手紙未投函
1996年11月29日(金)
俺はストレスを恥と思う。商売をやっているわけでもないのに消化できないなんて。そして感情は自分の内側だけのものだ。それを外に出すことも恥と思う。ストレス解消などと称して器物損壊などもっとのほか。自分の怒りでは、自分の頭蓋の外では鉛筆一本分の価値もない。本当はスポーツやカラオケなどで解消するのが正道なのだろうが、そんにことはできない。俺の場合は「筆誅」が主なのだが、時間がかかる。
昨日とその前の11/27〜11/28の2日間、かなり頭に血が昇っていた。本当に脳内の圧力が高まっていると感じるほどに。頭が破裂しそうだった。そんなことどうでもよいと勉強を強行したが、ほとんどできなかった。
何故そんなに怒ったかというと、■■なる人物に対してだ。実際はたいしたことはほとんど何もないのに、ひとりで勝手に興奮していること、こんな感情はちょいとしたキッカケやひっかかりで起きているにすぎないこと、そして彼は意思伝達が下手でちょいと偏狭な善人だということは、すべてわかっていた。
それでも、このたかぶりは収まらないし、実に健康にわるい。そしで俺は封印していたホープを開けた。ライターは持っていないし、自室ではまずいので、「草」を出してちり紙に包んで鼻に押し当てていた。笑っちゃいけない。嗅ぎタバコは立派なやり方だ(もっとも本当は粉にして鼻孔につけるのだが)。関係ないかもしれないが収まってきた。アルカロイドは効く。
情けない。精神に作用する薬に頼るなど最低の方法だ。まあ、たいした関係なかろうが。人に怒るときは自分の未熟がわるい。人などどうでもいい。やはり未熟者だ。
解説
これも投函していないハガキである。日記と書いてあることは大してかわらないが、買ったばかりのホープについて「封印していた」などと大仰である。そして山田氏については、基本的には善人であるとし、そして怒りは自らの未熟だと戒めているところが高潔ではある。他者を念頭においた手紙だからだろうか。