軍人と呼ばれる
1996年08月04日(日)


 宅急便で送る荷物を下の階に置きに行った帰り、佐々木氏に呼び止められた。「晴天君、戦争ものとか興味ある?」と。「かなり」と答える。布井氏にそう言われたので聞いてみたという。高校の時、軍人と呼ばれていたから、と。そしたら布井氏、軍人晴天だもんね、とのこと。久しぶりにそう呼ばれたぜ。エアガン持っている?と。「ほんの……5〜6丁」と。そしたら、すげぇ、と。晴天君は何にも興味ないと思っていた、とのこと。俺は興味人間だぜ、布井氏。あとで晴天君の持っているもの見せてね、と。他にもあやしきものをいろいろと持っていると思っているらしいが……そんなにないよ。
 佐々木氏、両国にも必ずそういうのがいる、と同類に言われたらしい。どんな人物なのか俺の方が興味津々。どんな人?と聞いてみる。知識の分野はわからんが(多分スモールアームズ)、絵もうまいらしい。うおー、絵は描けないわ。腰の革ケースを見て、これも武器?と。ナイフ。何に使うの?缶切りとかそんなのばっかと言ったら、少し安心したようだった。ナイフは危険だからな。ブレードなしのアーミーナイフ(ナイフか?)があってもいいな。「リーガルシティマン」みたいな名称で。ダサいか。
 この会話は布井氏と明記されていないものは、佐々木氏の発言。

 下の荷物、三浦氏、石井氏、西内氏しかない。でも6〜7個はあったような。石井氏は、静岡、西内氏は茨城。
 出かけるとき、下に降りてみると、荷物の山。何人かの住所を見た。水戸市、日立市、清水市、熊本市、伊那市、船橋市、船橋市2件目、横浜市。あと忘れたというか見ていない。

 ミリタリ屋へ行く。でっかい看板があったが以前は気付かなかった。看板に気が付いても入の口が見つからない。これか。

 中は狭いな。まあいい。着るものの他にカバンや小物。ヘルメット。ベルトはいいの見当たらないな。軍服用はあったけれども。パッチはすさまじい。ハーケンクロイツとか。パッチは覚悟していたがネックレスが。鷹付のハーケンクロイツは予期していたがKKKとは。有色人種のヤポン人がこんなものをつけてどうするんだろうか。ピースマークぐらいは買ってもいいけれど。Tシャツもハーケンが山ほど。これは着られん。シャレにならん。布は布。模様は模様。俺はよく言ってきた。でも、この圧倒的なハーケンを前にして、こいつは着られないと思った。まあ使う人の心がけ次第なんだろうけれども。布は布なんだから。
 しかし東京はなんでもある。あるものを買うのではなく、買うものを選ばないと。俺、何が欲しいんだ?パラシュートコードや水筒のような実用的なものはまあいい。しかし服や装備は何かに徹さないと、とてもやっていけない。浅くなめる手も、テキトウに組み合わせ手もあるかな。でやはり一貫したポリシーは欲しい。でも俺って、軍隊に入るわけでも軍人になるわけでもサバイバルゲームに出るわけでもない。せいぜい、自分の部屋で着て笑って、後は祭りでコスプレ、劇の衣装(出ないが)ぐらいか。ハーケンは嫌だ。これだけは言える。絶対的な考え方の閉鎖性の危険はわかっているけど、これはまずい。特に、いや、何よりも対外的に。USは数も豊富。エアガンで出ているものも多くは対応している。US装備で統一するのが一番いい道かもしれない。東独、旧ソ連、ベトナム……他の国々は少なくてな。せっかくAK47あるのならベトコンもいいかもしれんが。ところで、買ってどうする?
 俺は実銃至上主義でエアガンやモデルガンはなくてもいい。軍人にも警官にも大して執着していない。サバイバルは重要だ。ヴィクトリノックスのナイフ、マグライト、実に役に立つ。そうだ、俺のモットーは日常のサバイバリスト。Gパンに革ケース入りの「ハンター」。まさにそうではないか。インサイドホルスターに.380ACPのオートでも入れて歩きたいが、実銃至上主義の俺としてはエアガンを持ってもあんまり意味がないし(実用性はゼロだし)、第一犯罪に近い。まあテキトーにやろう……ではカネがとぶ。いやカネを使わんまでも何をしていいかわからん。俺ってエアガン買っても大して使わないしな。もちろんブリンキングも眺めるのも腰に差すのも触るのも楽しい。おもちゃとはいえ、なんとなく銃器の感覚が楽しめる。それなりによいものだ。

 新宿書店へ。例のシリーズの新刊があった。『魔法使いTAI!』か。
 
 アニメイト、「ねがい」はなかった。あれが人気あるのか!「綾波」はたくさんあった。たくさん入荷したのだろう。
 久しぶりに『レイアース』のを見た。光はなんともいとおしい。当然、あまり新製品はないけれども。
 レジ、店員のエプロンの襟にリリーナのメタルブックマーカーをはさみ、アスカにキーホルダーをぶら下げる。すばらしい!自己主張しているぜ。

 思い出した。ミリタリ屋に氷川神社の札があった。麻布に縁がある人なのかもしれない。たぶん「火川神社」に行ったのだろう。よく見りゃセーラープルートのぬいぐるみが!これだけが、周囲とはまるで違う物品だ。
 ミリタリとアニメとは享受する層が違うといわれているが、そうとも言えん(第一、俺がいる)。


 ズボン送っちまって、履くものがねーや。ズボン買おう。火曜にミリタリ屋で着るもの買おう。母さんに服買うからカネくれと電話して、くれるか?カネは十分にあるぞ。でも上着なんかは2着。Gジャン入れても4着しかない。いくらポケットの条件がよくてもこのクソ暑いのに、あんな暑いの着れますか。蒸し死ぬ。やはり自分のものは自分で選ぼう。 


この日のカネの動き

交通 池袋まで行って帰る -170x2-120x2=-580
軍装 パラシュートコード -1,854
同人誌 -1,000
アニメイト 「きずな」 -2,500
アニメイト レイアース・レタリングシール -300x2
アニメイト エヴァ・ブックカバー -300
のみもの レモンスカッシュ -110

財布残高 2,158円


解説
 ほんの少し戦争映画を観たり、戦記マンガを読むなどし、本棚にミリタリー関係(私の場合は小火器の方が多かったが)が少しばかりある程度で、「軍人」などとあだ名をつけられ、そのようなキャラクターで語られるのは、どこの高校でもよくあることだと思う。私についてもそのように呼ぶ者もおり、女子が描いたクラスの登場人物らを用いたマンガでは、私は兵器を扱うキャラクターとして描かれていたりもした。そして両国においても、ほんの少しその方面に興味があり、ヴィクトリノックスのツールナイフ等を持っているというだけでも(くどいようだが腰のベルトに装着して闊歩するのは軽犯罪法違反である)、やはりそういうキャラクターとして認知されつつあったようだ。しかし当初は「何にも興味がないと思っていた」というのは、勉強ばかりして趣味を享受する習慣もないつまらない人間だとみなされてたということか。少なくとも両国では勉強ばかりして、不愛想で談笑するようなこともあまりなかった為、「何にも興味がない人間」に見られるのもやむなき事か。人間性や個性を伝える為に両国に来て、暮らしていたわけではないのだし。

 「東京は何でもある」というのは、田舎から上京してきた人間としての素朴な感想だ。田舎では、街の本屋にたまに入る軍事・小火器関連の本を目に入るたびに買うことが、まあ、出来た。実際にすべて買ったわけではないが、しかし取捨選択はそれほど必要なかった。だが、あまりにも文物があふれている東京では、なんでも買うわけにはいかない。カネも部屋の容積も有限であり、そうした制約の範囲内であっても目についたまま無秩序に買うのも美しくない。なにか一貫した統一性をと考えているが、やはり「実銃に関する情報」に集約して細々とやっていくことになる。それとて限られた範囲でだ。
 軍装については、上野の中田商店以外の軍装品屋にはじめて立ち入れ、そのすさまじさに圧倒されている。実用品としてしか興味がないようなことを言っているが、実用に供する場面などほとんどなく、伊達で人に自慢するにも例の特異なキャラクターとしての「軍人」扱いに応える程度の役割しかなく、軍装品にはほとんど手を出すことはなかった。柘植久慶の影響で「日常のサバイバリスト」を目指すとして、氏の著書で述べられていた「火災時に高い階から逃げるときに使える」というパラシュートコードをこの日買ったが、もろろん一度たりともいかなる用途でも使うことはなかった。サバイバルゲームをせず、軍装マニアの寄り合いに行くこともなく(そういう狭く深い渡世があることを認識してもおらず)、結局今に至るも伊達と劇の衣装程度の用途でごくわずかに軍装品を買ったにとどまっている。

 夏休みの帰省を前にして、人々が荷物を発送するべくダンボールを玄関近くに置いて、様々な住所があると感心したものだった。果たして何をそんなに送るものがあったのかは今となっては謎だが、衣類などを送ったのだろうか。服がないので服を買うと称して親から必要経費として衣料費をせしめようと考えているが、実際にカネを取ったか軍服軍装に使ったかは記憶にない。後の日付の日記で言及されているかもしれない。

 ちなみに、ミリタリー趣味とアニメ趣味とは相容れないと聞くという話の、聞いたネタ元はマニアの生態を描いた『オタクのビデオ』である。


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