大学病院
1999年10月15日(金)

 食中毒や胃腸の障害ならばマズいと思い、意を決して近くの病院に行く。一番近くにある病院は、某私立医科大学の付属病院である。個人病院も探せばいくらでもあるのだが、ここは設備のある総合病院で調べて欲しかった。しかし、東京の総合病院ってのは、たいていが大学病院なんだわな。諸般の事情で、私は医局のことに関して結構聞いていたのだが、正直大学病院には行きたくなかった。
 

 待たされるのは別にかまわない。総合病院はとにかく待たされる。ここで血相変えて「30分と言われたのが1時間半だ!」などと怒鳴るのはバカである。叫んだところでシステムは変わらない。


 問題なのは、診察である。私の症状をひととおり聞いて、「多分」「ということもある」「と思う」「かもしれない」を繰り返す。薬を処方するときも、「一応、××という薬を出してみます」「これで症状が多少は緩和されるかもしれません」などと・・・。確かに問診だけでは判断できないだろうが、これでは患者に不安と不信感を与えるだけではないのか。
 ちなみに、大学病院と言っても私が当たった医者は、インターンの若いのや見習いの青二才ではない。結構な肩書きをもった50歳くらいの医者であった。


 さらに検査というのがくせものである。一応かなりの種類の検査を受けた。しかし「検査結果が出るのは1週間後」ときたものだ!本当にヤバイ病気だったら、それまでに悪化しちまうわ!そりゃあ、検査しなければ正確なところはわからないであろうが、誰彼なく検査室に送るから時間が掛かるのであろう。
 

 結論としては、大学病院とはよほどの重病の時や、他の病院から回されたときに行くところであるということだ。
 その日、病院から帰ってからも腹痛はまったく収まらず、痛みがなんの症状なのかもわからず、結構しんどい夜を過ごしたのであった。


■後年記■
 「緩和されるかもしれません」という言い方は、今考えたら、それほど問題のある受け答えではない気がする。問診して薬を出してみて、投与した結果症状がどう変わったかを聞いて、また投薬や治療を考えるのが医者の仕事である。薬の作用、ましてやその体感に絶対はない。検査をしていない状況で、見立てで薬を出しているのだから尚更だ。もちろん、今現在苦しくて早く楽になりたい患者にとっては、あまり推量形で言われると不安になるには違いないが……。
 そしてもう1つ。病院は苦痛を取り除くところではない。問診と検査から原因を推測して病根に対処し、回復を促すところである。痛み苦しみからの解放はその結果であって、目的ではない。しかし若く、基本的には健康だった当時は、苦痛は医者に行けばすぐにとれる……と漠然と期待していたのである。


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