夏休み6日目・レンタル屋で友人を見る
1996年08月12日(月)


 二度目の3巻だ。アヤナミんでいるぜ。
 6話のおわり、「笑えばいいと思うよ」のあの慣れない笑み。とてもよい。設定上の年齢相応には見えなかった。
 見れば見るほど味がでる。これこそが名作だ。

 本屋兼レンタル屋のブックシティナウにPM07:45頃行った。『エヴァ』の5巻以降は一週間レンタルじゃないので、夜借りるわけにはいかん。『メモリーズ』を借りる。
 そして帰ろうとしたとき、あの人物は……見たようなTシャツ、類まれな身長、メガネ……草刈部?なんか違うような気もする。兄貴か?いや、本人だろう。手紙で夏休みはいつもよりも忙しい、などと書いた手前、つい隠れたい気が。でも奴の方へ笑みを浮かべて歩く。草刈部、こちらに気づいて一瞬静止する。わからんかったか?進路をやや左にそれて帰っていく。
 俺と気づかれなかったか?髪型相当に違うし。いや、声をかけあぐねいていたのではないか?それともイカレた奴が睨みながら(もしかしたら、俺が隠れたい衝動から前かがみにになって、そこから上を見上げる格好になっていたかもしれん)やってくると見えたか?うーむ。俺だと思ったとしても、ここにいるはずがない、あの髪形、と自信がないか。明日電話してみるか。でも貴重な休日、奴も家の用事があるかもしれない。まあそうなれば手短に切ればいいだけだ。しかし何と釈明する?いや、「『エヴァ』だけが俺の生き甲斐じゃあ!」とでも?(しかし今回は『メモリーズ』だったけども)。


この日のカネの動き

レンタル メモリーズ -290
収入 家(盆玉) +10,000
収入 父(大入り袋) +10,000

財布残高 記録なし


解説
 さっそくレンタルビデオ屋通いをしている。自分は我が身を厳しい環境において受験に専念する、と高校3年の3学期には大見えを切り続けていたことから、夏休みにレンタルビデオを闊歩することを友人に見られたくなく、隠れたい衝動にもとらわれなどしている。しかし隠れたいと思いつつも、4か月振りの友人と接触したいという欲求もあり、おそらく異様な挙動になっていたのだろう。ましてや、4か月会っていないだけで同じシャツとメガネで大して変わっていないはずの草刈部を私が認識しかねていたのだから、風貌が極端に変わった私を草刈部は認識できなかった。じっくり見ていたら認識できかしもしれないが、頭がボンズの変な人間が異様にこっちを見ていると察した瞬間に、見るのをやめてしまった。だから草刈部は進路を変えて帰ってしまった。

 アヤナミんでいるというのは、当時、アニメ雑誌などで目にした誰かの雄たけびのような記述を借用しているのだと思う。ただでさえ刺激の乏しい暮らしをしている中で、当時多くの若者の心をつかんだ作品を観た影響はあまりにも大きかったとみえる。そしてレンタル屋に通い、「『エヴァ』だけならしょうがない」みたいなことをいいつつ全然関係のない『メモリーズ』まで借りる始末。大変なことである。これを居間のテレビとビデオで観ていたのだから、繰り返しになるが、親の焦燥感といったらいかほどだったろうか。それでも両国から一時帰国中だと大目に見てくれていて口に出すのは控えていたらしいが。 


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