アニメイト強行
1996年09月03日(火)


 今日も布井氏と。今日は信号で待っていると、後から息を切らせてやってきた。「競歩」をしたという。
 8月のポスターをもらったとのこと。今回はロリコン扱いされたとのことだ。
 右翼の看板があった。一緒に入ろう、と彼。俺はノンポリだ、と返す。でも、ノンポリって「政治に無関心」の意なんだよね。主義主張がどうでもいいという程度じゃないのかな。ここの「ポリ」はポリシーではなくポリティカルだった。

 アニメイト強行を。クリアケースを自習室に置いて行こうと思ったが、3階まで昼飯時で混んでいる階段を上って時間を食う方が危険だ。山田氏に「俺、今日昼飯食わないから」と別れ競歩。イオカードも時間短縮になる。両国駅に53分。錦糸町に56分ぐらい。アニメイトへ00分か。買い物は気合を入れんと時間を食う。『エヴァ』のものを1つ1つチェックしても、そんなに時間喰わないな。スタンプ×2とラミカードカセットインデックスを買う。あと数十円で3,000円。ポスター3枚もらえたのに2枚か。まあいい。そのときまで気が付かなかったんだから。情報、『エヴァ』のLD、13巻が5月、14巻に至っては6月!うーむ、家では観られない。そして人生に関わってくるぞ。サークルで漫研やアニ研に入るとイヤでも『エヴァ』の先を知ってしまう。そのとき12巻まで観ていたとしてもそれはイヤだ。高校の連中との再会で伊佐坂と会ったら、口留めしても奴のことだ、口にする気が……意地と気合と強迫もとい脅迫とで念を押す。
 『ガンダムW』のテープか。おもしろそうだな。リリーナは?『エヴァ』のテープは10月に。「ADAM」は8月下旬のはずだが延期?『エヴァ』のテープ、LD14巻のことは『アニメージュ』を買ってから考えよう。間に合うさ。帰り、錦糸町駅にぱ15分くらいか。両国から帰るのかかわらん。十分間に合った。自習室行かんでよかった。

 風呂、金城氏と。入った時、金城氏「いつもひとり?」 俺「ああ。皆、この時間いないんだ」 金城氏「何してんだろ」 俺「判定じゃないか?」となんとも不自然な人造会話。
 身体洗い終えて、風呂に入ってからしばらくして、話しかけてみる。彼が鼻歌を歌っていたのがポイント。カラオケで何う歌う?と。金城氏、いやフツーのと。当然聞き返してくる。俺は軍歌を、というとうける。カラオケで10曲ぐらいしかないとか。演歌は歌わない。作曲者不詳のものもある。とにかくうける。そういうようなことを。もう話は弾んでいる。文学に話が変わっている。彼は大気に散らされるような声だからよく聞き取れないんだが、どういう本を読む、と。あまりこだわらない。こちらは一応、柘植久慶を挙げてみるが、知らず。フツーの本は?と。中島敦、と。今まで中島敦と答える人はいなかったという。教科書で見ただけで嫌になったと。読んでてつかれない?ここちよい疲労だ。というようなことを。そんなに強烈かな?彼も文学青年だからね。三島は中学のときに読んだという。変わった本を読んでいると何か言われる、とのこと。今は吉本バナナとか読んでいるらしいが、俺は現代人は娯楽小説しか読まない。戦争ものとか。と言う。すると金城氏は「『アサヒの艦隊』とか?」と。「キョクジツ」ね。まあね。あれは専門知識がいるのでついていけないとのこと。そんなに専門的だっけか?
 あと文学部と法学部を受けると言ったら、金城氏「両方受かったら?」と。当然文学部だ。金城氏「かわっているね。ふつう逆じゃあ?」と。数学ダメだから経済はダメ。今じゃ高校入試もダメ。彼は単純なところが好きという。まあ、できればね。彼は中学にして数学3。高校で2。模試は偏差値30台だ。すると、そういう風にあてはまっている人いるんだ、と。その通り!
 彼は静岡人、しかし釧路の位置がよくわかっていなかった。釧路って……。

 田山氏、乗っている電車が人をはねた、もとい、轢いた。「見ちゃったよ」とのこと……。

 ミーティング、他校の模試はムダ。説明会は医系以外は役に立たない。その時間で勉強、とのこと。
 排水管詰まって高圧洗浄をしたそうだ。相当かかったらしい。上で髪を流すなっていうけれど、頭洗ったり、ラーメン流したりしているせいだな。わざわざ髪切って流しはせんだろう。

 風呂にて九州男児(高林氏のこと。by金城氏)は、「うめる」という言葉を知らなかった。金田氏、湯を水で薄めることだ、と説明。金田氏曰く、九州は標準語通じない。沖縄に近いから、とのこと。

 しかし、手が疲れとる。英法、世史と書きまくったからな。サークルは速記部に興味があるのだが、こんなことではな……。いや、持ち方が狂っているんだ。ペンってどう持つんだ?

 寮母さん巡ってきたとき、「晴天君、第一志望どこ?」と。第一は決めていないが中央か法政あたりを、と。各部屋で聞いているのだろう。皆、何と?そして寮監・寮母さんは何を思っているのだろうか。寝る。明日は各テがハードだ。文化史、未習の上に東洋。


この日のカネの動き

アニメイト スタンプ×2 -2,000
アニメイト ラミカード×6 -600
アニメイト カセット・インデックス -250
小計-2,936
くいもの カロリーメイト -200
水 -200

財布残高 19,949円


解説
 アニメイト錦糸町への強行軍をするために、午前中で授業が終わる日に昼食を食わないで時間を捻出している。ちなみに、午前中しか授業がなくても昼食は学校で仕出し弁当。学校で午後の授業がある連中も午前で終わる連中も学校でまとめて昼食を食わせないと、寮の賄いが混乱するので、合理的なやり方だ。こうした昼飯を抜く、昼飯を抜いて行動するという行動は山田氏に不審がられ、後々面倒なことになるのはそのうち記述されるだろう。自習室に荷物を置いて自習室を抜け出し、自習室に戻って今まで自習していたというような顔で自習時間の証明書をとって帰寮することも考えたようだが、そんな簡単な抜け道が通用するとも思えないので、やらなくてよかった。荷物の放置が迷惑行為になるのは言うまでもなく。

 コワモテの金城氏は、なかなか本を読んでいたようだ。柘植久慶は一部の層では有名であっても、ミリタリー本やサバイバル本に興味がなければ知らなくて当然かもしれない。金城氏は医学部志望者で、予備校の最初の試験で高得点を出して安い学費にランクされたという話なので、数学ができたようだ。数学を早々に捨てた私としては数学は今なお憧憬するところである。そしてコワモテで数学もでき、そして文学も読むということについては、やはり金城氏に敬意を抱いたのである。私は時として人に強い怒りを抱くこともあるが(口には出さずともこうした日記などで文字には残している)、基本的には他者に敬意を持つので、83寮の寮生には夏休みに帰省する際に、別れに感極まって檄文を書くくらいには連帯意識をひとりで勝手に持っていたほどだ。

 はじめて様々な土地から人々が集まる環境に身を置いたので、小さな習慣やコトバの差異に気づくことがあった。「標準語が通じない」というのはもちろん冗談だが、ややもすると侮蔑的だし、「沖縄に近いから」というその後に続く言葉も、今考えると不穏当ではある。


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