ハガキ文
1996年10月04日(金)


(ハガキ文)

 本当にどうでもいいことだ。激烈に腹が立った。同じ寮の■■氏は、元野球部で活躍していたらしいが、引退してから何もやることがなくなり虚脱していたという。野球で肩と耳とを破壊し、もう野球はできないとも、きっと野球のことだけを考えて生きてきたのだろう。それがなくなって、あまりにも冷めてしまったという。俺が嫌悪する太宰治と同様、冷めた、虚無と抜かしておきながら、本当は単なる脆弱で、感情的な観念を絶対の拠り所として、それが崩壊して嘆いているだけの弱者だ。一緒にいて疲れるし、俺のような精神の人間は気付かずに弱者を傷つけてしまう。自分を好きか、人と人との関係が云々というので、俺に言わせれば、自分を含めて人間なんて社会を構成している一部分に過ぎないだろう、と言ったらえらく落ち込みに加速がついたような。
 そんなことはどうでもいい。その■■氏はあるとき、スポーツやってなくて何が楽しいの?と言いやがった。貴様は!スポーツなんぞ人間のする行いの一部分にすぎないだろうが!自分がそう思うのは勝手だが、スポーツこそが生き甲斐、スポーツだが充実感を与えてくれる、という発想が万人共通だというような言いようは、極めて腹立たしい。やはり弱者ってのは自分の観念(世界観にせよ人生観にせよ)に凝り固まった、精神に余裕がない(=崩壊しやすい)人間のことか。ついでに弱者は、他人についても自分と同じように見るから嫌だ。俺は何とも思わない、平気だといっても、そんなことはない、無理をしている、作為だ、と思いおる。気にくわん。別にどうでもいいことだ。気分がわるいからハガキに投影しただけ。 


解説
 あまりに腹立たしかったのかハガキにそのことを書き込んでいる。自分を強者だと思い、他者を弱者と認定呼称した上で、弱者を蔑んでいるのが実に美しくないい


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