いかれ映像上映会
2001年10月10日(水)
またしても、参謀長(仮名)宅にお邪魔した。この日の用事は、音が出なくなったというパソコンを見ることと、参謀長が現像した写真を受け取りに行くことであった。パソコンは、デバイスの問題ですぐに解決し、写真も受け取った。さて、ここで帰りはせず、私は持参したビデオを参謀長に(強制的に)見せはじめる。その内容は、「おたくのビデオ」と「ナチュラル・ボーン・キラーズ」。例によって、ネタバレに関知しないので、余計な情報を知りたくない者は読まないことを。
「おたくのビデオ」は、1991年に制作された代物。おたくの生態調査のドキュメンタリー的実写映像を交えながら、一人のシティーボーイな青年がその道へ落ちていく様を描くアニメ。私は高校時代から筋金入りだったため、大学に入ってからそれほど自分の趣味嗜好が変わったとは思っていない。だが、大学に入り、私や他の兵(つわもの)と邂逅してしまったがために、取り返しがつかないほどその道にハマってしまった者が幾人も存在する。この作品に出てくる久保のように・・・。そうした人間のことを思い浮かべながら見ていると、久保と田中のやりとりが一々笑えるわい。
また、この作品は芸が細かい。あちこちにこれぞというキャラクター、言い回し、それっぽいBGM・効果音が登場。田中のシャアにはまいったわい。「シャアがくる」を連想される効果音と共に登場・・・あれは強烈であった。
そして「おたくの肖像」と題される要所要所に入るドキュメンタリー風の実写。あれもまた、思い当たる節が数々・・・参謀長と、「おお、こいつは■■だ!■■だ!」などと騒いでいましたよ。さすがに後の方になっていくにつれて、参謀長は絶句していったが・・・。
この「おたくのビデオ」を入手したのは私が高校生だったときである。そのときもなかなか楽しめたが、実際に大学生活を4年以上送り、二次元的なイベントにも参加し、そして就職活動をも終えた今、やはり見る目が少し違ってきている。あの田中の仲間連中とその所行が身近なものに感じられる・・・そして就職活動のシーン。おそらくは就職活動もうまくいかず、彼女に棄てられて疲れた久保は、突然ネクタイを捨てる。就職するのをやめて、とことんおたくになってやる!そう叫んだ久保の魂に共鳴し、田中もネクタイを引き抜き、互いにおたくの道を極め、オタキングになることを決意する。うーん、すでに就職活動を終えて、内定を頂いている今、彼らのアホさと型破りな大胆さには、驚愕するものである。
私は保守的な人間なので、自分で独立して会社を作ったり、技術や腕一本で挑戦する度胸も意志もない。オタキングを目指す久保と田中のような人生、私ならば御免である。憧憬さえしない。ただ、笑えるわい。しかし大学の知人友人の中には、一旗揚げて何かしでかしてくれる奴もいるかも知れぬ。楽しみだ。
さて、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」は、購入したDVDで上映した。前衛的な作品である。そして暴力の嵐。エンターティメントとは暴力である。だが、この作品の監督オリバー・ストーンは、暴力の扱いを巡って脚本を書いたタランティーノと対立したという。タランティーノはまさにエンターティメントとしての暴力。だが、ベトナム帰還兵であるオリバー・ストーンは暴力は格好いいものではないという信念があり、殺しを通して、「無知」と同義語に近い「純粋な」若者が意識を変革していく様を描こうとしている。なかなか見応えがある映画である。ま、ここではそうしたところには触れないが、ただの暴力エンターティメントとして観てもファンタスティックな出来である。なかなか笑いましたわい。
いかれた映像は、布教するに限る。
迷惑千万な話だが・・・。