あなた、銃オタッキー?
1996年06月14日(金)
世界史でセポイの乱をやった。そのとき先生は、銃の火縄に不浄な豚の油が使われており、それを噛み切って使うのを現地兵が嫌がったと述べた。火縄?私の耳はよくないので、聞き間違えたのかもしれないが、火縄と言ったのかな?あの先生は、結構マニアックな話が好きなようだし、以前宮刑のやり方を詳細に教えてくれた生徒がいたと話していた。私がミニエー銃について話しても問題なかろう。もうこのクラス最後だし(クラスが上がれば、だが)。授業が終わった後、マジメな質問する人がいたら悪いから、少し待ってから先生に話しかける。
ミニエー銃の弾薬は、弾丸と火薬を油紙で包んでまとめたもので、装填するときに端を切るということ、火縄は使わないことを話した。先生は、どうやって発火するのかは私に聞いてきた。私は「火打ち石です」と応えた(注1)。さらに「弾丸と火薬をまとめたもの」に油は何故必要なの、とも先生。これには「湿気から火薬を守るため」と説明。先生は「あなた、銃オタッキー?私、オタッキーな人好きよ。銃のことはあなたに聞けばいいのね。モデルガンとか持っているの?」と続ける。私は本だけしか持っていないと応える。結局先生は、以前もワシントン条約(海軍軍縮の方!)とか凄く詳しい人がいたとか、過去の生徒の話をしながら、教室から教員室まで一緒に歩いた(生徒は使用を禁止されているが、先生はエレベーターを普段使っている)。そして、先生は「ありがとね」と言って別れた。
風呂で一緒になった岩本という人は、なかなかの人物だ。床屋のまねごとが出来、魚を捌くことが出来、スポーツ万能とのこと。父親は法政出身でワイルドな人だそうな。毎朝礼儀正しく、きちんとタバコの吸い殻を厨房まで持ってきて処理をお願いするなど、マジメな奴なのか・・・と思ったら、始末書すでに3枚。しかも歩きタバコで。彼はいつも内藤と帰ってくるな。あと、彼は地下鉄駅に貼ってある少女画のポスターを見て「欲しい」と言っていた。やはりただ者ではない。ちなみに岩本氏と話して、私が北海道人とわかったら、「お前もか!」と驚いていた。カエサルか。
それにしてもこの日記は初めて万年筆で書いているのだが、慣れが要るな!インクは水性なのか?試しに濡らしたちり紙で拭いてみたらにじんで消えかかった。
山田氏は英単語、すでに2級という。多少スタートは早かったかもしれないが、そんなに差はなかったはず。私が古典を読解し、英文法をまとめている間に、彼は英単語をやっていたのだろう。彼も私も時間を無駄に使っているわけではない。けれども私も英単語をはよ終わらせないとな。まあコツは掴んでいるから、日曜に寸暇を惜しんでやれば、1日で500語はいく。
英単語は、4月前に多少なりともやっておけば楽だっただろうか。だけれども後悔などない。こっちに来てから当然のように勉強をしているが、ここに来る前まではやる気にもならなかった。こっちに来て、私はやる気になった。器が変われば、中身も変わるのだ。それに、高校最後の3学期は、まだまだやることがあった。それはそれでいいんだ。だからこっちでやっていられる。今の私は2ヶ月前の私よりも2ヶ月分進歩しているが、当時の私の判断を今の私は尊重する。実際、入寮直前まで勉強をせずに、他のやることを片付けておいてよかったと思っている。計画通りだ。3年間の高校生活はそのときしかない。だが、大学は後からでも入られる。その為の勉強を今実践している。最高だ。
この日のカネの動き
ゴミ袋30リットル -1532
消しゴム
万年筆もどきのペン
写るんですA
財布残高 5745円
注1・・・
「火打ち石です」と応えた
高校時代の私の読書量は半端じゃなかったので、今の私よりも銃には詳しい。だが、本当にミニエー銃はフリントロックだったか?パーカッションだったような気がするぞ。予備校に入って銃器雑誌が手元になくなって忘れたか。それともこうした19世紀の銃には弱かったか。
解説
世界史のようなマニアックなネタを披露する機会が多い教科では、自分の知識を先生に説明したがる生徒が少なくないのであろう。私は普段、そんなに積極的に知識をひけらかしたりしないのだが、このセポイの乱の「火縄」発言にはどうしても黙ってはいられなかった。けれども、フリントロック・・・それで間違いていれば世話はない。いやはや。