シーン1 桃瀬軍団襲来

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セリフ・動作解説

台本との差異・制作雑話

ナレーター「ある夜、不思議な星が現れた」

 原作の「魔人ハンターミツルギ」同様、紙芝居で星が山向こうに落ちるところまで描写する予定だったが、うまくいかず。
 ちなみに「ミツルギ」ではサソリ型の星であったが、「吾一」ではモモ型である。

ナレーター「たった一人その星に気づいた老人がいた。吾一忍者の長老・同伴である」

 台本では、ナレーターは「だが、たった一人その星に気づいた老人がいそれは吾一忍者の長老・同伴である」。
 ここでは同伴は「見よ、あの星を。あの星は、この中大に不幸と災難をもたらす前兆とワシは見た」と言っているのだが、マイクから遠く聞こえないので、ナレーターでセリフを潰してしまった。

同伴「流れ星が速度を上げたぞ。何事が起こったか見てまいれ」
 使いの忍者に命令する。

 台本では「オオッ、流れ星が速度を上げたぞ」なのだが、編集の際に「オオッ」が消えてしまった。

 中大のペデ下を走る使いの忍者。
ナレーター「一夜にして40里の道のりを走ると言われている」

 ナレーターは「当時優れた忍者は、一夜にして40里の道のりを走ると言われている」なのだが、撮影のミスで前半部が消えてしまっている。
 さらにナレーターで「吾一忍者とは、中央大学の安寧と秩序を保つために20年前に組織された棒術を主とする総合武道サークル棒術部に於いて、日夜修行を積む忍者集団である」との説明ゼリフが合ったのだが、自然消滅。

 翌朝、同伴の元へと戻る使いの忍者。

 同伴の元へ走り寄り、控える使いの忍者。

同伴「知らせを聞こうか」

 使いの忍者、様子がおかしい。
 無言のまま、顔を歪める。

同伴「どうしたのじゃ!」
 棒を振るわせて、苛立たしげに怒鳴りつける同伴。

 BGM開始・「真サムライスピリッツ」覇王丸ステージ。
 忍者、立ち上がり、顔を上げながら、
忍者「我らは桃瀬軍団。我らの秘密を知ったからには生かしてはおけん!地獄に送ってやる!」
 身構える同伴。

 忍者も棒を構える。

 二〜三回棒を交え、同伴の一撃をすんでのところでかわす忍者。

 同伴は忍者の大上段を入り身でかわし、逆手で斬り払い、すかさず順手でもう一撃。忍者は、間合いを取りつつ、上半身を反らして同伴の一撃をかわす。

 同伴から間合いをとって忍者が、分裂を!

効果音(肉声)「ぺぽん」

 分裂した敵がさらに分裂。

効果音(肉声)「ぺぽん」

 分裂した敵がさらに分裂。

効果音(肉声)「ぺぽん」

同伴「お、おおおぉ」
 瞬く間に敵に囲まれ、動揺する同伴。

 ここで、木や街灯の影からこちらを伺い、異変に気づく吾一三兄弟の描写を入れる予定であったが、編集の都合でカット。

 同伴に次々と向かってくる敵。
まずは使いの忍者が大上段で。

 つぎに上段。

 そして突き。通称神風アタック。

 次々と敵の攻撃を受け、防戦する同伴。

 三方からの攻撃を牽制しては攻撃をかわし、苦戦する同伴。

 敵の背後から、銀河登場。
 白い奴に蹴りをカマして倒す。

 そしてグレーの奴と棒で組み合いに。
ナレーター「吾一三兄弟の長男、松井銀河」

 敵中に躍り出て、棒を斬り払う彗星。

ナレーター「次男の松井彗星」

 銀河が3人の敵の棒を受け、危ない!

効果音(肉声)「バァン」
 銃声とともに倒れる敵。

 銃を構えて突進する月光。

 月光が持っている銃は、ブローニング・ベスト・ポケット。
 原作「魔人ハンターミツルギ」では手榴弾を使っていたが、「吾一」ではその代わりに全員拳銃を持っている。銀河はS&W・M649、彗星がレミントン・ダブル・デリンジャーであった。月光以外は使用していない。

 二人目に、走ってきた勢いで蹴りをカマす月光。

 蹴りを受けた敵が吹っ飛ぶ。月光はそのまま三人目に体当たりし、銃口を突きつける。

 敵を壁に押しつけて、アゴに銃口を突きつける月光。

月光「わるく思わないでね」効果音(肉声)「バァン」
 崩れ落ちる敵。
 覇王丸ステージのBGM終了。

 当時は「エヴァンゲリオン」劇場版が公開された年であり、このシーンは必ず入れようということになっていた。

 乱戦。
BGM開始、「真サムライスピリッツ」のズィーガーステージの音楽。

月光「忍法・銃!」
効果音(肉声)「バァン」
 乱戦の中で銃を使う月光。
 吹っ飛ぶ敵。
 画面外でもう一発。
効果音(肉声)「バァン」

 ブローニング・ベスト・ポケットの.25ACPに人間をふっ飛ばす打撃力などまったくないが、弾丸を喰らった敵が思わず仰け反ったということなのかも。

 相変わらず使いの忍者と戦っている同伴。

 同伴の間合いから徐々に後退する忍者。

 そして忍者、同伴に背を向け走りだす。

 敵の後頭部を棒で打ち払う銀河。

 眼前の敵を倒し、逃亡する使いの忍者に気づく銀河。

 使いの忍者を追いかける銀河。

 とうとう使いの忍者を追いつめ、棒術戦に持ち込む。

 銀河の大上段で、使いの忍者は倒される。
 ズィーガー・ステージのBGM終了。

 このとき監督の「倒れない倒れない!!」という絶叫が入っていたのだが、「ディレクターズ・カット版」では編集でその声を消した。
 使いの忍者は、自前の忍者服を着ての演技なのだが、ここまでの自爆的な熱演を披露してくれるとは。

忍者「天下は桃瀬軍団のもの。誰にもわ・・・た・・・さん」

 忍者、使いの消滅する。
 笛の音のBGMが入る。 

 笛のBGMは、数秒のごく短いもの。出典はやはり「真サムライスピリッツ」なのだが、どこで使われているのか不明。
 忍者が消えるのは、もっとも古典的な特撮を使用。つまり、カメラを止めて忍者が画面外に移動し、再びカメラを回す。だが。棒の位置が少しズレてしまった。

 苦虫を噛みつぶした顔をしつつ、銀河、棒を納める。
 笛のBGM終了。

 どうやら敵は全滅したらしい。
 ふたたび静まった大地に、一人立つ同伴。

 吾一三兄弟、同伴の元へ集まる。

銀河「これはいったい、どういうことですか」

同伴「うむ、夕べ妖しい流れ星が、西の山に落下した。その者を見にやったら、このザマじゃあぁッ!!」
 怒る同伴。

 台本では「うむ、夕べ妖しい流れ星が、西の山に落ちた」。

彗星「奴は死ぬ間際に桃瀬軍団と」

 彗星は抑揚のない棒読みをするが、この「吾一」の彗星役は、原作「ミツルギ」の彗星の大根役者ぶりを忠実に再現しているだけである。

月光「確かにそう言ったわ」

銀河「心当たりは?」

同伴「うむ、桃の形をした星が、流れ星となって落下した」

彗星「それが奴らとどういう関係が?」

同伴「うむ、それはわからぬが、ワシが感じた不吉の前兆は現実のものとなったのじゃ。物見にやったあの男は、桃瀬軍団に捕まり、催眠術にかけられ操られていたと見える。ワシは桃瀬軍団を悪の権化と見た」


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