金城氏は文化資本が高い
1996年09月18日(水)


 山田氏、布井氏と。なんかおきまりになったな。
 布井氏、学校の評定はよかったので推薦受けようかと。第4志望だが。山田氏「妥協せず、やった方がいい。英語も3か月あれば伸びる」と。俺は何もいわず。自分で決めることだし。俺は……失礼だが、少しでも確実な方法でいった方がいいと思うが、言わない。

 山田氏、やたらセキをする。カゼらしい。たのむ。うつさんでくれ。

 英演、予習テキトーにやってきた。授業ねぼけながら受けた。帰って、テキトーに復習した。たまらんのォ。せめて授業中に気合入れまくろう。この時間ねむいらしい。

 帰り、金城氏と。何話したかな。電車では、俺が単語帳開いていたから、あまり話さんかったけれど、多少は話した。階段で走ると、何で走るの?と。あ、そうか、ふつうは走らないものなのか。つい習慣で。ゆっくり降りる方が疲れる。今読んでいる本はある?と。ない。買うことはあるが実家に送っている、と。その割にはカバン重そう、と。勉学のもの。まあ関係ないものも入っているが。ラジオは防災用と言ったらウケてた。地元が地震多いから教訓で。ついでにマグライトも見せる。懐中電灯というから寮でもらった(貸与だ)やつかと思った、とのことだが、あんなもの持ち歩けません。
 英語の偏47⇒60と言うと、ふつうそんなに上がらない、と。ふ、俺はふつうではないのさ。北海道で雪が降るだの、スキーを彼はしたことがあるが俺はない、スケートは彼は立つこともできない、俺は必修科目、雪かきしょっちゅう学校で招集かかることある。静岡は4年に1度くらいしか降らない。富士山はでかい。夜来て朝起きてびっくりする人多数。俺は新幹線で一瞬見た。なーんてことを話した。
 地上に出ると九州男児がいた。北と南にはさまれている。性格が違い出る、とのこと。九州男児「晴天やん、文具屋寄ろう」と。駅前にこんな気の利いたものがあったのか。東京は「探せば」何でもあるらしい。ここでは部活の話をした。模型部は賭け麻雀で廃部。金城氏、映画研究!実態は「エッチなビデオ鑑賞」とのこと。物理部にはじめいて、超電導でなんかやって総理大臣賞もらうぞ!と意気込んでいたが、それはすさまじく難しいことで辞めたらしい。九州男児・高林氏は、テニス部⇒帰宅部。
 金城氏の学校、百人一首で全国!あれって全国あったのか。文化部も気合い入れまくり、とのこと。数学研究会(大学レベルの数学やるで数学甲子園とかすさまじい。
 俺は法か文で、文にすると言ったが、漢文できないから法に絞る、と言ったところ、法学部の方が就職がいいからね、と。もちろん。ここでなにげなく、オヤジが用意してくれているから関係ない、と。そしたら大学で遊べるじゃん、と。いやマジに継ぐとしても死ぬ気でやらんと。父さん、仕事場では怖いんだぜ。遊び呆けたガキなんぞ入れるものか。しかし心にもないことを言ってしまった。いつかボロが出たら、迷っている、ということにしよう。
 金城氏、学生結婚したい、その後別れて職場結婚したい、と。面白い人だ。しかしなぜそんな野望を?
 金城氏、やっぱ東京の女の方がいい、と。静岡はイモとのこと。先生も静岡は寒くも暑くもないから根性がなく、すっとろいと言っていたそうだ。しかしひでーな。
九州男児は外見より中身。金城氏は逆とのこと。

 風呂でも一緒になった。東京についてどういうイメージがあった、と。これは地域差があっておもしろい、と。「物資が豊富」としておく。
 あと外見と中身どっち?の話については、俺は両方、と答えておく。でも、俺のいう外見は一般的なよしあしとは異なるッス。女優じゃどんなの、と。テレビ観ないからわからねッス。映画ではシャロン・ナントカがいいと金城氏。俺は白人興味ない、と。アジアがいい、と。インドは?俺は極東アジア。でもインドは美人の国だって、初耳らしい。彼は中国に行ったことがあるという。父が旅行好きと。カネ盗まれるわ、ごまかられるわ、大変だったそうだ。日本人はヨーロッパ行かないと外国言った気がしない、と。俺はやっぱこれ(Gun)だな。ハワイとかじゃなくて、人民解放軍とかの。

 医大入ってから西洋文学やりたい、と。彼は文学青年だもんな。でも医大は忙しいってよ。札医のひと、家帰るヒマもないって。すると地方の医大は忙しいが、帝大あたりはそれなりに楽しめる、と。あと、医大は封建的で気に入らないと単位もらえないこともあるという。どこぞの大学では1年から解剖あって、行った人の話では朝から晩まで。脂肪を取る作業で、よく見えないから顔近づけて、するとかかると。メシ、肉食えず、1〜2週間は吐くという。おっかねえ。
 俺、ひとつ間違えた。札医の地元占有率は70%だ。90%って言っちまった。まあ彼は来ないだろうけれど。
 彼は医大のことを調べているはずだ。それなのに俺はわかったようなことを言っちまったような気もする。うーん、気ィつけよう。

 今日は眠い。念のためのカゼ薬のせいか。疲れているのか。
 英解、PM11:00で切り上げたから、やっていないと同じ。UO先生の英演だけは予習したが。根性入れたらできたけれどね。今日はねる。


この日のカネの動き

なし

財布残高 37,690円


解説
 推薦の仕組みはよくわからないのだが、卒業後も高校時代の成績で推薦を受ける公募推薦なる制度があり、それで行けるかと布井氏は考えていた。結果として彼は一般入試で受かったところに行ったのだが、果たして公募推薦で受かりそうだったところと実際に行ったところとでは、どのような差異があり、どちらが納得いったのかはまったくわからない。どちらにせよ、勉強法について聞かれて自分のなりのやり方を答えるだけでも責任の重さに煩悶していた私が、より明確な進路選択についてアドバイスなどできるわけがなかった。

 金城氏は、筋肉質の大柄で、顔はコワモテで傷跡らしいものまである、ということで元番長、元暴走族みたいな噂が立てられていたが、これは雰囲気から語られていた噂が広まり再生産を繰り返しているうちに作られた話のような気はする。話を聞いたら文学青年で、高校は数学、物理、百人一首などで優れた活動をしているなど名門校ぶりを見せ、さらには彼自身が医学部受験者で成績ももともと良好で、そして幼少期から海外旅行に行くぐらいには文化資本もある。ワルとは掛け離れた世界に思える。しかしだからといって、ワルではなかったことにも、ワルい仲間がいなかったということにもならないのではあるが。

 「女の好み」なる、個人ではなく属性で語る話は、今も昔も苦手の上に不快感さえ抱いている。が、男性社会で暮らすにはそういう会話は避けられず、テキトーなことを放言している。が、こういうテキトーな放言を人はかなりの蓋然性で覚えているので、一貫性がないと驚かれたり苦言を呈されたりするのでほとほとめんどくさい。


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