布団の数
私のアパートには、寝具の類が結構な数存在する。
掛け布団2
敷き布団2
毛布薄手1
毛布厚手 5
タオルケット1
まくら2
座布団4
一人暮らしの学生、掛け布団と敷き布団が1組あって、あとはまくらと毛布が1枚でもあればそれで十分だ。だが、私は狭いワンルームマンションから2DKの木造アパートに引っ越す際、確信を持ってここまで布団を増やした。「ダメ人間の城」として部屋数のある住居を選んだのだから、来客に対してはそれなりの用意が必要である。狭い何もない部屋でも、5人も6人も集まって、身体を折り曲げながらフローリングの上に寝っ転がり、広い部屋でも寝具のひとつもない中で、布団をひっかぶる家主を横目に床の上に寝っ転がる。そんな夜もわるくはないが、人に敷居をまたがせるからには、私は然るべき準備をしたい。
そして案の定、我が家には多数の来客が泊りがけで押し寄せた。あるときは、泊りがけのゲーム大会。あるときは数日連続の上映会。またあるときは、部の新勧のときの前哨基地。飲み会を終えて、終電を逃した人間も快く招きいれた(もちろん人は選ぶが)。特に、冬場は安物のエアコンひとつだけでは2DKの部屋すべてを暖めることは不可能で、誰もが毛布にくるまって、手だけだしてコントローラなど握っていたものである。人数が多いときなど、早く寝た奴が畳の上に厚手の毛布を掛けてねて、最後に寝た奴はフローリングの上にタオルケット一枚で寝るハメになったものだ。それは私だが。それでも、全員に夜具が当たる。そうでなければ、風邪など引く者が現れたかもしれぬ。
この布団の数こそ、私の学生生活の象徴である。