クラス発表
1996年04月14日(日)


 クラス発表および教材配布の日。医歯と薬理工と文の3陣に分かれる。

 以前、水道橋で声をかけてきたウォークマンの寮生・三浦氏に声をかけられた(ウォークマンの中は英語のテープか?)。「君、あまりコミュニケーションしないよね」「なんで下向いてるの?」と。下なんて向いていたか?もちろん水平線を見つめるほどまっすぐ前を向いているつもりはないし、考え事をしているときは見るでもなく下を向いている。別に下を向いているつもりもないし、向いていたとしても理由なんかない。というようなことを答えると、上を向いた方がいいとか、下を向いたら暗くなる、というようなことを言われた。あまり器用な話し方ではなかった(注1)。


 昼メシのとき、文系軍団と一緒になる。どこねらっているの、との問いに対して「東洋大学社会学部」と応える(注2)。すると「キミ、東洋なんて器じゃないよ」と誰かに言われる。別にそんなに勉強しまくっているつもりはないのだが・・・。


 クラスは英語Z、古文W、世界史V、現代文H。現代文Hは我ながらよくやった。確か難関大がLレベルまでだったから、法政には十分だ。予想どおりの結果だ。中学時代しか勉強していなかったことがよく現れている。あとはやるだけだ。そのために来たのだから。


 三浦氏、ウォークマンしたまま16号館に入って、職員に注意されていた(注3)。


 帰寮して風呂に入る。千石まで歩いたからな。汗だく。
 崎元という文系の人にクラス聞かれた。ZWVHと答えると、俺たちとは違うな、とのこと。その「俺たち」は特特特だそうな・・・。中学校レベルのことをやるのが「特A」などの「特」クラス。結構「特」がある人はいるようだ。中学まで優等生でも高校でサボれば「特」かと思っていたが、そうでもないらしい。知覚動詞を昨日初めて知ったとか、そういうレベルの人々のようだ。


 英単語、書くのやめた。腱鞘炎になりそう。時間も食う。
 声帯を使わずに発音しつつ、何度も何度もやっていてく方がよい。


この日のカネの動き

地下鉄 千石−白山 -170

財布残高 20896円


注1・・・
上を向いた方がいいとか、下を向いたら暗くなる、というようなことを言われた。あまり器用な話し方ではなかった

 余計なお世話である。コミュニケーション云々に関しては、確かに私は浪人時代を通してかなり人付き合いはわるかった。別に部屋に籠もって死ぬほど勉強していたわけでもないが、それでも廊下で談笑するような人々の仲間入りなどしたくはなかった。友人は高校時代に十分作った。両国でまで作る必要はない。それを称して暗いと言いたければ勝手に言えというものだ。
 まあこの三浦氏はかなり頭のおかしい人で、後にいきなり人の顔みて「眉毛を動かすのは猜疑心強いのか。心理学で勉強した」とか「人相学を勉強した、見てやろう」とか言ってくるようになったものだった。彼は、howto本を1冊2冊読んだだけで、自分が世界のすべてを明瞭に説明できる気になっているキ@ガイなのである。彼はこうした物言いをあちこちの人に続けたため(それだけではないけど)、寮で迫害されることとなる。

注2・・・
どこねらっているの、との問いに対して「東洋大学社会学部」と応える。

 東洋大学関係者は気を悪くしそうだが、浪人という環境下では大学ヒエラルキーについては書かざるを得ない。
 この私のセリフには、2つ意味がある。まず第一に、当時の私の出来から鑑みると、日東駒専は高嶺の花であった。勉強すれば、なんとか入れるかもしれないんじゃないか・・・と、かろうじて現実的に見られる範囲で最も高レベルな大学だった。しかし本当の第一志望は法政であった。法政は高校1年から一貫して憧れてきた大学である。しかしそれはまさに現実的ではない、プロ野球選手やアイドル歌手になる、という類の「夢」と同じレベルの雲の彼方の目標だった。だから第一志望として「法政」というコトバを出すことは、恥ずかしくて出来なかったわけである。

注3・・・
三浦氏、ウォークマンしたまま16号館に入って、職員に注意されていた。

 4/9にも書いているが、彼は平気で禁制品の音楽をかけて歩いていた。まあ別に禁を破ろうと、規則に従わなかろうと、そんなことはどうでもいい。本人の問題だ。だが、わざわざ「規則が厳しい」として知られる両国くんだりまでやって来て、なんで禁制品を見せびらかすようにしたまま学校構内にまで入るかね。少しは隠せ!
 スパルタ式の学校に入って、鍛え直そう、勉強しようと思ったからこそ、両国まで来たのだろうに。カネも安くないし、そこに来てまで規則の網をくぐり抜けてまで楽をし、娯楽を享受するのもどうかと思わないでもないが、隠そうともしない、監視の目をくぐり抜けようという発想さえないというのは、どういった感覚なのかねえ。
 ウォークマンぐらいならば、たまたま耳に付けていることを忘れたとかいうことも考えられるが、彼はとにかく人の言うことを聞かなかった。規則にも、寮監の指導にも、他の寮生からの苦情や文句にも。他者の言うことに従えばそれでいいなんていう気はないが、彼は自分の意志の前には他者のコトバなんて存在しないかのようであった。自分がやりたいようにやることに対して、声をかけてくる人間がいることさえも想像できないかのようであった。だからこそ彼は、やがて迫害されるようになる。


解説

 この寮のキ@ガイの1人、三浦氏の異常性に気づき始めてきた日であった。
 もっとも、彼なんぞは有害性という意味では大したことのない人間ではあるのだが。


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