余命半年と先刻された青年と共に歩み続けるのは将来
を誓い合った若き娘。
「生まれ変わっても必ず一緒になろうね」
だが、残酷にも病は進行して行く。やがて青年は体の自
由さえも奪われ、徐々に近付いてくる死の瞬間。二人を
繋げていたものは、一冊の日記帳。生まれ変わった後も
二人が歩んだ軌跡を辿ろうと約束したから。
「小学校の頃の朝顔の観察日記みたいだ」
青年の一言から、その日記帳は「あさがお日記」と呼ば
れるようになった。この物語は二人が過ごした半年間の
記録。
そんなある日、青年の母親は不思議な店に足を踏み入
れることになる。夢を叶えることを生業とする不思議な
店、夢屋。母の願いはひとつ。私の命と引き換えにして
も構いません。どうか、あの子を生かしてやって下さい。
夢屋は静かに頷き、小さな鉢を手渡した。この鉢に植え
られた花を見事咲かせて御覧なさい。咲かせ方は私にも
判りません。ですが、軌跡を起こす「あさがお」です。
月夜の晩に咲くと言われる、不思議な「あさがお」です。
どうぞ、見事咲かせてあげて下さい。朝露と共に、貴方
が身代わりになれるはずです……

小説『夢屋〜あさがお日記編〜』より

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