、百十二頁で千三百円は高すぎ。アニメやマンガを思わす作風で知られる日本の美術家村上隆さんの立体少女像「Miss ko2」が14日、競売会社大手クリスティーズがニューヨークで開いたオークションで50万ドル(約5800万円、手数料除く)で落札された。高さ2メートル弱で、ファイバーグラス製。→画像
日本芸術のキーワードは「わび」「さび」「幽玄」に変わって、「萌え」「ヲタ」「カワイイ」、ですかな。
かといって村上隆は日本のオタクには評判よくないみたいだ。そりゃあ、単純に「フィギュア」としてみれば、オタク的にはもっと評価が高い作品や作者がほかにあるだろう。
しかし、村上隆は「アニメ風美少女像」を自分のオリジナリティとして出品したわけではなかろう。アンディ・ウォーホールが「キャンベルスープ缶」でアメリカを描いたように、オタク文化的デザインで日本を描いたのだろう。買った人がどう思っているかは知らないが。
だけど、文明批評と芸術は微妙に違うわけで、面白さだけが鑑賞基準の私のようなへっぽこ鑑賞者にはウォーホールも村上隆も全然面白くはない。
村上隆のも、前のこれとか、これとかの方が、面白かったなあ。笑えるではないか。今回のは仕掛けがもうひとつ<そういう問題か
・・・それとも、なにか仕掛けがかくされているのだろうか?(あそことかあそことかが怪しい)
◇
長山靖生『偽史冒険世界−カルト本の百年』(ちくま文庫)、清水義範『ターゲット』(新潮文庫)読了。 61.211.2.252 美 399 1052032325 春陽展
昨日は一般公開したばかりの旧岩崎邸庭園にいってみたが、さすがの人気で入園まで三十分待ち。並ぶのはきらいなので後日改めて来ることにする。
せっかく池之端まできたので、上野公園まで足を延ばし、都美術館の『春陽展』を観る。ipgさんこと伊豫田晃一さんが版画部門で初入選、奨励賞を受賞されていた。入選作の二点ともipgさんのサイトで見ることができるが、やはり現物を間近に見ると、描線の緻密さとシャープさが圧巻だ。
その他の入選作もレベルがすごく高くて面白いのだが、特に絵画部門はその点数に比して会場が足りない感じ。決して狭くはないのだが、枚数が多い上、一枚が大きいものが多い。絵と絵の間隔も狭いし、ほとんどは上下に二枚並べられている。重厚な画風が多いので、いっぺんに複数の絵の印象が目に飛び込んできて、一枚ずつの印象が散漫になってしまう。やはり絵を展示するのに適正な面積というのはありますな。
版画部門は一枚のサイズがあまり大きくないので、こちらはゆったり見られてほっとする。版画といっても色々な技法があり、日頃あまり版画をまとめて見る機会がないので新鮮で面白い。
◇
陶智子『不美人論』(平凡社新書)、篠田節子『家鳴り』(新潮文庫)読了。
210.198.166.150 美 398 1051769923 カルト宗教とSF作家電磁波の研究団体「パナウェーブ研究所」を名乗る白装束集団が岐阜県八幡町と大和町境の林道を占拠している問題は、集団の奇妙な言行が「怖いもの見たさ」の関心を呼び、報道陣とやじ馬が殺到。両町は一日までに、「退去勧告」を発令したが、地元住民のGWまで真っ白に染め上げる大騒動に発展している。デンパな団体が電磁波を恐れているのが笑わせるが、教祖が「敵」の陰謀によって重病だったり、白装束や「なんとか波」が好きだったり、オームとそっくりだ。言ってることも『ムー』とかに出てそうな話の寄せ集めでオリジナリティに欠けることはなはだしい。私的には宗教団体と暴力団は同じカテゴリーなのだが、団体によっては税金が優遇されたりしている分、宗教団体の方が悪質なのかもしれない。
このパナウェーブ研究所の正体の『千乃正法会』の出自は、『幸福の科学』などと同じく『GLA』らしい。
大昔の学生時代、『GLA』の現女性教祖の著書『真創世記』を古本屋で見つけて買ってしまったことがある。普段なら絶対にそんなものは買わないのだが、一見新興宗教ぽくない外見と、裏表紙に掲載されていた教祖の美貌(当時十九歳)に、魔がさしたというかなんというか。
内容はといえば、文章はうまいが論理はめちゃくちゃ、「自分と意見があわないのはみんな悪魔の使徒かよ?!」という感じで、半分も読まずに放り出してしまった。
実はこの『真創世記』はSF作家平井和正の代筆だったらしい。→『真創世記』三部作の真の著者。
平井和正は言わずと知れた『8マン』や『幻魔大戦』の原作者。『ウルフガイ』シリーズや『サイボーグブルース』などのハードボイルドSFの傑作の書き手で、当時の私は熱狂的愛読者だった。
それが『幻魔大戦』の後半から物語が変質しはじめ、まったく『真創世記』の世界にのっとられてしまったのだ。ヒロインの少女が教祖と同じ言葉を小説の中でほざくのを読みながら、悲しいやらなさけないやら・・・・未練たらしく読みつづけるには他に読みたい本が多すぎた。すぐに平井和正を読むのをやめたが、今でも平井和正が変質せずに書き続けていてくれたら、『幻魔大戦』や『ウルフガイ』はどんなに素敵な小説になったことだろうと夢想することがある。
もっとも、平井和正は一年たらずで、間違いに気づいて団体とはたもとをわかったそうだが、その後も「玉置山」やら「メガビタミン」やらに夢中になり、そのつど作品に反映させたらしい。どうもなにかとはまりやすい人のようだ。
思い出すのがエイリアンの元ネタとして名高い『宇宙船ビーグル号』の作者、A・E・ヴァン・ヴォークトだ。この人も晩年には「ダイアネティクス」とかいうカルト療法にはまって、その治療によって超能力を得た少年の小説などを書いていたが、なんとも変な小説でありました。
平井和正もヴォークトもあまりはまっていない時期に書いた小説は、滅法面白いのだ。独特の勢いというか濃さと集中力を感じるのだが、そのへんがカルトにはまりやすいところと表裏一体なのかもしれない。
◇
↓十分うんざりしたところで、ちょっと笑える動画を(4.5MB)
こんな牛がいたら・・K1に出ろ!◇
バラード『スーパーカンヌ』(早川書房)、筒井康隆『エンガッツィオ司令塔』(文春文庫)読了。
61.211.2.123 本 397 1051620199 美人画しばらく絵を描けなかったせいか、もう一つ気力がわかない。そこで、ディスクトップをウルトラマンのオープニングから、一昔前なセンスのいかにもなデザインの元気のでそうなのに変更。元気でます。
そのおかげか、なんとか女子百景を1枚描きあげる。一度描きはじめると、絵を描くのはやはり楽しい。
ネットで公開している画家さんのサイトで自作のアンケートをしているところがいくつかある。アンケート結果を見ると、「美人に描けている」作品が上位に来てるようなことが多いような気がする。
まあ、私の主観なので断定はできないが、モデルの個性が際だっていて「いい絵だな」と思う作品が下位だったりする。作者の意図は「美人を描くこと」ではないと思うのだが、しかたがないことなのだろうか。
私のポンチ絵でもネットで公開していれば、批評や感想をいただくことができる。嬉しいことである。もちろんほめられたほうが嬉しいけど、けなされたり間違っていると言われても、それはそれでオーケイ。ただ困ってしまうのが「好みの顔じゃない」とか「もっと若い子の方が」という感想だ。そんなこと言われてもなあ。(最近言われたわけではないが)
絵の性的代替物という側面は否定しないし、私のヘッポコ絵などはそれ以外のなにものでないだろう。だけど、ただ美人を見たいのだったら、絵なんか描かないで『トリック』のDVDでも見てた方がいい。
なんて書きはじめてしまうと、色々考えていることはあるのだが、まとまっていないので、いずれそのうち。うだうだ考えているより1枚でも描きたいものを描いた方がいいに決まっている。わかってはいるのだが。 210.198.166.150 美 396 1050635204 レンズマンと近親相姦
「まあ、キットったら!」彼女の気分はたちまち変わり、顔にもいつもの茶目っけたっぷりの微笑がもどってきた。「まさか弱気になってるんじゃないでしょうね?わたしが手をひいてあげましょうか?」
「そうだなあ――ちょっと足がすくんでるみたいだ」彼は素直に認めた。「(略)さあて、ぼくのほうはもうもういつでもいいですよ(略)」
「QX,キット――はいってきて」
キットは侵入した。自分の中に息子が押しよせる最初のうねりのすさまじさに、彼女は思わず息をのみ、全身の筋肉をこわばらせ、いまにも苦痛の叫びをあげそうになった。彼女の手が本物の痙攣を起こし、それを握っているキットの指にかなりの力がかかった。どんな衝撃が来るのか彼女はわかっているつもりだったが、現実は違っていた――おそろしく違っていた。(略)彼女の存在の深奥にあるもっとも柔らかい敏感な中枢に突き立てられているような感じだった。
キットはその深みにぐんぐん突き入りながら(略)彼女の(略)を大きく押しひろげ、彼女自身そんなことができるとは思い及ばなかったほどすべてをさらけ出したのだ。(略)
彼女はふらふらの状態で身を起こし、顔をぬぐった。(略)刺激的な香りのする赤い液体をすすっているうちに、彼女の顔にも生気がもどってきた。「このところ何年も、何か足りないような気がしていたのも無理はないわ。ありがとう、キット。本当に感謝してる。あなたは……」
「それはもう言わないで」彼は母親に身をよせ、固く抱きしめた。彼女の顔が汗まみれで髪も乱れきっていることなど彼は気にもとめなかったフランス書院文庫『熟母の寝室』読了。
…………嘘です。
引用元は宇宙冒険SFの古典『レンズの子供たち』の一節(「レンズマン」等の一部の語句を引用者が意図的に改変)。『第二段階レンズマン』に続くシリーズの最新刊は、いよいよクライマックス。ヒーローであるグレーレンズマン、キムボール・キニスンの五人の子供たち(息子と二組の双子の娘)が、父親をもはるかに凌ぐ超能力で、宇宙の悪の根源、エッドール人に最後の戦いを挑む。キニスンの愛妻で、子供たちの美しい母親でもあるクラリッサは素質あるレンズマンでありながら、最終的な訓練を受けないでいた。その母親の能力を解放するために、超人となった長男キットが彼女を特訓するのが冒頭に引用したシーンだ。
精神エネルギーを制御する能力を得るためのイニシエーションではあるのだが、どうにも近親相姦を連想させる文章である。恣意的に「精神」とかそのたぐいの言葉を略してみただけで、官能小説の一場面のように読める(よね?)。
このシーンの前後にも親子の「おかーさんはなんて素敵なんだ」だの「これはあなたのためよ」だのという、こそばゆい科白が満載である。あきらかに作者は、超能力訓練というSF的場面を、母と息子の禁断の性愛を連想させるように狙って書いている。以前に一度読んではいるが、そのときは私も純真な高校生だったので、全然気がつかなかった。
かの謹厳実直、明朗快活、騎士道紳士道バリバリのドク・スミスがちゃっかりこんなことを書いていたとは。レンズマンについてそんなことを書いている解説やレビューにはお目にかかったことがない。いったい、これは新発見なのかという期待と、フランス書院文庫や富士見ロマン文庫に毒されたエロオヤジ(私だ)の単なる誤読なのかという不安で、いてもたってもいられなくなった(ちと大げさ)。
Googleでキーワード「レンズマン 近親相姦」を検索すると25件ほどヒットした。しかし、どれも古本屋のサイトなど、たまたま同一ページに単語が揃っていただけのページばかりだ。
なんだか、不純な私の妄想である可能性が高まってきた。
こういうときにはたよりになる、というかミもフタもないことも書込んでいるだろう2ちゃんの「レンズマンを語りたいんだよ 三惑星連合軍」スレをのぞいてみる。「近神相姦」なんていう言葉を見つけたが、残念ながらパロディ妄想ネタのようだ。
こうなったら、日本語以外のサイトをさがしてみるしかない。「incest Lensman」で検索するとえらくたくさんヒットする。ブックストアのページや「Lensman」というハンドルでエロっぽいネタを書いている人のページなどで、とても探すことができない。そこで「incest "Children of the Lens"」で検索し直すと、今度は4件だけヒットした。これがすべて、レンズマンに隠されている近親相姦テーマについて、言及しているページだった。やった!
のちのインセストテーマの後継者、ハインラインとのからみで書かれているのが多いので、ファンの方はじっくり読んで見ると面白いかもしれない。私は英語は苦手なのでさわりの部分だけでパス。
Interstellar Ramjet Scoop
↑12歳では気がつかなかったのも無理がないという私と同じような感想。Sex Sells Science Fiction
↑昔からSFには性描写はあったんだぜ、ハインラインにもスミスにも。Heinlein Reader's Discussion Group 06-10-2000
↑スミスは「7冊目のレンズマンは『レンズの子供たち』の近親相姦描写のため出版できなかった」と言っていた(ハインライン談)Heinlein Reader's Discussion Group 10-12-2000 9:00
↑近親相姦テーマはレンズマンシリースが「神話」的世界に向かうということを示している(ハインライン談)。キニスン一家はオリンポスの神々となるのか。元々レンズマンの善悪二種類の超越的宇宙人が争っているという世界設定は神話的ではあるけど。
ということで、残念ながら、私の新発見ではなかった(あたりまえだ)。
しかし、なぜ日本では見当たらないのだろう。旧きよきアメリカン宇宙SFという先入観が強すぎるのではないか。
新機軸のつもりか、解説の永瀬唯氏は、本書は反マッチョ思想としての先駆的なフェミニズムではないかなんて書いてるが、見当違いでしょう。そこまで深読みしていて、なぜインセストに気がつかないのだ。きっとフランス書院文庫を読んでいないからに違いない。それとも気がついていても言わぬが花、なのだろうか。
◇
筒井康隆『エンガッツィオ司令塔』(文春文庫)購入。
61.211.2.133 本 395 1050304355 狂鬼人間TBS(東京放送)のワイドショー番組で、名古屋市の連続通り魔事件に関連し、精神障害者差別と受け取れる発言があったとして「京都精神しょうがい者の人権を守る会」(京都市、多芸正之代表)が抗議し、同社が「認識が不足していた」と文書で謝罪したことが13日、分かった。
番組は、今月4日の朝に全国放送された「ウォッチ!」。出演した大学助教授(精神医学)が犯人像について「恐らく20代に発病している統合失調症の可能性がある」などと発言した。(略)
京都新聞:2003.04.13
「この通り魔は女装した男性の可能性がある」と発言していたキャスターもいたが、これはあきらかに男性に対する差別だから抗議して謝罪させなくては。
・・・ということには普通ならない。キャスターは「男性の可能性がある」と言っただけで、「男性は通り魔になりやすい」と言ったわけではないからだ。発言を聞いて不快になる男性もまずいないだろう。
「可能性がある」と言っただけで「決めつけだ」「差別だ」という抗議の方が、精神障害者への偏見を助長すると思うけどなあ。実際、統合失調症の犯罪者に特徴的な犯罪、手口というのが存在するからこそ精神医学の専門家が予想するのだろう。まあ、犯人逮捕前にワイドショーなんかでしゃべっちゃう必要はないと思うけど。
*
昔はこんなドラマもちゃんと放映されていたんだよなあ。
家族を狂人に惨殺されながら犯人が無罪にされた男の復讐劇。
懐古主義者ではないけれど、こういうのもちゃんと放送できるまともな世の中には、もうもどれないのだろうか。
◇
ジョー・R・ランズディール『ダークライン』(早川書房)読了。
61.211.4.23 映 394 1050127058 イラク≒ニッポンなんとかイラク戦争も終結の模様だ。
対北朝鮮と違い、やはり日本ではもう一つ他人事感を免れないような気がする。その分、理想主義?現実主義?とりまぜ賛否かまびすしい。ブッシュの横暴、ラムズフェルドの利権、フセインの独裁・・・民主主義対独裁主義と見る人もいれば、帝国主義対民族主義と見る人もいる。
私は断定する言葉を持たないけれど、状況はなんとも五十年前の日本(対米国)にそっくりだと思う。
日本のウェブサイトで、米国のイラク攻撃に肯定的な意見の人は、他では「保守的(右翼的?)」な意見を書いている場合が多いように見受けられる。たいていは戦前の日本については肯定的だが、それならなぜ米国と戦ったイラクに好意的ではないのだろう。
逆に米国の政策に否定的な「革新的(左翼的?)」な人は、戦前の日本より戦後の日本の価値観に肯定的だが、これもなんだか妙な話しだ。
これから米国がイラクにやろうとしていることは、50年前に日本を「民主化」したのと同じことだろう。イラク攻撃前から「イラク占領後は日本方式でやるつもり」という米国高官の話が報道されたりしていた。
日本人の多くはあまりイラクと日本を同一視していないようだが、アラブでは「米国に国家として喧嘩を売ったのは史上に三人だけ。ヒロヒトとホー・チ・ミンとサダムだ。」だからサダム・フセインは英雄だという見方があるというのを聞いたことがある。三人のうち勝ったのはホー・チ・ミンだけだから、まあ分の悪い戦いだ。
戦前の日本やフセインの独裁を支持するものでは全くないが、ブッシュに民主化を押しつけられアラブ的なものを否定される国民の心情はいかばかりであろう。
父母祖父母に聞いたり本で読んだ戦前の日本を思えば、戦後の日本の方がずっと良いのは間違いないし、戦前的価値観の復活など、冗談でも御免こうむりたい。しかし、自分たちの力で民主主義を得たわけではないというむなしさ、というか地に足のつかなさは、未来永劫日本につきまとうのではなかろうか。少なくとも私の心の片隅には、民主主義に対する自信のなさがしっかり巣食っている。
イラクはどうなるのだろうか。同じく米国にコテンパンにされた国の民として気になるところだ。
でも、北の将軍様はぶっとばしてね、とジャイアンにお願いするスネオなのであった。
61.211.4.23 時 393 1049786115 アトムと座頭市フジテレビ系アニメ「アストロボーイ・鉄腕アトム」高視聴率で好発進
目標の2ケタ発進に同局の松崎薫プロデューサーは「かつてアトムで育った世代が子供と見てくれたことと、不安定な世界情勢だからこそ、アトムに象徴される『平和を求める心』が視聴者の心をつかんだのでしょう」と分析した。
ちなみに2003年4月7日は、故手塚治虫さんが原作の中で設定したアトムの誕生日。東京・新宿区高田馬場の「科学省」で生まれたとされる。私も『新日曜美術館』を見ている途中でフジTVに切り替えて観てみたが、3分も持たずにチャンネルを元にもどした。リアルタイムでアトムで育った世代だし、学校のキャンプ遠足が放映日と重なり、行こうかどうしようかみんなで真剣に悩んだこともある(ビデオなんてものはそれこそSFの世界のものだったのだ)。それでもつまらないものはつまらない。なんのイットも感じられなかった。懐かしさだけで観られるものではないのだね。
しばらく前に『サイボーグ009』のリメークもやっていたような気がしたけどいつのまにか消えてしまったようだ。TV界も映画界も、いい加減リメークにたよるのはやめないかなあ。こちらは新しい世代の新しいドラマが観たいのだ。オリジナルを超えられるはずのない『魔界転生』や『座頭市』などいまさら作ってどうしようというのだ。
そんなことより、深夜でもいいから『座頭市』シリーズを放映してほしいものだ。なぜ、あんな面白いのをやらないのだ。・・・放映しない理由はもちろん一つしかないのだが。
北野武監督の『座頭市』。「あたしゃあ、めくらと言われても怒りませんよ。めくらであるのは間違いございませんから。だけど、めくらのくせに、とか、めくらの分際で、とか言われるのは・・・・許せねえ!」なんていう名科白も再現できるのかな。別に期待はしてないけど。
*
そういえば、先週末NHK-BSでやった内田吐夢版『宮本武蔵』でも、武蔵が試合前に相手に念を押されるシーンの科白が、「たとえ手足を折られて、プシュになっても・・」なんてことになっていた。
もちろん「プシュ」は「かたわ」だ。あと数箇所「プシュ」があったけど、「つんぼ」とかそのたぐいだった。もちろん身体障害者を差別したりののしったりしている場面ではない。あほらしくて笑ってしまいました。
61.211.4.23 映 392 1049630962 花見/宮本武蔵今週は花見。三鷹の玉川上水沿いの「風の散歩道」を歩く。
大昔、仙川に住んでいた頃はよく来たところだが、かつてはもっと武蔵野らしい緑豊かなところだった。今は面影がかすかに残るばかり。
小説に興味はないが、建物(洋館)が面白い『山本有三記念館』を見る。
小説と言えば、「散歩道」散策中に、近くで入水自殺した太宰治の話しをボランティアで話してきかせてくれるという中年女性の二人組に呼び止められる。折角のいい天気に自殺話もなんなので、丁重にお断り申し上げる。
花は見事だが混雑でお話しにならない井之頭公園を抜け吉祥寺から帰る。
*
桜というのは美しいのはたしかだが、苔むした古木の幹の根元近くからも華やかな桜花が咲き出ているのは、なんとなく不気味である。まるで寄生植物ように見えなくもない。そのへんが「満開の桜の根元に死体が埋まっている」という不吉な想像を呼ぶ遠因であるのかもしれない。
◇
NHK-BS2で二日連続一挙放映した内田吐夢監督の『宮本武蔵』五部作をべったりと観る。過去にも何度か見ているが、やはり映像化された武蔵作品の最高傑作である意を強くする。
重厚かつ華麗な超大作。華やかさだけでなく原作をじっくり再現した緻密な脚本とカメラワークにはほれぼれします。眼福。
大河ドラマの「武蔵」のしょぼさつまらなさが際だってしまうというのに、NHKも大胆なことをするものだ。
◇
ジョー・R・ランズディール『モンスターズ・ドライブイン』(創元SF文庫)読了。→レビュー
養老孟司『からだを読む』(ちくま新書)読了。
ブラントーム『好色女傑伝(上)』(講談社文芸文庫)読了。ジョー・R・ランズディール『ダークライン』(早川書房)、諸星大二郎『私家版鳥類図譜』購入。
210.198.166.150 映 391 1048410648 北野恒富/いわむらかずお/篠原七生東京ステーションギャラリー『北野恒富展』。
「画壇の悪魔派」と呼ばれた明治末から昭和にかけて活躍した日本画家。悪魔的かどうかは知らないが、日本画らしくない強烈な色彩が目をうつ。特に赤。紅・朱・緋と多彩な赤がエロティックで魅力的だ。見終ったあとでも残像が残っているようだ。青も日本画らしい藍だけでなく、ロイヤルブルーのような鮮やかな青や、着物の帯にジーンズのようなブルーを使っていた。解説には「毒々しいほど」とあったが、むしろ、とてもモダンで洒脱で華やかである。空いていてゆったりと見られ、得をした気分の展覧会。
◇
銀座松屋ギャラリー『いわむらかずお・絵本の世界展』。
こちらは混んでいたなあ。こどもの絵本でよく知っていた作家の原画展。色んなタッチの作品が展示されていたが、やはり一番有名な「14匹のねずみ」シリーズの精緻なペンと水彩の絵が一番個性的で見ごたえがある。
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銀座松屋遊びのギャラリー『篠原七生・少女人形の世界』。
たまたま目についたので、のぞいたのだが、その生々しさはなかなかすごい。男の目で見てもとてもエロティックです。こちら(\500,000)やこちら(\380,000)の人形などは(写真はあまりよく撮れてないけど)独身なら(やや不純な動機で)買ってしまったかも。
61.198.190.243 美 390 1048336709 不透明未来昨日、急にネットに繋げなくなった。DIONのサポートに連絡を取り、指示通り色々試すとモデムに異状はない。どうやらADSL回線が不安定になっているくさい。NTT経由でテストしてくれるらしいが一週間ほど時間をくれという。当分のネットなし生活を覚悟したが、本日、休日にもかかわらず連絡があり、無事復旧した。依存症とまではいかないが、調べものがすぐにできなかったり一日でも結構不便。なにはともあれ迅速な対応に感謝である。
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来週あたりには戦争は終結するのだろうか。日本の銀行などは早期終結→株価上昇という展開が期末になんとか間に合ってくれることを願っていることだろう。しかし、株価がどうであろうとこうなったら早く終わってほしいとしか言いようがない。流れる血が少しでも少ないように。
戦争は絶対いけないなどと簡単に言えない世の中であるのはわかっているが、少なくとも戦争は最後の手段であってほしいものだ。イラクのクェート侵攻がトリガーになった湾岸戦争の時と違い、今回はどうアメリカが主張しても緊急性があるとは思えない。
戦後、世界はまた平穏をとりもどすのだろうか。それともこれを契機に大きな変化が起きるだろうか。たとえば仏独やEU諸国を中心としたゆるやかな反米同盟的なものができるのではないだろうか。イスラム諸国とも同盟とまではいかなくとも友好的関係を結び、もちろん大国ロシアも加わり、唯一の超大国アメリカへ対抗する勢力となる。対するアメリカ側はイギリス、イスラエル、日本、韓国といったところか。もちろん軍事的な敵対関係ではなく、経済的外交的競争関係としてだが。
キーカントリーは、アジアの強国、中国か?狂国北朝鮮はイラク後、どう動くのだろう。
てなことを妄想してるだけで、果たしてどうなることやら、皆目見当もつきません。
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藤井康栄『松本清張の残像』(文春新書)読了。→レビュー
210.198.166.150 時 389 1048085013 鳥獣戯画と手塚治虫このところNHK教育TVで昔の『日曜美術館』を再放送している。今日は手塚治虫の語る『鳥獣戯画』。
鳥獣戯画の描線の見事さは何度見せられてもため息ものだ。手塚治虫の元祖漫画を我田引水気味に語る嬉しそうな口調も微笑ましい。解説はありきたりと言えばありきたりだが、線の自由さを説明するのに自分でさらさらと筆ペンでウサギを描いたのには参った。やはりうまいや。
以前TV東京の「TVチャンピオン/漫画通選手権」でプロ漫画家の自宅をまわってクイズをする企画があった。正解者は当然作家がその場で描いた色紙プレセントがもらえる。ほとんどの若手はぎこちなくカリカリ描いて死んだ線の色紙を恥ずかしそうに渡していたが、一人矢口高雄だけはさらさらと筆で描いて達筆のサインを入れていた。かっこよかった。プロの漫画家たるもの、席画ぐらいできなければね。
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チャールズ・ペレグリーノ『ダスト』(ヴィレッジブックス/上下)読了。→レビュー
210.198.166.150 美 388 1047973981 日本と日本語の将来をうれえる昨夜、見るともなくつけていたTVで国会議員連中がイラク問題についてワイワイ議論?をしていた。北野武がいたからTVタックルだろう。
ハマコーとやりあっていたグッチ裕三に似た若手議員が「○×をゆうえる」と発言した。ゆうえる?UL?「言える」の方言か?と悩んでしまったが、前後の文脈(もう忘れてしまったが)を考えるに、どうやら「憂える」といいたかったらしい。
こちらも浅学非才の身だ。細かなことにめくじら立てるつもりはないが、これはいくらなんでもまずいだろう。日本の将来を憂えての発言だろうが、日本の選良がこれでは、おじさんは日本語の将来を憂えてしまったよ。
私も小学校低学年の頃、本で「沢山」という言葉に出会った。文脈から「たくさん」という意味であることはわかったのだが、なぜか「さわやま」という読みだと思い込んでしまった恥ずかしい過去がある。「たくさんある」は「さわやまある」とも言えるんだ、なんかかっこいいと思って使ったら、即、母親に大笑いされて直された。
くだんの議員氏は指摘してくれる人が周りにいなかったのだろうか
61.211.1.92 言 387 1047458708 不老不死の夢94歳の女性の骨髄細胞に、細胞の寿命を延ばす遺伝子を組み込み、心筋細胞に変化させることに国立成育医療センター(東京都)と慶応大医学部などのグループが成功した。
研究グループは、女性や家族の同意を得て骨髄細胞を採取。これに、細胞の寿命を決める“回数券”といわれる「テロメア」という部分の長さを保つ働きのある遺伝子を組み込んだ。通常、骨髄細胞は20回程度で分裂を止めるが、遺伝子を入れた細胞は50回以上分裂し、寿命が延びていることが確認できた。今回は骨髄中の幹細胞を取り出して処理したので、直接94歳女性が若返って『永遠に美しく』ある、とはいかないようだ。ちと残念。
しかし「テロメア」はクローン人間を造ることの否定的根拠としてよく挙げられる言葉だ。クローンで使う体細胞から取った染色体では(生殖細胞による普通の生殖と違って)「テロメア=細胞分裂カウンター」がリセットされないために、クローン生物は早死にするだろう、という説だ。しかしこの記事のようにテロメアも操作できるのなら、完璧なクローン人間も夢ではない。たとえば何倍も寿命があるクローンを造って脳だけ移植なんてことも可能になるのではないだろうか。・・・見かけは若いボケ老人ができるだけだろうけどね。
不老不死の夢はホラーの世界なら「吸血鬼」の独壇場だが、SFだと意外にこのテーマは少ないようだ。『不老不死の血』(ジェームス・ガン)ぐらいか。「いかに不老不死になるか」というより「不老不死の人間がいたらどんな生き方をするだろう」というアプローチが多い。『メトセラの子ら』(ハインライン)の"長命族"ラザルス・ロングや、『イシャーの武器店』(ヴォークト)の"不死人"ロバート・ヘドロックなんてとこが代表だ。ホラーの代表、快楽の血を求めるドラキュラ伯爵と違い、SFの不死人たちは、永遠をさすらう孤独に耐え、責任感が強く、選ばれた人である使命を自覚し、限りある生しかない人々を慈しむ。昔のSFは基本的にモラリストの文学でありましたな。
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藤井康栄『松本清張の残像』(文春新書)、ジョー・R・ランズディール『モンスターズ・ドライブイン』、E・E・スミス『レンズの子供たち』(小隅黎訳/創元SF文庫)購入。
『レンズの子供たち』の邦題は旧訳ではたしか『レンズの子ら』だった。『メトセラの子ら』もそうだけど、「〜ら」という表現はそろそろ死語の世界入りなのかな。
61.198.198.229 本 386 1047307259 『江戸東京《もの》がたり』江戸東京博物館『特別収蔵展〜江戸東京《もの》がたり』。
若いカップルが多いのが意外だったが、展示内容はたいしたことはない。旧い電化製品を見せられても、あんなのあったなあと思うだけだし、鎧や刀などは国立博物館の常設展示の方がずっと面白い。
一番面白かったのは、エントランスホールの床に貼ってある巨大な江戸の地図。妻と『剣客商売』の舞台をたどってしまった。やはり江戸の街は水路を行くのが便利にできていると、時代考証に納得してしまう。
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J・G・バラート『スーパー・カンヌ』(小山太一訳/新潮社)、鉄拳『こんな○○は××だ!2』(扶桑社)購入。
210.198.168.78 美 385 1046837467 つっこみニュースドイツ西部のノルトライン・ウェストファーレン州経済振興公社は4日までに、日本の識者は米国を最重要視しながらも、ドイツに最も好感を抱いているとのアンケート結果を発表した。 同公社当局者は「日本、ドイツ両国の潜在力は大きく、関係強化が必要」と述べている。ベルリン映画祭は昔から日本映画に好意的だしね。パートナーはどうか知らないが、食べ物の美味そうなとこは一に中国、二にイタリアだなあ。やはり日本はドイツとイタリアと枢軸同盟する運命なのだな<映画と食い物で決めていいのか?
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宇都宮南署などの調べでは、理科室の南側窓際の台に置いてあったフラスコなどの実験機材と、その内側に掛かっていたカーテンが燃えた。フラスコには水が入っており、日光を受けてレンズの作用をした可能性があるというミステリーファンは当然乱歩の有名な短編や元ネタの『ズームドルフ事件』などを思い出したことだろう。数年前にも同じような事件があったし、結構起きることなんだね。
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居眠り運転した山陽新幹線の運転士が睡眠時無呼吸症候群(SAS)だった疑いが出たことを受け、扇千景国土交通相は4日の閣議後会見で、列車の運転士や旅客機のパイロットらの健康チェック基準に改善すべき点があるかどうかを検討する方針を明らかにした。運転士が病気だったことより、眠っていても、ちゃんと駅に停まって事故が起きなかったことの方がすごいと思うけどね。プログラミングを完璧にしたら運転士はいらないのではない?
新幹線以外にも、本当は人間はいらない職種ってどのくらいあるのだろう。思ったより多くて驚くぐらいあるのではなかろうか。霞ヶ関の偉い人たちは、日本人の労働力の何%は機械化できるから少子化はここまでがデッドライン、とか計算してそうだな。民間は競争にさらされてるからできるとこは機械化してしまっている。本当はお役人たちが一番コンピュータに代替可能だったりして。
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石油利権のブッシュに味方をするのは業腹だけど、北朝鮮が攻めてきたらどこが味方してくれるんだと考えたら、結局日本政府としては(日本国民としても)「アメリカ支持」しか切れるカードはないよなあ。冷戦の頃は、戦争の可能性はアメリカ対ソ連の戦いに「巻き込まれる」ことぐらいだったから、単純に反戦=反米で割り切れた。しかし、今現在、金正日が日本にテポドンだかノドンだかの照準を向けているのはどう考えても、米軍基地があるからではない。「そこが日本だから」だよね。
61.211.1.92 時 384 0 1046596560 伊藤彦造展/第7回キルト日本展弥生美術館『伊藤彦造展』。
ドレがチャンバラを描いたような(銅版画ではないが)細密なペン画の挿絵画家だ。中では渡辺綱と鬼の戦いを描いた1枚が構図といい筋肉描写といい圧巻。現代のあかぬけた挿絵にはない素朴な面白さがある。こんな挿絵で読んだら時代小説も楽しかろう。
ただ、緻密な描写はすごいがところどころデッサンの狂いが気になる絵も多い。迫力優先の画風なのだろう。ご本人も「日本刀を(現実味を持って)描けるのは私だけだ。一刀流の気魄で描いているだから」と威張っている。実際、伊藤一刀斎の末裔で一刀流の達人である父親に幼少のときから鍛えられた本物の剣士らしい。
しかし、伊藤一刀斎は天涯孤独、享年も没した地さえも不明の謎の剣客だ。子孫がいたというのはどうもおかしい。こういうことではないだろうか。
一刀斎の弟子で、将軍家指南役にもなった小野次郎右衛門には二人の息子がいた。次男に二代目次郎右衛門を名乗らせ、長男には師を偲んで伊藤姓を名乗らせたという。おそらく彦造画伯はこの伊藤派一刀流の末裔ではないかと思うが、どうか。
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東京都美術展『『第7回キルト日本展』。
こちらは妻のリクエスト。とりあえず小さな布を縫い合わせていくという根気に圧倒されてしまうが、配色・デザインは絵としてみてもなかなか面白い。
58.157.55.187 美 383 1046482563 吸いすぎに注意耳鼻科と言えば、私の義母は長年看護婦をしていた人で、耳鼻咽喉科勤めが長かった。看護婦ならではの面白い話をたくさんしてくれたのだが、中には痛そうな話も少なくない。
ある日、中年のちょっと色っぽい女性が鼓膜が破れたようだと言って来院したそうな。先生が診察すると本当に破れていて、どうやら掃除機で吸い込んだような破れ方だったらしい。先生が「いったい何をしたんですか」と聞いても頬を赤く染めるだけで答えない。
さんざんもじもじした末に白状したことによると、彼女はお妾さん(愛人ね)で、鼓膜を破ったのは旦那と愛情交換の真っ最中だったということだ。興奮した?旦那は激しくKISSしまくっていたが、勢い余って彼女の耳を強く吸ってしまったらしい。で、バリッと。
「鼓膜が破れるほど激しく愛しあう」なんていう文章は官能小説でも読んだことはない。事実は小説より奇なり。どちらさまも健康のため吸いすぎには注意しましょう。
210.234.4.150 身 382 1046405975 花粉症の女(ひと)しばらくおさまっていた鼻炎アレルギーが、ここ一週間ばかりまたムズムズしてきた。ひどくならないうちにと思い、出勤前にいつもの耳鼻科に寄る。いつも混んでいるので、風邪がはやっているときなどは敬遠しているのだが、ここで出してくれる薬は良く効くのだ。
今日も女院長先生がバリバリと患者をこなしている。すばやい診断であまり時間がかからないのは良いのだが、鼻に薬を入れる動作もすばやく、いささか暴投気味だ。思わず荒れ球をさばく名キャッチャーの心境になり、鼻をミットにして受け止める。
混んでくると順番待ちの患者のうち次の番の人は診察室内に入って待つことになる。当然、他の患者さんが治療診断してるのも見えてしまう、聞こえてしまう。まあ、耳鼻科なのでたいした支障はないのだが、今日の私の前の患者さんは若い女性だった。
彼女もやはり花粉症、それもかなり重症のようだ。鼻血が止まらなくなってしまったと、かなり憔悴している。水泳のインストラクターなので出血していては仕事もできないというのがかわいそうだ。先生も速く治してやろうと思ったらしく、止血剤の注射を看護婦さんに指示した。
注射の間、私の番になり問診をしてくれたが、ものの数分で薬決定。あとはネフライザー(二股に分かれたガラス管で鼻に霧状の薬を吹きつける装置)をやっていきなさいということなので、処置室の片隅でおとなしく鼻に管を押し当ててボーっとしていた。
ところが、さきほど注射をした女性が突然処置室のベッドに運ばれてきた。「気分が悪くなった」と言ったらしいが顔色が悪い。先生が手を握って「だいじょうぶよ。こわくないからね」などと一所懸命落ち着かせている。看護婦さんがばたばたと血圧計で血圧を測りだした。
結果は特になんともなかったようだ。どうやらあまり注射をしたことがない患者さんで、貧血を起こしただけらしい。やれやれ、ほっとした。
鼻にネフライザーを突っ込んだまま茫然と見ていた私に、先生が「あなた、ネフライザー終わってるわね。薬もらって帰っていいですよ」と何事もなかったように告げた。
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松沢哲郎『チンパンジーの心』(岩波現代文庫)読了。→レビュー
210.198.166.150 身 381 1046323322 『情婦/検察側の証人』2月23日(日曜日)、NHK教育TVの世界名画劇場『情婦』。
原作はアガサ・クリスティの短編『検察側の証人』。原題は"Witness for the Prosecution"だから、原作通りだ。「情婦」とは、なんとも曲のない邦題である。良く解釈すれば、クリスティの原作と気付かせずにラストのどんでん返しを効果的にするため、とも考えられるが、違うな。題名だけ変えても原作を読んでる人にはすぐわかるし、読んでない人には関係ない。単に、マレーネ・ディートリッヒが出てることだし、扇情的なシーンがありそうな題名にして、助平な客の興味を惹こうとしたに違いない。
映画のラストは原作とは変えてあるので、原作を読んでる観客にも意外性がある。助平な客の方は、満足するかどうかはわからないが、ディートリッヒがスラックスを裂かれて「百万ドルの」脚線美が剥き出しになるシーンがちゃんとある。それより夫(美男タイロン・パワー)が殺人罪で裁かれようとしている裁判に証人として出廷する際の妖艶なスーツ姿がすばらしい。このとき御年57歳だというのだから驚きだ。全然美人じゃないし、声もがらがらした低音で美声でもないが、「大女優」のオーラをこれでもかと放射している。
この美男美女のカップルから弁護を依頼されるのが、でっぷり太った頑固な古強者弁護士チャールズ・ロートン。心臓病を患って退院したばかりなのだが、禁じられた酒や葉巻を盗み呑もうとして世話係りの看護婦エルザ・ランチェスターと丁々発止のバトルを繰り広げる。この二人の掛け合いの演技が抜群に面白い。法廷の駆け引きより面白いくらいだ。
名匠ビリー・ワイルダー監督みずからの脚本の妙。科白、伏線、カメラワーク、細部に渡って隙がない。まさにウェルメイドという形容詞が似合う映画でございました。
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『挿絵画家・中一弥』読了。→レビュー
チャールズ・ペレグリーノ『ダスト』(ヴィレッジブックス/上下)購入。
210.198.166.150 映 380 1045896430 こんな「悲しいとき」は●▲だいつもここから『悲しいとき』(扶桑社)、鉄拳『こんな○○は××だ』(扶桑社)読了。
いや、読了というか笑了というか。
お笑いは大好きで古典落語のファンではあるが、守旧派というわけではない。漫才は今の人の方が断然面白い。しかし、いわゆるバラエティ番組のぬる〜い「笑い」や、がーがー汚い声で吠えまくるしゃべくり漫才はきらいだ。聴くのも見るのも苦痛である。
どんなのが好きなのかというと、前にも書いたが、不条理な前衛コントのラーメンズ、オタクキャラの人物造型が秀逸なドランクドラゴン、練りに練った脚本で勝負のアンジャッシュ、いかにも不良の立ち話風の芸風だけど抜群のリズム感スピード感が小気味いいアンタッチャブル、ブラックでビターな独り語り長井秀和、なんてとこがマイフェイバリットユニットだ。
当然、いつもここからも鉄拳もお気に入りだ。二組とも「絵」を使ったネタだというとこが共通の芸風。(いつもここからは絵を使わないネタもある)。いつもここからは旧めの劇画系、鉄拳はへたうま系の画風だ。なかなかうまい。ネタも絵の雰囲気通り、両者まったく違う芸風である。
いまのところ世間的評価はいつもここからの方が高いようだが、今回の本に関しては鉄拳の方が笑えた。家族で回し読みしていたが、全員くっくっ肩を震わせながら読んでいてなかなか無気味な団欒風景でありました。これは、『悲しいとき』に収録されているネタのほとんどは見たことがあり、鉄拳は「お笑いオンエアバトル」でもあまりオンエアされないので、初見のネタが多かった、というのが原因だろう。鉄拳的にはあまり嬉しくないか。
『悲しいとき』には最後に、いつもここからの絵担当の菊地さんが描いた『HIMAO〜ひまお』という31頁の漫画が載っている。これがひさうちみちお風ダーク系で、なかなかいい。ラストは・・・『暗黒神話』だし。
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『ボーン・コレクター』読了。→レビュー
『天才と分裂病の進化論』読了。→レビュー
『銃・病原菌・鉄(上・下)』読了。→レビュー中一弥『挿絵画家・中一弥』(集英社新書)、篠田節子『家鳴り』(新潮文庫)購入。
210.198.166.150 本 379 1045042569 Photoshop と Painter絵を描くときは、スケッチから Painter (まぎらわしいので以下「ペインター」と表記)で描きあげ、ほぼ出来上がったところで PSD 形式で保存して、仕上げを Photoshopで、というのがここのところのパターンだ。
ペインターが6になり、 レイヤー が使えるようになったことで、 PSD を介する方式に変えることができるようになった。以前のバージョンでも PSD 形式は扱えたのだが、 レイヤー が フローター になってしまい、扱い勝手が悪かったのだ。そのため、 Photoshop メインで処理をして、ペインターで描きたい部分だけ BMP 形式で受け渡し、描画後に Photoshop に張り付ける、などという面倒な手順で処理していた。
今描いている絵はさらに、もう少し違う方法で描いている。といってもたいしたことではない。前半ペインター、後半 Photoshop できっちり受け渡す「駅伝方式」ではなく、途中で適宜両方のソフトで交互に処理をしながら進めていく「テニスダブルス方式」にしたということだ。
ただ、両方の共通形式である PSD 形式だけだとペインターの処理が重いような気がするので、ペインターで開いたらすぐに RIFF 形式で保存することにしている。 PSD ファイルは「Temp.psd」という汎用ファイルを作っておいて、いつでもペインターから上書き保存して使えるようにしている。
以下のような手順だ。
- ペインターで新規作成。「鉛筆ツール」でスケッチ→その他のツールで描き込む。
- 通常は RIFF 形式で保存。(例.FirstKiss.rif)
- Photoshop で処理したくなったら、 PSD 形式で「Temp.psd」に上書き保存。
- Photoshop での処理が終わったら、「Temp.psd」に上書き保存。
- 「Temp.psd」をペインターで開いて描き込みを継続。
- 2〜5の手順を繰り返す。
- ペインターでの描き込みが終了したら、 PSD 形式でも保存する。
- 7のファイルを Photoshop で開いて仕上げの処理をする。
- この段階では「Temp.psd」ではなく、ユニークなファイル名(例.FirstKiss.psd)で保存。
どちらか一つのソフトで描けたらベストなのだろうが、一長一短あるので、このような描き方になってしまう。
よく言われているのは、ブラシの書き味の違い。ペインターの水彩ブラシの人気が高いようだが、私の場合は「鉛筆ツール」と「水滴ツール」だ。この二つのツールの書き味は Photoshop のブラシツールやエアブラシツールではどうしても再現することができない。
しかし、 Photoshop のブラシはすべてだめというわけではない。「指先ツール」は、ぼかしツールとしてはペインターの「水滴」にはかなわないが、引きずり系のブラシとして使うと、なかなか使いやすい。ペインターのブラシのカスタマイズ能力は強力なので、「指先ツール」ぐらいは再現できるかもしれないが、 Photoshop のブラシやエアブラシには、ブラシ自体に乗算や差の絶対値等の地色との合成モードを持てる。これはペインターにはない、いかにもレタッチツールらしい機能だ。
描画以外の機能や各種フィルタは Photoshop の方が有名だが、意外とペインターのフィルタも強力なのだ。Photoshop のフィルタ機能はペインターでほぼ全部まかなえるが、Photoshop ではできないペインター独自の機能は結構ある。それを抜きにしても、インパスト系やイメージホースなどブラシの特殊効果を Photoshop でシミュレートするのは至難の業である。
Photoshop が強いのは、むしろ基本的機能の操作性が洗練されていることだろう。特に選択ツールや変形ツールの操作性がペインターよりはるかにいい。変形アルゴリズムも Photoshop の方が優秀なようで、拡大縮小だとそれほど差はないが、任意の角度で回転などをさせるとはっきり違いがわかる。ペインターだと回転後はぼけてしまうが、Photoshop はシャープさを失わない。画像を300%以上に拡大表示させたときも、ペインターはブロック化されてしまうが、 Photoshop は比較的滑らかさに表示してくれるので、細部を楽に描き込むことができる。
しかし、操作性についても、すべて Photoshop の方がいいというわけではない。カンバスの扱いはさすがにペインターが使いやすい。手の平ツールで画像をウインド内を自由に(ウインドからずれた位置までも)動かすことができるので、画像の端を描くのも楽である。 Photoshop はウインドより大きい画像の場合、ウインド内に余白を作れないので、画像の端が必ずスクロールバーに接してしまい塗りにくいことこのうえない。カンバスのサイズを変えるインターフェイスもペインターの上下左右を任意に数値指定できる方が使いやすい。
こう描いてくると、本当に一長一短だ。ネット絵描き定番の感想だが、色んな機能がモジュール化されていて、ユーザーが好きなように組み合わせられたらどんなにいいだろうと思う。そう理想論のようにはいかないのがソフトの世界だというのは重々わかってはいるけどね。当分、今の方法で使っていく他なさそうだが、それはそれで結構楽しい。ただし、スポイト機能のショートカットが Photoshop が「Alt」、ペインターが「Ctrl」(Windowsの場合)というのだけは統一してほしいものだ。または、ショートカットのカスタマイズ機能をつけてくれい。
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上記は、Photoshop がバージョン5、ペインターはバージョン6を基準にして書いている。現在の最新バージョンは、どちらも(たしか)7。少しは事情も変わっている・・のかもしれない。
61.211.1.92 電 378 1044773740 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』丸の内ピカデリーにて。
映画としては、前作『賢者の石』の方がはるかに面白い。第二作ということで人間関係の説明は全く抜きで、アクションとサスペンスに重心が寄りすぎ。といってもテンポは良いし、SFXを含めた画像は素晴らしく、2時間40分の長尺を飽きさせない。あの城のような魔法学校ホグワーツはどこからどこまでがCGなんだろう。さっぱりわからん。
主役三人が成長しすぎているという話しだったが、たしかに一作目の幼さはなくなってきていた。しかし中学生の一年間なんてこのくらいの変化が普通だろう。かなり一作目の記憶が薄れてることもあって(老人力のたまものだ)それほど違和感はなかった。天上界のかわいさだったハーマイオニーたん(Emma Watson)も、地上のかわいさに近づいてきたが、それはそれでよし。
上映前の予告編で面白そうだったのは、やはり『007』かな。『チャーリーズ・エンジェル2』もなかなか。
61.198.184.42 映 377 1044676113 ゴッホ発見画家中川一政の遺品コレクションから行方不明だったヴァン・ゴッホの「左向きの農婦の頭部」(左図)が発見された。オークション出品予定で当初の落札予想価格は一〜二万円だったが、ゴッホ美術館から真正作であるという調査報告書が届いたため、三百万円以上にはね上ったそうだ。
たしかに『ジャガイモを食べる人たち』(下図)によく似ている。
世の中そういうもんだと思いつつ、なにかおかしい。いい絵だったら最初から三百万円とは言わなくとも、数十万円の値はついてもよさそうなものではないか。値を予想するプロフェッショナルは絵そのものの価値を判断してるわけではなく、判断する能力もないということだろうね。借り手の将来性や能力が判断できずに担保だけを目安に融資する銀行に似ている。
「来年はヴァン・ゴッホ没後百年記念展覧会が当市で行われます。しかし、アルル市にはゴッホの絵は一枚もありません。
(中略)
それは、百年前のアルル市民がヴィンセント・ヴァン・ゴッホの芸術も絵画も理解しなかったからです。彼の画を買ってやらなかったからです。
(中略)
そのゴッホを性急にも精神病院へ収容させ、疫病神のようにアルルから北へ追放したのはアルルの市民です。彼がこの市で描いた精妙で、驚くべき多量の画はどこへ行ったのでしょう。『アルル時代』と呼ばれるゴッホの絶頂期の画です。黄金期です。それがみんなここにはない。アルルの市民が石もてゴッホを逐った結果です」
松本清張『詩城の旅びと』(文春文庫)これほどではないが、江戸、明治期の浮世絵の扱いを見れば日本人も大きなことは言えない。
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長山靖生『偽史冒険世界−カルト本の百年』(ちくま文庫)、藤本正行・鈴木眞哉『偽書武功夜話の世界』(洋泉社新書)購入。
61.198.184.42 美 376 1044274235 天駆けるアポロ11号が月面に降り立ったとき、こういうコメントがあったことを思い出す。
われわれは、人類が月に到着するまでに要する期間がこんなに短いことを予想できなかった。月に到着するに要する費用がこんなにも膨大であることも、予想できなかった。最初の月面着陸から四半世紀が経っても、まだ木星はおろか火星にも人間が行けない、なんてことも予想もできなかったけどね。月基地でさえまだないぜ。
今回のスペースシャトルの事故で、NASAが厳しい予算削減にさらされていたことを知り、さらにイラク戦に大量に用意されているミサイルが一発一億円と聞くと、さすがに怒りを感じる。
事故にあったシャトルでは、多くの実験が行われていたらしい。おそらく、そのほとんどはわざわざ人間が操作しなくても、コンピュータ制御で管理しデータを地球に送ったり持ちかえったりすることは可能だろう。その方がずっと安上がりなことも間違いない。しかし、そんなことをしてもなにもならないこと、人間が宇宙空間で実験をすることに意味があることはだれにでもわかる。
やはり、人類は宇宙に行きたいんだよなあ。たとえ自分が行けなくても、子孫でもいい。いつの日か、彼らが、金星や冥王星やハレー彗星や、太陽系を越えてアルファケンタウリの彼方まで疾駆していることを想像していたいものだ。人類、宇宙飛行から撤退、なんてことになったら、そんな夢も色あせてしまう。
事故でお亡くなりになった宇宙飛行士たちも、自分が宇宙飛行で死ぬかもしれないと考えたことはあっただろう。それはたぶん宇宙空間での出来事で、自分は星屑か流星になることをイメージしていたのではないだろうか。現実には一般の飛行機と同じく、離着陸(シャトルなら大気圏離脱再突入)時が一番危険なのだね。
天を駆け地に還ったアストロノーツたちのご冥福を祈る。
210.169.69.47 科 375 1043586552 小磯良平回顧展大丸ミュージアム『小磯良平回顧展』。
小磯良平はとても好きな画家なのだが、記念美術館が神戸なので、なかなか見ることができなかった。代表作が網羅されているはずだったが、目録のうち三分の二程度しか展示されていなかった。『斉唱』や『彼の休息』が見られなかったのは、ちと残念。
ざっくりしたタッチで見事に実在感を描き出す端正な人物画が素晴らしい。キュビズムの影響を受けたものなど、かなり実験的な作品も並び、意外な面白さがある。
芸大卒業直後の作品でもう描写力は完璧に見える。それでも50歳代以降、60歳代70歳代の円熟期の作品を見たあとで初期のを見返すと、硬い画面に見えるのから不思議なものだ。見返すことができるくらいの混み具合で、満足。
61.198.180.141 美 374 1043295820 夢百景:妖虫使い取引先の人が転勤するので、送別会を汐留の新しいビルの夜景のきれいな店でやる。ひさしぶりに酔っ払って寝たせいか、妙な夢を見る。
夢の中で年齢はだいぶ若返っている。二十代か。父のつかいで古本屋へ行く。薄明の路を歩いていくとトンネルに入る。トンネルの中も薄明るいが霧がかかっているようだ。トンネルなのに天井は見えないくらい高い。向こうから背丈が四、五mはありそう巨大な人影が歩いてくる。数は三、四人、横一列で向かってくる。近づいてきたのを見上げると全員、鬼太郎のキャラたちだ。子泣き爺、座敷わらし、塗り壁、一反木綿。私は「なんだ、着ぐるみか」と納得して、ゆらゆらと遠ざかっていく彼らを見送る。
古書店に到着。ここにきた目的がなんなのかわからなくなっているが、夢の中なので気にしない。当然たくさん本があったが、棚の上の方に松本清張の『古代史疑』があったことだけ覚えている。
突然、古書店の中が騒々しくなり、怪我人だか難民だかといった感じの人で店内があふれかえる。いつのまにか、古書店ではなく野戦病院のようになる。怪我はしていないが私も他の人と一緒に床にうづくまる。床も土むきだしの地面になってしまっている。
視界の隅を場違いな人影が通り過ぎて行く。長身の白人らしいカップルだ。男は顔は見えないがタキシードを着ている。女も黒のイブニングに白い長い毛皮のショールをかけている。そのショールが実に長く七、八mはありそうだ。彼らも被災したらしく正装も土や血?で汚れている。
ショールが私の目の前の地面をずるずるとひきずられていく。折角の白い毛並みが土にまみれる。私は立ち上がってショールを持ち上げ畳んでいき、彼女に渡そうとする。気がついた女はこちらを振り向き、にやりと笑う。突然手のひらに痛みを感じてショールを取り落とす。手から虫が落ちて床でもがきだす。色は赤茶で透明感がありゴキブリとサソリが混じったような形状だ。私の手は青黒くはれ血がしたたっている。あわててショールをつかみ直してひっくり返すと裏側には赤い虫が何千匹もびっしりとへばりつき脚をざわざわと動かしている。
店内?が大騒ぎになるが、カップルは姿を消してしまう。全員が地面に散らばった虫を踏み潰す。一段落してから落ち着いて私の手のひらを見てみると、虫の赤い牙?がたくさん刺さっている。太さも長さも木綿針くらい。曲がりくねって縫うように掌の肉に食い込んでいるので簡単には抜くことができない。若い女医?さんと看護婦さんらしき人二人が毛抜きのような器具で一本ずつ抜いてくれる。全部抜けて手がきれいになったのでお礼を言って帰ろうとすると「体がこわばっているからマッサージをしなくては駄目」と言われる。座ったまま肩と背中をマッサージしてもらうと、ほかほかと気持ちよく、ほんわりと眠ってしまう。
夢の終わりが眠ってしまうというのは珍しい。あまり日頃肩が凝ったりしないのでマッサージしてもらうこともないが、夢の中ではなぜあんなに気持ちが良かったのだろう。目覚めても肩も背中も、もちろん手の平も、別になんともなかった。
61.211.0.106 夢 373 1043145677 ある貴乃花伝説やはり貴乃花が引退してしまうのは淋しいなあ。北の湖理事長の「怪我がなければ40回優勝できた」というのは大げさにしても、気持ちはわかる。日本人とは基本的体格が異なるハワイ勢がいない時代だったら、40回もありえたかもしれない。優勝回数は北の湖や大鵬に及ばなくとも、武蔵丸や曙のような超巨漢と伍して綱を張っていたところに偉大さがあるのだ。貴乃花が怪我が多かったのは、貴乃花以外にハワイ勢を八百長抜きで倒せる力士がいなかったところにも一因があったと思う。
ところで、貴乃花の出世話の中で必ず出てくる「千代乃富士を引退に追いやった」というエピソードがある。間違っているわけではないが、千代乃富士が引退したのは貴乃花戦の直後ではなく、その翌日、貴闘力に敗れた後だ。だが、決して「千代乃富士は貴闘力に敗れて引退した」とは言われない。貴乃花のファンではあるが、ちょっと貴闘力がかわいそうだと思うのである。
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八重洲地下街の古書店「R.S.Books」にて『芸術新潮-特集-ポンペイの快楽生活』『芸術新潮-特集-責め絵師伊藤晴雨』購入。
61.211.0.106 闘 372 1042984673 北京京劇院公演五反田の簡易貯金ホールで北京京劇院の公演を観る。演目は西遊記ものの『流沙河』と、人間と恋をした天女が、恋を邪魔する天界の軍団とたちまわりを繰り広げる『虹橋贈珠』。歌や科白より立ち回り主体の舞台でありました。
青年団という若手主体の配役陣だからか、アクロバティックな殺陣も、去年の湖北省京劇院の公演の方がすごかったなあ。虹橋贈珠の天女役の包飛という女優さんも素晴らしい殺陣を披露してたけど、以前見た人間国宝級の女優さん(名前忘れた)には及ばない。歌は段違いだったし。ただし若い分、さすがに美しい。帰りにはポスターを買った客にサイン会をしていたけど、素顔もとても愛らしく美人でした。(デジカメ持っていかなかったのは大失敗)
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もう、モンゴル相撲でいいじゃないか。 ─ (c)長井秀和 ─◇
ジェフリー・ディバーズ『ボーン・コレクター』(文藝春秋社)購入。
61.211.1.92 劇 371 1042468962 新年会昨日は妻のいとこの家族と四谷の「ダイニング ドランカージャム」で新年会。いとこ夫婦の旦那は私の同年で子供の年齢も近く、よく一緒にスキーに行ったりする仲。店はいとこの旦那の知人がオーナーシェフで、なかなかお洒落でリーズナブルな居酒屋だ。料理は「中華風創作料理」だそうだが、なかなかいける。目の前でバーナーで皮を焼いてくれる鯖が絶品でした。
飲み物はエビスビールで乾杯したあと、女連は果実酒、男は菊正宗に切り替えたが、話がはずみ結構進んでしまう。鯖の皮を一所懸命焼くおねーさんに、溶接用のマスクした方がかっこいいとか、しょうもない冗談かまして、どうもすみませんでした。笑顔で応対してくれたが、おやじ殺したろかとか思っていたに違いない。
映画の話をしているうちに、いとこの娘がホラー好きなことが判明。ハンニバルなんて全然オッケーというから頼もしい。しかし、調子にのって絶品ホラーとして『殺戮の野獣館』を推薦したのはまずかった。なんといっても鬼畜お下劣ホラーだからなあ。女子高校生に薦める本としては、どんな読書案内にも絶対に載らない。
こうして、人は長年つちかってきた信頼を一瞬で失うのである。たいしてつちかっていなかったかもしれないが。
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というような馬鹿をやってようやく調子が出てきたような気がしたので、やっと絵を描きはじめる。初心にもどって怪物を描こう。思いっきり気色悪いのを描くぞおぉ。
210.198.152.224 雑 370 1041925509 やけくそ経済談義まったくの素人考えだが、たまには世の景気の話など。
政府与党筋はインフレ待望論のようだが、通貨供給量を変えたり、減税したり増税したり、いくら小細工したところで、土地を筆頭に物の値段も賃金もまだまだ下がり続けるだろう。
だいたい日本全国の土地の値段でアメリカが買える計算になってしまったバブル期が異常だったのだ。日本の平均的サラリーマンの年収は600万円くらいか。ドルにしたら5万ドルだ。それだけの収入があっても別荘一つ買えず、住宅ローンに苦しみ老後の生活に不安を抱えている。普通こういう国の通貨は安くなるはずである。しかし簡単には円は下がらない。まだまだ貿易は黒字だからだ。そうすると帳尻を合わせるには、国民全体の収入が下がるしかない。感覚ではバブル期の半分になって、ようやく計算が合うというところか。
なんだかとんでもない貧乏生活になってしまいそうな気がするが、そうでもない。収入だけでなく、物の値段も下がっているからだ。しかし国民全体の収入減と支出減でチャラかというと、これもそううまくはいかない。デフレ時代なのにあまり下がらないものがあるからだ。
一つは税金で支払われている公務員の給与だ。道路公団みたいな特殊法人の役員職員や、公的資金(ようするに税金)を投入されてもっている銀行員の給与もこれに準じる。これらの税金寄生業界の人件費を半減させないとなかなかバランスはとれない。民間企業の製品やサービスは競争によってどんどん安くなっているのに、公的サービスは高どまりのままだ。これでは減税も財政再建もままならない。
もう一つ下がらないもの、それは住宅ローンの残高だ。借りたときよりも収入はずっと減り、担保である家の値段も下がりっぱなし。結果として元利ともローンが払えなくなる。家を取られるだけならまだいいが、家を競売にかけてもローンの残高に満たずに借金だけが残ってしまう例が非常に多い(身近にもある)。これでは金を使えの子供を作れの結婚しろの、と政府が勝手なことを言っても国民は動きようがない。じっと自分は金を使わないで、だれかが景気をよくしてくれるのを待っているばかりだ。(企業も一部を除いてまったくおなじスタンスだね)
だから政策として有効なのは「住宅ローン徳政令」だ。担保の家を競売にかけた後の残債はちゃらにする。持ち主は持ち家は失うが借金からは開放される。最初に担保として認めた銀行がリスクを背負うことになるが、これはプロとして見通しの甘さを嘆いていさぎよく血を出すべきだろう。そうでないと質屋の方がずっと金融業として上ということになる。質屋は質草の目利きに失敗して価値が貸し金に及ばなかったとすれば、それはプロとして失格ということになるのだ。
乱暴な提案のようでそうではない。実際に借金棒引きはゼネコンなどの大企業に対しては銀行がすでに行っていることなのだ。個人に対してできないわけがない。大企業を助けるのは社会的影響が大きいからだろうか。しかし、実際に営業不振の大企業を一時延命させたところでどれほど景気に好影響を及ぼすだろうか。それより借金から開放された個人の消費行動の方がずっと期待できると思う。銀行にとってもいい顧客になるはずだ。一度借金を棒引きにしてくれた銀行を裏切る個人はなかなかおるまい。棒引きにするときにくどくどいやみを言ったりしたら駄目だが。
本当のところ銀行が大企業の借金は棒引きしても個人や中小企業には絶対そんなことはしないのは、単に取りやすいところから取り立てる、ということに過ぎない。だから、政策として強引に棒引きさせることが必要なのだ。そんなことしたら今後絶対に住宅ローンを貸す銀行はなくなると思われるかもしれない。その通り。家は借金してまで買うものでないのではないか。まして20〜30年のローンなんてバブルが過ぎてみると正気の沙汰とは思えない。家はなければ借りるもの。それが常識になれば家の値段も下がり、数年で返せる範囲の借金で買うことができる時代もくるだろう。持ち家の人も、住んでいるだけなのに相続税を払えず追い出されるなんて馬鹿なこともなくなる。
私は住宅ローンは借りていないので、以上の弁は決して個人的願望ではない。念のため。
あと政府ができることはなんだろう。あまりないような気がする。いらない、できてもバカ高い道路など作るのはやめて、資金を年金にまわし、年金を税金化して老後の不安を除くことぐらいか。そうすりゃみんな安心して金を使うって。墓場に貯金通帳を持っていってもしかたがないからね。
61.211.1.11 時 369 1041865081 国宝百選の紅梅白梅図屏風NHK-BS2の『夢の美術館/国宝百選』では尾形光琳の『紅梅白梅図屏風』も紹介されていた。たいていの美術の教科書に載っている定番の名画だ。
感想をふられた黒鉄ヒロシ氏(漫画家)は「〜ん、ぼくらが見るとやはり擬人的に見てしまうので、右の樹の根元なんて、ふんばった両足に見えてしまいますねえ。そうすると樹全体が若々しい男に見えるわけで、左の樹は逆に老人に見えますねえ」なんて奥歯に物がはさまったような言い方をしていた。見かねたのか辻惟雄先生(多摩美術大学長)が「もう少しその見方を進めるとエロティックな見方もできます。ここでは言えませんが」とフォローした。NHK芸術系番組独占の石澤典夫アナウンサーは「え、そうなんですか」などと驚いたふりをしていた。う〜ん、カマトト(死語)なんだから
もちろん、両側の樹が男なら真中の川は女性、向かって左を向いている女体ですね。左上が乳房のようにふくらんで左下の腹部はさらにふくよかな曲線を描いている。左の老木は(まさに)枯れ木のような腕を延ばして、女の下腹部をなぶっている。右の若樹は身をそりかえらせ、断ち切られた太い枝を(まさに)男根のように、女体の尻にさしのばそうとしている。こう見ていくと、女体の前後は逆でもなりたつかな。
この解釈は阿刀田高もある短編で紹介していた。やらしくてしょうもない解釈だろうか。私にはそう見た方が、より気高く美しく見えるような気がするのだが、樹のせいだろうか。
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八重洲の古書店金井書店で『エドガー・アラン・ポーと世紀末イラストレーション』(岩崎美術社)を購入。
127.0.0.1 美 368 1041775418 国宝百選と元祖おたく義政せっかくのお正月、めぼしい美術館は休みである。開いていたとしても殺人的に混んで、とても絵を見るところとしての体をなすまい。そんなときにはテレビ美術館。NHK-BS2の『夢の美術館/国宝百選』を見る。
実際に見たものや教科書で見たことのあるものも多いが、やはりすごいものばかり。ゲストもなかなか。なんといっても写真家荒木経惟がパワフルで面白いが、切金細工の人間国宝の方の名人芸がすごい。蜘蛛の糸のような金を2本の筆先であやつって貼っていくのだが、目分量で見事に直線模様を描きあげていく。魔術のような呼吸制御は人間業とは思えない。
くだんの藪内佐斗司師も登場し、仏像の見方の解説をしていたが(解説自体はうまいとは思わないが)作り手として、目と手を重視し目はパワーを手は感情を表現するという意味のことを語っていた。私のようなへっぽこ絵描きは(結果として描けやしないのだが)パワーを手で、感情を目で描こうとしてしまうが、逆なのが興味深い。
さて、そんな番組で紹介された百選の映像の中で印象に残ったのは、実は銀閣寺だったりする。書院造りの静謐な美しさはまさに日本美のイメージそのままだ。
作ったのはもちろん足利時代の庭師たちだろうが、プロデューサーにしてアートディレクター、そして(ほとんど唯一の)鑑賞者は将軍足利義政だ。全国に一揆が頻発し応仁の乱を控えた窮乏の世に、政治に背を向け、ひたすら自分の美意識を追求した、日本のルードヴィッヒ。史上最初にして最強のおたくかもしれない。おそらく、在位中は政治家(細川氏や山名氏)や親族(たとえば妻の日野富子)から、大人になりきれぬ困った将軍として見られていたことだろう。しかし、山田風太郎は『室町少年倶楽部』で、主人公の義政にこう語らせている。
お前のいう天下とは、私欲背信、魑魅魍魎の世界じゃ。百姓町人とて、自由狼藉、下克上の餓狼のむれじゃ。そんなやつらがいかに騒ごうと、ひしめこうと、泣こうと、わめこうと、もともとが無意味な渦なのだから、やがて泡のごとくあとかたもなく消えうせる。わしの作った美の世界は、いつまでも地上に残る。──みんな好きなことをやらせろ。たしかに、政治家たちの権謀術数は歴史の波濤に泡と消えたが、義政の創造した東山文化は今も確固として存在し、日本文化に大きな影響を与えている。
210.198.165.41 美 367 1041513687 青松寺で四天王を見る初詣を兼ねて二ヶ月ぶりに芝愛宕の青松寺へ。
目当ては新設の籔内佐斗司作の四天王像だ。山門の両脇に二体ずつ、ガラス越しだが間近に見ることができる。まさに伝統とモダンの融合。迫力とユーモアの共存した造型。しかもすいている。十分に堪能しました。
すぐ近くの芝増上寺にも足を延ばす。こちらはさすがに古式ゆかしく荘重だが、境内は屋台だらけで善男善女が一杯。いささか俗っぽいが、それも正月らしくて良いかもしれない。
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安部公房『燃えつきた地図』(新潮文庫)読了。→レビュー
210.198.166.150 美 366 0 1041221467 聖母子像クリスマスに書いた聖母マリアさんの話題の続き。
聖母子像はキリスト教国における格好の画題だが、異教徒の私は当然あまり興味がなく、ちゃんと観たことはない。そこで、これを機会に(って変な機会だが)、西岡文彦さんの著書などを参考に、ネットや画集などを見返してみた。
さすがにレオナルド・ダ・ヴィンチのは格調高い。上は『聖アンナと聖母子』。聖アンナは聖母の母親。なんとも複雑な姿勢で謎めいた構図である。
左は『リッタの聖母』。一名『授乳の聖母』と言われるだけに母性的だけど、やはり神々しく聖性が勝っている。処女懐胎した神の妻らしく、人間の男には近寄りがたい雰囲気でいっぱいだ。
こちらはダ・ヴィンチより三十歳ほど下のラファエロの『小椅子の聖母(部分)』。ダ・ヴィンチの聖母たちより、ずっと人間くさい。女くさい。
リッタの聖母が「神の子」だけを見ているのに比べ、小椅子の聖母はこちらを見つめてくれている。見ているのは絵のこちら側の私たちでもあるけど、やはり絵の描き手、腕の中の子供の父親に向けるまなざしだろう。父親が神だったら天を振り仰ぐところだろうけど、さいわい彼女の視線は自分と同じ地平に立つ人物に向けられている。小椅子の聖母は聖母子であるより、普通の人間の母子である方がふさわしいように見える。
これは後期ルネッサンスで人間回復思想が頂点うんぬん、などというより、各々の画家の個性や女性観に帰することのような気がする。あまりに俗な感じ方かもしれないけど、所詮、異教徒だ。勘弁してくれたまえ。
◇
『あの頃マンガは思春期だった』読了。→レビュー。
デイヴィッド・ホロビン『天才と分裂病の進化論』(金沢泰子訳/新潮社)、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』(上下巻/倉骨彰訳/草思社)購入。
58.157.55.187 美 364 0 1040787937 処女懐胎24日付の英大衆紙デイリー・メールなどによると、問題の番組は22日にBBC1が放送した「処女マリア」。人気女優らを起用し、処女懐妊を含むマリアの生涯をドキュメンタリー・ドラマ風に追った。
しかし番組の中で、「マリアはローマ人兵士にレイプされてイエスを身ごもった」と受け取れる場面を放映したため、キリスト教徒らが猛反発。英国内の教会幹部はもとより、番組が放映されていないバチカン市国の広報官も「真実をねじ曲げた罪深い番組だ」などとする抗議声明を発表した。BBCに寄せられた抗議は、23日だけで500件を超えたという。
[読売新聞] 2002/12/24
真実をねじまげた・・・って、あなた。親がやらなきゃ子はできない、と昔の噺家もいってますけど。
のちのキリストの「罪のない者のみ石を投げよ」の逸話からもあきらかなように、当時は婚前交渉は戒律で厳格に禁じられていて、発覚したら石打の刑で死罪だったのである。レイプか合意かは知らないが、ばれないためには嘘もつこう、馬小屋で隠れて出産もしようというものだ。
「アルマー(若い女)」というヘブライ語をギリシア語に翻訳する時に誤って「パルテノス(処女)」としてしまったことが、処女懐胎伝説が産まれる原因になった、という説があるそうな。しかし、処女懐胎が誤訳だったとしても、キリストが神の子であったというのは変わらない。キリストの父は神で、マリアさんの胎を借りて生まれたという、完全な男性原理主義思想。ユダヤ教の唯一神とキリスト教の人格神と原始宗教の大地母神を結びつける苦心の結果だろうが、イエスがヨゼフとマリアの間の子だとしても別にまずくはあるまい。魂に神が宿ったことにすればいいではないかと思うけどね。
カトリックの教理では、マリアは夫ヨゼフを含めて終生男と交わらなかったということになっているらしい。「おかーさんはセックスなんてしてないんだ!」というマザコンの坊やがそのまま大人になってしまったような説ですな。イブが「快楽を知って」楽園を追放されるのもそうだし、キリスト教には連綿とセックスを罪悪視する思想が流れている。なぜなのだろう
しかし、処女懐胎はありえない、というだけで抗議されるとは。天動説と変わらないではないか。万が一事実だったとしたら、キリストの遺伝子はマリアのクローンだから、イエスは女性?
◇
『嗤う伊右衛門』読了。→レビュー。『意識の進化とDNA』読了。→レビュー。『第二段階レンズマン』読了。→レビュー。
61.198.191.19 時 360 1039531258 K−1グランプリいまさら土曜日のK−1グランプリの感想を書くのも間抜けだが、ちょっとだけ。一番印象的なのはマーク・ハントがステファン・レコを倒したカウンターの左フック。全試合を通して見るべきパンチはこの一発だけのような気がしたけど、2ちゃんでもYahooでもまったく話題になってないのはなぜだ。
まあ、試合としてはたしかにボブ・サップ対アーネスト・ホーストは面白かった。サップからダウンをうばったホーストの左ボディ・ブローはなかなかK−1では見られないボクシングばりのパンチでありました。でも、1ラウンドは意識しすぎたのか素人まるだしのがちがちの動きだったサップのパンチが、あのダウンでへろへろになったあとの方がスムーズになったのは皮肉だ。
初期のK−1、アンディ・フグが健在でピーター・アーツが君臨していた頃は格闘技らしい荒々しい魅力がみなぎっていた。それが最近はステロイドモンスターばかりが勝つ、大味なイベントに堕してしまった。ボブ・サップのような超弩級の常識はずれのモンスターが出てきたのは、ある意味自然の流れではあるのでしょうな。しかしボブ・サップの前身であるところの、NFL(アメリカンフットボール)には、ボブ・サップ級がごろごろしているというのだから、いまさらながらK−1の層の薄さを思い知らされる。
そりゃあ、格闘技で本当に強い奴素質のある奴は唯一のメジャープロ格闘技=プロボクシングに行くよなあ。K−1プロデューサーの石井館長がいくら脱税したといっても4年でたかだか7億数千万円。マイク・タイソンやレノックス・ルイスのファイト・マネーは一試合で20〜30憶円だ。比較になりません。
61.198.197.191 闘 359 1039184980 おや?『ピーターパン』ではないか家に帰ってTVをつけたら、なつかしや、ディズニーの『ピーターパン』をやっていた。どうやら『ピーターパン2』が封切られるかららしいが、ハリウッドは2とかリメイクばかりでだいじょうぶなのかね。
『ピーターパン』は昔見たきりで忘れていたが、ラストはウェンディが家に帰って家族で空を見上げてめでたしめでたしで終わるのだね。原作ではピーターパンが再訪したときにはすでにウェンディが飛べなくなっている。しかし彼女が結婚して娘ができると、ピーターパンが娘のところにやってきてネバーランドに連れていく。その娘もまた成長して飛べなくなり次はその娘が、と永遠にくりかえされましたとさ、という「失われていく幼年期」への惜別を感じさせる、せつないラストだった。映画ではその「せつなさ」が失われ、幸福感だけの甘い砂糖菓子のようになっている。いかにもディズニーらしいエンディングだ。
それにしても、フック船長とワニの追っかけっこのスラップスティックな動きを見ていると、手塚治虫のアニメはディズニーの影響を受けているなとつくづく思う。ディズニーに『ライオンキング』で『ジャングル大帝』をぱくられて収支とんとんというところか。
「ピーターパン」も「ライオンキング」もそうだが、ディズニーアニメにはオリジナルストーリーというのがほとんどないのだね。そこが宮崎駿との大きな違いだ。私は宮崎監督の大ファンというわけではないが、作家である宮崎駿と企業体であるディズニープロとを比べるのは見当違いではないかと思う。たとえ賞獲りで争っていたとしてもだ。
しかし、そうはいっても昔のばりばりのフィルムアニメーションを見るとなかなか新鮮だ。『シュレック』のようなフルCGもすごいけど、まだまだ宮崎監督にもディズニーにもCG主体でないアニメでがんばってもらいたいものだ。日本アニメには『くれシン』もあるし。(だから〜?)
◇
『魔婦の足跡』読了。→レビュー。
柳澤桂子『意識の進化とDNA』(集英社文庫)、安部公房『燃えつきた地図』(新潮文庫)購入。
61.198.197.191 映 357 1038909434 強力神の如し2日午後7時半ごろ、埼玉県草加市氷川町の東武伊勢崎線草加駅近くで、「線路脇を男性が歩いている」という通報で駆け付けた草加署地域課の神智人巡査(26)が、高さ8メートルの高架から転落した男性を両腕を広げて受け止めた。2人とも転倒したが、男性はコンクリートの車道で額を打ち軽傷を負っただけで命に別条はなかった。神巡査は左足に軽い打撲。
同署の調べでは、男性は40歳ぐらいで、体重約70キロ。自殺を図ったらしい。一方、神巡査は柔道初段で体重100キロの巨体。2月に警察官になったばかりで、7月29日に同署に配属になり、4カ月の研修を経て、前日から交番勤務だった。8メートルとはすげー。ブル中野が金網デスマッチで金網のてっぺんからアジャコングにかましたギロチンドロップが約4メートル。あれの倍か。
しかし、相手がフライングボディプレス状態だったからよかったけど、頭からつっこむトペ・スイシーダ(名前通りだ)だったら、二人とも頭かちわれてあの世行きだったかもしれない。軽傷でよかったよかった。
自殺するときはひとに迷惑がかからない方法でやろうね。これがなかなか難しいけど、志願して地雷除去のボランティアやるなんてどうだろう。志願しても借金棒引きとかにはならないからだめか。
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『ナショナリズムの克服』読了。→レビュー。
61.198.197.191 時 355 0 1038495823 ペーパークラフト王夫人昨日のTV東京「TVチャンピオン」は「ペーパークラフト王」。いつも楽しみにしているジャンルだが、今回は3連覇の前チャンピォン大熊光男さんと2連覇の野田亜人さんの二大巨匠は出場していなかったけれど、決勝に残った三人はお二人に優るとも劣らないテクニックと造型を見せてくれたので大満足。
紅一点の酒井志保さんは、なんと大熊光男さんの夫人だという。この番組で知り合って結婚した、とのことだ。作品も可愛らしいがご本人も作品通りの可愛いご婦人で、大熊さんが心配そうに見守るのも微笑ましい。
しかし、たしか大熊さんの奥さんは前回か前々回の放送のとき、画面に登場してたけど、酒井さんではなかったような気がするのだよなあ。もっと太くてごつくて……なひとでした。ペーパークラフトもしてるとは一言もいってなかったし、やはり別人だな。ということは・・って余計なお世話でどうでもいいのだけど、TVに出るというのはこんな詮索までされてなかなか大変なことなのだね。
58.157.55.187 美 354 1038474273 こんなスレ読んでますリオハさんがご自分のところで紹介していた2ちゃんねるのスレッド「あの名作文学がライトノベルだったら」が面白かったので、私もまねをして日ごろ愛読している2ちゃんスレを紹介してみる。
「こんな瞬間移動装置はいやだ 」
ex.ダイヤルアップ接続の瞬間移動装置
SF板です。ちなみに前スレは「こんな超光速航法はいやだ」。「スターウォ−ズ 一行以内リレー小説。エピソード1」
ex.そのころ、ジャバ・ザ・ハットは逆立ちしようと悪戦苦闘していた。
読んでいると頭がぼんやりしてきます。しかし、「あの名作が・・」スレの住人の読書量はすごい。ライトノベルは全然読んでないのでピンとこないのもあったが「耳なし芳一」ネタは笑えた。
「さいたま愛生会病院」
こちらは2ちゃんではないけれど、H2さんが紹介するようなかっこいいサイトに対抗して、「ものすごいデザイン」のサイトとしてご紹介。
・・・産婦人科もあるのに胎教によくないのではあるまいか。◇
『イリーガル・エイリアン』読了。→レビュー。
『ナショナリズムの克服』姜尚中/森巣博(集英社新書)購入。
61.211.1.11 網 352 1038144910 『チェコアニメ新世代』新宿武蔵野館『チェコアニメ新世代』Bプログラム。
かのヤン・シュバイクマイエルの次の世代の作家たちのコマ撮りアニメの短編集。グロティスクな造型の人形がくりひろげる不条理なストーリー・・・・なかなか面白い。万人にうけるとはいいがたいが、そういうの(どういうのだ?)が好きな人にはおすすめ。
中では、二人組の泥棒が美術館から魔法の像を盗み出して、よみがえらせた怪物に願いをかなえさせようとする「大いなるくしゃみ」が一番インパクトがあった。強烈な造型と過剰な色彩が印象的。
愉快で楽しいのは「海賊」。アルコール依存症の孤独な海賊のキャラと、彼を邪魔するお化けタコの造型がすてきだ。ラストのブラックユーモアも効いている。
ただ68分で1,800円はともかく、2プログラム両方見ると3,600円はちと高い。Aプログラムもまた見に行こうか迷い中。
◇
『女性刑事』読了。→レビュー。
ロバート・J・ソウヤー『イリーガル・エイリアン』(ハヤカワSF文庫)、E・E・スミス、『第二段階レンズマン』(創元SF文庫)、『宮田雅之の切り絵−史記・水滸伝・唐代伝奇・三国志』(平凡社)購入。
61.198.197.191 映 350 1037287750 『たそがれ清兵衛』丸の内ピカデリー『たそがれ清兵衛』。
寅さんにしても黄色いリボンにしても秀作とは思うけれど、山田洋次監督の映画はさほど好きなわけではない。しかしこれにはまいった。ひさびさに映画を見て本当に感動してしまった。素晴らしい映画です。脚本、カメラ、美術、全てに隙がない。監督はじめての時代劇にして、黒澤映画に遜色のない、というか独自の世界を見せてくれた。山田洋次おそるべし。
私が今年見た映画でチャンバラ活劇ということで、『スターウォース/クローンの攻撃』と比べてみよう。『たそがれ清兵衛』を黒澤明と比べて論じてる文章はよく見かけるが、スターウォーズと比較するのは私くらいのものだろう。
一つめは殺陣(たて)。
ライトセーバーが両手斬りということからして、ジェダイの剣法は黒澤時代劇直伝に間違いあるまい。最近の日本の俳優の腰の座らない殺陣と比べればハリウッド剣法もなかなかのものだった。しかしここにきて『たそがれ清兵衛』の超リアルな殺陣だ。鎧袖一触。
殺陣のシーンは二回あるが、一回目はとにかく「かっこいい」。真田広之の躍動する肉体の描く軌跡の見事さは、CGや特撮では出せない、格闘や武道とも違う、鍛え上げられた(歌舞伎能狂言もふくんだ)日本の演劇の底力だ。最後の一撃には思わず「かっけー!」と声が出てしまったよ。真田広之は日本映画界の宝だな。
ラストの殺陣はこれは「こわい」。相手も一回めと違って強敵だ。緊張の極限で激発するように切り結び、徐々に出血していく。本物の切れる刀での戦いはこうだろうなあと思わせる迫力。この殺陣でやっと日本映画は黒澤時代劇を超えられたのではないだろうか。<ちょっと興奮気味?
二つめはロマンス。
これはもう宮沢りえの美しさに尽きるでしょう。美貌がアップになったときは、四十男の頭に霞がかかってしまいました。よだれがたれたかも。それよりも、特筆すべきは「所作」の美しさだ。いとしい人の身支度をするときの、きりりと襷(たすき)をかけ、身を寄せて袴をつけさせ、髷(まげ)をととのえ、するりと襷をはずすまでの身ごなしの美しさは、日本の文化の美しさ以外の何者でもない。体現した宮沢りえも体現させた山田監督もすごいです。
三つめは敵役。
スターウォーズ新シリーズの物足りなさはダース・ベイダーがいないことだと前に書いたが、『たそがれ清兵衛』の敵役、余吾善右衛門の登場シーンはダース・ベイダー級の無気味さだ。なにしろ蔵の中で仕事中の清兵衛に入り口から声をかけてくるのだが、逆光で長身のシルエットに光る眼しか見えないのが不気味かつ不吉な雰囲気。さすがに山田洋次は悪役の大切さがわかっている。なみなみならぬ存在感で演じる田中泯という人、だれだろうと思ったら、なんと世界的な舞踊家らしい。
ラストは[『幸せの黄色いリボン』そのものだ。20年前にこの映画を撮っていたら宮沢りえの役はもちろん倍賞千恵子だ]。ひさびさに映画を見て涙が出てしまいました。
館内は年輩の人がめだった。私たち夫婦が若いくらいだった。本当はもっと若い人に見てもらいたい。と思いながら、心の片隅では「なかなかこの良さは若い者にはわかるまい」などといやらしいジジイ思考におちいるる秋の夕暮れ。
いやいや、本当にいい映画だからたくさんの人に見てもらいたい。殺陣シーンだけで十分に元はとれる。
一つ心配なのは、これから他の時代劇がいんちきくさく見えて見られなくなることだな。水戸黄門(←見てないけど)くらいまでいってしまえば逆に平気だけどNHK大河ドラマ(←これも見てないけど)あたりが一番あぶない。
◇
『皇位継承』読了。→レビュー。
横尾忠則『名画感応術』(光文社知恵の森文庫)、マーク・オルシェイカー『女性刑事』(講談社文庫)、香山滋『魔婦の足跡』(扶桑社文庫)購入。
61.198.197.191 映 348 1036678175 発泡スチロール王TV東京『TVチャンピオン−発泡スチロールアート王選手権−』。
「プロモデラー」「ペーパークラフト」「メークアップアーチスト」などに並ぶ、ひさびさに面白いジャンルでした。
決勝はさすがにチャンピオンの巨大福助ロボの造型が一段抜きんでた印象。あれなら世界にも通用しそうだ。次点の空飛ぶ真っ赤なSLも絵的には素晴らしいのだが、造型の新しさという点で及ばなかったですね。
◇
『乱歩のベストホラー』読了。→レビュー。
210.234.5.160 TV 347 1036332479 DVDが家に来た!ここに書かなかったが、先月は父親の喜寿を祝い、一族郎党(郎党はいないが)で千駄木の天外天で食事をした。昨日はいとこの結婚式と、ささやかながらおめでたが続いたが、今日もめでたいことがあった。
息子が自分の学校の学園祭から意気揚々と帰ってくると、DVDプレイヤーをぶらさげているではないか。「自転車漕ぎ選手権」というイベントに友人と参加して優勝した賞品だという。固定した自転車を漕いで発生した電気の量を競うという、ただただ体力まかせのアトラクションらしいが、優勝したならなんでもいい。
そろそろDVDプレイヤーが欲しいなあなどと話していたやさきだったので、妻や娘と一緒に大拍手に万歳三唱。さすがいつも走っているだけのことはあるとか、まあ息子をほめたたえることほめちぎること。
巧言令色鮮し仁 。もちろん、優先権は息子にあるのだが、なんとかごまかして家族みんなが見られる居間に設置させるように誘導してやろう。
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最近、更新が滞っているが、これは今、HTMLをスタイルシート利用に全面的に書き換えているため。内容をHTMLで、配色や罫線や細かなレイアウトはスタイルシートで、というようにきっちり分業するように直しているのだが、凝りだすときりがない。手間がかかるわりに、できあがっても代わり映えしないことが予想できるので、とっとときりあげるつもりではいるのですが。
早くすっきりして、また絵を描きたいものです。
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『絡新婦の理』読了。→レビュー。
『江戸秘語事典』読了。→レビュー。
『乱歩の選んだベストホラー』(ちくま文庫)、ブラントーム『好色女傑伝』(鈴木豊訳/講談社文芸文庫)、『絡新婦の理』(講談社文庫)購入。
210.234.4.46 電 344 1034738176 文学オリンピック日本代表 文化庁の翻訳事業に27人の作品 (yomiuri-online 02/10/16)日本の現代文学を海外に普及させようと、文化庁が今年度から始める翻訳事業の対象に15日、作家27人の作品が決まった。文豪・夏目漱石らと並び、「外国人に一定の評価が見込まれる」との選考基準で、山田詠美、横森理香、末永直海各氏ら若手の作品も選ばれた。翻訳本は米国の図書館などに配られる。選定委員は田辺聖子氏、福田和也氏ら5人。末永直海ってだれ?最近の作家さんにはうとくなったけど、日本を代表する人なんですか。
作家と作品は次の通り。
▽芥川龍之介(作品未定)
▽石原慎太郎 わが人生の時の時
▽内田百ケン 冥途・旅順入城式(ケンは門がまえに「月」)
▽岡本綺堂 半七捕物帳(第一巻)
▽獅子文六 自由学校
▽島田荘司 占星術殺人事件
▽曽野綾子 天上の青
▽樋口一葉 たけくらべ・にごりえ・十三夜
▽宮本輝 錦繍
▽山田詠美 ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨
▽逢坂剛 斜影はるかな国
▽大岡昇平 武蔵野夫人
▽大佛次郎 赤穂浪士
▽梶井基次郎(作品未定)
▽川口松太郎 しぐれ茶屋おりく
▽北方謙三 檻
▽小島信夫 抱擁家族
▽末永直海 百円シンガー極楽天使
▽永井荷風 腕くらべ(または「ボク東綺譚」ボクはサンズイに「墨」)
▽夏目漱石 坊っちゃん
▽長谷川伸 日本捕虜志
▽林芙美子 浮雲
▽藤沢周平(作品未定)
▽山田太一 異人たちとの夏
▽夢野久作 ドグラ・マグラ
▽横森理香 ぼぎちん バブル純愛物語
▽吉行淳之介 夕暮まで
川端康成、大江健三郎のノーベル賞コンビや三島由紀夫、谷崎潤一郎、安部公房が載っていないのは、すでに翻訳されているということなんだろうね。
山本周五郎、中島敦なんて方が外人には受けそうだけど、北方謙三かあ。翻訳しちゃえば文章のうまい下手はあまり伝わらないからいいか。
逆に岡本綺堂の名文と江戸情緒を翻訳するのは至難の業だろうし、それが伝わらなければ紹介する意味がない。外人に教えるのはもったいないので、日本人だけの楽しみにとっておいた方がいいような。
『ドグラ・マグラ』とくるなら『家畜人ヤプー』だったら、もっと外人の度肝を抜けると思うぞ。
筒井康隆はどのくらい翻訳されているのだろうか。『虚航船団』がどんな国でどう読まれるのか知りたい気がする。
私のおすすめは小林恭二なんだけど、選定委員が田辺聖子に福田和也では選ばれないか。 61.211.4.218 本 343 1034507097 青松寺/ウィーン美術史美術館名品展 娘の学校の文化祭に妻と顔を出し、文化祭はそこそこに、まず近くの芝愛宕の青松寺へ。
ここには籔内佐斗司の十六羅漢像が収められ、今は四天王像の制作が行われているらしい。残念ながら、11月の復興大伽藍落慶法要までは一般公開はされていない。しかし、広い境内のそこかしこに籔内作品が設置されているので、散歩してるだけで十分楽しめる。
境内の高台の望楼にはやはり籔内作品の「十二支の摩尼車」が取りつけられている。
涼しい風が気持ちの良い望楼には、昔愛宕に住んでいて懐かしくてたずねてきたという老婦人と、私たち夫婦しかいない。連休で東京タワー行きの観光バスでごったがえす下界の喧騒がうそのようである。
続いて東京芸大美術館の『ウィーン美術史美術館名品展』へ。
サブタイトルが「-ルネサンスからバロックへ-」というのだが、まさしくその通りの内容。
特にカラバッジョや彼の後継者ジェンティレスキの写実表現が圧巻だ。「人物をリアルに描く」という技術はこの頃(16〜17世紀)にはもう完成されているんだね。
他には北方マニエリスムの現代のゲーム世界にも通ずるような建築絵画や、私がこれまでに見た最高最凶のメデューサ絵、ルーベンスの「メデューサの頭部」などなど。
谷中の「シャーレースイスミニ」で軽食。谷中まつりでいつになく混雑していた。経営者の謎のスイス人デニーさんも上機嫌のようだ。 61.198.185.241 美 342 1034215727 作業着の似合うノーベル賞 ニュースがはじまったときは明和電機の新製品発表会かと思ったのだが、違った。島津製作所の新製、ではなく、田中耕一さんのノーベル化学賞受賞の会見だった。
アジア大会では中国や韓国に水を開けられているけど、さすがに科学技術はたいしたものだ。これで理数離れに歯止めがかかる・・といけばいいけどね。
東大でも京大でもなく、博士でもない民間人の主任さんの受賞・・色んな意味で励みになった人が多いことだろう。日本的序列をくずされてむっとしてる奴もいるだろうと思うと、ちょっと愉快であるし。
心配なのは、田中さん、大御所先生たちの受賞とは違って上司同僚たちからのやっかみとかは大丈夫なのかね。他人事ながら心配してしまいます。まあ、そんな環境だったら、ノーベル賞に値するような研究はできなかっただろうとは思うけど。
他の企業で「これから発表論文の署名は全部おれの名前にしろ」なんていうバカ社長が出てくるのではないだろうか。そんなとこが賞とれることはないだろうから心配はしていないが。(私が心配することでもないけど) 61.211.4.218 時 341 1034172768 ボディダブルな人々 「竹中ショック」とやらで、株価がずるんずるん落ちていますが、その竹中平蔵大臣、一部ではヤワラちゃんこと田村亮子に似ているといわれているが、私の見るところえなりの弟にそっくりである。リンク先の写真ではあまり似てないが、機会があったらじっくりご覧になることをおすすめする。
えなりの弟が日本経済の舵取りをしてるというのも、なんだかお尻がむずむずするが、では兄貴のえなりかずきが誰に似てるかといえば、これが一部のOLのおねーさんがたに人気のTBSアナウンサー安住紳一郎に良く似ている。
安住ファンらしい私の妹に話したら「似てないわよっ!!」と激怒しておりました。
そりゃあ、髪型とか顔全体の印象とかは似てないけど、眼及び目つきがそっくりなのだ。良く見てごらん。
といったら、もっと恐い顔で「うるさいわね!・・今ちょっとそうかも、と思っちゃったじゃない!!」と怒られてしまった。
ほーら、やっぱり、似てるじゃないか。
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横尾忠則『名画裸婦感応術』(光文社知恵の森文庫)、京極夏彦『嗤う伊右衛門』(角川文庫)、『絡新婦の理』(講談社文庫)購入。 210.198.165.203 TV 340 1033897864 ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団♪ 先々週の『内藤ルネ展』に引き続き弥生美術館に『江戸川乱歩の少年探偵団展』を見に行く。
大乱歩の名声を確固としたものにしたのは『二銭銅貨』『心理試験』『D坂の事件』『陰獣』『パノラマ島奇談』といった本格探偵小説の傑作群だろう。
戦後書かれた、『蜘蛛男』や『吸血鬼』などは「通俗」といわれて評価は低い。いわんや子供向けに書かれた少年探偵団ものにおいておや。
たしかにそのとおりではあるのだが、子供時代にタイトルの「少年探偵団の歌を聞いてそだった私のような人間には、その通俗ものの怪人怪盗サーカス団などが登場する怪しげな物語が、なんともなつかしいのである。
狭い館内は、少年探偵団ものが連載されていた当時の怪しげな表紙絵やさし絵がいっぱいに展示されている。怪しげといっても絵自体はみな一流のさし絵画家だ。現代のイラストレーションと比べれば泥臭いセンスではある。しかし、しっかりしたデッサン力と場面を劇的に描く歌舞伎絵的手法は、「面白さ」という点では上回るのではないか。
なにより名探偵明智小五郎の助手役の小林少年が、実に美少年に描かれているのが印象深い。それも近年の七三分けのモダンボーイ、鉄人28号の金田正太郎のようなのは、もうひとつ面白くない。やはり、戦後すぐのさし絵に描かれている坊主頭の小林少年がいい。濡れたような目にふっくらした唇、まさに眉目秀麗の美少年。乱歩のお稚児さん趣味を見事に視覚化した職人絵描きたちの手腕に脱帽である。
特筆ものは少女クラブに連載していた『魔法人形』のさし絵だ。
娘の美しさを永遠のものにするために発明した秘薬のために、生きながら人形になってしまう少女・・・といった話らしい。
話自体、かなりきてるが、その中の、悪人をあざむくため小林少年が女装してわざと囚われるというエピソードのさし絵が展示されていた。
小林少年が長椅子の中に閉じ込められ、椅子には何本も短剣が刺さっているという危機一髪のシーン。昭和30年代の上流夫人らしい、いわゆるワンピースに身を包み、悲痛な顔で腰をくねらせて剣をよける小林少年が異常に色っぽい。
画家は私の好きな石原豪人。怪奇もののさし絵を得意としていたけど、さすがにやります。
帰りは千駄木まで歩き、乱歩ゆかりのD坂=団子坂を散歩してから帰路につく。 210.198.165.203 美 339 1033359254 走れQママ 高橋尚子がいいのは、コメントを求められたときなど「嬉しく思います」なんていう気持ち悪い言葉を使わないことだね(過去にも記憶がない)。昨日もちゃんと「嬉しいです」と言っていた。
「嬉しく思います」って言っていいのは皇族だけにしようよ。
しかしQちゃんも30歳か。ん、ということは貴乃花と同級生だ。だからどうした、というわけではないが、どっちも強いねえ。
女子マラソンとして世界初の国際陸連公認レースは1979年の東京国際女子マラソン第一回大会。このときから見ているけど、一、二回と二連覇したジョイス・スミスは上品な感じのイギリス夫人でした。記録は2:30:27(第二回)。20年で11分も縮まったというか、11分しか縮まっていないというか微妙なところだね。
スミス夫人が2時間30分ちょっとで走って優勝したのは、彼女が42歳のとき。しかも娘二人の母親だった。
高橋尚子選手も結婚したり子供産んだりしても、それでも走ってたまに優勝したりしたら、かなりかっこいいんだけど・・・・
・・・・やってくれ。 61.211.8.54 ス 338 0 1033262272 夢百景:河豚と兄妹 大きな河(隅田川か?)のそばの土手の上にいる。右下の河原には息子と娘がいる。二人の年齢は現在から少しさかのぼっている。中学生と小学校高学年くらいだろうか。
二人の先の川面に、なにか巨大な変なものが浮かんでいる。
4mくらいある河豚だ。最初はつくりものなのか生きているのかわからない。
白地に青い斑紋があり、ぽっかりと横腹の中央が空いている。肌の質感は紙を何枚も重ねて糊で固めたような感じ。要するにハリボテっぽい。つくりものなのだろう。
兄が止めるのもきかず、娘が河豚に飛び乗り、空いた中央部に入ってもぐりこんでしまう。
たちまち河豚は空気が抜けたようにしぼみはじめ、ぶくぶくと泡を出して沈んでしまった。もちろん娘も一緒だ。
息子に大声で「○○○(娘の名)に泳いでもどれと言え!」とどなる。
息子が何か言っている。
河豚が沈んだあたりから、娘が泳いでもどってくるのが見える。
なぜか水面に顔を出さず水面下をバサロでもどってくる。
これで安心だな、と思ったところで目がさめた。◇
『Mr.クイン』読了。→レビュー。
223.132.25.40 夢 336 1033010964 拉致事件で一番こわいのは 【北朝鮮拉致事件】朝鮮総連に激震。
日本人拉致事件で一番こわいのは、金正日将軍様が認めたにもかかわらず北朝鮮民衆は何も知らないということだ。
日本ではマスコミは悪者ということにするのがはやりだけど、北朝鮮とその他の国との違いはマスコミがあるかないかだ。
プライバシー保護の名目でマスコミを規制するというのは、民衆が自分で自分の耳をふさぐことになるのは間違いない。プライバシーは(時にはコストをかけて)自分で守りましょう。
だから外務省がやった一番いけないことは、細部を隠蔽したことだ。馬鹿な国民はよらしむべし知らしむべからずということなのだろう。本当に一番知られたくなかったのは、自分たちが国民と同程度の馬鹿であるという「衝撃の事実」なのだろうが(衝撃じゃないって)。
知られていけないことなんてこの世にはない。両親は夜セックスしているし、プロレスの勝敗はすべてあらかじめ決まっているし、死んだらなんにもなくて、神も仏もUFOも人間の脳内だけの存在だ。*
日本人拉致だけでなく、北朝鮮の過去の犯罪には、たとえば大韓航空機爆破事件がある。蜂谷真由美ことキム・ヒョンヒ(金賢姫)だ。
リンク先の写真はあまり美人に撮れてないが、事件直後、金賢姫の美貌が電波に乗ったとたん、マスコミの空気が一変したことを覚えている。韓国では結婚の申し込みが殺到したというから驚いたというかなんというか、苦笑してしまいました。
数年前、金賢姫は執筆や講演で生計をたてているという記事を読んだことがあるが、今はどうしていることやら。
やったことは搭乗客115人全員が死亡したという大犯罪だ。美人でなかったら、死刑もありえたのではないか。美人は得だが、美人でなければ工作員に選ばれることもなく殺人をおかすこともなかっただろう。
しかし、罪を犯して捕まり裁かれ、結果として北朝鮮を脱出して今は別の(たぶん北朝鮮より自由で豊かな)世界にいる。本を出して日本でまで出版されたりもしている。美人はそうでない人より、良くも悪くも波瀾万丈な人生をおくる機会にめぐまれているということだろうね。
どんな国家体制であってもだ。
だいたい金賢姫以外にも捕まった犯人はいたはずだけど、全然覚えてないもんね。◇
小島貞二編『禁演落語』(ちくま文庫)購入。 61.211.8.54 時 335 1032682982 『内藤ルネ展』 妻のリクエストで弥生美術館に内藤ルネ展を見に行く。
70年代に活躍したイラストレーター・デザイナーでサンリオの苺シリーズの生みの親である。その「カワイサ」のフォルムは現代の漫画家やイラストレーターにも確実に引き継がれている。鳥山明のガッちゃんを彷彿とさせるキャラもありました。
ルネデザインのグッズで育った妻はキャーキャー言っておりましたが、狭い館内は女性を中心に盛況。再評価の噂は本当だったんだね。
カワイイ系ばかりではなく、二階には80年代以降を中心にした耽美的なイラストが展示してあり、これがなかなかいい。長年描いているという「薔薇族」の表紙も片隅にひっそり展示されていた。「特集:感謝感謝の男の肉まつり」という表紙のコピーが場違いで大笑いしてしまった。
弥生美術館は狭く小さく、併営の「竹久夢二美術館」は全然好みでないし、私にとってはリーズナブルではない。しかし来月から年末までの展示が『江戸川乱歩の少年探偵団展』、年が明けると『伊藤彦造展』というラインナップのマニアックぶりはなかなかあなどれない。 210.169.69.169 美 334 1032580974 『小倉遊亀展 』 東京国立近代美術館『小倉遊亀展 人、花、こころ』。
昨日の仕事の帰りに茅場町で妻と待ち合わせ、木金は午後八時まで開館している竹橋の近代美術館へ。
さすがにこの時間だとゆったり観られる。気に入った作品をもう一度見直せるくらいの余裕がないと絵を見に行った気がしないので、混雑した美術展は苦手だ(得意な人もいなかろうが)。だから、夕方から夜にかけてというのは狙い目である。欲をいえば午後九時まで延ばしてくれると時間的に余裕ができるのだが。
小倉遊亀は日本画ばりばりの人だと思っていたが、三十歳前のデビューから百五歳でなくなるまで、七十年を越す画業はそんなに単純なものではなかった。
日本画らしい女性像が代表的だが、マチスやピカソのようなフォルムが現われたり、シンプルな色面で立体感を表現した静物画も楽しい。描かれる花や果物、人物に配されている陶磁器などの小物がまた素晴らしい。いかにも良い品っぽいオーラが絵からも伝わってくる。
婦人像では越路吹雪や武原はんをモデルにした大作もでていたが、画家の家族を描いた日常画や、なにげない座像にひきつけられる作品が多い。たとえば「聴く」という黒い着物の婦人の座像が、厚み奥行き立体感を微妙な黒の色調の違いだけで表現していて、実に参りました。
もちろん、日本画独特の筆線もやはり魅力的だ。一息にひいただろう長い線描が、九十歳近い作品にも健在なのにはおそれいる。
百歳越してからは、さすがに小品ばかりだが、それでも色調や線描にいささかも衰えや枯れたところが見えない。楽しげに描かれた果物や花々。まるで青春期の作品のようだ。
実際、絵を描いているときの小倉遊亀は、死の直前までも生の盛りだったに違いない。 61.211.8.54 美 333 1032493579 我愛玉子的少女 妊婦が「卵」を出産(www.xcnjp.com)先頃、湖南桃源県沙坪鎮に住むある妊婦が、自宅で"男女の双子"を出産した。同時に、彼女は男の子を出産してから、丸い形の物体を出産した。丸い巨大な卵らしい。さすがは、中国ですねえ。なんでもありだ。
家族は怪しい物だと思い、豚小屋に捨てた。
助産婦さんは気配りが細かい人で、彼女はその"卵"を再び拾って洗ってから、はさみで切り、その中には、発育状態が良く、睡眠状態の女児を発見した。この女児は卵から生まれた。
産婦人科の医師の説明によると、このようなことはとても少なく、珍しいとのこと。
「ヘソ」はあるのだろうか?
2ちゃんねるでは「リアル栽培マン」とか「リアルピノコ」とか言われている。
私が連想したのははくちょう座の伝説。
美女レダをみそめた大神ゼウスが白鳥に化けて近づいて情を遂げたというギリシャ神話。レダは妊娠し(ギリシャ神話では神と交わると百発百中で妊娠する)、卵を二つ産む。
一つからは、天にのぼって双子座になる男の双子、カストルとポリュディケスが生まれる。もう一つからは、トロイア戦争の原因になったヘレナとトロイア戦争から凱旋した夫を殺す密通妻クリュタイメネストラの二人の美女が生まれる。
中国の「実話」の方は、神話よりかなり卑俗で生々しいが、2ちゃんでは色々な真相が推理されていた。
・羊膜が異常に厚かった。
・見世物で儲けるためのネタ。
・奥さんが夫以外に鳥と浮気していた。
・一人っ子政策の影響でいらない女の子を捨てたら助産婦に見つかった。
・二人も産んで腹が減ったから点心にしてたら助産婦に見つかっちゃった。
私的には最後の説がお気に入り。
しかし「産婦人科の医師の説明によると、このようなことはとても少なく、珍しい」って、前例があることはあるのかいな? 61.211.8.54 時 332 1032407623 The スモウ 昨日の貴乃花は「これぞ相撲の極意」だという「間合いの芸」を見せてくれました。スピード・瞬発力抜群の朝青龍の攻撃力を半減させる間合いに、常に踏み込んでいった技術と気力はさすがのひとこと。
朝青龍の方は、低くくらいつくように攻めるべきだったのに、上突っ張りや張り手など上方に向かうベクトルでの攻撃になってしまったのが敗因だろう。せっかく双差しになったのに、のびあがるような外掛けで墓穴を掘った。闘志あふれすぎて逆効果か。
これで「貴乃花は同情されて勝ってる」「片八百長だ」などという声は小さくなるだろう。朝青龍はどう見ても同情して手を抜くようなタマではないからね。
横綱の顔に遠慮なく張り手をぶちこむやんちゃぶりは期待通りでした。
他の取り組みが、どーん・・ぱったり、どーんどーん・・ばったり、というのばかりだったので、なおさらこの相撲の面白さが際立った。
先場所までの相撲不人気が「貴乃花が出場していないから」と協会が思い込んでいるとしたら間違いだ。要はつまらない相撲ばかりだから見なくなるのだ。(少なくとも私はそうだ) 61.211.8.54 闘 331 0 1032336050 理想の亜細亜人 二十五年間でほぼ三分の二が死亡しているなんて、なんらかの犯罪行為があったと考えるのが自然だろう。それとも北朝鮮の平均寿命は四十五歳ぐらいなのだろうか。
ブッシュの「悪の枢軸国」発言がおおげさでない感じがしてきてしまったよ。◇
前回のメモで書いた「男の夢ジョーク」だが、どうやら原典は中国のようだ。色々なバージョンがあり、ドイツの車やフランス人の愛人が入っているのもある。ただ、前回紹介のバージョンでないと「一つずらすと」というのがうまくいかないようだ。
この手の「国民性ジョーク」での日本人はだいたい集団主義をネタにされる。
ドイツ人は正確でくそまじめ、フランス人は恋愛至上主義、イタリア人はいい加減、ユダヤ人は守銭奴で、アイルランド人は短気、ポーランド人は・・
少し例をあげてみよう。●世界に居ないものいかにもステレオタイプなイメージが笑いを生むのだが、過激なやつはもっと深刻な差別意識があらわになる。いかにも米南部白人が言いそうな黒人・プエルトリカン差別ジョークなどは、ここにはとても書けないようなのが多い。
アメリカ人の哲学者、ドイツ人のコメディアン、フランス人の道徳家、イタリア人の法律家、イギリス人のシェフ、日本人のプレイボーイ。
●敗戦の時にブラジルに居た移民
ドイツ系=戸を閉めて、ひたすら閉じこもっていた
日系=涙をぬぐいながら畑で働いていた
イタリア系=呑めや唄えのドンチャン騒ぎ
●象の研究のテーマ
イギリス人=アフリカ象の生態
イタリア人=アフリカ象の性生活
アメリカ人=アフリカ象社会の家庭崩壊
日本人=アフリカ象が見た日本人
→ニガーとちびくろサンボとアフリカ。
ネタにされるアジア人は中国人と日本人が多いようだ。私が目にするジョークが日本や欧米産のものが多いからだろう。おそらくアジアの各国ではアジアのあらゆる国をネタにしたエスニック・ジョークがたくさんあるだろうと思うのだが・・
知りたくもあり知りたくもなし。
日本人作でもなく韓国人作でもない韓国人ジョークをさがしたのだが、なかなか見つからない。W杯以後、きっとたくさんあるだろうとは思うのだがね。
見つかったのはこんなところ。→「理想のアジア系アメリカ人」。
日本人も中国人も韓国人もいっしょくたでありますな。まあ、それが米国での一般的印象なのかもしれない。 58.157.55.188 時 330 1032077768 国際化の罠<ウタマロとか> 陸上国際グランプリファイナルで男子100mで世界新、ハンマー投げの室伏広治は種目別優勝。
100mの決勝はニュースで見たけど、黒人世界選手権かと思いました。
偏見ぬきで、身体能力の人種的優秀さは否定しようがないでしょう。
室伏選手も、父は「鉄人」と呼ばれたハンマー投げの名選手で母はフィンドランドだかの陸上のオリンピック選手だ。超優秀な陸上遺伝子の持ち主である。
ちょっと話が飛ぶが、例のチリ人妻アニータ・アルバラード嬢。歌手デビューでアニータブランドのワインまで出るという。「官能とともに恋の魔力を味わえる」というキャッチでラベルは、「ドニャ・ゲイシャ」。青森県住宅供給公社にとっては悪夢のようなワインだが、どうやらチリではミス・アニータはセックスシンボル扱いのようだ。
そのたくましさは、正直、痛快なほどだ。日本人男性の劣等性を罵倒した発言さえなければ、日本のバラエティ番組でも大活躍できたかもしれない。しかし、日本人男性は小さいの早いのと、最後っ屁をかましてしまってはそうもいくまい。
劣等なる日本人男性としては馬鹿にされっぱなしではくやしいので、ここは日本男性の精鋭をチリに送ってミス・アニータに目にもの見せてやりたいところだ。
一番手はやはり○賀研二選手だが、彼はハーフなのでミッションに成功しても敵にあたえる(日本人男性を見なおさせる)インパクトに弱い。しかたがないので、二番手として○澄賢也選手に研ちゃんの名代として単身チリに飛んでもらうことにしよう。
ここで冒頭の話題につながるのだが、日本の色んな分野で筆頭は純日本人(なんてものがあるのか疑問だが)でなくなる可能性が高い。国技大相撲もうすぐ両横綱を他国出身者(ハワイ、モンゴル)が独占することだろう。
日本政府も小手先の少子化対策なんてあきらめて、他民族をどんどんうけいれて永住してもらえるようにしたらどうだろう。はるか昔にも、大陸からの渡来人が日本に技術を伝え永住した。現在の日本人の染色体の相当部分が彼らの遺伝子によって構成されていることは間違いない。今上天皇陛下も金大中大統領に天皇家にも朝鮮民族の血が入っているらしいと屈託なく話していたくらいだ。
近い将来、多くの人種的特徴をそなえた新日本人ができることを想像すれば、なんとなく楽しいではないか。今より優秀かつ強くなることは間違いないと思う。近親交配が環境適応的に弱くなるのが正しいなら、より広く交配するほど強くなるのは必然だろう。*
外資系の会社の人事担当の方とお話しする機会を得たのだが、その会社への入社を志望してくる女性の大部分は「外人との結婚」を目的としているらしい。
その人の偏見ではなく、実際面接して特技を聞くと「英語」と答えるのは圧倒的に女性らしい。「うちは外資系なので英語はあたりまえなので、他に仕事として得意なことはありますか?」と聞くと絶句する女性が多いらしい。
そして「彼女たちが配偶者として想定している『外人』は白人であって、優秀でもアジア人は対象にならない」そうだ。
かつて「男の夢は、アメリカ人の給料をもらい、中国人のコックと、イギリス人の執事を雇い、イタリアのファッションを身につけ、ドイツの家に住み、日本人の妻をめとることだ」というエスニックジョークがあった。くだんの女性たちはぜひこのジョークを古典にしないようがんばってほしい。
ウタマロ浮世絵のデフォルメが世界の女性にあたえた夢を、日本人男性がむなしくこわした轍を踏むことのないように。*
先のジョークは、一つずつシフトすると男の最凶の悪夢になる(らしい)。
「中国人の給料をもらい、イギリス人のコックと、イタリア人の執事を雇い、ドイツのファッションを着て、日本の家に住み、アメリカ人の妻をめとる」 210.234.5.34 時 329 1031842575 変態フラッシュにご注意 近所の家の奥さんに聞いた話。
その家の高校生の娘さんは、通学に地元駅から家まで自転車を使っている。
その日も家の前に着いてから駐輪場に自転車をしまい、玄関まで外階段を登りはじめたらしい。
そのとき突然、背後でフラッシュが光ったという。
あわててふりむくと、階段下から走って逃げていく男の後ろ姿が見えたそうだ。手にはカメラらしきものを持っていたらしい。
駐輪所は待ち伏せできるようなところではないので、おそらく駅からつけてきたのだろう。
写真を撮られたこと以外特に被害はなかったそうだが、うちも同年代の娘がいるので、親切にも教えてくれたのだ。
昔もよその家の風呂場をのぞいたりする輩はいた。とっつかまったら町内の高校生だったりしたこともあるから、のぞきぐらいでは驚かない。だが最近は写真に撮るというのが悪質だ。
自分だけでのぞいて楽しむだけでなく、もしかしたら画像をインターネットに流したり金銭に換えたりしてるかもしれない。単純な窃視症の変態より気持ちが悪い。
もちろん、娘には注意しましたよ。
「撮られたときの用心にパンツに『便秘中』と書いとけ」といったら怒っていた。
変態一人のために家庭が不和になる。どうしてくれるんだ。 218.222.16.122 雑 328 1031799298 ナイン・イレヴン 9.11の追悼式典をニュースで見ていて、ふと思ったのは、太平洋戦争で原子爆弾を日本が先に作っていたらどうなっていただろう、ということ。
当時の情勢で原爆を造るより難しいのは、それを米国本土で爆発させることだ。まあ、風船爆弾というわけにはいかないから、映画『1941』みたいに潜水艦で近づいて上陸し、ロサンゼルスあたりにキノコ雲をあげたと仮定する。そのあと、ボコボコに反撃されて結局敗戦は免れなかったでしょうが。
そうなったら、戦後、日本人と日本国が史上最凶最悪の民族・国家とみなされていたことは想像に難くない。アメリカ版のヒロシマナガサキは世界平和の象徴とされて聖地扱いされていたことだろう。アメリカは被爆国としての悲劇と国家的団結を原爆記念日ごとに声高に叫んでいるに違いない。
世界の同情は米国に集まり、憎悪の目が日本に向けられる。日本の歴代の首脳が毎年遺憾の意を表明し謝罪をくりかえしても日本人への蔑視危険視が消えることはない。日本人自身も罪悪感にさいなまれ、世界の劣等民族であることを自覚しながら小さくなって生きている・・
なんだか、想像が『家畜人ヤプー』のようになってしまったけど、原爆で他国の民間人を虐殺した国はこういう扱いを受けるのが当然だと思う。しかしヒロシマナガサキに罪悪感を持っているアメリカ人がいったい何人いることだろう。
別に罪悪感を持てとも謝罪しろともいわないしその必要もない。ただ、あったことやったことは自覚しといてほしい。
これは日本軍のいわゆる南京大虐殺でも一緒ですな。何十万も殺されたというのは嘘だろうし、かといって全然民間人を殺していないはずもない。現代のわれわれが罪悪感を持つことも謝罪する必要もないし、逆に「いいこともした」などと笑止な言い訳をすることもない。ただ、お互いにろくなことはしなかった、ということは自覚していたい。
世界貿易センターの犠牲者も気の毒だけど、同じようにアラブの民間人もアメリカやイスラエルの攻撃で犠牲になっている。9.11の以前も以後もだ。どちらも民間人虐殺であることでは等価だろう。
どっちが正義などと、いいっこなし。 61.211.8.54 時 327 1031739220 『オイディプス王』 シアター・コクーン『オイディプス王』をビデオ鑑賞。
演出蜷川幸雄、音楽東儀秀樹、主演野村萬斎、麻実れいという豪華メンバー。
ソフォクレスの原作は現存する最高のギリシャ悲劇だろう。『メディア』や『エレクトラ』など他にも有名な作品はあるが、いずれも登場人物のメンタリティが現代の読者からはかけはなれていて感情移入がむずかしい。比較すると『オイディプス王』はわかりやすい。近親相姦と父親殺しというテーマはフロイトが有名にしたが、オイディプスも彼の母であり妻であるイオカステもお互いの関係を知らずにタブーを犯してしまうのであって、確信犯ではない。「おそろしい神託=運命」にもてあそばれた被害者である。
パゾリーニが映画化した『アポロンの地獄』も大好きな映画だが、現代イタリアのシーンと対比させたりかなり大胆に原作を翻案していた。蜷川演出は科白こそふくらませてはいるが、原作に非常に忠実に劇化している。
忠実に劇化された『オイディプス王』を見ると、ストーリーが実によくできていることに感心する。とても二千四百年も前に書かれた劇作とは思えない。
最初に「先王を殺したのは誰だ?」という謎が提示され、怪物スフィンクスの謎を解いて国を救った実績がある現王オイディプスに解決がゆだねられる。王は殺人の犯人を捜査しながら、なりゆきで自分のルーツをも追求することになる。
いわば世界初のミステリーといっていいだろう。オイディプス王が探偵で犯人で被害者だ。イオカステがワトスン役で被害者でもあり、重要な証人でもある。
野村萬斎は怪物を倒した英雄にしては体が細すぎるのが難だが、発声、科白廻し、所作は見事なものだ。エキセントリックさも十分だし、なにより悲劇の王にふさわしい色気がある。
イオカステ役の麻美れいは宝塚くささはあるもののギリシャ悲劇の大時代なところに似合っていた。姿も声も美しく王妃の貫禄が十分にある。近親相姦の象徴としては、もう少し豊満さと妖しさがほしいところだが、これは好き好きだろう。
『アポロンの地獄』のシルバーナ・マンガーノはその妖艶さで申し分ないイオカステぶりでありました。凛々しさでは麻美れいが上。さすがはアンドレさまだ。
しかし、この悲劇、神託=運命からはいかにしても逃れられないという話だけど、余計な神託さえなければ何事も起こらないはずなのだよなあ。こういうのを予言というのは納得がいかない。
・・というテーマでいつかWEB漫画になどしてみたいのだけど・・重すぎ?◇
『クロサワさーん!』読了。→レビュー。
『天使の緊縛 藤野一友=中川彩子作品集』(河出書房新社)購入。
61.211.8.54 劇 325 1031287130 住基ネット? うちにも住民基本台帳コードがやっと送られてきた。こんなコード一つで世の中はなにを大騒ぎしているのかよく理解できない。行政サービスをシステム化するのにユニークなコードが必要なのは当たり前ではないか。
問題は「コード化することで将来こんなことができる」というビジョンが全然しめされていないことと、悪用の防止策が決まっていないことだ。いまどき公務員の性善説などだれが信じるものか。
たとえば職場や金融機関は、住基コードを聞くだけで違法罰金営業停止にするくらいの罰則がなければいけない。もちろん公務員が外にもらしたり不要なアクセスをすれば問答無用で懲戒解雇だ。
しかし、いまのところこのコード、消費者(住民)には全然役にたたないよね。
将来はコード一つで住民票、健康保険証、パスポート、運転免許証、クレジットカード等のすべてのIDを管理できるようになってほしいものだ。他人に悪用されないようにするには指紋(網膜認証でもいいけど)と組み合わせればいい。
指紋(網膜)は現在のように外国人だけでなく、行政サービスを受けたいものはすべて登録する。脱税はもちろんほとんどの犯罪は激減して住みよい世の中に絶対なるよ。
ただし前提条件が一つあって、それは行政の情報公開。資料の全面公開はもちろん、全公共機関のオフィスにはTVカメラを設置する。ケーブルTVのチャンネルをあわせればいつでも住民が役所の中をのぞけるぐらいが理想だろう。トイレと更衣室をのぞいて知事室だろうと応接室だろうと倉庫だろうと例外はなし。
このくらいしてくれれば、指紋とられたって文句はいわないさ。こちとら政治家や役人と違ってうしろ暗いところは一切ないんだから。◇
小泉総理の訪朝、はたして確たる成果がでるやいなや。誘拐された国民の生命が外交の取引手段にされている。政府は表の外交だけでなく裏の手段は取っているのだろうか。
向こうはもちろん非合法な方法で誘拐したのだろうから、こちらも非合法な方法を使う選択肢があってよい。ゴルゴ13や戦争の犬たちみたいなプロフェッショナルにたのんで取り返してくるというわけにはいかないのだろうか。要するにミッション・インポジブルだ。言葉や人種的な壁があるから欧米人では難しい。、KCIAくずれのプロ(いるかどうか知らんが)なんかどうだろう。
映画の見すぎ?
でも、「外交機密費」なんて本来こういうことに使うべき予算ではないのか。役人の飲み食いではなくてさ。
もちろん、誘拐された人が危険にさらされるリスクが大きいから非現実的な話ではある。しかし小泉訪朝がうまく行かなかったら、そう冗談ごとでもあるまい。◇
土屋嘉男『クロサワさ〜ん!』(新潮文庫)購入。 61.211.8.54 時 324 1030797535 リークの証明/ABUロボコン さっそくリークによって東電の原発トラブル隠しがあきらかになったわけだが、内部告発者は米在住技術者で匿名希望ながら実名をあかしていたらしい。
引用先の記事によれば「原子炉等規制法には内部告発者の地位を守る項目がある」のだね。しかし、米国企業の社員は対象外になる恐れがあったため、内部告発者が辞職してからやっと当局も東電を追求できたらしい。
本当はリークなどなくても、なにごともガラス張りでオープンが一番なのだがね。機密機密と騒いでるうち、本当に守らなくてはならない機密など、万分の一もないに違いない。たとえば・・・Windowsのソースとか?◇
今日はABUアジア・太平洋ロボコンをべったり観ていた。長年のロボコンファンではあるが、ここまでロボコンが大規模になるとは思わなかった。
優勝したのが日本でも中国でも韓国でもタイでもなく、アジアの新興工業国ベトナムのホーチミン市工科大学だというのが、なんとも象徴的ではある。
日本は予選で金沢工業大学チームが、ワールドカップのライバル韓国と激戦をくりひろげて逆転勝ちしたのだから、良しとしましょう。
しかし、ひいきめではなく、金沢工業大学の『行灯君』が性能といい、ヴィジュアルといい一番「記憶に残る」マシンでありました。 218.222.16.122 時 323 1030521850 リークの勧め 武部農林水産大臣は「日本ハム、雪印食品の問題は制度に問題があるように言われているが、これは犯罪であって制度の問題ではない」とおっしゃられていた。犯罪のお勧めのような制度には問題はないということらしい。さすがは、今回の犯罪のもともとの原因である狂牛病を蔓延するにまかせてなんの責任も取らない農水省のトップだけのことはある。
なんにしても、日本ハムも雪印食品も「犯罪」は白日のもとに暴かれたわけだが、農水省や警察ががんばったわけでも、若旦那社長が良心の下自首したわけでもないようだ。
すべては「リーク=内部告発」が始まりだろう。
牛肉偽装だけでなく、外務省でも警察でも最近の組織内犯罪の暴露は、内部の人間がマスコミにリークしたのが発端だろう。それぞれの組織では「再発防止と原因究明に全力をあげている」らしいが、「リークした犯人捜し」により熱心にとりくんでいることは想像に難くない。
内部告発者は良心に従ったのかもしれないし、義憤にかられたのかもしれない。単に情報提供への見返り(金ね)目当てかもしれない。
いいことなのだろうか?
いいことだろう。
いま、組織の腐敗をかろうじて防いでいるのは、組織の「構造」でも組織人の「良心」でも組織を監視する「制度」でもないようだ。ただ一点「ばれるかもしれない」「だれかが告げ口するかもしれない」という「おそれ」の心の抑止力は強力だ。終身雇用制はくずれだしているのだから、昔のような組織への盲目的忠誠も期待できないだろう。いつだれが内部告発してもおかしくない。法律違反をしている自覚のあるむきは疑心暗鬼にもなろうというものだ。
いいことなのだろうか?
いいことなのだろう。
しかし、政や官は「いいこと」とは思ってくれていないらしい。
内部告発への対策が、例の「個人情報保護法」だ。リークを禁止して組織を守りやすくするというのが「個人情報保護法=マスコミ規正法」の主たる目的だと思う。私たち普通の人間のプライバシーを守るには屁のつっぱりにもならない法律だ。
だから、すべからく「個人情報保護法」成立には断固反対し、どしどしリークしよう。
ほら、あなたの隣の席の同僚や上司がこそこそ悪いことをして甘い汁を吸っているではないか。*
てなこといっといて、私はといえば大組織にいないのでリークするネタもないのだ。役に立たなくてすみません。 61.211.8.54 時 322 1030421182 牛の角 昨日の続きで、今後更新を予定しているもう一つのページは「マイベストブック」のシリーズ。はるか昔(98年)に『BEST5 恐るべき子供たち』を書いて以来中断している(「次回は美食ベストを」なんて書いているんだよね・・)。
おりにふれマイベストブックスをピックアップしてはいるのだが、作業が楽しい分しぼるのがなかなか難しい。
総合、SF長編、SF短編なんてところはほぼできているのだが、難航しているのが「ベストオブ萌えるヒロイン」。ベストテンでは収まらず、ベスト15くらいはいきそうである。漫画や映画と違い、小説中のヒロインは脳内画像に萌えるしかないわけだから、ある意味一番自分の根源が見えてしまうようで、いと恥ずかしい。
そんなことより、5月以降の読了記をまとめる方が先ですな。
う〜む、週末が週3回くらいあればなあ・・って、それでは末ばかり。
でかい雛鳥どもに餌を運んでやれなくなってしまう。◇
リオハさんとこの日記で「痛い話」が出ていた。
私は比較的痛みには強い(というより鈍感な)方だけど、昨日、TVでちらりと見た「衝撃映像」は痛そうだったなあ。
スペインの闘牛場で牛が観客席に飛びこんだのか、それとも大勢で牛から逃げるお祭りなのか、見るからに凶暴そうな黒い牛から群集が逃げまどっている。
逃げ遅れた一人の男性が観客席の壁をよじ登ろうとするが、間一髪まにあわない。走りこんできた牛が下から男の尻めがけ、角をグサリ!
そのまま首をふりあげた牛の頭の上で、男性は椅子に座ったような格好で宙に浮いてしまった。あきらかに(牛の角が突っ込まれた)尻の穴だけで全体重をささえている。
見ているこちらの肛門までキュゥウ〜ッと絞まってきた。
あわやと思った直後に牛の首が少しふりおろされ、男性の足が観客席の椅子にとどいた。他の観客が男をひっぱり牛の角が(すぽっと)抜けて、なんとか逃げることができた。
牛の角は20cmもささっていたそうだ。おそろしやおそろしや。
スペイン旅行するときは尻の穴だけは気をつけましょう。 61.211.8.54 TV 321 1030343030 マイ・ブックマーク さてさて、女子百景ばかり更新しているが、他にも更新を予定しているページはある。
一つはリンクのページ。
ネット上でおつきあいのある方のURLを更新するだけで、他は開設以来、一切更新してないのだからひどいものだ。中にはリンク切れもあるだろうし、私自身まったく利用しなくなってしまったところもノーチェックで載っている。
現在はデータベース(ACCESS)に登録してマクロで自動生成するようにしているが、もっとお手軽に更新できるようにCGIにしてしまおうと思っている。それにしても完成するのはまだまだ先になってしまうだろうから、とりあえずブックマークの中からリンクに登録予定のところを書き留めておく。
●絵画/2DCGのサイト
○Artcyclopedia(Fine art search engine)
ファイン・アートについてちょっと調べるのに利用。通販用なので画像は小さい。
○画家長谷川資朗のHP
基本は油彩だけど、CGのページもある。特に風景画が好きだが精緻な人物画もすばらしい。
○小林治の世界
プロのイラストレーター。私にはまったく描けない分野の、あかぬけた色彩が美しい。
○暗黒太陽通信
こちらもプロの方。Photoshop、Painterを中心にした「HowTo」「Tips」が充実している。
●3DCGのサイト
○ANDROID BLUES(3D Gallery by Steven Stahlberg)
3Dもここまでくるとすごいやね。2Dもすばらしくうまい。
○HIROAKI GENDO'S HOMEPAGE(3D)
個性的なオリジナルキャラもいいけど、やはり「バルタン星人」が秀逸。
○MetaDoll 3D Erotics!
有名なエロティック3DCGの老舗。最近の作品の女性の顔の造り込みには、かなり萌えます。動画の揺れる乳房の重量感にノックアウト。
●本/映画のサイト
○AMEQ LAND(SF Translation List)
日本で翻訳された海外SF作品を網羅したリスト。
○世界の古典つまみ食い
タイトル通り、イリアスやルキアノス、ルソーといった古典の名作のさわりや冒頭を読みやすい現代語に訳して紹介している。特にソフォクレスのギリシャ悲劇『オイディプス王』『エレクトラ』『アンティゴネ』を全訳したページが圧巻。
○CinemaScape-Index
映画評掲示板。一つの映画が実に多種多様な見方をされていることに一種感動。雑誌やTVの提灯記事の1000倍役立つ。
●その他趣味全開のサイト
○巨大動物図鑑
あまり学術的ではないけど、「古代の巨大獣」とか「トラ対ライオン(どっちが強い?)」とか血沸き肉踊る動物話が満載。画像も充実している(ところどころ水着のおねーちゃん写真をコラージュしてるのがご愛嬌)。
○怪獣の部屋
東宝、大映の怪獣映画はもちろん、吸血鬼やフランケンシュタインも網羅した特撮映画エッセイ集。文章が派手ではないがなかなかいい。どうも円谷プロが文句つけたらしく、ウルトラマン関係が閉鎖されているのが残念。そんなことしてるより成田亨記念館でも造れってんだ>円谷プロ
○ジョー小泉のひとりごと
WOWWOWの『ワールドボクシング』で「駄洒落のジョー」として有名な名解説者の元気の出るボクシング日記。
○昭和必殺技名鑑
格闘技とはなんの関係もないけど、やはりタイガーマスクはかっこよかったと思う、かつてのプロレスファンには数々の「必殺技」写真がなつかしい。◇
山田風太郎『戦中派焼け跡日記―昭和21年』(小学館)購入。 61.211.8.54 網 320 1029745023 へたれ絵描きの妄言 こんな半端なメモでも、しばらく書かないでいるとてきめんに書けなくなる。ネタを思いついても、つい「アップするほどのことじゃないな」と書かない方にベクトルが向かいがちになってしまう。そう言えば読了記も書いてないなあ。*
絵もだいぶ描かないでいたので、やはり思うようにペンが動かない。まあ、いままでも自由自在に描けていたわけではないのは、このサイトの絵を見れば一目瞭然だが、それにしても描けない。
ひさしぶりに女性ヌードを描いてみると、胴体はそこそこ描けるのだが、顔が難しい。顔以外は見たままをそのまま描いている。これは写真を描いても実物を描いても同じで、もちろん技術は稚拙だから形態を完璧に写し取れるわけではないが、とりあえず眼に映ったものをそのままディスプレイ上に再現しようとはしている。
ところが顔を描く段になると、とたんにうまくいかなくなる。眼なら眼、鼻なら鼻を見たまま描いているつもりなのに、いつのまにか「眼の記号」「鼻の記号」を描いているのだ。だいたい人体の中から「眼」という部分を他と区別して認識していること自体、無意識に記号操作をしているのだから、「記号」を完全に無視することは不可能なのだろう。記号という人類の発明品の偉大さは十分にわかっているつもりだが、他人の創造物である記号表現に自分の絵が左右されているのはいささか寂しいものだ。
私の手を導く「記号」の正体は、いままで読んだり模写したりしてきたマンガのイメージの集積だ。こいつらは非常に非常に強力である。マンガやゲームの世界にとどまらず、ファイン・アートや映画演劇のヴィジュアル面にも大きな影響を与えていることはどなたも認めることだろう。もちろん、日本だけでなく世界中に影響を及ぼしている。
もしかしたら、日本という国がなくなっても、日本人という人間がいなくなっても、日本が生んだマンガ的記号表現だけは、日本のミーム(文化的遺伝子)としてしぶとく生き残るのかもしれない。
他にはな〜んにもなかったりして。◇
『カブキの日』小林恭二(新潮文庫)、『檸檬夫人』団鬼六(新潮文庫)、『罪深き誘惑のマンボ 』ジョー・R.ランズデール(角川文庫)、『Mr.クイン』シェイマス・スミス (早川ミステリアスプレス文庫)、『 スター・ウォーズエピソード2クローンの攻撃 』R.A.サルヴァトア(ソニー・マガジンズ文庫)購入。 61.211.8.54 絵 319 1028358989 SW/EP2拾遺 『スターウォーズ/エピソード2/クローンの攻撃』について、思いついたことをもう少し。
一番の存在感を示した、ドゥークー伯爵だが、どこかのサイトにあった、「命名は日本語の毒から?」ってのはないだろう。最初にクリストファー・リーの配役ありきで、彼の代名詞「ドラキュラ伯爵」からだと思うけどね。カウント・ドゥークー Count Dookooクリストファー・リー=イアン・フレミングの従兄弟で007の悪役「ドクター・ノオ」のモデル。貴族の血をひき7ヶ国語を操る。
カウント・ドラキュラ Count Drakura*
闘技場でオビ=ワンが槍で怪物と戦うシーンは、『恐竜百万年』で原始人がアロザウルスと戦うシーンへのオマージュだろうね。*
闘技場といえば、パドメは怪物の攻撃をよけそこなってスーツのおなか部分をちぎられてへそ出しになってしまった。これだけの露出で、レイア姫がジャバ・ザ・ハットに捕まって半裸に首輪という扇情的スタイルにされたのに匹敵するサービス度は十分にあった。
キャリー・フィッシャーには申し訳ないのだが、ナタリー・ポートマンのフォース、じゃなかったチャームには隔絶した威力があった。
鎧袖一触。*
エピソード3でルーカスは驚かせてくれるだろうか?と書いたけど、アナキンの父親がシスの暗黒卿だった、ってのは予想のうちなので、驚きには入らない。
シスの暗黒卿の正体はパルパディーン最高議長ではなく・・・ん〜と、ジャージャーピンクスだったりすると面白いのだけど、さすがにそれはないか。*
私が一番、スターウォーズの新シリーズで物足りなく思うのは、ダース・べイダーが登場しないこと。あの恐怖そのもののような真っ黒な巨体の悪役の存在感あってこそのスターウォーズではないか。
だから、本当はアナキン少年がジェダイの騎士になり、フォースの暗黒面に誘惑されてダース・ベイダーが生まれるまでは、エピソード1、せめて2までで完了させて、あとは皇帝の手先として暴虐の限りを尽くすところをじっくり描いてほしかった。
エピソード3の後半がそんな展開になるのだろうか?◇
佐伯俊男『淫剣花』(河出書房新社)購入。
ちらりとのぞいた娘が「なんじゃこりゃ!」とぶっとんでました。R18指定だっての。 210.198.177.174 映 318 1028206259 スターウォーズ/クローンの攻撃 日比谷スカラ座『スターウォーズ/エピソード2/クローンの攻撃』を観る。
観てしまうまで、ネットのレビューや感想は読まずに目をそむけていたので、これからゆっくり読みにまわろう。その前に自分の感想を少々。
ヴィジュアルイメージについては、もういうことはない。すごいの一言。細部まで贅沢に造りこまれている。
私の好きなシーンはオビワン・ケノビが暗殺者の手がかりを追って昔なじみに会いに行くレストラン。ハードボイルドミステリに良くある場面なのが嬉しい。四本腕の旧友のキャラも、いかにも危ない橋を渡ったこともあるぜ的な感じでいい。妙に色っぽいウェイトレスロボットが、ルーカスの出世作『アメリカングラフィティ』のローラースケートウェイトレスを連想する造型でニヤリとさせてくれる。
以下、ネタバレ満載につきご注意。
賛否両論かまびすしい「恋愛」については、私は恋愛描写大好き派。にしては本作の恋愛描写は物足りない。恋人たちが惹かれあうプロセスをもっとじっくり撮ってもらいたかった。クライマックスも恋愛と結びつけた方が劇的だったと思う。
アナキン・スカイウォーカーが腕を斬り飛ばされるのは恋するパドメ・アミダラの目の前で、彼女をかばうために体勢をくずしたがため、でなくてはいけない。悲鳴を上げて駆け寄るパドメ、アナキンをかばうように身を投げ出すが、二人の頭上にはドゥークー伯爵のライトセーバーの光が・・あわやという瞬間、別のセーバーががっちり受止め、セーバーを握るのは、当然マスター・ヨーダ・・・と、こうこなくては。
しかし、伯爵を演じたクリストファー・リーの強そうなこと。1922年生まれのはずだから、今年80歳!・・本当に吸血鬼なのではないだろうか。アナキンがいくら修行してもとても勝てそうにはない。しょうがないからニンニクでおどして胸に杭をぶちこめ。
パドメ役のナタリー・ポートマンは文句なく美しい。アナキンのヘイデン・クリスティンセンもかっこいいし、とてもこの二人からレイアとルークが生まれてくるとは思えん。しかしお姫様、「情熱を抑えるのが義務」とか言っといて、背中(う、美しい)丸出しや胸のふくらみあらわなファッションは、ちょっとなんではないだろうか。縁もゆかりもない東洋人のおじさん(私だ、わたし)でさえくらくらしてしまうのに、幼い日の甘酸っぱい思い出を忘れられない血気さかんな二十歳の若者がなんじょうもってたまろうか。
アナキンが暗黒面に傾いていく契機をむくわれぬ恋愛ではなく、母を救えなかった悔恨にしているのは悪くはない。しかし、それならタスケン大虐殺のシーンは省略せずに徹底描写せねば。累々たる死体の山の真中で息をつくアナキン。その表情にはダース・ベイダーを彷彿とさせる鬼相があらわれている・・・・ゲームのような追っかけっこシーンは短縮してもこういうシーンをかっちり撮らないと、劇的盛り上がりに欠けてしまうのだけどなあ。
なにはともあれ、次のエピソード3で最終作となるのだろうが、先が描かれてしまっているというのは、なかなかつらいものがある。悲劇的展開しか望めないではないか。あの暗黒甲冑のダースヴェイダー郷が誕生するシーンをラストにするしかないように思うがどうなのだろう。もしも、私の予想が見事に裏切られて驚きの展開をしたら・・ジョージ・ルーカスを尊敬します。*
オビワンとアナキンとパドメが囚われて、闘技場で処刑されるシーン。『サイボーグ009』の『地底国ヨミ編』のクライマックスにそっくりなんだけど、偶然だろうか?◇
スティーブン・ミルハウザー『イン・ザ・ペニーアーケード』(白水社)購入。 210.198.177.174 映 317 1027521181 蜘蛛男/少林蹴球 拾遺 最近見た2本の映画の感想で書き残したことを少々。*
まずは『スパイダーマン』につっこんでおく。映画というよりスパイダーマンの設定そのものにだけど。
一番のご都合主義は、スーパー蜘蛛の超能力を得ても外観は変らないってとこね。
変ったのは眼鏡不要になったのと少しだけマッチョになったことぐらい。どっちも良い方にしか変ってない。 やはり能力的にあれだけ変ったのだから、外見も『ザ・フライ』のようにならないと論理的ではないでしょう。 八本脚は極端にしても、全身剛毛が生えるとか、単眼がもっと増えるとか(き、気持ちわるい・・)
食性も変わって、蝿やバッタが大好物にならないと糸もでないんじゃないだろうか。
でも、映画は大好きなのよ。*
『少林サッカー』。
こちらはもう奇想天外の試合シーンとベタなギャグに呑まれてしまうけど、恋愛心理の描写がなかなか細やかなのだ。
無職極貧だけど自信満々前向きの主人公と、自分に自信のない内向きな饅頭屋の店員のヒロインを結びつけるのは、饅頭代の代わりに主人公が置いていったボロボロのスニーカー。
靴が必要になってさがしに来た主人公に、パッチをあてた靴を差し出すヒロイン。心が通いあうきっかけとしてはうまいけどありきたりだなあ、と思っていたら、脚本はとことんこのスニーカーにこだわる。その後勝ち進んで売れ出した主人公は、そんなボロ靴を捨てて新しいスニーカーを買おう、と前向きにヒロインに語る。ヒロインは反論はしないが、表情とその後の演技で微妙な心のすれちがいを表現する。
最後のクライマックスでまたボロスニーカーが大きな役目を果たす。
こんなに恋愛描写できるのに、なぜに醜女メークにこだわる>周馳星。◇
スティーブン・ミルハウザー『マーティン・ドレスラーの夢』(白水社)待望の新作。Amazonで購入。 218.222.17.53 映 316 1027400277 テレヴィジョンな日々 TVドラマはほとんど見ない。と言っていたのが最近あやしくなってきた。
昨日の月曜日など、夜8時と早めに帰ってきてからTV見っぱなしだものなあ。
食事しながら『ダーク・エンジェル』。しかし内容的に8時台には向いてないんじゃないかなあ。10時ぐらいからの方が視聴率も上がりそうな気がする。
9時のニュースを見たあと、PCの前へ。ネットをチェックしたり絵を描いたりTVはお休み。10時からは妻がお気に入りの『濱マイク』につきあう。フィルム撮りのスタイリッシュな映像がいい。私は探偵マイクの居候役の市川美和子を見たくて見ているのだが。
11時15分からはBS2で『ERVII』。この時間のBS2の海外ドラマも良く見ている。今日は妻がお気に入りの『バーナビィ警視』。木曜日は私好みの『レリックハンター2』。『ダーク・エンジェル』といい、要するに巨乳で色っぽくて強いおねーさんが暴れまわるのが好みなのですね。『ごくせん』の仲間由紀恵お嬢は暴れまわったけど巨乳ではなかった。けど、見ていた。(カミングアウト)
それでも、平日は他には金曜日のNHKの宮部みゆき原作の時代劇ぐらい。土曜日は『週刊こどもニュース』(←わかりやすいのだよ)『美の巨人たち』『爆笑オンエアバトル』。日曜日は『新日曜美術館』。
ニュースは適宜。面白そうな映画やスポーツ中継をやっていたら都度、といっても野球は見ないので時間的にはとるにたらない。以上で、私のTV視聴のほぼ全部だ。一般的にいって多いのか少ないのか見当がつかないが、子供のときのように一回見逃したら泣き、というような情熱はないなあ。
真剣にTVを見ていた頃を思い出させる懐かしいスレッド→「トラウマになるくらい怖かった特撮の1シーン」。
2ちゃんねるでは珍しいような臆病者で善人ばかりのまったりとしたスレです。かくいう私も臆病者の子供だったから、トラウマになった番組はもちろんある。『少年ジェット/宇宙病人間篇』<だれも知りません。 61.211.4.53 TV 315 1027309464 老人と海/気違いに刃物 書くのが前後してしまったけど、土曜日にNHK総合でやったアニメーション『老人と海』はすごかった。
ガラスに3万枚の油絵を描いて撮影したという製作方法から想像してた以上の映像。アニメーションとしてはどうかという意見もあるようだが、単純に動く油絵というのではない。光、海、雲の表現がなんとも素晴らしい。波のアニメーションだけでも見る価値はある。
公式サイトでも画像の片鱗はうかがえるが、アニメの光の効果は1枚絵ではわからない。
こんなにデジタル技術が発達しても、まだまだ本物の手作りには及ばないのだね。ミルハウザーの『J・フランクリン・ペインの小さな王国』を思い出してしまった。
日本アニメNo.1と思っていた人にもかなりの驚愕・感動だったようだ。
2ちゃんねるでもスレッドが立っている↓
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1027096911/
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/anime/1027175768/
NHKは突然こういうのをやるからあなどれない。
かと思うとこういう↓バカなこともするのだよなあ。
NHKが「ER6・緊急救命室」2話分を放送中止
精神病患者に刺されて研修医のルーシーが死に、カーター医師が重傷を負う回ですな。私はBSで見たけど、これを放映しなかったらその後のカーター先生の苦悩がまるで理解不能になってしまうではないか。NHKは「精神に障害のある患者が医師を刺すシーンがあり、病気に対する誤解や偏見を助長する恐れがあると判断したため」と説明している。・・・・馬鹿です。
風野先生も書かれているが、精神病患者が医師に危害を加えるのは実際にあることだろう。
実際にあることを放送できないのなら、ニュースもやめなさい。 210.198.177.174 TV 314 1027260004 『少林サッカー』 炎暑の中、銀座東劇で『少林サッカー』を観る。
CGとワイヤーアクションを駆使した超常爆裂試合シーンは評判どおりの面白さだった。監督主演の周馳星は漫画ファンらしく『キャプテン翼』に影響されたと言っているようだけど、ヴィジュアルイメージはむしろ『ドラゴンボール』だ。チームプレイなとこは『アストロ球団』か。シュートはカメハメ波よろしく炎と光を放ち、衝撃波で周囲のものを吹き飛ばす。ドーピングした敵方選手はサイヤ人のように全身の血管がふくれ上がる。やはり『ドラゴンボール実写版』はハリウッドでなくて香港で撮ってもらいたいものだ。
しかしその分、破天荒なシーンも、どうも観たことがあるような気がして、こちらの想像力をぶっちぎってくれるとこまではいってないようだ。むしろ、ラストで主人公の夢がかなって少林寺拳法が隆盛をきわめている街の風景の描写が面白い。冒頭シーンの伏線がここで生きてくるので、乗り遅れた人々がバスに超人的(少林寺的?)ジャンプで飛び乗る、なんていうスラップスティックなギャグも十分に面白い。
前半、チームの仲間が拳法に目覚めるまでのベタな展開は、確信犯的な旧めかしさで、私には少々つらかった。主人公とヒロインのロマンスはその旧めかしさが逆にいい感じではあるのだけど。*
(以下ネタばれ注意)
ヒロイン役ヴィッキー・チャオは抜群の美形・美脚の持ち主だが、前半は吹出物だらけの醜女メーク。一念発起してがんばってお洒落しても、勘違いのケバファッションで化け物と言われる始末。ラストでやっと美しい素顔で現れたと思ったら、今度は坊主頭。他の男の少林寺チームは有髪なんだから坊主にする必然性はないだろう。敵方の美女ツートップ、カレン・モクとセシリア・チャンもペイントになぜか付け髭。どうもこの監督は意地でも、美女を美女のまま出したくないようだ。なぜだ。◇
『対談集/物語と夢』読了。→レビュー。
武田泰淳『貴族の階段』(岩波現代文庫)、夏目漱石『坊っちゃん』(岩波文庫)購入。
61.211.4.53 映 312 1026053529 『スパイダーマン』 日劇2で『スパイダーマン』を観る。
世間は『EP2』のレビュー花ざかりなのに、当サイトはいつも上映終了直前の感想で申しわけないような。
昔、虫プロが出していた『COM』というマンガ雑誌があって私は創刊号から愛読していた。そこに翻訳家小野耕世が外国マンガを紹介する連載記事があったのだが、その一回めが「スパイダーマン」だった。たぶん本邦初紹介だろう。ナショナルコミックの『スーパーマン』に対抗する、マーベルコミックの等身大のヒーロー、いや「アンチヒーロー」と紹介していた。おそらくこの「アンチヒーロー」という言葉もここではじめて使われたのではないだろうか。
オープニングクレジットの「製作者」にマーベルコミックの当時の編集長スタン・リーの名前が見つけたときは、紹介記事を読んだころを思い出して、なつかしかったですね。
映画は手堅いエンターテインメントで理屈ぬきで面白い。こういうB級テイストは大好きだ。蜘蛛の糸によるターザンダイヴのドライブ感はもちろん、アクションシーンもスピード感があるのに動きがわかりやすく(これ大事)、楽しめる。
この手の超能力ヒーローものでいつも思う疑問が二つある。
なぜ「正義の味方」になるのか?普通、もっと私利私欲にために使うだろう。
なぜ、あんなコスチュームをわざわざ着るのか。
脚本は、この二つの疑問にちゃんと回答を与えていた。えらい。特に「正義の味方」をするにいたる出来事のつなげは、実にうまい。
コスチュームの件も映画のオリジナルだろうが、なかなか楽しい発想だ。
つっこみどころは、悪役「グリーンゴブリン」だろう。正体の実業家を演じたウィレム・デフォーはさすがにうまいが、般若面に鎧のようなコスチュームがださすぎ。これなら仮面ライダーの怪人の方がもっといい造型がたくさんいた。
主役トビー・マクガイヤはユアン・マクレガーと川平慈英を混ぜたような顔だが、ピーター・パーカー役にはぴったりだ。問題はヒロインMJ役のキルスティン・ダンストだ。なかなかチャーミングできらいではないのだが、ピーターの友人の大金持ちの御曹司の二枚目がぞっこんになるには、ちょっと美人度が不足ではないかな。まあ、あまり美人だと、女優のオーディションに落ちてばかりいるウェイトレスというリアリティがなくなるので、いいセンだとは思うが。雨の中でのノーブラショットがあるのでよしとしましょう。
青春恋愛ものとしても、なかなかいい。SFアクションものの味つけとして多すぎず少なすぎず。その意味でもいい脚本だと思います。*
日記で行きたい行きたい騒いでいた『アリ』は、ネットで色々レビューを見ているうちに見たい気が薄れてきたのでパス。やはりドキュメントにはかなわないよなあ、と思いなおしました。
◇
『ベストセラーの戦後史1』読了。→レビュー。
松本清張『文豪』(文春文庫)購入。
211.4.27.210 映 310 1025789207 映画『吾輩は猫である』 NHK-BS2『吾輩は猫である』1975年。三日ほど前に録画しておいたのを今頃観る。
じわじわと積ん読が減ってきてたのに、またずりずりと増えてきた。
悠然たるテンポととぼけた味わいが原作にふさわしい。ときどきパッと入ってくる短いカットが、いかにも市川崑の映画を見ている気にさせてくれる。
主役の苦沙弥先生は仲代達矢、迷亭を故伊丹十三、寒月が岡本信人、金貸しの金田は故三波伸介という配役。さすがにみなさん芸達者だが、この映画に限っては女優陣のできがいい。細君の波乃久里子、下女の上原ゆかりもなかなかいいが、金貸しの妻役の岡田茉莉子と娘役の篠ヒロコの悪演技が秀逸。ヒロイン雪江は島田陽子だが、さすがに若くて美しい。
「吾輩は猫である」なら、猫のナレーションだろうと予想していたのだが、ラストでしかナレーションは入らない。これは正解だろう。ラストには猫の死のあとに、原作にはないシーンがあるが、これが余韻があって、映画らしい良い終わり方だった。
娘が原作を読みたいといいだしたので、本棚から岩波文庫を引っ張り出した。これが昭和39年の版で見事に真っ茶色に焼けている。買いなおすことにする。◇
夏目漱石『吾輩は猫である』(岩波文庫)、清水勲編『続ビゴー日本素描集』(岩波文庫)、いしいひさいち『文豪春秋』(創元推理文庫)購入。
買いなおした『吾輩は猫である』だが、旧版と微妙に違っているところがある。例えば旧版では「とんと見当がつかぬ」となっていたのが、新版では「頓 と見当がつかぬ」と漢字にふりがな表記になっている。旧の最後には「文庫化にあたり現代語表記にあらためた」としかないが、新では表記ルールを細かく挙げて、「平仮名を漢字に、あるいは漢字を別の漢字に替えることは原則としておこなわない」と記されている。
「改善」でありますな。さすが岩波。 211.4.27.210 映 309 1025691497 昔々WXGというFEPありけり 今日はソフトの話、といってもFEP(かな漢字変換)の話だが、私の使っているのはMS-IMEでもATOKでもなくて、エーアイソフトのWXG4だ。
長年愛用しているのだが、Version4が出たのが1999年で、最新パッチも2000年2月以来出ていない。WindowsXPにもインストーラが未対応という、半分見捨てられたソフトだ。かな漢字変換なんて無料でOSについてくるのが当たり前の時代に、実売7000円もするパッケージなど売れないのだろう。FEPなんて言葉自体が、もう死語だな。
しかし、日本人ならFEPは(無意識のうちに)一番使うソフトだといっていい。単に長年使っているというだけではなく、WXG4には他のFEPに変えがたい良さがたくさんあるのだ。
エーアイソフトさん、一度出したからにはがんばってOS対応とバグとりぐらいはユーザーが一人もいなくなるまでやってほしい。お願い。
WXGの変換効率はMS-IMEやATOKに比べて格段に優れているわけではない。他のソフトの方が頻繁にバージョンアップしている分、全文一括変換などの場合は上だろう。しかし文節変換なら遜色ないし、旧い分軽い。
なんといっても他にないユニークな機能が色々便利なのだ。
なかでも同社の翻訳ソフト「訳せ!!ゴマ」の翻訳エンジン/辞書を積んだ「英和和英変換」が出色だ。
「私は遺伝学研究所に勤務しています。」と入力すると
「I am working to genetics research institute.」と変換してくれる。
実際は文章を英和変換することなどは少ないが
「ギャラリー」→「Gallery」
などという単語変換に、なかなか重宝している。
「Gallery」を和英変換すると「画廊/細長い部屋/天井さじき」という候補が出てくる。
「元号変換」は
「1972年」→「昭和47年」はあたりまえだが、
「712年」→「建久3年」には、ちょっと感動する。
「連想変換」というのがまた変な機能で
「伝説」を連想変換すると「昔話/説話/民話/言い伝え/伝承/俗伝/昔語り」などの近い意味の候補が表示される。文章書きの人には実に嬉しい機能ではないだろうか。
「処女」だと「バージン/生娘/おぼこ/乙女/純潔/無垢」という候補だった。
変換効率は普通だといったが、妙な単語に強かったりする。「男闘呼組」「國府田マリ子」「虎舞竜」なんてとこが一発で出てくる。MS-IMEだと「山口百恵」や「吉永小百合」でさえ出ない。
WXG4は改行コードも単語中の文字として登録できるので、複数行にわたる署名なども登録できる。
その他、これでもかというほどのカスタマイズとか色々あるのだが、会社でMS-IMEを使っていて面白いことに気が付いた。
MS-IME2000では「きちがい」が変換できないのだ。「機知外」などというまるで2ちゃんねるのような変換をしてくれる。
「きちがい」だけでなく「かたわ」「びっこ「ひにん」「いざり」「せむし」・・あぶない?言葉はみんな変換できない。「ノートルダムの背無視男」ってなんだよ?
WXG4ならちゃんと「気違い」「片端」「跛」「非人」「躄」「佝僂」と変換してくれる。旧いソフトのせいかとも思ったが、MS-IME98でも変換できないことは同じだった。
これはあきらかに「言葉狩り」ではないか。公平を期して書くが、WXG4でも「めくら」と「つんぼ」は変換できなかった。どのFEPでも「盲人」と「聾唖」は変換できる。
これでは「辞書」とはいえないのではないか。ただ紙の辞書と違ってFEPの辞書はユーザーが自分で登録できるから支障はないといえばいえる。
しかし、MS-IME2002からは差別用語は辞書登録時に拒否されるという話をネットでみた。ほんとかね?(使ってないのでためしようがない)
当分はWindows2000からOSを変える気はないし、WXG4もこのバージョンのまま使っていくことになりそうだ。ひまを見てあぶない(とされているらしい)言葉をちびちび登録していくことにしよう。◇
『ベストセラーの戦後史2』読了。→レビュー。
211.4.27.210 電 306 1024749915 ヒーロー/ヒロイン 前回の浮世絵からマンガへの連想は少し強引だったかもしれない。
もちろん、人種的描き分けをきちっとしている作家はたくさんいる。
だれだと言われると最近全然読んでない身としては困惑するが、たとえば小林まこととか。
人種的特徴の記号表現を美人描写に活かしているなぁと思うのは、たとえば多田由美、彼女のサイトのこのページなどはその醍醐味がよく味わえる。日本髪の女性はちと洋風味だが。
旧い人では、時代ものばかりと思っていた御大白土三平が、神話伝説シリーズで描いた南米ポポロ族の女性やアフリカの女占師などはちゃんとご当地美人にしていた。(作画は弟の岡本鉄次)
『ゴルゴ13』も多様な国籍の美女が登場するが、こちらはさいとうプロのシステマティックな作画方式で部品合成的に描かれた絵のような印象を覚える。その分感銘は薄い。
記号としての美女美少女美男美少年というのはある程度パターン化するのはしかたがないと思う。特に異性(男性マンガ家が描く美女、女性マンガ家が描く美男)はそうだ。おそらく、性のある生物は同種の異性を見分けるための「理想の異性像」を無意識の領域に持っているのだと思う。出会う生物をその像と比べて性交してよい相手かどうかを見分けるのだろう。
だから異性の絵を描く時、その「像」が影響を及ぼすのはあたりまえだ。ただ、その「像」ばかりに頼る絵は「幼い絵」になるだろう。生まれつきか幼児期に形成された「原・異性像」が、人生で実際に出会った異性の印象によって修正される。その過程を経たあとの「女(男)性像」はより魅力は増す、と思うのだがどうだろうか。たかがマンガとはいえ、そんなイットを感じられる新たな美人記号を見たいと思うのだが、まあ最近のマンガは見ていないので見当違いなことを書いているのかもしれない。
ああ、断るまでもないが、上記すべての論はもちろん自分の稚拙な絵のことなどは棚上げであります。◇
近所のマンガ新古本屋に紙袋一杯の本を売り、『カムイ伝』の愛蔵版全15巻を買ってくる。(昔持っていた新書判は読みすぎてボロボロに分解して捨ててしまったのだ)。空いたスペースがまた埋まってしまった。
◇
『江戸浮世絵を読む』読了。→レビュー。
61.198.199.33 漫 304 1024238687 バルタン星人とケムール人 うちの娘は映画『ウォーターボーイズ』を見て以来、シルヴィ・バルタンを聞きたがり、私も懐かしさも手伝って手ごろな価格のベスト盤をAmazonで購入した。
早速聴いている娘に、ウルトラマンのバルタン星人は「当時流行っていたシルヴィ・バルタンから取った名前だぜ」なんて、しょうもない知識を披露したりしていたのだが、
しゃべっているうちに、突然もっとしょうもないことを思いついてしまった。こういうのを天啓というのだろうか。
バルタン星人の登場した「ウルトラマン」の前のシリーズ、「ウルトラQ」に登場した怪宇宙人でケムール人というのがいる。
「フォッフォッフォッフォ」という笑い声もバルタン星人より旧く、元祖怪奇宇宙人といえよう。バルタン星人はセミとエビのキメラのようだが、ケムール人の容姿(リンク先参照)はなんだかわからない。
なんだかわからないがなにかに似ている。そう、あまり大きな声ではいえないが、子供の(包茎の)ペニスに似ていないだろうか。
そこでひらめいた。
「そうか!ケムール人の語源はムケール(剥けーる)人だったのだ!」。
いや、ほんとうにそうかは全然自信はないが、しかし、ケムール人の最後は地に倒れたあと、頭のてっぺんの皮の余ったとこというか、触手みたいのからなにやら液体をダラリとたらして昇天した・・ような記憶がある。
暗喩というにはあまりにもそれっぽいように思えるのは気のせいだろうか。
われながら、ほんとうにしょうもないひらめきで申し訳ない。
でも、当たっているような気もするのだよなあ。 61.198.199.33 怪 303 1023977755 夢百景:母の夢 また、いつかの夢のように、見知らぬ街の見知らぬ路を歩いている。
たそがれ時の薄明の街路で亡き母に似た顔を見かける。「オカアサン・・」と声をかけたが、ふりむいたのは母に似てはいるが少し濃いめの別人の顔。あいまいな笑顔で間違いを詫びて、行き先もわからぬ道行きに歩みをもどす。
見知らぬ街の見知らぬ駅が現れるが、路線の名も初めて聞く奇妙な名前で記憶にも残らない。路線図の駅名もあきらかに日本語だが、異国の地名のように見え、脳内に言葉を結ばない。
いつのまにか暗くなった駅前の雑踏の中に母が来ている。今度はまちがいなく母の顔で、いつもそうだったように着物に地味な羽織を着ている。淡い笑顔で「あなたが駅前にいると聞いたのでやってきたよ」という。ははあ、さっきの母に似ていた女の人も幽霊だったのかと納得する。
とりとめのない話をしたあと、母は帰るという。この見知らぬ駅から見知らぬ電車に乗って見知らぬところへ帰るらしい。一緒に来る?と聞かれたようだったが、この電車では家へは帰れないから別の駅をさがすよ、と答える。ではね、と言って母は別れを告げた。ベンチシートにちんまり座ったなつかしい姿と顔が遠ざかっていく。
母を乗せた電車が視界から消えたあと、また見知らぬ街で帰り路をさがしてとぼとぼと歩きはじめる。 61.198.199.33 夢 302 1023863145 困っちゃった人たち たまたま見つけて、忙しいというのに、読みふけってしまったサイト。 →選り抜きブサイコさん。
ようするに身近のブスでかつサイコな人の話集。「ブス」も「サイコ」も公然と口にはしにくい言葉だし、まして特定の人物を名指していうのは現代社会ではタブー中のタブーだろう。それだけに身内やネットではかっこうの「もり上がる」話題になる。
まずは典型的な2例。
→自称痩せたらマドンナ。
→恋の一人相撲。(こわくて最後にちょっといい話)
他の話の登場人物もこの「恋の一人相撲」の「ハマコー」のような人格類型が大部分だ。体格は肥満型で、脳内恋愛大暴走で押しも強くリビドーも強い。自己中心的で攻撃的、読んだ限りではストーカー犯罪予備軍、もしくはストーカーそのもののようだが、実際、書き手の人たちは文章では表わしきれないリアルタイム進行中の「なんともいえない怖さ」を強調している。
ハマコー型女とは違う例も少ないけれどあった。
まったく情けない男の自業自得蟻地獄話→ブス女新入社員。
私の紹介した例だけだと女性差別サイトみたいだけど、もちろんブサイコ男の話もたくさんある。
→個性的(ブサイク)な同僚。
→生ゴミくん。(この話は書き手の作為が感じられるのだけど、邪推?)
どうも男ブサイコは、女に比べて迫力が一段落ちるような気がするのは私が男だからだろうか。新聞に載ってしまうような事件を起こすのはたいてい男だから、実際の男ブサイコは、笑い話ではすまないような危険度なのだろう。
こう読んでくると、現代日本の恐怖の対象は、病・老・死のような絶対的なものをのぞくと、貧困や戦争や犯罪は身近に感じないし、ましてや幽霊や妖怪ではなく、「自分と波長が違う人間」「と自分が関係をもつこと」なんだね。私自身もとっても思い当たります。
最後に全然こわくはなくて、むしろちょっとせつないようないい話に思えなくもないのだけど、という話。
→仲良いブス先輩。
なにか竹内久美子の『浮気人類進化論』の実例みたいな話だ。女は浮気でいい男の子供を妊娠して、実直な配偶者に育てさせるのが遺伝子的に最良の戦略ってやつね。 61.211.4.53 網 301 1023632663 タイソン墜つ 十分予想できたこととはいえ、あの”アイアン”マイク・タイソンが敗れた。
東京でのダグラス戦での敗戦はともかく、ホリフィールドにKO負けした時点でボクサーとしてのタイソンは終わっていた。
それでも、タイソンが抜群のパンチ力とスピードを持った驚異の若手としてのしあがってきたのを、リアルタイムでわくわくして見守った記憶のある身としては・・・・寂しいかぎりである。
やはり強姦罪で実刑をくらっていた期間のブランクが大きかったのだろう。モハメド・アリも良心的徴兵拒否によって王座を剥奪されてから四年のブランクがあり、復帰直後のジョー・フレイジャー戦では生涯最初の敗北を喫した。それでもそれから黙々(でもなかったけど)と実戦をこなして精進し、ついに怪物ジョージ・フォアマンを倒して国家に奪われていた自分の王座を取り返した。
その間の試合はすべてリアルタイムで(もちろんTVで)見ていたが、キンシャサでの勝利には本当に感動した。
なにしろアリは負けてから再挑戦するまでの三年半で十二回の試合をしている。その間にアゴを割られて半年のブランクがあるのだから、三ヶ月に一回くらいのすごいペースだ。年齢を考えればおそろしくストイックな努力をしていたのだろう。トラブルばかりで肝心の試合は一年に一度のペースにも及ばなかったタイソンとの大きな違いだ。
(うう、今日は絵を描いていたので『ALI』を見に行けなかった。ら、来週こそ?)
さて、ボクシングヘヴィ級はスーパースターを失った。アリが引退したあと、不人気チャンピオンラリー・ホームスの時代が続いたときは中量級に人気を奪われていた。しかし、すぐタイソンの出現でまた黄金時代がやってきた。こんども超新星が現れるのだろうか。それとも冬の時代になるのだろうか。◇
野田昌宏編『図説異星人』(河出書房新社)購入。 211.4.129.2 闘 300 1023076732 繊細というより単純? 『アザーズ』を見たあとは妻と食事をしてから帰った。以前友人夫婦と六本木で食事したとき、なかなか美味かった中華料理店のチェーン店が最近銀座にできたのでそこにすることにした。六本木は香港の大衆飲茶店風だったが、こちらはより若者向け居酒屋風だ。味は前回と違うものを頼んだので同じかどうかはわからない。まあ香辛料をたくさん使ってるところは同じ(いいかげん)
もちろん、まずくはないので満腹して腹をさすりながら帰ったのだが、食べ過ぎたのか、夜中に目がさめる。異常に寝汗をかいていて、起きてからもなかなか止まらない。二ヶ月前に風邪をひく前にも一度寝汗をかいて目がさめた経験があるのでイヤぁな気分だ。しかし別に熱もないしのどが痛いわけでもないので、汗を吹き着替えてから無理矢理再就寝した。
朝起きると、喉は渇いているが体調はなんてことなく、むしろすこぶる調子いいくらいだ。ふと、ひらめくことがあり、「二ヶ月前、二ヶ月前・・・」と日記データベースを開いてみると・・・・なんと、前回寝汗をかいたのも六本木の中華屋で食事した日の夜ではないか。
どうやら料理の中の唐辛子やそれ系の香辛料が時間差で効いたらしい。前回そのあとで風邪をひいたのはただの偶然だったようだ。
同じものを食べた妻は別になんともないらしい。私の方が繊細にできているからに違いない。(「そんなわけない」と言下に否定されたが)
◇
E.E.スミス『グレー・レンズマン』(小隅黎訳/創元SF文庫)購入。 61.211.1.144 身 299 1022992544 アザーズ 前回あまりの混雑に観劇をあきらめた『アザーズ』を丸の内プラゼールで見る。
時は1945年、終戦直後のイギリスのジャージャー島。霧の立ちこめる森の中にたたずむ典雅だが古色蒼然とした館で、出征したまま帰らぬ夫を待ち続ける美しい人妻と幼い娘と息子。ある日突然召使いたちがいなくなったその館に三人の新しい使用人が応募してくる。雇われた彼らは女主人と子供たちの奇怪な日常にとまどう。子供たちは重度の光アレルギーで全ての部屋のカーテンは閉ざされている。学校へもいかず母親が聖書を中心に勉強を教えている。部屋のドアは必ずカギをかけなければならない。そして母も子供たちもなにかにおびえなにかを隠しているようだ・・・・
これ以上はどう書いてもこれから見る方の興趣を削ぎそうなので、あとは劇場でどうぞ。
SFXや特殊メイクや血糊をいっさい使わずに恐怖を醸成していくストイックなスクリプトは、ちょっと説明不足かなと思うぐらいで他につっこみどころがない緻密さだ。
全体の雰囲気はなんともクラシックなゴシックホラーである。こういう映画は好きだなあ。
光を遮った館が舞台のために、彩度が抑えられたモノクロ映画のように落ちついた映像だ。派手ではないが、やはり大画面で見るべき、映画だけが与えてくれる美しさだろう。
主演のニコール・キッドマンは熱演。もう少し顔に品があれば完璧なのだが、豪壮な屋敷の圧迫感に負けない存在感は上流階級の女主人にふさわしく、地味な服装に包んだ長身の姿態が美しい。
貫禄ある老女使用人を演じたフィオヌラ・フラナガンがなかなか良くて、見覚えがあるのだがなんで見たのか思えだせない。TV出演が多いらしいから、刑事コロンボかなにかかもしれない。
さて、来週は『アリ』を見に行きたいが、果たして行けるのだろうか。 211.4.129.2 映 298 1022913612 宮本武蔵?バガボンド? 全然見ていないNHKの大河ドラマのキャスティングに文句をつけるのもなんだが、米倉涼子のお通・・・・
原作では、横笛の名手にして、そそたる美人のイメージ。
柳生石舟斎をはじめとするVIPたちが、その笛の音を愛でて(すけべ心もあったんだろうが)そばにおきたがったという、いわゆる「佳人」。
米倉ぁ、だいじょぶかあ?といいたいとこだけど、しばりつけられた武蔵を助けに素手素足で大樹によじ登るというシーンもあるから、決してミスキャストとばかりは言えない。
それより内山理名演じるところの朱実が「吉原の遊女」というのは??
原作と違うだけでなく、吉原が江戸にできたのは元和三年(1617年)(当時は浅草ではなく日本橋)。「宮本武蔵」のクライマックス「巌流島の決闘」は慶長十七年(1612年)。まだ吉原はただの葦でいっぱいの原っぱなんですけど。 211.4.129.2 TV 297 1022508421 ミサイルと骨とクモに文句あり パキスタンの核ミサイル、なぜ迷彩カラーなのだろう?森林の中にでも発射台があるのだろうか?
かつて、さんざん核兵器で恫喝しあったアメリカとロシアが、インドとパキスタンの危機を憂慮しても説得力ないことおびだたしい。こんなときこそ日本が「あんたたち『核』を甘くみてないかい?うちとこのヒロシマやトウカイムラを見てから喧嘩しな」と発言したらどうだろね。
日本が外交でアドバンテージを持っているのは、地球で唯一の被爆国、ということだけだと思いますが。◇
千代大海は足首を脱臼。武双山は肩を亜脱臼。琴光喜は鎖骨骨折。
最近のお相撲さん、というか若者は体は大きくなったが、骨、特に関節が追いついていないのだろうか。
モンゴルドラゴン=朝青龍なんてどう転んでも脱臼しそうにないよな。◇
素敵な俳優さんの訃報が続いたけど、朝日新聞(他の新聞も同じだろうが)「くも膜下出血」という表記はいやだなあ。活字文化発信者として恥ずかしくないのだろうか?
なぜ「蜘蛛膜」と書かん。はじめてその言葉を見て「雲膜」と思いこんでしまう人も少なくなかろう。
雲のようにもやもやした膜・・・・私の頭の中なんて、ありそうではないか。 218.222.25.178 言 296 1022034262 グールドのワンダフルなライフ スティーブン・ジェイ・グールド氏(米国の古生物学者、ハーバード大教授)逝去
享年60歳はあまりにも早いなあ。力強くてわかりやすい文章からは、20年も闘病していたなんてことは微塵も感じられなかった。
『ワンダフル・ライフ』『パンダの親指』『ダーウィン以来』(いずれも早川NF文庫)といった生物進化論の一般向け著作はどれを読んでも面白い。専門だけではない芸術や文藝への深い教養が文章にちりばめられていて、脱線的にも楽しいし、本題の進化論が楽しくわかったような気分にさせられる。もちろん専門分野でも一級の研究者だから、主張も鮮明で一般向けだからといってあたりさわりのない総花的解説で終わらせるようなことはない。
このへんは面白い科学解説書の必須条件と思いますな。
個人的には「ダーウィン以来」などで創造論者や白人優越主義者(一番進化してるのが白人ってやつね)を見事に論破してるとこが痛快でした。
そういえばわが日本では「ゆとり教育」とやらで生物の進化を中学では教えなくなるという。高校でも必須ではなくなるらしい。「庶民は『自分たちがいかにしてかくあるのか』なんてことは考えなくてよろしい」ということかいな。
宗教上の信念で進化論を教えない州があるというアメリカを「なんてドキュンな国だ」と思っていたが、日本のやりかたの方がある意味悪質だな。 61.211.1.144 本 295 1021954299 ニュースに一言二言 立川談志、小さんに最後の憎まれ口。
人間国宝にこんなことをいっちゃあいけないが、私には柳家小さん師匠は三番手のイメージがある。私が落語を聞き始めた頃の落語協会は三遊亭円生(六代目)が会長で、桂文楽(もちろん先代)も矍鑠(かくしゃく)として最高顧問を努めていた。小さんは副会長だったかな?
立川談志師匠の真打披露での口上も円生がやったのをおぼえている。もちろん談志師匠ぴしーっと頭ぁ下げてましたよ。
そのあとは下の世代の馬生や志ん朝の方が好きだったので、(きらいではないが)小さんの高座を聞いたのはTVで数回のみ。おっかない奥さんがいる剣道の達人のイメージの方が強い。
弟子の談志も好きだったが、若いときから抜群にうまかった。歌と一緒で落語も最初からうまい人はうまい。下手な人はずーっと落語家続けても上限があるような気がする。これはどんな分野でも同じで、せつないことだが、真実でありますな。◇
亡命事件、「人道上の配慮」で中国に屈服。これ以上長引かせれば、失態が続く政府・外務省の責任論がさらに強まる。それを回避するための屈服これ(亡命者連行の黙認・座視)って「失態」ではなく外務省の「常態」ではないのかい。
中国大使の「余計なことにかかわるな」発言でもわかるけど、日本大使館、領事館に亡命をもとめる難民は常にけんもほろろの応対を受けていて、それは世界中で有名なのではないだろうか。知らないのは日本国民ばかりなり、だったのが今回はなぜかTVカメラで撮られていた。
撮る側も、日本領事館に難民が駆け込めばこういう絵が撮れることを予想していたのではないか、と私は思うのだがどうだろうか。
善悪をいえば、難民を生み出す北朝鮮や国際法を破った中国が悪いのは明白だ。しかしカメラに映し出された日中朝それぞれの登場人物で、だれが嫌われ役を割り振られたかは、微妙なところです。 61.211.1.144 時 294 1021609839 壁紙一新 サイトも引越し、PCのOSも替えたし、ついでにPCの壁紙もそろそろ一新したくなってきた。
ということで、ここ一年あまりディスクトップを飾っていただいていた国分佐智子嬢から仲間由紀恵お嬢にバトンを渡していただくことにする。
妻の(若いときの)写真を壁紙にしていたときもあったのだが、妻は「ひとが来た時はずかしいからやめてくれ」というのでやめ。娘が幼稚園の頃の(友だちと喧嘩して)思いっきりむかついた顔をした旧い写真を壁紙にしたときも、「最悪!やめないとパソコンをこわす」と本人に脅迫されてやめ。(笑える傑作だったのに〜<くれしん風に)
それからは自分の絵や好きな画家・イラストレーターの絵とかを壁紙にしていたのだが、やはり壁紙の王道はべっぴんのねーちゃんでしょう、と初心に帰ることにしたのである。
前任の佐智子さんは動画だともう一つ魅力を発揮していないが(『陰陽師』の帝の愛人役でもあまりめだっていなかった)、フォトジェニックというのか静止画だととても美しい。
逆に由紀恵お嬢は動いているといい表情なのだが、写真はいわゆる清純派っぽいのが多くてあまり面白くない。
なのでプラウデアのCMのキャプチャ画像からカットアウトして拡大した顔のアップを壁紙に設定。
え、「日本のドラマはほとんどみない」なんてきどったこと言っといて、ごくせんとかトリックとか見てるだろう、ですって。
そ、そんなことはありません。誤解です。
たぶん。 61.211.1.144 電 293 1021254805 アナザヘヴン 昨日はひさしぶりに絵を描いてすごす日曜日。夕食前にアップしたので夜はだらりとTVを見てすごした。
日曜映画劇場は『アナザヘヴン』。
封切りは2年前だが、邦画ホラーはまず見ないので(『パラサイトイヴ』後遺症・・)これが初見である。
ホラーとしては、まずまずというところか。中盤の「怪物はだれだ?」パターンがなかなか怖い。特に女医の松雪泰子を疑う刑事江口洋介のやりとりが秀逸。
刑事物としては、やはり原田芳雄の個性が突出している。江口洋介だけではこうはいかない。TV版や原作だと色々過去がある人物設定らしいが、やたら怒鳴りまくる怪演は『オレンジロード急行』を思い出させられてしまった。懐かしや。
なによりラブストーリーとしてなかなかのでき。ヒロインの市川実和子の個性に負うところ大である。というか、最近とみにファニーフェイスに弱い私としては、たちまちぞっこんである。前半ケバい化粧で出て、ラストで素に近い顔になるのも効果的。ちゃんとヌードにもなってるし。なに、『コンセント』のヒロイン?そうかそうか。
普通この手のキャラは最初の方で血祭りにあげられて、主人公が犯人を憎むきっかけにされるのが定番。ラストのアクションでは真のヒロイン=松雪泰子が危機にさらされ主人公が決死の救出、となるかと思ったらそうではなかった。この確信犯的脚本に市川実和子はぴったりのキャスティングであると思う。まあ松雪泰子の役は似たような美人女優ならだれでもいいけど。
そのへんについてはm@stervision氏がさすがに鋭く指摘している。
いささか話がわかりにくかったのは、本編131分を114分−CM時間?に大幅カットしたからだろう。それともカットされたのはほとんどエグいシーンなのだろうか(TV放映では全然エグいシーンはなかった)。そのうちビデオを借りてくるとしよう。◇
『銀河パトロール隊』読了。→レビュー。
61.211.1.144 映 291 1020593619 杉浦茂のなんじゃらほいの世界/他 連休中すいていて気持ちよいところはないかいなと思案した末、妻推薦の武蔵小金井の「江戸東京たてもの園」なるところに一緒に足をのばす。広々と気持ちのいい公園の中に絵心をさそわれる建物、旧家が点在。想像以上に楽しめました。緑が多く木の建物の町並みを歩いていると、全然疲れないのが不思議。
226事件で暗殺された高橋是清の赤坂邱が休み所になっていて、暗殺された二階の真下の広間で昼食にする。高橋侯もおのれの屋敷で平民が蕎麦をすするようになるとは夢にも思わなかったことだろう。申しわけないことである。◇
続いて三鷹美術ギャラリーの『杉浦茂なんじゃらほいの世界』に寄る。五十年近くも独特のシュールでユーモラスな世界を描き続けた稀有な漫画家。私は「ミスターロボット」という作品にかろうじてかすかな記憶があった。ロボットの胸のアナログな計器がなんとも懐かしい。
あらためて見ると、赤塚不二夫や佐々木マキへの影響、絶大なることを確信いたしました。 61.211.1.144 美 290 1020512782 藤島武二展 銀座マリオンで『アザーズ』を見ようとでかけたのだが、長蛇の列。我慢して並ぶ根性はないので、とっととあきらめて沖縄物産展をひやかしたあとブリジストン美術館の『藤島武二』展へ行く。
明治大正昭和を生きた日本洋画界の重鎮、ということは知っていたがまとめて観るのははじめて。大規模な回顧展で、画家の多面的な数多くの作品を一度に見られて千円の入場料は安い。
やはり大作の美人画がよい。油絵で日本女性の美しさを正面から描きだした「天平の面影」。有名な横顔のシリーズの逸品「東洋振り」。晩年の風景画の傑作「蒙古の日の出」。などの心ひかれた作品は、ひととおり見終ったあとにもう一度じっくり観にもどった。これができる程度にすいていないと絵を観た気分にはなれない。よって、本日は満足。
本画以外にスケッチや模写などの画稿が大量に展示されていたが、これがすばらしい。留学中の美術館での模写もあるが、美術書の模写とおぼしきものも多い。当時は画集を手に入れることがなかなか困難な時代で、友人に借りると克明に模写してから返却したらしい。現在は私のような者でも金さえ出せば画集を買うのになんの困難もない。しかし、その昔借り受けた画集を懸命に模写した藤島武二の百分の一も「絵を見」てはいないだろう。
図録にはそういう画稿・縮図・写生が六百点(頁に8点ずつ縮小されてだが)近く載っている。これで2千円は安い!と、めったに買わない図録まで買ってしまった。*
ブリジストン美術館で図録を買うといれてくれる袋は透明なビニール製。建物を出ると、前を歩くカップルも二人とも図録をいれた袋をぶらさげている。「ははあ、二人とも買ったということは、同棲するほど深い仲ではないのだな」などと余計な推理をしながら帰途につく。
◇
『鉄鼠の檻』読了。→レビュー。
210.198.176.159 美 288 1019989654 芸大美術館『油画の卒業制作と自画像』他 いい日和なので妻とウォーキングを兼ねて芸大美術館へ。
二つの展示のうち、「油画の卒業制作と自画像」は黒田清輝、青木繁といった巨匠たちの初々しい自画像が新鮮。自画像だけでなく黒田の「婦人像」や萬鐵五郎の「裸体美人」などの名作も展示されている。
私が気に入ったのは白川一郎のたくましい婦人像の「座像」。自画像ではデフォルメの効いた寺井力三郎のが面白い。
平常展は「東京美術学校初期の名品」。こちらも彫刻や工芸に見るべきものが多い。
なんといってもいいのは連休中だというのにすいていること。絵見るのはこのくらいゆったり見なくちゃね。◇
和菓子の喜久月で「あおうめ」と「しぐれ」を買う。疲れたのでヘンなスイス人デニーさんのお店「シャーレ・イン・スイス」でハーブティーとクロワッサンを食してから帰途につく。 210.198.176.159 美 287 1019913251 ロード・オブ・ザ・リング 丸の内ピカデリー『ロード・オブ・ザ・リング』
うーむ、たしかに映像はものすごい。ヒルデブランド兄弟やジョン・ハウなどの絵で有名な「指輪物語」の世界がほぼ(マニアな人はもっと厳しい意見もあるだろうが)完璧に再現されている。次々と襲い来る化け物たちもフランク・フラゼッタそのままだ。
美しく広大な大自然と、緻密かつ壮大なCGがまったく違和感なくシームレスに調和している。いまやここまでできるんだね。
しかし、映画のいのち=脚本の方は貧弱。いくら長大な物語だからといって、つめこみすぎなのではないか。あまりにもヤマ場の連続で序破急も起承転結もないので、少々疲れました。
もう少し整理して、人間(でないのも多いが)描写に時間を費やした方が感情移入ができてアクションシーンももっともりあがったと思うけど。別に難しい理屈を求めているのではなくて、旅に参加する面々の動機にもっと説得力があったらよかったとか思うわけです。
役者では長身のエルフの勇者レゴラスを演じたオーランド・ブルームがかっこいい。
敵方の怪物オーク族、見かけがきも怖いくせに弱すぎ。◇
予告編ではやはり『アリ』が面白そう。ウイル・スミス、アリにそっくりの役作りはお見事。でも、ファンとしてはやはり本物の方がいい男だった。次々出てくる試合がどの相手だかわかる私もしょうがないが、わかるように再現してるのもすごい。
うー、見たい。 210.198.176.159 映 286 1019104017 不穏なり パウエル米国務長官の仲介失敗 中東問題。
どう考えても、ついこの間までアフガニスタンに爆弾の雨を降らせて武器の在庫一掃をやっていた国が仲介しても、説得力ないと思うけどねえ。
日本では有事関連3法案に賛否かしましいけれど、もはや有事(戦争)がありえないことを前提に反対するのはさすがに無理でしょう。あいまいな状態より、きちっと法律で定義して細部をつめることが肝心。
日本が戦争に絶対かかわらなくて済むことを前提にする人もナイーブなら、国家の武力が常に国民を守るために使われると信じる人もナイーブすぎるでしょう。
だから、肝心なのは情報公開、報道の自由を守ること。報道が規制されるのはまずたいがいは国民を守るためではない。戦略的情報が「敵」に洩れるのも報道からではなく、ほとんどは「国家」の「戦争機構」内部だろう。
このへんは、田中宇氏の炭疽菌とアメリカの報道 やアメリカの挑発に乗れない中国 なんてとこを読むと、どこの国でも一緒だなあ、と思う。
例の9月11日のテロについても、同サイトの別の記事「仕組まれた9・11」と中国 を読むと、別の意味が見えてくるような気がする。アメリカの国防長官などは「テロ戦争は今後50年続く」と言っており、アメリカの現政権はテロ戦争を、今後長期間にわたって世界を支配するための枠組みとして考えていると思われる。1990年ごろまで約40年間続いた「冷戦」の続きをアメリカが始めたといえる。大統領がブッシュに変ったあたりからの一連の政策を思い返してみると、とても説得力を感じる。
だとしたら今後の世界情勢は、911事件の意味を把握した上で読み解いた方が良い。この事件を「ある日突然アラブのテロリストがアメリカを攻めた」という表面的な見方でとらえると、世界の動きを読み間違うおそれがある。
そんなことより、論理的でない本音を言えば、911のテロなどは、ヒロシマナガサキの大虐殺に比べればなにほどのことがあろうか。 61.211.1.215 時 285 1019030796 本と笑いの日 現在、通勤で読んでいるのは京極夏彦の『鉄鼠の檻』。千三百頁余、片手で読むにはなかなか厳しい重量だ。それにツカ(背幅)が6cm近くあるので文庫本として異様なプロポーション。バッグから出すときに少々恥ずかしいものがある。
昨夜、帰りの地下鉄で運良く座れたので、膝の上にくだんの巨大な文庫本を広げて読んでいた。気が付くと、左隣の女性も同じような分厚い文庫本を広げている。横目で確認とすると、なんと同じ『鉄鼠の檻』ではないか。向こうは280頁あたりを読んでいる。こちらは140頁。負けた。
なかなかこんな偶然はあるものではない。しかも妙齢の女性である。見目もうるわしいではないか。これで私も妙齢(?)の独身男なら声をかける千載一遇のチャンスなのだが、残念ながら中高年既婚男性、視線を自分の本にもどして読書を続けました。はい。
しかし、なんの関係もなさそうな中年男と若い女性が同じ、しかも異様に分厚い本を並んで読んでいる。前に立った人が気が付いたら妙な光景だろうね。◇
上方漫才大賞、「中川家」奨励賞を辞退「第37回上方漫才大賞」最終審査が12日、大阪厚生年金会館大ホールで行われ、大賞に松竹芸能の若手漫才コンビ「ますだおかだ」が選ばれた。審査会で奨励賞に選出された吉本興業の中川家は受賞を辞退した。上方漫才大賞で辞退者が出たのは初めて。何を思い上がっとるねん。
吉本主催で昨年行われた漫才のオープントーナメント「M―1グランプリ」で優勝した中川家。吉本興業の木村政雄常務は会社側の意向として「グランプリを取った人間がナンバー2ということは納得できない」と辞退の経緯を説明。「視聴者は『吉本何を思い上がっとるねん』という反応かもしれないが、うちがやったこと(M―1)をうちが否定することになる」と話した。
この二組も、NHKの「お笑いオンエアバトル」のチャンピオンたち(名前忘れた)も、やかましくしゃべりたてるだけでうっとおしく、私の好みではない。
どんなのが好みかというと、このへん→浅草キッドの放送未対応漫才台本。
ちょっと旧いけど、彼らの師匠の北野武の娘が思いっきりな七光りで売り出されたときのネタなんて、実に笑える。生で聞きたかった。◇
アナトール・フランス『赤い百合』(杉本秀太郎訳/臨川書店)、J・G・バラード『残虐行為展覧会』(法水 金太郎訳/工作舎)、保坂智『百姓一揆とその作法』(吉川弘文館)、ネット通販で注文。 61.211.3.213 本 284 1018249853 クローニング開始! 初のクローン人間はアラブ人か。
私には「自分のクローンを作りたい」という人間の気持ちがわからない。まさか将来の臓器移植用なんて鬼畜な話ではなかろう。単純にナルシストなのだろうか。永遠の生命を得られるというような勘違いをしているのだろうか。
しかし、なぜクローン人間を作ることに倫理的問題があるのか?はもう一つはっきりしないなあ。
結局はキリスト教的な「神の領域を侵すな」という思考停止的題目ではないのか。日本の学界は深い議論もせず欧米の風潮に従っているだけではないのだろうか。
私には三つぐらいしか問題点が考えつかない。3はクローン人間の人権を法的に明確に保障すればある程度解決することだろう。2は仮説の段階で、全然問題ない可能性もありうる。やはり一番の問題点は1の「遺伝子の多様性をそこなう」だろう。
- 両性の遺伝子をシャッフルしない発生は、「多様性を保つ」という性生殖の利点を損なって、将来的に疫病の大発生などの危険を招く。
- クローン人間は寿命が極端に短い可能性がある。そういう人間を意図的に生み出す倫理的責任。
- クローンのソースとなった人間が、クローンに対して普通の子以上に「所有物」視する危険。
悪名高き優生学・優生思想にもつながりそうだし。
しかし、ヒトラーはともかく、イチローや手塚治虫のクローンなら作っとくべきだという気持ちを否定するのはなかなかに難しい。◇
和泉元彌、またまた遅刻でお騒がせ。
狂言の知識はまったくないが、上記のように本業でしばしば遅刻をする場合、一般社会では出社拒否の前駆症状、「おれはこの仕事をしたくないんだ。苦痛で苦痛でしかたがないんだ」というサインと見なされる。少なくとも私が上司なら、なにか悩みでもあるのか、ああん?と水を向けねばいけない状態でしょうな。
モトヤくん、向いてないのではないかい?
というのが和泉流職分会のいいたいことなのではないだろうか。◇
キム・ニューマン『ドラキュラ崩御』(梶元靖子訳/創元推理文庫)、E・E・スミス『銀河パトロール隊』(小隅黎/創元推理文庫)購入。『銀河パトロール隊』は30年ぶりに新訳で復刊された『レンズマンシリーズ』。当時は真鍋博だった表紙絵が、今回は生頼範義。すごいギャップ。 61.211.3.213 科 283 1018174078 夢百景:熊の恩返し 珍しくも本格的に風邪をひいて3日ほどねこんでしまった。発熱するのは5年ぶりぐらいなので結構こたえた。1週間経つのにまだ本調子にはほど遠い。
直りかけで熟睡できるようになった頃に見た夢。
昔いた会社の山の中の研修所(実在していない)のようなところに来ている。後輩が私の名前を呼ぶので宿舎の裏庭にいってみると、ドラム缶を埋めたぐらいの大きさの穴があり半分ほど泥がうまっている。その穴にすっぽり「熊」がはまっている。肩(?)から上を泥から出して首は前にちょっと突き出している。まるで温泉につかっている闘牙だ。
遊んでいたら出られなくなったようで、表情がなんだか恥ずかしげだ。
暴れる様子もないので、背後から脇の下に手を入れて持ち上げてやる。熊の体温とごわごわした体毛の感触が伝わってくる。熊も力を入れたようで、ずるずると穴から抜けることができた。泥をはたいてやると、恥ずかしさ半分感謝半分のような妙な表情を浮かべてから、のっそり裏山へ帰っていった。
場面は変わって、若い女人が私の前に現れる。「ははあ、熊の奴、恩返しに来やがったな」と察するのだが、そこは熊のあさはかさ、もう一つ私の好みと微妙にずれている。顔は西田尚美のようで悪くはないが、髪型ははなちゃんのようなショートカット。細身の体に白いトレーナーと細身のジーンズ。胸は全然ない。
恩返しに来たのはいいがなにしていいかわからないようでボーッとしている。そのまま追い返すのもかわいそうだし、熊の喜びそうなことがほかに思い浮かばなかったので、相撲をとってやる。
そこは熊、大喜びで四つに組んでくるが姿は若い女性なので妙な気分だ。とはいえHな気分には全然ならない。二、三番とってやると気がすんだのかにこにこして山へ帰っていった。おれは金太郎かい。
「今度くるときは吉岡美穂みたいな感じでおいで」なんていってやる知恵は、夢だからか思い浮かばなかった。残念。 61.211.1.144 夢 282 1017288472 性同一性障害 競艇で性同一性障害認め「男子選手」に
こどもたちが熱心に見ている『金八先生』にも性同一性障害の女子生徒が出てくる。まあ、やけに深刻に描かれてるわりに藤岡弘の異常に濃いおとーさんとか、設定の方が異常で笑わせてくれます。
ご存知の通り、生物学的性別は性染色体の組み合わせで決まっている。XXが女性。XYが男性。しかし、なかなかすべてがデジタルに割り切れないのが生命の世界。曖昧な存在も当然のように発生する。
医学的には「間性」というらしいが、性とは何かというページによれば、ざっと次のように分類されるらしい。なかなか興味深いが、話題の性同一性障害はこれらとは違い、肉体は完全な(染色体とも一致した)男または女なのに、精神的には逆の性として自分を認知している人を指す。当然自分の肉体に違和感を持ち、社会的に「自分の意識とは逆の」性として扱われることに苦痛を感じる。
- 性染色体に異常があるもの。
- クラインフェルター症候群
- 性染色体がXXYのものである。全体的には男性的だが乳房などは女性的な形態を示す。性器は発育不全。
- ターナー症候群
- 性染色体はXO。全体的には女性的だが背が低く性器は発育不全。
- 超女性
- 性染色体がXXX。外形的には普通の女性とあまり変わらない。精神薄弱が多いという説もあるが、単なる偏見かも知れない。
- 超男性
- 性染色体がXYY。外形的には普通の男性。犯罪者が多いという説もあるが、単なる偏見かも知れない。
- 性染色体は正常なもの
- 睾丸女性化症候群
- 外見上は全く女性であり、ごく普通の女性として育ち結婚して不妊治療などで病院を訪れて発覚するケースがほとんどである。遺伝子的には完全に男性であるが、何らかの原因で男性化が働かず人間の体の基本形である女性型のまま生まれそのまま女性として育ったもの。子供が産めないことをのぞけば完全に女性である。
- 先天性副腎皮質症候群
- 外見はやや曖昧ながら男性的な形態を示す。二次性徴まで男性型の場合もある。
- 真性半陰陽
- 非常にまれに、精巣と卵巣の両方を有する人がある。外形は様々であるがその中でも更にまれには陰茎と膣の両方を持つ人もある。また片方の性腺が卵巣で片方が精巣というケースもある。
これは単なる傾向であって「異常」ではない、とするのが近年の社会的コンセンサスのようで、肉体を精神にあわせる性転換のガイドラインもあるらしい。
それをそのとおりだと思うし、意義をとなえるものではないが、たとえば次のようなケースはどうなのだろう。
外見は、そう・・タレントの出川○朗そっくりの男なのだが、彼の意識では自分は木村拓哉のような男のはずなのである。しかし鏡を見ればそこには出○哲朗そっくりの小男がおり、社会とくに女性が、自分をキムタクのようにではなく出川某のように扱う。理不尽だ、苦痛で苦痛でたまらない。
これも単なる傾向であって「異常」ではない、まったくそのとおりだ。だからこういう傾向の男(女)と性同一性障害とは似ている、といったら叱られるだろうか。でも、どこが違うのだろう。美醜同一性障害と名付けてもよさそうな気がするが。
もちろん、出川木村同一性障害のような単なるわがままとは違って、性同一性障害は発生過程での脳とホルモンの関係に起因するという説があるのは知っている。性同一性障害と直接関係あるのかは知らないが、「「脳」を支配しつつある環境ホルモン」なんてのも影響しているのかもしれない。
でも、脳の発生上の異常と考えると「単なる傾向」とはいえなくなるような気もするけど、どうなんだろう。*
そんなことより、上記の性とは何かに書かれていた次のエピソードにはおどろいた。
成長すると男になる女
近年カリブ海のある島で、何人もの女の子が成長すると男の子になるという現象が発見された。研究の結果、これらの自然に性転換した元女性たちは家系を調べてみると5代ほど前のある一人の女性の子孫であることが分かった。非常に特殊な遺伝子を持っているものと思われる。このように自然に男の子になったという話は40年ほどまえにインドネシアでも報告されているが三面記事の中で終わっており研究したものはいないと思われる。魚類や昆虫では珍しくないけど、もし本当に人間でこんな現象があったらすごいなあ。バロウズや香山滋の南洋密林冒険SFにありそうな話ではないですか。
◇
『日本の名随筆−嘘−』読了。→レビュー。
『逃げ水半次無用帖』読了。→レビュー。
210.198.152.6 科 279 1016546742 『アリスの恋』 衛星映画劇場『アリスの恋』。
学生のころに、とある名画座で見たなつかしい映画。
夫を亡くした子連れの中年女がかつて歌手だったときの夢を追って旅をするが、変な男にひっかかったりして、結局場末の街のウエイトレスになる。がさつな客や同僚に嫌気がさすが、やがて同僚の蓮っ葉女とも親友になり、恋も見つける。
ラストの、客がひしめく店内での、けんか中の恋人との口論、プロポーズ、和解、キスそして周囲の客の拍手、というのは、のちに『ぼくの美しいひとだから』なんかがまねしてました。
ヒロインを演じたエレン・バーステインがいい。たいした美人ではないのにとてもチャーミングに見えるのが映画の魔術。息子のガールフレンドというか悪友役で少女時代のジョディ・フォスターが怪演を見せている。スカートがまるで似合わん。
マーチン・スコセッシ監督、1974年の作品。ベトナム戦争終了が1975年。失意のアメリカには今のようななんでもナンバーワンというようなおごっているところはなかった。このころのアメリカ映画には好きなものが多い。
この映画もその一つだ。◇
『流血の魔術最強の演技〜すべてのプロレスはショーである』読了。→レビュー。
『黒い仏』読了。→レビュー。
『美濃牛』読了。→レビュー。
61.204.103.94 映 275 1016005782 おら、弱いものいじめの手伝いはしねえさ 「ドラゴンボール」米で実写で映画化
う、う〜む。こんな感じになるようないやな予感。
よくてバットマンシリーズ、へたするととハリウッドゴジラの二の舞か。
2chでは早速キャスティングでもりあがっていて、ウーピーゴールドバーグの占いおばばやサモハン・キンポーのヤジロベーなんていう傑作な案がでている。ミラ・ジョヴォヴィッチの18号とキアヌ・リーブスの17号ってのも魅力的だが、無理だろう。ちなみに19号は極楽とんぼの山本圭壱、魔人ブーは高木ブー、って全然ハリウッドじゃないじゃん。ベジータのイッサってのも感心したけど髪型だけだし。
私も2chを参考に邦画でちょっと考えてみたがなかなか難しい。<ほんとうに忙しいのか?
悟空:ケイン・コスギ
クリリン:リー・リンチェイ 予算によっては えなりかずき
ブルマ:優香
ブルマのとーちゃん:森本レオ
ブルマのかーちゃん:山咲千里
亀仙人:いかりや長助(ジャッキー・チュン変装時は千葉真一)
鶴仙人:志村けん
桃白白:角田信朗(正道会館)
牛魔王:安岡力也
ちち:坂下千里子
兎人参化:所ジョージ
天下一武道会の司会:田代まさし
天津飯:八巻建弐(極真空手)
餃子:山田花子
ヤムチャ:つるの剛士(ウルトラマンダイナ)
ウーロン:上島竜平(ダチョウ倶楽部)
レッド総統:鈴木宗男(議員辞職後初仕事ということで)
ブラック将軍:ムルアカ(鈴木宗男<元>議員の個人秘書)
ブルー将軍:羽賀研二
ムラサキ曹長:竹中直人
ピラフ:池乃めだか
人造人間のはっちゃん:ジャイアント白田(大食い王)
占いおばば:野村昭子(大沢家政婦協会の会長さん)
アックマン:西村雅彦
ピッコロ:布袋寅泰
神さま:山崎務
ミスターポポ:ウガンダ(パパイヤ鈴木を黒くしても可)
界王さま:桂文珍
ヤジロベー:村田雄浩
ベジータ:真田広之
ナッパ:安田忠男(新日本プロレス)
ドドリア:伊集院光
ザーボン:大澄賢也
フリーザ:美川憲一→(変身)→美輪明宏→(変身)→ガクト(IZAMでも可)
ギニュー特戦隊:マーク・ハント、マイク・ベルナルド他K1戦士のみなさん
どうだろう、ギャラはジェット・リー以外はかなり安めに抑えたので、特撮はILMにたのめるかもしれない。武闘演出は当然香港から呼ぶ。これならハリウッドに勝てる・・・・わけないよね。
◇
筒井康隆編『日本の名随筆−嘘−』(作品社)、ミスター高橋『すべてのプロレスはショーである』(講談社)購入。
意図して買ったわけではないのに、われながら絶妙の組み合わせだ。 61.211.6.153 漫 274 1015754414 エスニックジョークNHK『お笑いオンエアバトル』は毎週かかさず見ているのだが、最近はややマンネリ気味。ドランクドラゴンやラーメンズが出ていない週はもう一つ物足りない。
その中で今回面白かったギャグは長井英和の放った一つだけ。これは笑った。
旧正月にはピッキング強盗も減る石原都知事が喜んでほんとうに統計を調べそうだ。
◇
『江戸の少年』読了。→レビュー。
藤本ひとみ『見知らぬ遊戯』『快楽の伏流』(集英社文庫)購入。
61.204.103.154 笑 272 1015555667 こういうのも不当表示かな? うるわしき女体を描こうとするものとしては、やはり自然な形態を把握しておかねばなりません。
某所の掲示板で紹介されていた気分転換に最適なサイト。→「シリコン・チャレンジ」。
「PLAY」をクリックする前にそばにだれもいないのを確認のこと。おっぱいのサムネールがずらっとならびますのでね。
「PLAYBOY」に出てくるような乳房のアップをみながら、リアル(天然もの)かシリコン(整形済み)かを当てるクイズ。20点満点だと「あんたはヒュー・ヘフナーだ!」と誉められます。そんな誉められ方はいらんという感じだが、5点以下だと「デミ・ムーアの映画やストリップショーを見て修行してこい」と罵倒される。私は17点でした。女性の方が良い点がでる(見る目が厳しい)という噂あり。
大きさだけでなく異様に円いのは怪しい、というのがコツかな?
日本版も作ってほしいものだが、某姉妹や飯○愛ちゃんならすぐわかる。 61.211.6.153 網 271 1015299517 あやかしの星へ還るどうも好きな作家・アーチストの訃報が続いて寂しいかぎりだ。といっても、最近(でもないか)の『太陽の世界』以降は読んでないけどね。(執筆開始時の「80巻予定」というのを聞いて読む前からあきらめた)
いまや一ジャンルとしてしっかり定着したオカルト色濃い伝奇小説は、この人の『
産霊山秘録 』が最初だろう。この分野の日本の最高傑作は、いまだに半村の『石の( 血脈 』だと思うし。(
『黄金伝説』にはじまる<伝説>シリーズも有名だったけど、なかなか『石の血脈』を超えるのは書けないなあと思っていたら・・・・『妖星伝』はすごかった。時代エンターテインメント小説では、はじめて山田風太郎の忍法帖に比肩する作品が出た!と、はまりこんだものです。直木賞をとった『雨やどり』のような人情物もうまいし、『闇の中の黄金』や『女たちは泥棒』みたいなピカレスクも好き。こんなのもなかなか。
文章に江戸っ子らしいあだっぽい色気がありました。惜しいなあ。
筆名の由来が「イーデス・ハンソン」をひっくりかえした、ってのはほんとかね?
◇
『21世紀本格』読了。→レビュー。
61.211.6.153 本 269 1014867673 ダン、行かないで! ウルトラ怪獣をデザインした美術監督の成田亨氏死去。
考えてみるとウルトラマンの造形とは実に天才的なデザインですね。怪獣と闘う宇宙からきたヒーローのメタリックな胴体に、弥勒菩薩のようなアルカイックスマイルをたたえた不思議な顔。凡人にはとても思いつかない。
30年以上たってもいささかも古びることがないのは驚異だ。私が小学生のときにはじまったウルトラシリーズが世代を超えて私の子供や甥ッ子たちをとりこにしている。
これほどのスーパーデザインに対して成田氏がうけとった報酬は最初のデザイン料だけだったらしい。
円谷プロのデザイナーたちは成田亨の遺産で食っているといっても過言ではあるまい。仮面ライダーシリーズのようにどんどんデザインが先鋭化していくならともかく、成田以後のウルトラの兄弟たちはごてごてと劣悪化していくばかりだった。ウルトラマンに角をつけるんじゃないっての。
成田氏の本業は彫刻家。本人の彫った見事なガラモンを見ると「怪獣芸術」という感じがする。こちらは正面からの画像。
初期ウルトラシリーズでコンビを組んでいた造形師高山良策のガラモンも味わい深い。
東急ハンズだかのミニチュア売場でウルトラシリーズの怪獣やスターウォーズのキャラ、エイリアンやゴジラなどが並んでいるのを見たことがあるが、やはりバルタン星人やカネゴンの造形はきわだっていた。ミニチュアになってディテールが失われ単純化された分、基本的なデザインの力強さの差があらわれていたのだろう。
以下がウルトラシリーズで成田氏がデザインをてがけた怪獣の一覧。
☆ウルトラQ
ペギラ、ゴルゴス、M1号、バルンガ、カネゴン、セミ人間、パゴス、ケムール人、
ボスタング、ラゴン、ゴーガ、ピーター
☆ウルトラマン
ウルトラマン、ベムラー、バルタン星人、ネロンガ、グリーンモンス、ゲスラ、アントラー、レッドキング、ピグモン、スフラン、マグラ、ガボラ、ジラース、ギャンゴ、ドドンゴ、ミイラ人間、ペスター、ガマクジラ、ガヴァドンA、ガヴァドンB、プルトン、ケムラー、ザラブ星人、アボラス、バニラ、ヒドラ、テレスドン、ジャミラ、グビラ、ゴモラ、ギガス、ドラコ、ダダ、ゴルドン、ウー、ザンボラー、ケロニア、ザンボラー、メフィラス星人、スカイドン、シーボーズ、ザラガス、キーラ、サイゴ、ゼットン、ジェロニモン
☆ウルトラセブン
ウルトラセブン、ウィンダム、クール星人、ワイアール星人、エレキング幼獣、エレキング、ミクラス、ヴィラ星人、ゴドラ星人、ペガッサ星人、キュラソ星人、メトロン星人、チブル星人、イカルス星人、ナース、ワイルド星人、スペル星人、アイロス星人、キングジョー、アンノン、ユートム、ベル星人、グモンガ、バド星人、ギラドラス、シャプレー星人、アイアンロックス、ブラコ星人、ガブラ、シャドー星人、カナン星人、ガンダー、ポール星人、ギエロン星獣、ボーグ星人、恐竜戦車、プロテ星人、プラチク星人
このへんまではほぼリアルタイムで見ている。以降の成田氏がかかわっていないシリーズは見ていない。偶然とはいえ理想的な観かたかも<自慢か?
あと未確認ですが、科特隊やウルトラ警備隊の制服も成田氏のデザインらしい。
アンヌ隊員もいまや50代か。この方は成田氏のデザインではないが、今もお元気のようでなによりです。
「日本ゼロ年」展での成田亨氏のインタビュー。 61.211.2.57 怪 268 1014784036 ムネオ・ウォッチ 宗男の右腕“ラスプーチン佐藤”の正体。
鈴木宗男議員もラスプーチンやジャイアント馬場より大きいコンゴ人を身の回りに使うなど、なかなかやることが悪の総帥っぽくて笑わせてくれる。
しかしこの佐藤氏、記事によれば「モスクワ時代に築いた政治家、軍、果てはマフィアまでのパイプというのは世界レベル。彼はロシア語ばかりでなく、アゼルバイジャン語やアルメニア語も話す。世界的な情報機関のCIAやモサドなども彼の情報を評価するほどです」というラスプーチンの名に恥じない傑物だったようだ。
これほど優秀なのだから、38歳で主任分析官(民間の課長補佐級らしい)は遅すぎるくらいだと思うが、外務省では「異例の抜擢」なのだそうだ。「どんなに仕事ができてもノンキャリアの場合、部下がつく課長補佐級の地位になるのは50歳前後」だというのだから、こわもての恫喝議員にとりいって能力に見合った仕事をしたいと思うのも無理がないような気がしてきた。
同じ外務省の松尾元支援室長が外交機密費を流用しマンションや競馬馬を買っていたのも記憶に新しい。彼も機密費を一手に握って大きい顔をしていたが、次官などへの出世は難しいノンキャリアだ。
官庁ではないが、旧石器発掘捏造の藤村新一氏も「神の手を持つ」といわれた在野の民間学者だった。
こういった、能力がありながら世にいれられない小官僚や在野の学者・芸術家の悲劇を小説の形で描きだしたのが、松本清張だった。清張の書いたノンキャリアたちは、キャリア連中に重宝されて汚れ役をひきうけときには犯罪を犯し、しかし最後にはいつも捨石にされる。
ムネオ議員以下ラスプーチン氏や機密費パクリ氏にいかほども同情するものではないが、清張の世界の構図をそのまま見せられたような気がするのも事実だ。
だって外務省キャリアには全然傷がついてないじゃん。◇
『コカイン・ナイト』読了。→レビュー。
殊能将之『美濃牛』(講談社ノベルス)、瀬名秀明他『21世紀本格』(島田荘司編/カッパノベルス)、『追悼特集−山田風太郎』(河出書房新社)購入。
61.211.2.57 時 266 1013928872 早発性痴呆→分裂病→統合失調症 今日の朝日新聞によれば、精神分裂病の呼称は、「患者、家族に不利益を与えない病名」という観点から「統合失調症」という名称に変更されたそうだ。
Amazonでのはじめての購入。なんといっても1500円以上なら送料無料なのがいいやね。
全国精神障害者家族会連合会 のWEBサイトに新名称に関する意見募集・集計報告が詳しく載っている。( 有効回答数:2368(手紙・ハガキ2276通、電子メール92通)よせられた案の中の
回答者平均年齢:47.9歳クレぺリン症候群やドーパミン受容体不全などは専門の医師の方の回答なのだろう。一過性ストレス症とか神経思春期多覚性思考困難症は素人目にもなんか違うんじゃない、という感じだ。蜃気楼症や心神異形症候群、精神荒廃病なんて今より差別偏見を助長するのではないか。精神マヒナスターズ病にいたってはなんのことやらわからない(まさか専門用語じゃないよね?)。
逆魂(ギャクタマ)、温理由(オンリーユー)、魂乱(コンラン)、ニュータイプなんてのは単なるうけねらいだろう。はなやぎ病って花柳病?そりゃ性病のことだっての。
スーパーサイコや脳みそバーン病、友人喪失病にいたってはうけねらいを通り越して悪ふざけだ。
精神科医の山登敬之氏が文春でもとりあげていたピカソ・インスピレーションというのもすごいけど、患者みんながみんなピカソ的な幻影を見るわけではないだろう。
なかでひとつ気になったのが糸つむぎまゆはき症候群。
なにやら異様なリアリティがあるが、どんな根拠による案なのだろう。
上記サイトの「「精神分裂病」という病名を捨てよう」という頁を読むと「精神分裂病」という病名自体、命名者はいろいろ悩み考えたすえに決定したことがわかる。こうした事実や経緯をきちっと伝えることが大切で、名称を変えるだけだと当座はともかく「統合失調症」もそのうち差別的ニュアンスを付与されて、また名称変更なんてことにもなりかねない、と思うが、現実の当事者のいま現在を思えばそうもいってられないのだろうね。 211.126.31.173 時 265 1013837289 どたばたオリンピックとか オリンピック疑惑の判定−カナダペアにも金。
んなこというなら、柔道の篠原にも金を与えんかいっ!
と思った日本人は私だけではないはずだ。
日本人以外では一人もいないだろうけどね。◇
昨日のフィギュアスケート男子シングル、金のヤグーデンが女性コーチと抱き合ったのを見た娘は「うあ〜、あのおばさんになりてぇー」と騒いでいた。ただし本命はプルシェンコの方らしく「あんな人が隣にきたら鼻血でちゃうよねえ」とほざいておった。「俺は生まれ変わるんだったらヤグデンの方がいいな」とぜいたくをいう父親(私)。妻の好みは5位の美形のロシア選手らしい。顔だけかい。息子はけなげにも「やはり本田を応援しなくちゃ」と愛国心を発揮している。えらい。◇
TVで木村拓哉の出ているFMVのコマーシャルを見るといつも思うのだが、さすがのキムタクも共演の岸部一徳の存在感に負けている。
私はこの役者が好きで映画やドラマでの演技はたびたび見ているが、素の声というのを一回も聞いていない。
元タイガースのサリー。といっても元野球選手ではない。弟は有名な借金王。タイガースが解散して以来役者一筋で、バラエティやワイドショーなどにほとんどまったく顔を出さない。
できればずうっとこのままでいってほしい。突然「さんま御殿」などに出てきたりしないでくれ、とひそかに思っている。余計なお世話だろうが。◇
『虚構市立不条理中学校』読了。→レビュー。
『声に出して読みたい日本語』読了。→レビュー。
氏家幹人『江戸の少年』(平凡社新書)購入。
61.204.103.94 ス 262 1013327109 ようこそ、クライテン うちはペットを飼っていない。そのかわりというわけではないが、自作のメインPCには「ゴンスケII号」という名前をつけて可愛がっている。
ゴンスケというのは、もちろん藤子・F・不二雄先生の名作『21エモン』に登場するポンコツロボット、通称「イモ掘りゴンスケ」のご尊名だ。
こちらの画像の左下の雄姿がゴンスケその人だ。あの中華スーパーロボット先行者にも匹敵するスタイリッシュなデザインでしょ?私が憧れて、愛機に名をちょうだいしたのも無理がないと察してほしい。
しかし、物欲日記に書いたとおり、ゴンスケのOSをWindows98SEからWindows2000に切り替えた。当初のCPUから2世代ほど変わってしまっている。OSのインストールされているHDは切り離して保存してあるので、現在のマシンがいまだゴンスケであるというのは、もはやちょっと無理があるだろう。
ここで愛着あるゴンスケは保存中のHDでそのうちサーバー専用かなにかで生き返らせてやることとして、新しい名称と人格をあたえてやることにした。
新しい名前は、 クライテン。
正式には「Kryten 2X4B-523P」だ。
知る人は知っている『宇宙船レッド・ドワーフ号』に登場するアンドロイド(番組の用語ではメカノイド)の名前である。
いかにも英国BBCらしいお下劣ギャグ満載のSFコメディで私は大好きだったのだが、日本で放送したのはなんとNHK教育TV。ありがたいというか、おぬしやるな、というか。昨年末にも全作再放送したのを、ようやくビデオで見終わったばかりで、どうしても迷キャラクター・クライテンの名をつけたくなったというのが真相だ。(すまぬ、ゴンスケ)
本家クライテンの姿はどんなのかというと、こんな感じ。一見気持ち悪いが、実際見るともっと気持ち悪い。というか、アホらしい。
ということで、うちのクライテンがしっかり働いてくれることを祈ろう。
余計かもしれないけどレッドドワーフの公式サイトはこちら。映画化も予定されているらしいが、日本では公開されないだろうなあ。 61.198.198.178 電 261 1013265372 ニワトリと麒麟と象 昨夜は狂言回しのオーナーH2さんにお会いする機会があり、所蔵の画集などを拝見したのだが、なかでも英語のニワトリの写真集が圧巻。
H2さんのサイトで紹介されていたのでご記憶の方もいらっしゃるかもしれないが、変種の恐竜みたいなのやセサミストリートのバードそのままのような、これがニワトリ?!という奇っ怪な姿態の生物たち。頁をくるごとに驚きの連続で見飽きることがない。
「ニワトリの化け物」というテーマで自由に、想像力をふりしぼって絵を描いたとしても、この写真集に出てくる連中にはとてもかなうとは思えない。
もちろん私のようなへっぽこ素人絵描きはあたりまえだが、たとえ絵画史上に残るような画家でも、進化の妙をうわまわる想像=創造ができるか、疑問だと思う。
たとえば中国の霊獣に麒麟というのがいる。キリンビールのラベルについてる龍と獅子のキメラみたいな奴ですね。そして動物園やサーカスの人気者、ジラフの別名はキリンだ。おそらくはじめてジラフをみた東洋人が、その奇怪な姿にこれが伝説のキリンだと思ってしまったにちがいない。しかし麒麟とキリンではあきらかにジラフのキリンの方が姿の奇妙度は上だろう。
きわめつけだと思うのは象だ。いまでこそ見慣れてしまっているが、あんな変なかっこうの動物がいるのは奇跡としか思えない。他のほ乳類で似ているものが全然いないではないか。象を見たことがない人限定で「へんてこな形のほ乳類の想像画コンテスト」を開いたとしよう。はたして象をうわまわるほど奇天烈なデザインのほ乳類というのを考えつくだろうか。
まあ、なんといっても自然がオリジナル、絵は自然のコピーまたは自然のパロディ。アレンジの妙で勝負するしかないでしょう。 61.198.198.178 絵 260 1013157499 ウイルスは対策ソフトはなぜ儲かる? トレンドマイクロが27%の増益。
コンピューターウイルス対策ソフトをコンビニ販売
「ウイルス対策ソフト会社がウイルスを使ってばらまけば究極のマッチポンプ」なんて悪い冗談も聞くが、いくらなんでもそれはないだろう。(もしかしたらと思わせるのは、やはり雪印食品の牛肉詐欺事件の影響が大でしょう)
需要が即増益につながったのは、企業ユーザーが大量に購入したということが一つ、もう一つはソフトの性質によるところが大きいと思う。
ごぞんじのようにウイルス対策ソフトはパターンファイルをネットからダウンロードして更新する。常に最新の情報にしておかなければ、いま現在流行しているウイルスは駆除できないからだが、そのためメーカー側でユーザーのシリアル番号とアクセスアドレスを確実に把握できる。
すなわち不法コピーの大部分を排除することができるわけだ。ユーザー側からすると、ちょっとコピーしてまにあわせるというわけにはいかず、恒久的に使いたいなら買わざるをえない。需要がほぼ確実に購入に結びつくというわけだ。Adobeあたりから見ればうらやましいかぎりだろう。
巨人マイクロソフトもOfficeXPでは認証システムをとりいれたが、もう一つあかぬけないような気がする。それでも、このままブロードバンド化が進んで、ネットに接続していないPCが例外的な存在になれば、不法コピーを排除するもう少し進歩した方法が現れるのはまちがいない。
ユーザーの立場としては痛し痒しだが、そうならないとネットのこれ以上の進歩もないのだから、しかたがないか。もちろんその暁にはソフト価格は大幅に値下がりするはずなのだから期待もできる、よね?>メーカー各位 61.211.7.19 電 259 1013088041 女の涙 たまった読了記を書いていたので旧聞に属してしまったが、田中真紀子議員の涙である。
小泉首相にいわせると「涙は女の最大の武器」だそうだが、男でもこの武器の使い手は意外と多いような気がする。少なくとも、うさんくさい笑顔で蔭で恫喝するようなやからよりはずっといい。
たとえば山一証券の破綻会見の社長さんの涙。将来にわたってバブルの崩壊が話題になるとあの顔が映像が流されるのはまちがいない。本人にとってこれはかなわんだろうと同情していたが、あの人はヘッドハントされてちゃんと(ちゃっかり?)社長をやっているらしい。実力や人脈もあったのだろうが、あの涙も少々貢献したのではないのか。
もうすぐはじまる冬のオリンピックでも名場面といえば、原田雅彦選手の「船木よぉ〜」という涙声のセリフだろう。
日本人ばかりではない。ホメロスの『イリアス』(岩波文庫)を読んだとき意外だったのは、トロイア戦争の英雄たちが実によくしゃべり、よく泣くことだ。自分の戦功がみとめられなかったといっては涙の抗議、死んだ英雄の遺品の所有権を主張しては涙を流す。戦友が死ねばもちろん朗々と詩を謳いあげながら涙涙だ。
もっともホメロスはギリシャ人、涙の肯定はラテン系の特色なのかもしれない。アングロサクソンやゲルマン人がどうなのか、興味はあるがよくは知らない。
しばらく感情が激して涙を流すなんてことはしてないが、男だって涙を流すのが必要なときもあるさね。武器として使うのはいさぎよしとしないが。◇
『歓びの娘』読了。→レビュー。
『鏡の中は日曜日』読了。→レビュー。
『幻想の画廊から』読了。→レビュー。
『煙草屋の密室』読了。→レビュー。
『殺戮のキャンパス』読了。→レビュー。
『ロレンス短編集』読了。→レビュー。
藤本ひとみ『歓びの娘』(集英社文庫)、清水義範『虚構市立不条理中学校』(講談社文庫)購入。
61.198.198.178 時 252 1011935752 いたましさきわまれり 炎を放つ少女を描いたあとにこんな事件は困るよ。暗澹としてしまうではないか。
女子短大生焼殺。
ステレオタイプな反応しかできないが、こんなことをした犯人には、火炙りの刑しか選択肢はないのではないか。
少なくとも犠牲者の親御さんにはその権利がある。 61.211.2.216 時 251 1011843471 『手錠のままの脱獄』他 NHK衛星映画劇場『手錠のままの脱獄』。
1958年、監督:スタンリー・クレイマー、主演:シドニー・ポワチエ、トニー・カーティス。
内容はよそさまでご覧いただくとして、最近のハリウッド映画とおおいに違っているところがある。モノクロだというところが一番だが(デジタル修正されてるのか実に美しい画面だ)、手錠でつながれたまま脱獄・逃亡する白人と黒人が『リーサル・ウエポン』のようには簡単には仲良くならないところ。
うちの子供たちはリンチのシーンがよくわからなかったようだ。アメリカで黒人が差別されていた(いる)という知識自体がない。途中で助けられる民家の女(カーラ・ウィリアムズ)がトニー・カーティスにだけ食べ物を出し、彼が相棒の分を催促すると女が不可解な顔をする、なんてシーンが理解の外なのだろう。「黒人の人の方がかっこいいじゃん」なんていってる。知らないことがいいことか悪いことか迷うところだ。
モハメド・アリが金メダルを川に捨てたエピソードを話してやったりしたけどね。◇
上記、カーラ・ウィリアムズはたいした美人ではないが、くびれたウエスト、蜂のような曲線を描いた腰がセクシーで、いかにも50年代のハリウッド女優というプロポーションの持ち主だ。
やはり、ボディラインにも流行というものがあるのだね。
こちらが今年のもっともセクシーな男性女性。綺羅星のごときメンバーだが、気がつくのは平均年齢が高いこと。ざっと見た感じでは三十代後半くらいか。
日本で同じような選出をしたら、おそらく平均で十歳は若い人たちが選ばれるに違いない。
理由は、たぶんみんなが考えているとおり。◇
朝日新聞の本日(1月24日)付け「天声人語」。
雪印食品の牛肉すりかえ事件について。
内容については、まあおっしゃるとおりだが、最後に「モー我慢できない」でしめるというのはどうか。
私のような年代の者にとっては、名文といえば「天声人語」だった・・・・はずなんだけどね。天は語らず人をして語らしむ61.211.2.216 映 250 1011240454 流血相撲 いやあ、みました?昨日の栃東・朝青龍戦。
朝青龍の凄まじい顔面張り手攻撃に栃東が鼻から大量出血。いったん止血のため中断するというボクシングのような展開。再開後、青龍の攻めをしのいだ栃東が脇を完璧に締めた上手出し投げで業ありの一勝。
ひさびさに興奮させられる一番でした。
いくら張られても顔をそむけたりせず最後まで頭を上げずにしのぎきった新大関もさすがだが、常に闘志を全面に出して勝負してくる朝青龍の相撲はいつも楽しみだ。
ただし、最近多用している張り手は顎のあがる相手には有効だけど、栃東のようなしっかり顎をひく基本が出来ている相手にはそう効くもんじゃない。もっと前さばきなど相撲の基本技を身につけないと栃東や琴光喜にはなかなか勝てないだろう。
それでも朝青龍の台頭で相撲が面白くなったことはたしかだ。礼がどうの土俵の美がどうのと、小錦が横綱になろうかというときに聞こえたきたのと同じようなバッシングがちょろちょと目についてきたが、そんなことをいっている奴は、なにが今の大相撲の低迷を招いたかわからないのだろうか。
なかよしクラブのようななまぬるいどっし〜んひらりぱった〜りというような相撲はもうたくさんだ。ああいうのが土俵の美なのか?
貴乃花の鬼の形相に感動したのなら、相撲が本来の格闘技としての魅力をとりもどせばまだまだ面白いものだということがわかるだろう。
そして朝青龍の殺伐とした雰囲気は格闘技そのものだ。
マイク・タイソンにも通じるナチュラルな強さが相撲っぷりやたたずまいからオーラのようにはなたれている。(このオーラのあるなしが、たとえば「ボクサーとK1どっちが強い」なんていうしょうもない話題のときに名があがるのがレノックス・ルイスでなくタイソンである理由でしょう)
ただし、朝青龍には文句もある。なぜあの相撲を千代大海あいてにやらん?八百長か?といわれちゃうぜ。
殺伐とした話題のあとは笑える相撲話を。
初日のNHKの相撲中継を見た人なら確実に笑える→まいのうみはいろいろかんがえた 61.211.2.216 闘 249 1011092545 こわもてブッシュの向こう傷 ブッシュ大統領、菓子を喉につまらせ失神。フットボールをTV観戦中に、菓子(「プレッツェル」)をのどにつまらせ、意識を失って転倒、顔にすり傷を負った。・・・・もし死んでいたら、「史上もっとも間抜けな死に方をした大統領」として名を残せただろうに、ジョージも残念なことをした。
もっとも、死んでしまったら、まぬけな原因が周囲の状況からどんなにあきらかでも、「イスラム過激派の暗殺説」がでたことだろう。
それにしても、よく正直にマスコミに発表したと思うが、傷も残ったことだし、へたないいわけは余計なかんぐりを受けると読んだのだろう。
クリントンばりに浮気をしてローラ夫人にぶっとばされた、とかね。◇
古川日出男『アラビアの夜の種族』(角川書店)購入。ちょっと高め(\2,800)なので迷っていたのだが、たまたま八重洲地下街の古書店で千六百円で出ていたのを見つけた。また未読が・・・・ 61.211.2.216 時 248 1010977958 『シュレック』 日劇プラザで『シュレック』を観た。
私好みで面白かったけど、すいてたなあ。アメリカでは抜群の興行成績だったらしいが。アメコミと一緒で日本ではうけないタイプなのかもしれない。
主要キャラの怪物シュレック、プリンセス・フィオナ、おしゃべりドンキーはどれもチャーミング。CGとは思えない、しかしCGでしか出せない表情表現は、ある意味実写の演技を超えた魅力を放っている。
中でもフィオナ姫の単なるかわいこちゃんではない美しさは秀逸で、CGでここまで肌の輝きを出せれば完璧の域といえるのではないか。胸元にかすかにちらばるそばかす(ほくろ?)がセクシーだ。
特にシャープなボディはリアリズムとはちょっと違う理想化されたラインだと思うが、その理想化の具合が旧来のグラマラスボディではなく、シェイプアップされたスポーティな造形なのが現代的だ。
ディズニー(等)の「お伽話アニメ」をおちょくったストーリーはたしかに新鮮で、プロレスばりのアクションやグロい描写もパロディも面白い。お城の入り口がディズニーランドそのもののパロディなのは笑えた。
ただ、どのアイデアも「みんなで考えた」という感じでもう一つ徹底していない印象はうけた。たとえばティム・バートンのグロティスク、メル・ブルックスのパロディのような、監督の個性が全編を一色に染め上げる域には達していない。そうだ、スタッフはドリームワークスのままで、監督はメル・ブルックスで撮ったら徹底的に面白いパロディアニメになったかも。もっともっと下品になったろうけどね。
ラストもあっさりとしていてやや駆け足な印象。もう20分くらいかけてじっくりクライマックスを盛り上げてほしかった。ラストの意図はわかるが、ここはやはり、シュレックが[呪いがとけない姫に「十分美しい」といったときに、もう一度姫が変身して美しい姿にもどる]、にしてもらいたかったところだ。それに[姫は変身した自分を「こんなにみにくい姿」と言っているが、単に太っただけではないのか?やせれば元にもどるような感じだが]?
なんにしても草や森などのCGによる自然描写のすごさはただごとではない。描画したのはシェイダーというシステムで、なんでも30億枚以上の葉と2万8千本以上の樹を育てる「デジタル温室」なんだそうだ。なんだか「学習して成長する人工知能」を連想させられるなあ。
もう、なんでもありだね。◇
『シュレック』みたいな作風、画風はきらいじゃないし、今リクエストされているテーマは「童話」だけど。
このパターンではいかない。 210.159.88.250 映 247 1010582163 日本を動かした15人 NHK『その時歴史は動いた特集日本を動かした15人』。
アンケートによるその結果は
1 織田信長
2 坂本竜馬
3 徳川家康
4 豊臣秀吉
5 聖徳太子
6 マッカーサー
7 源頼朝
8 ペリー
9 西郷隆盛
10 徳川慶喜
11 勝海舟
12 新撰組
13 東条英樹
14 明智光秀
15 手塚治虫
まあ、妥当な結果ですな。
明治政府の政治家は選ばれてないな、とか色々感想はありますが、私的に特筆すべきは、やはり文化人としてただ一人ランクインした手塚治虫でしょう。
今の四十歳代以下の日本人の「未来像に及ぼした影響」という点では、今から二十年後、三十年後に同じアンケートを取ったとき、手塚治虫の存在感は今よりさらに増しているのではないか。
それとも手塚マンガを直接楽しんだ世代が交代してしまえばそれまでか。
大きくいえば日本の未来が左右されるような気がしますが、やはりおおげさ?◇
『逆襲の野獣館』読了。→レビュー。
ロレンス『ロレンス短編集』(上田和夫編訳/新潮文庫)購入。
210.159.89.4 時 245 1010301247 スケーターズチャンピオンシップ NHK-BS1で『スケーターズチャンピオンシップ』を観る。
うううう、どんどん未読リストが増えていく・・・・
フィギュア・スケートを見るのは好きだけど、現在女子シングルの頂点がだれなのか知らなかったことに気がついた。
ミッシェル・クワン?ではない。「スケーターズ・・」はプロの大会なのでクワンなどの現在の五輪代表選手は出場しないが、ついこの間までの世界チャンピオンなどの名選手が、綺羅星のごとく登場する。表現力まで含めた総合力はこちら(プロ)の方が上だろう。その中でアルベール五輪のチャンピオンクリスティン・ヤマグチと争ってチャンピオンの座についたのは、タラ・リピンスキーでも陳露でもない。もちろんトーニャ・ハーディングなんて影も形もない。
七人の審査員の一人が10点満点をつけただけで観客がどよめくという中で、芸術点がオール10点のパーフェクト、技術点も最高というぶっちぎりの成績で優勝したのは日本人、94年の世界チャンピオン佐藤有香だった。フロックではない。それどころか、これで二連覇だというのだから驚きだ。
佐藤有香の名前はもちろん知っているし、世界チャンピオンになった大会もTVで見ているけど、五輪直後大物がのきなみプロ転向してライバルはジャンプ力があるだけのボナリーぐらい、しかも開催地は日本という有利すぎる条件での優勝で、演技の印象もそれほど残っていない。最近も解説にはよく出てるし伊藤みどりより的確で聞きやすいけど、えらそうなこというほど実績ないじゃん、なんて失礼なことをいつも思っていた。失礼しました。
なめらかなスケーティング、軽やかで正確で安定したジャンプ、体格のハンディを補う豊かな表現力。私のような素人目にも出場選手中で群を抜いていると感じられた。すごい人だったんですねえ。解説でてきびしいこというのもしかたがない。
外国選手と比べて体格は日本人的で太め短めなのはもちろん変っていないが、アマ時代よりしまって筋肉質になった印象。顔も大人びてあかぬけてアマの時にはなかった色気を感じた。流暢な英語でインタビューに答える姿には貫禄さえただよう。
佐藤有香さんはシングルだけでなく二枚目の白人男性と組んでダブルスでも準優勝。パートナーと得点見ながらにこやかに話したりキスしたりしてましたよ。彼ははげますように肩というかほとんど胸元にまでキスしてたな。う〜ん、どういう仲なんだろ<余計なお世話
と思ったら、ご夫君なんですね。納得。
え、男子ですか。
やはりカート・ブラウニングがすばらしかった。若いクーリックには勝てなかったけど。
そのふたりではない?
はいはい、わかってます。キャンデのロロたんですね。出てましたよ。ターザンみたいなかっこうで着ぐるみのゴリラとコント?をやるというと反則すれすれのプログラムで、アマ時代よりずっとはじけてました。ラストではビキニパンツ一丁で審判席に飛びこむという、お前は男ストリッパーかという飛び道具までくりだしてたけど、点数は延びず5位どまり。
なんというか、意あまって力足りず?
名作『三銃士』みたいなのをまた見たいものです。 210.159.88.208 ス 244 1010218398 『バトル・ロワイアル』 娘が借りてきた『バトル・ロワイアル』を観る。
さすがに深作欣二監督の演出はテンポが良くておもしろい。北野武の存在感もさすがだし。
それだけに、国家がこのサバイバルテスト制度を作ったというのが、もうひとつリアリティを欠いた感じがしてしかたがない。近未来という設定も妙に社会風刺くさくてしらける。
むしろ教師が一人でかつての教え子を拉致して殺し合いを強要する、という方が緊迫感があっていいのではないかな。富豪のあとつぎなのに教育に情熱を持って教師になったという設定にすればなんとかなりそうだ。現実の荒廃した現場に挫折したうえに、不良生徒のために心身ともに傷を負ったとすればリアルでしょう。
そういえば、そういう設定の小説が『バトルロワイアル』のあとで出たような気がするな。題名が思い出せないけど。◇
澁澤龍彦『幻想の画廊』(河出文庫)、リチャード・レイモン『逆襲の野獣館』『殺戮のキャンパス』(扶桑社文庫)購入。 210.159.88.231 映 243 1010115389 謹賀新年 大晦日に「明日から書きこみます」なんていっておいて、結局3が日はネットにつながずじまい。
ひさしぶりにスキーに行かず自宅ですごした「昔ながらのお正月」なので、当然朝からワインだ、酒だ、とおせち料理で酔っぱらい。PC立ち上げるのもおっくうだった。
で、年始に行ったり来たり以外はのんびりとTV桟敷と読書で時を費やす。こんなのもたまにはよきかな。
しかし、だらだらしたバラエティ番組はきらいなので、正月番組というのはどうにも口にあわない。年末に録画した『宇宙船レッドドワーフ』ばかり見ていた。まあ、こっちも下品なお笑いなので大差ないともいえるけど、ぬるいバラエティよりはずっと面白い。
あとは『名探偵ポワロ』の新作2作と昭和50年代の『松本清張ドラマシリーズ』の再放送が私にはよいお年玉。やはりNHKはたよりになる。紅白と大河はいらんけど。
あ、バラエティはきらいといいながら、TV東京の『大食い選手権』は見てしまった。TBSがパクった『フードバトル』とやらに負けたらかわいそうではないか。だいたいTV東京は昔からそういうとこがあって、こつこつと世界ヘビー級ボクシングを放映し続けてモハメド・アリの再起を盛り上げておきながら、世界タイトルなどのおいしい試合は他局にとられたりしていたのだ。
そんなこともあってうちはNHKとTV東京の視聴率が高いのです。私のいないときは知らないけどね。
ということで、遅ればせながら、
みなさま、あけましておめでとうございます。
年賀状、年賀Eメールいただいたかたがた、ありがとうございます。
本年もよろしくお願いします。 61.211.2.166 雑 242 1009782023 2001読了本ベスト10 今年も残るところ一日。恒例?の読了本ベスト10です。
1.『祈りの海』 グレッグ・イーガン
2.『ゴッホの遺言』 小林英樹
3.『模倣犯』 宮部みゆき
4.『語り手の事情』 酒見賢一
5.『一九三四年冬−乱歩』 久世光彦
6.『族長の秋』 ガルシア・マルケス
7.『チャタレイ夫人の恋人』 D.H.ロレンス
8.『侯爵サド』 藤本ひとみ
9.『なぜ人を殺してはいけないのか』 小浜逸郎
10.『ボトムズ』 ジョー・R・ランズデール
次点.『「こころ」はどこで壊れるか』 滝川一廣
あくまで、私が今年読んだ本が対象、当然はるか昔に出版された本もある。
なんらかのかたちでレビューを書いたり書名だけでも挙げた読了本が61冊、レビューが書けずに待機中が7冊あるので、68冊。さっぱり更新しなくなってしまった読了記、来年早々にはちゃんとまとめたいと思います。
鬼が大笑い?
映画はベストを書けるほど全然観られなかった。これは来年も変わりそうもない。今年は強いてあげれば『ギャラクシー・クエスト』。これは傑作でした。◇
正月スキーにはいかないので、明日からまたすぐ書込みますが、なにはともあれ本年も大団円。色々お世話になりました。
来年も引き続きよろしくお願いします。◇
ジョン・メイナード・スミス&エオルシュ・サトマーリ『生命進化八つの謎』(長野敬訳/朝日新聞社)、イアン・ワトスン『オルガスマシン』(大島豊訳/コアマガジン)、ジョン・G・バラード『コカイン・ナイト』(山田和子訳/新潮社)購入。 210.159.88.226 本 241 1009525953 炸裂!竜虎淫猥拳!! さすがに師走、一週間以上も書き込めない程度には忙しい。
しばらく書いていないとネタも湧いてこない。読了した本は何冊かあるのでレビューを書けばよいのだが、あんなものでも少しは落ち着かないとさすがに書けない。
ということで、笑えるページを紹介してお茶をにごそう。
先行者ほどではないけどやっぱり中国ネタ。香港か台湾製っぽい。かなり(だいぶ)エロだけど、バカバカしさの炸裂ぐあいがなかなかよいです。
→中華奇天烈動画との遭遇。
こんな技術で山田風太郎の『くノ一忍法帖』を作ってもらえないものだろうか。ただし、くノ一役はもう少し美形を希望。
そこのページを読んだら、どうしても動画をみたくなった方もいらっしゃるでしょう。
はい、ちゃんとさがしてありますよ。
■ここのメニューの「イナバの物置」からリンクをたどって「fuckfu.mpg」と「Real_Kung_Fu2.mpg」というファイルをさがしてみてください。
途中にある「elephant.mpeg」も笑えます。さらに同じところにあの先行者の試運転のAVIがあります。これも必見。◇
『殺戮の野獣館』読了。→レビュー。
『ボトムズ』読了。→レビュー。
速水融『歴史人口学で見た日本』(文春新書)購入。
61.211.2.166 網 238 1008326455 速きがゆえに 仕事で、あるジョブを二つのPCで流すことになった。メインのPentiumIII667では処理時間約20分。いつもはFAXサーバーにしているP5-166だと2時間40分もかかった。メモリやハードディスクの性能も違うし予想通りとはいえ、実に8倍の差がある。二つのマシンの設置は4年ほど違う。オリンピックの開催間隔と一緒だが、どんな競技もその間に記録が8倍にはなるまい。
ならば旧い機械はとっとと廃棄して8台分の仕事を1台でこなせれば、管理コストもなにも大幅に改善されるだろう。が、もちろんそうはいかない。
今回のようなひたすらCPUを酷使して処理する仕事ばかりではないからだ。P5-166クンがいつも黙々と仕事しているFAXサーバー業務は通信回線が相手だ。いくらCPUが画像を早く処理しても相手がそんなに早く送ることはできない。P5-166クンののんびりしたペースでちょうどいいのだ。
ワープロやデータ入力のような人間相手の仕事も同じだ。CPUの処理性能にとって人間が手で入力してくる速度など亀より遅い。PentiumIII667が私の相手をしているときは居眠りしているに違いない。
なにか、人間に似てるなあと思ってしまう。バグがあるソフトを流せば、速くても遅くてもこける、なんてとこも人間にはあるでしょう。速くなくても安定していることが大事な仕事もこの世にはたくさんある。
てなこといっても、わたしも昔は相手が遅いとすぐいらいらするタイプだった。年とって自分の性能が落ちてくると、抵抗勢力と化して遅いマシンに同情したようなことをいいはじめる。あまり、いい了見とはいえんな。
でもさ、最近の速いマシンほど早く壊れるように思えるのは、気のせい?◇
『キス・キス』読了。→レビュー。
61.211.3.90 電 236 1007958715 千と千尋の神隠し(続き) もうそろそろ上映も終わりという頃で恐縮だが、昨日の続きで、『千と千尋の神隠し』を観て、連想したこと。
ハク龍と千の飛行シーンは『ネバー・エンディング・ストーリー』。
魔界への入口のトンネルは『ツィゴイネル・ワイゼン』の鎌倉の切り通し。
湯屋の従業員の男女(?)は『百鬼夜行図』。
油婆々がカオナシを攻撃した業(わざ)は「かめかめ波」。
で、湯屋の外の廃墟にあった店の看板に「めめ」というのがあって、千が銭婆々の家に向かう電車の中にも、「めめ」印の荷物が積んであった。
これはつげ義春の『ねじ式』の「メメクラゲ」となにか関係があるのかなあ、と思っていたら、
m@stervision氏も同じことを書いていた。
やはり、m@stervision氏の映画レビューは面白い。『千と千尋・・』のクライマックスについての意見なんて、感心して読んでしまった。たしかにたしかに。
たしかに宮崎アニメって、最初テンポゆっくりで後半もりあがってくるのはいいが、ラストがあっさりしすぎではあるよな。単純に製作時間切れが理由のような気もするが。
次にこの手でみたいのは・・・・『シュレック』かな。
『千と・・』の上映館の予告編で観た中では『助太刀屋助六』。
岡本喜八、6年ぶりの新作とくれば観たいではないか。腕は衰えていないだろうな。 61.211.3.90 映 235 1007902128 千と千尋の神隠し 日比谷スカラ座『千と千尋の神隠し』
娘はとっくに見に行っていたのだが、親はやっと今ごろ見ることができた。
たしかに映画史に残る傑作です。
全編、いつか夢で見たような光景ばかりではじめてなのに懐かしいのには参った。
なんといっても『もののけ姫』のたたら場がスケールアップしたような湯屋(油屋)が圧巻。あんなところがあったら私も八百万の神になって湯治にいってみたいものだ。まあ、私の食い意地の悪さでは妻と一緒にたちまち豚になってしまうだろうが。
その他色々なイメージを連想させてもらった。
あの湯屋の光景は谷崎潤一郎の『美食倶楽部』を連想させた。
「坊」と「子供部屋」と「湯婆々」は『アキラ』の似たようなキャラと部屋を連想させる。
河の神のエピソードや釜爺のキャラクターや海に沈んだ鉄路など、ツボにはまりまくりなシーンの連続。千とハクが空を飛んで、記憶が戻るシーンでは、珍しく目頭がうるんできてしまった。
気になった点は二つだけ。
CGを駆使したリアルな部分と手描き風味の背景と伝統的なアニメキャラと三つのテイストが少々違和感を感じる部分があった。そのうち自然にシームレスに融合するようになるのだろうか。
ラスト直前に銭婆がくれた髪止めが、クライマックスで全然使われなかったこと。ちょっとだけ拍子抜け。
ということで、今日は満足満腹感で眠りにつけそうだ。 61.211.3.90 映 234 1007628660 ウイルス進化論 近頃のコンピュータウイルスは、システムをダウンさせる、データを破壊するといった「粗暴犯」は減って、ヘンな画面を表示させる「愉快犯」や情報を漏出させる「詐欺犯」が目立つようだ。
現実の人間に感染するウイルスや病原菌や寄生虫も、発生初期は激烈な症状を引き起こして感染者や宿主を死にいたらしめるが、段々毒性の弱いものになって宿主と共生するようになっていく。
考えてみれば当然で、大事な宿主を殺してしまっては、共倒れになってしまい、病原体も子孫を増やす機会が減ってしまう。だから致命的かつ迅速に症状が悪化するような病気は短い期間に菌をばらまけるよう、伝染力も強いが、宿主集団が全滅すれば、寄生体も滅亡である。長い目で見れば、感染しても宿主がちょっと不快をおぼえる程度の寄生体の方が、子孫をたくさん残すのには有利なのだ。
ヴァーチャルな世界のウイルスも似たような進化をしているのかと思うと、なんだかおかしい。
そのかわり感染力は一頃より格段にアップしている。もちろん、最大の主因はインターネットの普及だろう。スタンドアロンでPCを使うのがスタンダードだった頃は、感染の経路の大部分はフロッピーディスク、せいぜいがパソコン通信だった。
今のネットを介しての爆発的な感染は、かつて一地方の風土病にすぎなかった梅毒が、コロンブスのアメリカ「発見」とともに一気に世界中に広がったことを連想させる。日本にもすぐ鉄砲とともにポルトガル人が持ってきて、あっというまに蔓延した。
しかし、いくら本当のウイルスや病原菌に似ていても、所詮コンピュータウイルスはプログラム。人間がシコシコ作ったもので、自然発生したものでも「進化」したものでもない。
ただ「自己複製」するところは生命の萌芽を感じさせないでもない。
これが複製するときのコピー間違いによって突然変異が起き、それが自然淘汰によってふるいにかけられて、強力なウイルスができれば完全な人工生物でありヴァーチャル進化だ。
まあ、生物ではなくプログラムだから、突然変異体は単に「動かないプログラム」になって、とても淘汰されるところまではいかないだろうが。
そこでアイデアがある。
「二倍体ウイルス」である。
通常の生物が染色体を二組持っているのは周知のとおりだ。それと同じようにプログラム本体を二組持っているコンピュータウイルスを作る。ルーチンごとに優性劣性があり、どちらが働くかは決まっている。普通の自己複製はまるごとコピーして増えていくが、同じPC上に同種のウイルスを発見すると、プログラム染色体一組だけをコピーする減数分裂をする。そして別のウイルスが減数分裂して複製した配偶子と合体して新たなウイルスプログラムを誕生させる。
「交配」するわけですね。ひらたくいえばセックスするわけであります。
もちろん、ちゃんと動くかどうか保証の限りではないが、突然変異が起こってもそのプログラム遺伝子が保持されて次代に伝わる可能性は高くなるだろう。対になっている染色体のルーチンの補助動作が期待できるからだ。
もちろん、ウイルス本体の動作はただ増えるだけにして、環境を破壊するような致命的な動作を組みこまないことが肝要だろう。これは倫理的理由からではなく、そうした方がプログラム遺伝子の繁殖に有利だからだ。
こうしてネットの海にばらまかれた二倍体ウイルスが進化して、知能を持ち、いつの日か人類をおびやかすような怪物があらわれるかもしれない。
危険?
もちろん、今の技術ではできっこないから、いくら夢想を綴っても安全だが、本当の人を継ぐものはそういった意外なところからでてきそうな気はする。
もし、そうなったら、後継者を創ったという満足感をもって、人類は彼らにいさぎよくバトンタッチをすることができる、かな?
今度苦労するのは彼らなのだ。
それとも彼らには「苦労」なんて感覚はないのかな?ちょっとくやしい。 61.211.3.90 電 233 1007367441 Badtrans.B氏来たる いやあ、あの有名ウイルスBadtrans.Bワーム氏が、やっと、わがやにもご来駕くださりました。巷では「十通来た」「おれなんか百通だ」と大ブレイク中らしいのに、さっぱりお目にかかれなかったので、なんだか嬉しい気分だ。
うちはInternetExprolerとOutlookExpressという悪名高き組み合わせだが、最新版にしてプレビューオフにしてウイルスチェックソフト入れて、と一応対策は施してあるので、今のところさしたることはない。
対策をしていない、知らないうちに感染してるか心配な人は、PCのハードディスクに下記ファイルが無いか「検索」で確かめてみてください。
●whatever.exe
複数感染するとwhatever[n].exe (nは数字)になる。
●kernel32.exe
ワームの本体でc:\windows\systemディレクトリーに入る。
kernel32.dllはウイルスと無関係な重要なファイルなので、間違えて削除しないように。
●kdll.dll
キーボードの入力をばらすソフト。同じディレクトリーに存在。
もしワームが活動してるとレジストリが下記のように書き換えられている。
キーワード:\HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\RunOnce\Kernel32
値:kernel32.exe
以上のレジストリの値とファイルを削除すれば駆除できますが、詳しくは下記のURLあたりを参考にしてください。
http://www.ipa.go.jp/security/topics/newvirus/badtrans-b.html
http://www.symantec.com/region/jp/sarcj/data/w/w32.badtrans.b%40mm.html◇
対策を施せないような奴は端迷惑だからPC使う資格なし、的な論調も見かけるが、これだけネットが普及した現在、それは言っても詮無いことだ。なんといっても悪いのは、一にウイルスは造った奴、二に穴だらけのメイラーやブラウザーを作ったメイカー、三に雑駁な使い方のユーザー、というところだろう。
二のメイカーであるMicrosoftはボロクソにいわれているが、メジャーだからこそ狙われるので、他のマイナーな製品なら完璧かといえば、そんなことはあるまい。だいたい完璧なOSやソフトなどありえないので、悪意と技術と根気をあわせ持った人間をシャットアウトすることは現在も未来も不可能だろう。
当然、一の犯罪者にしても、三の被害者(兼悪意なき共犯者)にしてもゼロにすることは人類の見果てぬ夢だ。法律を整備して教育に力をいれれば、限りなくゼロに近づけることは遠い遠い将来にはできるかもしれないが、今は実現可能性の方がゼロに等しい。
秘密は洩れるもの、データは消えるもの。当分は「こういう社会なんだ。システムなんだ」と割り切ってネットに接していくしかないだろうと思っている。個人的には、被害に会う確率を低くするため常識的な対策は面倒がらずやっておく、大事なデータは外部媒体にバックアップをこまめ(最低一日一回)に取る、ぐらいのところか。
もし、被害にあったとしても、たかがデータだ。爆弾が降ってくるわけでもあるまいし、少々機密やプライバシーが洩れたところでどうだというのだ。
死ぬわけでもあるめえさ。◇
ヴィンセント・ファン・ゴッホ『ファン・ゴッホの手紙』(二見史郎編/圀府寺司訳/みすず書房)購入。 61.211.3.90 電 232 1007211172 女帝さて、いよいよ皇室典範改定かな。
もし、女性天皇の可能性もあるとなると、困ったのは財団法人日本相撲協会だろう。神道の元締めのような天皇が女性では、「土俵が穢れるので女性は絶対上がらせない」というのは通るまい。
文字通り、土俵際に追い詰められたか。さてさて、どうする。
◇
『うまい犯罪、しゃれた殺人』読了。→レビュー。
210.159.88.236 時 231 1007006512 銀座の行列シリーズその4 仕事で銀座に行くと、「ビックカメラの開店」「エルメス直営店の開店」「ブリジット・ジョーンズの日記の初日」と、なぜか行列に出っくわす機会が多い。
今日もまた、いつもに増して長大な人の列に行くてをはばまれた。「西銀座チャンスセンター」、年末ジャンボ宝くじ売り場ですね。
「当たると評判の売り場」ということなのだが、あれだけ買う人がいれば、当然当りくじもたくさんでるだろう。確率はどう考えても、どこで買っても同じはずだ。
行列の途中の目の前にも売り場があって、そこはすいているのだが、行列の人はかたくなに動かない。地方からわざわざ買いに出かけてくる人もいるらしいが、交通費分、地元で余計に買った方が、当たる確率は確実にあがると思うがねえ。
「夢を買う」のだから夢のないことを言うんじゃない、と言われそうだが、同じ夢なら、確率の高い夢の方がいいんじゃないかい。◇
『チャタレイ夫人の恋人』読了。→レビュー。
61.211.3.90 時 229 1006760186 蟹と昆布 いやあ、知らなかった。腹筋が割れるほどに鍛えられたおなかのことを「カニ腹」と昨今はいうんだね。
だれが言い出したか知らないが、言いえて妙。見事に形状を言い表していると同時に、カニバリズムをほのかに連想させるとこなど、ひさびさにはまってしまった。腹筋ボコボコの食人鬼。蟹は実際共食いするしね。
セミ腹という言い方もあるらしいが、やはり蝉より蟹の方が強そうだ。仮面ライダーなら「虫腹」か。ちょっとイヤ。◇
カニというわけにはいかないが、海辺の地方に小旅行に行っていた父から魚の干物を土産にもらう。新米とぬる燗の酒がひときわうまい。
旅先で父が話した漁師さんから聞いたことでは、最近の日本近海の不漁はひどいらしい。都会も不景気だが、かといって水揚げの少ない漁港には若者が帰ってこない。後継者のいない老漁夫は、5屯の船を操って今日も独りで海へ出て行くのだろう。
不漁の原因は海流の変化ということのようだが、それだけだろうか。お隣の中国は過去十年間で漁獲高が2.8倍になった。漁法の進歩もあろうが、それよりなにより昆布のおかげだという。
明治時代くらいまでは中国は昆布のとれない国で、日本から輸入していた。北海道産の昆布など六割が中国向けだったそうだ。それが昭和に入った頃、日本人技術者の指導で昆布の養殖がはじまった。戦後の共産中国も国策として養殖を引き継ぎ、今では千三百キロ以上の海岸線に沿って「昆布の森」ができあがっているそうな。明治時代とは逆にいまや日本は中国から昆布を輸入している。
その昆布の森が魚群を引きつけ、豊かな海の生態系をつくり上げている。実際、中国の漁獲高の上昇曲線と昆布生産の上昇曲線は一致しているそうだ。
少々うらやましいですな。だれのためのか知らない干拓工事で色落ち昆布を作っている土建屋国家の住人としては。 61.211.3.90 時 228 1006348274 ジャパニーズ・ボディ う〜む、グラチャンバレー、日本男子は五輪チャンプのユーゴに粉砕されてしまった。ユーゴの選手に比べて日本選手は背丈はそれほど差はないが胸が薄い。東洋人と白人の違いでしかたがないのだが、それだけだろうか。
昨夜のNHK『プロジェクトX』はアンコールワット修復にたずさわる日本人の話。カンボジアの素人の若者を一人前の石工にしようと奮闘する日本人石工の親方が主人公だ。現在60代前半だが、その骨組みの頑丈そうな体躯は巌のようだ。カンボジアの若者がひ弱にみえること。実際に石を彫ったり動かしたりすると、膂力が段違いである。これが昔の日本人の労働者、職人の体だったのだなあ、と妙なところに感心してしまった。
戦国時代にシャム(現在のタイ)の外人部隊として活躍した山田長政の軍隊はアジア最強と謳われていた。あのムエタイのタイ人を相手に本当だろうかと思っていたのだが、プロジェクトの親方の体格を見て納得した。あの体で、戦国の世の血腥い匂いを発散させている傭兵たち。アジアの人々からはさぞ恐ろしく見えたことだろう。その剽悍さで名高い「倭寇」なんて日本の海賊もいた。
いまや平和ぼけと言われ、立っていることもできず座り込むひ弱な若者だらけの日本になってしまった。情けないような気もするが、アジアの乱暴者でいるよりは、いいか、な?
石工の親方のような平和的かつ質実剛健な肉体が、理想なのはたしかなのだが。◇
三島由紀夫『美徳のよろめき』(新潮文庫)、ロアルド・ダール『キスキス』(早川書房)、ヘンリー・スレッサー『うまい犯罪、しゃれた殺人』(早川書房)購入。 210.159.89.243 ス 227 1006139454 流星光底長蛇を逸す 昨夜は1時半位から、ベランダで獅子座流星群ウォッチにいそしんだので、さすがに今日は眠い。
どうせ、蛍まがいのがちらちら見える程度だろうと、あまり期待はしていなかった。ところが、意外。長い尾を引く鮮やかなのが数分に1個現れてくれるので、なかなか室内にもどれなかったですね。北東から南西に向けて、まるでスクラッチボードペンでさっと引いたようなオレンジの線が現れてすぐ消える。大きいのは天を三分の一以上横切るのがあっただろうか。
首がくたびれるので、ベランダのてすりに背を向けてのけぞって首をのせるという、珍妙な格好でしばらく天を見上げていた。最初に息子がリタイア。私も30分強で眠気に負けて室内に退却したが、妻と娘はだいぶ長いことベランダで騒ぎながら見ていたようだ。
ひさしぶりに沢山の星を見た。東京下町でも天気次第では結構見られるものだね。
こんなときはスターウォーズとか2001年宇宙の旅とかファウンデーションとか、サイボーグ009地底帝国ヨミ編のラストとか、SF的夢想にふけるといいのだろうけど、残念ながら連想したのは題名の一句。
川中島の戦いを読んだ頼山陽の漢詩。詩吟で有名ですね。題不識庵撃機山圖武田方の不意をつこうと、夜陰にまぎれ音もなく千曲川を渡る上杉方の兵士たち。頭上には満天の星。謙信十年の思いを込めて信玄と直接剣をあわせるが、流星が夜の底に光る一瞬の隙に宿敵は己が手から逃げさってしまった・・・・不識庵 ( 機山 を( 撃 つの図に題す(
鞭聲肅々夜過河鞭声粛々 ( 夜河 を( 過 る(
曉見千兵擁大牙暁 に見る( 千兵 の( 大牙 を( 擁 するを(
遺恨十年磨一劍遺恨 なり( 十年一剣 を磨き(
流星光底逸長蛇流星光底 ( 長蛇 を( 逸 す(
不識庵=上杉謙信。機山=武田信玄。大牙=旗竿に飾る象牙
どうも、おやじな連想ですみません。
◇
TV東京の『アド街っく天国』は千葉の特集。番組中で「サイバーパンクSFの名作ウイリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』で千葉が最先端のハイテク都市チバ・シティとして紹介されている」みたいなことを嬉しそうに言っていた。私は別に千葉にふくむところはないが、ギブスンが千葉についてちゃんと知ってて小説中に使ったかは疑問だなあ(調べたわけではないけどさ)。ギブスンは単にエスニックな地名として使っただけではないのかな。それにチバ・シテイは正確には「ハイテクと汚濁の街」という設定なんだけどなあ。むしろ怒らなきゃ(というほどのことでも、ないが)。 61.211.3.90 言 226 0 1005705647 鶏鍋の記憶鶏を飼育したあと、食肉として処分、その肉で子どもがカレーを作って食べる−−。
秋田県雄物川町の雄物川北小学校で5年生のクラスが、こんな授業を進めた。「残酷だ」と保護者から反対の声があがり、解体、調理を目前にした12日、中止になった。
「食と命の尊さを教えたかった」と担任。地元では、子どもたちも含め賛否両論がある。
朝日新聞(11月13日)
近来珍しいような立派な先生ではないか。
ただ、授業で選んだ料理が「カレー」だというのは、ちと物足りない。できればフライドチキンにして、自分たちが丹精こめて育てた鶏は、フランチャイズ店の大量肥育鶏肉フライとは、一味も二味も違うことを思い知らせてやりたいと思う。いかがだろう。
こんな素敵な授業に反対した馬鹿親は精進料理しか食べないのだろうか。「食肉業者は残酷な人たちだ」と子供に教えるのだろうか。フライドチキンや焼肉やステーキを食べるのは大好きでも、殺す行為は残酷な「汚れ仕事」で自分や子供には縁のない人々がするものだとでもいうのだろうか。
人は多くの命を糧にこの世にある・・おごるまいぞ
白土三平「カムイ外伝」
◇
たしか、私が小学校に上がるか上がらないかという頃だったと思う。存命だった祖父が、私を呼んで「今日はうまいものを食わせてやる」と言った。当時、我が家では鶏を何羽か放し飼いにしていたのだが、その一羽をつかまえた祖父は鉈を振り上げると、鶏の首を一撃で落としてしまった。
眼の前で屠殺を見た幼い私はどう感じたのだろう。残念ながらそのときに感じたかもしれない衝撃や感情は全く覚えていない。ただ、頭を失っても直ぐには死なず、首をビクビクふりながらバタバタ動いていた鶏の映像だけを鮮明に記憶している。
その晩の「ご馳走」は鶏鍋だった。いやこれがなんともうまかったのですよ。大家族が車座になって酒を呑み鍋をつつく楽しい雰囲気と、湯気をあげる鍋の中のつらなった卵の黄金色の鮮やかさは、何十年経っても忘れていない。
今の私は「虫も殺さない男」だ。(蚊とゴキブリは例外) どうやら、祖父の鶏鍋は教育上悪影響はなかったようだ。
211.121.45.118 食 225 1005484359 トーキョーシティハイスクール 娘が来年受験なので、都立高校の学校説明会に行く。
土曜日の午前中だったので、まだ生徒がいたが、自由な校風らしく、金髪の女子生徒(もちろん顔はもろ極東日本人)がうろうろしていた。校長先生が挨拶の中で「色んな外見の生徒がいて驚かれたと思いますが、人間は外見では判断できませんので、話すととてもしっかりしたいい子たちです」などと弁解?していたのが、妙におかしかった。そんなこと気にしないって。生徒会長の男の子がなかなかイケメン。これは娘と意見が一致した。まだ二年らしいから、来年入学したらまだいるぞ、がんばれ、とはげます。
それより、カリキュラムを見ると化学・物理・生物が選択で、高校三年間化学も物理も学ばずとも卒業できるという事実に暗然。生物を一切勉強しないで医学部に入ってくる学生がいるという話しは知っていたが、目の当たりにするとやはり愕然とする。
十年もすれば日本もアジアの三流国だね。まあ、そう悪いことでもないかもしれないが。 210.159.89.143 雑 224 1005288205 2D vs 3D ここは、いわゆるCGギャラリーサイトということになるのだろうか。普通「CG」といわれて連想するのは、ジュラシックパークの恐竜に代表される三次元=3DCGだろう。当サイトは、まあ悪趣味お絵描きサイトという方があたっているな。
ハリウッドのドリームワークスなどが造りだすCG映像には驚嘆するばかりだが、ネットに氾濫する3D静止画には実はあまり興味はない。それでも、こんなとことかこんなとこ(コンペ)を見ると、やはり素直におどろいてしまう。建造物やメカ、SFテイストなものの質感立体感実在感は、2D描きでここまで表現するのは至難の業だと思う。
しかし、これは負け惜しみでいうのではなく純粋に見る側としての意見なのだが、大部分の3D作品の画面からは人くささというものが感じられない。タッチがどうの、ぬくもりがどうのではなく、単純に画面に人がいない。そのため折角の実在感が空虚に感じてしまうのだ。
人物を作成(3Dの場合でも「描いた」でいいのかな?)した作品でも、SF的なコスチュームをのぞけば、まだ「描いてみました」というレベルに見えてしまう。
たとえば、この3Dのメドゥーサにくらべると、(旧い人だしトップの画力という人でもないが)Chris Achilleosの描いた2Dのメドゥーサの方にずっと惹かれる。
まあ、同じ静止画だとはいっても、2Dと3Dを比較するのは、タイソンとアンディ・フグの強さを議論するようなもので、意味はないかもしれない。それでも歴史と伝統によって培われた技術という点ではボクシングの方が上だと思う。3Dも、作り込みの凄さが評価のかなりの部分を占めているのは、絵を描くツールとしても技術が成熟していない証拠だろう。
例にあげたメドゥーサの場合、Chris Achilleosのデザインを3D化したら、どちらの絵をもしのぐ、より凄いものになるのかもしれない。そうではないかもしれない。
早く、ペンのように使える3Dソフトができてほしいものだ。Painterが絵画のインターフェイスなら、彫塑のインターフェイスを持ったソフトといえばいいのか。画面内の粘土を捏ねて人物を作り、息を吹きかける、ではなくてボタンをクリックすると、クリーチャが動き出す。神になったような気分を味わえることだろう。
作品の出来の悪さを嘆くときには、人類を創った「神」の気持ちを想像できるかもしれない。◇
『ミステリーのおきて102条』読了。→レビュー。
『「原発」革命』読了。→レビュー。
江川卓『謎解き「白痴」』(新潮選書)購入。
61.211.2.171 絵 221 1004940121 通信生活 @niftyに退会届を出した。Nifty-Serveの時代から「パソコン通信」やCGに目覚めさせてもらったところなので、感慨深いものが一応ある。しかし、最近では月に一回10分足らずつなぐだけになってしまっていた。その10分も膨大な宣伝メール(ほとんどがネズミ講系かアダルト系)の削除に費やす時間が多いのでは、月900円払っている価値はないだろう。
Niftyで出会えた貴重な友人知人とのつきあいも完全にインターネットに移っているし、支障は全くない。浮いた900円で軽くて大容量でCGI/SSIが自由に使えるレンタルサーバーをさがそうと思う。いまのところ、BIG-NETあたりが良さそうだ。
Airnetはホームページ、特にCGIサーバーの重さにそろそろ嫌気がさしてきている。プロバイダとしては別に悪くはないが、コストの面からあまりリーズナブルではなくなってしまった。息子もネットを使い出したので、常時接続にもしたいし。
義理でマイラインに指定したKDDIのADSLコースがなかなか安いのだが、メールアドレスが変る面倒くささになかなか決断できない。Airnetとしばらく併用していてもいいのだけど、どうしようかなあ<決断力欠乏症◇
周りからなにを言われようと、携帯電話(「ケータイ」という表記は軽薄できらいだ)を持たない石器人だったのだが、さすがに最近は主義を曲げようかと思いはじめた。
70過ぎの父親まで持とうと言い出したので、ちょっとあせったのが一つ。なんといっても公衆電話が目に見えて減りだしたことが大きい。秋葉原あたりだと駅までいかないと電話をかけることができない。
しかし買うにしてもプリペイド式にしようと思う。たいして使いもしないのに高い基本料金を毎月払うのは業腹だ。
なんにしても、これで私も電波なヒトか。やれやれ。
それでも、しばらくは購入する決断をしない可能性が大だな。◇
WindowsXPは個人で使うには魅力を感じないし、Photoshopも5.0のまま。Painter7ももう一つ食指が動かない。
私の愛用のツールは、WZ-EditorもAcdseeもみんな旧バージョンだ。
新バージョンにすると、より高いマシンパワーを要求されるがいやだということもある。なにより、最新版を使わねばできないこと、が思いつかない。今あげたアプリケーションはみな機能的にはほぼ成熟している。これ以上のバージョンアップは単なる厚化粧にすぎないのではないか。
当分は手元のバージョンのツールたちを愛でながら、しこしこ遊んでいようと思う。
どうせ新しいことをやるなら、初心にもどってLinuxをゴンスケ1号に入れてみようか、などとたくらんでいる。 61.211.3.90 網 220 1004850373 『陰陽師』 日劇東宝で『陰陽師』を観た。
やはり映画はキャスティングですなあ。
もちろん安倍晴明 役の野村萬斎はすばらしい。声がいい、所作が見事、オーラを発している。扇子をピシッと畳む動作だけで「違うなあ」と思わせる。比べるのもなんだが(NHKのTVで晴明役をやった)稲垣メンバーではこうはいかない。(
対する悪の陰陽頭、道尊 役の真田広之は、映画界を代表してぶっとんだ演技を実に楽しそうに見せてくれる。二人が対決する疾走感あふれるラストシーンの肉体表現は圧巻。おかげで、TVでぬるい殺陣ばかり見せられてたまっていたフラストレーションを解消することができた。(
二人以外では帝 役の岸部一徳ははまり役。晴明の親友( 源博雅 を演じた伊藤英明は可もなく不可もなくというところか。雅楽の東儀英樹なら雰囲気は抜群だと思うが、いかんせん演技ができないからなあ。(
女性陣のキャスティングの方はどうも不満だらけだ。妖女青音 役の小泉今日子はいわれているほど悪くはない。しかしアップのときに肌あれがめだつのは、ちょっと興醒め。不老不死ならお肌に透明感がなくては。晴明が、陰鬼を呑み込んだ青音の首筋と背に鍼を打って呪を解くシーンは、本編では一番エロティックなシーンだ。キョンキョンも肌脱ぎになってがんばっているのだが、前に倒れるとき、もう少しで胸が見えそうになって結局見えないのは興醒め<こういう観方をしないように。(
自分を棄てた帝を呪う祐姫 役の夏川結衣は、鬼と化す迫力にも博雅を魅惑する魅力にも乏しい。ちょい役だった宝生舞をこちらに使った方がずっと良かったと思うけどね。(
蝶の化身蜜虫 役の今井絵理子はまあまあ。演出も良いのだがTVの本条まなみよりはいい。(
特撮に関しては、都大路の再現は結構広さも出ていたし、なかなかいい出来。それ以外のCGや特殊撮影はハリウッドと比べてしまうと、やはり格が落ちる感じがする。魔物のデザインは天野喜孝だが、力強さに欠けるというが、造形にこちらに訴えかけてくるものがない。一昨日「たけしの誰でもピカソ」に出ていたかわせみ座の鬼の人形の造形の方がずっといい。道尊の使う魔鴉のアニマトロニクスもいかにも人形で、ぎこちない。
とまあ、つっこみどころ、不満な点はあるにせよ、いずれも些細な点。主役二人の圧倒的な演技と、映画らしい奥行きのある美しい画面は見るに十二分に価する。◇
『天狗風』読了。→レビュー。
『愛の渇き』読了。→レビュー。
諸星大二郎『碁娘伝』(希望コミックス)購入。
61.211.3.3 映 217 1003975801 志ん朝の『愛宕山』 古今亭志ん朝の追悼番組としてNHKで放映された『愛宕山』のビデオを妻が知人から借りてきたので、二人で見る。
やはりうまいもんだねえ。ほれぼれするわ。
変に現代的にしたりして客に媚びてないしね。いさぎいいや。
どっちかというと、兄の十代目金原亭馬生(女優池波志乃の父、ねじりんぼ俳優中尾彬の義父)が好きだったのだが、彼も早逝してしまった。うまいのはもちろんだが、弟の志ん朝より滑稽味に秀でていて、端正な中にとぼけた味があった。→馬生の芸の力について
志ん朝の方は六十過ぎても艶 がありましたな。立川談志が追悼の言葉で「華麗な芸だった」というとおり。(
志ん朝師匠も昔はバラエティ番組に良く出ていて、今の明石家さんまのような人気だった。しかし、あるときぴたりとその類の仕事はやめて古典落語一筋。見事なわりきりだった。できれば志ん生の六代目を継いでもらって、襲名披露で『品川心中』あたりを聞きたかったですな。立川談志の口上だったりすれば言うことはない。もうかなわないことだが。
子供のときから寄席好きの祖母に上野鈴本に連れて行ってもらったし、六代目三遊亭圓生や(もちろん先代の)桂文楽も見ている。かろうじて彼ら師匠連の高座の記憶もある。最近は寄席もごぶさたしているが、談志師匠の言う「志ん朝と同時代を生きたしあわせ」を噛み締めつつ、CDでも集めることにするか。
本当は所作も見たいのでDVDがもっと出て欲しいのだがね。<DVDプレイヤーを買ってから言いましょう◇
ビデオはすぐ返さなければいけないというので、GV-MPEG2/PCI経由でMPEG2形式でキャプチャ。一席三十分+談志師匠のインタビュー二分がCD-Rに焼くとぴたり一枚に収まった。TV-OUTしてみると十分観賞に耐える。便利になったものだ。たしかビデオテープをひっくり返せば志ん朝の『化け物使い』ともう一つくらい録画したのがあったはずだ。そいつらもテープが劣化しないうちにCDに焼いておくことにしよう。◇
『大修院長ジュスティーヌ』読了。→レビュー。
『忍法創世記』読了。→レビュー。
61.211.3.3 劇 214 1003385394 狂牛病関連 今日は引用ばかりになりそうだが、書きとめておきたいことなのでご寛恕を願う。
首都圏の10代女性に狂牛病の疑い
今週の週刊文春でも詳しいが、上の記事を引用するとクロイツフェルト・ヤコブ病には(1)遺伝性(2)脳硬膜移植などによる原因(3)原因不明の散発(4)新変異型の4種類がある。この女性の場合(1)、(2)の可能性はなく、(3)に特徴的な脳波がみられないことから総合病院は新変異型の可能性があるとしている。一方、厚生労働省では「専門家が診察して、新変異型ではないという報告を受けている」と話している。「官」のいうことはまったく信用できませんなあ。
以下はこの件に関する2ちゃんねるのスレッドから、ソースも示されていて、気になる発言を抜粋。48 :欧州基準ではクロ! :01/10/18 03:33 ID:4gZqC6HPこの前の「シロだった。ホッとしました」という政府発表をあたまから信用してはいけない。という趣旨ですね。
陽性、擬陽性だと欧州基準では陰性のカテゴリーには分類されません。
ここのリンクのPDFファイルを読んでください。
http://europa.eu.int/comm/food/fs/bse/testing/bse_results_en.html
しかし、日本では生後30ヶ月未満の牛はすべて正常な牛として決め付け 擬陽性でも追試の密室検査で陰性にすり替え握りつぶされた可能性があり 正常な牛と認定されその内臓肉が市場に流通してしまいました。
それは厚生労働省が検査結果を数日隠蔽してしまったから内臓肉が市場に流通してしまい後で陰性にせざるをえなかった?のです。
まあ、これは疑いすぎと思えなくもないが、次の発言はちょとこわい。49 :欧州基準ではクロ! :01/10/18 03:34 ID:4gZqC6HPう〜む、今日からの全頭検査で、来月くらいからは心配しないで肉類を食べられるようになるかなと思っていたのだけど、安心するのは早いということか。
309 :マジかよ、後世省 :01/10/14 22:17 ID:LtQQO3EQ
発表は嘘ですね
投稿日 10月14日(日)18時10分 投稿者 削除
バイオラド社のホームページに行って検査法について調べてみましたが、どうやら偽陽性というのは存在しないようで、熟練した人がやれば陽性はやはり陽性のようです。
誤差の入るのはプロテイネースK(タンパク質分解酵素)で、正常型PrP蛋白を十分分解できなかったケースですが、報道の通り何回もテストをしたのならば、非常に活性の強い酵素ですので、このような初歩的なミスはまず起こらないでしょう。
とのこと。
さて問題の二回目のテスト(イムノブロット法)です。
このテストは「精度」は高いかも知れませんが、検出の閾値(スレッショールド)が高い手法、すなわち「感度」が低いのです。
言い換えれば、もし調べた牛のプリオンレベルが「狂牛病を発症するレベル」に達してしていたなら確実に検出できるが、それ以下のレベル(感染しているが潜伏期間の牛)だと判定できないと言う方法です。
実際、この方法では狂牛病牛のサンプルを10倍希釈すると、それだけで25%のケースはシロ判定になってしまいます。
一回目の方法では、100倍に希釈しても全ての検体がクロに判定されます。
大変な感度の違いがあることがおわかりになると思います。
したがってイムノブロット法では、第一回目の陽性判定を覆すことは理論的に出来ません。
=======
厚生省と品川博士のこの誤魔化しはさらに関係業界の首を締める事になるのがまだわからないのでしょうか?
他人事ではなく、弟の店では「肉はオージービーフです」と張り紙だしてるし、米沢牛が売り物の親戚の焼肉店はほんとに大打撃のようだ。
消費者の不安感は、日本の政府・官僚の政策や発言への不信感とイコールだということがまだわからないのだろうか。「おれたちエリートの使命は国民の生命と健康と財産を守ることだ」という気概を見せてくれれば、われら単純な日本国民はすぐ信じると思うけどね。
ただし、守る対象は「国民」であって、わけわからん「国体」などではないので、間違えないように。◇
古川和男 『「原発」革命 』(文春新書)、京極夏彦『鉄鼠の檻』(講談社文庫)購入。
しかし『鉄鼠の檻』千三百頁超、ツカありすぎ。意地でも分冊しないつもりなのだろうか。 61.211.2.171 時 213 1002849648 『続・男はつらいよ』 九日の第一作に引き続き、『続・男はつらいよ』を見た。熱狂的ファンというのでは全然ないのだが、今回このシリーズに感じたことをもう少しだけ。
誰かが「こんな親戚が実際にいたらヤだろと言われるけど、年一回ぐらいなら寅さんみたいな叔父さんにふりまわされるのもいいかなと思う」と書いていたが、まさにその通り。寅さんのいいところは「いつも旅に出ている」ことだ。柴又に帰ってくるのはよくて年一回、一、二週間のことに過ぎない。お国入りの間、親戚や近所の衆は寅さんの破天荒かつ無邪気な行動に振り回され、心配したり怒ったり全く気が休まらない。しかしそんな「特別な日々」も、お約束の寅次郎の特技「失恋」とともに終わってしまう。傷心の寅の旅立ちとともに、柴又にはまた平穏な日常がもどってくる。
寅さんが降臨している期間の柴又は、「祝祭空間」なのだね。「ハレ」と「ケ」で言えば「ハレ」だ。だから柴又の連中、特にタコ社長などは寅さんが帰ってくると、迷惑そうな素振りをしながらも妙にそわそわわくわくしているのではないか。きっと寅さん騒動に巻き込まれているときだけはつらい中小企業の経営も忘れているに違いない。
では車寅次郎にとっては、旅の空の自分と、柴又にいるときの自分とどちらが心休まるのだろう。ほんとうは柴又にこそいたいのに、旅先での自分の方が居心地はいいのだろうな。外ではバリバリ仕事はしているのに、家に帰ると粗大ゴミあつかいのおとーさんと似ていると言われたら、自由人寅次郎には心外だろうが。
少なくとも世の大部分のおとーさんには帰ってきただけで家を祝祭空間にすることなど、とうていできません。◇
『したたるものにつけられて』読了。→レビュー。
61.211.3.3 映 211 1002612935 『男はつらいよ』 アフガン空爆を余所目に、TV東京が全作買い付けたという『男はつらいよ』シリーズの第一作の放映を見た。
やはり最初の一作は面白い。
いや、次の寅次郎の実母さがしの話も、たしか面白かった記憶がある(次回放映で確認しよう)。思い出せば十作目も二十作目もそれなりに面白い。
しかし、山田洋次も渥美清も三十年四十八作も同じシリーズを作り続けて面白かったのだろうか。同工異曲のストーリーを延々造り演じていたら、普通飽きるだろう嫌になるだろう、というのが長年疑問だった。
『フーテンの寅』以外にこれといったヒットシリーズを持てなかった松竹のお家の事情もあっただろう。
ああ、『宇宙大怪獣ギララ』が当たっていれば!<当たりません
ショーン・コネリーは007から必死に逃れたし、チャールトン・へストンは「ラストで死ぬこと」を条件に『続・猿の惑星』に出演した。
山田洋次も渥美清も義理堅い映画人だったのだろう。それでも渥美清ほどの名優・名喜劇人が後半生ほとんど車寅次郎しか演じなかったなんて、もったいなさすぎる。『砂の器』や『幸福の黄色いハンカチ』のチョイ役や『八つ墓村』の金田一耕助ぐらいしか出ていないのではないか。
しかし、今回何回目かの『男はつらいよ』を見て、少しだけわかったような気がする。
山田洋次も渥美清も「職人」なんだなということだ。毎回客の予想を裏切る新鮮さで勝負するのも職人なら、毎度おなじみの味を、期待を裏切らないレベルで間違いなく提供するのも職人だ。きっと彼らは後者の意味の職人であることを(寅さんシリーズでは)選択したのだろう。
でも、それでも、後半は寄る年波には勝てなかったように感じる。
第一作の、初々しさを感じるほどの肉体的迫力に満ちた寅さんや、ゆであがったばかりのような丸々としたタコ社長を見ると、つくづくそう思う。さくら=倍賞千恵子の輝くばかりの美しさを見ればなおさらだ。
少なくともおいちゃん役の森川信の亡くなった時にシリーズも終るべきだったのではないか、などと余計なお世話だろうが思うのである。◇
『族長の秋』読了。→レビュー。
宮部みゆき『天狗風』(講談社文庫)、宮部みゆき『人質カノン』(新潮社)、『芸術新潮〜特集カラバッジョ』購入
61.211.3.3 映 209 1001905404 TV桟敷の週末 やはり現在、日本人最高のアスリートは高橋尚子とイチローでありますなあ。
もちろん日曜日はTVに釘付けでベルリンマラソンを見ていたのだけど、ゴール直後のインタビューでもうQちゃんの呼吸が平静だったのには驚いた。ハラハラドキドキしながら見ていた私の方が脈拍速かったのではないだろうか。
大相撲の勝利者インタビューなどで、30秒くらいしか闘っていない力士が、3分以上経っているはずなのに「ハァ〜ッハァッハァッゼェッゼェッ、うは、はい、ゼェッゼェッ、思いっ、きり、ハァッハァッ、いっただけ、フウッフゥッ、っす、ハァッハァッ」なんて言ってるのとは大違いだ。しかもそのときの力士さんはたいてい、高橋尚子が泳げるくらいの大汗をだーらだら流している。(私は大相撲のファンでもあります。誤解なきよう)
かたやニッポンプロやきゅーでは年間ホームラン新記録がかかったローズをあいも変らず敬遠攻めなんてしている。ファンがそっぽを向き始めているのに、両者リングアウトだ、レフェリー失神中の幻のフォールだってやってたプロレスを思い出しますなあ。現場に入ってしまうと自分たちの職場を客観的に見て危機感を持つなんて難しいのだろうな。ひとつプロスポーツだけとは限らないが。◇
土曜日はPRIDE16の録画中継。「限りなき実戦に近い」ファイトスタイルというのは、洗練とは逆で泥くさく、ボクシングなどに比べてあまり好きではない。しかし今回は比較的面白かった。特にメインのアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ対マーク・コールマンは、きっちり関節技が決まったこともあってカタルシスは抜群。(往年のリングスファンとしては、あれだけ強いノゲイラが40歳過ぎたヴォルク・ハンと対戦したときは1本をとることができなかったことを付記しておこう)
この二人、ファイトスタイル同様風貌がえらく泥くさい。ノゲイラはミノタウロ(牛頭人身の神話上の怪物)という異名を持つらしいが、いかにも牛飼いの牧童が似合う面構えだ。コールマンもオハイオ州のお百姓という風情。
ヴィクトリア朝のポルノによく出てくるセックスの強い朴訥な農夫が、主人公の色っぽい未亡人を巡って対決しているところみたいだ、なんて想像しながら見ていたが、まあ、こんなことを考えながらPRIDEを見ているのは、格闘技ファン多しといえど、私くらいなものだろう。<自慢してどうする 61.211.5.192 ス 208 1001653026 100の質問 というのを、訪問したサイトのいくつかで見かけたので、自分でもプロフィールに載せてみた。
やってみると、意外と気分がいい。自分が芸能人になってインタビューされているような気分になるのですね。お恥ずかしい。ミソは他人の作った質問だということだろう。自分が作った質問だと、まさしく自問自答でシラけてしまう。
私の回答はボケてはいるが、極力ウソはつかないようにした。勅使河原なんたらという名前とHの回数と双葉山の連勝を止めたのはウソだけど。
あ、田中洋服店も架空だ<ウソばっかりじゃん。
回答にはどうしても質問への疑問と批評が含まれてしまう。漫才でもぼけはつっこみへの批評なんだね。これも100の回答を書いてみないとわからなかった収穫だ。
それと、もちろん回答は自分への批評ですね。自分自身というより自分が人に見せたい自己像があるわけだが、そのまま載せたいのをぐっと我慢して一回批評してから載せると。(そうかっこよくはいってないけど)
やはり正直なプロフィールでなくて、しょうもないネタですな。
え、わざわざ書かんでもわかるって?◇
一昨日のスタンの件は、BBSでH2さんに教えていただいて判明。ありがとうございました。「国」とか「地方」という意味のようです。土地と国と人(民族)との結びつきが、日本と違って自覚的だよね。それが国名の命名法にまで及んでいるのだと思う。日本のように曖昧な方が平和な気がするが、それがアイヌや沖縄などへの無神経、無関心にもつながっていると思う。
つまり、
アフガン+スタン=アフガン(人)の国(地)
カザフ+スタン=カザフ(人)の国(地)
タジク+スタン=タジク(人)の国(地)
って感じですね。
日本の平和な曖昧さを今の世間的風潮より私は評価してるけど、いいことばかりではないな。 61.211.5.192 網 207 1001476949 謎のスタン パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン・・・・
「スタン」ってなに?
午前中にお会いした旧知のメーカーの部長さんは、岩波文庫の『コーラン』を読んでたなあ。さすがに勉強家。イスラム原理主義がどうたら言うなら、唯一無二の聖典であるコーランぐらいは読んどかなきゃね。結構読みやすそうだったので買ってくるかな。◇
午前中でかけた先の最寄駅は有楽町なのだが、なぜかいつも行列に出っくわす。最初はそごう跡地のビックカメラの開店。次はエルメス直営店の開店。今日は短めだったが、マリオンの映画館の切符売場前に行列。中年のご婦人がほとんどだったから『ファイナルファンタジー』ではあるまい。『ブリジット・ジョーンズの日記』ですな。
m@stervision氏のレビューを楽しみに待つとしよう。 61.211.5.192 時 206 1001337376 徳山防衛 ボクシング世界スーパーフライ級タイトルマッチ。チャンピオン徳山は指名挑戦者を破って防衛。まずはおめでとう。
タイトルを奪取したリングの上からプロポーズした(ロッキーみたい)フィアンセもリングサイドに来ていた。うーむ、このカップルは山田隆夫(「笑点」のザブトン運び)と花柳幻舟に似ている。 210.159.89.112 闘 205 1001045651 『猿の惑星』 銀座、日劇プラザ(上映は本日まで)にて。
ネットその他で評判悪かったけど、なんだ、面白いではないか。
私が予告編を見て期待していた内容はほぼ満たしてくれている。残念ながらそれ以上ではないが、二時間の娯楽としては合格点。今夏の三大SF映画の私的順位は「猿の惑星」「JPIII」「AI」である。(世間ではどうもこの逆順であるらしい)
ラストも不評だが、これは予想がつきすぎるからだな。いかにもトワイライト・ゾーンのようで笑ってしまったよ。
●前作との比較
この作品の最大の弱点はなんといってもリメイクである点だ。「猿が人間を支配している世界」という逆転した視点の新鮮さ・衝撃度は前作ほどは感じられないのは、しかたがないことだろう。その世界のリアルな再現性は、もちろんはるかに新作が上だ。
前作と違うのは、猿が完全に人間化されておらず、動作や生活に猿らしさを色濃く残しているところ。圧巻は将軍チンパンジーの驚異的なジャンプパフォーマンスだが、実際の野生のチンパンジーも、ボスが力を誇示するために、あの映画のような大暴れパフォーマンスを行うのだ。このへんはたぶん「猿博士」「スーパーメイクアップアーチスト」リック・ベイカーのアイデアだろう。
前作では猿と人間は完全に逆転していて、人間は口がきけないのだが、新作ではちゃんとしゃべるし知能も失われていない。こちらの設定の方が説得力はあると思う。しかし、主人公は異星人(と最初は思っていたはず)が英語をしゃべることに全然疑問を持っていないようすだったのはなぜだ?
主人公は前作のチャールトン・へストンの方が、猿っぽくて獰猛そうで良かったな。猿の女性に好かれるのも無理がない。彼は新作にカメオ出演してるのだけど、全然気がつかなかった。
●ティム・バートンらしさ。
本作の評判の悪さは「ティム・バートンらしさがない」ことにつきるらしい。たしかにその通りな面もあるが、あえて、らしいところをピックアップしてみよう。
猿たちや馬の鎧はバートン自身のデザインらしい。実にかっこいい。
猿の都、樹上生活を意識した、住民が高さを苦にしない設計の猥雑な建物群。ちょっと『ナイトメア・ビフォ・クリスマス』のお化けたちの街を思い起こさせる。
異形の美女。『ナイトメア・・』の人形のヒロインや『ジャイアント・ピーチ』の蜘蛛女。そして今回はインテリ美女猿。
もちろん、バートンの恋人リサ・マリー(『スリーピー・ホロー』の夢の母)も出演している。猿のメイクアップで全くわからないが。
●私的な不満
美女と美猿の恋の葛藤をもう少し発展させても良かったんじゃないかな。一説によるとバートンはベッドシーン(どっちとだ?)まで撮ったのに製作側にボツにされたりトラブルがあったという。くそっ、その噂が本当なら、ディレクターズカット版DVD2枚組を発売してくれい。
美猿は顔はあれでいいと思うが、髪型と服装はださすぎ。もっとボディコンシャスなコスチュームにかっこいいヘアスタイルにしないと。いくら中身がヘレナ・ボナム=カーター(フランケンシュタイン)でも、スーパーモデル(でしかも半裸)のエステラ・ウォーレンには太刀打ちできないぞ。
しかし、いつもあんな格好してるエステラのような美女に好かれたら、私だったら帰らないけどね>マーク・ウォルバーグ。帰還したってどうせ猿の世話係なんだから同じじゃないか。
●二つの疑問(ネタバレ)
あの惑星は地球ではないはずだが、なぜ馬がいるのだ?宇宙ステーションに馬まで積んでいた必然性はないと思うが。
ラストのリンカーン像は Aperaham Lincoln という洒落かね? 61.211.3.150 映 204 1000974915 発言二題 米国も口では即爆撃といいながら、ちゃんとアフガニスタンと粘り強く外交交渉をやってるのは、さすがと思っていたが、「渡さないと核攻撃もありえる」はまずいよ。
それを言ってしまったらテロリストとなんら変らんでしょう。テロルは絶対に否定すべきだが、絶対的な国力で他国の政治に介入して、テロル以外に選択肢をなくしてしまったことへの(反省といわないまでも)配慮はアメリカには一片もないのだろうか。
核兵器は旧ソ連などの共産主義圏の「核の脅威」に「やむをえず」保持開発したものではなかったのか。持たざる国に対して威嚇の手段にした時点で、そんなことが嘘っぱちだったことが良くわかる。
2チャンで次のような発言を拾った。私は現地に居ますがニュースで言ってました。これ本当にABCニュースで言ったのかね?ジャップまで言うかな。まあ、他の部分はいかにも言いそうではありますが。
「イスラム教徒は卑劣なジャップが真珠湾を奇襲攻撃をしたように、我が国を壊滅しようと自爆テロを行い、町はまるで原爆でやられた広島のように壊滅状態に陥りました。ただ広島と違うのは、今回の事件は民間人を狙い、数千人と言う尊い命を奪ったと言う事です。」
と言ってましたよ、ABCニュースで。私は元々帰国子女で成人してから帰米したんで、英語のニュースは日本のニュースを見るように理解できるので情報は確かです。◇
大相撲秋場所十一日目、連日立会いの変化で勝星を拾っている栃東に対しての貴ノ浪の発言。勝ちたい気持ちはわかるけどね。でも休場者がいっぱい出てる中での上位者なんだから。お客さんに喜んでもらってもう一回来てもらうようにしないと。いくら十番勝ったって、お客さんが見に来ないと給料もらえないんだからね。この元大関(貴ノ浪)は貴乃花が宮沢りえと婚約したときに「うらやましいなあ。いいや、部屋に来たら一緒に写真とってもらっちゃおう」と言ったり、なかなか口が達者で発言にユーモアがあるし、相撲っぷりは個性的だし、好きなんだけどね、それだけにたまに真面目なこと言うと味がある。◇
『侯爵サド夫人』読了。→レビュー。
61.211.3.150 時 202 1000523595 奇襲? 大相撲の朝青龍が横綱武蔵丸を見事な足取りで破って金星をあげましたが、武蔵丸の師匠武蔵川親方(元横綱三重海)の「取られる方も取られる方だ」というコメントはいただけないなあ。足取りにはちゃんと防御法があるのだから教えておかなきゃ。
親方のライバルだった二子山親方(元大関貴ノ花)が大関になる前の、日の出の勢いだったころ、大関清国(この人も端正な相撲で好きだったな)に足を取られたことがあった。人気力士のピンチに館内中悲鳴が起きたが、貴ノ花はとっさに取られた足の先を相手の股の間に入れ、肩ごしに上手を取ってこらえた。清国は足を取ったものの貴ノ花の足が自分の股から外れず持ち上げられない。清国はそのまま寄ろうとするが、貴ノ花は取られてない一本足を送ってのこす。膠着状態に清国に隙ができたのか、足取りをあきらめたのか、取った足が外れて土俵についた瞬間、貴ノ花が上手投げで清国を投げ捨てて逆転勝利。館内もTV桟敷も翌朝の新聞もそりゃあもう大騒ぎさ。
レスリングの片足タックルの場合は体重をあずけてくるので、相手の股ではなく取られた側の相手の脚の外側に取られた足をかけてこらえる。そしてそのまま取られた足の方向にまわって振り切るかバックを取るのが定石だ。
朝青龍の足取りはモンゴル相撲の手のようだが、大相撲には大相撲の高度な技術があるのだ。最近力比べ体重比べだけの大味な勝負ばかりで、高度な技術が影をひそめていたけど、モンゴル相撲出身者のおかげで格闘技らしさを取り戻すなら相撲ファンとしては大歓迎だ。
朝青龍の相撲は格闘技らしくて気持ちいいよ。◇
八月六日付けの朝日新聞の「私の視点」欄でロシア下院外交委員長のドミトリー・ロゴジンという方が次のようなことを書いていたという。米国や同盟国は、核兵器に劣らぬ、凄惨で思いもかけぬ形の攻撃を浴びるかもしれない。例えば自爆テロだ。文明的な世界は、それから身を守るすべはないまさしく今回のテロ事件を的確に予言しているわけだが、この原稿を読んだ朝日の編集者は「自爆テロ」の意味がわからず、「オーバーな表現だな」と思ったらしい。
私も「その手があったか」などと書き、「だれも考えない盲点をついた攻撃だ」などと思っていたのだから、平和ボケの能天気な発想の典型でありますな。
このまま、ずうっと平和ボケのままいきたいのだけどね。駄目かね? 210.159.89.144 闘 201 1000449925 最良の解決は アフガニスタンだかパキスタンだかが、ラディン某だかのテロの首謀者及び実行犯を米国か国際司法裁判所などに引き渡す。
米国大統領は協力に深く感謝し、テロリストは厳しく断罪し、ミサイル防衛構想については見直すこと、及びユニラテラリズム(一方的外交姿勢)を改め、中東和平に向け努力することを誓う。
・・・・素人考えでも、こううまくはいかないことは予想がつきますな。
「米国はテロリストと同じ論理では動かない=人間の生命を尊重する」ということを世界に主張して、粘り強く外交でテロリストを追いつめた方が本質的な「勝ち」につながるとは思うがね。
まず「なめられたらあかん!やられたら倍にしてぶちかまして小便ちびらして俺さまにたてついたことを後悔さしたる」というヤンキー的発想からは逃れられんのだろうな。だいたい「ヤンキー」はあちらが本家だし。◇
山田風太郎『忍法創世記』(出版芸術社)、綾辻行人選『楳図かずお怪奇幻想館』(ちくま文庫)、倉橋由美子『パルタイ』(新潮文庫)購入。
『パルタイ』は父か母がハードカバーで持っていて、昔読んだことはあるのだが、行方不明になったようなので再購入。奇跡的?に置いてあった本屋は著者名五十音順に棚が整理されている。たった一冊の「倉橋由美子」の隣には大量の「栗本薫」が並んでいた。
いや、だからどうだというのではないのだがね。「悪貨は良貨を駆逐する」とか思ってはいないよ。だいたい比べるような対象ではないし。
でも並んでるとなあ、なにか理不尽だなと思ってしまうのさ。 61.211.3.144 時 200 1000348941 神を殺せこの世に神も仏もあるものか。
今回の世界貿易センタービルへの旅客機激突のシーンとその後のビル崩壊のシーンの映像には「まるでハリウッド映画を見てるよう」という声が多かった。まさしく映画の名場面のように複数の角度からの映像が繰り返し流されたし、偶然写りこんでいた目撃者の驚愕の反応もリアルなこと(あたりまえだが)このうえない。
しかし決定的にちがうのは、映し出せれている映像の中の旅客機には「実際に」数百人の人間が乗っており、崩れ落ちるビルの中には「本物の」生きた人間が大勢いたのだということだ。そしてたくさんの他人の生命を犠牲にすることをためらわず(たぶん、インシャアラー!と叫んで)ビルに向かって操縦桿を向けた狂信者も、架空の悪役ではなく「実在」していたのだ。そこには映画のようなカタルシスは一切ない。
おそらく世界が常態にもどっても、しばらくはハリウッド映画界はこのたぐいの映像を売りにした映画は作れまい。いままでは、現実にこんなことが起きなかったからこそ、スクリーンの中の幻想が娯楽になりえたのだから。
*
この事件を契機に、日本中に漠とした不安感が広がっているように感じる。自分にはなにもできないことを承知で、悲劇の遠因などを考えてみる。
世界史的なパワーゲームについてはまったく無知だが、やはり最大にして唯一の原因は「宗教」だろう。
イスラム世界がエルサレムをイスラエルから奪還しようとするのも、流浪の民ユダヤ人がイスラエル建国の地に選んだのも、それぞれの宗教の「聖地」だからだ。もちろん政治的経済的背景があったにしろ、宗教的こだわりがなければ、こんなに世界情勢がこじれるわけはなかろう。ユダヤ人が流浪の民となったのも、元々宗教が原因だ。
過去はともかく21世紀には、人類は父なる神の支配と母なる神の庇護の下から独立するのではないかと期待していたのだが、20世紀の終盤には日本ではサリン事件が、21世紀初頭には今回の事件が、いずれも「神」の名の下に行われた。多民族国家米国の大統領は演説の中で神の祝福を祈り、極東の島国の指導者も自国を神の国だと決めつける。
宗教といっても色々あることはもちろんだ。死すべき運命の人間に宗教が必要「だった」こともわかる。社会的歴史的に宗教の果たしてきた、果たしている役割が小さくないことも承知だ。それでも、それでもだ。そろそろ宗教はなくしてもいいのではないかい。
この
61.211.2.81 時 199 1000256789 カミカゼ2001 ハイジャックした旅客機で「神風特攻」をしかけるとは。この手があったかという感じ。「神風」といってもまさか犯人に日本人はいないよな。日本政府はテルアビブの悪夢の再現だけは勘弁してくれと思っているに違いない。米国高官の一人が「今回のパールハーバーのようなことをした奴らは日本人のような末路をたどるだろう」と言ったというから、米国人は本音ではアラブ人より日本人が嫌いなのだろう。千年紀 のうちに、人類はきちんと神を殺すことができるのだろうか。(
アメリカは日本・ベトナム・中東と多くの国を爆撃してきたが、他国に攻撃された経験はない国だ。国内が戦場になったのは南北戦争のみだろう。アメリカ国民はテロルというより自国が爆撃されたようなショックを感じているのではないかと想像する。
米国のMD=ミサイル防衛構想なんて、カウボーイ大統領ブッシュのマッチョ志向の体現で、実戦では万能ではないことがはからずも証明されたというところだろう。ステロイド製の筋肉をモリモリさせて闊歩していたら、後ろからナイフでグサリとやられたという感じだ。庭にバズーカ砲をしつらえて悦にいっていたら、いつのまにか家の中に侵入されて自分の家の包丁で家族が刺された、という方が近いか。
今回は特攻体当たりだけだったが、もし核兵器でも持ち込んでいたら、と思うと思考が凍りつく。旧ソ連横流しのプルトニウム弾頭くらいなら、まさか機内持込みはできないが、超ウラン元素製の爆弾をテロリストが持っていたら単なる想像ではすまない。カリフォルニウムあたりなら優にバッグはおろかポケットに隠せる大きさの核爆弾も可能だ。
やはりスターウォーズ計画などより、世界から核兵器、できれば原子力発電所もなくしていくことを真剣に考えた方がいいと思うけどね。銃国家アメリカには無理な話か。◇
『夢の通い路』読了。→レビュー。
『R.P.G.』読了。→レビュー。
藤本ひとみ『侯爵サド夫人』(文春文庫)購入。
61.211.3.144 時 196 999488442 Painter & Photoshop ダブルトラブル 今日は技術情報(笑)。
昨夜、絵を描こうと思いPCの電源を入れ、Painterを立ち上げてみたのだが、トラブル発生。ブラシが反応しない。忘れたころに全然違う位置に描画される。消しゴムにしようと鉛筆にしようと同じである。
あきらめてPainterを閉じ、Photoshopを開いてみたのだが、こちらもおかしい。ブラシを切り替えてもカーソルがさっぱり変化しないのだ。オプションパレットは指定したブラシの属性に切り替わるのだが、カーソルの表示が最初の消しゴムのままで、描画機能も消しゴム機能にしかならない。
再起動してもだめだったが、ふと思いついてマウスに持ち変えると、カーソルが指定のものに正しく変化した。ペンだと消しゴムにもどってしまってだめ。Painterで試してみると、やはりマウスだと正常で、ペンだとだめだ。
こういうとき直ぐ思いつく対処方法は、タブレットドライバの更新だが、WACOMの最新版を間違いなくインストールしてあるし、だいたい前日までなんの支障もなく動いていたのである。どうもドライバの再インストールは無駄に終わる予感がする。
前日までなんの支障もなかったのに突然不調になったとき考えられるのは、なんらかのキャッシュの破損だ。キャッシュ関係のファイルをサーチして削除してもいいのだが、ちょっと面倒。こういうときはSafeモードで再起動するのが一番簡単だ。
再起動して、PCがWindowsをロードしはじめる前にCtrlキーを押し続けるか、F8キー(機種による)を押して起動モードを選択する。Safeモードで起動するとWindowsはキャッシュを再作成するので、そのまま閉じて、もう一度通常モードで再起動する。
あらためてPhotoshopを起動してみると、ちゃんとカーソルは正しい表示にもどっていた。Painterの方の描画も問題なし。ということですべて解決。
こういうのもコツというのだろうか。できればPCも、コツだの裏技だのを使わずに安心して使える道具にまで速く進化してほしいものだ、などという当たり前すぎる感想にて一件落着。◇
『一九三四年冬−乱歩』読了。→レビュー。
諸星大二郎『栞と紙魚子と夜の魚』(朝日ソノラマ)、野田昌宏『図説ロケット』(河出とんぼの本)購入。『図説ロボット』に続く野田SFコレクションシリーズ。> 61.211.3.144 電 194 998631024 たしか
大麻 は( 暗殺者 の語源 昨夜はひさしぶりに外で酒を呑んだ。たいした量でも遅くまで呑んでいたわけでもないのに二日酔いで少々気分が悪い。弱くなったものだ。(
酒毒を実感しての少々の疑問。
どこかのちんぴらタレントが大麻でつかまったらしいが、大麻ってのはなぜ禁止されているのだろう?
煙草より習慣性も毒性も低いとは良くいわれていることだ。昂揚感や多幸感があり判断力が鈍る、ということのようだが、これって酒で酔っぱらっているのとどこが違うのだろう。
まあ、発ガン性は煙草よりあるらしい。
司法方面の論拠は、大麻自体に毒性習慣性が少ないからといっても大麻吸引がきっかけとなって「禁止薬物」のコカインや覚醒剤へエスカレートしていくからダメ、という「ドミノ理論」のようだ。ならば、煙草も禁止した方がいいと思うよ。毒性が低い大麻が「禁止薬物」に指定されているがために「禁止薬物を試してみる恐ろしさ」の垣根を越しやすい、ということもあるのではないかな。
大麻を解禁すると煙草が売れなくなって税収が減るからという、うがった見方もある。大麻は室内でも道端でも簡単に育てられるので、煙草のような管理統制が難しいらしい。
誤解されると困るが、別に大麻をやってみたいとか合法化してほしいとか思っているわけではない。むしろ煙草規制も強化してもらいたいと思っているくらいだ。個人で喫煙するのにとやかくはいわないが、少なくとも道を歩きながら吸うのは非合法にしてほしい。
酔っ払いのくせになにを言うかですって。
それを言われると一言もない。 61.211.3.3 身 193 998546413 フレッド・ホイルの世界 フレッド・ホイル逝去。
定常宇宙論者で「ビッグバン」の名付け親(本人は皮肉のつもりだったようだ)として名高い宇宙物理学者だが、私には、やはり『暗黒星雲』を書いたSF作家の印象が強い。
学者のてすさびという半端なレベルではなく、ストーリー性も描写力も高く、その作品には70年代黄金期のSFを代表する傑作も多い。
『暗黒星雲』は星雲全体で一つの生命という巨大知性と地球人類が遭遇する気宇壮大な物語。ただし、法政大学出版局という固い版元だからか、訳文は下手。
宇宙からの信号に従ってスーパーコンピュータを組み立てると、なんとそのコンピュータが勝手に人造美女を合成してしまって主人公の科学者となんやらこうやらの『アンドロメダのA』『アンドロメダ突破』の二部作も面白い。
『秘密国家ICE』はエンターテインメント性豊かな冒険SFだ。
あらゆる時代が同時に地球上に存在するようになってしまう『10月1日では遅すぎる 』は、グレッグ・イーガンの『宇宙消失』にもつながるテーマで、比べて読むと面白い。
惜しいことに、『暗黒星雲』以外はどれも現在入手しづらくなってしまったようだ。ホイルを読んでいたころが、私が一番SFを読んだ時期かもしれない。なつかしや。 61.211.4.110 本 192 998199170 『ジュラシック・パークIII』 日比谷シャンテシネにて。
ああ、単純なアクションはなんてすっきりするんだろう。
特撮史上エポックメイキングな第一作から早八年。恐竜の動作もはるかに精巧で自然だし、造形も複雑精緻になっている。前作までは個性にとぼしかったラプトルたちも、今回は一匹一匹の造作に工夫がこらされバラエティに富んだ姿態が楽しい。
ストーリーは、第一作の原作の河下りの場面と翼竜ドームの場面がうまく生かされている。なかなかいい場面なのに「1」の映画化では割愛されていて残念な思いをしたものだ。それだけに三作目で映像化されるとは嬉しい驚きだ。
ただし、あまりにもアクションのテンポを重視した編集のせいで、いささか物足りない印象なのは否めない。
もう少し1シーン1シーンをじっくり見たかったものだ。テンポが早すぎてサスペンスやショックもあまり感じないのでは、逆効果だろう。その意味では、第一作の、子供たちが調理室でラプトルに追い詰められるのシーンが最高だ。あのくらいじっくり撮らねば、サスペンスなんて醸成されるものではない。
早すぎる展開のせいで、肝心の恐竜の造形をゆっくり楽しむことができないのもマイナスだ。折角のティラノザウルスとスピノザウルスのバトルはやはりラストに持ってきて、もっとたっぷり時間をかけてもらいたかった。この点でも第一作でラストにティラノとラプトルの戦いを持ってきたのは大正解。メインエベントのなんたるかを心得た構成だ。
キャストでは、エリック少年はER〜緊急救命室〜の外科部長の白血病の息子役。その父親は先々代の心臓の悪い部長という、ERつながりの親子。
さて、次は「猿」にしようか「かおなし」にしようか。◇
『人肉嗜食』読了。→レビュー。
210.159.89.95 映 190 997852652 虐待・子殺し・ボノボ・リルケ 尼崎の児童虐待殺人遺体遺棄事件。
人をみかけで判断してはいけないと思いつつ、この両親の顔を見ては「見かけで判断する」ことの有効性を納得せざるをえない。
TVやネットで、類人猿等の子殺し行動とこの事件を結びつける論調がいつにも増して多いのも、この両親の風貌と無縁ではあるまい。
チンパンジー等の群れで生活する類人猿では、ボス猿(オス)が交代したときなど、オス猿のまずやることは新たに獲得したメス猿の連れ子を殺すことだ。子育て(授乳)中のメスは発情しないからで、子どもを殺されたメスはすぐに発情し、自分の子を殺したオスと交尾し妊娠する。
同じような行動は、バンドウイルカやシロイルカでも見られるというから、イルカを知的平和的動物のシンボルと思っている動物愛護家にはショックな事実だろう。
メス猿は自分の子を殺されるときにも積極的な抵抗はしないらしい。それどころか。自分で実子を殺すメスの事例も報告されているというから、いやでも今回の尼崎虐待母を連想してしまう。
「子殺し」行動を回避するように行動様式を進化させた類人猿も存在する。有名なボノボ(ピグミー・チンパンジー)だ。
ボノボのメスには排卵を伴わないニセの発情期があり、生殖活動を目的としない交尾を頻繁に行う。そのためオスボノボには、発情期を促すための子殺しを行う必要がない。
ボノボにとって、性行為は生殖目的にとどまらず、コミュニケーションを円滑にするための重要な手段であるということだ。交尾の代償として、メスがオスから食べ物を分けてもらうといった様子も観察されているという。
猿助交際ですね。
ボノボの性行動はいかにも人間社会に類似しているし、実子を虐待死させる馬鹿親はチンパンジーの子殺し行動を連想させる。
ここで間違ってはいけないと思うのは、人間の行動は彼ら(類人猿)から受け継いだものでも、彼らから進化したものでもないということだ。何百万年も前に人類の祖先と類人猿は進化の幹から枝別れして、その後にチンパンジーもボノボもそれぞれの行動様式を獲得した。
人類も別個に進化しながら人類独自の行動様式を確立したわけで、子殺しする個体が発生するのも別に「先祖返り」というわけではないと思う。
「こんな奴らは人間以下のケダモノだ」と言いたくはなるが、やはりこれはケダモノに失礼だろう。
血のつながった子どもでなくとも愛することなどできる。そのぐらいの能力は人間にはあると思うけどね。
恋人の連れ子であったのちの大画家バルチュスを愛した詩人リルケや、子連れ女優松居一代と結婚した船越英一郎を見なさい。
彼らと虐待夫婦とわれらとボノボとチンパンジー。類縁関係を図にするのはちと難しい。◇
『ハサミ男』読了。→レビュー。
山田風太郎『男性滅亡』(ハルキ文庫)、濡木痴夢男『縛りと責め』(河出文庫)読了。
61.211.4.154 時 188 997610891 『A.I』 丸の内ルーブルにて。
おいおい、この甘ったるくてお涙ちょうだいの物語のどこがキューブリックなんだよ。
だいたい、ロボットに愛情を持たせるにはプログラミングでは無理だから、経験学習で発生させるシステムにしたのではなかったのか。ならばなぜ、一番肝心の母への愛情が、七つのキーワードをインプットするだけで発生するのだ?親を愛するロボットのはずなのに、愛されることばかり考えてるのはなぜだ?
このように前半からしてつっこみどころばかりなのに、一番面白くなりそうな中盤のジゴロロボットとの放浪の旅は中途半端だし、お涙ちょうだいのラストは妙に長いし、ナレーションに頼りすぎて説明過多だし、はっきり言って脚本は最低です。
ロボットが人間に差別され虐待されるフレッシュフェスティバルのシーンは、さんざん鉄腕アトムで見たような気がするのは気のせい?
たしかに映像はすごい。未来のラスベガス=ルージュ・シティや水没したマンハッタンの描写はほれぼれする。キャラクターもジュード・ロウ演じるセックス・ロボット、ジゴロのジョーだけは面白い。ルージュ・シティでのジゴロのジョーの活躍なら、もっと見たかったのだがね。◇
ここからはネタバレ満載なので、ご注意のこと。
まあ、文句ばかり言っていてもなんなので、私だったらこうしたいというのを少し。
デイビッドとジョーの放浪をもっと長い期間にすることと、ジョーがポリスに捕まったあと、ディビッドがテディと水底でフェアリーの人形を見つけ潜水艇に閉じ込められたシーンからあとを次のように変えたい。ジョーはポリスに連行されるが真犯人が判明し釈放され、ルージュ・シティにもどって行く。10年後、今日も楽しく働くジョーの客はディビッドの母モニカだった。ジョーにおぼれたモニカは自宅にも呼ぶようになる。そんなある日二人が一緒にいるところに前夫のヘンリーが押しかけ大騒ぎになる。その騒ぎの中で家族が崩壊したわけが明らかになり、ジョーはモニカが旧友ディビッドの母であることを知る。ジョーはモニカに潜水艇を調達させディビッドを捜しにマンハッタンの水底に二人で潜って行く。二人は祈りつづけてバッテリの切れたデイビッドを発見する・・・・ね、これなら感動のラストシーンになりそうでしょうが。あとはハッピーエンドでもアンハッピーエンドでも好きなように考えてくれたまえ。
まあ、ここまで変えなくても、未来のロボットに救出されてからのラストシーンを変えるだけでも少しは見られるようになっただろう。
まずナレーションもバックミュージックもなくす。余計な説明ははぶいて、未来のロボットがデイビッドを発見するシーンのみにする。映像だけで時の流れは十分に表現できるはずである。
その後は一気に、再現された懐かしい部屋のシーンにする。変なフィルタをかけずにあくまでクリアに撮影する。そう、『2001年宇宙の旅』のラストシーンへのオマージュである。(元々そのつもりはあるだろうがね)
その部屋でモニカと再開するシーンでエンド。セリフも一切なし。父親ヘンリーのかわりになぜかジョーがいるということにしてもいい(しつこい)。エンドのあとカメラをどんどん引いて、凍りついた地球の全景を見せてもいい。
さらに引きに引いて太陽系から銀河系の外まで視点はとんでいき、やがて鳴り響く「ツァラトストラかく語りき」<これはやめましょう。
『A.I』こそティム・バートンが撮るべきではなかったのかい?愛妻に母親役をやらせればいいではないか。◇
『ライブ・ガールズ』読了。→レビュー。
210.159.89.138 映 186 997267453 読書週間ではないけれど 日頃、疑問に思っていることがある。
新聞社・出版社等のマスコミは、朝日も読売も右左関係なく「若者の活字ばなれ」を嘆いている。
ならばなぜ、すべての発行物の漢字にルビ(よみがな)をふらないのだ?
すべてが無理なら新聞だけでもいい。
それだけのことで、若者の識字率は一気にあがり、新聞や小説へのしきいも随分低くなると思う。どこの出版社も新聞社もえらくてかしこい方々はみんなわかっているだろうに、(一部の特殊な出版物をのぞいては)やろうとしない。
コストがかかって大変ということなのだろうが、将来新聞や本を読む人間の数が致命的なほど減って、そのときに慌てても手遅れだ。一部の活字信奉者が騒いでも、大多数の文盲国民は「ん?」てな反応で、無関心だろう。もっともその頃には、現在の新聞社や出版社のえらいさんはもう生きてないから関係ないというつもりかな。
だいたい、コストがかかるというのも頭から信用はできない。読了したばかりの山田風太郎の『死言状』に、かつての新聞はほとんどの文字にルビがふってあった、とあった。今日こんなことを書いているのもこの山田風太郎のエッセイに触発されたからだが、私が現在少しは活字に親しめているのも、子どもの頃のルビ振り本のおかげであるのかもしれない。
昔の技術で十分にできていたのだ。現在の電子出版技術に人と予算を傾注すればできないはずがない。
ネットテキストの分野もこと日本語表示・ルビ表示に関してはお寒い限りだ。
星安出寿 と表示するのに、(
<RUBY><RB>星安出寿<RP>(<RT>ほしあんです<RP>)</RUBY> と入力しなければならない。
面倒くさいだけならまだしも、これだけ手間をかけてもルビ表示されるのはIEだけで、Netscapeだと「星安出寿(ほしあんです)」としか表示されない。やる気も失せようというものだ。
もっと簡単なタグでルビを美しく表示する機能が全ブラウザに実装されれば、日本語ひいては日本文化の未来は明るい、と思う。思うのだが、やっても別にだれも儲からないし、選挙の票にも結びつかないし、お役人の天下り先が増えるわけでもない。そういうものは決して実現されないのだよなあ。 61.211.4.154 本 185 997153341 政治家の方々 昨日のニュースステーションの野中広務はすごかった。戦争責任や靖国神社について、あそこまではっきり物を言うのは、現在の日本では勇気がいることだろうと思う。まあ、小泉首相への対抗という意味や中国との親密な関係など、色々と思惑もあるのだろうが、それにしてもだ。
戦争があと一ヶ月続いていたら自分は死んでいたと腹をくくり、天皇のために死ぬつもりだった自分を省みて軍国教育の恐ろしさを説き、靖国神社は今も軍国主義鼓舞の色濃いのだから変化するべきだと主張する。
以前から面白い人だとは思っていたのだが、ちょっと感心してしまったよ。後藤田正孝といい、70歳以上の政治家には時としてこういう気骨のある方がいらっしゃる。
それにひきかえ、20代30代の若者ほど靖国神社参拝に賛成が多く、近隣諸国の感情にも配慮する必要がないという意見も多いという。そのくせ靖国神社が軍属軍人のみを祭っていることを知らない人の方が多いのも20代30代だ。
教育うんぬんより、今の若者に物を教えてこなかった親の世代の責任だと思う。もう少しで私も含まれる。偉そうなことを言ってる場合ではないな。◇
歴史教科書問題については靖国神社とはちょっと問題が違う、と思っている。
「作る会」の主張はろくでもないし、自分の子供がそんな教科書で教育されるのは嫌悪感を感じる。しかし中国韓国が日本国政府に抗議してくるのは少し的外れかなと思う。中国韓国は国定教科書だが、日本はそうではないからだ。現場に一応「選ぶ自由」があり、「作る会」の教科書も選択肢の一つに過ぎない。「悪い選択肢」が増える危険があったとしても、自由は多ければ多い方がよいと思う。
その日本の制度をねばり強くアピールして、日本国政府の立場と問題の教科書の主張は全く違うと、はっきり言明すればよいのだ。
むしろずいぶん昔になるが、今回と「逆の理由」で家永三郎先生の「新日本史」を不合格にしたことの方がずっと問題だったと思う。
検定だの検閲だのは、なくせるものならなくした方がいいに決まっている。「家永教科書」も「扶桑社教科書」も選択肢から外さないのが、風通しのよい社会というものだ。◇
田中真紀子外相や扇千景保守党党首が身内から攻撃されている。私はお二方とも支持はしていないし好きでも嫌いでもない、ニュートラルな野次馬である。ご本人たちはいかにも攻撃されやすいタイプだとお見受けするが、政治家という人種は多かれ少なかれ同じような性格なのだろう。
しかしながら、彼女たちを攻撃しているおじさんたちには、理屈はともかく「男の嫉妬」を感じてしまうのだが、どうだろうか。「女に偉そうにされてたまるかい」というチャチなプライドばかりが目立って、みっともないことこのうえない。
群れをなしてキャンキャン騒ぐさまは、いわゆる「男らしさ」とは対極だと思うが、男とは「男らしくない」ものなのですな。 61.211.4.154 時 184 997016891 夏休みの一幕 私の中学生の娘は当然夏休み中である。連日宿題にヒーヒー言っているが、なぜか日記だけはほとんど終わっている。しかも毎日ほとんど同じ。いしいひさいちの4コマ漫画のようななめたまねをしてくれるじゃないか。
ちょっと旧いが、世界水泳を見ながらの、私と娘との会話。
娘「水泳選手って脇の下永久脱毛してるのかな。つるつるだよ」
私「水の抵抗減らすためにやってるのかな」
娘「でも、男の選手は剃ってなかったよ」
私「それは男の脇は穴が開いてるから剃っちゃまずいだろ」
娘「え?!」
私「え?ってなんだよ。知らないのかよ?」
娘「知らなーい、ほんとに穴あいてるの?」
私「男はへそみたいな穴が開いてるんだよ。魚だったときの名残だよ。そんなことも学校では教えないのか」
娘「えー、全然知らなかった。そうなんだ」
最近の学校はこんなことも教えないらしい。性知識ばかり覚えたって、あたりまえのことを知らないでどうする。◇
というわけで、はい、一瞬でも男の脇に穴が開いてることを信じた人は手を挙げて。
いないことを願うが。
うちの馬鹿娘には次の日ぐらいにネタばらししてやろうと思っていたが、そばで聞いていた息子が「そんなのあるわけないじゃん」とばらしてしまった。余計なことをしおって。洒落がわからん奴だ。
お前がばらす前に一瞬脇の下をさわって確認したことを私は見逃していないのだぞ。◇
いつも呑んでいる銘柄の酒が入ったという連絡が酒屋から来たので買いに出かける。途中にあるブックオフにも寄って見る。売場面積の七割以上はマンガだが、あまり多くて探す気力もおきず、結局小説ばかり買ってしまう。
殊能将之『ハサミ男』(講談社ノベル)、倉橋由美子『夢の通い路』(講談社文庫)、久世光彦『一九三四年冬−乱歩』(新潮文庫)購入。 61.211.4.154 雑 183 996752658 風の行方旅先で、山田風太郎の『死言状』を読んでいるさなか、著者の訃報を聞く。
天才不良老人にして、まちがいなく当代随一のエンターテインメント小説の名手。匹敵する書き手というと吉川英治ぐらいしか思い浮かばない。嘘だと思う人は『室町御伽草子』と『幻燈辻馬車』を読むべし。『戦中派不戦日記』はこんな時代だからこそ日本人必読の書と思うが、そんなことを抜きにしても面白い。
一陣の風去りて 数多の快書を残す ご冥福を祈る。
61.211.2.81 本 182 996114920 明石花火見物客将棋倒死傷事故 どうやらマスコミの悪者さがしのターゲットは警察ということになってきたようだ。警察に群集行動管理のノウハウや事故への危機感が欠如していることはたしかだろうが、全部警察が悪いというのも無理があるのではないか。
高齢のご婦人一人をのぞいては死者はすべて年齢一桁の子どもだ。大部分は五歳以下の幼児だったことを考えると、やはり酷な言い方だが保護者の責任が一番大きいでしょう。
とてつもない人出になることがわかっているところに、なぜ幼児を連れ出すのだ。乳幼児が喜ぶはずはないので、親の楽しみを優先したとしか思えない。
子どもが成長するまで親が遊ぶことはあきらめなさいと言いたい。
私の数少ないアウトドアの楽しみの一つはスキーだが、最近は車で楽に移動できるせいか、乳幼児まで連れてスキーに来ている家族を見かけることも多い。乳児を背負ってさっそうと滑っている若いおとーさんもいる。本人はうまいつもりかもしれないが、そのスピードでは乳児は呼吸困難におちいることを知らないのだろうか。知識はなくとも想像できないだろうか。顔を真っ赤にしているのは嬉しがっているのではないのだよ。親は楽しくても子どもには迷惑至極このうえない。
私は長男が生まれてから5シーズン、スキーは我慢した。別に偉ぶるつもりではない。遊びはいつでもできるし子どもはすぐに成長してしまう。我慢は一時だし、人間のこどもが成長していく過程はそれは面白い見もので、これを見逃す手はないと思うのだ。かといって親の遊びに幼児をつきあわせて、接しているつもりになっているのは、本末転倒というものだ(成長してから親につきあわせるのは有益だと思うが、それはまた違う話だ)。
ただし、よく接したからといって、親の思い通りに子どもが育つとは限りません。あくまで楽しいから子どもと接するのだ。
それでは、自分の楽しみ優先でこどもが事故にまきこまれた親とどこが違うのか、と言われると・・・・むむ、違わないか。違うような気がするのだけど、結局同じなのかもしれない。やれやれ。◇
『夜の姉妹団』読了。→レビュー。
『中国怪奇小説集』読了。→レビュー。
『語り手の事情』読了。→レビュー。
61.211.4.217 時 178 995697742 デジタルカメラとちょっとてれくさい夢 今月末から1週間夏休みの予定。旅行用という名目で、ほしかったデジタル・カメラを買ってしまった。
CANON PowerShot A20。一番安値で店頭販売もしているところを価格.COMで検索し、通勤の帰りに秋葉原に寄って一発購入(本体36,500円+64MBのCFメモリー5,480円)。景気対策に少しは消費したいが私にはこれが限度だ。
やはりデジカメは面白い。普通の銀塩カメラより気楽に写せるのがいい。PCの周辺機器としては初めてのUSB接続なのも嬉しい。
で、購入記念に私のメインマシン「GONSUKE-2」を撮影して大公開などしてみる。(ハードの詳細はこちら)うーむ、こうして見ると、やはり和室にぶちこんであるのはかっこわるいなぁ。
- 左の壁にはスライド式本棚。地震が怖い・・・・
- 障子の向うはベランダ。
- 骨董スキャナ。
- 再生専用(=録画不能)ビデオデッキ。キャプチャボードに繋いでいる。
- 右側は居間に続く。TVの音声に集中力を妨げられる。
- 妻の趣味のパッチワーク。
- これが本体、ゴンスケ2号。
- セカンドモニタ。パレットの隙間に見えている壁紙は。
- メインモニタ。モニタ画面はスクリーンキャプチャの貼りこみ。
- タブレット、i-600。こいつが結構でかいので左のキーボードはテンキーレスの省スペースタイプ。
- 金色のロボット。腹には時計。知能はまだない。
- プリント用紙、工具、ネジなどの細々としたもの。
- 骨董プリンタ。ここに収まるのがとりえ。
- CD-ROM、マニュアル、スクラップ等。
- ゴンスケ1号の残骸。
- 資料。良く見えなくて幸い。
- 机は昔いた会社の払い下げ品。さすがにがっちりしていて使い良い。
◇
夢百景:Rと会う夢
年がいもなく、ある女優さんとデートする夢などを見てしまった。
渋谷のような街で偶然出会う。もちろん夢の中では彼女と面識があり、もちろん(昼間なので)お茶でも飲みませんかとさそう。もちろん彼女はOK(夢っていい)。有名人である彼女への他人の視線が気になる私を尻目に、彼女は店の中でも席をめざしてさっそうと歩いて行く。後ろでまとめた豊かな髪と濃いグリーンのスーツが印象的だ。細い体でするすると椅子の間を抜けて行くが、私には狭くてお尻に椅子がぶつかったり大変。席についてからは、かなりのんびり楽しくしゃべったようなのだが会話の内容は覚えてない。惜しい。
いつのまにか、なんと、ベッドシーンになっているではないか(夢って素敵)。しかもキスまでしてしまう。こちらはちゃんと感触まで覚えている中年男の抜け目なさ(夢だっていい)。しかし、しかしここからなぜか世間話をはじめてしまい、そのまま目がさめてしまう。
ひさしぶりに「夢だったのか〜」という空虚感を味わってしまった。
能天気な奴、と笑うなら笑ってくれ。
楽しかったからいいのさ。 210.159.89.139 夢 177 995440976 きいち といっても、ヨーダに似た元大蔵大臣ではない。着ぐるみの狸や河童とCMに出たりもしていない。
今週号(7月26日号)の週刊文春「阿川佐和子のこの人にあいたい」のゲスト、蔦谷喜一氏のこと。なおさらわからないかもしれないが「きいちのぬりえ」の作者と言えば、多くの(ある年代以上の)人は懐かしい思い出に顔をほころばせるのではないだろうか。
失礼ながら「きいちのぬりえ」の作者がご健在とは意外だった。大正一ケタ生まれ90歳近いご年齢でまだ矍鑠とした現役らしい。
対談形式の半生記は実に面白い。お気楽なぼんぼんの、しかし憎めない行状がほんわりと愉快だ。塗り絵が大当たりして一般の会社員の10倍も稼いでいながら一切ためることをしない。三味線日本舞踊などの道楽に全てつぎ込んでしまう。踊りは名取りで、ビートたけしの母親にも教えたことがあるという。(喜一氏はたけしと同じ足立区の生まれ)
喜一氏は自分の昔の絵を見るのは実は好きではないという。いやいや描いていたというのではなく現在の自分から見ると下手さ加減が恥ずかしいらしい。何度目かのきいちブームで小学館から特集を出す話があったとき、たのんで現在の技術で描いた作品も載せてもらったという。しかし読者の評判は「昔の絵」の方が上だったらしい。
それを聞いた阿川佐和子嬢が「そうなんですよ。昔の絵を見るとなつかしい時代を思い出すんです」というのを聞いて、喜一氏が応じた言葉がいかにも絵描きの感慨である。「絵っていうものはそういうものなんだなあ。絵の技量とか絵描きとかはどうでもいいんだ」まだ文春は出たばかりなのでキヨスクやコンビニの店頭に並んでいる。「きいちのぬりえ」に懐かしさをおぼえる人は、買っても立ち読みでも読んでみることをお勧めする。 61.211.4.25 絵 176 0 995363251 ジキル博士とハイド氏 NHK-BS2で『ジキル&ハイド』を観る。
スティーブンソンの原作は比較的最近(と言っても数年前)読んだ。
むかぁーし、スペンサー・トレーシー主演の映画を見たなあ。共演はイングリッド・バーグマン、ラナ・ターナーという豪華版。バーグマンの娼婦役という意外性の配役が印象深いモノクロのメロドラマだった。
こちらはジキル博士はジョン・マルコビッチ。原作は正確にはスティーブンソンではなく、『ジキル博士とハイド氏』を博士の屋敷に仕える女中の視点で描きなおしたヴァレリー・マーティンの『メアリー・ライリー』。で、その女中を演じるのがジュリア・ロバーツ。
ネットでの評判はあまりよくなかったけど、どうしてなかなか面白かったよ。どうも「駄作」と言い切ってるのはジュリア・ロバーツのファンサイトが多いようで、そういう人はジュリアが暗くて地味な役なのが気に入らないのだろう。私はジュリア・ロバーツに思い入れはないので、むしろ『プリティ・ウーマン』なんかより、本作のメイドの方が魅力的でしたがね。
19世紀の英国の暗く重厚な邸宅と、陰鬱で猥雑な街並み、このへんの描写が美しくてしっかりしてるのでまずは満足。冒頭のウナギ料理のエピソードなど、性的な暗喩もちりばめられていて私好みの映画でした。
娼館の女主人に『101』『危険な情事』のグレン・クローズ。この人はすっかり「怪優」になってしまったなあ。『白と黒のナイフ』で美人弁護士を演っていたのは今は昔。
特殊メークにたよらないジョン・マルコビッチの二重人格演技は素晴らしい。それだけにラストの変身シーンが思い切り特殊撮影なのは疑問。とってつけたようなショック演出やアクションなど、どうもラストがちぐはぐなのがいただけない。中盤までのサスペンス、心理劇が良かっただけにちょっと残念。映画的カタルシスがないしね。
ハイドとメイドのメアリーのキスシーンが一度だけあるけど、これは良かった。キスシーンを描いてるときはキスシーンに敏感。シーンそのものは普通だけど、それまでの心理描写のたまもので情感が胸にせまる。ここはジュリア・ロバーツもうまいと思った。
→淀川長治氏のレビューも発見。◇
レイ・ガートン『ライブ・ガールズ』(風間賢二訳/文春文庫)購入。 223.132.25.40 映 175 994760619 だれでもピカソ になれるわけではないパブロ・ルイス・ピカソ。この大画家の名を聞けば、代表作『ゲルニカ』のような様式の絵を連想する。もちろん、いわゆるキュビスム様式だけでなく、新古典主義やらなにやらピカソが色々なスタイルの絵を描いていたことは知っている。
それでも、ピカソ13歳の絵を見せられると、その完成度、完璧なデッサン力に舌を巻かざるをえない。スッゲェーの一言である。凄すぎて凹みようもない。
ピカソは晩年、孫に絵を描いてやるのを愉しみにしていたらしい。
「私は物心ついたときにはラファエロのように描いていた。私が彼ら(孫たち)のように描けるようになるにはこれまでの歳月が必要だった」まさに「天才」の言ですな。
ピカソの父も画家だったが、8歳のピカソのデッサンを見て思い切り凹んだらしい。かわいそうに。ダ・ヴィンチの師も弟子の画力に愕然として筆を折ったという。飛びぬけた天才が身近にいるというのもつらいものなのかもしれない。しかも同分野に生きているならなおさらだろう。『アマデウス』のサリエリの悲劇だ。
距離も時間も隔てて、ただ単純にピカソの絵を楽しめるわが身の幸福。
◇
酒見賢一『語り手の事情』(文春文庫)購入。
61.211.2.81 美 174 994652920 コンピュータ教育の陥穽? 昨日の日曜日、娘の中学校は授業参観日。今回は美術だというので、ちょっと面白いかなと見に行ってみる。ところが課題は点描画なので、みんなしこしこミリペンで点を打っているだけ。つまらないので他の学年のコンピュータ教室に移動。
MS-ペイントでお絵かきとか、やってることは、まあお遊びのうちだが、それでもLANにつながったWin98機40台とカラーレーザープリンタが2台ある。モニターは液晶だし、もっと使わないと税金の無駄使いだ。何はともあれインターネットにはつなぐべきでしょう。
気になったのは先生の説明がマウス操作に偏してること。説明だけでもキーボード操作で教えた方が確実だし、キーボードに慣れさせないとマウス操作でできる範囲しかやらなくなりそうで、ちょっと心配。
先生と話してみると「かな漢字変換はローマ字入力で教えてます」とおっしゃる。それはいいと思うと言うと「でも生徒によっては小学校でローマ字を習っていないかもしれないので少し心配」だとのこと。なんと、小学校でローマ字の授業が端折られる可能性があるとは、想像だにしていなかった。「ゆとり教育」の弊害がこんなところにも。嗚呼!◇
ウインブルドン女子決勝。
「漆黒の美神」ヴィーナス・ウィリアムスの186cmの巨体と比べると、167cmの「美徳の不幸」ジュスティーヌ・エナンは華奢だったね。神々に果敢に挑戦する白面の戦士という風情だったけど、やはりヴィーナスの晴天の霹靂のような200kmサーブに打ち砕かれてしまった。ジュスティーヌの少年のような薄い胸が痛々しくも悩ましい。
ジュスティーヌが準決勝で「褐色のミネルヴァ」ジェニファ・カプリアティの豪腕を破ったときは素晴らしかったけどね。独特の鋭いシングルバックハンドは居合抜きのようなフォームで、見ていて小気味がいい。残念ながらヴィーナスにはあまり打たせてもらえなかった。
かっこいいマサイの女戦士を描きたいとずっと思っていたのだが、ヴィーナス・ウィリアムスを見たら、あまりに思い描いていたまんまなので、いまだに描けずにいる。
ジュスティーヌ・エナンの婚約者はルアの弟にそっくり。
ケント侯爵夫人のファッションはどうかと思うぞ。◇
『悪魔の中世』読了。→レビュー。
『ワニと龍』読了。→レビュー。
202.238.111.2 電 171 994068902 芸人と芸能人 昨日はアレルギー性鼻炎がひどくなって洟水が滝のようだった。今日になったら喉が痛くなってきた。5年ぶりぐらいでどうやら風邪をひいたらしい。熱が出ないのが幸いだが、滅多にひかない分、たまに罹患すると気分まで落ち込んでマイナス思考になっていかん。
こんな日はお笑い番組のビデオでも見てとっとと寝るとしよう。◇
土曜深夜のお笑い番組(爆笑オンエアバトル)で若手の漫才師が言っていたセリフ。「まあ、ぼくら芸能人になろうとがんばっているわけですが、まだただの芸人です」この言い方だと「芸人」が進化して「芸能人」になるみたいだけど、そうか?
本来の意味ならそうだろうが、「芸能人」の方が「芸人」より芸が上とは到底思えないなあ。私にはくだんの漫才師(アメリカザリガニ)は十分芸能人と思えるが、芸人と自分で言えるほどの芸とは思えない。オンエアされた5組のお笑い「芸人」の中では一番つまらなかったし。
ところが、番組の録画会場に来ている観客の点数(そういう番組なのだ)は彼らが一番高いのだ。さすが芸能人志向なことはある。私には「はなわ」の方が面白かったけど。
私が好きなのは、ラーメンズは別格として、最近では田上よしえ、ドランクドラゴンなんてとこが面白い。不良の立ち話系のアンタッチャブルも結構ひいき。対してグランドチャンピオンのルート33は面白いとは思えないなあ。アメリカザリガニもそうだが関西弁でやかましくしゃべくるだけというのは苦手なのだ。上方落語はきらいじゃないから、関西弁だからダメというのではないのだが。
元ABブラザースの松野大介が書いた『芸人失格』の惹句を思い出す。「ぼくは芸人になりたかったのだが、相方がなりたかったのは芸能人だった」「相方」とは中山秀征。たしかに芸人ではないな。 61.211.4.25 TV 170 993619606 超戦車キングタイガー 掲示板の方で『平気でうそをつく人たち』の話題が出た。
私もいままで生きてきた中で、色々な「うそつき」に出会ってきたし、自分でもうそをついてきた。
思い返してみると、一番「うそ」が多い日常を送っていたのは小学生の頃だったような気がする。年を経るにしたがって、うそをつくと結局は損をするという知恵が身についてきた。
小学生時代はそんな知恵がないくせに、人間関係は大人顔負けの熾烈なパワーゲームだったりする。ゲームの兵器は人によってさまざまだ。喧嘩、スポーツ、勉強、財力、兄弟が番長、漫画がうまい、物まねがうまい、Hな知識が豊富・・・・あらゆることが武器になり毎日を生き抜いていくための手段になる。
その中にいたのですね。「うそをつくこと」をパワーゲームの武器にしている男が。
彼は「親が金持ち」だの「親戚が芸能人」だのというホラを上手について、級友の尊敬を集め(馬鹿な小学生だった私たちは簡単に尊敬してしまったのだ)仲間うちに君臨していた。
その彼が発明した幾多のホラのなかでの極めつけが「スーパー戦車キングタイガー」だった。
当時の貧しかった日本の小学生のオモチャの最高峰は「プラモデル」だった。なかでもラジコンなどは、そんなものがあるらしい、というだけで高嶺の花もいいところだったのだ。
ホラふき男は私たちに、彼の兄が持っているという超高級プラモデルの戦車の話をしてくれた。
それは日本で何台しかない限定モデルで、めちゃめちゃ高価で高性能なうえ、兄が改造してさらにパワーアップしたので、日本一の戦車のプラモに間違いないと言うのだ。
大きさは50cm×30cmくらいで、時速50km、人が上に乗っても時速30kmで走ることができる。操縦は当然ラジオコントロール。
これだけでも、幼稚な小学生軍団には驚異羨望なわけで、そんなすごいものの持ち主の弟であるホラふき男は、自然と尊敬されることになる。
当然私たちは「戦車を見たい」。しかし「兄貴はその戦車を命より大事にしていて俺にもめったに触らせてくれない」ということではしかたがない。アホアホ小学生は憧れのスーパー戦車を空想し、いつか見せてもらおうとホラふき男をよいしょするのであった。
見せることができない分、ホラふき男は戦車情報を小出しにして、私たちのイリュージョンがしぼまないように栄養を与え続けてくれる。
いわく
「戦車砲に手製の砲弾をつめると300mとばすことができる」
「戦車には鎖鎌がついていて塀を登ることができる」
「水陸両用で水に浮いてキャタピラで推進することができる」
「1キロ離れたところからでもラジコンで呼び寄せることができる」
はては
「万引きを見つかった兄貴が戦車を呼び寄せ乗って逃げた」
「追いかけてきた警官だか店員だかを唐辛子入り砲弾を撃って撃退した」
「眼に砲弾を受けた相手は失明したかもしれない」
ここまでくると、いくら阿呆なハナたれ小学生でもおかしいと思うのが普通だ。そこまでやったら、普通、ニュースになるだろう。その前にそんな戦車のオモチャがあること自体がニュースだ。SFの世界だ。
決定的だったのはホラふき男が最後に付加した画期的機能「ボタン一つでポケットに入るほど小さくなる」であった。
今までの話によると、戦車には大型モーターが4つとかなりの本数の乾電池が積まれている。その他通信機能やギアや砲弾を考えるとそんなに小さくすることは絶対に不可能だ!
ここでそこまで論理的に考えるのならもっと早く気づけよ、と今から思えばその通りなのだが、なんせ小学生、少しずつエスカレートする嘘は見抜け・・・・いいえ、私が馬鹿でした、阿呆でした間抜けでございました。
やっと真実に目覚めた日本一間抜けな小学生は、当然級友を問いつめる。
「ポケットに入るなら持ってこいよ」
「だめだよ、兄貴に怒られるよ」
「なら、お前んちに行くから見せてくれよ。見るだけならいいだろ」
「兄貴、友達に貸しちゃったんだって」
「その友達んち教えろよ。頼んで見せてもらうから」
「俺を信用しないのかよ」
「信用してるから見せてくれって言ってんだよ」
・・・・執拗きわまりない追求に、ついに稀代のホラふき男も「全部嘘でした」と白状せざるをえなくなった。
白状して一瞬のうちに権威も地に落ちたホラふき男がどうなったかは・・・・書かぬが花でしょう。◇
スティーブン・ミルハウザー他『夜の姉妹団』(柴田元幸編訳/朝日文庫)購入。 61.211.4.25 雑 169 993388273 入札日和 今日は東京都議会議員選挙。妻が選挙管理委員をやっている(やらされている?)ので、朝6時起きで投票所に詰めっきり。私は留守番。子供たちを指揮して掃除洗いもの昼食作りなどを一通りやらせ(みずからは手をくださない)てから、放免してやる。
これで、夕方投票しに行くまで、のんびり一人で絵を描ける。お国のために働いている妻には申し訳ないが・・・・極楽極楽。夕食は小さなレストランをやってる弟のところでハンバーグやサラダなどを頼み、子供たちが食べ終わったあとは一人「新日曜美術館」を見ながらゆっくり冷や酒を呑む。つまみは蕪の浅漬け。極楽極楽。
「新日曜美術館」は童画家武井武雄の特集。「刊本」という、絵、装丁、造本、文章まで手がけた絵本のシリーズが素晴らしい。螺鈿、浮世草紙風、寄木細工、ゴブラン織、等々、ありとあらゆる技法を駆使した宝石箱のような作品。長野の美術館に展示されているらしい。
見たい。 210.159.89.113 雑 168 993263200 たまにはプログラミングの話など 大学入試の判定ミスがあいついでいる。原因は判定システムのプログラムミスだという。
「今後二度とこういうことの起こらないように」と言っても、必ずミスは起ります。プログラムからミスを除くことはヒジョーに難しく(実感・・・・)事実上不可能である。別系統から出た結果(財務系システムなら最終残高とか)がある場合は照合テストもできるが、入試判定のように「プログラムが法律」の場合はそれもむずかしい。今回のように「国語三教科のうち最高点を採用」のような個別の条件がたくさんあるときは、微妙な例をもれなくサンプリングするのも至難の業である。
では、どうすれば良いのか。
現実には運用しながらミス(バグ)が出たら速やかに直す、というつまらない結論になるわけだが、入試のような一発勝負は影響が大きくなってしまう。
今回は時間が経ってから発覚したのでさらに問題が重く大きくなってしまった。結果発表直後にわかれば訂正もしやすいし、こんな大事にはならなかったはずである。
要は、自分が本当に不合格かどうか、受験生一人一人が発表直後に検証できるように、大学が「情報公開」すればいいのだ。試験当日は解答の控えを持ち帰れるようにする。発表では合格者番号だけでなく全員の受験番号と得点を発表する。もちろん合格分岐点も同時に掲示する。どんなエキスパートがするデバッグより、利害関係人当人のチェックの方が厳密かつ執拗であるのに決まっている。
まあ、情報公開すると情実合格などはやりづらくなるので、都合が悪い大学があるかもしれないけどね。
その代わり、一定期間(発表後2ヶ月くらい)以内に異議申し立てがない場合は以後一切大学の責任はなしとする。そういうデジタルでシンプルなのが私は好きだが、ねったりもにゃむにゃな方が好きという人も多いのかもしれない。 202.238.111.2 電 167 993198036 余波 読冊日記によれば大阪の児童殺傷事件の犯人宅間守は、やはり「反社会性人格障害」ということらしい。専門家の分析は私の床屋政談などと違って、さすがに読み応えがある。◇
宇多田ヒカル嬢が大阪の事件の被害者の一人に曲を捧げるらしいけど、あれだけ自分の歌が流れる葬儀の模様がTVで映されて、ファンだったと言われては反応してしまうだろうね。
しかし、ここまで特定の被害者の映像がマスコミで露出されるというのはどういうことなのだろう。遺族が納得づくでマスコミにビデオや作文や写真を渡したのだろうか。同じ親の感覚として見ると不思議です。正直にいうと不可解な感じがする。幼くして亡くなった我が子をもっと世間に知ってもらいたいということかな、はたまた地域性かなでも他の子は出てこないし、などと考えてしまう。
オウム真理教徒に殺害された弁護士一家のしあわせそうな生活の映像には素直に涙をさそわれた。今回の被害者の女の子の映像の無邪気さにも当然痛々しさを感じるが、それを公開することへのこの違和感はなんだろうなあ。お前も同じようなひどいめにあってみればわかる、と言われそうだが、そうなったらマスコミに「ほっといてくれ」とわめいている自分しか思い浮かばない。
日本の遺族=親って、もっと口が重い印象があったのだけれど、変ってきたのかな。◇
『オトラントの城』読了。→レビュー。
『心とろかすような』読了。→レビュー。
『夜の旅その他の旅』読了。→レビュー。
澁澤龍彦『悪魔の中世』(河出文庫)、濡木痴夢男『縛りと責め』(河出文庫)、岡本綺堂『中国怪奇小説集』(光文社文庫)、山田風太郎『死言状』(角川文庫)購入。
202.238.111.2 時 163 0 992577529 めぐりめぐりておのがみのため
ホレス・ウォルポール『オトラントの城』(井出弘之訳/国書刊行会)購入。タケさんに教えてもらったEasySeekの「探し物情報」に登録して発見。文化庁の「国語に関する世論調査」の結果について書こう、と思っているうちに天声人語に先を越されてしまった(<はりあってどうする)。「情けは人のためならずの意味を半数が誤って理解していた」というのが一番のトピックらしい。
理解しているもなにも若者ははなっから知りゃしないだろうと、数日前にうちの子どもたちに聞いてみた。案の定、「えー、知らなーい」という反応。しからば、どういう意味だと思う?と聞いてみると「情けをかけて助けるのはその人のためにならない、という意味でしょ」と、見事にこちらの思惑通りの返事をしてくれた。もちろん正しい意味を偉そうに教えてやったわけだが、このことわざ、もう少し長い言い方があってそれが省略されたらしい。元々は「情けは人のためならず、巡り巡りて己が身のため」というのだが、これなら間違えようがあるまい。
昔の人ははじめて聞いても「人へ情けをかけるのは自分のためでもあるのだよ」ととったのだろうし、現代ならわが子たちの解釈が自然なのだろう。これは現代の情の薄さを表わしているようだが、昔の方がことわざですすめなければ情けをかけなかったとも考えられる。薄情だったというより余裕がなかった、というべきだろう。それでもやりくりして人に親切にするのは決して損ではないよ、という「徳」のすすめだ。
豊かになった現代は、人々が他人を援助する余裕はできたが、情けをかけないと悲惨な状態におちいる人は(日本では)昔に比べれば激減しただろう。怠けているだけ(かもしれない)の人間を甘やかすのは、相手をスポイルすることになる。現代的解釈(誤用)の方が正しいような気がしてきたなあ。
偉そうに子どもたちにことわざを講釈した私だが、当然国語力には全然自信がない。「誤用!御用だ!」というページには一般的な誤用の例があげてあって面白い。私も「自首」の意味は全く間違えていた。レッサーパンダ男は「出頭」したのであって、自首したのではないのね。
211.121.45.118 言 162 992483260 無防備都市 大阪池田小殺傷事件の犯人宅間守は結局「精神障害者を偽っていた」ということらしい。さもありなん。
佯狂者 のおかげで精神医療や法改正についての議論が今までになくもりあがっているのだから皮肉なものだ。レッサーパンダ男や佐賀バスジャック少年や池袋の無差別殺傷事件のときとは何が違うのだろう。(
池田小の教師の一人は宅間とにらみ合ったすえ、タックルして背中を刺され重傷を負ったらしい。お気の毒なことだ。とっさのことだし、子どもたちをかばわなくてはならないしパニック状態だったのだろうが、刃物を持った相手にタックルは危ない。やはり現場が教室なら椅子だろう。武器にするなり投げつけるなり、こちらも得物を持ってやっと四分六というところか。力道山もブルーザー・ブロディも花形敬も、不意をつかれたとはいえ、素手では刃物にかなわなかった。
「自衛のために武器を持つ」が当たり前になるのが一番こわい。とはいえ、家中の武器になるものの位置を確認してしまったよ。 202.238.111.2 時 161 992235688 キレない子供をつくるために 小泉首相は刑法改正に前向きだということだが、精神障害者も厳罰に処せるようにするというのでは問題解決にはならないだろうね。私が障害者も一般人と同じように法律適用と書いたのは、結果として措置入院であっても、司法手続きを踏んだすえの「判決」であってほしいということだ。最初から不起訴だと事件の詳細は闇の中になり、被害者の肉親もなぜ殺されたか何も知らされないということになってしまう。
措置入院もあとは一般病院に判断おまかせということではなく、重大犯罪を起こした患者用の公立の専門施設が必要だろう。そして施設の内容は常に情報公開されなくてはならないし、退院後のケア(監視の意味も当然ある)もシステム化しなければならないだろうし・・・・要は金かけろってことね。私たちも国に安全をもとめるなら税金負担を覚悟しなければいけないだろう。消費税10%ももうすぐだ。やれやれ。◇
『「こころ」はどこで壊れるか』の副題は「精神医療の虚像と実像」だ。養護学校で長年障害児教育に携わってこられたフリーライター佐藤幹夫氏が滝川一廣先生にインタビューするという構成になっている。
終章に近く、インタビュアーが少年犯罪に関連して、東京新聞のコラムの「キレない子供をつくるために」という記事をとりあげる。
記事は精神科医が書いているということで、心がけねばならない十の項目があげられている。1.よくしかる、よくほめる。うーむ、私などはほぼ全滅だ。強いて合格と言えば7と10くらいか。10は妻に言わせれば違う意見かもしれない。7も子どものためというより自分のためだ。
2.外で遊ばせ、けんかをさせること。
3.テレビやゲームを制限し、本を読ませること。
4.あいさつをしっかり。
5.夜更かしをさせない。
6.子供部屋をつくらないこと。
7.食事には十分注意すること。
8.お年玉は現金を渡さないこと。
9.親子で物語を共有すること。
10.何より夫婦仲がいいこと。
インタビュアー氏も、ほとんどの項目で失格です、せめて1と7ぐらいは死守して、あとはしかるときはできるだけ理由を言い聞かせることは心したい、などと滝川先生に愚痴?をこぼしてコメントをもとめる。
それに対する先生の答えがいい。「キレない子供をつくるために」といったようなことにあんまり一所懸命にならないことでしょうね、まず大切なのは。そんなことのために子育てをしているのではないでしょう。なにであれ「こういう子をつくるために」なんて育てられたら子どもも迷惑だし、そもそもそのような子どもが作れるなんて考えるのは傲慢なことですね。そんなふうだから子どももキレちゃうのでは(笑)。ひょ〜っと肩の力が抜けるようなコメントでしょ。インタビュアーがなかなか熱い方なので、なおさら脱力感が心地よい。それでいて、当たり前の内容なのに目からウロコが落ちるような感じがする。たとえば10も、それはすばらしいことですけど、夫婦仲がよいのは互いに好きだからおのずとそうあるのであって、キレない子どもを作るために仲よくではいずれ「仮面夫婦」が関の山ではないでしょうかまさしくそうだろうねー。◇
青木良輔『ワニと龍』(平凡社新書)購入。 61.211.4.25 時 160 992074699 『「こころ」はどこで壊れるか』八人もの児童がきちがいに殺されるという大阪の事件。痛ましさと不条理感に言葉もない。犯人の精神鑑定が行われるらしい。またマスコミ上では御用達の「識者」が大いに「分析」してくれることだろう。
レッサーパンダ男のときの精神科医福島章先生のお言葉にはまいったなあ。レッサーパンダ男が数年おきに不機嫌状態になっていたらしいという情報に対し、「それは循環性不機嫌症候群です」とコメントされた。それって診断でも分析でもなく、ただ名前を付けただけではないのか。すりむき傷を見て「それは摩擦性皮膚剥落症候群です」って言われてもなあ。
そんな「有名精神科医のコメント」に日頃疑問をいだいている方には、次の本をおすすめする。
◇
『「こころ」はどこで壊れるか』読了。→レビュー。
61.211.4.25 本 159 991813214 死屍累々 子供部屋のエアコンが故障した。風は出るが、冷たくならない。もう5年以上になるので寿命なのだろうが、修理で直るといいな。買い替えとなると家電リサイクル法対象品だから別途費用が必要だし。
さらに、マルチモニターの一台がお亡くなりになってしまった。壁紙の国分佐○子ちゃんが突然大きくなったり小さくなったりしたと思ったら、フェイドアウト・・・・画面は真っ暗に・・・・佐○子さんは二度と帰ってきませんでした。(メインモニターの方にはご健在ですが)
取引先のリースアップしたのを無料でもらってきたNANAOの17インチなので、まあ目一杯働いたということでしかたがないところだろう。
TWOTOPインターネットで、やはりNANAOの17インチ、29,800円也を発注した。PCのモニターは家電リサイクル法の対象ではないらしい(環境省に確認した)ので、こちらのご遺体処理は粗大ゴミになるのだろうね。
最近通勤路の途中でも、ちょっと空き地があると不法投棄されたらしい家電の残骸(TVが多い)が目につく。家電リサイクル法の話が出たときからこうなることは馬鹿でも(私でも)予想がついたけどね。日本の官僚は優秀だというのは、少なくとも15年以上昔の話なのだろう。
なんにしても外務官僚と戦闘モードに入っている田中真紀子外相を野党は応援するべきではないかね。別に田中女史のファンでもないし支持もしていないが、小泉人気に押されている野党にとって、ここで自民党のアキレス腱とばかり外相を攻撃するのは、絶対得策とは思えんのだがなあ。鳩山代表や志位委員長、土井委員長というところが、田中大臣の発言を「わが意を得たり」という顔をして、官僚や自民橋本派を攻撃してこそ、小泉人気を自民党ではなく野党に向かわせることができるというものではないか。◇
記載を忘れていた読了本をまとめて記述。レビューは追って。
平賀英一郎『吸血鬼伝承』(中公新書)、小島貞二編『艶笑落語名作選』(ちくま文庫・定本艶笑落語2)、『井上ひさし『珍訳聖書』(新潮文庫)、リチャード・ニーリイ『殺人症候群』(角川文庫)、筒井康隆『魚藍観音』(新潮社)、井上章一『キリスト教と日本人』(講談社現代新書)、トルストイ『イワンのばか 他八編』(中村白葉訳/岩波文庫)読了。
滝川一廣『「こころ」はどこで壊れるか』(佐藤幹夫編/洋泉社y新書)購入。◇
『ゴッホの遺言』読了。→レビュー。
202.238.111.2 電 157 991279275 われらは遠いところから来て、遠いところへ行くのだ 昨夜のBSマンガ夜話は白土三平先生の『忍者武芸帳−影丸伝』だった。
嬉しかったなあ。私の中ではほぼNo.1の漫画。「火の鳥」よりもずっと上です。(まあ、上下をつけなくてもいいけど、そのくらい思い入れているということで)
作品の良さ凄さは、色んな人が色んなとこで書かれているので、私が屋上屋を架すようなことはしない。
番組では、いつも辛口のいしかわじゅん氏の思い入れたっぷりのコメント(くの一蛍火のエロスとかね)にウンウンうなづいている自分がちょっと恥ずかしかったり、夏目房之介氏の「手塚治虫の直系の後継者が白土三平で、白土三平の後継者は永井豪と宮崎駿」という言にヒザを(ほんとうに)たたいたり、いやあ面白かった。オタキング岡田斗志夫氏は年代のせいか作品への距離感を表明していたが、そうか、わからないか。縁なき衆生だ、しかたがない。
昔ほど熱心にマンガは読んでいないが、スピード感、迫力では白土作品を越えるものはいまだないように思える。アップを迫力と勘違いしてるのや、格闘技雑誌の写真を上手に模写してリアルだと思ってるのばっかりだ。このへん反論がある方もいるかもしれないが、聞く耳持たないので悪しからず。
ドラゴンボールの武天老師(亀仙人)は影丸の師匠無風道人にそっくりだ。同じようなことを考える人は他にもいるようで、こんなページを見つけた。スター・ウォーズ・サーガは、SF白土三平だった!というのだが、エピソード1が黒澤明の乱や蜘蛛の巣城の影響を受けているのは私も感じてた。しかし、白土作品まではどうかな。まあ、面白いからいいけど。
影丸というと横山光輝の「伊賀の影丸」の方を連想する人も多いかもしれないが、もちろん横山の方がパクってるのだからね。名前だけでなく「伊賀の影丸」のストーリーやキャラクタもかなりの細部まで山田風太郎の『甲賀忍法帖』のあからさまなパクリである。たとえば不死身の悪役「薬師寺典膳」をぱくったのが「不死身の忍者・天の邪鬼」だ。今だったら損害賠償請求、漫画家生命抹殺ものだろう。
BSマンガ夜話に続いて大島渚監督の怪作と誉れ?も高い『忍者武芸帳』が放映された。渋すぎるぜ、NHK-BS2。
・・・・しかし、これは見なかったほうが良かったかな。
『影丸伝』の漫画の原稿をそのまま撮影して、ナレーションや声の吹き替えを入れたという、まあ「意欲的な実験作」だ。きちっとアニメ化してあればいいのだが、やはり漫画というものは自分のリズムで読んでいかねば気持ち悪いのだよな。
それとも大島渚のリズム感が悪いだけかな。
漫画が「駒割(だけでなく)とページレイアウトで時間を表現する芸術」であることを再認識させてくれたという意味でも貴重な作品ではありました。
と思ったら2chでは結構人気だな。若者たちも感動しているではないか。感心感心。
見逃した人はDVDも出ている。それよりなにより原作を読もう。(豪華愛蔵版を買っちゃおうかなア・・・・)◇
チャールズ・ボーモント『夜の旅その他の旅』(小笠原豊樹訳/早川書房)、トルストイ『イワンのばか 他八編』(中村白葉訳/岩波文庫)購入。
61.211.3.3 漫 156 990953585 鯨か? 今日は猥談なので、そういうのが嫌いな方はご注意ください。
フジテレビ『笑っていいとも』には「まじっすか」というコーナーがある。私も今日、日曜日の「増刊号」で初めてみたのだが、ようするに素人がへんてこな特技を披露するコーナーだ。
で、今日の素人さんは「つば(唾液)をシャワーのように飛ばせる」若い女性。なんだそりゃという芸?だが、見てびっくり。きっかけにレモンを一口食べると、数秒後には舌の下側から二筋の唾液がまさしく噴水のように1mくらいもほとばしった。
唾液といってもさらさらの水のようで見た目の汚さはない。
小学生の頃に気がついたそうで、自覚的にもできるが、酸っぱいものをたべたときなど無意識に出てしまうこともあるそうだ。
ここで私が連想したのは、セックス時にある種の女性に見られるという現象「潮吹き」である。昔、最初に「私アノ時に潮を噴くの」と言い出して一世を風靡した窪園某という女性は「小便じゃないの」とインチキ呼ばわりされたり、果ては色気違いのように扱われたりさんざんだった。現象自体は珍しい例だがどうやらあるらしいということに落ち着いたようだが、だれもがそんな女性にめぐりあえるわけでなく、私もおおげさな話しだろうぐらいに思っていた。
しかし、本日21世紀にいたって、めでたく舌下腺から唾液を噴出させる女性を見て、場所こそやや違え、似たような器官がある女性器にも同様な現象が起きる可能性はある、と確信することができた。
いや、だからどうだというわけではないが、司会のタモリ氏とか何食わぬ顔で驚いていた中年組は、絶対私と同じ連想をしていたに違いないのだ。
当の女性は「彼氏とけんかすると噴きかけてやるんです」などと無邪気に話してはいたけれどね。 210.159.89.83 猥 155 990879025 メトロポリス 手塚治虫の代表作『メトロポリス』が映画化されてもうすぐ公開されるらしい。原作は傑作で、幼いときに読んだときは子供漫画には珍しい(手塚漫画では珍しくない)悲劇的ラストに衝撃を受けたものだ。映画の予告編を見たときは「背景のCGはすごいけど、キャラの絵柄が好みじゃないなあ」という疑問符つきの感想だった。
しかし、昨日の朝日新聞夕刊の記事を読んで疑問符が×印に変ってしまった。
脚本の大友克洋がインタビューに応えて曰く原作のしゃれたセンスを生かしつつ、手垢で汚れた部分を変え、現代的なスパイスも加えて脚本にしましたうーん、大友克洋ともあろう者がこういうこと言うかな。ミッチイ(主人公ロボットの原作の名前)の両性具有性こそメトロポリスの魅力の中心ではないか。幼な心にも手塚のしかけた官能性は十分に感じたし、自覚していたわけではないがあきらかにそのエロチシズムに魅了されていた。私にとってアンドロギュナスの出てこないメトロポリスはメトロポリスではないのだ。
主人公ロボットが男にも女にもなるという原作の設定は新鮮さがないので、ティマは人格のない無垢な花のような存在にした。
もちろん私が特別スケベなガキだったという可能性もあるが、たとえそうだとしても、納得はできない。
手塚治虫はSF映画の古典である『フリッツ・ラングのメトロポリス』を意識したわけで、元祖メトロポリスに出てくる悪の手先のロボットが美少女マリアに変身するシーンのエロティシズムの手塚的表現がミッチイだと思うのだ。
大友克洋の乾いた作風と手塚の湿ったエロチシズムはやはり合わないのだなあ。
私の思い過ごしかもしれないので、見に行って面白いと思った人は教えてください<未練な奴◇
『模倣犯』読了。→レビュー。
『芸術新潮−バルテュス追悼特集』(新潮社)、井上章一『キリスト教と日本人』(講談社現代新書)、幸田露伴『幻談・観画談』(岩波文庫)、井上ひさし『珍訳聖書』(新潮文庫)、リチャード・ニーリイ『殺人症候群』(角川文庫)、筒井康隆『魚藍観音』(新潮社)、宮部みゆき『心とろかすような』(創元推理文庫)購入。
61.211.4.25 漫 153 989498415 ペーパークラフト王選手権 TV東京のTVチャンピオンでももっともレベルの高いペーパークラフト、しかも歴代のチャンピオンが雌雄を決するグランドチャンピオン大会。期待にたがわぬ素晴らしい戦いだった。どんな大スターも出ていないが、見ていて贅沢な気持ちがする番組だ。
アメリカで活躍しているご婦人の作家がゲストで参戦していたが、日本のペーパークラフトのレベルの高さに驚いてもらえただろうか。すごい日本人はイチローと野茂だけではないのだぜと変なナショナリズムを感じてしまうのが、ちょと恥ずかしい。
なんといっても決勝の大熊光男さんの作品は素晴らしかったなあ。審査員の方々がこぞってほめていたディテールもすごいけど、主人公の空飛ぶスクーターと山里の地平との距離感がなんともいい。
チャンピオンになった野田亜人さんはまた泣いてしまった。しかも2度も。プロ中のプロで第一人者なのにこれだけ素直に闘志をあらわにする性格が、この人の場合はなんだか微笑ましい。大熊さんも40歳近いのに笑顔が少年のようで、私はこのお二方のファンであります。◇
人殺しのレッサーパンダ男が捕まって取り調べを受けているということで、報道のヘリコプターの音がうるさい。浅草署の映像なんていいから殺人犯の写真を早く出しなさい。
それにしてもコンビニで撮られていたというビデオ映像はなぜぼかしをかけた状態でしか公開されなかったのだろう。第二の殺人を防ぐこととだれだかわからない人のプライバシーを守ることとどちらが優先すると思っているのだろうか。◇
小林英樹『ゴッホの遺言』(情報センター出版局)、吉田健一『絵空ごと/百鬼の会』(講談社文芸文庫)、円地文子『妖/花食い姥』(講談社文芸文庫)購入。 210.159.89.89 TV 152 989214549 覚書@黄金週間 ゴールデン・ウィークと言われても、毎度の混雑に嫌気がさしてここ数年はとくに遠出もしない。子供たちもようやく親との旅行をねだるような年齢は越したので、のんびりしたものである。
絵を描いたり本を読んだりちょこっと大工仕事をしたりTVを見たり気まぐれに料理をしたり、ただただ平穏に過ぎていく休日、ほんとうのところこういうのが一番好きなのだ。◇
5月4日 芸大美術館『よみがえる日本画展』
模写と修復。デジタルデータ化した『序の舞』のプリントアウトはなかなかの画質で驚く。現物と見比べるとブルー系の彩度がちょっと高いかなと思ったが、気になるほどではない。褪色を計算に入れてわざと彩度を上げている可能性もあるな。
日本画は洋画に比べてマチエールが平坦な分、デジタル化には向いているのかもしれない。ただし、模写や複製目的なら十分だが、修復ということになると、筆による描線の再現などはまだまだアナログ技術にはかなわないらしい。それでもデジタルとアナログを融合させることで修復技術は格段に進歩しているようだ。
人類の精華を次代に残すことにこれほどの努力が費やされている一方で、バブル期に買い求めた名画を自分の葬式に一緒に焼いてくれとのたまった某大昭和製紙の元?会長のような大馬鹿野郎も存在する。皮肉というか不条理というか、考えると脳味噌が渦を巻いて遠心分離してしまいそうな気分になる。やれやれ。◇
5月5日 NHK-BS『地球に好奇心〜ゴッホ死の真相』
連休中にみたTVでは一番面白かった番組。
天才の画業を狂気の産物とみなすのは、われら凡人の怠慢でありますな。あれほどの絵にはもちろん情念の手綱をとる理知的な画家の脳があったのに決まっている。
ということで、小林英樹『ゴッホの遺言 贋作に隠された自殺の真相』(情報センター出版局)を購入(予定)。◇
5月6日 スネークガール
妻と買い物に出かけたとき寄った本屋で、なつかしき、楳図かずおの『へび少女』の文庫版を買う。
「学校の怪談」なんぞが好きな娘に勧めると、えらく気を入れて読んでいる。そーっとうしろに回って「わっ」と声をかけると、ンギャ〜〜!!とこちらの鼓膜が破れるような悲鳴をあげて飛び上がった。
娘が読み終わったら、今度は息子が真剣な顔で読んでいる。今度はさすがに驚かすのはやめにした。
次は『ミイラ先生』の文庫版を探してこよう。けけけけ。 202.238.111.2 美 151 988707072 酉、翔ける 日比谷みゆき座でチキンランを観る(4/29)。
クレイアニメは、あまり複雑な顔にはできないせいか、どれも似たようなつるんとした顔になる。今回は登場するキャラクタのほとんどが「メンドリ」なのだからなおさらだ。そのためか、セルアニメに比べても、登場人?物に感情移入するのに時間がかかる。
しかし、それも前半養鶏場逃走失敗のくりかえしあたりまでで、中盤のチキンパイ製造機の中の逃走劇からは、インディ・ジョーンズばりのジェットコースタームービーとなって、クライマックスのスペクタクルまでしっかり乗せられてしまう。面白い。
このチキンパイ製造機の造形がすばらしい。禍々しく重々しく美しい。
そして、いささかクラシックなまでにきちんと伏線を張りまくった脚本が、さすがの職人技を思わせる。
一途で強気なヒロインと、流れ者で調子がよくもう一つ信用できないがにくめないヒーロー。お互い憎からず思いながらも喧嘩ばかりして・・という古典的なラブストーリーも王道だ(どちらもニワトリだけど)
ヒーローの正体がばれるシーンがセリフで説明せずいかにも映画的。ここだけで星(はつけていないが)一つ追加してもいいくらいだ。◇
こんなに面白いのに娘も息子もつきあってはくれない。ならばと留守番させといて、妻と新橋近くまで足をのばして中華料理を食べて帰る。君らは冷蔵庫の残り物でも始末してなさい。(ちゃっかり、台湾みやげにもらった金華豚ソーセージまで食べられてしまった、くっそー)◇
チキンランの前に流れた予告編の中では、やはりティム・バートンの『猿の惑星』が面白そう。7月の公開が楽しみだ。
しかし、郷ひろみの次の新曲は、ジャケット写真で獣人というか猿男のメイクをするのだね。スリラーの二番煎じのような気もするが、6月末頃の発売だというから、映画(猿の惑星)との相乗効果でも狙っているのだろうか。 202.238.111.2 映 150 988294228 達人二題TV東京のTVチャンピオン。言ってみれば究極のニッチ番組。ペーパークラフト作家やガーデニング屋さんやケーキ職人などの「ガチンコ」の戦いなんて、決して他の局では見られない。
しかしながら本日の『似顔絵王』は、同局の『だれでもピカソ』で定期的に『山藤章二の似顔絵塾』の特集がある分、ちょっとつらいものがある。どうみても山藤塾の方がレベルが上でしょう。番組内という時間的制約がある上、山藤塾はより多勢から選ばれた作品であるのだから、まあしかたがないところだろう。
それでも出場者の一人JEROさんの画力は目をみはるものがあったが運悪く決勝前で敗退したのは本当に残念だった。決勝でもっと絵が見たかったよ。
決勝のお題拝借、15分の時間制限ということだが、同じくらいの時間だった予選の有名人の即興似顔絵に比べて完成度が段違いにいい。これは事前(前日?)に題ぐらいは出場者に教えてますね。単に私の邪推ではなく、文房具王の裏話で似たような話があったことから推理したのであります。
◇
NHK『腕に覚えあり・かんな削り日本一』
タイトル通り、いかに鉋(かんな)で薄く材木を削るかを競う、大工さんの技能選手権だが、歴代一位はなんと薄さ「3ミクロン」。千分の三ミリ、ティッシュペーパーの十分の一、まさに電子顕微鏡の世界だ。究極の鉋から吐き出されるトイレットペーパーくらいの幅で長さの帯状の削りカスの美しさ。新聞紙の上に置くときれいに活字が透けて見える。
これだけの技能、業が活かされる場がどんどん減っているという。数奇屋大工の名人の方など、茶室造りのため茶道を究め陶芸を嗜む。誰のためでもない自分のために。
こういう技術を次世代に残すためにこそ税金を使ってくれよ。
◇
小泉内閣新閣僚のプロフィルの紹介に、なぜに血液型が必要なのだ?>ニュースステーション
◇
平賀英一郎『吸血鬼伝承』(中公新書)、小島貞二編『艶笑落語名作選』(ちくま文庫・定本艶笑落語2)、『監禁淫楽』(ちくま文庫・猟奇文学館1)、『人肉嗜食』(ちくま文庫・猟奇文学館2)購入。
61.198.197.191 TV 149 988191995 ペンギン村の村長選挙 ついにDr.マシリトが自民党総裁→日本国総理になりますね。
タイトルだけを並べると、なんだかやばい感じ。絶対犯罪はおかせない。
マシリトというのはもちろん『Dr.スランプ・アラレちゃん』の悪役キャラだけど、髪が黒いところをのぞいては小泉純一郎先生にそっくりだ。自衛隊や靖国神社が大好きなところなど、超兵器キャラメルマンを作って世界征服を狙っていたマシリトを髣髴とさせるところもある。
2ちゃんネタだが、同じく橋本龍太郎元総理は「うめぼし食べてスッパマン」に生き写しだし性格も似ているような気がする。亀井静香先生はちょっと苦しいがニコチャン大王のメガネの家来だ。麻生太郎先生はドラエモンのスネオ。アラレちゃんキャラでそろわなかったのはちょっと残念だが。
こういう「よく見りゃ似ている」ネタは大好きである。昔取引先を訪問して色々有意義な商談をしての帰り道、同行した後輩に「今の二人、ダンカンと八名信夫みたいだなあ」と言ったら「そんなこと考えてたんですか?」とたしなめられてしまった。ちゃんと仕事もしながらだから、いいじゃないか。
山田邦子と田上よしえとか、顔が似ていると声も似ている場合も多い。
私が似ていると言われたのは、竹中直人くらいだなあ。竹中直人は好きな俳優さんだが、嘘でもいいからもう少し二枚目を挙げてほしかった。それに、そんなに似てないと思うよ。もう少し私の方が髪もあるぜ<悪あがき 202.238.111.2 漫 148 987858102 週末の晩酌 毎日晩酌をするわけではないが、夕食の献立によって呑みたい気にされるときは多々ある。こういうときに呑む酒が一番うまい。
ときには夕食が終わったあとで呑みたくなることもある。息子と娘が怒濤のように食べ終わり自室に引き上げて妻と二人食卓に取り残されたときなど、やっと人間らしい時間がはじまるような気がして、一杯呑もうかという気になる。
当然、肴になるようなおかずはきれいさっぱりなくなっているのだが、まあ、なんでもいいのだ。ねぎ味噌やにんにく味噌、浅漬けのキムチなんてとこをちびちび嘗めながら呑むのもおつなものである。
今日はTV東京お得意の旨い物番組『全国味自慢のおまかせ料理』なんぞを見ながらだったので、もう少しこってりしたものが食べたくなった。(『大食い選手権』だとさっぱりした物にしたくなる)
こういうときは玉子焼きあたりがいい。玉子2個に瓶詰めのなめ茸の醤油漬けを小匙二杯ほどいれてかき混ぜる。軽く油をひいたフライパンでさっと焼けば出来上がり。二人でつつきながら一合ほど呑むのにちょうどいい。
ちょうど呑みおわったところで息子が『ターミネーター』を見に現れる。
私も一緒にTVを横目で見ながら絵を描こうか、昼間買ってきたCD-R/RWのインストールをしようか。やはり『模倣犯』の続きを読むとしよう。 210.159.89.140 食 147 987641268 大宰相の長男と・・・・孫? 自民党総裁選候補の麻生太郎という人物。母方の祖父が吉田茂元首相ということだから、吉田健一の甥ということになるのか。父方のセメント屋さんの血が濃いのか、偉大な祖父や大文学者の叔父の面影はあまり見受けられませんな。余計なお世話でしょうが。
大宰相吉田茂はリアルタイムでは知らないが、英文学者吉田健一の愛読暦は長い。子供の頃、店頭で見た『謎の怪物・謎の動物』という本を、恐竜の挿絵に魅せられて親に買ってもらったのがきっかけだ。吉田健一には余技のような本だったのだろうが、子供心にもいかにも大人の文章だなと思った記憶がある。独特な文体は毛嫌いする向きもあるようだが、子供だったので自然に読めてしまい、大人になって改めて吉田健一の著書を読んだときに「あ、謎の怪物の文章だ」と思いだして、なつかしい気持ちになったものだ。
くだんの「謎の怪物・・・・」は英国好きの著者らしいネス湖の怪物を中心としたエッセイで、一時『私の古生物誌』という題名でちくま文庫に入ったが今は絶版かもしれない。
『私の食物誌』(中公文庫)も折りあるごとに読み返している、絶品の食べること呑むことのエッセイで、もう手ずれでぼろぼろだ。
社会人になって最初の勤務先が神田小川町で、吉田健一ひいきのビアレストラン「ランチョン」のそばだったときは嬉しかったなあ。メンチカツを肴にジョッキを随分空けたものです。
小説も素敵なのがたくさんあるけど『金沢・酒宴』(講談社文芸文庫)なんてとこがいい。灘の醸造元の巨大な二つの酒樽が会話する話です。よさそうでしょ。
あれ、最初はだれか別の人の話をしてたんだった。
・・・・まあいいや、忘れるくらいだからたいした話題ではなかったんだろう。文士の吉田健一を思い出させてくれただけでよしとしましょう。最近は吉田健一というと津軽三味線の吉田兄弟を連想しがちだったし。◇
話題の宮部みゆき『模倣犯』を読み始めたが、いや、とんでもなく面白い。私的本年ベストワンの予感。
それにしても分厚く重い。ハードカバー、700頁超、しかも二段組、しかも、まだ上巻。
重量750g(普通の文庫本は200g位)、読み終わるまでに腱鞘炎になってしまいそうだ。◇
『なぜ人を殺してはいけないのか』読了。→レビュー。
202.238.111.2 時 145 986889108 ドラゴンベースボール メッツ新庄、初ホームラン!
なんとも派手なニューヨークデビュー、さすが宇宙人だ。
シンジョーカカロット(悟空):
「おら、阪神地球育ちのサイヤ人だから、つぇーやつとやるとワクワクしちまうんだ みんな、おらに気をわけてくれな!」
イチローベジータ:
「なぜ、エリート選手戦士のおれをさしおいて、あんな万年最下位軍団出身の下級戦士が注目されるんだ?!ゆるせん、ゆるせんぞぉーー!!」
ササキピッコロ大魔神:
「おやおや」
魔人伊良ブゥ:
「フン!ペッペッ」
ノモ11号:
「・・・・・・・・」
カカロット
「おらと結婚してよかったっぺ?」
志保チチ
「んだ」
※2chのネタを一部アレンジ◇
真保裕一『取引』(講談社文庫)読了。
グレッグ・イーガン『宇宙消失』(山岸真訳/創元SF文庫)、小浜逸郎『なぜ人を殺してはいけないのか』購入。
『なぜ人を殺してはいけないのか』の著者は『中年男に恋はできるか』なんてのも出してる。こちらは買わない(笑) 202.238.111.2 漫 144 986741346 横尾忠則の授業 日本の各界の第一人者が出身小学校で後輩たちに授業を行う番組、NHKの『課外授業ようこそ先輩』。
本日の「先輩」は画家横尾忠則。
さすがに横尾忠則、余計な自慢話やうんちくは一切語らず、二日間ただひたすら絵を描かせる。
一日目は「模写」。
冒頭に絵にはいかに「個性」が大事か、という話をしながら、授業の課題は人の真似をする「模写」である。
生徒それぞれが好きな絵の載ってる画集などを持ってきて模写をする。マチスやゴッホや巨匠たちの絵を小学生が真似をするのだが、横尾先生は真剣だ。「水は横に流れるものだから筆は横に使った方が感じが出る」「ここはよく見るとグリーンが入ってるよ」などと細かくアドバイスしていく。早々に終わったと言う子には「全然終わってないよ」とダメだし。「ここはくっきり別れてないでもっと溶け込んでるよ」と安易な妥協はしない、させない。
二日目は「記憶」。
宿題で完成させてきた模写作品は見ないで、今度は記憶だけで、もう一度同じ絵を描く。少々のアレンジはやりたいと思ったら自由にやってかまわない。
みんな思ったより正確な記憶でしっかりした絵を描く。このへんはさすがに小学生だ。頭が柔らかくて記憶力がしっかりしているのだろう。うらやましい限りだ。
完成品をならべて横尾忠則は講評する。というより絶賛する。「見て描いたものより、もっと良くなってるよ。タッチものびがあって描き慣れた感じがするようになってる」「ゴッホがこれを見たらきっと驚くよ」
結果として模写をすることによって「個性」を発揮できたことになった。さすがに横尾忠則はすごい。美術教育の方法としては常識なのかもしれない。しかし実践は理論通りになるとは限らない。小学生たちの熱心な様子、没頭の仕方は、横尾先生のオーラ=影響力あってこそであることは間違いない。
ただ「個性を発揮しろ」というだけでは、天才でない限り個性なんて出せるものではない。模写をしたことによる技術のうらづけが自信となりゆとりとなって、のびのびと個性を出せたのだろう。ほんとうの「ゆとり教育」というのはこういうのを言うのだよね。 202.238.111.2 美 143 986547656 大予言その一 しばらく、書くのをさぼるとてきめんにネタが出てこない。
しかたがないので昨日TVをぼーっと見ていたらひらめいた「予言」でも書いておこう。ナンシー関ライクなネタですみません。
40年後、水戸黄門を演じているのは、えなりかずきだ。
たぶん八代目くらい。◇
BS11チャンネルで『ロストワールド』がはじまった。結構期待してたんだけどなあ。キャスト、脚本、特撮、美女度、全てに中途半端でがっかり。罪滅ぼしにハリーハウゼンのダイナメーション映画のシリーズ放映でもしてくれい>NHK◇
『人名の世界地図』読了。→レビュー。
202.238.111.2 TV 141 985774765 鼻ぐずつかせながら地図を開く 都心も早や桜は満開、歩くには気持ちがいい気候になってきたが、やや鼻がぐずつく。それほどひどい花粉症ではないのだが、慢性鼻炎気味なので日によっては脳が溶け出したかと思うくらい鼻水が出る(ほんとに溶け出しているのかもしれない)。
薬は好きではないが、医者で出してもらったのをおそるおそる服用してみると、これがよく効く。1回飲むと二日くらいは鼻の調子がよい。よく寝られる分、昼間も眠くなるのが副作用といえば副作用。
もう一つ聞いた話ではこの手の薬は粘膜の充血を抑えるので、性機能まで抑えてしまう副作用もあるらしい。だけど鼻とでは随分位置が離れているではないか。そんなとこまで効かんでもよろしい。
そんなこんなで期末も重なり更新は滞り気味。読了本も結構あるので(『人名の世界地図』『艶笑小咄傑作選』『艶書』『道具づくし』)順次レビューくらいはなんとか書きたい。(と自分に向かって言う)◇
『世界史年表・地図』(吉川弘文館)を購入。
B5横サイズの見開きの横軸に地域、縦軸に年代を取った年表。他に各年代の大雑把な世界地図が載っている。
地域は当然年代によって少しずつ変るが、ヨーロッパを西・中央・東に分けたくらいの区分で分けられている。日本は一番右列だが、最初の頃はほとんど真っ白だ。
前からこんな年表がほしかったのである。はなから世界史が苦手な上、色々な国の物語を読んだりしても、同じ頃日本はどの時代だったのか皆目わからない。たとえばサド侯爵が監獄に入っていたのは日本だと何時代?たぶん江戸時代だろうとは思うがそれ以上は見当つかない。
だいたい隣国中国でさえ、「西遊記」の時代、「水滸伝」の時代、日本はどんな時代だったか全然わからない。戦国の剣豪が出てくるTV時代劇で弁髪の怪剣士と戦うシーンがあったから、日本の戦国時代は中国だと「明(みん)」か、というようないい加減な認識しかないのだ。
知らなくてもどうということはないといえばそうなのだが、何年か前、山田風太郎のある短編を読んで考えを改めた。名探偵ホームズが活躍する時代のロンドンを舞台に、ホームズが謎の東洋人に出遭うのだが、この黄色い滞在客の正体が(日本人なら)誰もが知っている日本人なのだ。この人の履歴からして、実際にホームズに出会っても不思議はない(もちろんホームズは架空の人物だが)のだが、この二人が地球上の同一時間に存在していたことに気が付いた山田風太郎の慧眼には恐れ入る。
最近ではこの手の「発見」が売りの小説も結構あるようだが、風太郎のこの短編をもって嚆矢とすることに間違いあるまい。
外国の小説を読んだり映画を観たりしたあと、この年表を開けば、なにか面白い発見がありそうではないか。
あってほしい。◇
『黒い蜘蛛』読了。→レビュー。
『蛇女の伝説』読了。→レビュー。
ロバート・R・マキャモン『狼の時』上下(嶋田洋一訳/角川ホラー文庫)購入。
202.238.111.2 身 138 984735855 デフレ/スーパーロボット『先行者』 株価低迷。デフレ。日本が壊滅するような大騒ぎである。ギャオスの大群でも飛来したのか?
私だって他人事のようなコメントを発してのんびりしてられるような立場ではないのはわかっている。しかし冷静に考えれば、ここまで歪みが出てしまった日本経済日本社会が、バランスを支えきれなくなって自重でめきめきと形を変え始めた、というところだろう。
新しいバランスに落ち着くところまで株価低下もデフレも収まるまい。落ち着き先がみんなの望むような状態かは保証の限りではないが。
世論調査では不良債権処理などの抜本的対策を多くの人が望んでいる。しかし自分たちの年収が減るような痛みをともなう変革は、半数以上が勘弁してほしいと思っているらしい。そんな都合よくいくはずないでしょう。
私は翻訳物、特に現代の欧米を舞台にした小説を読む時は、出てくる人物の年収や物の値段などを1ドル200円で換算して読むことにしている。1ドル100円では生活感覚がまるでしっくりこないのだ。年収7万ドルくらいのサラリーマンが別荘を普通に持って、老後はフロリダでのんびり暮らしたりしているのだ。つまり日本の実体経済は為替レート換算の半分くらいが順当なところだと思う。
このままの為替レートなら、日本人全体の年収が半分になったくらいで、バランスが取れると思うのだが、どうだろうか。
まあ、私などはあきらかにその程度が身分相応というところだろう。◇
しけっぽい話題ばかりなのも何なので、「ロボット」関係を漁っていたとき見つけた楽しいサイトを紹介しておこう。中国のスーパーロボット『先行者』の研究サイトだ。
→最先端ロボット技術
これでニヤッとした方は、続きはこちらだ。驚異のハイパーテクノロジーに瞠目していただこう。
→奴はパーフェクトだった
このサイトが結構有名になったのは、自分をストーカーと勘違いした襲撃者との遭遇を綴った日記かららしい。
→ヒットマン事件簿
こんな世の中、いつなんどき自分もストーカーにつきまとわれたり、ストーカーに間違われたりするかもしれない。そんな場合、あわてないで事態に対処できる心構えの参考にはなる。
なんと言ってもこれを読んで、私が深く感じた教訓は
警察に知り合いは作っておくべきということだ。
外務省の機密費といい、わが国はまさしく「煩悩を中心とした官の国」であるなあ。◇
『奇憶』読了。→レビュー。
『殺人交叉点』読了。→レビュー。
松平哲郎『チンパンジーの心』(岩波現代文庫)、21世紀研究会編『人名の世界地図』(文春新書)、南條竹則『蛇女の伝説』(平凡社新書)、小島貞二編『艶笑小咄傑作選』(ちくま文庫)購入。
210.159.89.87 網 135 984194405 黒い家/黒い船 ビデオで『黒い家』(森田芳光監督)を観る。
独特のリズムでカットを積み上げる森田節は心地よいが、特筆すべきはやはり主演女優でしょう。
大竹しのぶにあの凶悪女は無理ではないかと思っていたが、さすがは稀代の演技派。名女優。『ハンニバル』のレクター博士ばりの怪物女を熱演。いやあ、怖かったです。渡辺えり子の方が適任じゃないか、なんてしゃべくっていた不明を恥じる。
原作も傑作ホラーだが、原作にはない小道具としてボウリングの扱いがうまい。殺人犯の女を偏執的なボウリングマニアという設定にしてあり、大竹しのぶが見事な投球を見せる。エンドクレジットに「ボウリング指導:中山律子」と出ていたから、猛特訓したんだろうな。
決して大柄ではない大竹しのぶが不意をつくとはいえ屈強な男を殺せる設定に、あの一心不乱なボウリングシーンが説得力を与えている。こういうのを演出力というんだな、と納得。◇
えひめ丸事件で前艦長が遺族に謝罪した。
ワシントンポストの馬鹿コラムニストと違って、日本人相手では先に謝罪することは決して不利にはならないと助言する知恵者がいたのだろう。それでも、たとえ戦略とはいえ、やはり艦長は本当に謝罪したかったのではないだろうか。
敵意のない相手を自分の過失または責任で死においやった場合、謝罪したいと思うかどうか、それは個々人の違いであって国民性や習慣の問題とは思えない。
まず自分の非を認めてはいけないと教えられる社会とは、ちょっと不幸な社会のように思うけど、別にこれは米国のことだけではないな。
それにしてもワドル前艦長のジル夫人は美人ですなあ。キャンディス・バーゲンかと思ってしまった。
あういう場(査問委員会の事情聴取)に夫のつきそいで妻が出向くのは普通なのだろうか。「美人ゆえの効果」などの狙いがあるのだろうか。 210.159.89.98 映 134 984104603 ゴジラも来る 『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』。
ここのところ低調が続いていた東宝のゴジラシリーズも、次作はなにやら気合が入っていそうだ。
『ガメラ』シリーズの金子修介を監督に迎えて、今回は期待できそうな感じではある。
金子監督の抱負は今回のゴジラは完全な悪役ヒーローです。とのことだ。わかっているではないか。
悪役に共感してもらうのは難しいことですが、いかに強く、向かってくる敵をバッタバッタとなぎ倒すかというところに重点を置いてストーリーを構成しました。
『これぞ怪獣映画』という作品になることでしょう。
しかし、このタイトルはあんまりではないかい。
大人も少しは恥ずかしなく観にいける字面にしてもらいたいなあ。
私の案?
『ゴジラ対スリーモンスターズ』なんてどうでしょう。
「スリモン」って四文字略語にもなりやすいし。
原題の方がまだまし?
自分でもそう思うけど、他には『踊る大怪獣戦』だの『ゴジラ・マイ・ラブ』だの、碌なのを思いつかんのですよ。 61.211.4.25 映 133 983850024 ジャイアンが来る 私とオフで会ったりした方はごぞんじだと思うが、私は、口が悪い。
決して悪意があるわけではないのだが(ほんとですって)、うけ狙いが暴走してしまうことが時としてあるようだ。
人形が怖くてたまらんという人がいる(なのに人形作ってる人が参加している)オフで、これでもかというくらい人形の話題をふったりしてしまうのだ。深く反省しています。
(人形嫌いの人以外みんな笑い転げていたのに、私一人がいじめていた話になるのはもう一つ釈然としないのだが・・・・)
しかし、また性懲りもなく、やってしまった。やや旧聞に属する話なのだが・・・・
私の会社の女性が海外旅行(ハワイ)に行った写真を見せてくれた。一緒に行った女友達とゴルフをしているところが写っている。写真の友達はスタイルが良くなかなか魅力的な女性だが、わが長身の同僚(168cm位ある)がやけに小さく見える。並んで歩いているところなど10cm以上差がありそうだ。
同僚女史によれば180cm弱位らしい。
その日は彼女のみやげ話を色々聞かされたわけだが、当然友人の長身女性も話に出てくる。面識のない人の実名を聞いてもピンとこないので、私は勝手に「ジャイアン」と名付けて「それでジャイアンも一緒にダイビングしたの?」てな感じで話していた。
同僚女性は「やあだ」と言いながらも笑いながら話していた。自分が言われなければそりゃあ楽しいですよね。
その日はそれで済んで、そんな話は忘れていたのだが、その週末に、同僚女性はかの長身の友人と会ったらしい。なんと「会社に悪いオヤジがいてあなたのことを『ジャイアン』て呼ぶのよ」と話したという。おいおい、自分だって笑ってたじゃないかよ!
「彼女、『その人に会いたいわね(怒)』って言ってたよ〜、ヒヒ」
・・・・ヒヒじゃないって。冗談じゃないよ、勘弁してくれ。
会いにくるのはともかく、ピンポ〜ンって鳴ってドアを開けたとき、目の高さにヒザ頭があったら怖いじゃないか。(こういうことを言うのでさらに深く墓穴を掘ってしまう)
「ジャイアンに踏み潰される〜♪ああ怖い怖い〜♪」などと軽口を叩いて、また、けろりと忘れ去っていたのだが、先週末その同僚の女性あてにかかってきた電話を取ってしまったのだ。
「***と申します。**さんをお願いします」
「(ジャイアンだ!)・・・・はい、しょ、少々、お待ちください」
いや、まじ、背中に汗流れました。
「悪口オヤジ」だとは勘づかれないように祈りながら、同僚女性に電話を廻してホッとしたのだが・・・・
ジャイアンに答えている電話の会話が聞こえてくる。
「・・・・そうそう、今出たのがこの前話した・・・・」
こらこらこら、私用電話は早く切りなさいっ。 202.238.111.2 雑 132 983781016紙魚 の日常 たしかに本は捨てられないなあ。(
なにか自分の頭の延長のような気がするのだ。もちろん内容が頭に入っているというわけではなく、入っていないからこその延長なのだが。
昨日は、以前買ったスライド式の本棚が危険な状態になってきたので、半日、本の整理についやすことになってしまった。収納力を増やすために棚板を自作したりして、隙間なくびっしり詰め込んだのがいけなかったらしい。本の重みで、側面の板が外側にたわみ真中の段当りの棚板が外れそうになってきてしまったのだ。やはり安物買いはいけません。
居間の壁面の棚ももちろんいっぱいだが、天井の高さまでの棚を追加で特注したので、まだ余裕がある。そちらに移してたわんだ本棚に余裕を作ったのだが、どこになにがあるかを把握しきれていないのが、非常に精神衛生上よろしくない。それに天井の棚は位置が高いので、ただ詰め込むと奥の本を簡単に取り出せなくなる。すぐ手に取れるところに蔵書する価値があるので、ただしまっておくだけだったら、捨てるか古本屋に売った方がよほどいい。稀購本のたぐいもほとんどないし。
圧倒的に多いのは文庫版と新書版だ。ティッシュペーパーの空き箱はぴったり文庫・新書が収まるので、これを少し補強して収納に使うことにする。分野別作家別に分けて入れ、箱の側面にサインペンで簡単にコメントを書いてから棚に入れることにした。これで比較的収納・検索・取り出しが楽になった(ように思える)。
心配なのは地震が来たとき。棚は天井まであるので家が壊れなければ倒れないだろうが、本入りティッシュペーパー空箱爆弾が飛び出して私の頭を直撃する確率は非常に高い。
トイレには、座ったときちょろっと読めるようなジョーク集やいしいひさいちなどのまんがが置いてある。トイレの棚ではトイレットペーパーと本が領土争いを繰り広げていることだろう。トイレの本を他の部屋に持っていくと、なんとなく消臭剤くさいのがたまにキズである。
ベッド脇にも、文庫入りティッシュペーパー空箱が二つ。飽きっぽいので一つの本をべったり読むということはない。外出時、時間のある休日、就寝前、と並列で別の本を読み進めていることが多い。同じ傾向の本を二冊以上続けて読むことも少ない。翻訳もののSFを読んだら、次は時代もの、次はノンフィクションという感じである。
いつか古本屋にどーんと売っ払ったら気持ちいいと思うのだが、本などほとんど読まなかった子供たちも、最近少しずつ読むようになってきたので未練が残るのだ。
貧乏性。◇
『人獣怪婚』読了。→レビュー。
『バカのための読書術』読了。→レビュー。
山本周五郎『艶書』(新潮文庫)、ゴットヘルフ『黒い蜘蛛』(山崎章甫訳/岩波文庫)、小林泰三『奇憶』(祥伝社文庫)、中勘助他『人獣怪婚』(ちくま文庫・猟奇文学館2)購入。
202.238.111.2 本 129 983096779 ギャラクシークエスト 渋谷シネクイント『ギャラクシークエスト』
これは評判に違わぬ傑作。
スタートレックのパロディのような(架空の)TVシリーズの人気者たちが本物の宇宙戦争に巻き込まれるという話なので、パロディとして紹介されているようだが、むしろ「本格的SF映画」と言った方がいい。
基本的にはコメディで、場内は爆笑の渦。私も、半信半疑でついて来た妻も、久しぶりに映画を見て腹が痛くなるほど笑った。コメディなのに嬉しいのはSFXに手を抜いていないこと。さすがILM。宇宙船もクリーチャーも宇宙空間も見事で、インデペンデンスデイやMIBのような駄作とは一味も二味も違う。
なにより映画にとって一番大事な脚本が良くできている。無駄な描写が全くないし(これは監督の手腕ですな)、伏線の利き方が秀逸。あの通信機の取り違えを、ああ活かすとは思わなかった。
主役(カーク船長?)はトイ・ストーリーのバズの声をあてたティム・アレン。桂三木助に似ている。
異星人(Mr.スポック?)役はダイ・ハードのテロリスト、アラン・リックマン。いかにもシェイクスピア役者。
紅一点はシガニー・"リプリー"・ウイバー。リプリーとはちょっと違う「金髪グラマー」役。うーん、なんていい女なんだろう。
ああ、きれいどころはもう一人いた。アシタマニア〜ナの浜田マリに似た異星人の女の子。ただし正体は触手いっぱいで章魚そっくり。正体を見てもめげないクエストの技術担当のおじさんとHしてしまう。
こんなに面白いのに、なぜ一館でしかやっていないのだろう。そんなにマニア向けではないのだがね。渋谷は人が多くて苦手なのだ。あと、プログラム(パンフレット)が小さいくせに変な包装で千円は高過ぎ。
Never give up! Never surrender!◇
『フレームシフト』読了。→レビュー。
隆慶一郎『一夢庵風流記』(新潮文庫)読了。
フレッド・カサック『殺人交叉点』(創元推理文庫)購入。
202.238.111.2 映 128 982480273 東京創元社東京創元社はいい版元である。元のとれないこうした本をたくさん出している。「ポオ全集」も「リラダン全集」も売れはしまいが、いまの文化の中になくてはならないものである。いわれなき贔屓以外のなにものでもないが、私は同じ本が東京創元社と他の版元で出ていたら、まず創元版を買う。私にとってアシモフの「帝国シリーズ」は『ファウンデーション』ではなく『銀河帝国の興亡』なのだ。
(久世光彦「朝日新聞」読書欄 本日付)
このへんはマイクロソフトではなくアップル贔屓という感覚に似通っているかもしれない。(こちらの方面では私はWinユーザーだが。)
創元がSFを出しはじめたときからのつきあいで、まずはミステリーファンにSFを紹介するのにフレドリック・ブラウンという選択も好ましかった。
E・R・バロウズの火星シリーズ、E・E・スミスのレンズマンシリーズ、前衛的作品を紹介してくれた年間SF傑作選。何と言ってもJ・G・バラードのめくるめくインナースペース。ホーガンをはじめて読んだのも創元だった。
誰が書いていたのか知らないが創元文庫の目録の三行ほどの紹介文が名文で、まだ見ぬ名作の数々を読んだような気にさせてくれたものだった。今はもう手元にないが、得べくんば、当時の目録を手にいれてもう一度読んでみたい。
しかし「ポオ全集」は売れないのかな。あの宝石箱のような傑作群を文庫四冊で読めるなんて、日本も捨てたもんじゃないと思うけどなあ。絶対お得です。◇
昨日の世界ライト級戦。
畑山は前回の快勝のあと危惧したとおり、苦戦の末の負けに等しいドローだった。辛うじて防衛したが、次はランキング一位との指名試合、正念場だ。
できれば、今回の挑戦者リック吉村と前回畑山にKOされた坂本博之との試合を組んでもらいたいものだ。もちろん畑山の指名試合防衛が前提だが、勝者には畑山への再挑戦権を与える。そうすればリックでも坂本でも勝者のボクサーとしての商品価値は再生するだろう。だれかこのくらいのマッチメーキングはしてくれないかな。◇
『本の運命』読了。→レビュー。
61.211.4.25 本 127 982158934 森 森首相退陣必至の状況になってきたが、問題はこういう「品性」の人間をトップにいただいて平気でいられるようになってしまった、われらの感性です。
ゴルフと宴会大好き首相の「あれは危機管理の対象ではなくて(単なる)事故だろう」という言葉に、事故に会われた人々やその家族は怒り心頭だと思うが、その方々の何割かは自民党や公明党や保守党に投票して間接的に森総理を選んだのだろうと思うと、なんだかやるせない。 210.159.89.154 時 125 981685255 ザ・ロンゲスト・タイトル世界一長いタイトルの映画はなにか、ご存知だろうか。
それは『マルキド・サドの演出のもとに シャラントン精神病院患者によって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺』原題『The Persecution and Assassination of Jean-Paul Marat as Performed by the Inmates of the Asylum of Charenton Under the Direction of the Marquis de Sade』、ピーター・ブルック監督が1966年に撮ったイギリス映画 である。
フランスのシャラントン精神病院に収監されていたサド侯爵が、当時、精神病治療の一環として採用されていた「心理ドラマ」の演出をする。檻に入れられた患者たちが看守の検閲により再三中断させられながら演じる(フランス革命で活躍し後に暗殺された)マラーのドラマは、異様な緊張感と奇妙な力に溢れていた。
では二番目に長いタイトルは、と言うと『博士の異常な愛情/又は私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』原題『Dr.Strangelove/or:how I learned to stop worrying and love the bomb』。
監督・脚本はあのスタンリー・キューブリック、1964年の英米合作作品である。ジョ−ジ・C・スコットなどの名優がキャスティングされているが、なんといってもDr.Strangeloveを演じたピーター・セラーズの怪演が凄い。アメリカ映画協会(AFI)が選んだ「愉快な米映画ベスト百」でも三位に選ばれている。
もっとも、このベスト、一位が『お熱いのがお好き』で二位が『トッツィー』というのが、もう一つだよなあ。私だったら『毒薬と老嬢』と『俺たちは天使じゃない』(デ・ニーロのリメイクではなく、ボガードのオリジナルの方ね)は外せない。
昔々、この最長タイトル映画を池袋文芸座の2本立てで同時に観た。内容的にもスタッフ・キャストにも共通点はないのだから、タイトル長ツートップというだけでカップリングしたのに違いない。最近、こんな遊び心のある映画館があるだろうか。いや、文芸座はちゃんと復活して健在だけどね。
なぜ、唐突にこんな話題を書いたかというと、シャラントン精神病院が舞台の『侯爵サド』を読み終わったところだからである。
◇
二番目に長いタイトルの私の下手っぴなパロディ。
恐竜への過剰な愛情/または私は如何にしてはみだしを心配するのを止めマスクを使うようになったか◇
『侯爵サド』読了。→レビュー。
『歴史if物語』読了。→レビュー。
別役実『道具づくし』(早川NF文庫)、梅田功『悪戦苦闘ED日記』(宝島社新書)購入。
202.238.111.2 映 123 981451405 猫を殺すと七生たたる 動物愛護法違反(動物虐待)猫を洋弓銃で殺した銀行員を逮捕
知らない間に平成版の「生類憐れみの令」みたいな法律ができていたんだね。
「生類憐れみの令」は馬鹿将軍やその馬鹿母の「お犬様かわいや」な発想から生まれた天下の悪法ということになっているが、戦国の遺風を残した殺伐した人心を太平の世にふさわしい穏やかなものにする、という側面もあったらしい。けだものでさえ殺生まかりならんのだから、ましてや人殺しなど、というわけだ。農民が農作業の道具である牛馬を殺して食べることを禁止する意味合いもあったのかもしれない。
今回の事件、まるで殺人事件のような扱いだが、昔は自宅によその猫が来たらすぐぶち殺すこわ〜いオヤジは結構いた。都市伝説のたぐいかもしれないが「犬殺し」「猫殺し」も街を徘徊していた。「犬を放しとくと犬殺しに連れていかれちゃうよ」と良く言われたものだし、連れていかれたらそれは運命と思って悲しくともあきらめなくてはいけなかったのだ。
私が隣人だったら、猫撃ち銀行員より「被害者」の猫放し飼い飼い主の方が、はっきり言って迷惑である。
私自身は虫や蜘蛛も殺すのはいやだし(蚊とゴキブリは例外)、フンに迷惑しても猫や犬に罪はないと思う。ましてボウガンで狙い撃ちするメンタリティには共感しようもない。
しかし、マスコミやネット上で「かわいい生き物を殺すなんて、なんという残酷な」的な意見を見聞きすると、殺されたのが猫でなくネズミだったらどうなのだろう、とどうしても考えてしまう。猫は他人の所有だったというのは違いにはならない。動物愛護法はそういう法律ではないだろう。ネズミは害獣だと言うなら、自分の庭に入り込んだのが大型犬だったらどうだろう。家に幼い子供がいたら・・・・
そう考えると「虐待」と「生活防衛の権利」の境界線はかなり難しそうだ。
私は世間に野良猫がいようと野良犬がいようとかまわないと思う。それが自然だ。ただし、彼らが庭に糞をしたら石ぐらい投げる自由は欲しいものだ。彼らが幼い子供に怪我させる可能性があったら棒で殴るかもしれない。その犬や猫は死ぬかもしれないが躊躇はしないだろう。
しかし、自分や子供が余計な殺生をするのは許さない。相手が「かわいくない」蛇や蛙や虫であってもだ。許さないのは「動物愛護法」があるからでも動物たちが「かわいい」からでもないのだ。
そして人間は人間以外の動物を殺す自由と権利があることも忘れてほしくない。「純真な」牛や豚の眉間を叩き割ったり「かわいい」鶏の首を絞める仕事を毎日している人がいるから、子供たちは大好きな牛丼やステーキを食べられるというものだ。
それと「生命の大切さ」や「環境保護」は別の問題だ。むしろ人間の命が他の動物の命で養われてることをちゃんと認めてこそ「生命の尊厳」や「地球環境の大切さ」がわかるというものではないだろうか。
10年前まで住んでいた家には、青大将と巨大なひき蛙がいた。飼っていたわけではなく、いつのまにやら住みついていた。本当に23区内かというような話だが事実である。青大将は普段は物置にいたが、天井裏のネズミを食べていたに違いない。ひき蛙は縁の下に住み雨が降ると外に出てきた。たまにしか出会わないが、会うとお互い「お、まだ生きていたか」てなもんである。今回の事件となんの関係もないといえばないが、なんとなく想いだしてしまった。
その家も再開発で今はもうあとかたもない。 202.238.111.2 獣 122 981384676 番組モニター 妻に「モニタリングによるテレビ番組実態調査」なる用紙が、子供の学校のPTAから送られてきた。日本PTA協議会が文部科学省から委託を受けておこなっているそうだ。
モニタの対象になっている番組は、まあバラエティ番組が並んでいるわけだが、うちが指定されてきたのは「笑う犬の冒険」。日曜夜8時のウンナンのコント主体の番組だそうな。
おいおい、その時間は『新日曜美術館』で織作峰子さんのご尊顔を拝見することに決めているんだぜ、ということで「笑う・・」の方を録画しておいて私もモニタにお付き合いしてみた。
調査表の項目は「過激な暴力」「過剰な性行為」「いじめの肯定」「生命を軽んじる」「勤労を軽んじる」などの「描写があったか」という設問がならんでいる。
「ギャグがすべってる」「内輪うけばかり」「脚本が最低」などの項目がないと書きようがないじゃないか。
たとえ、いじめっ子がヒーローで喧嘩にあけくれ彼女とHしまくり真面目に働く家族を馬鹿にして最後は血まみれで死んでいく番組だって、こんなぬるい、くそ面白くもない番組よりはいいだろう。あんな寒い学芸会が、仮にもプロの芸人の出し物なのだろうか。俗悪番組の代表のように言われたドリフだって、俗悪には違いないがコントは面白かった。昔はよかったという話が聞きたくないなら、NHK深夜の「お笑いオンエアバトル」でもいい。あちらの若手芸人たちの方がずっと真摯なネタを見せてくれる。
しかしどんなにくだらない番組でも文部科学省という「おかみ」が文句をつけちゃあいけないな。子供に見せたくないなら、親が自分で判断して自分で見せなければいいことだ。
ああくだらないくだらない。◇
真中瞳ちゃんがTシャツを脱ぐタイヤのCMはどきりとしますなあ。写真集は出さないのだろうか。久米宏さんなら30冊ぐらい買いそうではないか。
◇
『あやし〜怪〜』読了。→レビュー。
『祈りの海』読了。→レビュー。
210.159.89.108 TV 119 980477824 アレフ・ロマンポルノ・ゴルゴ オウム真理教(アレフ)の上祐史浩幹部が東京都世田谷区南烏山のマンションに転居した。ここには教団信者二十数人も入居している。
今までの転居先と違うのは、転居してきたらオウム信者だった、というのではなくマンションの所有者自らがオウムと連絡をとって転居を促したらしい。しかも所有者自身は信者ではないという。
いい悪いではなく、この大家さんとその考えには興味がわく。情報もないので、近所との折り合いなど歯牙にもかけない、よく言えば独立独歩、悪く言えば変わり者で狷介な頑固親父を想像してしまうが、どうだろうか。
昨夜のトゥナイト2、山本晋也カントクのコーナーは「にっかつロマンポルノの女神たちPart7」。タカラジェンヌ出身のロマンポルノ女優朝比奈順子さんの登場だった。若い時はスクリーンやグラビアにお世話になりました。
強力に官能的な作品もあったけど、どちらかというとコメディが多かった印象。私はどうもコメディエンヌ系に弱いらしい。「ダーマ」や「アナ・バナナ」のジェナ・エルフマン、「ヤング・フランケンシュタイン」のテリー・ガーなんてところが私の女神たち。シャーリー・マクレーンやゴールディ・ホーンもいい。
順子お姉さまは多少ふっくらしたがまだまだお美しい。声も品のいいしゃべり方も変わらず、懐かしかったですねえ。ロマンポルノの女優さん、有為変転激しい中で(行方不明なんて方もいるし)現役の女優らしく(というと変だが)立派なお住まいで優雅な暮らしが垣間見え、なんとなくほっとしたというのは余計なお世話だが、私の勝手なファン心理というものであります。◇
外務省だか内閣官房だかの機密費流用事件。
機密費というんだから、国賓の夜の接待にAV女優を雇ったり(ブルネイ国王がらみでそんな話がありましたな)、汚職事件でキーになる人間を自殺に見せかけて殺すのにゴルゴ13みたいなプロに依頼したり、007でボンドが使うような変な武器を作ったり、なんてのに使うのが本来だろう。←偏見?
しかし、実態は内部の飲み食いなんてのの処理が多かったんでしょうな。だから個人の流用も表に出にくかったに決まっている。
ロマンのかけらもないことであるな。◇
『ファニー・ヒル』読了。→レビュー。
202.238.111.2 時 117 980128589 好敵手 大相撲初場所千秋楽は、貴乃花が武蔵丸に決定戦に持ち込まれたがこれを制して14場所ぶり21回目の優勝。
両横綱とも好調だったが、本割を見るまでもなく今場所の力強さは武蔵丸が上だと思っていた。一敗しているとは言え灰色熊のようなパワーを漲らせた武蔵丸を、決定戦で攻めきった貴乃花の集中力は賞賛に値する。
左上手をとって攻め立てながら、武蔵丸が得意の右下手をこじいれてすくってきたのをとっさに上手をはなして防ぎ、すぐ左前みつを取り直して攻め続けたスピードと勘の良さ。やはり相撲はまぎれもなき格闘技だと再認識させてくれた一番。
決定戦前の両者の表情、淡々とした武蔵丸と、憑かれたように鉄砲を繰り返す貴乃花の姿をリアルタイムで追っていたのも、臨場感あって久しぶりにわくわくさせられた。
じじいの繰言のようで申し訳ないが、昔はこんな手に汗握る取り組みが、番付上位とは限らず、一日に一番や二番は必ずあったものだ。
人気低迷と言われて久しい大相撲だが、工夫しだいでまだまだ面白くなると思うのだが。そのためには八百長を根絶して面白い取り組みを増やすのが一番。
今の地位に応じた給料制は、番付の上昇下降が収入に直結し、大勝ちするより長く幕内にい続けることが一番得な制度になっている。七勝八敗でも六勝九敗でもたいした違いがないため、七勝七敗の相手に星を売るということが横行する。これを一勝負一勝負ごとの賞金制に変え、勝ち星に地位ごとの定数を乗じた金額を払うようにすれば、星を売ることは必ず損することになって八百長は減ると思うのだが、どうだろうか。財団法人日本相撲協会殿。◇
ブッシュ新政権が誕生したが、このブッシュ氏、典型的なテキサスカウボーイのようだ。
ハーバート大出のくせに、勉強が苦手で読書嫌い。夫人の愛読書は「カラマーゾフの兄弟」だが、大統領はもちろん読んだことはなく読むのはもっぱらスパイ小説。夫人が本から色々な人生を学んできたと言ったのに対し、本人は酒の上の失敗から人生の教訓を学んできたそうだ。
早稲田出のわれらが森総理と好敵手のようではないか。
もっとも森首相はかけねなしの俗物のようだが、大統領の方は庶民的な性格をアピールするための自己演出の可能性もあるので、森さんお仲間だと思って安心してると足をすくわれるかもしれない。ご用心。◇
『順列都市』読了。→レビュー。
202.238.111.2 闘 115 979891117 駄洒落のジョー ジョー小泉のひとりごと。
ジョー小泉氏は、私が全てのスポーツの解説者で最高だと思っている、ボクシング解説者。なにより「私はボクシングが好きなんだ」という気持ちが伝わってきて好もしい。それでいて情に流されず知的で論理的、英語に堪能で情報も豊富。WOWOWのエキサイトマッチで名解説が楽しめるが、ジョーさんが発射する零下30度級の駄洒落に困惑するアナウンサーと無視する相棒の浜田解説者(元世界チャンピオン)という別の楽しみもある。
上記「ジョー小泉のひとりごと」は彼のWEB日記で、最近愛読しているのだが、1月15日の「ひとりごと」はボクシングファン以外にも面白いかなと思えたので紹介しておく。
かなりの恐妻ぶりと仕事人間ぶりを強調していて、なかなか笑える。いかに試合レポートをWORDで早く書くかの工夫など、あたかもボクシングの効果的なコンビネーションを考えているかのようだ。
ジョー小泉氏の著作 『ボクシングバイブル』のミニレビュー。 202.238.111.2 闘 114 979463181 『ルネ・ラリック1860-1945展』 東京都庭園美術館。
ルネ・ラリックはアール・ヌーヴォーのモダン・ジュエリーの先覚者にして、アール・デコのガラス工芸の巨匠。見事すぎる工芸品を堪能。裸女や昆虫・魚をモチーフにしたデザインはモダンでかっこいい。庭園美術館自体のシャンデリアや入り口のガラスレリーフもラリックの作品だ。
ゴージャスなどという言葉ではとても足りないティアラやネックレスやブローチ。ダイアナ妃やグレース・ケリー王妃が身につけたら、どれほど美しく光り輝くことだろう。想像するだけで豪奢な気分になれる。安上がり。
といっても落とした照明で繊細な宝飾品を見るのは、少々疲れる。なかなかの人気で混雑もしていたし。◇
昨日TVで放映した『インデペンデンス・デイ』で米大統領が宇宙人に対して核攻撃を決断するときのセリフ。
「彼らの思考が読めた。イナゴと同じだ。(中略)核でみな殺しにするしかない」
う〜む、56年前の米大統領も似たような決断をしたのではないかな。
「ハラキリだの特攻だの理解不能な某国人はイナゴと同じだ。(以下同様)」非アメリカの(Un-American)[形容詞] 邪悪な、許しがたい、異端の。ビアス『悪魔の辞典』(西川正身訳)
昨日の話題の「豚」については、ビアスは次のように定義している。豚(Pig)[名詞] 食欲がすばらしく旺盛な点で、人類にきわめて近い近い動物。ただし、すばらしく旺盛であると言っても、その食欲の範囲は人類に劣る。豚だけは食べようとしないから。61.211.4.25 美 113 979371388 先週のニュースより インドネシア「味の素に豚の酵素」事件。
イスラム強硬派の存在感回復作戦とか、日本の圧倒的なシェアを切り崩すための欧米の陰謀説とか、諸説紛々だ。
ここをお読みの方なら私が罰当たりの不信心者だということはご存じだと思う。イスラム教にしろなんにしろ、戒律なんてものは21世紀中にはなくなってもらいたいと思っているが、宗教的なことは別にしても味の素は不注意だったかなという印象。
豚だから日本人にはピンとこないけど、もし味の素を作るのに「猫の酵素」や「鼠のホルモン」を使っていると発覚したら、いくら最終製品に入ってはいないと言っても大騒ぎになるのではなかろうか。
ところで、何故イスラム教では豚食が駄目なのだろう。ヒンズー教で牛が神聖だから食べないのと一緒だろうか。それとも豚は不浄だから?キリスト教原理主義でもヒヅメの割れてる動物は不浄だと聞いたことがあるけど、関係あるのだろうか?◇
「世田谷一家四人殺害」事件。
今後、個人でもセキュリティ専門会社と契約するところが増えるだろう。ボディガードの需要も増え、腕に覚えのある若者には有望な就職先になるだろう。
住宅自体も今よりさらに高度なセキュリティシステムが、必須要件になるだろう。
もちろん、それらを利用できる人は裕福な層に限られ、利用できない人々との2極文化はますます進むことだろう。
以上、ほぼ間違いのない近未来予想。利用できない層間違いなしの私は、体鍛えるぐらいしか仕方がない。狙われる財産もないのでその必要もないか。◇
藤本ひとみ『侯爵サド』(文春文庫)購入。 210.159.89.79 時 112 979109163 『20世紀アート100選』 NHK-BS2で1月8日の放送。
吉本多香美、林家こぶ平という「素人」に、芸大の先生や美人版画家山本容子といった「玄人」が芸術の見方を解説しながら、ピカソの『ゲルニカ』、マティスの『ダンス』、ガウディの『サグラダファミリア聖堂』、ウォーホルの『マリリン』……、20世紀に生まれたアートの名作をカウントダウンする、なかなか見ごたえのある番組。
他の出演者は森村泰昌、司会は『新日曜美術館』のお洒落な石澤典夫アナウンサー。
後半、戦後の抽象芸術に入ると、こぶ平や多香美ちゃんの困惑ぶり(芸の内だろうが)もいや増し、「玄人」たちの教えにも熱が入る。
美輪明宏的雰囲気をただよわす森村泰昌氏が発言した。
「絵というより、パターンとかテキスタイルと見てしまってもいいのよ。誰に似合うかとか。私はこの絵の『柄』をここにいる人の誰に着せたいか考えたんです」
うわ、美女が二人(山本容子、吉本多香美)いるのに、どっちと言ってもカドが立つぞ、ここは先輩を立てて山本先生かな、などと思っていたら
「それは石澤さん」
石澤アナウンサーの困ったような笑顔と多香美ちゃんの口をおおった驚き顔が印象的でした。◇
ネットで発見した「やおい」の新解釈。
やめて おしり いたい◇
グレッグ・イーガン『祈りの海』(山岸真訳/早川SF文庫)購入。 202.238.111.2 美 111 978958159 ポワロの国の画家たち 新宿まで映画を見に出かけたのだが、目当てのプログラムは予定より早く終わっていた。こちらも予定変更で伊勢丹美術館『ベルギーの巨匠5人展』を観る。
ご多分にもれずマグリット、デルヴォーは大好きで回顧展等にも何度か行っている。今回は全80点ほどのこじんまりとした展覧会だが、デルヴォーの『夜警II』など未見の大作もあり、なかなか楽しめる。画集でしか知らなかったアンソールや、初見のスピリアールト、ぺルメークの作品もそれぞれ、全く違う画風でいながら、幻想的、表現主義的なところは共通していて私好みの作風でありました。
マグリット、ペルメークなどはベルギーの紙幣にもなっていて、紙幣そのものが展示されていたが、紙幣とは思えないような美術展のチケットを思わせる美しい配色で、そんな紙幣を使える国がちょっと羨ましかったり。◇
『もてない男』読了。→レビュー。
202.238.111.2 美 110 978756674 世紀初頭に 三が日は例年通り、湯沢高原でスキー。毎日しっかり降り続け、例年になくいいコンディションの雪面で気持ち良く滑ることができた。
一日目は強風でゴンドラの運行が中止していたので、シャトルバスで石打丸山に。ここは結婚前に妻や仲間と良く来ていた所で懐かしかったけれど、当時の面影は全然ない。リストもゲレンデも食堂も空いていて、かつてのリフトも食事も30分待ち当たり前の混雑ぶりが嘘のようだ。
技術革新と競争激化と趣味の多様化、とりわけ数少ない「人を呼べる事業」であるスキー場の急増による競争原理の浸透が大きい。経営する側は大変だろうが消費者にはありがたい。PC業界もインターネット業界も同じだ。通信業界も早く競争原理が働くようになって消費者寄りになって欲しいところだ。◇
5日は新年早々親戚の葬式に参列したのだが、武士筋の家のせいか禅宗の葬儀であった。
現れたお坊様はヒクソン・グレイシーのような魁偉な容貌、堂々たる体躯。読経は尼さんとの朗々たる二重唱で、グワシャーンと銅拍子(シンバル)まで鳴らす音響効果。最後に「はぁーっ!!」と裂帛の気合いをかけたのには、腰を抜かしそうになった。
いやあ、有り難いもん見せてもらいました。合掌。◇
12/30〜1/3
桐野夏生『錆びる心』(文春文庫)読了。
小谷野敦『もてない男』(ちくま新書)、駒田信二『漢字読み書きばなし』(文春文庫)購入。 202.238.111.2 雑 109 978254727 掃除の合間に なぜ年末のTV番組はこんなにつまらないのだ。しかたがないので録画した『ポワロ』と『コロンボ』ばかり見ている。
ポワロの『アクロイド殺し』。あの原作をこう処理したか、という感じ。
コロンボの再放送は美人の女警官が出てきた。コスプレに興味はないけど、これは描いてみたいな。来年のCGの予定は「サーカス」「女警官」といこう。◇
暮れが押し迫って、急に事件が立て続けに起きているような気がするけれどなにごとだろう。
29日以降に起きた強盗事件などは、28日に仕事納めをした奴が犯人ではなかろうか?迷推理?
精神病治療中の人間の傷害事件も複数起きたけれど、年末年始で病状関係なく一時退院させられたのではなかろうか?邪推?◇
ということで、今世紀も暮れ行く。来年はどんな世紀がやってくることやら。
◇
『恐竜クライシス』読了。→レビュー。
202.238.111.2 雑 108 978145402 蝦蟇の油 24日に放映されたNHK-BS『ドキュメンタリー・クロサワ』。
冷静に考えて、20世紀の日本が世界に生み出せた文化遺産は、クロサワの映画くらいではないかな。千年後に編まれる文化史の20世紀の項目に載っている個人名は黒澤明ぐらいしか思いつかない。私の無知なるゆえもあるのだろうが。あとはノーベル文学賞の川端、大江ぐらいか。しかし国際的普遍性という意味ではクロサワが突出しているように思える。
(クロサワの評価は日本的エキゾチズムのゆえという見方には私は与しない)
20世紀限定でなければ北斎とか紫式部とかまだまだいるとは思うけど。
番組のネタになっていたのは黒澤明自身の半生記『蝦蟇の油』(岩波同時代ライブラリー)だと思う。
これはなかなかいい本で、やはり映画界に入ってからの記述が面白いのだが、当時の検閲や会社の姿勢にこれほどの才能が押しつぶされる様子は痛々しいかぎりだ。しかし文章にはいきどおりはあっても、呪詛や怨念といったドロドロしたものを感じないのは、やはりクロサワがなにより映画そのものを愛しているからなのだろう。
これほどの巨匠の半生記にしては、自慢話は少なく、むしろ自分に影響を与えてくれた、兄や師匠や(最後は袂を分かった)三船敏郎への思い出や感謝が綴られている。
師匠である山本嘉次郎監督の思い出の章が私は一番好きなのだが、なかでもお気に入りのエピソードを紹介しておこう。
黒澤明がはじめて山本嘉次郎に脚本を書かされたのは、時代劇『水野十郎左衛門』だった。水野が江戸城前の立札の法令について仲間の町奴達に伝える場面を、黒澤は原作通り、水野が読んできた立札の内容を仲間に話すところを書いた。それを読んだ山本は「小説ならこれでよいがシナリオはこれではいけない」とスラスラと書き直した。それは水野が立札を見てきて話すなどというまだるっこしい事の代わりに、水野は立札を引っこ抜いて担いでくると仲間の前におっぽりだし「これを見ろ」と、ずかりと言わせていた。
「私は、恐れ入った」と黒澤は書いている。
なんだか宮本武蔵と沢庵和尚や悟空と亀仙人のような剣豪師弟物語を読んでいるようではないか。
私のクロサワベスト5はつきなみだか『椿三十郎』『七人の侍』『羅生門』『野良犬』『赤ひげ』といったところか。他にも好きなのはたくさんあるので、気分で変る日替わりベストだが。
また『羅生門』の木洩れ日の森が見たくなった。◇
続く25日の筑紫哲也ニュースは手塚治虫の特集。
手塚治虫が生きていたら、「21世紀を迎えるにあたって」ベストコメンテーターだろうな。遺伝子操作・ナノテク・ES細胞と「ブラックジャック」向けの題材も沢山あるし、やはりもう少し長生きして欲しかったというのが偽らざる気持ち。
そうだ、続発する医療ミスに関してのコメント依頼が手塚治虫に殺到したことも絶対間違いない。なんとも間抜けな世紀末であることかな。◇
グレッグ・イーガン『順列都市』上下(山岸真訳/早川SF文庫)、リチャード・レイモン『殺戮の野獣館』(大森望訳/扶桑社ミステリー文庫)、吾妻ひでお『銀河放浪』1・2(マガジンハウス)購入。
『銀河放浪』(特に1)は95年前後の吾妻ひでおのもっとも脂の乗り切っている感じのSF漫画短編集。12枚位でなぜこんなに面白い話が描けるのだろう。同じ作者の『メチル・メタフィジック』を思い出させる傑作。 210.159.89.144 映 107 978066245 グインサーガへの手紙 栗本薫の小説は以前数冊読んだきりで、特に感想もないのだが(『火星の大統領カーター』だけは面白かった)、中島梓名義の『ベストセラーの構造』には感心したものだし『コミュニケーション不全症候群』も読んでいる。だから「小説はもう一つだけど本をいっぱい読んでる頭のいい人」という印象をもち続けていた。
最近ネットで栗本薫の(あまりよくない)話題に遭遇することが多いが、「ふ〜ん」てなもんで気にもとめなかったが、次のサイトにぶちあたって驚いた。
→グインサーガへの手紙
ゲイの方が栗本薫の本のあとがきに抗議した往復書簡集だが、抗議者のメールはヒステリックなところもなく理路整然としていて、ネットでは珍しいくらいまっとうな抗議文だと思う。
対して栗本薫先生の返信は・・・・う〜む、すぐちゃんと返事したのは偉いと思うが、すごい内容だ。
抗議者の主たる抗議(要旨)である
『「ヤオイが必要な人たち」のためにヤオイを書くことはその人たちの擁護になるかもしれないが、ゲイの人たちの擁護にはならない。むしろ有害である面もあるので、ゲイの人たちのために書いていると言うことはやめて欲しい』
に全く回答せずに論旨をずらしていらっしゃる前半はどうでもいいが、すごいのは後半。誤字と誤植は作家の責任ですか?誤字は多少は責任があるかもしれませんが、それを最終的にチェックするために編集者がおり、誤植に関しては「なんで、作家が、印刷所のミスに責任をとれると思うんですか?」と叫びたいですね。(中略)またいくつかの誤字は私がワープロの変換をそのまま出したためにおきました。気づかなかったのは私が無知蒙昧かもしれませんが、最初に辞書で設定したのはその辞書ソフトの製作者だと思うのですが、それも私の責任でしょうか?・・・・『グインサーガ』読んでなくて良かった。自分の文章の粗雑さの弁解に漱石を引き合いに出すとは、なんともはや。漱石の造語は漢語の素養からのものであって、栗本氏が読者に指摘されている誤用とは似て大いに否なるものだ。デッサンの狂いを指摘された画家が「ピカソが好きだから」と弁解するくらい外している。
(中略)
間違った文法と不適切な言葉については「感覚の違いです」と申上げるしかありませんね。私は夏目漱石が「単簡な」と書くのが好きでした
私は自分の文章が好きですし、自分のおそらく粗雑かもしれない文章が性にあっています。精緻な正確な文章で100巻の小説をかくことはできないと思います。
かつて『グインサーガ』の愛読者で今物語の変質に怒り抗議してる人々の気持ちもわかる。私も平井和正の『幻魔大戦』で同じような思いをした。
余計なお世話かもしれないが、一般的読み手として一番いいのは、「これは違う」と思ったら、作者が急死したと思って読むのも買うのも速やかにやめることですね。
一生は有限なり。対して読むべき本は無限と言っていいほどあるのだからさ。◇
『ハンニバル』読了。→レビュー。
61.211.4.25 本 105 977710252 サンタは来たか 弟の息子(小学校低学年)はサンタクロースの存在を疑っている。「なんで鍵掛けてあるのに入ってこれたんだ?」と質問されて弟は答えに窮したらしい。日頃戸締りに気をつけるよう注意しているのが変なとこで裏目に出るものだ。
一緒にいた私の息子が「きっとサンタさんは仮面ライダーのように超能力があるんだよ」とフォローしてやったらしいが、仮面ライダーに家に忍び込む超能力なんてあったか?
興味を惹かれたのでうちの子供たちにいつまでサンタクロースを信じていたか聞いてみたが、もう一つはっきりしないようだ。ただ、娘は、ある年からサンタがプレゼントをくれなくなったが友達の家には来たと聞いて、「ち、ひいきだ」と思ったことをはっきり憶えているそうだ。
たしかに、いつだったかは忘れたが「もうサンタでもないだろう」と「親からのプレゼント」に切り替えた。しかし、その時はまだサンタを信じていたんだね。これは失礼いたしました。まあ、うちはクリスチャンでもないし、いいじゃん。 202.238.111.2 雑 104 977642546 年の瀬と言うか、世紀の瀬と言うか そんな言葉はない。
クリスマス・イブとは思えない暖かさなので、前倒しで大掃除をした。WEBのクリスマス絵はそのあおりでなし。年賀状も終わっていないし。
例年通り、年賀状を印刷していたら、インクが切れてしまった。プリンタはほとんど年賀状専用機と化しているのに、肝心の時に切れてどうする。と言っても去年の年賀状印刷時に入れ換えたきりだから責めるのは酷か。
国民皆ネットになればメールで済むのに面倒なことだと思うが、まだやめられない。21世紀にも年賀状健在なり。
不景気なのに周囲でPCを購入しようかという人が増えて相談されたりする。たいていはインターネットが目的だが、安くなったことが最大の動機のようだ。PCの家電化は機能でもコンセプトでもなく、価格低下が一番という結論だが、メーカーさんはつらいだろう。
インターネット加入はケーブルテレビが増えてきた。常時接続月5000円でスピードが段違いなら、独占NTTに大枚払うよりいいだろう。
しかしわが家はダイアルアップのまま、世紀を越え行く。ベータのビデオデッキも一緒だぜ。
いくらアナクロとはいえ、来年は息子にケータイを買ってやらねばなるまい。
私はケータイを持っていないが、若者のケータイマナーなどは別に気にならない。電車の中では私も含めて酔っぱらいの中年の方が絶対迷惑だし、歩きケータイより歩き煙草の方が嫌いである。
しかし、ケータイ依存で利用料金が何万にもなるのは困ったことだと思う。余計なお世話だろうが、ケータイを控えてもっと本を買ったり旅行したりうまいもの食べたりしてもらいたい。
通信業界は世界に比べても十分に安い市内通話料で争ったりしてないで、移動体通信の料金を劇的に下げんかなあ。ケータイ絶対優先の消費が他にも向いて景気が良くなること確実だと思うが。◇
『鉄砲を捨てた日本人』読了。→レビュー。
210.159.89.83 雑 103 977400560 特殊メーク王選手権 言わずと知れたTVチャンピオンだけど、今回はもう一つかな。
決勝の「氷の女王」の作者は空耳の人に似てたけど、それはともかく胸が裂けて気色悪い幼児が出てくる絵面は、『トータルリコール』を連想してしまう。ちょっと独創性に欠けた感じ。
チャンピオンの「Breathing Wreath」はさすがの造形だけど、私の好みは予選の「Shell Venus」。この人はタイトルもうまい。
しかし、審査員の楳図かずお先生盛大に驚いてたけど、私はあなたの漫画の方がずっと怖かったと言いたい。山田卓司さんの驚き方もかわいかったね。◇
Photoshop6.0のバージョンアップは今回はパスする方に気持ちが傾いている。
強力になった(らしい)レイヤー機能は楽しみだが、躊躇するのはインターフェイスの変更だ。
さほど保守的なつもりはないので、変更そのものは気にならないが、今回のツールパレットが細長いバーになるのはちょっと困る。縦にもなるならかまわないのだが、横長形状以外は選べない。パレットを整理してコンパクトに収めようというコンセプトなのだろうが、私はマルチモニタにしてパレットを右側のサブモニタに置いているので、全然邪魔ではないのだ。横長バーになって縦方向のドットを取られるのは痛い。バーをサブモニタに持って行くと今度は右端がやたら遠くなってしまう。
同じような意見も見かけるので、次のバージョンアップまで(決して安くない)年貢はやりすごそうと思う。今のところ5.0に不満はないことだし。(いつ気が変るかしれないが) 210.159.89.83 TV 102 976847733 行儀の悪い名探偵 NHK-BSで再放送している『シャーロック・ホームズの冒険』は英国時代劇的雰囲気が面白くてよく見ているのだが、気になることがある。
ホームズも相棒のワトソン博士も言わずと知れた英国紳士で、シルクハットに燕尾服といった出で立ちでさっそうと活躍する。しかし、その格好で煙草の吸い殻をなんの躊躇もなく道に投げ棄てるのだ。アメリカのハードボイルドな探偵たちなら不思議ではないが、ホームズには似合わないようが気がするのだがなあ。
もっとも、18、19世紀のロンドンは糞尿の臭いただようゴミだらけの都市だったという話もあり、煙草の吸い殻ぐらい問題にもならなかったのかもしれない。それとも、紳士は道にゴミを捨てないというのは、こちらの思いこみで、かの国では道をかたづけるのは労働者階級の仕事で、紳士階級はそういうことに気をつかわないものなのかな。
日本も最近ゴミだらけになってきたような気がする。江戸はかつては来日した欧米人が驚嘆するほどゴミのない清潔な都市だったというのに。もちろん公徳心のような精神面ばかりが原因ではあるまい。例えば、江戸時代の長屋なんて店賃を溜める貧乏人ばかりで大家さんは大変だろうと思っていたが、長屋の「便所の汲み取り権」で十分にペイできる仕組みになっていたらしい。肥料の価値が高かったからだが、こういったエコロジカルなシステムがうまく回転する社会であったということだろう。
江戸文化の盲目的礼賛の危うさはわかっているつもりだけど、煙草の吸殻だらけの東京の街路を歩いていると、文明は進んでも文化は衰退する、なんていうしゃらくさい言葉が浮かんできてしかたがない。◇
八重洲ブックセンターの1Fで来年のカレンダーを物色。例年買っていたクリタルシリーズの池田ヒロミの絵が今回はもう一つ気に入らないので、笹倉鉄平の風景画に変更。あとは取引先からいただいたミッシェル・ドラクロアのカレンダーがあるから、これでおしまい。
家族もあるので空山基やフラゼッタのカレンダー(あるかどうか知らないが)にするわけにもいかないのだ。
4Fで空山基の『Torture(拷問)』と『Gynoids reborn』を眺める。欲しいけど、既に持っている画集とのダブリが多い上に高い(『Torture』が6900円)ので決心がつかず。うう、お金持ちになりたいと思う一瞬。◇
『女検死官ジェシカ・コラン』読了。→レビュー。
ロバート・J・ソウヤー『フレームシフト』(内田昌之訳/早川SF文庫)、ハリー・アダム・ナイト『恐竜クライシス』(尾之上浩司訳/創元推理文庫)購入。
202.238.111.2 TV 101 976680965 夢百景:海辺のグレートチキン ひさしぶりに変な夢を見た。
どこかに団体旅行に来ている。団体が職場だか地域だかなんだかはわからない。
おじさんたちの宴会がつまらないので、数人で抜け出す。
宴会をやってるのに、外は昼間。先に海岸が広がっている。一緒に出てきた若者たちは浴衣姿で海に石を投げたり、石でキャッチボールを始める。
私は独りで海岸線を歩いていく。
砂浜が終わり、低い堤防沿いに歩いていくと、小さな漁船が何艘か帰ってくる。堤防の上から地元の人が、舟の上に座っているおばさんに声をかける。
「今日は何がとれたかね」
「恐竜がとれたよ。きょうりゅう」
恐竜?
舟を覗き込もうと堤防に近寄ると、突然、堤防の向こう側から白い巨大なものがガバッと立ち上がる。
なんと巨大なニワトリである。真っ赤なトサカのてっぺんまで2m以上は軽くある。口を大きく開けて白い首をのけぞらせている。さすがに(夢の中だというのに)おどろいた、ビビった。
ニワトリは堤防のこちら側に歩いてきたが、最初の動作よりゆっくり落ち着いた様子なので、もう、こわい感じはしない。
近くに寄ってみようと思ったところで、眼が覚めてしまった。
クリスマス用にローストチキンにしたら千人分位は軽くあったのではなかろうか。◇
昨日のボクシング日本ミニマム級タイトルマッチ。
チャンピオン徳山のジムの会長さんは金沢英雄なんだね。懐かしや。Jr.ミドル(今のスーパーウェルター)級の元東洋チャンピオンで大阪の人気者だったけど、格下の当時の日本チャンピオン輪島公一に2RであっさりKOされてたな。金沢が弱いのではなく輪島が強かったからで、あの団子屋のおっさん、現役当時はむちゃくちゃ強かった。
「踊るさんま御殿」に出て「俺にもっとリーチがあったら5階級制覇してたよ」と言ってたけど、今のようなチャンピオン乱立時代だったら可能かもしれない。もっとも、短いリーチを克服しての独特の輪島スタイルだったからこそ魅力があったのもたしかだけどね。◇
『人獣細工』読了。→レビュー。
202.238.111.2 夢 100 976242376 二冊の画集 まだじっくりは見ていないのだけど、昨日買った二冊の画集について。◇
野田昌宏編『図説ロボット』(河出ふくろうの本)
著者はベテランのSF作家だが、日本一のSFパルプ雑誌コレクターとして名高い。そのSFファン垂涎の『野田コレクション』が、「ふくろうの本」のシリーズとして4冊も刊行されるという(歓喜)。本書はその第1回目。収録された図版の量は半端でなく、これで1800円は安い。
もちろん、登場するロボットたちはデザイン的にはレトロこのうえなく、現在のハリウッド映画や日本のアニメに登場するロボットに比べると野暮ったい。日本人の贔屓目かもしれないが鉄腕アトムやエイトマンに出てきたロボットたちの方がはるかにかっこいい。
それでも古めかしくも懐かしい挿絵たちを眺めていると、なんともワクワクした気分になってくるのが不思議だ。はじめてSFなるものを読んで興奮した日々、あの頃の記憶を刺激されるからなのかもしれない。
この『野田コレクション』だが、はるか大昔『少年マガジン』のグラビアで4回に渡って紹介されたことがある。そう、いまや、胸の大きいアイドル少女たちに占拠されているあの巻頭グラビアである。(読んでないので最近もそうかは知らないが)
かつての『少年マガジンのグラビア』は「謎の生物事典」「世界の怪奇事件」「忍者の武器」「恐竜時代」なんて感じの特集が定番で、小松崎茂や石原豪人や南村喬之の挿画が楽しみだった。当時の小中学生は少年マガジンから雑学を得たりセンスオブワンダーを感じたりしていたのだ。
その時の『野田コレクション特集』4回は、1回を除いて今も保存している。◇
空山基『THE GYNOIDS Genetically Manipurated』(河出書房新社)
こちらは版型も大きいけれど値段も高い。6000円。しかし店頭で見たときは「これは買わねばならぬ」と思ってしまった。
例によって、過去の絵にアイテムを描き加えたりしたものも多いのだが、それが決して二番煎じやお手軽に挙げるための手法には見えない。「今回はここまで遊び倒して見ました」という稚気のようなものを感じる。
稚気と言っても表現は過激。男性も女性も性器はいささかの躊躇もなく精細に描かれている。リアルすぎて逆に全然猥褻感はないくらいだ。
大蛸(軟体触手!)に犯される女性や、ロボット(金属触手!)と交わる女性、なんてのは良くあるモチーフだと思うけれど、ここまで描かれてしまうと、次に描く人は勇気がいるだろうと思う。
空山基の世界が好きな人には「買い」です。◇
『罪と罰』読了。→レビュー。
ノエル・ペリン『鉄砲を捨てた日本人』(川勝平太訳/中公文庫)、ロバート・ウォーカー『女検死官ジェシカ・コラン』(瓜生知寿子訳/扶桑社ミステリー文庫)、野田昌宏編『図説ロボット』(河出ふくろうの本)、空山基『THE GYNOIDS Genetically Manipurated』(河出書房新社)購入。
202.238.111.2 美 98 976107553 日米国技の明暗 あまり野球に興味はないのだが、昨夜のニュースステーションにゲスト出演したエンゼルスの長谷川投手はクレバーな人だね。ベースボールは情報戦だということを平易な言葉で素人でもわかる言葉で語ってくれた。いかに強豪揃いのメジャーリーグで「目立たない」ようにするか。自分の投球の印象をいかにコントロールしていくかを年単位で考える。ほーら、やはり優秀な人間の日本からの流出は始まっているではないか。◇
大相撲の新決まり手。とっくり投げや大逆手など、なかなかいい命名だが、素首落とし(そっくびおとし)は以前からなかったっけ。朝日新聞の「この手は従来『はたき込み』とされることが多く、この手が多すぎると不評を買っている千代大海にとっては、格好の『隠れみの』になりそうだ」という記事には笑った。たしかにその通りで激しく同意だが、ここまで書いちゃって大丈夫なのだろうか。と、思ったが本人は本当に喜んでるいるらしい。救いがたし。
しかし、いくら命名を増やしても、実際に使う力士がいなくては「必殺技」を見ることはできない。ただ体重を増やして押したりひいたりだけでは格闘技とは言えないのではないかな。土俵を大きくしたり体重制にしたり、どんな方法をとっても、手に汗握る攻防や大技が光る大相撲を復活させてもらいたいものだ。
輪島の「下手投げ」なんて本当に「必殺技」という切れ味だったなあ。現二子山親方の先代貴乃花も細い体で「上手出し投げ」や「つり出し」といった豪快な技を繰り出して勝つ姿は魅力的だった。いまやおかみさんの「小股すくい」で土俵を割りそうだが。
202.238.111.2 闘 97 975902009 ダーナが味方だ 浜崎あゆみとそのファッションを見ていると、どこかで見たどこかで見たぞ、という既視感、遠い記憶をつつかれているような気分がぬぐえなかったのだが、それがようやく判明した。
別冊太陽の『新世紀少年密林大画報』(平凡社)に載っていた1枚の絵。
そう、ある年代以上の人間には懐かしい、山川惣治の絵物語『少年ケニヤ』の金髪の美少女ケイトである。
娘にこの絵を見せたら、「おーっ、あゆそのまんまではないか」と感激していた。やっぱりな。
山川惣治は小松崎茂より7歳年長で小松崎が「先生」と呼んだ挿絵画家だ。小松崎が少年のメカフェティッシュな興味を刺激する絵で人気を呼んだのに対し、山川は密林冒険ものを得意とし、子供心にどこか原初的なエロスを感じさせる画風だった。晩年には『十三娘(しーさんめい)』なんていう中国活劇絵物語を角川(だったか?)から出していたので憶えている方もいるかもしれない。
この別冊太陽は、私も名のみ知っていた椛島勝一の細密なペン画等の「南洋冒険小説」の挿絵を集成した特集で、あの横尾忠則が構成している。
手塚治虫が輝かしき(だけではないが)科学の未来のユートピアを提示するまでは、少年たちは「南洋」の「密林」の幻想にユートピアを見ていたのだろうな。当時の「熱帯」のイメージは文明に侵略される脆弱な自然ではなく、文明の太刀打ちできない「魔界」としての密林を蔵する謎のエリアであった。だからこそのユートピアであって、来るべき21世紀には確実になくなってしまうことだろう。
淋しいと言っても、詮無いことだけどさ。◇
『刀と首取り』読了。→レビュー。
いしいひさいち『私には向かない職業2』(創元推理ポケット)購入。
202.238.111.2 美 95 975401378 生還 例年の定期検診のレントゲンでひっかかって胃カメラを飲む羽目になってしまった。
結果そのものもそうだが結果次第でふりかかるもろもろの面倒を考えると、うんざりしてぞっとする。このサイトもどうにかしなきゃならないし。
検査自体はこわくなかったけど、喉を麻酔して横になり、太さ1cmはある黒いチューブの先のレンズが光っているのが口に近づいてきたときは、びびりつつ、エロゲーで少女を襲う謎の触手を連想してしまった。いいおやじの考えるこっちゃないね。
結果は、全然きれいなもので潰瘍のあともなし。それぞれの部位を撮ったカラー写真をおみやげ(?)にもらったけど、ピンク色でなかなかなまめかしいのもあって、うまくトリミングすれば、猥褻な写真に見えないこともない。アイコラの材料にどうだろう、なんて悪いことは一瞬だけしか考えなかった。
ちょっと胃炎にはなっていたので胃薬をもらって終了だったが、あきらかに再検査となってのストレスが原因。検査が体に悪いのでは考え物だが、こどもたちに写真を見せてドッヒャーなどと言わせてストレスを解消する。安上がり。
202.238.111.2 身 94 975155060 しんきらり 近くにできた古書店をひやかしにでかけたが、一般書よりマンガの品揃えが充実している。来たのは2回目で、前回はなつかしき『1・2の三四郎』文庫判をごっそり買ったが、今回はやまだ紫の『Blue Sky』を購入。
やまだ紫はCOMでデビューした当時リアルタイムで読んでいたが、今にいたるも描き続けているのだね。と言っても連載は8年前、文庫に収められたのも4年前だが、私にとっては昨日のようなものだ。『Blue Sky』は「婦人公論」に連載していたと聞いてちょっと退いていたのだが、読んでみるとどうしてさすがにいい話だった。偏見を反省。
ひどい亭主と別れてスナックを始めた二人の子持ちの女性、36歳。子育てと店の切り盛りに追われる日常。ある日アルバイトに12歳年下の青年が応募してくる。
もちろん二人は恋仲になるのだが、結ばれて大団円、では全然ない。二人がお互いの気持ちをたしかめあうのは話の前半で、そのまますんなり一緒になってしまい。恋のライバルなんてお約束のキャラクタはでてこない。前の夫はとことんイヤな奴で焼けぼっ杭に火がつきそうになったりはしない。
一緒になってからの二人の、子供たちや二人の肉親や親類や店の客たちとの関りが色んなあざとくないエピソードの積み重ねで描かれる。
もちろん二人や子供たちの間が常に平穏であるわけでなく、心理的事件がリアルに描かれるわけだが、TVドラマにありがちないかにもな誤解・反発・和解なんて臭いパターンは一切出てこないので、安心して読み進むことができる。
離婚に至る夫の描写とか、独り身で水商売を始めたヒロインへの男たちの目、など、男の身として実に思い当たることあって痛い。実際に同じことをしたというのではなく、心理的にだが。いや本当。
絵も一見稚拙に見えるが、極限まで無駄を排したシンプルな描線が、内容とぴたりとあって、情感を伝えてくる。というよりこちらが想像で埋めていく余地を残しておいてくれる絵、想像力を引き出してくれる絵と言ったらいいかもしれない。◇
小林泰三『人獣細工』(角川ホラー文庫)購入。 210.159.89.147 漫 93 974866011 海いっぱいのゼリーフィッシュ 昨夜の「クローズアップ現代」は『クラゲ来襲−大量発生の謎』。
原子力発電所の取水口を埋め尽くして発電不能にしたり、漁船の網がクラゲの重みで切れたり、海に雲のようにただようその数・量は驚くばかり。陸地で言えばイナゴの大発生(飛蝗って奴ですな)という解説が簡にして明。
なにより困るのはクラゲと同じプランクトンを食べるイワシなどが激減してしまうこと。大きな発生原因の一つは、人間がクラゲの生態系上の競争者であるイワシなどを取り過ぎたこと、というのだから皮肉な話だ。
他の原因として考えられているのは
●海水温が上がって冬を越せるようになったこと。
●工場廃水生活廃水に含まれるリンなどが、小さなプランクトンを増やしていること。
イワシなどが接食するのは大型のプランクトンで小型のはクラゲしか取らない。
●海岸線が埋め立てられ、クラゲの卵がつきやすい垂直コンクリート岩壁が増えていること。
ほとんど、人間が原因、自業自得という成り行きなのが情けない。現在クラゲの大発生を抑える有効な手段は見つかっていないそうだ。
来年あたり泳ぎに行った海岸で、白い波頭をよく見たら全部クラゲだった、なんてことになったらたまらない。
どうせならウニとか毛ガニとかアワビとかに大発生してもらいたいものだが、なぜかこういう場合、役にたたない困ってしまうものばかり増えるのだよね。(問題になっているミズクラゲという種類は食料にはならない)
202.238.111.2 獣 92 974770152 ダニールはまだ来ない 今年と来年の干支にかけたのでもあるまいが、国会はいかにも龍頭蛇尾な結末。結局、「電気がないとこでもiモード」の森総理はまだ辞めんのだね。◇
ちょうど、アンドロイドを描いてるところにふさわしいトピック。
ホンダヒューマノイドロボットに新しい仲間、ASIMO誕生。
「ASIMOとは、Advanced Step in Innovative Mobility。 これは、新しい時代へ進化した革新的モビリティーを意味します。」って、嘘だろう。素直に「アシモフ博士にオマージュを捧げます」って言っちゃうと色々とまずいのかな。パシフィコ横浜でやるROBODEX(11/24〜26)で一般公開されるらしいが、行った人は「アイザック♪」とファーストネームで読んであげよう。
できればモミアゲがほしかった。タイプライターを狂ったように叩き続けるともっといい。さらにきつい顔の女史風がソフトウエア担当だといいのだが、スーザン・キャルヴィンは1982年生まれだからまだ高校生だ。21世紀の楽しみに取っておこう。
・・・・ちょっと、妄想と現実の境界があわわになってきたのでこの辺で。
アイザック・アシモフの生んだ名ロボット学者スーザン・キャルヴィン博士の生涯については次のURLに年表があります。
スーザン・キャルヴィン博士(Dr. Susan Calvin)とその時代◇
『ドリトル先生の英国』読了。→レビュー。
小林泰三『肉食屋敷』(角川ホラー文庫)読了。
202.238.111.2 時 90 974165682 『異能の画家 伊藤若冲』、『似顔絵』 芸術新潮『異能の画家 伊藤若冲』読了。
魚柄仁之助『魚柄の料理帖』(知恵の森文庫)購入。
『美の巨人たち』も『新日曜美術館』も朝日新聞の『名画日本史』(これは先週だが)も若冲の特集。やけにこの『畸の画家』が脚光を浴びてるな、と思ったら今年で没後200年なのだね。絵については私などが拙い紹介をするより芸術新潮を読む、もしくは今京都で開催されている展覧会を見てもらうのがいいのだが、興味深いのはその人間像。
裕福な青物商の跡取りに生まれながら仕事も学問も遊びも女もダメ、というより興味がない。絵に目ざめてからは只ひたすらに絵三昧に生きた後半生。その鮮やかな色彩が今も色褪せず残っているのは、財豊かであったがために惜しげもなく使った高価な絵の具と紙・絹のおかげだという。まさに究極の理想のオタクと言っていい人生だが、その絵はだれの亜流でもなく、先人のいない邪道とされる技法でさえ追求していく姿勢は、やはり(消費が主体である)オタクとは一線を画すものだろう。
世俗的名誉や金銭的成功は一切もとめなかったようだが、彼の真価を認める一部の知識人がちゃんと存在したことも江戸文化の奥の深さなのだろうか。◇
『似顔絵』読了。→レビュー。
京極夏彦『巷説百物語』(角川書店)読了。
妙に読了本が多いようだが、これは一度に数冊併読しているため、時に読了が重なる日があるせい。まとまった時間がないので、通勤時、トイレ時、就寝前時などに分けて読んでいる。若い時のような集中力もないので、それぞれ別の本を読んで目先を変えているというわけ。効率が悪いようで、毎日続けていれば結構読めるものである。それでも日々積読が増えていく・・
202.238.111.2 美 89 973854706 旧石器発掘捏造 「神の手を持つ男」とも「超能力者」とも呼ばれた東北旧石器文化研究所の藤村新一前副理事長。在野の学者だったと聞くと松本清張の小説に良く出てくる、「権威的な学会から無視されながらもコツコツと研究を続ける民間学者」を連想してちょっと同情してしまうが、やったことの影響は大きい。
この事件でよく引き合いに出されている「ピルトダウン事件」。19世紀はじめに起きた化石の偽造事件で、チャールズ・ドーソンという学者他3人が首謀者とされている。彼らが「発見」した現世人類と初期人類をつなぐ「ピルトダウン人」の化石は、結局ヒトの頭骨にヒヒの顎を取り付けた「作りもの」であることが判明した。ただしその時「犯人」たちは寿命をまっとうしてこの世にはいなかったのだ。
この二つの事件で私が思ったのは、名誉欲や野心の弊害でも、考古学界の検証のあり方でもなく、「みんなが発見したがっているものが発見される」ということである。
ピルトダウン人のような「偉大な頭脳を持った猿人」こそ、当時の学者が発見したかった化石だったのだろう。今ではヒトの進化は「脳主導」ではなく、「直立」が先で手で道具を使い火を使うことで、顎が小さくなり脳が発達してきたと考えられている。まさしくエンゲルスの『猿が人間になるについての労働の役割』(大月文庫)だ。
しかしピルトダウン人事件当時は、まるで「神の意志」を体現したかのようなスーパー猿人の化石を待望する気持ちが多くの科学者たちにもあったのだろう。貧弱な頭脳を持つオーストラロピテクスやピテカントロプスが「アダム」だとは思いたくなかったに違いない。
「20世紀のドーソン」藤村氏の「発見」した石器にも疑義の声は随分あったらしい。欧米の同年代の地層から発見された石器に比べて精巧度が随分上なのに、これを発見年代の誤りというようには考えず、「日本の原人は他国より頭が良かった」という解釈がまかり通ったというのだから、これこそ「発見したいものが発見される」である。
「旧い方が価値がある」というのもおかしな話だが、「日本(世界?)最古の原人がいた」というのは観光資源にもなるのだろう。
藤村氏の捏造がばれなかったら、どんどん旧い年代の石器が「発見」されたのだろうか。恐竜の化石と一緒に発見されないうちに捏造が明らかになったのは不幸中の幸いだ。フリントストーンじゃないんだから。◇
南條竹則『ドリトル先生の英国』(文春新書)、山藤章二『似顔絵』(岩波新書)購入。 202.238.111.2 時 88 973735240 米大統領選 ゴア対アース、じゃなかった、ブッシュの対決の決着はまだのようだ。
フロリダ州の「数え直し」、これで逆転なんてことになったら、他の州だって信用できなくならんのかな。
このままブッシュが当選したら、総得票数はゴアに負けての勝利ということになって、選挙制度の見直し必至ということのようだが、日本の衆議院の選挙区格差は3倍以上はザラにある。米大統領選で負けた方の得票率が2倍以上だったらどんな騒ぎになることだろう。
上院議員に当選したヒラリー女史は次当りの大統領選に出馬するのだろうか。ビル・クリントン君はがんばって離婚されなければ、ファーストハズバンドとして返り咲きか。サミットににこにことヒラリー大統領についてくる姿を見たいような気もする。◇
レイクエンジェル・マニア
「レ」担当 Leslely Shields レスリー・シールズ
身長:167.6cm 体重:47.6kg IQ:170
元フィギアスケート選手 好きなレスラー:カート・アングル
「イ」担当 Isabella Masinas イザベラ・マッシーナ
身長:167.6cm 体重:52.2kg IQ:195
元体操選手 好きなレスラー:HHH
「ク」担当 Kristy McGillis クリスティ・マクギリス
身長:161.5cm 体重:47.6kg IQ:220 73年2月16日生まれ
体脂肪率:15% 血液型:A型RH−
職業:教師 最終学歴:ケンブリッジ大学
好きなレスラー:アンダーテイカー
「カンペキだ!」担当 ジーコ
元サッカー選手
好きなレスラー:?
(以上(株)レイクの公式資料?より)
レイクエンジェルマニアは私ではない、借金もしてないし。
ネタ元:2chのプロレススレッド。ネタかもしれないので注意。しかしレイクエンジェルとプロレスにどんな関係があるのだろう?◇
『夜に聞く歌』読了。→レビュー。
202.238.111.2 時 87 973500770 夢百景:子供の見た夢 本メモのちょっとした間違いを訂正したので、今日付けの記事を書いていないのにトップページの「魔魅夢MEMO」の日付部分が変わってしまった。こういう時に限って書きたいネタもないし、都合よく面白い夢をみたりもしない。
仕方がないので、昔(9年前)息子が見たという夢の話でも書いておく。友達とプールに行こうとすると、おかあさんに「ダメ」と言われた。でも行ってしまった。するとおかあさんが大きくなって追いかけてきてスポーツセンターのプールを踏み潰して大暴れ。警察がやってきたので「あれは、おかあさんだから撃つのはやめてくれ」とお願いしたが、おかあさんは警官とパトカーも踏み潰してしまった。ちなみに妻は大柄でもないし凶暴でもない。息子と仲が悪いわけでもない。会社のビルと言っても当時私の勤めていたところは自社ビルではない。
おかあさんは街中のビルをどんどん壊し、おとーさんの会社のビルもドーンと壊してしまった。僕は友達と戦車にのって大砲を撃つと、おかあさんは倒れて、頭のコックピットが開いた。中からは悪い奴らがぞろぞろと出てきた。
終わり。
これを息子から聞いたときは家族中で爆笑したのだが、これを書いたのを妻が知ったら怒るだろうなあ。これだけ危険をおかして書いても、他人には面白くもおかしくもないと思われる。
ご寛恕を乞う次第である。◇
消費者ローン「レイク」のCMの「レイク・エンジェル」は「チャーリーズ・エンジェル」のパロディなのだね。リメーク版の「チャーリーズ・エンジェル」はキャメロン・ディアスはともかく、あとの二人はちょっとなあ。「レイク・エンジェル」の方がまだオリジナル版に近い雰囲気だと思うが、どうだろう。
当時「セックスシンボル」とまで言われたファラ・フォーセット・メジャーズはどうしているのだろう。 61.211.4.25 夢 86 973253362 蜘蛛の糸 大崎茂芳『クモの糸のミステリー』(中公新書)読了。
別に『スパイダーズ』を見たからではなく、以前から読んでいたのだが、うーむ。
アメリカ陸軍では鉄線より強い繊維を作る蜘蛛の遺伝子の培養を研究開発しているらしい。もともと蜘蛛の糸は力学的強さや弾性に非常に優れている。防弾チョッキの素材として有名なアラミド繊維やケブラー繊維の破断伸び率は4%程度だが、蜘蛛の糸の破断伸び率はなんと20%もあるという。
蜘蛛をスペースシャトルに乗せて軍事開発を行うという『スパイダーズ』の設定も、まんざら荒唐無稽ではないではないか。
202.238.111.2 本 85 973139257 『グロリア』 超のつく映画マニアのプロデューサーがいるNHK−BSの映画放送はいつもしぶいラインナップで感心させられるが、今回の「ハードボイルドな女シリーズ」はエンターテインメント路線。それでも『私がウォシャウスキー』から『グロリア』というチョイスはやはりしぶい。
2作品観比べると、後者が断然すばらしい。
キャスリン・ターナーの女探偵V.I.ウォシャウスキーはかなりのスーパーウーマンだが、グロリアの登場シーンは、疲れた中年女以外の何者でもない。
切らしたコーヒーを借りに行った隣家は、マフィアを裏切った会計士の一家で復讐される寸前。子供嫌いのグロリアは6歳の長男を託され、一緒に逃げる羽目になる。
逃走途中で最初に一泊したのが謎の豪華なマンション。しばらく前まで使っていたようだがグロリアの家なのかどうか判然としない。ここも次の日には追っ手がやってきて、またまた逃げ出す。子供と一緒に走ると息が切れてしまうような頼りなさで車もなく、たいして逃げないうちに組織の車に捕捉される。追っ手とかわす言葉でグロリアは連中と顔見知りだということがわかる。ただ突っ張っているおばさんだと思っていると、話が決裂した途端、すさまじい早撃ちで銃をぶっぱなす。敵の車は逃げようとして横転。謎のマンションと言い拳銃の腕といい、この女はなにもんだ?!
もちろん、マフィアと深い関わりのある女のわけだが、このあと子供嫌いの年増女と家族を失って頑なになった少年がすったもんだの逃避行、だんだん離れがたくなり・・という二人の心の交流、変化の綾は過不足なく描かれるが、その辺はまあお約束。
観るべきは、二人が逃げ回るニューヨークを映す見事な映像(撮影フレッド・シュラー)。強大な組織に追い詰められ常に張り詰めた緊張感の中にいながら、決して弱音を吐かないタフな女=ジーナ・ローランズ(本作の監督ジョン・カサヴェテスは夫君)の名演。ハイヒールの脚がかっこいい。
作中でジーナがとっかえひっかえする衣装はエマニュエル・ウンガロ。美しい色合いが、くすんだニューヨークの下町の背景に意外に良く映える。しかし、子供の方は着たきり雀なのはちょっと可哀想ではないかい。
ヒロインのフルネームに往年の名女優グロリア・スワンソンを使ったのはどういうわけなんだろう。本名ではない、ということを暗示してるのかな。
1980年の作品だが、昨年シドニー・ルメット監督、シャロン・ストーン主演でリメイクされた。リメイク版の例にたがわず、だいぶ外したらしい(観てはいないが) 61.211.4.154 映 84 973057138 格闘技イベント『PRIDE11』 柔道出身の小川直也が空手出身の佐竹雅昭に勝ったらしいが、実はあまり興味はない。むしろ、アントニオ猪木がプロデュースというところが、なんとも興味深い。幾多のスキャンダル、膨大な借金にもめげることなく、この男は不死身だね。
前田日明の年下の元師匠田中正悟氏、骨法の堀辺師範、正道会館の石井館長を、格闘技界三大うさんくさい男(私ではなく田中正悟氏が雑誌で自虐的に言っていた)と言うらしいが、三人束になっても、あざとさでは猪木の足元にもよれないでしょう。
ちょっと面白いスレッド→格闘技に関する懺悔・カミングアウト。お暇なときにどうぞ。◇
左の絵は絵日記のテスト。単に文書にリンク書いただけだけど、画像は別にアップロードしなければならないのがちと面倒。CGIの次期バージョンには画像をアップロードできる機能をつけようかな。
描くのに使ったのはフリーツールオープンカンバス。凄く軽くて立ち上がりが早いので、簡単なスケッチなどにはよさそうだ。◇
『喘ぐ血』読了。→レビュー。
202.238.111.2 闘 83 972958940 『怪物領域』改装も終わって さすがに2年も経つと、つぎたしつぎたしのコンテンツの不統一がなんとも気持ち悪いことになっていた。すべてのコンテンツをスタイルシートを使う形式に書き直したので、なんとか統一感が出たのではないかと思う。
修正したり新たに書いたHTMLが220弱。そのうち半分のギャラリー用HTMLとリンク集は、VBAで作った自動生成マクロを修正して一度に出力したので、さほど手間というわけではなかったが、それでも時間はかかった。
夜TVを横目にVAIOノートをいじれるのが長くて1時間半程度。それ以上やると楽しみではなく苦行になってしまう。
慣れてくると、同じようなレイアウトのHTMLはまとめてWZ-Editorで立ち上げて、「全WZ対象」の「全部置換」コマンドを駆使してまとめて修正できたので、結構能率は上がった。ツールに感謝である。
トップページは思ったより重くなってしまった。スケルトンの動く目のファイルが9つもあるので仕方がないが、訪問してくれる方にはなんだか申し訳ない。早いうちになにか別のを考えよう。来年の干支を考えると、蛇女?
懸案事項もとりあえずかたづいたし、このMEMOももう少しまめに書かなくては、と思ったら◇
『ER』の外科医ベントン役の俳優が亡くなった。ハロウインでふざけて撃つ真似をしたら、誤解した警官に撃ち返されたという。例の日本人留学生が「Freeze」がわからずに射殺された、同じハロウインの事件を嫌でも思い出してしまう。「平和ボケの英語のわからない日本人」だけが危険なわけではないじゃないか。ハロウインのようなオープンな祭りの精神と、常に銃が存在する社会とは相容れないんじゃないかい?
偶然にも、昨日の『ERV』の再放送はハロウインの出来事で、ベントンが幼き日の憧れの探偵に扮装してオープンカーで愉しげに恋人と笑いあうシーンで終わったのだよ。
やりきれんなあ。◇
気分直しといってはなんだが、日曜洋画劇場の『スパイダーズ』は面白かった。B級映画魂炸裂の「巨大蜘蛛パニック映画」。バカモンスター映画だが、SF者の琴線に触れるらしく、ネットではおおむね好評のようだ。代表的なのが『SFオンライン40号』。
やはりみなさん、ラスト15分の「超巨大蜘蛛都会で大暴れ」シーンと、「美人とはいえないがちょっとそそる女優の巨乳」がお気に入りのようで。(私も同じく)◇
『喘ぐ血』(祥伝社文庫)、『芸術新潮/伊藤若冲』購入。 210.159.89.145 網 82 972108755 沈黙・魔術師・処女の泉・叫びとささやき キネマ旬報の選んだ20世紀映画監督ランキング。
ふ〜ん、黒澤明とヒッチコックが一位。まあ、順当?(半疑問形)
イングマル・ベルイマンは?小林正樹は?など、個人的には不満もあるが、こんなものか。
このメモの題名はベルイマンの作品群。若い時はまった大好きな監督、ベルイマンについてはそのうちなんか書きたい。小林正樹は『切腹』や『人間の条件』が有名だけど、私の好きなのは『日本の青春』。藤田まこと最高の名演。
ティム・バートンが『猿の惑星』を撮るらしいけど、楽しみのような不安なような。原作のピエール・ブールは日本軍の捕虜になったことがあって、その体験から想を得て書いたらしい。あの猿は日本人か。なるほどなるほど。納得してはいかんか。◇
パラリンピック開会式の入場行進で、膝から下がない選手が腕立てでぴょんぴょんとはねてきて逆立ちで行進したのには度胆を抜かれた。色んな意味で。◇
ほら、大橋巨泉氏も言っているではないか。辞退した方がいいって。えいよしょー。◇
『江戸の役人事情』読了。→レビュー。
202.238.111.2 映 81 971680306 夢の続き 夢の話を子供たちとしてみる。どうも、なにか怖いものに追いかけられるという夢はみな見てるようだ。息子はそこそこ奇天烈な夢を見ているが、娘の方は現実に近い飛躍のない夢しか見ていない。
「どうしたら、おとーさんみたいな変な夢見れるんだろう?」
ふっふっふ、凡人娘よ、変人になりたかったら、修行あるのみなのだよ。
そんなことより一次関数でもしっかりやりなさい。明日から中間試験だろうに。
しかし、「変な夢」しか子供たちに自慢するものがない父親というのも、なんだかなではある。むむむ。◇
『玩具修理者』読了。→レビュー。
202.238.111.2 夢 80 971517659 夢百景:飛行する夢二題 非行する夢ではない。そんな歳ではない。飛ぶ夢である。
短い間に続けて空飛ぶ夢を見た。
最初は数日前涼しい夜に見た「シーツを抱えて飛ぶ夢」。
どうやらクリーニング屋らしきことをやっているらしく、デリバリーでシーツらしき白い布を抱えて走っている。ちょっと力をいれると足が浮く。そのままスーッと体を前方に倒して平行にして飛びはじめる。あまりスピードが出ないのと高さが人の背くらいなのがちょっと情けない。通行人の間をすり抜けるように飛び続けるが、人々もちらりと見る程度で表情は変らない。中東を思わせる石造りの街の乾いた空気の中を飛ぶのは気持ち良い。前方に土手が見えてくる。このままだとぶつかるので、力をこめて高度を上げる。怖いほど高くなって広い川面が見えたところで目がさめた。
タオルケットを抱えていた。
次は昨夜。「コーンに乗って飛ぶ夢」
コーヒーの出前をたのむとウェイターがコーン(円錐)に乗って飛んでくる。気がつくと私もコーンを持っている。円錐は暗い色の金属製で直径50cm弱、高さは60〜70cmくらいか。尖った方を下にして底面に乗ると飛びはじめる。シーツを抱えて飛ぶより、ずっとスピードが出て高さもある。スキーやスノーボードのような感じで体重移動すると方向や速度が変る。コーヒーを持ってきたウェイターだかウェイトレスだかと一緒に飛んで行く。行き先は夢なのでわからない。◇
松坂投手の密会時交通違反事件で、堤オーナーが球団社長と黒岩広報課長に辞表を出せと言ったらしいが、オーナーは責任なしかね。黒岩はメダリストだよ。なぜ悠々自適、(スケートの)後進の指導に専念、といった処遇を与えてやれなかったのだろう。松坂も自分の尻ぬぐいなんかさせてないでメダルの取り方を教わったらどうだろう。まあ黒岩選手も最初は失敗したけど。◇
『狂骨の夢』読了。→レビュー。
202.238.111.2 夢 79 971323171 高橋尚子に国民栄誉賞?! まったく。
いやあ面白かったけど重かった。文庫なのに千頁500g近くあるんだもんな。
「辞退の道もある」と陸連関係者が言ったそうだが、偉い!いいこと言うじゃないか。選考のゴタゴタは水に流そう(<えらそうに)
小出監督、お願いだから辞退してくだされ!
神の代理人アイテー森首相には、不肖私から「酷眠不名誉賞」を差し上げましょう。
てめーの都合で、うら若い才能ある女の子に窮屈な人生を押し付けるんじゃないよ!どうしても利用したいのなら、副賞に20億円くらいつけなさい。◇
畑山VS坂本(世界ライト級選手権試合)
9日のK1がピリッとしなかったのと比較して、実にきびきびした世界レベルの技術とはこれだぜ、といういい試合だった。スピード、戦略、テクニック全てで畑山が上回っていたけど、坂本のけれんみのないボクシングも好感持てたなあ。正対して豪腕を振り回すスタイルは魅力的なんだけど、いかんせん世界ならミドル級でももっとスピードがあるように思う。いくら頑丈でもスピードの乗ったパンチをあれだけまともに食らってはダメージが心配だ。坂本の方がナチュラルなパンチ力は上なのだろうが、畑山はよほど調子が良かったのだろう、ストレートもアッパーも踏み込みが良くてキレていたように見えた。
「(坂本の)壮絶な倒れ方を見ると、いつか自分もああなる、と素直には喜べない」という畑山のコメントは、他のスポーツでは聞けないボクシングならではのセリフと思うけど、ひいき目かな。
畑山がこれで引退するのかどうか知らないが、大一番を乗り越え、さらに坂本のようなディフェンスの甘いボクサーと戦った後の試合は往々にして危ない。辰吉戦のあとの薬師寺のようにならないことを祈る。
202.238.111.2 ス 78 971163884 NHK『腹話術師いっこく堂の挑戦』 ラスベガス公演の様子だが、聞きやすい英語で持ち芸を無難にこなしてたのはさすが。アメリカ向けにかなりベタな「日本」ネタで笑いも取れていた。憶測だけど、アメリカ側の作者がついたのではないかな。むしろ日本でやってるより場の雰囲気に合ってる感じ。前から技術はすごいけど、笑いのネタがもう一つなのが弱点だと思っていたので、いい作者と組むことで一皮も二皮もむけるのではないかと期待してしまう。スタンダードなギャグがスタンダードに受ける土地柄でもあるのかもしれない。
いっこく堂がゲストとして共演した、あちらの第一人者ロン・ルーカスが凄かった。いっこく堂が母国語でないハンディを考慮しても上には上がいるという印象。二人(+人形3体)でやった5声5体入れ替わり芸は圧巻。◇
訂正
先日書いた「黒澤明は国民栄誉賞を授与されていない」は私の大間違い。またメールで教えてもらった。どうも校正を、読んでくれている方に頼っている私の姿勢がいかんですね。(と言いながら、今後ともよろしくお願いします)
ということで、自分で調べてみたら(国民栄誉賞受賞者一覧)なんと漫画家では長谷川町子先生はもらっているのですね。なら、尚更「手塚治虫」は何故もらっていないのだ?!
まあ、理由は見当つくし、手塚治虫の偉大さと政府の賞などなんの関係もないことだし、この一覧に手塚先生の名がないことの方が吉かもしれない。
かの立川談志師匠は自分が言うことを聞く人物は大恩人の紀伊国屋の社長と尊敬する手塚先生の二人だけと言ってるけど、この方が名誉のような気がする。◇
水谷三公『江戸の役人事情』(ちくま新書)、小林泰三『玩具修理者』(角川ホラー文庫)購入。 202.238.111.2 TV 77 971065898 NHKスペシャル『高橋尚子・私の42.195キロ』 もちろん、保存版VTRをセットして見ましたよ。
「私にとって監督は親でもないし友人でも恋人でもないけど、一番私を理解してくれる一番身近な人です」
「監督の『良くやったな。強くなったな』という言葉を聞きたくて走りたいなと思う。勝つとまたあの言葉が聞けるかと思うとそれが嬉しい」
・・・・私が、例えば高橋尚子くらいの年齢の時に聞いたら「けっ、嘘っぽいな」とか「できてんじゃあねえの」などと反発したことだろう。しかし、ちょうど高橋選手と小出監督の中間位の年齢になった今聞くと、素直に「そういう人間関係ってあるんだろうなあ、うらやましい」と思う。私は残念ながらそんな人間関係を作れずに来てしまったけれど、ちゃんと作れて維持できる人々がいることを認めるにやぶさかでない。そういう人々を見るとまぶしいけれど、応援したいと思うのである。と言ってもTV桟敷で一喜一憂するだけだけどね。
ビデオには地震情報がバンバン入ってしまった。明後日の再放送で取り直すとしよう。
202.238.111.2 ス 76 971016529 『ホワイトアウト』 原作が面白かっただけに観るのを躊躇していたのだが、妻も原作を読み終わったのを期にやっと一緒に見に行った。
m@stervisionによれば、日本で冒険娯楽映画と呼べるのは『太陽を盗んだ男』『新幹線大爆破』『踊る大捜査線』の三つだけだということだが(映画を見なくなった私もなんと全て見ている)、この『ホワイトアウト』も十分この三作に並ぶ面白さであった。
さすがに原作者の真保裕一が脚本に加わっているだけに、加える所削る所が的確で、ラストもスケールアップされている。いや、このクライマックスシーンは予想がつかなかった。見事に映画的な脚色でした。
キャストは警察署長役の中村賀津雄がさすがの貫禄◎。主役の織田裕二、イメージが違うなと思っていたけどどうしてどうしてなかなかの○。敵役の佐藤浩一、原作とかけはなれた役作りは成功でしょう○。松嶋奈々子、どっちでもいい。
織田裕二、いわゆるトレンディ俳優から、一歩抜きン出たね。1ランク違うステージに立った感じ。
しかし、県警・警視庁はすっかり悪役のイメージが定着してしまったようだ。本作でもしっかり権威主義、セクショナリズムそして間抜けぶりを強調されておりました。
202.238.111.2 映 75 970910193 スターウォーズファントムメナスをまた見る というわけで、JBOOK特価のビデオを買ってしまい『SWエピソード1』を再見した。やはり映画の醍醐味は映画館で見なければ味わえない、というのを再認識したが、これはこれで細かいとこに気がついたりそれなりに楽しめる。もちろんナタリー・ポートマンの別嬪ぶりもである。
あらためて感じたのは黒澤明映画のオマージュとも思えるシーンが多々あること。特に帝国機械化軍とグンガ兵士との「合戦」場面に多い。霧(煙)の中から兵士が現れるのは『蜘蛛巣城』。両軍がひたひたと近づくのは『影武者』。丘の上に軍隊が現れるのは『乱』。
黒澤だけでなく、ポッドレースは過去のカーチェイスシーンよりも『ベンハー』の戦車競争を思い出させる。
念を押すまでもないが、これはスターウォーズを貶めているわけではない。上手な引用シーンを豊富に持つ作品は、それだけ面白さも味わいも豊かになる。そう言えば『ロストワールド』も過去の恐竜映画の引用が沢山あって、恐竜ファンとしては楽しい限りであった。
しかし、メダリストへの「国民栄誉賞」授与の噂が出ていたが、わが国は黒澤明監督に国民栄誉賞を捧げてはいないのだね。世界歴史の中で他国の文化に個人として影響を与えた日本人は、北斎などの浮世絵師を除けば黒澤監督ぐらいではなかろうか。歴代のノーベル文学賞受賞者も影響力という面では比較になるまい。戦後世代の未来観に最大の影響を与えた手塚治虫でさえも、国民栄誉賞や叙勲には縁が無かった。国民栄誉賞とはすなわち「不人気内閣人気スポーツマン芸能人あやかり賞」とでも呼ぶべきものだということが、良くわかる。◇
以前、オリンピックに関して書いた中で、女子マラソンのアメリカ代表の成績を48位と書いたが19位の間違いでした。完走者でさえ48人に満たないのだから失礼な大間違い。ここに訂正します。
スポーツイラストレイテッド誌のサイトで確認したのだ、もう一つ気がついたことが。米国はマラソンも42.195kmではなく、26.2(だったかな)マイルと表示するのだ。なんとも頑なことだ。マラソン発祥の地ギリシャでは、なにかキリのいい単位で表わされるのだろうか。
210.159.89.78 映 74 970639635 私も時代遅れだが、この人よりは いつも使ってるインターネット本屋JBOOKから会員限定の特価ビデオ&CDの案内が来た。スターウォーズ・ファントムメナスやマトリックスが980円などだ。どうもこれは、売れ筋がDVDに移ったソフトの投売りくさいが、どうだろうか。意外とメディアの選手交代は早いかもしれない。いまだにDVDはおろかMDも持っていない私は、大量のベータのテープとLP盤を抱えて途方にくれるのであった。
SONYがはじめてCDを発表したときは「これは売れる」とは思ったが、まさか1年あまりでLPを駆逐するとは夢にも思わなかった。媒体4千円弱デッキ5万円台というプライス戦略の勝利でしたな。◇
メダリストへの銀杯授与式で、われらが神の代理人=森首相は水泳の中村真衣さんに「あなたはプールで見るよりきれいだね」と言ったそうだ。お世辞のつもりなのだろうか。ノナカ、この恥撒き散らしマシーンを早く辞めさせてくれ!プリ〜ズ!
かわりにカメイというのはナシよ。◇
『社会調査のウソ』読了。→レビュー。
202.238.111.2 時 73 970376890 やはり、娘の中学校の運動会よりオリンピックの方が面白いぜ ということで、やっとのことでボクシングが見られた。日本人が全く活躍してないのでほとんど中継がなかったのだ。
なんとUSAは一つも金メダルがないのだね。地元とはいえロスでほとんど金を独占したことを思うと昔日の感があるなあ。自国の英雄ステベンソンに並ぶヘビー級を三連覇したサボンを擁するキューバが圧倒的だ。残りはウズベキスタン、カザフスタンと言った旧ソ連勢が強い。それは別に良いのだが、共産圏の連中はプロに転向しないのが残念だ。米国が強かった頃はアリ・フレイザー・フォアマンと金メダリストがプロの世界一も続けて獲得してきた。見る方もメダリストがプロでのしてくるのを見守るのが楽しみだったものだ。ステベンソン対フォアマンとか、サボン対タイソンとか、見たかったなあ。ロッキー4の比ではない激戦が見られたかもしれないではないか。
三人のジャッジが同時にボタンを押すとポイントが加算される「コンピュータ採点」もクリアでなかなか良い。ビッグパンチやダウンに差をつければ、プロにも導入できると思うな。「ラウンドの優劣」などというあいまいな採点基準で「疑惑の判定」などと言われるよりずっといい。◇
さて、中年オヤジとしては、閉会式を前に私的ミス五輪をまとめておくべきだろう。
と言っても私の思い入れを優先するので、いわゆる美人ならもっとモデルタイプが他に沢山いるが、そのへんは男性週刊誌の特集を待ちたい。新体操、体操と言った美貌が勝つ要素に含まれる(に違いない)競技も省く。
ベスト10といきたいところだが、ここは五輪っぽくベスト8、愛国心を発揮して日本4人、外国人4人。順不同。敬称略。
◎高橋尚子(マラソン)
もうコメントはいらないでしょう。過去の記事参照のこと。
◎山口衛里(マラソン)
もう一つ垢抜けないけど、顔だちは綺麗。磨けば光るタイプだと思うけど、どうだろう。コスチューム、一考してくれると嬉しい。本人は決められないのかな。
◎楢崎教子(柔道)
人妻の魅力ですな。凛々しい、涼やか、と言った言葉が似合う美貌。
◎佐伯美香(ビーチバレー)
ミス・トラバーユ。涼しい目元。日焼けした肌の下の美しい筋肉。コスチュームはもちろん言うことなし。
◎アルタモノア(バレー・ロシア)
日本のリーグでも活躍していたスーパーエース。190cm超の頂に鎮座する愁いを帯びた美貌は何ともいえない。特に左顎の黒子がなんとも色っぽいので、向かって右コートの時が見逃せない。
◎シャシコーワ(バレー・ロシア)
アルタモノアの同僚。すっきりしたボーイッシュな美貌。すらりとしたバランスのいい体つきは、見た目もさわやか。妻曰く「看護婦さんにいそう」
◎オッティ(陸上短距離・ジャマイカ)
ブロンズ・コレクターと言われたベテラン。薬物疑惑もあったが、40歳にしてブロンズ彫刻のような肉体は見事としか言いようがない。
◎ドレクスラー(走り幅跳び・ドイツ)
マリオン・ジョーンズを破った35歳。11歳の息子がいる金髪長身の肉体は、過ごしてきた年輪を感じさせて、しかもしなやかに跳ぶんだからすごい。
もう一人選手外から
○有働由美子キャスター
例の疑惑の判定に涙をこらえながらきちんと伝えた。ゴルゴルゴルの某アナウンサーやしょうがないんじゃないですかの某選手に比べて株を上げた。
野球選手との熱愛を報じられながら、追いかけられる時期にはシドニー、というタイミングの良さも抜群。
さて、祭りは終わりぬ。
202.238.111.2 ス 72 970108257 アリジゴクと岩壁画の国『砂の魔術師アリジゴク』読了。→レビュー。
*
現在オリンピックが行われている国オーストラリアは、言わずと知れた有袋類の国だが、乾燥地帯であるがゆえにアリジゴクの王国でもあるらしい。後半著者、が自説の実証を求めて訪れたオーストラリアでの研究滞在記が面白い。五輪中継や観光案内とは一味も二味も違ったオセアニア大陸の自然風土を紹介してくれる。
思えばオーストラリアはイギリスから流刑者の送られる辺境の島であったのだね。江戸時代の八丈島みたいな位置付けだ。もちろん入植者の方が多かったのだろう。先住民アボリジニの部族は、土地を求めるヨーロッパ人に殺されたり、彼らが持ち込んだ天然痘・麻疹・結核などに抵抗力を持たないためこれらの疫病にやられたり、多くが絶滅に追いやられた。先進国=人道的で清潔、後進国=蒙昧で不潔、という図式が幻想であり、むしろ逆であることが良くわかる。キリスト教の神の愛とやらは異教徒のアボリジニには及ばなかったらしい。現代のオーストラリアはどうか。聖火最終ランナーにアボリジニが選ばれたことに根強い反感があることが報道されている。根強いのは白人の差別意識か。自分たちだけが神の子であるか、少なくとも神の長子であると思っている白人が多いのだろうなあ。自分の国だけが「神の国」と思ってる指導者を持つ国も一緒だって?まさしく。
この岩壁画を見てアボリジニの5万年の歴史と文化に思いをはせる。
しかし、この絵、「籠を背負う女性」というより「人間の足を持つカマキリ」に見えるのだが。◇
- キューリのQちゃんが好きだから
- 訳のわからない行動をするのでQuestionのQちゃん
- アルバイトでダイアルQ2の仕事をしていた
- 九官鳥の九ちゃんを飼っていた
- 本籍がキューバらしい
- スタートする前に、いつも坂本九の「上を向いて歩こう」を聴きながら踊るから
- 年齢が9才だから
- バストがQカップ
- お灸好き
スレッドはまだ続いているようだが、さすがにネタぎれかな。笑わせてもらいました。
202.238.111.2 本 71 970050522 五輪拾遺 だれか、意外性のメダルはいないかと思っていたが、でたね。レスリングの永田選手。ノーマークで銀メダルは凄い。日本人はグレコローマンスタイルは元々弱いんだよね。フリースタイルはどうだろう。高田裕二や富山がいたころは他国の選手が恐れて他の階級へ逃げると言われたくらい強かったのだが。彼らもモスクワオリンピックボイコットの被害者。
ドーピングで女子体操の金メダルを剥奪されたルーマニアは、2、3位までも返上する上、剥奪された当の選手は体操やめるそうな。温厚な日本人としては、そこまでしなくてもと思うけど、柔道の例の大誤審などはこのくらい(ポーズでも)怒っても良いのかもしれない。歯切れの悪い男性役員にくらべ、女子の山口香コーチの抗議の声はガンガン響いてたなあ。もともと美声だが夫君は英国人だし英語での喧嘩には慣れてるのだろう。頼もしい。
田村亮子バッシングがYahoo掲示板などで起きている。色々言われる要因はたしかにあるのだろうが、容貌をあげつらうとはひどい話だ。「やわらちゃん」と呼ばれたのがまずかったのかもしれない。本人が言い出したわけでもないのに、漫画の猪熊柔と比べてどうだこうだなどといういかにもオタクな輩が世の中にはいるのだねえ。なんとも非生産的なことだ。
そこへいくと高橋尚子は「Qちゃん」=オバQだから、安心だ。あだ名の由来には諸説あるけど、一番まゆつばで一番面白かったのは、尚子の「尚」の字が毛が3本のオバQに見える、というもの。う〜む、たしかに見える。
高橋の金メダルは米国でもかなり話題になっているらしい。米国選手の最高は48位だというし、陸上王国アメリカとしては気になるところだろう。
金沢イボンヌを見ていると、日本人は白人や黒人には勝てないなんて言ってるのが馬鹿馬鹿しくなってくる。「日本人」という人種はいないのだから、どんどん白人や黒人や混血の日本人が増えてくればそんな問題自体が存在しなくなってしまう。クリスティン・ヤマグチやミッシェル・クワンも米国人だし。
一番いいのは世界中で混血が進み、人種的特長と国や地域が一致しなくなってしまえば、現代の争い事のいくつかはなくなってしまうことだろう。もちろん簡単にはいかない。「人種のるつぼ」と言われる米国も全然「るつぼ:melting pot」ではない。なぜなら全然melt:溶けあっていないから、という話も聞いたことがある。◇
京極夏彦『狂骨の夢』(講談社文庫)、谷川健一『日本の神々』(岩波新書)購入。
202.238.111.2 ス 70 969860102 今日も続く高橋尚子ネタ だって可愛いじゃん。
女子マラソンの表彰台、笑顔を見ながら「う、か、かわいい・・」。それはともかく、黄白黒と綺麗に三人種が並んだ表彰台だった。IOCは五輪を象徴する映像として、この表彰シーンを使うのがよろしかろう。
しかし、スポーツ新聞の一面がのきなみ「巨人優勝」なのはどういうわけだ?かと思うと何年か前のヤクルト優勝の翌日の一面は「貴ノ花宮沢りえ婚約」だったし。新聞社のマーケティングが良くわからん。読者をなめてるのだろうか。
関西のスポーツ紙(もちろん報知を除く)はマラソンが1面だそうな。これも阪神が優勝だったらそうはいかなかったろう。ん、陸上の金メダルって、阪神優勝よりひさしぶりなんだ。やはり凄いことだと、また実感。
当日のテレビ朝日の中継はCMのあまりの多さに抗議電話殺到だそうな。民放だから仕方がないが、競技の性格上CM挿入ポイントの難しいマラソンは、NHKが担当するべきですな。
私はいつも通り泥のように寝坊したので、結果はわからないようにしてNHK衛星の録画中継(もちろんノンCMの完全放映)でじっくり観た。大正解。NHKハイビジョン放送は情報量も多くて(アップダウンの数値なども出たらしい)もっと良かったらしいが、これは仕方がない。
増田明美のきれいな声の解説も、ツボを抑えた出しゃばりすぎない、いつもながら好感のもてるものだった。(もちろんアトランタの宮原解説者と比較してるわけだが)
一度あの松野明美の、スーパーハイテンションな解説というのも聞いてみたいような気がするが、しかし、すごいだろうな。もしも実現するなら高橋尚子の出ていないレースにしてもらいたいものだ。
ライブ感覚はこのYahooの掲示板のチャットと化した実況中継を読むと、不思議と臨場感が味わえる。ゴールの瞬間の大量の書き込みのところにくると、感動がよみがえってじわっときたりする。う〜む、高橋ファンは多いのだね。
Yahooの掲示板からちょっと面白いのを転載。(トピック「高橋尚子は金メダルとれる?」 のメッセージ113)TBSに出るらしいが・・・ククク、同感。
モーニング娘がとぼけた質問するんだろうな・・・やめてもらいたい、つーか同じ空気吸ってもらいたくない。◇
昨日のミス五輪、シンクロダイブのスイスの選手と書いたのは、三段飛びの金銅の選手を見たら、ちょっと勇み足だったようだ。もう、どうでもよいけど。◇
さて、そろそろオリンピックネタも終わりにしよう・・・・と思ってはいるが、はたして。
61.211.4.25 ス 69 969775368 高橋尚子の肉体 高橋尚子は今回のオリンピックで私がひそかに一番応援していた選手。(二番はビーチバレーの佐伯美香さん)なぜ自分が走っていないのに心臓がバクバクするんだと思いながら見ていたが、終わり良ければすべて良し。笑顔も見られ嬉しそうな声(好みの声質)も聞け、余は満足である。
サングラスをかなぐり捨てて一気にスパートし相手を引き離したところなんて、ぞくぞくしてしまった。だいたい日本の女子陸上陣のコスチュームの地味さというかダサさというか気に入らないのだが、そのハンディにもかかわらず、高橋の胸を反らした腰高のフォームには官能性を感じる。汗臭さや暑苦しさと違う、肌の香りや息づかいが伝わってるような気がするのだ。助平な妄想であることはその通りだが、レース後のインタビューで本人が「自分の体と対話しながら機をうかがっていました」と語っていたのを聞いて納得した。42.195kmを走りぬく過酷な肉体の内側に潜む繊細な精神。それが精密機械のような走りの外側に滲出して、ある風情となって私に伝わってきたのだろう。(妄想妄想)◇
そろそろ私的ミス五輪が気になってきたが、美貌はシンクロナイズド・ダイビングのスイスの代表がとんでもない美人であった。モデル顔なので魅力を感じるというわけではないのだが、美人度は抜群。成績もあまり良くなかったので、もうTVに映ることもないだろうと思われるのが残念。
スタイルというかナイスバディ度は、陸上100m4位のオッティ選手の素晴らしい肉体がわたし的には一番。なんと4度目のオリンピックで40歳だというのだから驚きだ。
女子百景で描いているブラックビューティなシリーズはこの人が一つの理想である。 210.159.89.82 ス 68 969677818 今日もオリンピック二題 柔道の誤審は悪意というより審判の能力の低さが原因らしいが、ひどいものである。思い出すのはボクシングで見たあまりにひどい二人の審判。
ガッツ石松が世界ライト級に挑んだ試合。チャンピオン、ロドルフォ・ゴンザレスに見事な右を当ててダウンさせた。これをレフェリーはスリップと宣言し、グロッギーで立ち上がれないゴンザレスの両手を持って無理矢理に引きずり起こしたのである。もちろん石松は続くラウンドできれいにKOしてベルトを奪取した。そのあと解説席に現れた石松の奥さんは、その別嬪ぶりでわれらを瞠目させた(美女と野獣!)のだが、それは別の話。
二人めは審判というより運営スタッフだが、世界フライ級チャンピオンだったユーリ・アルバチャコフがタイで行った防衛戦。ユーリは現地の挑戦者を得意のピンポイント・クロスでダウンさせたが、かろうじて挑戦者が立ち上がった途端、ラウンド時間は30秒も残っているのにゴングがなってインターバルになってしまった。その上通常1分のインターバルが今度は1分30秒もある。差し引き、開始時間は一致したわけだが、あきらかに挑戦者のダメージの回復を狙ったあからさまなインチキ行為だ。そんな妨害をものともせず、ユーリは着々とパンチを当てて結局KO勝ちで敵地での防衛に成功した。
石松の奥さんになぜ驚いたかというと、彼がチャンピオンになってからのいわゆる「トロフィーワイフ」ではなく、無名時代にしっかり美人をゲットしてたというその手腕というかマジックというか、とにかく感心してしまったのだ。奥さんの方に見る目があったということか。◇
インドアバレーからビーチバレーへ転向した佐伯美香選手の心境は、大企業をリストラされてベンチャー企業に入り、世界中に出張してがんばってたら会社は上場ボーナス十倍、元いた会社はバブルがはじけて倒産寸前、ああ良かった、ってなとこだろうか。
佐伯選手の試合ぶりは今回の日本選手の中ではビジュアル的には一番。もちろん極私的意見。◇
『江戸バレ句戀の色直し』読了。→レビュー。
尻で書く のの字は 筆の遣ひやう210.159.89.82 ス 67 969594897 骨太な美女たち 柔道100kg級、井上康生、たたずまいやエピソード(涙の父母物語)とか、まあ、なんというか、見てる方聞いてる方が気恥ずかしくなるような旧態依然たるテイストで、困ったもんですが、強いのはめちゃくちゃ強いなあ。文句のつけようがない。
すべて一本勝ちで、しかも決勝で一番見事に内股を決めるなんてのは、並みの役者ではありません。あのシーンは何回見てもエクタシーを感じるほど小気味よい。これぞ柔道。
3回戦の相手などは、引き手を取られるのを嫌がって自分で自分の襟を持って遠ざけてた。まるでわざと胸を見せてるようで気色悪かったけど、それほど怖かったと言うことだろう。
たたずまいといえば競泳銀メダルの中村真衣選手はいいです。浅香光代を若くして大きくしたようで、豪快でかっこいい。快進撃のソフトボールの抑えの投手、高山選手もすごい。プロレスの橋本真也の妹だといっても通用しそうな風貌は、威圧感たっぷりで女性版大魔神の称号が似つかわしい。
う〜む。開幕する前はさほど興味なかったけど、いざ始まると観ちゃいますなあ。長野のときもそうだったけど。◇
『デモンシード』読了。→レビュー。
202.238.111.2 ス 66 969502626 骨がきしむ 昨日の柔道、吉田秀彦の試合。投げられたのを防ごうとしてついた肘が逆に曲がるシーンはさすがに目をそむけてしまった。かわいそうに。どんな関節技より、ああいう事故がこわい。田村亮子も泣いただろうなあ。
私が数年前肩の骨折で入院したときも、同室に脱臼の患者さんは結構多かった。脱臼自体はすぐ直っても、傷つけた筋肉や神経の回復に時間がかかる。一番重症だったのは股関節脱臼の若いあんちゃん。彼女と歩いていたところ数人の男と喧嘩になり、投げられそうになったのでふんばったら抜けてしまった(!)ということだが、自由度の高い肩関節と違って、股関節は骨頭が腰骨に3分の2以上しっかり嵌まっているのでそう簡単に外れるものではない。レントゲン写真を見せてもらうと、骨が細く骨頭も小さい。「ふんばっただけで抜けちまうんなんて情けない」と言っていたが、若い人は背の高くてかっこいい反面、骨が細い人が多いようだ。
なにしろ命にかかわる病気ではないので、笑いの絶えない明るい病室で、それぞれのレントゲン写真もベッド脇に置かれていて自由に見ることができた。肩や鎖骨の患者同士で写真を見せ合って、手術のビスの頭がプラスなのを発見したりして大笑いしたものだ。そのときの20代前半の若い人の骨は、みな私の4分の3位の太さしかないように見えた。別に自分の骨太自慢をしてるわけではなく(骨折するくらいだから同世代ではたいしたことないのだろう)世代で確実に肉体が変化してることを実感したということである。
骨は栄養や日光浴も大切だが、肉体労働などで負荷がかからないと太くはならない。柔らかく脂っこいものばかり食べて、交通機関の発達した環境では、骨太の底力のある肉体にはなりにくい。今後ますます日本のメダル獲得は難しくなりそうな気がするが、間違いだといいなあ。◇
『デモンシード完全版』読了。→レビュー。
202.238.111.2 闘 65 969342057 続・業(わざ)あり二題 オリンピック(国際試合)の柔道は、日本国内の試合と違って、あまり柔道らしくない技が見られるのも楽しい。裏投げ、すくい投げ、諸手刈り、関節技。田村亮子が金メダルを獲った日、別の女子選手の戦いで珍しいシーンを見た。
完璧に腕十字固めが決まったが、解説の方が「女子は柔らかいので決まらないかも」と言ったとおり、決められた方が自分の肩を中心にグルグルまわって外そうとする。外すまでは至らなかったが、結局「待て」の声まで粘りぬいてしまった。ちょっと肘を確認しただけで戦いはじめたから、たいしたダメージではなかったようだ。
「サル手」の持ち主がいるとか、グレイシー柔術のだれそれがそうだ、とかは聞くけど、実戦で見たのは初めて。ああいうのはトレーニングより持って生まれた体質なんだろうなあ。女子の柔道選手では珍しくないのだろうか。◇
日曜日に見た京劇の『孫悟空』で、悟空が術をかける前に、必ず「アマミフ!」と呪文?を唱える。「カメハメハ」みたいな感じだが、はじめて聞いた。漢字はアは「阿」フは「呼」。あとはJISになくて表示できないけど、マは女偏の難しい字、ミは「口」偏に「米」だ。
岩波文庫の『西遊記』でも読んだ覚えないし(それとも出てるのだろうか?)どんな意味なんだろう。気になる。知っている方がいらっしゃったら、教えてください。◇
『影が行く』読了。→レビュー。
大崎茂芳『クモの糸のミステリー』(中公新書)、渡辺信一郎『江戸バレ句戀の色直し』(集英社新書)購入。
202.238.111.2 闘 64 969182651 業(わざ)あり二題 田村亮子の決勝戦。もちろん金メダルはめでたいが、見る側としては全盛期を思わせる切れ味の業を見せてもらえたのが嬉しい。相手が仕掛けてくる組みぎわの内股といういかにも田村らしい技。はじめて注目された十年前の福岡国際女子の「内股すかし」を思い出してしまった。
60kg以下級優勝の野村選手の「隅落とし」もこれぞ「やわら」という見事さ。相撲だと下手ひねりか上手ひねりか。
いやあ、いい仕事見せてもらいました。◇
池袋の東京芸術劇場に京劇『孫悟空/大鬧天宮 』を見に行く。中国湖北省京劇院の公演。と言うより、主役の程和平の見事な演技と信じられないような体技のワンマンショーと言っていい。どんなに凄いか表現のしようがないが、ジャッキー・チェンと池谷幸雄と染之助染太郎(の肉体労働担当の方)を足して3で割って2掛けたような体技に、唄と演技も半端じゃなく出来るのだから、錦織健と勘九郎を足したようなものか。(
中ホールだったので、大道具などはかなり手抜き気味だったが、衣装のビジュアル面の鮮やかさは素晴らしい。如意棒一つも黒と銀のスタイリッシュなのと銀一色のとを場面に応じて使い分けたり芸が細かい。天女役の女性が京劇では珍しく脚線美を披露してくれたのも得した気分。
いやあ、いい仕事見せてもらいました。 210.159.89.78 闘 63 969080168 観客席の人 シドニーオリンピックの開会式。マシントラブルにハラハラさせられたけど、水の中から聖火が灯る演出は秀逸だった。それでもバルセロナの、火箭という原点に還ったような素朴な感動はなかった。最後まで隠された最終ランナーの正体(アボリジニ女性選手)も、アトランタのモハメド・アリの感動にはさすがに及ばない。
そのアリの姿は観客席にあった。傍らには幼なじみだった4人目の伴侶がよりそい、20世紀最大(最強かどうかは知らない)のアスリートは平穏な時をすごしているように見える。静かに観戦するという状態だったこともあるだろうが、パーキンソン病特有の体のふるえも見られないようだ。不治の病とされていたが、近年随分治療法も進歩したと聞くし、アリの肉体が良い状態にあるなら結構なことだ。
こちらも心がそこはかとなく暖かくなり、気持ち良くTVをオフにすることができた。アリに何度目かのありがとうを言おう。
それにしてもオリヴィア・ニュートン・ジョンはなんであんなに若いのだ。
210.159.89.93 闘 62 968990062 幻想の未来 東海地方の水害は一段落ついたのだろうか。水はひいても、亡くなった方はもちろん、失われた財産生活手段はもどってこない。こちらの公共事業なんぞ少々やめても大規模な救済予算を組んだり、こういうことに税金を使ってもらいたい。もちろん三宅島にも。
たかが水害なのにと思う。不謹慎な意味ではない。もうすぐ21世紀なのに、と思うのである。巨大なロボットが現れ吸水マシンを駆使してあふれた水をあっと言う間に処理してもよさそうなものではないか。台風の進路ぐらい制御できても罰は当たらない。
しかし現実の、20世紀末の日本の、人類の科学力はこんなものだ。素人が簡単に言うんじゃない、と笑われるかもしれない。でも、人間は月に行ったこともあるんだよ。しかも30年以上昔のことだ。今の若者が生まれてもいない頃である。当時、1970年より早く人類が月に到達すると予想する科学者やマスコミはほとんどいなかった。しかし、アメリカが(ソ連との競争という要素もあり)富と力を結集してやりとげたのだ。この科学技術の進歩のスピードに人々は驚き、21世紀にはどんな予想もつかない技術が花開き、ばら色の未来が待っているかと夢想したものだ。
そして今、21世紀目前である。身の回りの21世紀らしいものと言えば、インターネットと携帯電話、後はカーナビくらいのものか。カー本体は化石燃料を燃やして21世紀も走り続けるらしい。月到達のときと逆の意味で全く予想ははずれたわけである。
人類の潜在能力は本当はもっとあったのだと思う。世界がもっとその気になっていれば、30年前に夢見た21世紀を実現することも可能だったろう。宇宙旅行も災害復旧も交通手段もそうだし、世界中の貧困や病苦もいささかなりと解決できたかもしれない。しかし、そうはならなかった。人々のエネルギー・富・能力は違う方向に使われたのだ。
アポロ以後、世界経済の牽引車たるアメリカの国力はベトナム戦争や冷戦に費やされた。ソ連を始めとする共産圏崩壊以後も、民族戦争や宗教戦争は終わらずむしろ激しくなっている。失われた30年はもう返ってこない。「人類の進歩」は21世紀から22世紀に先送りされたようだ。
それとも、「人類の進歩」という考え方自体、幻想だったのかもしれない。◇
『悪への招待状』読了。→レビュー。
210.159.89.94 科 61 968651119 夢百景:フクロムササビ と言っても可愛い夢ではない。書くのに躊躇するような馬鹿馬鹿しい夢であるが、書かないのももったいないので書いてしまおう。
最近読んだ中では出色の面白さ。
一人ベランダに立って外を見ている。抜けるような気持ち良い青空である。なんだか股間が涼しいのでたしかめてみると、フクロというか玉というか、はみ出している。夢の中でなにを思ったのか、右足をあげて足の指でフクロの皮をはさんで足をおろすと、はさまれた皮膚は下まで伸びるではないか。左足でも同じことをすると痛みもなく素直に伸び、股間から二等辺三角形状に広がった。次に、足ではさんでいるのはそのままにして、両手で上側をつかんで上に引っ張ってみる。これも難なく伸びてシーツのような長方形を形づくる。今度はその態勢のままベランダから外へ飛び出してみる。2、3階分落ちたところで、風にふわりと乗り、ゆるやかに飛び始める。いつのまにか周りは何十階もある高層マンションだらけになっている。それらの建物のたくさんのベランダから、大勢の男たちが次々と私と同じように空中に飛び出してくる。青空を背景にファンタジックな光景だが、まるで大きな油揚げが何枚も飛んでるようで、間抜けな光景でもある。夢の中では別に間抜けともなんとも感じていない。
それだけである。夢分析などしてはいけない。寝る前に息子と娘相手にしゃべった下らない冗談をそのまま夢に見ただけなのだ。子供たちはお説教よりこの類の禄でもない馬鹿話に迷惑しているかもしれない。まあ、許せ。
202.238.111.2 夢 60 968212486 ダーマとフーテン TVは良く見てるが「ドラマ」というのはほとんど見ない。古畑任三郎の再放送も終わってしまったし。かかさず見ているのは『ERV〜緊急救命室』と『二人は最高!ダーマ&グレッグ』の二つだけ。
『ダーマ&グレッグ』は、ギャグのたびににゲラ笑いが入るタイプのコメディで、ヒッピー娘とヤッピー青年というアンバランスな夫婦の話。ダーマ役のちょっとシャーリー・マクレーンに似たベリベリキュートな(身長180cmの)ジェナ・エルフマンは、エミー賞ノミネート&ゴールデングローブ賞受賞のバリバリのコメディエンヌだ。
何週か前にダーマがお店をはじめるという話があった。ヒッピーの友人と内装外装楽しく準備を進めるのだが、肝心の「何を売るのか」は決めていないし、決めようとする気配もない。エリート検事で常識人の夫グレッグは理解できず必死に忠告するが、ダーマも友人も耳を貸さず、そのまま開店の日を迎えてしまう。売るものは何もないが、それでも近くの駅の時間待ちに使ったりする客などが入ってくる。だれかが新聞を注文するとダーマが「誰か新聞持ってる人いない?」と声をかけ、持ってる客(?)は心よく欲しい人にあげるというシステム(?)。
数日のうちに満員の盛況になるが、売上はもちろんゼロ。グレッグはあきれかえるが、ある日ダーマが「お店はやめたよ」と言う。やっとあきらめたかと思ったら「(有名な)チェーン店があそこの権利を売ってくれっていうから売ったの。儲かっちゃった」。言葉のないグレッグ。「ビジネスって面白いねえ」というダーマのセリフで落ち。
これで連想したのが、ネット上の個人のサイトに「おたくのページにバナーを貼ってくれたら売上のン%を進呈」なんてDMが舞い込むケース。ちょっと違うかな。しかし、だれでもTV番組のようなコンテンツが作れて人気が出れば広告の対象になる、というのはいい時代ではある。広告を断る楽しみもあるし。
『ダーマ〜』に話をもどすと、「ヒッピー」という言葉はまだ死語ではないのだね。日本の新宿界隈に昔「フーテン」という「族」がいたのを、どのくらいの人が知っているだろうか。寅さんではないよ。
61.211.4.25 TV 59 968040055 少しだけ時事ネタ 昨日は防災という名の軍事訓練でやかましいことこのうえなかった。石原大将軍の「自分の国は自分で護る」はいいけどさ、潜水艦沈んでも「わが国だけで救助できる」とつっぱったどこやらのプーチンと言い草や発想が似ているね。三宅島被害を尻目にバカンスというのも一緒だし。阪神大震災の時に検疫を理由に救助専門犬の入国に足止めを食わせた輩もお友達だな。
なんでもいいが、護るべき対象は「国の民の生命生活」であって「国の誇り」とか「国の面子」とかではないということを「日本軍」に徹底させてもらいたいものだ。◇
「フジっ子煮」に青カビで回収だそうだが、「青カビ」や「黄色ブドウ球菌」は回収はもちろんシステムの徹底検査までやらねばならないだろうけど、「虫」や「ボルト」の一匹二匹で全面回収までする必要があるのだろうか。
この前の続きになってしまうが、私の嫌いな言葉に「あってはならないこと」というのがある。「あってはならない」って言ったって、人間間違うときは間違うものだ。それを「間違ってはならない」とするから、間違いを隠す隠蔽体質が直らない。「原発は絶対安全」と言い張るものだから、「事故のときの対策」を事前に考えておくことができない。住民も「事故のとき」という前提に拒否反応を示すだろう。「絶対安全って言ったじゃないか」と言ったって原爆コンロが絶対安全のはずがない。
例えば、この程度のことで一々クレームをつけてはいけない。
逆に、こんなことがあったら勇気を出してクレームをつけよう。
202.238.111.2 時 58 967812750 少しだけ映画の話 映画『ホワイトアウト』は出足好調らしいが、出来もまずまずのようだ。早速観てきた妹に聞くと、原作に忠実なのはいいが時間の制約からどうしても説明不足の部分が多いらしい。原作を読んでから観るのが吉ということですな。原作は間違いなく傑作です。
私が最も信頼する映画評サイト「m@stervision」で『ホワイトアウト』を「クリフハンガーなダイハード」と評していた。これは私の読了記の原作の方のレビューと同意見です。なんだか、ちょっと嬉しい。◇
BS2『大船撮影所の64年』。要するに松竹映画史。これが東宝だと黒澤明、ゴジラ、とわかりやすいが、松竹なので小津安二郎、木下恵介、大島渚、山田洋次というラインナップ。
「寅さん」で終わるかと思ったら、ラストは吉原公三郎監督新藤兼人脚本の名作『安城家の舞踏会』に戻って終わるという渋い構成。戦後没落してゆく華族の一家が最後に開いた舞踏会というロマンティシズム。父親役の瀧沢修と娘役の原節子のダンスシーンはヴィスコンティの『山猫』のバート・ランカスターとクラウディア・カルディナーレのダンスシーンに匹敵する。考えて見れば『山猫』も滅びゆく貴族の話であった。
「伝説の女優」原節子の主演映画は、昔名画座で小津や黒澤の監督のを何本か見たことがある。若いときはわからなかったが、ひさしぶりに原節子を見ると、実に大女優のオーラを発している。その輝きは日本女優史上でもたぶん一番だろう。いまどきのタレントさんはもちろん及ぶべくもない。
うむ、なんとも爺むさい意見であるな。自分がこんなことを書くようになるとは昔は思わなかった。まあいいけど。◇
井波律子『中国のグロテスク・リアリズム』(中公文庫)読了。
小林恭二『悪への招待状』(集英社新書)、古典SFホラーアンソロジー『影が行く』(創元SF文庫)購入。
202.238.111.2 映 57 967255314 瑞穂の国 「日本は米が主食なのにジャパンで、パン食のアメリカが米国なのはなんでや」というのは昔の漫才のネタ。
アメリカの独立記念日の人気イベント「ホットドッグ早食いコンテスト」で、TV東京「TVチャンピオン」御一行の日本人三人が上位を独占してしまったのは、まあ快挙と言っていいのだろう。前夜祭でニューヨーク市長が挨拶するほどの「伝統ある」イベントなのだから、当地の新聞が「我々の独立記念日が三匹のポケモンのために憂鬱な日になってしまった」と嘆くのも無理はない。
アメリカの前チャンピオンは195cm180kgの巨漢。それが日本の50kgの若者や40kg台の女性に全然かなわないのだから、「ポケットモンスター」と言われるのも無理はない。もう、これは「大食い」「早食い」を五輪種目に加えてもらうしかあるまい。柔道を上まわる日本のお家芸になることはまちがいない。
これほど日本が強いのは、番組が定期的に人材を発掘していることが大きいだろうが、「米のドカ食い」の伝統も寄与しているのではなかろうか。欧米人に比べ腸が長いのは知っていたが、胃まで大きい(伸縮性がある?)とは知らなんだ。
人は一日に二合五勺 ( の米を食べると言われていた。これに一年を掛けると約千合だ。千合を十進法の伝統的単位で表わすと)
1000合 = 100升 ( = 10) 斗 ( = 1) 石 ( )
すなわち、一石は人間一人の一年分の米の量を表わす単位だということになる。一万石のお殿さまから大名と呼ばれていたが、これは一万人の人間を預かるということに等しいわけだ。加賀百万石なら百万人、大都市である。
さらに、一石の米が取れる水田の広さが一反 ( (300坪=990m2)だが、太閤検地以前は一反は360坪だった。陰暦の一年は360日だから、一坪はちょうど一人一日分の米が取れる広さに等しくなる。)
さらにさらに、一両という貨幣単位は一石の米の値段が基本だったという説もある(インフレデフレで意味なくなってしまったけれど)。
米はやはり日本人の力の源だ。水田を減らすような政策は経済的には正しくても、どこか間違っているような気がしてならない。◇
ディーン・R・クーンツ『ミッドナイト』(文春文庫)読了。
61.211.4.25 史 56 967085678 相性の悪い言葉たち ここに書くことはほとんど自分の好きなことばかりで、きらいなもののことはあまり書かないようにしているが、たまには「好きでない」ことも書いてみようかと思う。
「きらい」というほどではないが「気になる言葉」について。と言っても、「使うのは絶対にいけない」とか「間違ってる」などと言うつもりはないので、読んだ方も誤解なきようお願いしたい。他人が使うのにとやかくはいわないが、自分で使うにはどうにも居心地が悪く感じる言葉を列挙してみる。
「生きざま」
「俺の生きざまを見てくれ」なんて言われてもねえ。そんなに力まなくても「生き方」でいいでしょ。以前は「死にざま」という言葉はあっても生きざまなんて聞いたこともなかった。「ざま」は「様」だけど、あまり「良い様」を表わした言い方ではないよね。「いい死に方」とは言っても「いい死に様」とは言わないものなあ。
「生き方」ではインパクトが足りないと思った奴が最初に使ったのだろうが、こんなに普及してしまうとは、まさか思っていなかったのに違いない。
「世界観」
私くらいの世代だと「世界観」というのはかなり大きな概念で「キリスト教的世界観」級の規模や「ドストエフスキー的世界観」位の大きさで使わないとしっくりこない気がする。「ゲームの世界観」なんて聞くと、そんな大層なもの言いをしなくても「ゲームの設定」くらいでいいのではないかと思ってしまう(一部の大作は例外かもしれないが)。「あなたの絵の世界観は」なんて聞かれると、「そんな滅相もない」と答えるしかない私を許してください。
「大人」
これは「大人」という言葉がきらいだから使わないというのではなく、私自身が使う勇気がない駄目人間だということである。
「大人でしょう」とか「大人ですから」なんて言われると「すみません子供で・・」と心の中でつぶやいてしまったりする。これは私が悪いのであって、「へえ、この人は自分のこと大人だと思ってるんだあ」などと失礼なことを考えてるわけではない。ひとえに私自身「大人である」自信がないからである。2児の父親が何ぬかしてるんだと叱られそうだが、情けなくとも事実なのだから仕方がない。「父親」「夫」「職業人」あたりだとなんとかだけど、「大人か」と聞かれると自信ないなあ。ま、いいけど。
「嬉しく思います」
これは以前掲示板の方に書いたので再録。最近スポーツ系のインタビューなんか聞いてると「嬉しく思います」という言い回しが耳につく。まあ、これは政治家やマスコミも悪いので、「いかがなものか」「遺憾に思います」「善処します」なんて「あいまい言語」を得々と使ってるようでは「嬉しく思う」や「半疑問形」に文句は言えない。それぞれ「良くないことだ」「謝罪します」「おっしゃるとおりにします」と、ちゃんと言えなくてはね。
素直に「嬉しいです」と言えばいいだろうに、わたしゃ「気持ち悪く思います」
日常で聞かないからいいけど、そのうち「悲しく思います」「くやしく思います」
「痛く思います」「くすぐったく思います」なんて言うやつが出てきたりして。◇
井波律子『中国のグロテスク・リアリズム』(中公文庫)購入。 61.211.4.25 言 55 966759078 夏カレー 妻と娘は観劇に行ってしまった。と、書くと優雅な母娘のようだが、区民会館(今はなんか小洒落た名前がついている)で森下洋子が『クルミ割り人形』を踊るのを格安で観られるチケットが手に入り、娘が「えー、どっちでもいい」というのを妻が半ば強引に連れて行ったというのが真相だ。
時間の関係で残された男二人の夕食になってしまい、ひさしぶりにカレーライスを作ることにする。材料は妻がそろえてくれたのでこちらは作るだけ。楽なものだ。昔は凝ってルーも香料を揃えて自作したりしたが、もうそんな気力はない(思ったようにうまくいかなかったというトラウマもあるし)
米は息子に砥がせ、私はおもむろに包丁を研ぎ出す。別に砥がなくたって変わりがないのだが、玉ねぎを刻むのを口実に必ず砥ぐ。単に砥ぐのが好きなのである。透けるほど薄く切った玉ねぎは置いておいて、ごろりと切った人参やセロリなどの野菜と豚肉をたっぷりのニンニクと生姜と一緒に大鍋で炒める。肉の色が変ったところで水をそそぎ、しばらく煮込む。
厚手のフライパンを強火で熱し、さきほどの千切り玉ねぎをじっくり炒める。カレー造りは家中が玉ねぎ臭くなるのが欠点だ。煮立ちはじめた鍋のアクをとりながら玉ねぎを炒め続ける。玉ネギが透明になり色がつきはじめてもひたすら炒める。汗が流れ落ちるのをタオルでぬぐい缶ビールの誘惑と戦いながら炒め続けると、玉ねぎは真っ茶色になり量も最初の4分の1くらいになる。香りも濃厚な甘い匂いになる。こうなったところで玉ねぎを鍋に加え、市販のカレールーも加えてしばらく煮込む。
醤油やワインや牛乳やヨーグルトや、冷蔵庫や台所で目についたものを片っ端から入れながら味を見る。最後に塩コショウとガラムマサラとかいう香料で味を整え一段落。
汗まみれになったので、後片づけは息子にまかせ、風呂に入る。あとは冷たい胡麻豆腐を肴にビールを呑みながら、カレーが熟すのを待つだけである。
カレーは翌日の方が確実に美味くなっている。あれはなぜなのだろう。「味がなじむ」というような大雑把な話ではなく、どんな化学的変化が起きているのだろう。知らなくても味に変わりはないが、なんだか気になる。 61.211.4.25 食 54 966521175 真夏に寒梅 定期的に手に入る「越の寒梅」で晩酌。「手に入る」なんて書くのがおかしな話で、かつては月に何本か父が馴染みの酒屋で買ってくるのをお相伴にあずかっていたものだ。それが今はたまに見つけても1万5千円などという途方もない値札がついている。そのあおりで、こちらも毎月買うというわけにはいかなくなってしまった。それでも今も正価通りで買えるので、なんとか尋常の味わいを楽しむことができるわけだ。
美味いのはたしかだが、「寒梅」だけが突出してもてはやされるのはやはり変だ。それとも今は違うブランドが人気で「寒梅」なんてたいしたことないと言う方が、わかってる人っぽいのかな?
それも変で、美味さが変わったわけではない。
酒は好きだが、酔うのが目的ではないのでこれで当分は楽しめる。◇
松良俊明『砂の魔術師アリジゴク』(中公新書)、谷岡一郎『社会調査のウソ』(文春新書)購入。
61.211.4.25 食 53 966312660 少年たちの未来 今日はのんびり系のネタのつもりだったけど、こんな事件(15歳少年一家6人を殺傷)が起きると、そんな気分にはなれないな。
個々のケースについてとやかく言う知識も能力もないけど、少年が自己を抑制するには「道徳」などより「将来の夢」が必要だと思う。「未来の自分」のためにこそ「現在の自分」をなんとかしたいし、少々理不尽なことや「今すぐはかなえられない欲望」も我慢できるというものだ。それが将来に夢も希望もなかったら、とりあえず現在の欲望に身をまかせて「なにが悪いんだ」と思ってしまうのではなかろうか。
今はその「将来の夢」を持ちにくい世の中ではあるな。もちろん「偉い人」や「世間から羨まれる人」には昔も今もなかなかなれるものではない。それでもかつては「普通の人生をちゃんとやる」ことが尊敬の対象になりえたような気がする。職人でも会社員でも公務員でも主婦でも、仕事に優れ全うした人は十分尊敬されたし、自分でも誇りを持てた。
今では、そういう「普通の人にしかなれない自分」というのを、ものすごくネガティブにしかとらえられない人が増えたような気がする。会社員とか主婦ってものすごくダサイイメージなんでしょ?当のおとーさんおかーさんも「そうだよな」と自己卑下してしまっているように思うのは気のせい?
誇りを持てない大人しか自分の将来像として描けないんじゃ、夢は持てないだろう。
さて、そういう私は息子や娘に夢を与えることができているのだろうか?
おとーさんなんか、最初からメじゃないって?
そう言っていただけるとありがたい。 61.211.4.25 時 52 966142947 うつらうつらと BSで「全米陸上選手権」などを見る。五輪代表選考会も兼ねているのだが、文字通りの一発勝負。その分観客のボルテージも高い。棒高跳びの第一人者が試技の失敗で選考落ちしたり、番狂わせも多発したが観客も選手も良しとしているようで「潔い」。
日本の陸連や水連のみっともなさと比較すると、日本人が潔い国民だなどというのは幻想に過ぎなかったのが良くわかる。
おそらく陸連や水連の主張は「日本方式の方がメダルを獲得するにはベスト」ということなんだろうが、そんなことはない。彼らは「人を支配し組織に従わせる」ことに快感を感じる人種なのである。
教育基本法の改正(悪)を視野にいれた「教育改革国民会議」の報告が出たが「奉仕の義務化」が「意欲的に」盛り込まれるらしい。彼らも陸連や水連の幹部と同じ性癖の持ち主であるのだね。自分たちが死に絶えないうちに「徴兵制の復活」まで持っていきたいと願っていることだろう。◇
ダン・ゴードン『死んだふり』(新潮文庫)読了。
202.238.111.2 ス 51 966046944 ゼロ金利解除 10年ぶりだそうな。
これが景気にどんな影響を与えるのかは、私にはわからない。
ただ、このゼロ金利政策は、そごうの水島某を典型例とするバブル期の能なし経営者のでたらめ経営のつけを、国民に支払わせるための手段以外のなにものでもない。
この十年間、もしバブル期以前の金利水準だったら、国民に支払われたはずの金額はどれほどのものだっただろう。
しかし、すべては、幻の不動産投資などに失敗した企業が借りる資金の金利を事実上無料にするために費やされてしまった。それでも馬鹿経営者のほとんどは人と予算を減らす以外のなんの方策も持てず、誰か他の人が景気を良くしてくれるのをただ待つことしかできない。
で、あるからして、金融機関救済のための6千億だの不良債権の棒引きなどは「泥棒に追い銭」以外のなにものでもない。
ああ、今日はなんの面白みもない日記だなあ。腹が立つのだから仕方がないが。◇
田中優子編『日本の名随筆−江戸−』(作品社)、吉行淳之介・開高健『対談−美酒の愉しみ』(新潮文庫)読了。
202.238.111.2 時 50 965653620 夢百景:古書店 う〜ん、変な夢だったなあ。
出社しようとすると、いつのまにか会社の一階が古書店になっている。
店主は如月小春のようなちょっと小奇麗なおかみさん。
彼女が「今入ったんだけど」と言って無造作に数冊床に積み上げる。
見ると手塚治虫の初期の単行本ではないか。不二書房か?
旧い造本にカラー口絵。表紙はベレーをかぶったケン一探偵長?
タイトルは『正助荘の秘密』。ミステリーらしいが実際にはこんな作品はない。
読み出すとなかなか面白くてやめられず、あぶなく遅刻しそうになる。
内容は覚えていないが、クライマックスには炎色の巨大なキノコがでてきたような?それとも舞台となった家(正助荘?)が燃え上がっていたのかもしれない。
変なのは、立ち読みするのに、女店主の背後の脇下から両手をまわして肩越しに読んでいたことだ。要するに後ろから抱きしめるような格好だが、おかみさんも別に嫌がりもせず一緒に読んでいる。
変な夢というより、いやらしい夢といった方がいいな。
一応自己分析してみたけど、恥ずかしいので書かない。◇
ヘレン・マクロイ『ひとりで歩く女』(創元推理文庫)読了。奇妙な謎とラストのどんでん返しに至る伏線の見事な1948年のミステリ作品。
202.238.111.2 夢 49 965535439 新世紀を語る 今日はIT革命についての立花隆氏の言葉を引用して終わり(朝日新聞本日付け朝刊)。私なんぞが付け加えることはありません。原子レベルの物質操作で、人はすでに『神の領域』に入った。もう始まっているのです。現実に起きていることを直視しなければ、人間は本当の意味で責任をとれません。今の技術制御の議論の多くは、科学に対する無知、無理解、反発をもとにしている。(中略)ある日ヒトラーが出るかもしれないから技術開発をやめよう、というのでは議論はなりたたない。ぼくは、学生には、現代の教養は外国語、コンピューター、分子生物学の三つだと言い続けました。問題は、一般の人に驚くほど科学技術の知識が乏しく、科学へのネガティブな感情が広がっている点です。科学技術立国しか道がないのに、憂うべきことです。付け加えないつもりだったけど、一言だけ。
「おたく文化立国」というのはだめだろうか。諸外国から尊敬はされないだろうが、かろうじて生き延びることはできるかもしれない。 61.211.4.25 科 48 965448934 二人旅 1週間もらった夏休みの後半は伊豆の海ですごし、今日帰ってきたが、娘は学校のキャンプ、息子は親との旅行なんぞちゃんちゃらおかしい年頃で、ひさしぶりに妻と二人の旅(というほどではないが)になった。
やはり、夫婦だけの旅は気が楽でいい!というのが実感。子供も両親と一緒は気ぶっせいだろうが親だって結構気をつかってたのさ。
まあ、印象に残ったことは色々あったが、小学生の時以来何十年ぶりかでみた奥石廊の奇巌の奇観には、また「マーメイド2000」なんぞを描きたくなってしまった。
202.238.111.2 雑 47 965276038 『情景王』悲願の三連覇達成 TV東京の「TVチャンピオン」は好きな番組だが、なかでも今日の「プロモデラー選手権」はそのレベルの高さで「ペーパークラフト王」「特殊メークアップアーチスト」と並ぶ、三大クリエイティブ系チャンピオンで、絶対見逃せない。
今日から泊まっている海の宿のTVでしっかり見たが、今まで4度チャンピオンになった「情景王」にしてうちの息子のアイドル山田卓司の三連覇・圧勝で終わった。
予選の「変身美少女」にしても決勝の「勇気」にしても、他の出場選手とはワンランク上の印象で、このへんはペーパークラフト王の大熊さんと同じである。ただ大熊さんには野田亜人さんという超強力なライバルがいるが山田さんにはいない、というのが大きな違いだ。(大家然と治まってリングに上がらない人は勘定に入れる必要はない)
予選の変身美少女で苦戦したが、これは審査員がガキだったからしかたがない。司会の大鶴義丹のカミサン(名前が出てこない※)の「年齢の差があるから、(山田さんの方が)女の捕え方が違う(上だ)」といういかにもラテン系の感想が正しい。
40歳越しても若い挑戦者に闘志むき出しで、しかし自分の世界はしっかり崩さない山田チャンピオンが大好きである。
※思い出した。ミセス大鶴のお名前は「マルシア」でした。 202.238.111.2 TV 46 965102934 寝助 ネットスケープ・コミュニケーター4.7をインストールしてみる。
サイト・リニューアルのテスト用と思って導入してみたのだが、予想以上の見え方の違いに愕然とする。
特にスタイルシート関係のバグはかなり多いようだ。BODYタグのスタイルがテーブル内で無効になったり、テーブル内で配置関係のスタイルを指定するとテーブルの外の段落の配置指定が無効になったり。
色々なサイトで言われている「チェックにはネスケを使うべき。ネスケでOKならIEもOK」というのを実感する。
私はローテクのタグパンチャーなので、WZエディターでシコシコ書きながら、ネットスケープ・コミュニケーターを更新して確認というのが一番良さそうだ。◇
小柳ルミ子の宝石が盗難されて、一時賢也が犯人か?なんてひどい噂が流れてたけど、ルパン3世の実写に大澄賢也は良く似合うと思ってしまった。不二子ちゃん役がルミ子ちゃんでは賢也があまりにもかわいそうなので、藤原紀香と言いたいとこだけど、ここはB級でそろえて叶姉妹のどっちか。
作ってもルパンファンが怒るだけで絶対当たらないと思うけど。
202.238.111.2 電 45 964932698 遺伝子の南北問題 30代の男性が障害保険加入後の遺伝子診断で遺伝病が判明したために保険金支払いを拒否された。(7月30日朝日新聞)
男性は「最先端の医療を受けた人間だけが損ををしてしまうのは理不尽だ」と主張している。米国ではクリントン大統領が「遺伝情報で差別してはならない」と、ことあるごとに発言しているそうな。わが森首相は・・遺伝子診断のなんたるかも知らぬのだろうなあ。
それはともかく、これは遺伝子診断の是非というより、もう「保険」という制度が現代及び未来に整合しなくなってきているということではないのか。「保険」は「未来はわからない」ことを前提に存在している制度であり商行為だ。自分が一生交通事故に無縁なことが確実なら自動車保険に入る人はおるまい。同様に遺伝子診断で将来かかりそうな病気がわかるなら、保険の掛け金を払うより遺伝子治療や予防にお金をかけた方がいいに決まっている。
年金もそうだが、みんながやってる制度だからと考えなしに一律に払っていればいい時代はもう終わったということだろう。んなこといいながら、私も年金はだらだらと払い続けているけどね。
同じ紙面に載っているプリンストン大学の分子生物学者リー・シルバー博士へのインタビュー記事も面白い。ゲノム解読、遺伝子操作の将来性と問題点を人類史の観点から語っている。「遺伝子強化」の誘惑は止められない強力なものだ。しかし誰もが受けられるものでない以上、貧富の差が今以上拡大し、固定的なものになる可能性が強い。「日本や欧米は社会民主主義的な価値観が強いので社会の利益のため遺伝子強化をやめようというばねが働きうる」しかし「米国ではそれは社会主義的な発想として拒絶されるだろう」
でも米国人がみんなスーパーマンになっていったら、日本も欧米もやらざるを得ないだろうなあ。スーパーマン競争というのもなんだかおぞましいが、意外と、米国は自由競争でユニークな突出した超人を作り出し、日本は均質な政府推奨型超人を歩止まり良く量産して、結局今と変らないということになるかもしれない。
同じく今日付けの朝日の読書欄で紹介されている『不平等社会日本−さよなら総中流−』という本でも、貧富の固定化、「階級」の顕在化が指摘されているらしい。それが遺伝子レベルで拡大されれば、未来永劫、階級は固定化されるだろう。日本国内だけでなく、世界でも日本人の階級は下流の上くらいに落ち着きそうだ。
まあ、貧乏人の子は貧乏人というわけだ。江戸時代と変らないが、違うのはマスメディアによって、仮想的な欲望だけは常に刺激されていること。一生涯貧民階級であることが確定的な自分、に納得できない若者が荒れるのも、無理はない。◇
前回の日記で柳瀬尚紀氏の訳書が間違っていることをメールで指摘された(サンキュ)ので、即訂正して証拠湮滅(笑)。当日記の管理者メニューは校正機能がついているので、オンラインで直せるのだ。フリーCGIページに近日公開。
202.238.111.2 科 44 964702782 チャンピオンの顔 今日のTVチャンピオンは「段ボールアート王選手権」
ひさしぶりに、面白いネタだった。
ダンボールで人が乗れる舟を作るという破天荒な決勝戦も、優勝したプレシオザウルス(水棲恐竜)を筆頭に傑作ぞろいだったし、予選の黒いSLなんて芸術品と言っても過言ではない。
印象的なのは、出場者(40代前半の男性が多いが20代の若者も)がみなそれぞれに「いい顔」をしていること。
街で見かける「いやな顔」が一人もいない。
どんなのが「いやな顔」かと言うと、最近だと収賄で逮捕された中尾元建設相。「おれは寝てないんだ」などと名言を吐いたどこかの社長さんは、「いやな顔」というより「みすぼらしい顔」かな。
まあ、私もあまり顔のことは言えないので、自戒をこめて。◇
柳瀬尚紀『広辞苑を読む』(文春新書)読了。著者の柳瀬尚紀は、あの「フィネガンズウエイク」の訳者。
202.238.111.2 TV 43 964246426 花を探すひと 猛暑でしおたれたベランダの花に水をやっていて思い出した出来事。
しばらく前になるが、平日妻が一人でいると若い女性が尋ねてきたそうな。「ベランダの花を見せてください」と言うのだが、見知らぬ人なのでいかにも唐突である。話を聞いてみると彼女は大学で園芸を専攻している学生で、都市の一般の家庭での園芸の実態を調べているらしい。向かいの高層団地の上の方の階から、うちのベランダが目にとまったので見せてもらいにきたという。その様子がいかにも素直なので、妻も快く自慢にもならぬ小さな花壇を見せたらしいが、喜んで観て帰っていったというから、貧乏な下町のささやかな園芸のサンプルにはなったのだろう。
「かわいくて素直でとってもいい子だったわよ」と妻は花壇をほめられたせいもあって褒めあげていたが、息子の嫁にはちと早すぎるぜ。「でもちゃんと今時の子らしく綺麗にしてたわよ。美人だったし」・・おいおい、また来るように言っとけよ。
で、炎天下のベランダでふと思ったのだが、尋ねていった先で男が出てきたらどうするのだろう。日中で綺麗な花が置いてあるからといって男の一人住まいの可能性がないとは言えないだろう。
・・・・花を探す美しい女子大生が、花に埋もれたようなベランダを見かけて、そのマンションの一室を訪れるとドアを開けたのは影のうすい若い男。
一瞬躊躇したが室内からただよう花の香りにさそわれて、用件を話す。男も迷ったようだが結局部屋の中に入れてくれる。ベランダだけでなく部屋の中も珍しい花で一杯。中に日本では育たないとされる珍しい種類もあった。恍惚とするような濃厚な香りを楽しんでいた彼女の背後から男が声をかける。「なかなか、うまく育たなくて苦労するけど、たまにあなたのような人が訪れてくれるので、なんとかなってるのですよ」奇妙な男の言葉に振り返った彼女の見たものは・・・・
う〜ん、べたべたな妄想・・・・反省しよう。◇
『ES細胞』読了。→レビュー。
202.238.111.2 雑 41 964075424 アナログな悩み 炎天下に草むしり。あまりの暑さに15分で切り上げたが、シャワーを浴びた後のビールのうまいこと。真っ昼間呑みながらしたためるWEB日記というのも、また乙なもの。
絵も描きかけがあり仕事もいささか忙しいというのに、こういうときにサイトのリニューアルなんぞをむらむらとしたくなる悪いくせ。もちろん、一朝一夕にはできないので、現状分析を兼ねて人様のところをのぞいてみる。
さすがなんでもありのネット界。みなさん、色んなポリシーで作ってらっしゃる。最新技術つかいまくり豪華絢爛フラッシュばりばりMIDIがんがんなところから、端正シンプル必要最小限なことしかしないとこまで。どこがいい悪いではなく、どこまで技術を取入れるか、デジタルな世界にアナログな判断を迫られるところが悩ましい。
W3C推奨のHTML4.X準拠(なんでもスタイルシートで指定しろって奴ね)のみが正義と割り切っちゃえば簡単だけど、実際には自分のとこ見に来てくれる(可能性のある)人のブラウザで見られなきゃ話にならないし、その条件を満たしながらも、レイアウトの美しさは追求したいし、正解はなかなかでるものではない。
一応、次のような基準を考えてみる。
●ブラウザはIE、NNともにバージョン4以上を基準にする。
●スタイルシートを最小限取入れてみる。
●アクセスの自由度、メンテがし易さを考えフレームを使う。
●GIF画像はできるだけPNG形式に置き換える。
●作品以外できるだけ画像は使わずテキストだけで処理する。
みんな「できるだけ」で「必ず」でないとこが私らしい。
他にも、漢字コードはなにがいいか、とかわりきれない悩みは沢山ある。それなのに「ネット社会のデジタルにしか考えられない若者たちは・・・・」などと論評されたらかなわないよなあ。
(私は「若者」ではないが) 210.159.89.147 網 40 963806870 赤熱の月 ひさしぶりにじっくりと双眼鏡で月を観察したが、月蝕の影のせいで月が球体であることが強調されてなかなか感動的だった。月に映っているのが地球の影であることは、理屈でわかってもなかなか実感できないものだ。手を振ってる自分の影でも見えると実感できるのだろうが。
さて、昨日の月蝕は妙に赤くて火星のようだったが、赤い月で思い出したのが、月の出自にまつわる中国の神話。漢民族ではなく匈奴の伝説のようだが、こんな話。大昔、まだ夜空にはなにもなかった頃、突然大空に月が出現した。ごつごつとした炭の固まりのような月は赤銅色に燃え上がって人々から夜をうばいさり、人もけものも暑さに苦しんだ。月の表面に見える影は、もちろんなかむつまじく暮らす狩人夫婦なのである。 61.211.4.25 史 39 963714685 厠の落首 「インターネットの世界は便所の落書(のようなのが多い)」とは筑紫哲也キャスターの名(迷)言だが、ならば私がいままで見た便所の落書きの最高傑作を紹介しておこう。
国一番の狩人は自慢の弓矢で月を射落とさんとするが、矢は届かずむなしく地上に落ちてくる。新たに強弓を作るが、弓の張りに耐えられる弦がない。落ち込む狩人に、その妻が自分の長い黒髪を切ってさしだす。「これをお使いなさい」。
勇躍狩人は矢を天空に放つと見事に月に命中。表面の燃える岩が消し飛ぶが、まだ炎は静まらない。狩人はここぞとばかり手持ちの矢を次々と放つ。矢が尽きた時、月の表面は綺麗に削れ、なめらかな鏡のような円盤が青白く冷たい光を投げるばかりとなっていた。空一杯にはじきとばされた月のかけらは、いまや星々となってまたたいている。
やっと暗さの戻った夜道を喜び勇んだ狩人が家路を急ぐ。出迎えようと狩人の妻が家の外に出たとたん、妻の体は宙に浮き、月に向かって吸い寄せられるように天の高みに消えてしまった。呆然とする狩人は、月のおもてに妻の面影を認めるとただ泣き伏すのみ。
妻を失い毎日泣き暮らしていた狩人だったが、ある夜天空から妻の呼ぶ声が聞こえたような気がして表に出るとその日は満月。月中の妻は狩人の姿を認めると髪をほどきはじめた。弓を作るために切った黒髪ももう伸び、その先端が夫の目の前におりてくる。狩人は妻の黒髪をしっかり握るとそのまま月に登っていき、二度と地上に帰ってくることはなかった。
採取場所は八重洲地下街。汲み取り便所というのは怖いもので、油断していると下からスルスルと胃カメラが上がってきて、肛門から入り込んで胃の中を撮影されてしまいます。対策としては、のどに指をつっこんで胃カメラを吐き出してしまうという手がありますが、このとき下で撮影している奴を尻から吸い込んでしまい、後で出産しなければならなくなるのがちょっと面倒です。ちょっとどころでなく面倒だと思うけど、これに出会ったときは、拭くのも忘れ(やや誇張あり)あわてて手帳を取り出して書き写した。
便所の落書きもなかなかでしょ?筑紫さん。シュールなのはお好みではないかな。(おすぎとの映画対談より類推) 61.211.4.25 言 38 963546466 夢百景:不老不死と夢 夢は五臓の疲れだとは古人の言。昼間の抑圧されていた無意識が抑圧が弱くなる睡眠時に現れるのだといったのはフロイト。
話がそれるようだが、SFによく出てくる不老不死の実現方法にこんなのがある。クローニングで作った肉体、または良くできたアンドロイドボディを用意する。次に、ある時点の脳の状態を電子的に(か生化学的にか)コピーしておく。本人が死亡したら、用意しておいた代替ボディの脳にコピーした記憶を転写して覚醒させる。代表的な作品ではクラークの『都市と星』の未来都市ダイアスパーの住民が日常的に使っている。
これは厳密には不死とは言えないと思うがどうだろう。たしかに友人知人から見れば死者が蘇ったのと同じだし、再生された本人の意識も連続した人生を生きているように感じるだろう。しかし再生される前の本人の意識は死んだ時点で終わっているのではないだろうか。前の存在の生存中にも複製は存在できるはずであり、それを死後におこなったところで、生の復活にはなりえないだろう。
デカルトの言った「我思うゆえに我あり」の我=存在は肉体の脳に固く閉じ込められている。かといって完全に物質依存ではないのは、30年前の自分と現在の自分では、構成している原子がほとんど入れ代わっているということからもあきらかだ。
やはり「存在(意識)の連続」が重要なのだろう。
眠ると意識は途絶える。眠って目覚めるのは、もしかしたら死んで生まれ変わるのかもしれない。それを防いでまがりなりにも連続性を保つのが、「夢」の役割なのかもしれない。
以上、妄説。
もっと「存在」をソフトウエア的にとらえるなら、多重人格の一つの人格が消えるとき、そいつは死んだのだろうか。 202.238.111.2 夢 37 963460873 ヤモリの日 暑い日が続くと私はヤモリになる。
蜥蜴 に似た爬虫類で、「家守」という名の通り昔は良く家の天井あたりで見かけた。先ぶくれのした独特の指の腹側が吸盤になっていて板壁や柱にぴたっと張りついていたものだ。(
現在、私の家のベッドは壁際に寄せている。熱帯夜などには、夢うつつに体が涼を求めて冷たい壁側に寝返りを打つらしい。そのまま壁に張りついたように手も足も壁に押し当て眠っているようだ。朝起きると、妻が「またヤモリになってたよ」と笑う。
別にヤモリになった夢は見ていないが、いつか気がかりな夢からさめるとヤモリになっているかもしれない。そして家族は私を置いて楽しげに出かけていくのだ。
また、ヤモリになる季節がやってきたようだ。 202.238.111.2 身 36 963373100 夢百景:水の夢 昨日の続き。かつて見た水に関連した夢を記しておく。
風に吹かれる夢
海で小さなゴムボートに乗っている。なぜか日傘をさしている。突然海上を風が吹きはじめ、傘が風を受けてボートは滑るように走り出す。傘を動かすと方向も変えられるが、大きくは変えられずどんどん沖に出てゆく。怖くはなく楽しい気分である。周りが海ばかりになってしまったので、傘を操ってなんとかどこかの海岸にたどりつく。元の浜辺の方角はわかっているのだが、遠い。ボートは乗り捨て国道沿いに歩き続けるが、どうしてもたどりつくことができない。
ファンファン大佐に会う夢
真夜中の暗い街を歩いている。目的地はあるのだが道がわからない。路地は入り組み、街中に水路があり霧が深い。目の前の水路に突然霧の中から潜水艦が現れる。潜水していたのが浮上したのか浮上したまま進んできたのかはわからない。ハッチが開き、いかにも船長らしい格好をした男が上半身を出す。ちょっと岡田真澄に似ている。彼が道を教えてくれる。
鮫に追われる夢
海辺の浅瀬に入ると遠くに鮫の背びれが見える。みんなあわてて逃げだす。私も砂浜をなぜか波打ち際に沿って逃げるが、妙に切迫感がない。鮫は巨大な撞木鮫 で15m位はありそうだ。肌は青白い。海がいつのまにか水路になり、アラビアンナイトに出てくる宮殿のような場所に来てしまう。鮫は水路をときどき跳びあがりながらやってくる。宮殿はオープンな造りで水路が内部にまで入り込んでいて薄暗い。人は見当たらないが、( 鰐 がうようよいる。鰐の背中は茶色で腹は黄色い。鰐たちは突然やってきた鮫に敵対する素振りをするが、はるかに巨大な鮫に片端からバリバリと食われてしまう。私は恐怖も感じずただ傍観している。( ◇
「ES細胞」について興味を持って本を読みはじめたが、昨日から日経産業新聞でも関連した連載が始まり、出たばかりの本の内容が早くも旧くなっていることに驚く。バイオの世界の進歩のスピードは一時の情報デジタル技術のようになってきた。クローンを凌ぐほど面白いのに、題材にしたSFの話を聞かないと思ったけど、これでは作家の方がついて行けないのも無理はない。
202.238.111.2 夢 35 963286526 夢百景:亀の夢 しばらくぶりに奇妙な夢を見た。
前半は食通連の席に連なって、なにやらゲテモノっぽい料理をご馳走になる(味は覚えていない)。場所は座敷でみな和服である。
後半、突然海辺で胸当たりの深さの水に入っている。(前半の宴席は海に近い旅館だったのかもしれない)目の前に座布団くらいの大きさの海亀が何頭も泳いでいる。なぜか色は山吹色に近い黄色である。つかまえようとすると、甲羅の後ろにある穴から海水を噴射して跳び上がる。目測7〜8m位の高さ、距離もそれくらい飛んだだろうか。「海亀って跳ぶんだあ」などと呑気に感心していると、他の海亀も一斉に跳び始める。最初の奴ほどではないが、それでも3〜4mくらいのジャンプを繰り返してみるみる沖に消えてゆく。
私は水棲生物の夢を見ることが多く、これまでも鯨、鰐、撞木鮫なんてとこが登場した。それも夢の中では実際のものよりはるかに大きいことが多い。海亀も以前、真っ黒な鋼鉄のような甲羅を持つ、家ほどの大きさの亀に海底で出会う夢を見たことがある。亀の首の部分が顕著なら、フロイト的な解釈で男根の象徴なんだろうけど、いつも甲羅の方が印象的なのはどういう意味なんだろう。◇
ディーン・R・クーンツ『デモン・シード(完全版)』(創元SF文庫)購入。くーっ、長らく絶版だったのをYahooオークションで手に入れたばかりだぜ。しかも完全版とは・・・・なんというタイミングであろうか。無神論者の罰当たりは時としてこういう目に会うのであった。 202.238.111.2 夢 34 963134559 『平等院展』 暑いので人込みを避け、緑陰の多い谷中霊園を抜け、国立博物館の平成館へ『国宝平等院展』を観に行く。
鳳凰より梵鐘よりなにより『雲中供養菩薩像』五十二体が圧巻。
通常ならご本尊を取り巻く高みにあって、はるかに見上げるようにしか見られないのを、今回の展示では目の高さで間近に見られるのだからちょっと見逃せない。
ほとんどが楽器を奏でる天人の姿で現わされているので、普通の仏像と比べて顔もポーズも表情豊かである。楽器の種類も豊富でどうやって弾くのか見当つかないものもあり、その分演奏する手指の格好に変化があって見てて楽しい。表情も歌っているかのように口を開けているのもあり、眼も開いてるの閉じてるの半眼のと色々である。ポーズも舞を舞っているように足をあげてたり正座あり胡坐あり。
なよやかなボディライン優美な腰つき、恍惚とした表情と相まってなんだかセクシーでさえある。
別棟の『法隆寺宝物館』もついでに寄ってみる。こちらは人もまばらで見やすい。照明を落とした暗い室内の古拙な菩薩像は心落ち着く。こういうのこそ「いやし系」だと思うのが、別にいやされたくもないのでデフォルメされた形を純粋に楽しむ。◇
大朏博善『ES細胞』(文春新書)購入。
「ES細胞」は「クローン羊」ほどは話題になっていないが、クローン以上の世界を変えるほどの可能性を秘めた発見らしい。この話題は明日以降。
202.238.111.2 美 33 962953237 『朗読者』 私には珍しくタイムリーな読書。ベストセラー上昇中のベルンハルト・シュリンク『朗読者』を読了。
本来なら「あやかし書房」の方に書くのだが、読み終わったばかりでどうにも胸がしめつけられるようでたまらない。楽になりたくてここに書いてしまう。
舞台はドイツ、15歳の少年が36歳の独身の女性と関係し恋に落ちる。二人にはすぐに別れが訪れるのだが、女性は少年にも誰にも明かしたことがない秘密を持っていた。
ミステリ的読み方をする私の悪い癖でその秘密はすぐ分かってしまったが、秘密そのものは話の半ばすぎで明らかになってしまう。それでも、先の展開は全然読めない。
ナチの戦争犯罪も係わってくるのだが、小説自体は声高に告発するのでもなく姑息に擁護するのでもない。淡々とした描写が主人公の静かな回想で綴られているのに、なぜか胸しめつけられどきどきしてしまう。
後半は少年(もう少年ではないが)の、女性への関わり方が書かれ、ラスト近く女性の少年への反応が書かれるが、女性の胸の裡は謎のままである。どうも内容を詳しく説明できないので自分でもじれったいが、読む人によって何通りもの読み方・解釈がある小説だと思う。
私にはコミュニケーション、主人公二人の関係が人間同士の関わり方の「距離」の問題を描いてるようで、その点いかにも今日的な小説に思えた。
題名の「朗読者」は主人公の少年のこと。朗読することが、彼の彼女へのコミュニケーションの手段だったのだが、なぜなのかは、本書を読んでください。
少年と著者は世代も職業も一致するのだが、自伝的要素はどのくらいあるのだろう。
いかんなあ、また、せつなくなって、目がうるんできちまったよ。
そして、小説ラストの方に出てくる刑務所長と同じく、私も少し怒っている。
202.238.111.2 本 32 962878014 他の方の迷惑になりますので携帯電話の・・・・ という電車内のアナウンスも最近はあまり聞かなくなったような気がする。これみよがしにでかい声で使う人も滅多に見かけないし、うるさいだけなら、買い物に出かける(複数の)おばさんたちや夜アルコールの入った(複数の)おじさんたちの方がよほどやかましい。
私が気になるのは、街中で携帯電話やヘッドフォンを使う人たちは、外界からの情報(音)をシャットアウトしていて、不安ではないのかということだ。
これが野生動物だったら聴覚を妨げられて外に出されたら不安で不安で仕方あるまい。都会の人間だっていつ暴走したクルマがつっこんでくるかも知れず、かっぱらいに体当たりされるか知れず、天から電波が来てるおかしな奴が突然刃物を奮って暴れだすか知れないのだ。環境音が聴きにくい状態の人は、危険に遭遇した時に回避する能力が小さくなってるのは間違いあるまい。だから私は、ヘッドフォンで耳をふさいで街中を歩いている人を見ると、その勇気にいつも感服してしまうのである。◇
倉木麻衣のパクリの件はどうやらダウンタウンの浜田が謝罪する方向で落ち着くようだが、そんなことは関係なく今週号の週刊文春の「考えるヒット」で近田春夫が倉木麻衣と宇多田ヒカルの「音」の比較について書いている。バラエティ番組の「失言」と比較すればプロの意見ぽくてずっと面白いが、「関係筋」からはまた無視されるのだろうなあ。 202.238.111.2 時 31 962769049 ペンは電波より弱し 今日は芸能スポーツ面より
倉木麻衣の事務所浜田雅功に抗議。
ダウンタウンの浜田がゲスト出演していた宇多田ヒカルに「倉木はおまえのパクリやと思う」と発言したことについて、ということだけど、これってとっくに近田春夫が週刊文春に書いてたけどねえ。それも「バッタモン」という、より過激な表現で。
まあ、雑誌=近田とTV=浜田では一般への影響力に天地の差があるから仕方ないか。ファンクラブの掲示板でもやかましいことになってるけど、事務所の人もファンも、ダウンタウンの番組は見ても週刊文春は読んでないのね。無視された近田春夫と文藝春秋の立場は・・・・◇
ウインブルドンはひいきのヒンギスがビーナスに負けてしまった。1セット目見たとこで今日はだめだなと思ったけど案の上だった。う〜む、天才マルチナ・ヒンギスもウイリアムス姉妹、ピエルスのようなサイボーグやヘヴィー級のダベンポートには、勝てんのか。今回は加入していないWOWOWではなくNHKBSの中継なのに楽しみが減っちまったよ。
202.238.111.2 時 30 962693521 カルシウムはどこに溜まるのか 将来などなにも考えず、その日その日の楽しみに生きている(かに見える)中学生の娘に「お前、将来、栄養士なんてどうだ」などと言ってみると
「おとーさん、うちの学校の栄養士の先生はすっごい爆乳だよ」ときたもんだ。(話をそらすのに父親の弱点を狙った話題を繰り出すんじゃないよ)
のせられて「胸が大きくなるのにはどんな栄養取ったらいいか聞いてみろ。説得力あるじゃないか」と言ってしまった私の負け。もちろん「おとーさんが言ってたとは口が裂けても言うんじゃないぞ」と釘はさしといたけど、大丈夫だろうな。
まあ、牛乳たくさん飲みなさいとでも言われるのが関の山だろう。
雪印乳業のチョンボのおかげで牛乳全体の売り上げが落ちているらしいが、お隣の中国では牛乳ブームだそうな。平均身長で日本に抜かれたのが気に食わないから牛乳飲んで巻き返そうという理由だと聞いたが本当だろうか。元々乳製品を取らないお国柄ではあるらしい。
オリンピックなど見てると中国人の方が大きそうだが、これは人口が多いからで、小さい人もたくさんいれば平均は下がるから不思議ではないな。
日本人が身長が伸びたのは牛乳のおかげだとされてるらしいが、どこからそういう話になったのだろう。
オランダやドイツの方が中国より平均身長は高いだろうけど、白人国に負けるのはいいのだろうか。いいのだろうね。
少なくとも日本人があまり好かれてないのだけはよくわかる。
202.238.111.2 時 29 962604822 美女は好きだけどさ 女子アナは初々しさとかわいらしさがトレンドって、まあ目くじら立てるようなことではないかもしれないが、アナウンサーはまずニュースをちゃんと読めることでしょ?
あまり初々しい医者にはかかりたくないし、初々しいコックの料理も食べたくないはずだ。女子アナだけは、とちっても変な日本語使っても、いやむしろ、とちったり変な日本語を使うほど初々しくて可愛らしいと人気が出るのは、プロとして恥ずかしいことだと思うけどなあ。軽薄な芸能マスコミや視聴者がちやほやするならともかく、天下のNHKがメインで使ってはいかんでしょう。
NHKの加賀美幸子御大のような聞いてる者が安心できる声・技術を大切にしてもらいたいものです。小宮悦子のような読色兼備ならもちろん言うことない(決して好みで言ってるわけでは・・・・)
美女である属性は鼻の下の長い中年オヤジとしては、歓迎こそすれ決して忌避するものではないが、美人作家、美人漫画家、美人写真家、あたりまえだけどまずは作品だよね。
それを属性だけで売り出そうとした例に、昔椎名桜子なんて「自称作家」がいた。(美女であるかどうかは賛否あるところだろうが)たちまち「ゴーストライター疑惑」が出て叩かれて消えうせてしまったけど、こんなとこにいた。今度は「水中写真家」か・・はああ。
「叶姉妹」が出てきたとき、まず連想したのがこの「椎名桜子」だった。売り出し方に顕著な類似性を感じたものだが、椎名桜子の場合は嘘でも中身らしきものが必要だったが、「叶」の方はドーナツのように属性だけを膨らましてまだまだしぶとく生き延びそうだ。
ふと思ったのだが「美女」とか「美人」ってそろそろ死語だろうか?
叶姉妹も売り文句は「美人」ではなく「ゴージャス」だし。
202.238.111.2 時 28 962547428 キョーサイを観る 東武美術館『河鍋暁斎・暁翠展』。きょうさい・きょうすいと読む。父娘。
色っぽい「地獄太夫」の見事な衣装の群青と朱。「百鬼夜行図」の野放図で愉快な線描。やはり画集で見てるのと実際に観るのは全然違う。特に「百鬼夜行図」こんなに大きな絵とは思わなかった六曲一双のダイナミックな図。
妻の死に顔を写生したという「幽霊図」。表装がわざわざつぎはぎになってるという遊びが面白い「貧乏神」。
男たちが大筆を持って墨を付け合う公家の珍しい遊びを描いた「墨合戦」の人物表現動きの表現の技術は、漫画を描こうなんて人には垂涎ものではなかろうか。
妻のお気に入りは「美人観蛙戯図」。艶っぽい美人のリアリティと彼女の眺める鳥獣戯画のようなファンタジックな蛙たちの対照が面白い。
しかし、これはいいと思ったのはほとんど「福富太郎コレクション」。暁斎の収集家だということは知っていたけれど、キャバレー太郎、さすがの眼力。
210.159.89.209 美 27 962456790 天竺は未だ遠し 諸星大二郎『西遊妖猿伝』14、15、16巻読了。
第二部「河西回廊編」が終了してしばらくはお休みということらしい。といっても玄奘三蔵はやっと大唐国の国境を超えて西域に足を踏み入れたばかり、まだ沙悟浄も牛魔王も出てきていない。この『西遊妖猿伝』と『カムイ伝』だけは最後まで読みたいものだ。『カラマーゾフの兄弟』にならんことを祈る。
『西遊記』は日本人の大好きな物語らしく随分漫画化もされている。手塚治虫の『ぼくの孫悟空』から『ドラゴンボール』まで。小池一夫・小島剛夕版もあったし藤原カムイも描いてた。しかしなんと言ってもこの諸星版は最高に面白い。第10巻「人参果之巻」11巻「与世同君之巻」、あの不老長生の秘薬=赤ん坊状の果物「人参果」の話をこれほどオリジナルな感動的な物語にしたてられるのは、この作者ならではだろう。
線が泥臭いので、一般的な意味ではうまい絵とは認識されていないだろうが、絵はうまい。特に魔的に「巨大なもの」の描写力はちょっと類を見ない。『西遊妖猿伝』の後半では、動き=映画的な追っかけっこのアクションにとことんこだわっているのがまた見物。
今、単行本が出版されたら文句なく買う漫画は諸星大二郎だけとなってしまったが、COMでデビューした頃から見てるので、なんだか思い入れ深い。一番最初は一人地球に行き残った男がコインがなくて自動販売機があっても飲み物を得られない、というような短編で片隅に載っていた。
そのころのCOMの投稿欄をながめていると時々面白い名前に出っくわす。
「いずみやしげる(18歳)」ってのはあの「泉谷しげる」だな。『とつぜんじ』というなかなかシュールな作品で、つのだじろうが高く評価しておりました。懐かしや。◇
リチャード・ニーリイ『心引き裂かれて』読了。
ベルンハルト・シュリンク『朗読者』(新潮社)、澁沢龍彦『新ジュスティーヌ』(河出文庫)購入。 202.238.111.2 漫 26 962336561 忘れてごめんよ、Ctrl+S 昨日はひさしぶりに仕事を早めに終えて帰ったので、絵など描いていた。
掲示板の方でリクエストされた「ガラティア」の、習作では省略していた腕を描いたのだが、右腕がほぼできあがったところで別のレイヤーに移動しようとレイヤーパレットをクリックすると・・・・このアプリケーションは不正な処理を行ったので・・・・ひさしぶりに見たぜ悪魔の伝言(T_T)ぺいんた6〜
いつも1工程ごとにやっていた「Ctrl+S」(上書保存)コマンドを、最近エラーがおきないのでちょっとさぼったら、油断をみすましたかのように・・(T_T)(T_T)
腕は跡形もなく失われミロのヴィーナスに逆戻り。
ふと思ったのだけど、エラーが起きたアプリケーションを終了させる前に、「Print Screen」キーを押したらどうなるのだろう。トラップのレベルが低ければ、画面イメージがクリップボードにセーブされるのではないだろうか。できない確率が高そうだけど、駄目でもともと、今度ためしてみよう。
それよりなにより「Ctrl+S」 61.211.4.25 絵 25 962252115 暑い夏の記憶会社のエアコンが壊れた
外部のコンプレッサーが寿命らしいのだが、部屋はPCがごろごろしてるので、やたら暑い。早く直してくれないと仕事にならんぞ。修理が長引くなら家で在宅勤務にしたいものだ。
しかし私の生まれた頃は当然エアコンなんてものはなかったのに、みんながんばって高度経済成長してたのだから、文句を言ったら罰が当たるかな。当時はPCの熱なんてものもなかったけどね。
*
子供の頃の「暑かった記憶」というのが、思い出してみると意外なほど希薄なのはどうしてなのだろう。海とか虫獲りとかスイカとか楽しいことばかりで、つらかったのは、せいぜい寝苦しい夜ぐらいか。それも「蚊帳」を吊って寝る、あの不思議なワクワク感の方が印象深い。嫌なことやつらいことはどこかの片隅に押し込んで、楽しいことを見えるところに持ってきておく、有り難い心のメカニズムのおかげだろうが、逆に言うと記憶なんてあまりあてにならないということか。
*
私が「夏の暑さ」から一番連想する映像は、実際の記憶ではなく映画。黒澤明監督の『野良犬』(1949年)だ。
若い刑事の不注意から奪われた拳銃が使われて殺人が起きてしまう。犯人を必死で追いかける若い刑事(三船敏郎)と先輩の刑事(志村喬二人の焦燥感を強調するように戦後まもない東京の夏のひたすらな暑さが描写される。開襟シャツに扇子を使いながら飄々と仕事をする志村喬にひきかえ、麻のスーツをぴしっと着て汗を流しながら懸命に捜査する三船敏郎の暑苦しそうなことと言ったらなかった。クライマックスシーンは照りつける太陽の下の草っ原での三船刑事と犯人(木村功)の追っかけっこ。二人の荒い息づかいとは対照的なピアノの音が、遠くの家から優雅に聞こえてくる。黒澤作品の中でも最も好きな1本。
暑さの描写なら野村芳太郎監督の『張込み』(1958年)も忘れられない。
こちらは逃亡犯人の立ち回りそうな昔の女のところで張込みをする刑事二人の話しだが、若い刑事は大木実、年配の刑事が宮口精二。二人が目的地に向かう列車がなにしろ暑そう。満員の人いきれで窓をあけても暑い空気が入ってくるばかりの感じが白黒の画面から迫ってくる。
どちらもリアルタイムに見てるわけではないが、映画館で見た記憶がある。早稲田松竹あたりで2本立てで一遍に見たのかもしれない。
*
さてさて、冷房の効いた取引先にでも出かけるとするか。
219.192.0.37 映 24 962080000 どこか、いい国知らない? 選挙は終ったけど、山は動かないね。なんでもいいから今の首相だけは変わってほしかったのだが、それさえ駄目そうだ。いやあ、宇野首相の方がまだまし、と思わせる人がいたとは、自民党も人材豊富である。
選挙権を行使した日本人の過半数が森政権でいいと思ってるんだろうから仕方がないが、名も無き民は選挙の1票以外に政府を選ぶ意志を表示することはできないのだろうか。
実は選挙以外で政府を選らぶ方法はある、と思う。それどころか実践している人もたくさんいるはずである。ただしある程度のスキルと財力を持った人に限られる。
早い話、日本ではなく外国で生活している人々である。もちろん(日本の)会社の命令で海外赴任しているような人ではなく、自分の意志で外国で生活している人たちのことだ。
なーんだ、と思われるかもしれないが、「国=政府」を国民が料金(税金)を払って雇うサービス機関と考えれば、当然購買者である国民に選択権がある。この店(国)は高いばかりで空調は効いてないわ店員は気が利かないわ特定の客にばかりサービスするわとなれば、別の店へ行く(他国で税金を払う)のは不思議でもなんでもない。
しかし、そう簡単に外国で生活できるかというと、そうはいかないわけで、どんな国でも単なる難民はノーサンキューだろう。いい店(国)ほど敷居は高く、店にとってプラスになる(財力だけとは限らない)人材しか新たな客としては歓迎されないだろう。どの店も常連客の世話をするだけで精一杯なのだから。
それでも、すでに国家間の競争原理は働きはじめてるに違いない。私の知っている範囲でも、日本と東南アジアで会社を経営していて、税金を安い外国の方で払うため、1年の半分+αを海外で仕事している人が複数いる。
お客に「神の国であることを承知させる」つもりでいるような横暴な店主のいる店などは、いい客ほど離れていくだろう。
おそらく、これからの十年位で、科学や芸術の優秀な人材はどんどん海外へ出て行くようになるだろう。オリンピックなどもどこの国籍でメダルを取るなんて関係なくなるかもしれない。第二の千葉すずは最初からアメリカ代表を狙うだろう。
私のような英語はできないスキルはないって奴は「国家」のいいカモとして生きていかなきゃならんと思うと、くやしいけどね。
だから、そういう私みたいな人たちは、選挙で意志表示するしかないのだ。次は来年早々(だったかな)参議院選挙があるのだから、今度は寝てちゃ駄目だよ。◇
リチャード・ニーリイ『オイディプスの報酬』読了。
202.238.111.2 時 23 961998779 『スケアクロウ』 案山子(かかし)のこと。懐かしい映画をTVで見た。
1973年アメリカ。ジェリー・シャッツバーグ監督。主演はジーン・ハックマンとアル・パチーノ。
ハックマンは洗車工場経営を夢見るムショ帰りで故郷へ向かう大男マックス。パチーノは自分の捨てた妻子に会いに行こうとしている小男ライオン。道連れになった(マックスが強引に道連れにした)はぐれ物二人の目的地への旅。
主題はおおざっぱに言ってしまえば「友情」。気がやさしくジョークばかり言っている楽しい男ライオンは、実は妻子との人間関係を築けなかった夫失格男で人格は崩壊寸前。
マックスはすぐキレる自分勝手な大男だが、病気になったライオンに「俺はお前がいないと駄目なんだ。おれが信用できるのはお前だけなんだ」と、やさしさと気の弱さを露呈する。
大昔、映画ばかり見ていた時代に一度見てはいるのだが、当時の私には全然見えていなかったことが随分あるのに気がついた。
マックスは異常なほど重ね着をしているが、これは「傷つきやすい精神を防護する鎧」の暗喩なのだろう。後半酒場でいつも通り喧嘩をはじめようとするマックスにライオンが逆にキレる。マックスは喧嘩をやめてストリップの真似事を始める。1枚1枚シャツを脱ぎ捨て酒場中に大受けして、ライオンも苦笑してもどってくる。このへんからマックスとライオンの役割が逆転する。
二人の間の感情は「友情」なんだが、たぶんに「同性愛」的である。
途中、二人でぶちこまれた刑務所でライオンは先輩の受刑者にレイプされそうになり大怪我をする。マックスはその相手をボコボコにして復讐する。二人は「親友」であって刑務所の「おかま野郎」とは全然違うことを示唆するエピソードだと、昔の私は思っていた。
しかし、ライオンは女好きのマックスが女をくどこうとすると、邪魔(としか思えない行為)ばかりする。マックスもライオンとはずうっと道連れだが女とは「行きずり」の関係しか結ばない。
ライオンは実はミドルネームで、ファーストネームは「フランシス」でマックス以外はみなフランシスと呼ぶ。マックスがフランシスと呼ばないのは「女を呼んでるようで」イヤだというのが理由だ。「ライオンを女と見てしまいそうだ」と告白してるようだと思うのは、うがちすぎだろうか。
最初に見たときは「同性愛のほのめかし」は全然気がつきもしなかった。今回ピンときたということは、私もネットで随分勉強したということか。 202.238.111.2 映 22 961908685 時の彼方へ(4) それとも、超光速移動による過去への移動も、亜光速旅行による未来旅行と同じと考えれば『エネルギー保存則』との矛盾は生じないのだろうか。う〜む、やはり素人が考えるには無理がある難問だったか。
あとは定番のパラドックスについて愚考してこの項を終わることにする。
どうせ架空のことだが、時空の性質に今わかってる以外のことを付け加えないとして、「時間旅行ができる」を唯一の仮定とすると、どうなるだろう。
●親殺しのパラドックス
親を殺しても過去の自分を直接殺しても一緒だが、現在の自分に影響はあるのか。バックトゥザフューチャー的時間旅行観だと、その瞬間「殺した自分」も消えてしまうはずだ。つまり、過去で歴史を変えるとそこから先の未来も変わり、あたかも遠隔操作の如く未来から来た時間旅行者にも影響が及ぶ。
しかし、現在の時空の性質を変えないとすると、そうはならない。過去の自分を殺しても「未来の自分である」時間旅行者にはなにごとも起こらない。時間旅行に出発した時点で「元の未来」から切り離されているはずだからである。
だから、過去で自己殺人を行ってから未来にもどると「竹内某という人物は何年も前に何者かに殺された世界」が待っているだけだろう。自分は何者かというと、どことも知れないところからの闖入者でしかない。
●未来予知のパラドックス」
Yahooのオークションのタイムマシンの出品者への質問にこんなのがあった。
「数日後の日経平均(株価)を見てきて書きこんでください。的中すれば入札者殺到でしょう」
うまい手のようだが、実はこれはなんの証明にもならない。未来はニュートン物理学の時代に素朴に考えられていたように確定的なものではないのだ。
哲学者ラプラスが想定した、現時点の全宇宙の粒子の位置と運動量を正確に知っていて次の一瞬も永劫の未来も正確に予言できる「ラプラスの魔」。そんな魔物は存在できない、というのが現代の物理学だ。たしかハイゼルベルグの不確定性理論とかいうのだった。粒子を観察する行為自体が粒子に影響を与えるので正確な位置と運動量を同時に決定することはできない、というような理屈だと思ったけど、正確なとこを知りたい方は関係書を当たってもらいたい。
未来はある確率の範囲でしか予想できない不確定なものなのだから、たとえ未来を見てきて過去に行っても、また同じような歴史が繰り返すとは限らない。だから、時間旅行ができたら過去に行って競馬競輪株取引で大もうけ、というのはあきらめた方がいい。
●いままで時間旅行者が現れてないのが時間旅行不可能の証明
これもうまい理屈のようだが、「未来予知のパラドックス」と同じでなんの証明にもならない。未来には時間旅行が可能になる「かもしれない」。過去に行ってその時代の人々に会うかもしれない。そこからは「時間旅行者がやってきた歴史」がはじまるだろうが、時間旅行者が出発してきた「時間旅行者が現れなかった歴史」とは、もうなんのかかわりもない。
●私がタイムマシンを手に入れたら
未来を見たいとは、今現在は思わない。
過去に戻って未来の知識を元におおもうけ、とも思わない。
ただ単純に過去を見てみたい。
まずは、やはりジュラ紀と白亜紀に行って恐竜を見たい。
次に行きたいのは江戸時代の東京=江戸。
日本橋のたもとに立って行き交う人を一日ながめていたい。
怪しい奴と思われてすぐ自身番に引っ立てられそうだが。
(この項終わり)◇
今日の衆議院選挙は史上最低の出足らしい。みな神の国首相に「寝ていてほしい」と言われて素直に寝ちまったか。お上に従順なお国柄は健在というところだ。
202.238.111.2 本 21 961817452 時の彼方へ(3) タイムマシンのオークションはどうなったんだろう。明日あたりだれか試乗するのかな。無事を祈るとともに、あまり派手に歴史を変えないようお願いしたい。
本のベストセラーランキングにマイケル・クライトンの『タイムライン』が入ってきたけど、どんなんだろう。
さて、昨日の続き。
「物質とエネルギーは相互変換可能だが、総量は常に一定である」というのが『エネルギー保存則』だ(専門家ではないので不正確かもしれないが)
別の時点からやってきた時間旅行者はあきらかに、この法則に矛盾する。
私が1年前に時間旅行すれば、到着した先の宇宙は突然70kg超も質量が増加することになる。出発時点では逆に減少する。これは既知の物理学の金科玉条である『エネルギー保存則』に反するのだが、たいがいのSFはこの点を意識的にか無意識にか無視している。
もちろん、この点を考慮したSFもあることはある。マレイ・ラインスターの『第五惑星から来た4人』では、タイムマシンが現れる直前に小規模の爆発が空間に起こる。これは実は時間旅行してくる人の質量分あらかじめ現地の物質を旅行出発先の時点に送り込む「爆縮」だったのだ。タイミング的に同時じゃないとちょっとまずいんじゃないかとも思うが、アイデアとしては面白かった。
映画の方だとキャメロンの『ターミネーター』では未来からターミネーターがやってくるとき爆発が起こっているようだけど、少しは意識してるのかな。爆発というより落雷という感じが強いので違うかもしれない。
爆発(物質の相互交換)させずに、この矛盾を解決する方法としてこんなのはどうだろう。物質とエネルギーは相互に変換可能なのだから、別次元から現れた物質(=時間旅行者)に見合うだけ周囲からエネルギーが失われればいいわけだ。時間旅行者の登場とともに周囲の気温がぐっと減って中心部は氷りつく。出発するときは温度があがって中心部は燃え上がる。なかなか劇的効果も高くていいと思うのだが、ひっそり出発するのには向かないな。かなり近所迷惑でもある。
たとえほんの一握りの物質でも狭い場所で全部エネルギーに変換すると地球を吹き飛ばすくらいになるだろうから、影響は距離の2乗に反比例して宇宙全体に拡がることにすればいい。もちろん、これはタイムマシンの「機能」ではなく未来に発見される「時空の性質」である。
それとも温度の上昇下降はエネルギーの損失利得とは関係ないのかな。エントロピーやらなんやらが関係してくると、物理の素人の私はお手上げである。もし、このアイデアを自分で書くSFに使おうなんていう奇特な人がいたら、物理学上の裏づけは自分で調べてください。もし執筆して売れたら些少でよいのでアイデア料を払っていただけると嬉しい。
(この項まだ続く)◇
さて明日は投票日。与党大勝なんてことになると、いよいよ日本は財政破綻した神の国へまっしぐらだ。教育勅語なんぞが復活しないように投票所へ足を運ぶとするか。
202.238.111.2 本 20 961732995 時の彼方へ(2) 時間旅行(タイムマシン)の実現性を考えると、どうも未来行きより過去行きの方が難しそうだ。どうせ架空のことに難易度もないもんだが、現実からの飛躍度の差と言い換えてもいいかもしれない。
今現在の私たちも一定速度で未来へ進んでいるわけで、時間旅行はこれをスピードアップしてやればいいわけである。一番簡単そうなのは人工冬眠だが、そこまで拡大解釈すると毎日眠るのも8時間後へのタイムスリップということになってしまうので、さすがにこれは除く。(私は休日は12時間はタイムスリップしてる、とか俺はイライラしていつも3時間しかタイムスリップできん、とか言う人がでてきても困るし)
次の手段は格段に難しくなるが、光に近い速度で進む宇宙船ができれば、これに乗ってちょっと銀河系をぐるっと回ってくればいい。例のアインシュタインの特殊相対性原理によるウラシマ効果ってやつで、数年の体感時間でもどってきた地球は何百年も経っているということになる。
亜光速宇宙船なんて、とても近いうちにできそうにはないが、少なくとも現在の物理学の延長線上と言って間違いはないだろう。
それに引き換え、過去への旅はとても難しい。光速に近づくと時間の進みは遅くなるのだから光速ではゼロ、超光速なら時間は逆行しそうだけど、現在の物理学だとまったく不可能でしょう。超光速粒子タキオンなんて言葉だけは聞いたことあるけど、理論上の存在であって、存在する根拠なんてないだろうしなあ。
話が進まないので、とりあえず方法は置いておこう。そのうちなにか見つかるかもしれない(笑)
ところがとりあえず出来ると仮定すると、過去行き時間旅行は未来行きに比べて、やたらパラドックスが邪魔をする。
「親殺しのパラドックス」だのなんだのの前に、まずはあの『エネルギー保存則』が立ちはだかる。
(この項続く) 202.238.111.2 本 19 961663083 時の彼方へ(1) Yahooオークションに出品されたタイムマシン(本物)。
色んなとこで話題になってるけど、こういうジョークは好きだなあ。いや、本人は本気なのかもしれないけど。
SFガジェットの中でも、もっとも実現不可能なアイテムなだけに、逆にアンドロイドとか不老不死薬とかいうより怪しさがシュールな領域にまで行ってしまって不快感がない。
「時間」という概念は考えれば考えるほど悩ましい難問で、それだけに時間を扱ったSFには名作が多いような気がする。それもタイムマシンものより超光速航法によるウラシマ効果などをうまく使ったのに泣かせるのが多い。『スローガラス』とか『終りなき戦い』とか、思い切り涙腺を刺激してくれる。
タイムマシンものだと、物語性の前に色々パラドックスが気になるので、いきおい作品もトリッキーなものになる。古典となってるアシモフの『永遠の終り』やハインラインの『夏への扉』などもとてもトリッキーなストーリーだ。
よくあるパターンにこんなのがある。
少年がタイムマシンで過去へもどって、正体を明かさずに両親の危機を救って、結果として二人の仲をとりもつ。
当然これはスピルバーグの『バックトゥザフューチャー』のことだと思うでしょう。ところがこれとまったく同じ設定の手塚治虫の有名な作品があるのだ。少年の正体が最大の謎になってるので作品名は書けないけれど、当然映画よりずっと昔に描かれている。『鉄腕アトム』にも『ミクロの決死圏』の先駆けのような話があるし、やはり手塚治虫はすごい。
話はもどるが、タイムマシンって少しは実現性があるのだろうか?
(この項続く)
202.238.111.2 本 18 961553653 2001万$宇宙の旅 21億円でロシアの宇宙ステーション・ミールに1週間滞在する宇宙旅行を体験できるらしい(時事)。
切符を購入したのはNASA勤務経験もある60歳の実業家。
私は根っからの貧乏人なので、あまり金持ちを羨ましいと思ったこともないが、これはかなり羨ましい。夢を実現するのに21億かあ。全財産が22億でも惜しくないだろうな。(1億余る仮定にしてるとこが我ながらせこい)
ペプシコーラが公募した宇宙旅行は1千万円だが、さすがにスケールは小さい(毎日)。
実際の飛行時間は2分半だというのだから、1週間21億の方が「宇宙を楽しめる時間」当たりの費用はかなり安い計算になる。
う〜ん、やはり金持ちの方がお得だ。
私にイメージとして刷り込まれている宇宙旅行は、アポロやスペースシャトルではなく、もちろんスターウォーズでもヤマトでもなく、やはりキューブリックの『2001年宇宙の旅』だ。
1968年の製作初上映の映画だが、長らく「幻の名画」と化していて実際に見ることができたのは10年後の78年頃だった。再上映には、何年も連続でこの映画を「もあテン(もう一度見たい映画)」第一位に推し続けた「ぴあ」の読者の力も大きかったと思う。あの頃の「ぴあ」はちょっと知的で前衛で、俗っぽくなくて好きだったな。
あの映画のシーンのように、宇宙空間の亜真空の中でミールに腰かけて地球を眺めたら最高だろう。(狂ったコンピュータは困るが)
もちろん宇宙服内のウォークマンで聴くのは、「美しき青きドナウ」。◇
クーンツ『ミッドナイト』(文春文庫)購入。 202.238.111.2 時 17 961506123 マンボウを食らう 仕事から帰ると、父親からマンボウの刺し身が一皿届いていた。
平日はあまり呑まないのだが、これは一杯やらざるをえまい。
薄切りを湯掻いたものらしいが、これを酢味噌で食べる。
見かけは烏賊(イカ)のようだが、舌触りはしゃきっとしていてだいぶ違う。
貝類とも違うし、マンボウの味としかいいようがない。
これは癖になりそうだ、上野にいつも置いてある店があるらしいから、父に作り方を聞いて、今度買ってくるとしよう。
マンボウの奇怪な姿は良く知られているが、こんなに美味とは知らなかった。
体型は普通の魚を前半分で断ち切ったようだが、これは尾びれがないかららしい。背びれと尻びれが体の末端についてるのも普通と違う。
一番巨大なものは体長2.5m体重800kgに達するという。
マンボウの仲間にクサビフグといううやや細長い種類がいて、ハワイの伝説ではアジ類の王様だと言い伝えられている。
クサブフグが海中に姿を現わすと、臣下であるアジやカツオは影をひそめてしまうという。
「マンボウ」というひびきもなかなか悠揚せまらざるところがあって貫禄を感じるではないか。 210.159.89.120 食 16 961381720 レタッチの練習 土曜日息子が九州への修学旅行から真っ黒になって帰ってきた。かるかんだのカステラだの土産物をみんなでぱくつくがなかなか買い物はうまいじゃないか。
写真も1日で出来あがってきたが、男子校なので色気のないことおびただしい。 しかしちゃっかりバスガイドのおねーさんとツーショットを撮っていて、これがなかなか可愛い(もちろんおねーさんの方)
息子が風呂に入ってる間に早速こっそりスキャナーで取込んで、Photoshopで写真加工のお勉強。二人の間が30cmは離れてるので5cm位に近づけ、遠近感が狂ったのでおねーさんを少し拡大。ついでに少し細くしてあげる。笑いながら見ていた妻と娘が背景に点在する観光客(ほとんど息子の同級生)がめざわりだというのでスタンプツールで消す。
盛り上がっていると突然背後にタオルを腰に巻いた息子が出現し「なにしてるんだよ」。
202.238.111.2 絵 15 961301298 日本の選手もTバックを 女子バレーボール日本対アルゼンチン戦を見ていると、妻がアルゼンチンの選手の下着はみなTバックなのを発見。
私「え、なんでわかるの?」
妻「お尻の上のところに三角形に浮き出てる」
私「おー、ほんとだほんとだ」
娘「なんでそんなの着る必要があるんだ?」(勝負パンツと勘違い?)
妻「動き易いからじゃない」
私「うむ、昔、日本の男がふんどしをきゅっと締めて気合いを入れたのと同じだよ。きっとアルゼンチンの彼女たちも控え室でみんなでTバックをきゅっと引き上げて気合い入れてオーッと叫んで出場してくるのに違いない。ウンウン」
妻「・・・・・・」
娘「普通、そこまで考えるか?」
最後の娘のセリフはあきれてるようにも聞こえるが、本当は感心してるのに違いない。いや、あまりに見事な発想に尊敬されてしまったかも。
210.159.89.128 ス 14 961144591 「桑田次郎」発見 前の日記で言及した桑田次郎は、実は子供の頃もっとも好きな漫画家だった。
当時、いわゆるSF漫画(「科学冒険漫画」と言ったね)は手塚治虫や横山光輝、藤子不二雄、石森章太郎といったところが全盛だった。彼らの作品ももちろん好きだったが、桑田次郎の漫画、というより絵、というより線は、他の作家にはないスマートさシャープさ流麗さがあって、子供の私にも魅力的だった。線そのものに妙なエロスを感じていたものだ。
その手塚的でもなく劇画的でもない描線は、真似したくても真似しようがない独特のものだ。アシスタントにも困ったようで、後継者もいなかったようだ。
同じクールで高度な大友克洋の線が大量のエピゴーネンを産み出したのとはえらい違いだ。大友克洋の線自体、メビウスの影響を受けていることは有名だけど、桑田次郎の線はどういう風に産み出されたのだろう。
最近、見かけないなと思っていたら、こんなとこで見つけた。
桑田二郎の世界
「孔雀明王」なんて、なんとなく片鱗は残っているような気がするが・・・・
これは私の知っている桑田次郎ではない!◇
Yahooオークションでフランスのコミック作家Serpieri(なんて読むのか知らない)の『CREATURE』を購入。以前「Heavy Metal」で見て好きになった、グロティスクな世界を美しいペンの線で描く作家。
202.238.111.2 漫 13 960954922 ナメゴンはたしかウルトラQの第3話だった。 Yahooで注目トピックにされてるので知ってる人もいるかもしれないが、ひさびさに面白いツリーを発見。
「ナメクジ」はワープするって知ってます?ナメクジの前に大きな水たまりなどあるとナメクジはワープすると聞いたことがあるのですが。超能力、都市伝説、思い出話、SFおたく話、トンデモ仮説・・・・なめくじ(蛞蝓、Slug)一つで、これだけ色んな話題が出てくるものなのだね。
水たまりの手前で、だんだんナメクジの姿が薄くなってきて、ついに姿を消してしまうそうです。
今度は水たまりの反対側からだんだん姿をあらわすそうです。
一番旧いナメクジの記憶は、薄暗い風呂場の羽目板にいた奴だ。子供の目だからか、とても大きく見えたが、なぜか角の下の部分に猫のような顔があった気がずっとしていた。もう少し大きくなってからじっくり観察したが、もちろん顔などついてるのは一匹もいなかった。
昔は川沿いの土手の土を掘り返せばいくらでもいたものだけど、最近はほとんど見かけない。と、思っていたら、先週ベランダの花の土についているのを発見。ちゃんと割り箸で挟んで処理したが、ナメクジに恐ろしい寄生虫がいることを上記のトピックではじめて知った。素手でやらなくて良かった。
トピックではワープとテレポーテーションの違いというのも話題になっていた。どちらもSF用語で似たようなものだが、ワープは宇宙航法、テレポーテーションは超能力と、分野(?)が違う。
テレポーテーション、テレパシー、テレキネシスなんて用語がポピュラーになったのはいつごろからなんだろう。
私が最初に「超能力」という言葉を知ったのは、桑田次郎(8マン!)の漫画「エスパースリー」からだと思う。たぶん30年以上昔の漫画だが、3つの超能力を持つ超人が主人公で、なぜか月光仮面のようなコスチュームをまとっていた。
あいまいな記憶だが、それぞれの超能力の名称は四文字熟語に訳されていて、テレなんとかという原語(?)は使っていなかったように思う。
●精神感応=テレパシー
●観念動力=テレキネシス
●官能移動=テレポーテーション
「官能移動」などは「色んなとこが気持ちよくなるのか?」なんて誤解しそうだが(私だけか)、なかなかわかりやすくていい感じではないか。
「ナメクジが官能移動する」と考えると、ちょっとイヤだが。 61.211.4.25 漫 12 960881546 畑山隆則二階級制覇と宮本武蔵伝説 ガッツ石松以来のライト級での世界王座奪取、しかも鮮やかなKO勝ちとくれば、最近低迷気味の日本ボクシング界では間違いなく快挙だ。
しかし、史上4人目の二階級制覇と単純に言われるとちょっと違和感を感じる。かつてフライ級とバンタム級を制したファイティング原田と、畑山や井岡を同列に論じるのは納得いかないなあ。
だいたい原田の頃は一階級にチャンピォンは(当たり前だが)ただ一人。現在のWBA、WBCのように王座認定団体が分裂してはいなかった(IBFだのWBOだのはこの際置いておく)。
しかも当時の階級は11階級のみ。世界チャンピォンと名乗れる選手は11人しかいなかったわけだ。現在では全部で17階級に細分されている。それぞれの階級に二人ずつチャンピォンがいるから全部で34人。原田が制覇した旧フライ、バンタムの範囲だけで10人いる。単純計算だと原田の二階級制覇は畑山の3倍以上難しかったということになる。別に畑山の偉業を否定したいわけではないが、チャンピォンの価値というものが、昔と今ではかなり違うのはあきらかだ。
スポーツの結果については「結局残るのは記録だけ」とか「記録より記憶に残る方が価値がある」など色々言われるが、少なくとも記録の数字づらを鵜呑みにするのは危ない=情報としては正確性に欠けることはたしかだろう。
笑える例では、昔プロレスで「二千勝の鉄人」という触れ込みのメキシコのチャンピォンが日本に来たことがあったが、「二千笑」の間違いではと思うような実にしょっぱい(下手な)試合をしていた。
コワもてな例なら、先月、船木誠勝を絞め落として強さを誇示したヒクソン・グレイシーの「四百戦無敗」なども怪しさ一杯の記録の代表である。本人以外に「「四百戦」の中身を知る人間はいないところなど、宮本武蔵の「六十余度まで勝負すといえども勝利を得ざるということなし」(五輪書)に通じるところがある。
もちろん宮本武蔵のように伝説上の人物なら、もっと凄い記録の持ち主はいくらでもいる。塚原卜伝(ぼくでん)などは「真剣の試合十九度、軍(いくさ)場に出ること三十七度、矢傷六ヶ所の他は切傷突傷一ヶ所も被らず、倒した相手二百十二人也」というのだから凄まじい。
しかし記録はどうあれ、現在人口に膾炙しているのは卜伝より圧倒的に宮本武蔵なのは、ひとえに吉川英治の「宮本武蔵」の力だろう。文学恐るべし。創作恐るべし。極真空手のマス大山伝説もかなりの部分を梶原一騎の「空手バカ一代」に負っていることは間違いあるまい。
ボクシングの凄い試合を見た時など、どんな映画や小説の格闘シーンも空疎に感じるものだが、長い時の流れでの勝負となると、創作の力も捨てたものではないということか。
それとも「感動の風化」の無常を悲しむべきか。
202.238.111.2 闘 11 960727668 『ロッキー』 NHK-BS。
最初の公開のときはもちろん、TVでも何度も見たけど、試合終了のゴングがなったところで、いつも目頭が熱くなってしまうのは、われながら単純だとあきれてしまう。映画らしい映画が持つ力には弱いのである。
スタローン自身の骨太の脚本。貧しいチンピラの愚直な日常を描く前半が特にいい。試合後のインタビューに答えずエイドリアンの名だけを呼び続けるラストなんて、書けそうでなかなか書けないと思う。
それが『ロッキー4』だとソ連(昔そういう国があったのさ)相手に偉そうな大演説をぶっちゃうんだから、同じシリーズとはいえ、品も格も違う。やはり1作目につきる。◇
クライブ・バーカー『ラスト・ショウ』読了。血の本シリーズ最終巻。
202.238.111.2 映 10 960606432 そして陰毛を見る少年少女 6月7日の続き。
さて、WEBの入り口に時としてある「ここは18歳未満禁止」表示。あれってなんの意味があるのだろう。
訪れた少年少女があの表示を見て素直に帰る、とはまさか思っていないだろう。いざというとき(ってなに?)の責任回避?特定サイトアクセス禁止システムへの情報開示?
どの意味だとしても「18歳」で区切ること明確な理由があるのだろうか。WEB管理者独自の判断ではなく法律上の規定を援用してるだけというところだろう。年齢を明確にしていない「アダルトオンリー」などの場合も「アダルト」は法律上の「成人」を指すと考えてほぼ間違いあるまい。
もちろん「18禁表示」が悪いと言ってるわけでも考えてるわけでもない。うっかり不愉快になる人がいる危険を考えれば、事前にどんなコンテンツがあるかという情報は必要不可欠だろう。
しかし、個人の問題に立ち返ったとき、自分の絵を特定の年齢(あるいは法律上成人)以上にのみふさわしいと自分で決めるときの根拠ってなんなのだろう。だいたい裸体や陰毛は人間の成長を阻害するのだろうか。
私の子供たちは父親が下手くそな裸体画(ときとして陰毛付き)を描いているのを日常見ている。「親の裁量権」というより「個人の裁量」のうちだと思っているからだけど、裁量は責任を伴うのであって、子供がなにか事を起こせば非常識な親(私だ)の責任は逃れられないところだろう。まあ、私の絵なんぞはそんな大層なもんではないから大丈夫か。
というわけで、なんだか結論が出ないままにこの項を終わる。なにかやばそうな絵を描こうとしてぐちゃぐちゃ考えてるな、と推理したあなた。
当たってます。◇
クライブ・バーカー『ウィーブワールド』Yahooのオークションで購入。
評判の『朗読者』、書店店頭では品切れらしい。先週ジェイブックで一緒に注文しておくのだった。
202.238.111.2 時 9 960356690 少年法→18禁WEB→ 昨日の続き。
最近の続発する少年犯罪のおかげで少年法については色々マスコミやネットで意見・情報が飛び交っている。いまさら私が屋上屋を架すこともないが、要は18歳とか14歳で一律に適用する法を決定し、量刑も制限するというやり方が妥当かどうかということだろう。
もちろん人間は一律に成長しないし、「更生の可能性」も年齢に正確に比例するのではないのだから、司法の専門家たる裁判官が社会的変化などすべての要因を判断し「裁量する」のが本来のあり方だろう。だからこそ法律家は力量が求められるし、オープンな過程で選ばれなければならない。
トルシェ監督と千葉すず選手に話をもどすと、「選択権者」自身がオープンに選ばれ面子や権限より本来の目的を果たすに真摯な人々であることが明らかなら、彼らの「裁量」もおのずと尊重されるだろう。現状はもちろんそうではない。当然、「明確な基準」が必要だし、それがいやだったら選考過程を完全オープンにするしか、選手観客マスコミを納得させるすべはない。
こう考えてくると「少年への量刑」を裁判官(陪審制が導入されれば陪審員)の「裁量」に完全にまかせてしまうことが、良い選択かどうか難しくなってくる。理不尽な判決を下す裁判官に対し国民がNOと言える体制ができていないと、裁判官の裁量権を増やすことは国民に対する危険が増すことでもある。これは司法の独立性を侵すということではない。逆に行政にNOと言えない司法にNOということで、独立性を保証するということだ。アメリカが陪審員制を維持しているのには、このへんの理由もあるのだろうか。
さてさて、自分でも良くわかっていない事柄を強引に書き進めてきたのには、理由がある。
自分のWEB(の一部でもいいのだが)に「18歳未満閲覧禁止」と掲げることの判断について迷っているところなのだ。もちろん今現在の自分のページではなく(とっくに危ないと思う人もいるかもしれないが)将来のことだが。
なんだか竜頭蛇尾な展開で申し訳ないが、私にとってはまさしく「裁量権」と「明確な基準」の問題なのである。 (さらに続く)◇
クライブ・バーカー『マドンナ』(集英社文庫)読了 202.238.111.2 時 8 960290496 トルシェ→すず→大相撲→少年法→ あまりサッカーは詳しくないが、フランス戦の善戦はめでたい。トルシェ監督には2002年ワールドカップまで居直って指揮をとってもらいたいものだ。別にトルシェのファンというのではなく、日本サッカー協会の対応が気に入らないからなのたけど。
千葉すずと水連もそうだが、日本の「組織」を牛耳る人々にとっては「組織のためになる」能力より「主張しない、自分達に従順な」資質が優先するのだね。その憎きトルシェの首を誰が切るかで牽制しあって先送りにしてるさまは、もう凛々しさや潔さと対極にあるとしか言えない。
そういう「支配こそ快感」の組織人が武器とするのが「裁量権」である。オリンピック代表を決める「明確な基準」を公表せず「裁量の余地」を残すことが、選手へプレッシャーを与え、選ぶ側の支配力を強めることは言うまでもない。
中学や高校における「内申書」、大相撲横綱審議会における「横綱の品格」、警察における「わいせつ基準」なども同様の「支配力」という側面を持っている。
反対に「裁量の余地なく」「明確な基準がある」ことが、逆に問題かなと思える事柄もある。
「少年法」の「年齢」がそうだ。(この項続く)
202.238.111.2 時 7 960175080 めろんパーティのオフ めろんパーティのオフ。このメンバーのオフはなぜかいつも晴れで暑い。
メンバー翡翠さんがオーサリングを手がけた紹介ソフトが運用されてる国際子ども図書館へ。
国会図書館の付属施設で5月6日にオープンしたばかり。まだ半分は工事中。
神社本庁とでも書いた方が似合いそうなおおげさな看板はどうかと思うが、重厚な建物と真新しい内装はなかなか素敵だ。さすがに休日なので子供連れで一杯。翻訳の歴史展をやっていたが、アリスのタイトルが「愛ちゃんの不思議な旅」なのは笑った。中身は当然旧仮名遣い。
挿し絵に記憶がある懐かしい本もいくつか。「エミールと探偵たち」「ドリトル先生アフリカ行き」「海底二万哩」。
「海底二万哩」は一時日本でも人気が高かったフランスの画家ベルナール・ビュッフェがモチーフにしていたし、シュールレアリズム画家ポール・デルボーの作品にも「地底旅行」の主人公リンデンブロッグ教授が登場する。フランス人にとってジュール・ベルヌは特別な作家なのかもしれない、などと思う。
上野の喧騒を離れ谷中の街をご案内し、ちょっと変わった店でお茶しながら、メンバーのCGやムービーを使った音楽教室の発表会のビデオ等を拝見する。自分の絵がプロジェクターで映し出されているのを見るのはまた違った気分。
日暮里駅前の中華料理店で食事。小籠包と鮑のクリーム煮以外は味はもう一つだった。
参加メンバーには、暑い中たっぷり歩いてもらい、本当にお疲れさまでした。
202.238.111.2 網 6 960087309 「地獄草子」をCGで再現 NHK教育「国宝探訪」。今週は平安時代の「地獄草子」。
褪色し傷んだ画面をコンピュータで再現していたが、ソフトはPhotoshopだった。以前見たダヴィンチの「最後の晩餐」はパッとしなかったが、今回の再現は見事。蘇った鮮やかな地獄図は実に生々しく、人間を臼で挽く鬼や炎を吹く怪鳥など迫力十分。国宝展で見た絵巻物類は褪色がひどくてあまり面白いものではなかった。私のような素人はこういう再現された画像の方が楽しめそうな気がする。CD-ROMが出ないかな。
再現画面を見た荒俣弘がひと目で「これは五行の色ですね」と指摘していた。さすが大博物学者。
五行は古代中国人が惑星運行を元に作り出した世界解釈の記号体系で、はやりの風水の元の元。ギリシャ神話や聖書の知識が西欧文学のベースなら、東洋文学のベースになってるので、知っといて損はなさそうだけど、奥も深そう。覚え書きとして基礎の基礎の基礎の組合わせだけでも書いておく。
(参考:中野美代子『中国の妖怪』『西遊記』岩波新書)
惑星 方角 色 霊獣 火 南 赤 朱雀 水 北 黒 玄武 木 東 青 蒼龍 金 西 白 白虎 土 中央 黄
やはりは西は虎なのだね(笑)
「玄武」の正体はガメラか?ってのは「ガメラ3」にあったな。
とすると「朱雀」はリトラか?と言うのはマニアックすぎるか。
210.159.89.80 美 5 960009587 弁論ねぇ 中学生の娘の学年弁論大会とやらを拝聴しに行かされる。
テーマが「輝くとき」なんだから立派な意見ばかりで文句のつけようがない。「私がむかつくとき」なんてのにしたら面白いのではと思うけど、ま、子供は本音は吐かんよね。◇
ジェイ・ブックで頼んだ本が届く。リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』(みすず書房)、荻原規子『空色勾玉』(徳間書店)、ダン・ゴードン『死んだふり』(新潮文庫)、ヘレン・マクロイ『ひとりで歩く女』(創元推理文庫)。
クライブ・バーカーの『死都伝説』と『ヘルバウンド・ハート』は品切れ。うーむ、Yahooオークションで気長に探すしかないか。
202.238.111.2 言 4 959935690 医療過誤 研修医のミスで男児が寝たきり状態に
心停止状態になってるのに、機械の故障と思いこみ機械の調整ばかりしていて、15分も脳に酸素が血液が行かない状態になっていたそうだ。
研修医と言っても、仮にも医者なら機械より先に患者の様子を見ないだろうか?
本人にも言い分はあるだろうけど、医者に向いてない人としか思えない。
どうせマスコミは「デジタル世代は」とか「ヴァーチャル世代」はとか、書くのだろうが、この例ばかりは否定できないなあ。ある意味バスジャックより慄然とさせられる事件。
私もメールのやりとりだけで仕事が済んでいくのが快適なのは否定できない。自戒。心して人に会わねばいけないとは思うが、面倒なのは確かですな。
私の好きなTV番組「ER(緊急救命室)」によれば、アメリカで医者になろうとする者は、一般大学4年終了後、メディカルスクール4年、インターン1年を経てやっとレジデント(研修医)だそうだ。
件の研修医は26歳だそうだが、アメリカだと30歳位になってる勘定だ(飛び級があれば別だが)その差はちょうど最初の「一般大学」の部分に該当する。
ここで4年間きちんと自分が医者になりたいかどうか考えるか否か、大きな違いだろうと思う。
民間まかせの保険制度とかアメリカの制度がすべていいとは思わないが、こうしたところの差が国全体では大きな差になりそうで気持ちよくはない。
202.238.111.2 時 3 959665149 仕事な日 昨日はひさしぶりに深夜まで仕事。
昔は毎日続いても平気だったのに、今では思考力鈍ることはなはだしい。
うう、「ERV」も「恐竜家族」も見られなかった。
TV番組で必ず見るのは「新日曜美術館」とこの二つだけだというのに。
今日は「少年法とWEBの18禁表示について」なんぞ書きたかったのだけど、明日以降に延期。◇
Yahooオークションで買った本が届く。
クライヴ・バーカー『ダムネーション・ゲーム』(扶桑社ミステリ文庫)、K・H・シェール『オロスの男』(早川書房)、ディーン・R・クーンツ『デモン・シード』(集英社文庫)
全て絶版本なので辛抱たまらず買ってしまったが、未読本がまた増えてしまった。しばらくは本の購入はしないぞ・・・・っと。
202.238.111.2 雑 1 959499319 日記? 新しく日記のページを設置。
毎日書くとは到底思えないので「メモ」などという名称にしたところが、我ながら奥ゆかしい。
掲示板とのすみわけをどうするか、今後の課題だけど、まあ書いて行くうちに方向性が見えてくるでしょう。
このような日記形式書込みに対応できるように、掲示板スクリプトの「リードオンリー」の動作を改造。
どちらかというと、スクリプトを作るためにこのページをはじめたような気もしてきた。 127.0.0.1 19Atq39dVIXbw 網