下宿

 「下宿」という言葉を聞くと、朝晩とおばさんがメシ作ってくれて、便所風呂は共同、電話も内線といった「寮」のような共同住居を想像する人は、少なくないはずだ。
 私の高校時代も、そういう意味に於ける「下宿」に暮らす友人が何人かいて、そいつらの部屋に溜まって「KOF'94」や「真サムスピ」を夜通し対戦し、酒喰らって暴れていたものだった。


 だが注意しなくてはならないのは、「下宿」という言葉が必ずしも上記のような個室間の壁が薄い住居ではないということだ。下宿生と言ったときに、単に自分名義のアパートやマンションに一人暮らししている連中も指しうる。


 棒術部の新入生勧誘用のパンフを作るときに、連絡先電話番号の後ろに(下宿)と書くか別の表記にするかモメたことがあったのを思い出した。「寮」のようなものを想像されると、電話をかけにくくなるのではと危惧したのである。
 1999年以降の新勧では、携帯電話が全部員の90%以上に普及し、パンフにも携帯の番号を書けばそれでよくなった。そういうところにも時代性というものが現れるのだな。