携帯電話に掛かる間違い電話1


 携帯電話の番号というのは、携帯電話会社の各地域会社ごとに割り振られている。例えば私が最初に持った携帯電話は010-6xx-xxxxだったが、これはドコモ北海道を意味する。現在の番号では、090に続く2〜3桁で、どこの地域の、どの電話会社の契約かがわかる。例えば、私が契約し直した電話090-88xx-xxxxもドコモ北海道だ。
 だが、こうした法則性をほとんどの人は知らないし、知っていたところで詳しく番号と地域を記憶している人などほとんどいない。そのため、間違い電話やイタ電は、全国区となる。
 例えば八王子に電話しようとして間違う人は、市外局番の0426はなかなか間違わないが、携帯電話に電話しようとする人が、「あいつはドコモ東北だから090-33からはじまる」などと意識しているわけではないので、間違う際は090のあとの2〜3桁を間違うこともよくある。
 こうしてかかる、全国区な間違い電話について紹介したい。


 私が酒を飲んでそのまま友人の家で寝ていたとき、携帯電話のコール音に呼び出された。当時のP201には着メロなどというシャレたものはついていない。ただ同じ音が連続して鳴るだけである。これは目覚ましと同じでなかなか耳に響く。すぐさま起きてズボンを探して、携帯を取り出した。
 P201も番号通知を表示することは出来たが、当時、加入電話から番号通知をされる制度は神奈川のごく一部で試験的に行われているだけであった。だから、掛かってくる電話が誰からか、などということはわからないのが当然。昔ながらの電話同様、誰からの電話かわからないまま電話に出る。


「おはようございます。**ですが、今日は8時から会議でしたが〜」
 声は年輩の男性だが、何を言っているのかよくわからない。バイト先からの電話かと思ったが、内容が意味不明だ。
「えーと、ちょっとよくわからないのですが、どういうご用件の電話なのでしょうか?」
 相手に聞き返してみる。寝ぼけて頭が起動していない以上、簡単に電話を切るのは憚られた。
「え?えーとですね、日高町のフロートの件についてのお電話なのですが〜」
 ようするに間違い電話である。その旨告げて電話を切ったが、日高町とは?そしてフロートの件とは何なのか?私の知る限り、日高町は北海道と群馬と兵庫の3県に存在する。少なくとも、東京在住者の私に関係ある町ではない。ちなみにこのときの電話はドコモ北海道だったが、だからと言って電話の主が北海道の日高町の関係者だったかどうかも不明である。どうでもいいことだが、少し気になった。
 この日、起きてからの友人連中との会話は、この日高町で持ちきりであった。 


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