課長宅ビデオ撮影
課長(仮名)は、両津勘吉の生活に憧れていたというだけあって、その部屋の様相は凄絶である。部屋には紙ゴミ・毛髪・空き缶・ペットボトル・酒瓶・雑誌などが事実上床が見えないほど散乱し、掃除は年に何回もしないと豪語する有様。その様子をGTR(仮名)氏が、講義で出された「人の部屋を撮ってこい」という課題で、課長宅を撮影したそうな。
まずそのビデオは、課長宅に至る玄関前の通路からはじまる。崖と田んぼに囲まれ、崖にへばり付くように立っているそのアパートは、九龍城の異名を持つ。課長宅は外観からして異様である。そして、課長の部屋へと至る玄関口は、どこぞの貧民窟の路地裏のごとき様相を見せる。切れかけた蛍光灯の明かりをビデオカメラが最大露出で拾ったその画像は、うさんくさいドキュメンタリー番組の犯罪組織レポートのようだ。
玄関を開ける。靴置きからして、靴とゴミが混在し、数十本のビール瓶、一升瓶、焼酎・ウィスキーの空き瓶から転がっている。ビニール袋がはち切れるまで詰め込まれたビールの空き缶も。そして紙ゴミがやはり散らばる。
カメラを上げると、食器棚には折れた棒が突き刺さり、洗濯機にはパンツが並べられ、台所には積み上げられた食器が洗われる日を待っていた。
部屋に入ると、やはりゴミまたゴミ。カーテンレールには蜘蛛の巣が張られ、部屋の隅にはゴミと物品が積み上げられ、床もやはりゴミだらけであった・・・。
この映像を見たGTR氏の級友は絶句し、女性なんぞ悲鳴を上げたそうな。 この人はどういう人間だ、という疑問が噴出。しかし、先生曰く、この人はゴミをゴミと思っておらず、自分の一部分と思っているのだろう、とのことである。その通りかもしれぬ。
一般人にとっては、この部屋は想像を絶する、理解の範疇を超えた脅威なのであった。