忙しい方が両国らしくていい
1996年05月06日(月)


 忙しくなってきた。勉強が。もっと勉強する時間が欲しいと思うようになった。やることがありすぎる。授業中に意識が遠のくために、寮で復習に気合い入れまくらないとならない。そうしたら、寮で朝テスト対策の時間がなくなった。朝やろう。明日の。


 昼のことだが、山田氏に「なんで現文できるの?」と聞かれた。いや、なんでって言われてもな。「本読んでいるから?」と言われたが、まあそうかもな(注1)。「マンガ読んでいるから(山田氏自身は)ダメ?」とも。いやそんなことはない。オレも読んでいるし実家には2000冊はある。マンガマニアだ、と答えておく。すると山田氏の隣にいた江川氏が笑った。山田氏は「自分は写真マニアだ」と。撮る方かと聞いたら見る方、と(注2)。


 2230時、やはり洗面所で人の声。オレはそんな声は気にならない。それよりも乱暴なドアの開け閉めの方が気になる。というか、驚く(注3)。寮母が再三来て、ドアがうるさいと注意をする。誰だよ、まったく。両サイドの田山氏と高村氏は今もなお勉強している。彼らは毎日5限授業で時間がきわめて足りないのだ。
 やはり忙しい方が両国らしくていい。でも勉強遅れたくはない。やってやるぜ!


 2355時寝る。英語の朝テスト勉強は朝にやろう。


この日のカネの動き

なし

財布残高 14210円


注1・・・
山田氏に「なんで現文できるの?」と聞かれた。いや、なんでって言われてもな。「本読んでいるから?」と言われたが、まあそうかもな

 私は現代文だけ最初から「H」クラスで、前述の模試でもわりといい点を出した。だが、私は現代文で勉強したことなどはない。せいぜい朝テストで出てくる漢字とか頻出語なんかを抑えたくらい。後でより上位の現代文に移ってからは、かなり本格的に勉強をやったのだが、それまでは「現代文対策」なるものをやったことなどない。けれども、本読んだから出来るようになる、というものでもない。現代文が苦手な文系受験生にとっては、現代文対策は頭の痛い問題だろう。努力しようものにも、大抵はやり方がわからない。だからといって、こういう質問されても困るね。
 結局、書いている人は何を言いたいのか、どんなつもりでこの語をつかっているか、こういうことにどんなイメージ(ないし偏見・悪意/善意・ステレオタイプ)を持っているか、ということを見抜くことなんだけれどもね。単語を見ただけで、決まり切った意味や自分だけのイメージをわき上がらせて、勝手な解釈をするような人には出来ない、ということ。つまり、「本を読めば出来るようになる」「マンガだけ読んでいては出来ない」などというような扁平な思考に支配されている山田氏には出来ない、ということだ。


注2・・・
オレも読んでいるし実家には2000冊はある。マンガマニアだ、と答えておく。すると山田氏の隣にいた江川氏が笑った。山田氏は「自分は写真マニアだ」と。撮る方かと聞いたら見る方、と

 山田氏のいう写真マニアというのは、ようするにエロ本エロ写真集大好きだ、ということである。もしかすると、私がマンガ2000冊持っていたというのはエロマンガだと思われたのかも。だから江川氏は失笑したのかもしれない。


注3・・・
乱暴なドアの開け閉めの方が気になる。というか、驚く

 静かな寮で、いきなり叩きつけるようにドアをしめられたら、一瞬飛び上がるというもの。健康に良くない。私はドアを閉めるとき、ノブの金具の音まで最大限殺すように心がけていた。つまり、ノブをひねったままドアをゆっくりと閉めて、それからゆっくりとノブを戻す。するとほぼ無音でドアは閉まる。実家で、親の目を盗んで外出するときに、よくやったから慣れたものだ。


解説

 私は受験に必要なことの多くを知らなかった。勉強をしようものにも、足がかりとなるべき基礎知識に欠けていた。それを補って勉強の効率を上げるのに最初のころは必死だった。こうした地道で、単調な作業があったからこそ、英語も感覚的になんとなーく読めるようになっていったし、世界史もどんな流れだったかなんとなく想像できるようになっていた。そしてそれらは、大学に入ってからの研究に直接役立った。地道な作業なくして、発展はなかったわけだ。 


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