第6次自主WR、3人で雨中行軍
2001年05月23日(水)
今日も高尾山に登りに行ったのだが、いつもとは2点違いがある。
1つはП氏、参謀長(共に仮名)の2名と連んで行ってこと。
もう1つは、この日は一日中雨であったこと。
私が近頃一人でWRめいたことをしているのは、わりと親しい人間の間では知れ渡っていた。そこで本番の大学公認のWRを向かえる前に、П氏と参謀長とともに偵察行動をすることにしていたのだ。別に1人でも3人でもそう問題はない。当然、人を選ぶけど。
3人の都合がつくのはこの日だけであった。別に毎週水曜の都合がいいというわけではなく、たまたま休講が重なったという事情もある。本番WRが日曜すなわち4日後にせまっていることもあり、我々は悪天候にも関わらず出発することとした。
雨と言っても、降水量は5ミリ未満。大雨洪水注意報が出ているわけでも、強風や雷が吹きすさぶわけでもない。登山道と称する散歩道を10q弱程度歩くのに、問題のある天候ではなかった。本格的な登山ならば、こうした強行策は無謀と呼ぶべきであろうが、この程度は妥当な判断である。一人ならば行かなかったとは思うが。
JR相模湖にて3人で降り立ち、WRスタート地点たる相模湖公園に向かう。
私1人ならば素通りする駅前商店街だが、П氏と参謀長、特に参謀長は商店街の古い店構えに興味を示す。1.8リットルで900円もしないという恐るべき日本酒が、なんと自販機で売られている様なんかに驚き、写真なんかも撮る始末。
そして商店街にある一件のスーパーにて買い物をすることに。私は相模湖公園近くのファミリーマートで500mlのペットボトルを2本も買えばそれでよかったのだが、参謀長曰く「この店は安そうだ」とのこと。
別にコンビニにこだわる理由もなかったので、私もこの店で飲料水を買い込んだ。八王子からたかが3駅程度の場所と言えども、演歌が流れるこの店は、すでに地方のものであった。「おお、日本円が使えるぞ」などと失礼なことを言いつつ買い物を終了。多少は安く食料・飲料水を仕入れることが出来た。
参謀長は安い店でものを買う主義である。私はものを買えれば細かいことに気にしない人間である。間違いなく、これから登る高尾山で目にする「山岳料金」に対して、両者の見解はまったく異なったものになることであろう。
ふもとで120円のドリンクが、高尾山では150〜200円で売られている。もちろんそうした山の休憩所に至るまでの間にも水は要るので、ふもとで水などを調達してから登ることとなる。そして山の休憩所についたとき、必要ならば私は多少高かろうが「山岳料金」を払って水や食料を手に入れる。数十円惜しんで脱水症状にでもなったらシャレにならん。私の生命・健康はそんなに安くはない。だが、間違いなく参謀長は、120円の飲み物に150円は支払わない。例え水が欠乏している状況であろうとも。
スーパーを出てから相模湖公園に向かう道中、実際に参謀長に聞いてみたところ、「絶対買わない」とのことであった。参謀長は決して貧乏ではなく、それどころかかなり裕福なのだが、それでも高いものを買うのには抵抗があり、安ければ必要なくても買うそうな。何か商品を1つ買うときに、2つで割引すると言われたならば、1つしか必要なくても2つ買う。それが西日本の人間のマインドらしい。北海道人の私とは、決して相容れない金銭感覚である。
北海道人は、カネがなくてもカネにこだわらない。商品が多少高くても、よほど暴利でなければ安い店に走ることはなく、飲み会などの割り勘でもあまり細かく厳密に行うことはしない。つまり大雑把であり、細かいことを気にしないのである。
これに対して参謀長は、「山梨県人みたいですね」とのこと。参謀長曰く山梨の人間は、カネがないのにカネがあるふりをして浪費するとのこと。山梨に知り合いはいないので、そういう傾向があるのかどうかは一切不明だが、北海道人のマインドとそれは異なる。北海道人は見栄をはってカネにこだわらないのではなく、面倒だから計算しないし、手間を惜しんでカネを払うのである。
地域色というものは厳密に測ること定義することは出来ないが、出身地域によってかなり感覚というか価値観念は異なってくるものである。などという話をしつつ登山口に向かった。
雨はそれほど強いものではなかったが、霧雨と呼べるほど雨量は少なくなかった。私と参謀長は傘をさして歩き、П氏はかっぱを所持しているのにもかかわらずそのままの服装で山を登った。それにしても、傘をさして雨の山を行軍するとは、なんともアホな光景であった。
石も土も、足場はとにかく摩擦力を失いつつあった。何度かコケかかったが、幸い誰も落ちず滑らず自爆せずにすんだ。普段棒術の稽古で重心を低く持つ訓練をしているためか。道を雨水が滝となって下る凄惨な様を想像したが、意外に水はけがよいようで、ちょっと滑りやすいという程度であった。誰も山にいないかと思ったが、城山に至るまでの過酷な上り坂で2人のおっさんに出会い、城山ではおばちゃんの集団と出くわした。高尾山のような低く、都市郊外にあるような簡単な山では、雨の日でも人が来るものである。それをはじめて知った。
それでも人は少なく、我々3人は存分に山を闊歩した。П氏は途中で参謀長の予備の傘を借りてさし、城山でついにかっぱを装着。私は白いズボンがはねた泥水で茶色くなっていた。そして厚着で来た参謀長は、汗と湿度と雨水で濡れたシャツを脱ぎ、それを売店のカウンターに置いて着替えようとした。しかし・・・参謀長がシャツを置こうとしたのは、氷水を入れて飲み物を冷やす箱。営業日に使った氷が溶けた水か、雨水が溜まったのか。雨で湿っていたシャツは、本格的に雑巾になった。
今日のような雨の日は営業しているわけもなく無人の売店だったが、営業する日は、この同じ水に氷と飲み物を入れて冷やすのだろうか?そう考えると愉快である。まあ、大した問題じゃあないけれども。
WRの醍醐味は、山登りそのものと言うよりは、ひたすら話し続けることである。それ以外にやることはなく、歩いていると脳も適度に刺激されるために話ははずむ。複数人数でどこかに繰り出しているそのときに、耳にウォークマンをつけるという自閉的行動をとるのはアホの所行。1人のときか、意図的に他者との接触を拒絶するとき以外は、私はウォークマンなど持って行きもせぬ。
そうした道中、様々なことを話したが、本番WRも楽しみである。
京王線高尾山口駅で終えるのに飽きたらず、中央線高尾駅まで歩いて、今日のWRは終わった。なかなか楽なものであった。雨の日の行軍も。またやってみたいものである。
帰りは、途中でП氏と別れ、それから自宅近くで参謀長とメシなど喰ってから帰った。
そこで白ワインを一杯やったが、近頃毎日飲んでおるような。微量だけれども。
2〜3日に一回の山歩きの成果も、そうした飲酒やそのつまみで相殺されていたりして。まあ、どちらも好きでやっていることだから、それはそれでいいのだが。