第二次上映会
2001年05月05日(土)

宴の道具


 3〜4日に引き続き、PGO氏(仮名)、参謀長(仮名)とともに第二次上映会を行った。
 HMX-12氏(仮名)はパソコン関係で諸用があり参加できず。課長(仮名)は自宅で「ソード・オブ・ソダン」などをやっておるため不参加。急にもう一度やることに決まった代物ゆえに、人間はなかなか集まらないものよ。
 人数がどうあれ、物事は行わなければ何も為すことが出来ない。2人でも3人でも戦果を挙げて、ものを為さずにただ時間を過ごす者どもの度肝を抜いてやろうではないか!


 本日のメニューは「ミスター味っ子」のみ!
 PGO氏がどこぞで調達してきたセルビデオを12巻ひたすら観るというもの。
 まがりなりにも料理が主題のこの作品を観るにあたり、我々が口にするのはケミカルジュース12本!これは先日もPGO氏が何本か買ってきたものである。樹脂性容器に密閉されているので噛みちぎるか刃物を使って飲み口を作る必要があり、いかにも駄菓子である。


 この恐ろしく安っぽい飲み物、「メロン」「グレープ」「もも」「コーラ」などと、「コーラ」以外は果物の名が掲げられているのにも関わらず、果汁は0%。原材料はブドウ糖、クエン酸、香料、甘味料(サッカリンナトリウム)、着色料(黄色何号とか青色何号といった代物)だけ。「メロン」も「グレープ」も「もも」も「コーラ」も、この原材料にほとんど差はない。違いは色と香料だけであり、味も香料とクエン酸の量で決まっているようだ。化学の勝利である。
 水道水でつくった粉末ジュースよりは、この樹脂入り飲料はカルキ臭さがなくて飲みやすい。しかし、口に含むと舌と口内が痛み、飲むと扁桃腺がしびれ、胃の中に至っても刺激が残る。なんという代物か。「もも」が比較的おとなしかったが、「コーラ」と称する代物はもっとも刺激が強かった。材料が少ないので複雑な味や刺激はなかったが、なにか摂取してはいけない薬物を口に含んでいる感覚があった。
 ちなみにサッカリンナトリウム、一昨日3日に粉末ジュースを飲んだときから気になっていたのだが、調べたら「遺伝毒性、催奇形成、発ガン性が証明されている」と書かれていた。いつぞや日本国内での販売が禁じられた「サッカリン」と「サッカリンナトリウム」とは違う物質なのだろうか?そしてこれは生産・販売してもいい食品なんだろうか?疑問はつのるばかりだ。


 それにしても「ミスター味っ子」、これを観ながらどれだけ笑い転げたものか。かなり飛び飛びと言えども12巻を一晩中観ていたのだ。それで飽きなかったとは、それなりに鑑賞に値する代物ということかな。まあ、第1次の上映会の疲労が回復せず、あやしげな薬物を摂取しつづけていたのだから、そのせいで脳がいかれて何を観てもおもしろいと感じていたのかもしれないが。
 いつぞや「魔人ハンターミツルギ」を全12話観たときは、4話観たあたりで、観れば観るほど時間の価値・時間のありがたみを感じ、それを浪費していることにどうしようもないやりきれなさを感じたが、それでも観続けていたら何を観てもおもしろく、そして笑いが込み上げてきたという体験がある。「味っ子」もそういうことなのかも知れぬ。まあ、この「味っ子」も一人で観たのならば、そう何話も観られなかったであろう(もっとも「ミツルギ」は一人で観たのだが)。


 「ミスター味っ子」、かなり奇想天外な料理が登場し、その中にはとても喰いたくもない代物もあったりするのだが、それでも上等な食材の講釈や調理風景が為されていると、無性に何か喰いたくなってくる。
 ラーメンの話を観終わったあと、深夜のコンビニへ「本格派生めんタイプ」と称するカップ麺を3人で買いに行き、3人でそれを喰った。私は普段カップ麺は喰わないが、それなりに喰える代物ではあった。まあ、「味っ子」を観た直後故に、場末の安ラーメンでいいから店のラーメンを喰いたいという不満は残ったが。
 私とPGO氏はカップ麺にそれなりの満足をしたのだが、参謀長は「期待はずれもいいところだ。とても喰えん。うえ」とのことである。西日本の人間には東日本向けの製品は合わなかったのか、食にこだわる参謀長はそもそもカップ麺など受け付けないのか。まあ、私が語学研修中にアメリカで喰わされた極悪な甘さのアイスクリームは、どうしてもノドを通すことが出来なかった。人間喰えないものは存在する。


 その他、「味っ子」が一段落するたびに、弁当や握り飯を買い出し、あるいは牛丼屋に喰いに行った。恐るべき短間隔での食事であった。「味っ子」を観ているとどうも腹が減り、そして自分が空腹でいることに無情を覚えたりもするためであった。
 さらに、あやしげなケミカルドリンクのノルマは1人4本。そのブドウ糖も恐るべき量であったのは疑いない。こうしてこの上映会では、相当な余剰エネルギーを摂取した。化学薬品とて日常の1日量を超えているはずだ。毎日こんな食生活をしていたら、糖尿になるのが先か、サッカリンナトリウムなどで身体に異常が発生するのが先か・・・。


 ひたすら「味っ子」を観続けつつ、メシとケミカルドリンクを摂取するこの宴。端からみると異常行動であるばかりか、とんでもない精神と身体の健康を蝕む蛮行に思えることであろう。人生の浪費にも映るかもしれない。しかし私は、学生生活最後のGWにふさわしい行為を為したと思っている。
 確かに海や山に行ったわけでもなく、スポーツや武道で汗を流したわけでもない。街で騒いで遊び歩いたわけでもない。それでも、後輩たちとひたすらアホなことをし続けそれを為し遂げたこと、一見無為とも思えることを無為と思わず正面から享受したことに、喜びを覚える。
 ちと大げさだが、この機会と材料を提供してくれたPGO氏と、共に参加した参謀長は、艱難辛苦をともにして上映会を為し遂げた戦友である。時間と健康が許す限り、またこうした蛮行は機会をつくってやりたいものである。そう頻繁にやろうとは思わないが・・・。


 ちなみに、「ミスター味っ子」の上映リストなんぞも作成してみた。
 我々がいかにアホなことをしたか、リストから見てみるのも一興かと。 


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