世間ではクリスマス・イブらしいが
2000年12月24日(日)


 世間ではクリスマス・イブだそうだ。
 キリスト教徒でもなく、玩具業界や製菓業界と関係があるわけでもない私にとっては、たいした意味のある日ではない。将来ガキでも出来れば、玩具やゲームソフトでもせがまれるか、パーティーめいたことでもすることにはなろうけれども、とりあえずは別段特別な意味はない日であった。
 しかし、まさか参謀長(仮名)からクリスマスパーティーに招待されようとは。
「今日の夜、ご用事がなければ、是非家にいらしてください。内輪のクリスマス会を行おうと考えておりますので。時間は九時頃からです」
 これが、私の携帯に届いたEメールであった。
 「内輪」というところがエッセンシャルである。

学生の宴ッス


 9時に参謀長宅のドアを叩いたときには、すでに黒天使氏(仮名)とП氏(仮名)が集まっていた。私が最後に到着したらしい。今回の「内輪」とは、わりと近所に住むこの4人ということか。ふむ。
 人を接待するのが趣味という参謀長だが、シャンパン(正確にはスパークリングワイン)とケーキ、さらには骨付きの鶏肉まで用意しいたのには驚いた。シャンパンの栓を、迫撃砲のごとく発射し、宴がはじまった。幼少の頃以来、クリスマスという日に特別な感慨もなくなっていたが、こうして内々でパーティーするのもいいものだ。正直、こうした場に居合わせられるのは、感動モノだった。
 同じ棒術部員でも、人間関係らしきものを何一つ築いてこなかった■■氏など、テレビのクリスマス特番でも見ながら1人でビールでも飲んでいるのだろう。彼は、わりと近所の後輩たちに「何かないのか」「何かないのか」と電話しまくっていたらしいが、何もない。4年間一貫して自分から何も起こさず、参加せず、人付き合いめいたことに努力してこなかった■■。今更人恋しくなって、呼びかけたところで誰も応えまい。遅すぎる上に、誰かに何かをしてもらう、という態度では・・・。
 なーんてことを言いながら、この場に居た我々は、自らのささやかな幸福を噛みしめていた。


 我々は、一通り参謀長の用意したディナーをたいらげ、シャンパンなんぞを傾けながら、他愛もない談笑を楽しんだ。
 午前1時前に、黒天使氏が帰宅。
 その後は、「TO HEART」PS版のおまけゲーム、「○△×□」や「ハート・バイ・ハート」の対戦に白熱した。おまけとは言え、これらのゲームはシンプルゆえに対人対戦に燃えることができる。クリスマスの夜を、「東鳩」のおまけゲームの対戦で空かすアホはそうそうおるまい。まあ、そのころHMX-12氏(仮名)は、「絶望2000」を10周クリアしていたらしいが・・・それはそれで凄絶な過ごし方である。

現在、午前3:38


※ここからは、「さくや 妖怪伝」あるいは「ラブひな・クリスマスSP」をまだ観ておらず、初めて観るときのストーリー展開が楽しみだ、という人は読まぬ方がいいだろう。いわゆるネタバレのおそれあり。


 夜も明けようというころには、参謀長のPS2にて、П氏が購入した「さくや 妖怪伝」を上映。
 私は2度目だが、持ち主であるП氏でさえもまだ観ていない。
 何故買ったのかと問われれば、「安かったから」と答えるП氏。果たして、この映画に2000円の価値はあったのか。
 正直言って、あんまりいい映画だとは思わない。
 この映画、ガキ向けだったんだろうか?
 特撮はハデなシーンもあったが、どうも妖怪が着ぐるみや特殊樹脂のかぶり物・作り物そのものにしか見えなくて。これが特撮の限界なんだろうか?まあ、あんまりリアルにしても採算がとれないか。しかも、ときどきあまりにも稚拙で、ストーリー展開全体に意味のないギャグが入るのはいかがなものか。そうしたときに入るアイキャッチ風の画像効果は、興ざめじゃて。
 武道的にいえば、間が抜けているというか、集中の糸が一気にぶった気られ気分だ。柔道でいえば、相手の重心を崩して投げる際の、崩しそのものである。対象をガキ向けと限定しているのならばともかく、いい年こいた大人が観るのには少々鑑賞に堪えない気が・・・。


 妖怪の子・太郎を弟として育てる理由もいまいち不明だ。私ならば、即座にぶっ殺している。
 相互に父の敵だから許し合うために家族とした、という高邁な理想は立派だが、いまひとつ説得力に欠ける。十代のガキにおいそれと言えるセリフではない。相互に親の敵だから云々というセリフを際だたせるための演出が欲しいところだった。
 それはともかくとしてこの河童のガキ、短刀で「姉」たるさくやをぶっ刺しやがった。
 そのとき思わず、「こんガキゃあ、希少資源を損ないやがって!」と叫んだ私はアホですな。


 道中、人形にされていた娘を解放するときも、あの時代に若い女だけで国まで歩いて帰られるものかの突っ込みが。必ず、山賊・野盗・ならず者の類に蹂躙・陵辱されることであろう。近代以前の治安状態をナメてもらってはこまる。
 さくやと太郎の二人連れだって、ガキが即座に斬り殺され、さくやもならず者にとっつかまって慰みモノにされて売り飛ばされるであろう。
「こいつら、道中でかならず■されるぞ」
「オレもやりますよ!」
などというアホな会話がなされた。我々もアホである。


 明け方寝て、昼頃おきたら、運良く「ラプひな」のクリスマス・スペシャルに出くわした。
 まったくの偶然である。ただ、起きてからテレビをつけたらやっていたのだ。
 すばらしい出来であった・・と言っておこう。
 スゥとサラがクリスマスの都心をさまよい歩いているときに、「こんガキゃあ!拾うぞ!」などと怒鳴った私は、やはりアホである。
 ちなみに、私は「ラブひな」では、数少ないサラ派である。


 それから昼過ぎまで我々は参謀長宅に入り浸り、いったん各々の家に帰ってから、部公式の忘年会(クリスマス会とは言わないらしい)へと向かった・・・。
 年末は忙しい・・・のかな?   


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