ワカメ事件
1996年の合宿の後、Г氏(仮名)と忍氏(仮名)、そしてN氏の3人だけが自家用車で帰ることとした。そして高速の途中で立ち寄ったSAにて、食事をとったのだが、そこの券売機に「ワカメ」というボタンがあった。棒術部の合宿は足腰が立たなくなるほど過酷で、睡眠時間も食事も不十分。昔になればなるほどその傾向は強く、このときの3人の脳髄は焼き切れていた。
忍氏は「このボタンを押したら、どうやってワカメが出てくるんでしょうか」と言いつつもワカメの券だけを購入。そして、それを厨房に差し出す。厨房は騒然となったという。どうやって出すべきなのか、と。このワカメボタンは、うどんに入れるトッピングなのだ。単品でワカメを要求した客など今までいなかった。厨房のおばさんは、「本当にこれでいいの?」と何回も念を押したが、忍氏は「これでいいんです」と押し切る。忍氏は、テリヤキチキンも同時に買っていたのだが、その上にワカメを載せてもらった。ワカメの載ったテリヤキチキン。これを持ってテーブルまで移動する忍氏は、周囲の人々の注目を集めたという。
後輩がやったのならば先輩が黙っているわけにはいかぬ。そう言って、Г氏はカレーにワカメをトッピングしてもらい、N氏は牛丼の上にワカメを載せてもらった。忍氏のときは、厨房のおばさんが哀れんで、うどんのスープだけつけてくれたのだが、二番手三番手にはそんな目こぼしなどあろうはずもなく、Г氏もN氏も、徹底的に食感があわず、味もないワカメをカレーや牛丼とともに喰らうこととなったそうな。