発熱
1996年12月22日(日)


 総仕上げ今日から。さむい。ホットコーヒーを飲む。少しはもちそう。コート着たい。でも1時限終わるまで待つ。コート着る。まだ寒い。腰がいたい。あちこち痛い。ヒザをハンマーで横から叩いたら怖いとかくだらんことを考える。くだらんと自分でもわかっている。さむい。特に脚がなんか、この場に収まりさらない。だるい。

 2時限の実力問題は、かなりいい加減にやる。でも、ある程度はあってた。難しいと思ったが、熱のせいか。

 家に電話。すぐに医者行けと。反発する。KY先生の講義に行きたい。でも歩いていて、浮いているよう。自分がこんなに重心があるとは信じられない。視界がやけに新鮮だ。クリアーだ。さむい。
 自分がまっすぐ歩いているのもフシギみたい。ぶっ倒れねーだろうな。今は大丈夫っても実はひどいんじゃ?12号館の事務で当番の病院聞いて、TJ病院がいい、と。すでに412に置いてあるカバンを持っていく。指導部で欠課届。

 医者、少し待たされる。工事屋がガラスかなんかの作業をしている。自動ドアがそれらの人と共に開き、冷たい風。心地よい。頭冷える。熱38.0℃。大したものだ。レントゲンも撮るがたぶんカゼ。

 帰り、つらい。立っているのが。吊り輪に両手でつかまりたい。必要なもの、買って帰る。
 まあ仕方がない。くだらん意地で学校へ行ってもよくならんし、勉強にもならん。山田氏のように人にうつし得るのも顧みないバカなことをしたくない。すぐ治せ。短期決戦。布団敷き、スタンバイよし。整えるのにひと苦労。早く寝たい。寝る。冷たい缶ドリンクを頭につける。これで脳細胞を守る。脳細胞を破壊したら大変。

 せっかく総仕上げなのに。総仕上げはテストなのでマジで頭を使う。実に役に立つそう。これで法政から國學院・日大レベルにいかねーだろうな。そうなっても仕方がないさ。でも、どんな理由であれ、低めの大学に行くのは気に喰わん。一生残る。他人も俺がX×大学に行ったことしか見ない。とっとと治せ。
 毎日やらんと、片っ端から忘れる。特に語学は。でも、脳も目も疲労している。ここで負担かけてもいいことはあるまい。

 遠慮なしに30℃でエアコンの暖房を入れ、ポットも使う。電気代など気にするな。短期決戦。とっとと治せ!でも、この3日ぐらいのブランクは大変だ。仕方ない!ここで勉強しても身につかん。余計疲れる。こんなこともあろう。

 こんなもの書いていたらホントはダメなんだよね。でも、こんなおもしろいときなことを書かずにいられるか!
 人生は一度きり、人生におけるすべてのときもそれぞれ一度きり。おもしろいぜ。そしてこれのせいで下位大学に行くハメになっても、1度きり、すべて積み重ねられる。早大はいい。せめて法政、学習院に入りたい。フォト、とっとと焼き増しせんといかんなへ。水道橋、今回見られないなー。まあいい!今こうやって、さほど負担にならん。でもよせ。疲れている。
 こういう無防備なとき、奴に殺されんだろうな。

 とにかく今は寝ろ!
 胃薬と風邪薬、一緒に飲んでいいのか?医者がカルテ見てそういったんだ。大丈夫としておこう。(「大丈夫」という感じを間違えて書きなしている。「これも熱で頭がバカになったか?」と付記されている)。
ねろ!

 さすがにエアコン30℃にすると、ふとんの外でも寒くない。でも立つと頭がおかしい。ようするに、ねろ!
なんか、心の底から勉強したい。すごい、気合い。できないためめか、総仕上げで気合い入ったか。

 まったく眠れん。これは予期していたが、汗させもかかん。着ているものが足らんか。ふとんが足らんか。夕食一応5分後に行く。みんな(といっても何割か)見ている。すげー顔しているぞ、とこのとこ。鏡を見る。蒼いってやつか?特に目の下がなんか模様みたいだ。もっともねー。
 皆にうつるといかんので、あとから行くことに。やっぱ、立つとまずい。本人はさほどでもないのに(と思っているだけか?)。
 とにかく田山氏が戻るまでは行かない。現在PM06:26。

 メシ、今日はカレーか。ルーなし。もらった梅干しと。梅干しもけっこういけるものだ。結局全部喰う。

 高山氏、俺がでると「どうした(音程があがる)?晴天君(音程が下がる)」と。ちかづかないで、うつる、と。顔をそむけて、手のひらを。本当はものすごく失礼な行為だが、うつしたくない。山田氏も大丈夫か、と。ありがたいよ。そんなふうに。また近づかないで、うつる、と。彼にはすごく失礼な行為。でも、うつしたくない。やっぱ歩くのはつらい。別に大したことじゃないし、その気になれば走れそう。でも熱が上がり、ぶっ倒れるかも。 


この日のカネの動き

ドリンク コーヒー -110
医者 -5,000
配線 延長コード -896
のみもの ポカリ×3
のみもの 茶 -100
のみもの 茶 -100
茶っ歯、マスク、レモン×2、Tシャツ×2 小計-1,635

財布残高 記述なし


解説
 直前期の総仕上げ特訓がはじまると同時に発病である。この日記の字ははげしく乱れている。相変わらずの何事も起きていないと錯誤する鈍感さのため、医者に行くことさえ渋りもするが、しかしさすがにこれはおかしいと思い、事務室で当番病院を聞き、欠課手続きもしている。自分も尋常ではないし、人にうつしてもまずい。幸い当番病院は近所で、診察券も持っているTJ病院だった。
 そして必要なものも買い込んで電車で寮にもどるのだが、おそらく呼吸が荒く、マスクのせいで(当時のマスクはメガネ曇り防止の細工などまったくなく)メガネがまっしろに曇り、取り合わせていたアベックらしき客に「大丈夫?」などと言われもした。彼らは「一人暮らしではカゼを引いても買い出しするしかないんだ」と私の買い込んだ品々を見てそう話していたりもした。延長コードは、寝ながら電気スタンドを使おうという魂胆だろうか。
 皆にうつさないよう食事時間をずらしているが、高山氏、そして対立状態にあった山田氏に気遣われ、どちらも「近づかないで」という失礼なことを言い、どちらもその拒絶のコトバに一瞬ひるんだ。しかしフォローするように「うつる」とつけて「君を避けているのではなく病気の感染を恐れている」として安堵させもした。なお、この体調不良の後、決定的な対立状態となっていた山田氏との対立は緩和されていくのである。

 なお、私はこの発病までエアコンの暖房をほとんど使っていなかった。吝嗇なのもあり、何事にも動じず安易に楽に流れないことを美徳とする当時の精神状態もあり。それでパーカーの上にコートを着るような異常な厚着をしていた。おそらくこのとき罹ったのはインフルエンザなので、ウィルスを電車や学校や寮で取り込んでしまうことは避けがたい運だったはずではある。しかし暖房をケチり寒い部屋で動かず勉強して体力を消耗したことは、いくらか罹患リスクを高めたのかもしれない。この罹病以来、暖房に関してはケチるのをやめるようになった。


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