犬と夏の暑さ、散歩。そしてドライブに関する老婆心メモ


 友人の犬でした。年齢3歳、元気盛りのオスでした。

 「死んじゃったよ?、熱中症だって、、、。気温は30℃に行ってなかったから、つい油断してクーラーを入れてなかった。夕方、散歩の後、急変してね、、、」

 我が家生まれのサモエドも楽しい旅の終わりに帰らぬ姿になってしまいました。胃捻転でした。5歳、飼い主さんに愛され、すばらし白い毛をまとったオスでした。

 犬と私たち人間の関係が大きく変わって20年以上になるでしょう。今や番犬等の実業を担う犬はまれで、ほとんどがコンパニオン(家庭犬)の道を歩んでいます。まさしく犬は私たちのすぐ横で家族の1員となっています。

 そんな犬たちとの暮らしの中で、散歩、食事、そして時には車に乗って遠出ドライブと楽しい時間も増えています。でも、せつない事故も多くなりました。長年、数多くの犬たちと暮らし、観察研究をしてきた私たちムツゴロウ動物王国のメンバーのひとりとして、

「あっ、それはいけないよ?、あぶないよ?!」

「それは犬にとって迷惑だよ?、逆効果だよ?!」

 と大声で伝えたいことがあります。

 今回、緊急発表として、夏の暑さ、ドライブ等に関してのアドバイスをまとめさせていただきました。拙い文章ですが、内容はお役にたつと思います。皆さんの愛犬との暮らしに生かしていただき、事故を防ぐことができたなら、皆さんを見つめる犬たちの瞳が輝き続けたらと願っています。

                        

                   2006・9月 ムツゴロウ動物王国 

                          石川利昭 野村恭太




* 暑さ対策

<サマーカットは犬には地獄!>

 ゴールデンやシーズー、G・ピレニーズなどの毛の長い犬を飼われている方で、夏は暑そうと全身をサマーカットされる方がいらっしゃいます。確かに見た目は涼しそうですが、実はこれが犬にはえら迷惑、30℃超えの日々は地獄となるでしょう。

 オーストラリアでの研究では、温度38℃、快晴の状態で、長さ8センチの毛で覆われた羊の体温は高くても42℃止まりと確認されています。毛の先端は輻射熱で85℃になっていても空気を含んだ厚い毛が断熱材の役割りを果たし、見事に羊が熱中症になるのを防いでいます。

 日本でも羊の毛刈りは3月?5月頃に行われます。けして夏に毛を刈ることはありません、暑い夏には毛が伸びているように考えてのことです。

 犬もまったく同じです。シベリアが原産のサモエドは全身を真っ白で長い毛で包まれています。原産地は真冬、マイナス40℃。そしてシベリア内陸部が原産地ですので、夏はプラス40℃近い日もあるのです。彼らの長い毛は、寒さだけではなく暑さ対策においても優れものなのです。

 

  では暑さ対策の結論です。



・ 普通の暮らしをしている犬は、けしてサマーカットをしてはいけません!

  例外は、ディスクの大会を目指す犬などで、灼熱の中でも激しいトレーニングを

 しなければいけない子、つまり動きで体内上昇がさけられない犬です。彼らはサマ

ーカットすることで放熱量を増やしますが、これはあくまでも特例です。普通の犬

がカットされると、真夏に毛を刈られたあわれな羊と同じ状態になります。



・ 庭の遊び場に大きなタライを。散歩から帰った玄関先にもタライを!

 冷たい水を入れたタライに4本の足の先を浸けることで、足首の太い血管を流れる血が冷やされ、まるでラジエーター液のように全身を巡り、体温を下げ、熱中症を防止します。頭の上から水をかける必要はありません。特別に暑い日は、犬が前足で腹に水をかけたり、腹這いになって自主的にクールダウンを強化するでしょう。

もともと犬たちは水遊びが好きです。楽しみながら熱中症を防ぐ最高の手法です。



・ 吐いてもかまいません、水はたっぷり飲ませましょう!

 よく、運動の後ですぐに水を飲ませると吐き戻すので、落ちついてからと言われる方がいます。でも犬たちは『飲みたい時に水があることが幸せ』なんです。喉が渇くだけではなく、口を開け、舌を中心に水分を蒸散させ、それによって体温を下げている彼らには、水を飲むことはとても重要な作業、ぜひ、好きなだけ飲ませて下さい。飲めるように用意しておいて下さい。吐いたとしてもなんの問題もありません(暑さ以外のケースでの多飲、吐瀉は別です)。サモエドは口からの蒸散だけで1日2?以上の水が必要です。



・ クールマットは便利です!

  ゴム、プラスチック、金属等、様々な材質のクールマットが市販されています。

 あなたの犬の性格、動きを考え、咬み破らないものを大いに利用しましょう。外飼

 いの犬たちがひんやりとした板の上や土の穴で寝ているのと同じ効果があります。

 室内飼い、ドライブの車中で便利です。



・ 木陰(日陰)、土、タライ水!

  外飼いの犬の夏場の必要3条件です。飲み水用の水桶以外にタライも用意しまし

 ょう。よしず、すのこも大いに利用したいものです。



・ 夏の散歩はてきとうに!

  涼しい時と同じ時間、コースにこだわることはありません。その日の状況で短縮

 バージョン、時には真夜中、そしてたまには散歩中止もいいでしょう。それによっ

 て実は飼い主さんと犬の絆が太くなります。思いがけぬことが重要です。



  次に犬と一緒のドライブ、旅行における注意点です。



・ いつもの餌は忘れよう!

  食べ慣れたフードを持参し、家に居る時と同じ量を、同じような時間にわざわざ

 与える方がいらっしゃいます。これはとても危ういことです。

  特に気を付けなければいけないのはドライフードです。穀類を粉末、顆粒状にしているドライフードは、食べてすぐに水を飲むと、胃の中で溶けてふくらみ、時にはノリ状となって捻転、閉塞を引き起こすことがあります。

 旅先では犬のテンションも上がっています。様々な楽しさで動きも日常よりも激しいでしょう。そんな時は水をたくさん飲みます(飲ませなければいけないことは前述しました)。従ってドライフードによる危険度が高まることになります。

 短い時間の旅ならば(最長1週間程度まで)、ぜひ『本物食』がおすすめです。本物食とは缶詰、肉、ハム、ソーセージ、人間が食べるもの等、美味しく、それ自体は水を吸って大きく容積を増やさないものです。ライスがベースのドライフードを使っているならば、旅の間だけは私たちのおにぎりを与えれば良いことです(すでに水分をたっぷり含んでいます)。

 もうひとつのコツは、量を少なめにです。さらに食後は楽しい遊びや移動を避け、犬を横にのんびり訪問地の素晴らしい景色でも眺めましょう。



・ 車内温度と風にご注意!

 犬とドライブをされる方は、もちろんそんなこと常識だよ、とおっしゃるでしょう。でも犬たちは、同じ35℃でも空気が動いているか淀んでいるかで生理的な影響が違います。風が通ることで犬の舌からの水分蒸散が進みます。体温が下がります。ぜひともクーラーだけではなく、窓を開けて空気が動く状態を作って下さい。最大の敵、直射日光は避けましょう。長い時間停車している場合は、太陽の移動にも気を使いましょう。



・ こんな症状が出たならすぐに獣医さんの所へ!

  とにかく水をよく飲む、よだれも多く、そして飲んでは吐くを繰り返す。

  足を囲い込み、横座りの姿勢で、呼吸が荒く、瞳の焦点は10メートル先あたり

  におかれている(腹部の痛み)。

  何もしていないのに『ヒィヒィ』と啼いてやまない。

  腹部に膨満感があり、触るといやがる。

  鼻が乾き、耳が熱い(高熱)、切迫呼吸も続く。

  超大好きな物も口にしない。

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 楽しい愛犬との暮らし、その安全のために、この1文がお役に立てば幸いです。

  皆さん、そして犬たち、良き日々を?!



                    ムツゴロウ動物王国

             石川利昭 野村恭太