社会人の友人から
2000年05月08日(月)

 夜の9時過ぎに、高校時代の友人から電話があった。
 同じく高校時代の友人が、酔って壁を上り、非常ベルを鳴らして代用監獄にぶち込まれたことについての電話だった。
 警察の世話になった友人の話は「あいつ、いつ捕まるかと思ったが、ホントに捕まるとは」などと軽口を言い合い、「立件されなくても、書類に残るんだろうな」などと嘆息して終わったが、それからの雑談の案配がよくなかった。


 電話をしてきた友人は、1浪の私と違って、今年度から教師として仕事をしている。
 今日も9時過ぎに帰って来て、これから持ち帰った仕事をするとのこと。朝も早く、忙しいらしい。民間企業に入った別の友人よりも時間がないとか。
 POP3サーバーの設定の仕方や、高校のときの奴が4浪でやっと大学に入っただのと話をしたが、なんか友人の口調は荒かった。内容は別にいつも通りだが、口調がどうにも。
 忙しいから電話を早く切りたいのか?
 いや、電話をしてきたのも、話題を提起したのも先方だ。
 う〜む、時間のなさそのものや職場でのことに、機嫌でもよくないのか。


 さらに、友人がGWも土曜は出勤したとの話に対し、「あれ?学校って週休二日じゃなかったっけ?」と聞いたら怒られた。
 自治体によって違うのかもしれんが、小中学校が完全週休二日になるのは2年後らしい。
 他の仕事をしている新卒の人間の中には、GWをちゃんと休んでいる者も少なくなく、高校のときの同期で今年働いている奴には、民間企業で週休二日という奴もいる。それで苛立ったのだろうかな。さてはて。


 しかも、この友人は、他人の批判などほとんどしない奴だった。
 彼は、私や別の友人が、とある怠惰で根性なしの友人をバカにしていても、かならず苦笑いしているだけだった。
 今日の電話でも、とある友人が××という就職先をねらって勉強しているらしい。あんな大学で、あのクズが勉強しても、無理だろうという話を私が出した。すると、電話越しの友人も、「絶対無理だ」と吐き捨て、「あの学部で、あいつが受かるわけない。××なんて、×大や×大の奴らが行くところだ。無理だ」と積極的に批判しおる。


 ま、私としても、とある友人をバカにするために出した話題だ。
 別に、先方がその友人をバカ呼ばわりすることに際して困りはしないが、わずか1ヶ月ちょっとで、随分とモノの言い方がかわったなぁ。口調も、内容も。職に就いて、何がどう彼に影響を及ぼしたんだろうか。3月に電話したときと比べて、かなり違和感を感じた。


 だけど感心したのが、このバカ学生である私に対して、「社会はキビしい」だの「カネをもらうのは大変だ」などということを言わなかったことだ。
 私は、実際になにがどう厳しかろうと、甘くなかろうと、自分で「甘い、甘くない」「厳しい云々」と抜かす奴は弱者だと思っている。実際に「厳しい現実」とやらに出くわすまでは、どういう認識していたんだボケ、と言いたくなる。「甘い、甘くない」だの「厳しい云々」などと説教抜かす奴は、その時点で弱者であり、敗者であるかも知れない。
 しかし、友人は、電話では一切そんなことは言わず、仕事が忙しくてヒマが取れないと言いつつも「学校にいると楽しい」「仕事は楽しい」とも言っていた。さすがは私の友人である。人間、こうでなくてはな。
 私が大学を出たとき、私が何をやっているのか知らんが、職についたときには後輩や友人にこんなふうに言えるようになりたいね。   


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