これは私の食事としては、高級な部類に入る。
なにせ、米に色が付いている。
さらに、「具がない」と言いつつもピーマンが入っている。
その上、塩やコショウと言った類の調味料だけでは出ない、複雑な味がするときたものだ。
その「複雑な味」は、ドライカレーの素と称するブレンドされたスパイスなのだが、そんな高級なものを私は自分で買ったりはしない。このドライカレーの素は、母親が私の食生活を案じて送ってくれた小包の中に入っていたものである。
さて、私は米は炊くが、普段は塩かダシの粉末を振りかけるだけで喰っている。おかずは作るときは作るが、そう毎日はやっていられない。
いくら種類を用意しても、調味料の類では味がマンネリ化して飽きるのである。
「味が、もっと複雑な味が欲しい!!」
そういうときは、ミソやコンソメと言った別の調味料で喰うか、そもなくば漬け物でも買ってくるが、この日はドライカレーがあることに気付いた。
ドライカレーっても、うちには肉なんぞはない。私は肉を買うことなど滅多にない。うちには冷凍庫がないし、一人暮らしでは肉なんぞ買っても余すかも知れない。第一、肉は高い。
フライパンでメシを炒め、ドライカレーの素(すなわちブレンドされた香辛料)をかけても旨味に欠ける。舌に刺激的なだけで、やはり扁平な味になることは目に見えている。
冷蔵庫にピーマンがあったが、これは彩りにしかなるまい。
そこで私はコンソメを使用して肉のエキスの代用とすることとした。
しかし、粉末状のコンソメを切らしている。あるのは四角い固形コンソメだけである。まさか、このままぶち込むわけにはいくまい。
どうせ、米をフライパンにぶち込んでほぐすときに水がいる。その水にコンソメを溶かせばよかろうて。
ということで、水にコンソメをぶち込んだが、冷水で固形コンソメがそう簡単に溶けるはずがない。箸で砕いたが、今ひとつ大粒だ・・・。まあ、よい。水を吸っているので、フライパンではすぐに溶けるであろう。
てなわけで完成したドライカレーだが、コンソメと香辛料が利いていてなかなかいける。舌が深みのある味に慣れきった人間はマズイと言うかも知れないが私にとっては久々に刺激的な味であった。
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