主要登場人物


 ウィキペディアの「望郷戦士」の項目において当ページと若干似ている記述があるかもしれませんが、当ページを参考にすることに関しては承諾しています。



主人公グループ
・倉田迅
 東京都出身の中学2年生。グループのリーダー。「武蔵小金井駅」が集合場所なので、おそらく小金井市民。野球観戦が好きで、サッカー部に所属する平凡な少年だった。タイムスリップ直後は戦いに嫌悪感を顕わにして最大限銃を取ることを避けようとしたが、やがて生きる為には殺人を躊躇しない戦士として戦闘の中で覚醒する。しかし持ち前の正義感の強さから、必要以上の略奪を戒め弱者を見捨てず、人として守るべき規範をもってグループを引っ張っていく。基本的に戦闘指揮はランに譲っているが、ランの「勘の鈍り」や負傷が相次いだ中盤以降は、戦闘面でもリーダーとして成長してゆく。

主な武装:ミニミ(初期)、SA80(中盤)、後半はベレッタM93R(後半)、ベレッタM92FとSIG/SAUER P220の二丁拳銃(終盤)。
 ミニミのサイドアームとしてベレッタM92F、SA80のサイドアームとしてSPAS15とベレッタM93Rを持っていた。しかし少年漫画の主人公である為か、次第に拳銃が主武装になっていく。ちなみにミニミをベルト給弾で使うだけではなく、時には敵から奪ったであろうM16用マガジンを挿す描写は注目に値する。


・ラン
 戦乱で家族とはぐれ、ソ連兵とおぼしき兵士に育てられた少女。どういう経緯か迅らのタイムスリップ直後は日本人ゲリラに身を寄せていたが、ゲリラが壊滅した為に迅と共に東京への旅に同行する。迅よりやや年上と思われるが、本来はきよしよりも年下。「本当はきよしより6歳年下」というセリフに基づけば15歳だが、最初哲雄は「どう見たって16、17歳」としていた。いずれにせよ、迅より年上のようである。また、学校教育を受けていない為に文盲である。しかし戦闘に対する嗅覚や武器の扱いに優れ、戦いに際しては的確な指示を出し、グループの戦闘面でのリーダーとして活躍した。また、この時代の常識に通じ、生き残るためのプラグマティズムを実施してグループを牽引したが、キャンディーとの出会いが母性本能を刺激して、勘が鈍ってしまう。

主な武装:AK-74。
 ソ連兵とおぼしき人物に育てられた為か、AKを好んで用いる。また、ナイフや手榴弾などあらゆる携帯武器の扱いに長け、RPG-7でハインドを撃墜することも。拳銃は、収容所解放に際して、AK-74を右手に、ベレッタM92Fを左手に持っていたシーンのみ。次のシーンではベレッタはなくなっているので、蜂起する囚人に渡したのかもしれない。



・哲雄
 迅のクラスメイトで不良少年。中学校では非行を繰り返し、俊介からカツアゲをしたり、先生の車を盗んでぶつけるなどしていた。しかし孤独が無軌道な行動に走らせていたようで、根は悪人ではない。「宝探し」には、孤独故に無理矢理ついてきた感がある。しかしタイムスリップ後はグループの仲間が自分を必要としていることに生き甲斐を感じるようになり、仲間思いの熱血漢として活躍する。東京に帰ることよりも、仲間のために役立つことが目的であり、それゆえ仲間が生き延びる為ならば、ランに次ぐほどのプラグマティストな側面も見せる。

主な武装:SPAS12。
 一貫してショットガンを好んだ。曰く、射撃練習しなくても一撃必殺とのこと。自衛軍に武装解除されて再び武器を調達する際にも、スパスを手にした。サイドアームにはベレッタM92Fを持っているが、海辺の町でしか登場しない。



・小野俊介
 迅のクラスメイトで学級委員長。外交官まで視野に入れて勉学に励んできた為、文明崩壊後の世界で対象喪失に苦しみ、また人を殺して食料を奪わなければ生存できない事態に衝撃を受ける。さらにグループで最初に人を殺したことがキッカケとなり、精神に異常をきたしてしまう。しかし帰郷と家族との再会を胸に立ち直り、グループの知恵袋として活躍するようになる。特に、ロシア語を読解し、病気や薬草を判別できる程の博学はグループになくてはならないものだった。迅以上に武器を取ることを嫌っていたが、自分をこづき回していた哲雄の命を助ける為に兵士を殺し、吹っ切れた後は射撃練習に精を出すなど、行動力は強い。

主な武装:M203付のM16。しかしあまり登場しない。
 サイドアームとしてベレッタM92Fを持つが、中学校のシーンでしか登場しない。
 後半でM16ではなく、HKのカービンをコートに隠し持っていた。



・五十嵐淳
 迅のクラスメイト。自称グルメマニアでかなりの大食漢。背は低く、恰幅がよい。見かけの通り運動能力は低く、銃もほとんど扱わず、戦闘には貢献していない。しかもタイムスリップした当初は、食欲のままに食料を食い尽くすなど足を引っ張る行動を見せる。しかし食用出来る野草の発見や死体からの携帯食料の失敬など食料の調達に情熱を燃やし、調理にも才能を発揮する。淳がグループの胃袋を満たしていたと言える。また、そのコミカルなキャラクターは殺伐とした物語の中で、憎めないムードメーカーとしての役割を果たした。

主な武装:RPG-7。
 RPG-7で74式戦車を吹っ飛ばす戦果を挙げるが、銃を扱う描写は殆どない(ランの実家で拳銃を構えるシーンぐらい)。ベレッタM92Fは全員が一丁ずつ持っているので、携帯しているとは思われる。また、自衛軍の身体検査で出てきたUZIは持ち主が描かれていないが、他の武器は所有者がはっきりしており、淳のものと考えられる。しかし発砲シーンはない。
 



・倉田きよし
 迅の弟。9歳の子供だが、軍事マニアでRPG-7の使用手順から74式戦車や飛行艇の操縦まで、あらゆる武器に精通する。グループになくてはならない名参謀である。迅と同じく正義感が強く、虜囚の少女の救出や発病したランの護衛などで行動力を発揮することもしばしば。人を殺すに当たって迷いさえ見せない、生粋の戦士でもある。

主な武装:ベレッタM92F。
 ベレッタの発砲シーンはないが、銃を扱う場面は多い。ジープ車載のM60機関銃で弾幕を張るなど、淳より明らかに発砲シーンは多い。また、クレイモア対人地雷で武装勢力兵士を殺害している。


武装勢力の指導者・兵士、軍人
・フォグ族族長
 武装勢力の首領。米軍の軽歩兵部隊のなれの果てと思われるフォグ族を率いて、松代市近辺の「フォグ高原」を支配する。フォグ族は規模こそ小さいが、ナイトゴーグルを用いた神出鬼没の戦術で他の武装勢力から恐れられている。装備の特殊性や戦闘能力の高さを鑑みると、特殊部隊の可能性がある。しかし戦闘能力が高いが故に「狩り」を楽しむ傾向があり、それが迅らに反撃される隙を与えてしまった。

主な武装:M16、コルト・ガバメント。
 配下の部隊はジープ2台を保有する。部隊の火器は、M16ライフル、M203グレネードランチャー、手榴弾、コルト・ガバメントなどの携帯火器に留まり、重火器は見あたらない。これで周辺の小規模武装勢力だけでなく、ヒトラー軍をも翻弄していたのだから、かなりの手練れである。


・ヒトラー
 武装勢力の首領。おそらく日本人で、実在のヒトラーの模倣者。元は売れない画家で、「自分を理解しない世間」に見切りを付けて長野に隠遁していた。しかし戦乱で家族や友人などの全てを失い、絶望していたところに「我が闘争」と出会い感化される。その為、自らはヒトラー風の扮装をして、配下の将兵にはWWII期のドイツ軍風の制服で身を固めさせている。その軍事力は74式戦車を数輌擁するほど。外部から来た人間を多数奴隷化して労働させている為、支配下の街は経済的に発達している。

主な武装:ワルサーP38。
 このワルサーは戦後モデルなので、西ドイツ軍のP1か、米軍の将校が私物として持ち込んだコマーシャルモデルかもしれない。もっとも、交易に来た外国船が持ち込んだ可能性もある。なお、配下の部隊はUZIが標準装備のようだが、RPKとおぼしきドラムマガジン装備のカラシニコフ系自動火器も見られる。74式戦車も数輌擁する。


・サブ
 ヒトラーの部下。身を挺してヒトラーの楯となるほどの忠臣で、彼の下す残酷な指令を一片の迷いもなく遂行する。人間を「選ばれた民」と「奴隷」とに分けて後者を迫害するのは、もっぱらサブの役割である。引き裂かれる人間が見せる勇気や情愛に泣いて感動するが、それでも涙を流しながらも迫害を実施する。口癖は「わたしは今、猛烈に感動している」。

主な武器:ワルサーP38と長ドス。
 サラシを巻いて長ドスを振るあたり、戦前は極道だったのかもしれない。


・廃工場のスナイパー
 工場を守る部隊の最後の1人。13年前に受けた「命あるまで工場を確保せよ」との命令を、別命がない為に1人になっても守り続けている。英語圏の人間で、ラッキーストライクを好み、M16を所持していることから、おそらく米兵。祖国にジョンという息子を残している。医者にかかれないので肺炎をこじらせたか、ときどき喀血する。

主な武器:ボルトアクションライフル。
 米軍が装備するどのボルトアクションライフルとも似ていなかったので、特定できなかった。強いて言えば、リー・エンフィールドライフルの狙撃型に近いマガジンを持つ。


・エリノア・ベンダー
 武装勢力の首領。配下に数多くの兵員や装甲車を擁して、他の武装勢力とキャンディを奪い合う。幼少期は女であることから少年らに暴力を受けていたが、軍人である父の教えによって自らを鍛えて、決闘で勝利する。そうした経験から自らを鍛えることが習慣となり、筋肉質の大女と化したと思われる。また、軍用銃が蔓延るこの時代にナイフや素手での決闘を好む性向も、幼少期の体験に原点があるのかもしれない。父は戦略原潜「ローレライ」の艦長。キャンディを欲した目的は核戦力を手に入れるだけではなく、父との再会にもあったようだ。

主な武装:USAS12(前半)、M60(後半)。
 これらの強力な自動火器を、片手で振り回す怪力の持ち主である。
 配下の武装勢力は様々な装備の混成なので、複数の武装集団を糾合したものと思われる。



・サソリ
 エリノアの部下。弁髪で中華服、額に「蠍」の刺青という、特徴的な外見の男。戦闘では右往左往するばかりで特に役に立たず、エリノアに失言をしてよく殴られるギャグ要員。しかし、最期までエリノアに付き従う忠臣だった。


・ドクトル
 ガスマスクの武装勢力の首領の1人。通り名の通り、医者。しかしそれ以外のことについては明かされず、三首領の中では最も謎が多い。「ローレライ」を手に入れ、その核戦力を下に世界を支配・統合することに野望を燃やす。顔に火傷の傷があり、それを隠すためか、ガスマスクを外すことはない。マザーグースの童謡を暗唱することが出来るので、英語圏の生まれかもしれない。

主な武装:ワルサーPPデラックス。
 配下の武装勢力はUS-1飛行艇、AH-1コブラ対戦車ヘリ、UH-1輸送ヘリなど、航空機を擁する。陸上では騎馬部隊を運用して山地を哨戒し、また、おそらくダムの決壊によって半ば水没した城を根拠にしており、攻守ともに力は強い。


・ビッグ・ガン
 ガスマスクの武装勢力の首領の1人。女王陛下から騎士の称号を授けられた元イギリス軍人。フォークランド紛争やアイルランドの動乱での従軍経験がある、大戦前からの歴戦の勇士。誇り高い軍人で、戦いにおいても名誉と誇りを重んじ、それ故エリノアとの素手での決闘に乗った。年齢は「迅の父親と同じぐらい」で、仮面の下の素顔はごく平凡な中年男性。

主な武装:バレットM82。
 通り名の由来である、大口径狙撃銃。少年漫画でこのアンチマテリアルライフルが登場したのは初めてではあるまいか。


・ブーリバ
 ガスマスクの武装勢力の首領の1人。かつてはモスクワ大学で教鞭を執っていたほどの知識人だが、「人は殺すために生まれてくる」との発想に囚われている。元々ソ連軍人だったのかどうかは不明。殺人の道具である武器を偏愛し、殺人を愛好する。仮面の下の素顔は、落ち着いた目し、上品なヒゲを生やした細面。しかしその顔つきに似合わぬ前近代的な打撃武器や刀剣で、相手をなぶり殺しにすることを好む。ブーリバ(Бульба)の通り名は、ゴーゴリの「隊長ブーリバ」からと思われる。

主な武器:戦斧、モーニングスター、カタール、日本刀、ダブルジリンジャーなど、様々。
 武器マニアであるため、大量の武器を隠し持って、見せびらかすように使う。登場人物の中では比較的高齢な方だと思われるが、そうは思えないほどの力で武器を振るう。


・「ローレライ」艦長
 アメリカの戦略原潜「ローレライ」の艦長。エリノアの父。大戦直前に出航して以来帰還命令がなく、海中での長すぎる任務に堪えられず拳銃自殺する。褐色の肌を持つエリノアとは異なり、白人である。妻も白人であることから、エリノアは養子だと思われる。自殺に使った銃はベレッタM92F。


・山猫
 若者ばかりの無軌道な武装勢力の首領。戦火を逃れたLSI工場からLSIチップを奪取して、外国船に売りさばこうと目論む。しかし完成しているLSIチップを手に入れると技術者を虐殺し、工場を爆破するなど無計画な行動をとる。本作では最も愚かな人物だが、「北斗の拳」世界ならば一番いそうなキャラクターである。


・近藤剛
 迅の元クラスメイトで、自衛軍の部隊長。迅とはサッカー部のチームメイトでもある。迅らがタイムスリップした13年分歳を取っているので、26〜27歳。東京を囲む壁の防衛を主任務とし、副次的任務として周辺の治安活動も行う。13年前のままの迅らと再会するが、あくまで壁の防衛を至上目的とする近藤は、壁を乗り越えて東京へ帰郷しようとする迅らと戦うことになる。

主な武器:SIG/SAUER P220。
 部隊長なので拳銃しか使わない。部隊の武装は64式小銃、62式機関銃、カールグスタフ無反動砲、82式指揮通信車、74式戦車、その他トラック、ジープなど車輌多数。


戦いを生業としない人々
・キャンディ
 身よりのない幼女。アメリカの戦略原潜「ローレライ」設計者の娘。「ローレライ」を制御するパスワードを知っていると思われている為、多くの武装勢力が彼女を巡って殺し合った。武装勢力からは大切にされてきたらしくローストエッグ、エビのムニエル、魚とオニオンのスープなど、この時代としては破格の食生活を送ってきた。その為、迅らの用意した粗末な食事を拒絶する。


・キッズ
 超能力者の少年。本作のほぼ唯一のSF的存在。「十数年前の衝撃的な環境変化が生みだした新しい人類」とドクトルは考えているが、他に超能力者は登場しない。遠方あるいは近い未来における、兵器や人間の移動や損傷を察知する能力を持ち、「ローレライ」の浮上時刻と場所を予言した。そして自分の寿命が短いことも知っていた。


・町長
 伊東市内あるいはその近くにある、海辺の町を治める町長。よそ者によるタカリや略奪を警戒して町の存在を隠そうとし、よそ者の排斥に努める。しかし非情に徹しきれない側面もあり、抗生物質を無心に来た迅を殺さずに帰したのはまだしも、人質を取られたのに対して貴重な武器と弾薬を渡してしまうのは、この時代の人間としては甘すぎる気がする。

主な武装:M14ライフル。


・熊谷(くまがや)
 東京近くの集落に住む男。畑を耕してそれなりに安定した生活を送っている。しかし東京に残した妻子との再会を夢見て、加齢による焦りもあって武装蜂起を計画する。大戦前に発行された、成城学園−大手町の定期券を持っている。距離があるが大手町まで合理的な通勤経路(千代田線と小田急線は相互乗り入れしている)を使える成城に住んでいることから見て、成城に家かマンションを購入したのかも知れない。かつてはエリートだった可能性がある。

主な武器:64式小銃。
 ただし自衛軍から奪った銃をその場で使っていたので、アジトにはもっと別の銃を用意していた可能性もある。


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