ホント難儀な子供さんで
1996年04月29日(月)


 今日は頭が痛くて朝テストはいまいち集中できなかった。授業中は大丈夫だった。しかし寮に帰るとやはり頭が熱い感じがする。熱を計ってみたら36.7℃。平熱だ。さてはたった30分ばかりの登下校で、日光にやられて頭が痛かったのか?他の人間も平然と歩いているが・・・。


 夕食。同じテーブルの山田氏は帰省中。そして三浦の大将はまたしてもいない。英単語テストか自習室かと思ったが、寮母がいうには参考書を買いに行くと。明日連休だからそのときにと言ったのだが聞かず、明日は勉強したいと言ってたそうな。学校帰りにそのまま買い物か(注1)。
 「言ったらきかないからね」「ホント難儀な子供さんで」と寮母さんが嘆くと、皆大笑い。そして、三浦氏はカネを持っていたらあるだけ使ってしまう、カネ貸している人がいるが返ってこない、と寮監(注2)。三浦にはカネ貸さないようにと寮監は皆に警告。


 ミーティングの招集放送。ミーティングは火曜だが、明日は休みだから繰り上げか。隣室の田山氏は耳栓していたので放送に気づかず、オレがドア開けて廊下に出たのでわかったとのこと。
 帰省3人、長欠1人。あと1人足りない。根岸という人が聞こえなかったらしい。班長の迫水氏が呼びに走る。


 24日にさる寮でぼやがあったそうな。寮生が鼻毛を抜くために毛抜きをライターで消毒しているとき、火と壁の間に幻覚を見た、そしていきなりライターが燃え上がったと供述しているという(注3)。そしてゴミ箱がわりにしていた段ボールに燃え移り、3つの消防署から4〜5台の消防車が出動する騒ぎになったという。初期消火のおかげで1室のボヤで済んだが、両手に大やけどを負ったという。医者をやっている両親がすぐにかけつけたが、出火原因を聞いて怒り狂い、子供置いてとっとと帰ってしまったとのこと。
 そしてタバコへの注意。でかい灰皿を買ってこい言うたが、みんな小さいと。そして去年はタバコ吸っていたのが4人おったが、全員大学全滅した。なるべくタバコは控えるように、と寮監。喫煙者の崎元氏はそんなジンクスねえって、とつぶやく。そして「吸わないと幻覚見る」と。
  そしてタバコ吸わない奴でライター持っておる者はおるか、と寮監。2人手を挙げる。1人は消毒のためという。もう1人・・・三浦の大将は「分解して使えなくしたらいいですか」と。皆、苦しいほど笑う。寮監は持って来なさい、と提出命令を出す。ライターを非喫煙者から排除するのは、上からのお達しらしい。


 あと質問ないですか、と寮監。
「枕が裂けて、中身出るんですけど」と誰かが。
「自分で縫って直してください」と寮監。またもや皆大笑い。
 実はオレはもう縫った。
「ゴキブリ出たらどうするんですか」と迫水氏。
「各自対処してください」と寮監。
さらに大笑い。
 オレはまだ見たことはない。18年間。
 


この日のカネの動き

ゲーメスト -550

財布残高 24703円


注1・・・
明日連休だからそのときにと言ったのだが聞かず、明日は勉強したいと言ってたそうな。学校帰りにそのまま買い物か

 参考書を買ってくる、というのは外出理由にはならない。支給の教科書や参考書もあるし、自分で買い足すのが1日2日遅れたからと言って大学合格に影響するわけがない。まして無ければ死ぬようなものでもない。そんなことでいちいち外出許可が通れば、いつでも遊び歩けるようになってしまう。
 所詮は予備校。自分で自分を拘束して勉強に邁進するたまにここに来ている。本当に参考書を買いに行こうと偽装だろうと、くだらんことで出歩いてどうする。
 それに、寮がそんなことを通すと思っているのだろうか。それとも、許可が下りなくとも自分が適切と思ったことは決して曲げないのか。別に寮の外出ルールなんか三浦が守らなくても私も他の寮生も困らない。三浦の評価と勉強時間が減るだけである。そんなことよりも、自分が思ったことは絶対強行して、他者との折り合いをつけることをしないこの態度は気にくわなかった。


注2・・・
三浦氏はカネを持っていたらあるだけ使ってしまう、カネ貸している人がいるが返ってこない、と寮監

 寮のルールを守らなかったり、寮監の勧告を無視するだけならばただのはみ出し者だが、彼がそんな高等な人間でないことが徐々にわかってきた。手元にカネがあれば使ってしまう。自分のカネであろうと無かろうと。借りたカネでも使い込み、返す当てなど考えない。三浦は自分のあらゆる欲求を抑制できない赤ん坊にすぎないのだ。別に「体制」や「権威」に楯突いているわけでも、目障りな寮監に従いたくないわけでもなく、やりたいことはやりたい。それだけが彼の行動原理なのであろう。


注3・・・
寮生が鼻毛を抜くために毛抜きをライターで消毒しているとき、火と壁の間に幻覚を見た、そしていきなりライターが燃え上がったと供述しているという

 実際に寝ぼけて目の錯覚を起こしたのかもしれないが、この人は多分もっとバカらしいことをしていたり、あるいはもっと想像もつかないような失敗をしでかしてしまったのではなかろうか。だからこんな苦しい供述しかできなかったのでは。
 まあ、幻覚がとしきりに言っていれば、親も呆れる。 


解説

 三浦氏の行動は、1つ1つを挙げても大したことがないように思える。単に、ちょっと反発していたり、かっこつけていたりしているだけのようにも聞こえる。だけれども、彼の常軌を逸した行動言動を見ていると、彼がそんな調子扱いてる程度の人間ではなく、もっとおかしい人間であることがわかっている。
 彼のような人間が、もし今のアパートの隣室に住んでいたらと思うと怖い。一緒に何か作業をすることになると思うともっと怖い。だけれども、この寮には三浦氏なんぞよりももっと強烈に有害な生物が生息しているのではる。それに比べたら、三浦氏なんてただの白@なんでまだマシである。それが明らかになるのはもっと先のことである。


戻る