シーン9 最終決戦

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セリフ・動作解説

台本との差異・制作雑話

魔人桃瀬「おのれ。我らの力、見せてやる。デーローモーンよ」

 原作というか元ネタの「魔人ハンターミツルギ」には、デノモンという怪獣が出てくる。だが、我々棒術部員は、誰もがそれを「デロモン」と聞き違えていたのだ。

魔人桃瀬「あいつらを皆殺しにし、中大を徹底的に占拠するのだ」

 「徹底的」というのは、魔人桃瀬の元ネタ・魔人サソリの口癖である。あまり意味のないところで多用される。

効果音(肉声)「グゴゴゴゴゴゴ・・・」

 巨大だと見せるためのアップで、デロモン登場。

効果音(肉声)「ゴゴゴゴゴゴ・・・」

 効果音(肉声)「ゴゴゴゴゴゴ・・・」

効果音(肉声)「ゴゴゴゴゴゴ・・・」

効果音(肉声)「ゴゴゴゴゴゴ・・・」

 デロモンを見上げる三兄弟。
銀河「まずい、ここはひとまず引き上げるんだ」
月光「ええ」

 デロモンに背を向け、撤退する三兄弟。

 安全圏らしきところまで逃げる。
銀河「ここに娘を隠そう」

彗星「忍法地蔵隠し!」

彗星「これでよし」

 この忍法地蔵隠し、もちろん我々のオリジナルではない。「魔人ハンターミツルギ」最大の見所である。

銀河「よし、我々は行くぞ」
 娘を隠し、再び敵地に向かう三兄弟。

 再び、デロモンの前に立つ。
銀河「よし、行くぞ!」

 デロモンに一斉に斬りかかる三兄弟。

デロモン「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」
 デロモン、棒を横に振るう。

 吹っ飛ばされる三兄弟。

銀河「もう一回行くぞ!」
 三兄弟、再び攻撃をしかける。

デロモン「おおおおおおおぉ」
 デロモンは、棒を回転させて対抗する。

 やはり吹っ飛ぶ三兄弟。

彗星「どうすればいいんだ」
銀河「よし、棒術神・吾一になるんだ」
月光「うん」

 彗星は、やはり見事な棒読みである。
 月光の返事は台本では「ええ」。

 銀河、棒を持って跳ぶ。
銀河「智!」

 彗星も、同じく棒を掲げて跳ぶ。
彗星「仁!」

 編集の問題で、彗星と月光の掛け声は入れられなかった。そのため、「ディレクターズ・カット版」では、アフレコで「仁」と「愛」の掛け声を入れているが、それは編集に当たった私の声である・・・。

 月光も同じく跳ぶ。
月光「愛!」

 だから、月光と彗星の掛け声は、本人でないばかりか、同じ声である。

 空中で三本合わされる棒。

効果音(肉声)「ゴゴゴ・・・ゴゴゴ・・・」

効果音(肉声)「ゴゴゴ・・・ゴゴゴ・・・」

効果音(肉声)「ガガガ・・・ゴゴゴ・・・・」

効果音(肉声)「ガガガグガガゴゴググガワアァァァ・・・」

 鉄塔に立ちそびえる棒術神・吾一。
 右手を差し出すと、棒が飛び現れる。

 鉄塔なるものは、つまり芝生にある外灯である。円筒形で鉄製故、人が乗っても問題ない。

 棒を手にし、鉄塔から飛び降りる吾一。

 このシーン、一瞬棒を投げる人間の手が見える。

ナレーター「棒術神・・・吾一」

 腕にはめているのは、ファミコンのナンダカコントローラーである。発売当初は恐ろしく高価だったが、1997年にはおそろしく廉価になっていた。

 BGMスタート。「機動戦艦ナデシコ」の宇宙戦のBGMである。
 デロモンに戦いを挑む吾一。

 デロモンを容易に打ち倒す吾一。
 ナデシコBGM終了。

 BGMスタート、「真サムスピ」のシャルロット・ステージ。
魔人桃瀬「うぬぅぅぅ、かくなる上は、ワシが直々に出向いて徹底的に倒してやる」

 この魔人桃瀬は、シーン9中最後に撮影したため、帽子がすでに限界に至っている。

 壁。

 また、カメラを止めて、画面に人が入り、それからカメラを動かす特撮である。しかし、こんなに壁をズームアップしてどうするのだ。カメラはただ止めるだけでいいのだ。
 私が撮ろうとしたのだが、アホがどうしても撮りたいというから任せたのだが・・・。

 魔人桃瀬出現。

 誰かのくしゃみが入ってしまった。くしゃみと共に出現したようだ。

魔人桃瀬「フハハハハハハハハ・・・ワシが来たからには、お前らに徹底的に勝ち目はないわ。徹底的に潰してやるわ」

銀河「これが魔人桃瀬か、油断するなよ」
月光「ええ」

 棒術神・吾一は乗り物ではないが、三兄弟の意識はその内部にあるらしい。ちなみに、彗星が「これが魔人桃瀬か」と言うはずだったのだが、彗星役がどうしても外せない用があり、銀河がこのセリフを言った。

 礼儀正しくも、向き合い、呼吸を合わせてから棒を構える。

 魔人桃瀬に押される吾一。
 上一文字で耐える。

銀河「すごいパワーだ」
月光「このままではやられてしまうわ」

 ここの月光のセリフも本来は彗星のものであった。台本では「兄者、このままでは保たない」である。

魔人桃瀬「思い知ったか、我が力を」
 魔人桃瀬、さらに押しつける。

 BGM、シャルロット・ステージ停止。
銀河「最強技、真常の型だ」
 反撃のBGMスタート。

 ここで繰り出されているのは真常大なる型。棒術では、ひとつの目標である高度な技である。
 吾一が反撃に転じたときのBGMは何か失念。

 魔人桃瀬の棒を押し返し、真常の型を繰り広げる吾一。魔人桃瀬の帽子が飛ぶ。

 形勢逆転。
 吾一が魔人桃瀬を圧倒する。

魔人桃瀬「おのれ吾一。このようなところで天下をとる夢が徹底的に潰えるとは。グフ、だが覚えておけ。五年後十年後、ワシの意志を継ぐ者が、徹底的に現れるであろう」

 この映画は棒術部創部20周年記念式典のために制作されたものだ。かつて10周年記念のときには、「棒術仮面」なる映画が制作・上映された。2002年には25周年を迎えるのだが、この意志は継がれるのであろうか。

魔人桃瀬「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・」

 魔人桃瀬消滅。
 反撃のBGM停止。

 勝利。魔人桃瀬が居た空間に差し伸べている棒を、戻す。

 勝ち誇る吾一。


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