この制限の中で思い切ってやるから充実する
1996年10月01日(火)


 10月になった。あと数か月。えと、4か月か。しかし俺は別に大きくは考えない。まあひとつの区切りだ。ますます近づいているな。去年の10月1日は何考えていたっけ、先生方が言っていた時間の感覚がやっとわかったぜ、というくらい。
 駅ポスター、運動会か。今月のは男の子。4月の野球と9月の夕方(今日布井氏に言われて知った)と3回目の男の子、と。先月男の子だったん?あの年頃は性別がよくわからん。髪と服で明確に区別されていない限りは。

 アニメイト。『エヴァ』日程、一部修正。俺の手帳の方が間違っていた。スタンプは摩耗するのか?あれば安心なので『エヴァ』スタンプを予備に買う。それとシールも。今日は大きな発見はないが、やっぱ楽しいね、PM12:55の電車に乗って、AM01:00頃錦糸町、1〜2分でアニメイト。そしてPM01:10までアニメイト。この制限の中で思い切ってやるから充実するんだよ。手放しの自由じゃ却ってありがたみが薄いかも。

 地下鉄の水道橋駅のホームで視界の隅に見えた人物は!布井氏だ。こちらからは特にアプローチしない。おお、向こうから気づいた。俺、あんまり自分から接触しないからね。人に依存しているようにはふるまいたくない。しかしそれはうまいやり方ではないよ。

 本屋へ。ヒロスエなし!彼は買おうと思っていたらしい……。探せばあるだろう。
 五十嵐氏が咎めるように「コラ」と。俺は「ぬ」と。ふ。相変わらず俺の反応が理解できないようだ。俺が『Gun誌』をめくっているのを見て、ガンマニアと。ふ。五十嵐氏『あさひゆめみし』を買うたという。エロ本よりも恥ずかしい、と(布井氏はエロ本を買ったことないという)。俺はこっちの方がはずかしい、と『ムー』を。布井氏は図書室で読んでいたという。五十嵐氏の買うたサッカー雑誌を俺のカバンに隠して帰る。
 何話したか忘れたが、五十嵐氏、おもしろいし人柄もいい。共同生活していれば気に障ることもあるが、それはそれ。あんまり人のよくない(と思う)ことを口にするもんじゃない。それはごく一部にすぎないのに全体に対する見方と捉えられかねない。でも、日記には書く。
 昼抜いたんでラーメン。湯を汲みに下の洗面所へ(上は故障)。布井氏来た。英語がやばい、と。時間ないもんで俺の言った方法できない、とのこと。理系は数学と理科が第一。あんまり時間とれないらしい。簡略化したら?もうしているか。これ以上したらあんまり意味ないしな。どうしたものか。今回は例によって脱線しまくる(彼は派生と呼ぶ)。しかし今回は俺がそれを阻止しなかった。何と言えばいいかわからなかった。彼の右目の横には傷がある。それは刃物で切られ、そのせいで視力が落ちたという。左目も連動。頭にもやられてできたハゲがあるという。なかなかすごい生活をしていたようだ。俺も中学のときはスパナを持っていた(本当は何日も携行していたわけではないが、事実ではある)、よく暴力沙汰を起こした(ほんの数えるほどだよな)、俺、気ィ短いし人を見下すヤツゆるせなかったから、と。このとき少し精神がマヒしていなかったか?視界が夢のよう。あんまりつまらんことを言ってしまうな。
 彼の学校で何人か留年。結局辞める。いけないよ。教育者が生徒をドロップアウトに追い込んだら。彼はエロ本買ったことなし。見たのも2度で18になってから。性欲が溜まらない。2週間に1度しかしない、と。俺?さて。山田氏は毎日というが、そういう話されても困るんだよね。彼も同感と。苦手なんだわ、下の話が。
 布井氏の部屋、WCの隣で臭い。佐々木氏も臭い、日が入らない、と。
 佐々木氏が臭い?三浦君(彼は「君」をつけた)よりも臭い、と。寄るんじゃねー、と蹴ってやるわけにもいかない、とのこと。あんりまあ。結構仲いいと思ったりもしたが。まあ、これでも悪くはないのだろう。

 風呂、この3人だった。
 ゲーム、俺は『バーチャコップ2』はワンコインと言うと佐々木氏もだそうだ。やるじゃねーか。コンシューマはネオジオCDと言ってもわからず。佐々木氏はコンシューマはスーパーファミコンらしい。布井氏は感心。プレステ欲しい、と。
 布井氏、コインゲームしかやらない。それが高じてパチスロへ。カネが飛ぶ。山田氏がいっていた。俺?俺は競馬しかしないっス。
 戦争、日本については強くない。カネかけてる?いや、必要以上にカネ出しているだけ。しかもタマ1週間分。佐々木氏の共に空軍マニア。俺は陸軍、と。俺はハンドアームズ専門で、あとは軽いたしなみ程度っス。
 しかし、何と言ったかな。日本軍が開発していた飛行機?エンザン?エン……燕の字がついたような。あとで調べてやろう。
 さて、AM12:15。ねろ。
 現文、1時間半予習にかかった。かけすぎだな。最初の方ボケていた。でも自信ある解答をした。

 肺がむかつく。カゼか?違うな。喘息?今さら?まさか、ちょいと前、フィニッシュを吸い込んで、一瞬何もかも静止してしまったとき、肺にまで入ってどうにかなったか?とにかくあさって(10/3)医者に行こう。はやいうちに。


この日のカネの動き

アニメイト スケジュールシール×2 EVA -250×2=-500
アニメイト スタンプ EVA -1,000
 税込み-1,545
食料 カロリーメイト(チョコ) -200

財布残高 6,353円


解説
 「先生の言っていた時間の感覚」というのは、歳を食うとよく言う時の流れが速いという感覚のことだろうか。

 私は親しく接していた布井氏に対しても、気付かれるまで自分からは話かけないなど消極的な態度を見せている。これはすでに親しく、自分から声をかけることに抵抗がある段階ではないので、自分から声をかけることが他者への依存のようで、ことさらに自分から接触を求めることに抵抗があったという心境らしい。つまり自分はここにおける人間関係などなくても平気で(シャバには豊かな人間関係があるという自負もあり)、一人でいることに何の抵抗もなく、一人でいるのを避けるかのように人に声をかけるのは弱者の所業だとでも思っていたのだろう。声は掛けられるものであって、自分から掛けるものではないという。今となっては想像するほかないが。

 五十嵐氏みたいなむさくるしい、おっさん臭いキャラクターが売り物の人物が『あさひゆめみし』を買ったのは、それが源氏物語だから勉強に資すると思ったのだろう。しかしどういう本が恥ずかしいという話で、例として挙げた雑誌を布井氏が愛読していたというのは失言だった。

 布井氏の傷跡の話、なかなか過酷な少年時代を送っていたようである。もちろん私の持っていた「武装」なんかは実際に使うこともないダテに過ぎず、それもすぐにやめてしまったのだし、暴力沙汰といったもたかが知れたものであった。布井氏の言も同様の誇張やワルぶりの可能性はあるが、しかし傷跡があるので何らかの出来事はあったのだろう。おそろしい話である。

 「タマ1週間分」というのはよくわからない。1週間分倹約してそれで派手に趣味の文物に使うという話か。


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