熱帯夜、学部談義
1996年07月29日(月)
いつも通りに起きて、いや、目覚めて、その25分後に起きた。いつも通りだ。別に眠くもなんともない。今日は授業中も全く眠くなかった。
家にTEL。まず、航空券のこと。釧路行きは8時と13時しかないか、どっちにせよ、6日にするしかなかったな。そして昨日、気にかけた、だっけか、発狂しかけた、だったか、とにかく昨夜のことを話す。クーラーつけずに窓閉めて布団ひっかぶって寝ていた。これは脱水症状でマジで狂っていたのでは?そんなことやっていると死ぬかもしれない。知らないうちに。いや、とんでもねえ。今日は窓開けて、毛布だけで、寝よう(クーラーつけるとは言わない)。寝ぼけていたのではなく、本当にヤバかったと思った。母さんと話していると。
世界史のKY先生の至上の授業中。何か足元に落ちた(音でわかる)。見れば赤ペン。拾って、弁髪氏(KSという名だっけ?)の方に置くが彼のではないらしい。授業終了後、前の席の麦わら帽子の女子(TSといったっけ?)、振り向いて弁髪氏と話す。ペン忘れてきたと思った。そしたらここにある。落としたのだな。拾ってくれたの?と聞くと弁髪氏は「いや、彼が」と。「名前わかんないや。/(ここで話す対象が変わる)ありがとう」と。俺はうなずくのみ。不愛想か?
風呂入る。山田氏と話しなど。英語偏60いったのはすごい、ゆっくり待っていろ、今に追いつく、と(そういう主旨のことを言ったがだが彼はこんな露骨な言葉は使わない)。そして、テストの話。和漢混交文、中島敦、山月記(トラ)。そんなことを。そして政治はおもしろく誰でもとれるが、経済は関税に全体を理解していないと解けない。経済で差がつくらしい。世界史は現役のときほとんどやっていない。中央アジアやアフリカ、朝鮮がものをいう。中国などは知ってて当然。
山田氏が経済学部は行かん。法学部行くという話に。文系じゃ。このふたつの他はどうなるんだ?文学部行ってもどこ行くんだ?というようなことを。まあ、そうだ。でも、コネがものを言うから。資格?そんなの持ってて当然。東大でも国家I種でもやっぱコネがないと。山田氏の親戚(100万くらい払ったことがあるらしい。何のためにかは聞き逃したが)に何か力になりそうな人がいるらしい。言い忘れたけれど、学部でトップクラスになれば教授のコネやOBのコネが使えるから、そんな血統ばかり気にせんでもいいのに。学閥を使うのなら、実学が断然有利だ。そこで風呂に寮監さんが来る。TELか。あがってコレクトでかける。近所の伯母さんに話したらしい。あの熱帯夜で〜、と。驚いたのだか、呆れたのだか。Sちゃんは脱水症状で膀胱炎になったらしい。それは大丈夫。俺は2リットル飲んでいる……足りんか?昨夜も喉は乾いていなかったし、切望もしなかったが、やたらと水を飲んだ気がする。
東京にいた人の話によれば、クーラーは必需品らしい。そんなもの、ここ2〜30年の話だろうが。俺がバカだっただけだ。クーラーをつけなくても、窓開けて、布団をかけなければいいんだ。
明日は単語。とにかく単語。じゃあこんなところで。
そういや今日、WD氏が各種テストを完答して、判定やっていた。彼が!やる気になってきたか。やばいと思ってきたか。ここはいつでもスタートを切れる。そのためのクラス分けだ。これからでも死ぬ気でやりゃあ少しは伸びるぞ!
あと8日で帰る。帰ってもテレビ見ない。本読まない。ゲームしない。電話しない。昼寝しない。散歩はする。
綾波と出会う。いや見るのは2月か3月。第一、LDPない。
しかし、先生になるって決めてから、職とやりたい学問との隔たりが気になりだした。社会学部で社会科教師が無難か。でも、社会?どうせ社会科なら史学地理を……。いや、ねる。
まあ、レオに会おうと。
毛布だけ、窓開け、快適に寝る。
この日のカネの動き
TEL -310
水 -200
財布残高 9,496
解説
実家にはちょくちょく電話をしていたが、バカ正直に昨夜おかしくなったことを告げたら熱中症で脱水症状になったのじゃないかと心配された。また、風呂にはいっているときに実家からかかってきた電話にコレクトコールで掛け直したら、その話を伯母さんにしたところ、いとこも体調を崩した話をされたらしい。どうも、昨夜は熱帯夜として特に暑い夜だったらしい。本当に、よく死んだり障害が残ったりしなかったものだ。
山田氏は政治経済選択者なのだが、高校科目としては履修しておらず受験科目としても選択しておらず、伝聞程度のイメージしかない。両国では政経選択者がそこそこいたような気もするが、やはり絶対数は少なかった。選択した人間は、「範囲が少なくて楽だから」というようなことを言っていた気がするが、しかし教科書が薄いなら薄いなりに一定以上の高得点を取りにくいという難しさがあるらしい。
政経の話から発展してとなんとなく学部の話をしている。書かれているセリフのどれが私のもので、ぞれが山田氏のものかは今となってはもうわからないが、学部の先には学部の通りのものがあるようなイメージ、血統のコネ、教授のコネ、学閥の力、などなど漠然としたことを語っているが、大学受験のために1年をすべて費やしている以上、その先のものは漠然とであれ意識せざるを得なかった。とりあえず大学に入ってから模索し、大学において目標を抱いたり抱かなかったりし、卒業後は目標の通りにいったり行かなかったりするにせよ、受験に際しては先を意識しないわけにはいかなかった。私はこの頃は、勉強がわかってきた悦びから教職を意識していたが、しかし当然のことながら、やりたいと思っていたこと(当時は社会学部を志向していた)と教職との乖離に気づいてきた。職業を意識するとそういうことも起き始める。結果、教職についての考えは予備校生のうちに放棄することになる。
ちなみに、ボールペンを落として私が拾って机に置いたボールペンの持ち主であるTS氏、口を利いたことさえないはずだが、多浪生のKS氏と話していることが多く、聞いているつもりがなくても狭い教室で会話が耳に入ってきたのだが、そこで彼女がKS氏に対して学部選びという予備校生らしい話題の中でいった「法学部政治学科って、響きがかっこいい」というセリフから、私も確かにそれはいい響きだと思って、いつしか法学部政治学科を意識し始め、受験雑誌などで政治学について調べるようになっているうちにこれはよいと思って模試で政治学科を書くようになり、実際に中央大学法学部政治学科に合格して入学し、さらには政治学研究科に進むことにもなる最初のきっかけとなった人物である。
夏休み中に何するかという話で登場する「LDP」は、自由民主党ではなくレーザーディスクプレイヤーのことである。『新世紀エヴァンゲリオン』のLDは出る都度実家に届くように手配していたが、肝心のLDプレイヤーは「いずれ買う」ぐらいのつもりだった。