残金900円


 ■■は金遣いが荒く、無計画にカネを使う。酒好きで多趣味な■■は、よく仕送り日の何日も前に、現金を切らせてしまう。一人暮らしの■■にとって、現金がないのは死活問題だ。そしてある月、仕送り日まであと一週間はあるうというときに、■■のサイフには900円しかなくなっていた。この様相を見て、周囲の人間が、「パンの耳を貰ってこい」「問屋で一番安いバターロールパンを買ったら、900円で一週間食いつなげる」などとアドバイスしていたものであった。
 しかし■■はこの日、タバコ1箱を買い、ノドが乾くたびにジュースを次々と4本買って飲み干し、その日のうちに残金はほどんどなくなってしまった。■■が翌日以降、どうやって生きていたのかは、誰も知らない。聞くところによると、飲み会があると参加してそこで食料を摂取して、先輩に頼み込んで飲み代を肩代わりしてもらっていたとか。


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