39.3℃
1996年12月23日(月)
やすんだ。朝、下に降りたけれど、メシ、朝礼欠席。あとで喰う。ムリヤリ、パン1枚。寮監さんのくれたバナナ一本と野菜押し込んだ。
誰もいなくなる。別にどうでもいい。
氷嚢を頭にのせて、頓服剤飲んで寝ると、眠れた。それに汗をかいている。熱、36.5℃。ああ、治ってきたか?今までの、手すりにしがみついての階段の行き来が大袈裟なようだ。
昼飯。おかゆ、卵、レタス、梅干し、全部喰う。やっと、でもない。やっぱり回復しているか(×うそ)。
寮監さん、回ってきた。PM04:00少し前。頭さわって、まだ熱あるね、と。37.5℃。うげ
そして今、PM05:45。38.3℃。
やはり薬のいちじしのぎか。
今、少し英単と英解の復習をしたけれど、そのせいか?いや、そうではあるまい。
胃が気持ち悪い。吐きそう。潰瘍のせいで複雑なことになっているのか?
あんまり熱出ると脳細胞が死ぬ。
夕食(またPM06:30)、氷嚢もらってこよ。
この総仕上げやらんのは結構ハンデだが、仕方あるまい。俺の健康管理がよくない。また腰が痛んできたと思ったら熱、上がったのか。
ねよう。
メシ、PM06:07呼ばれる。でも待つ。うつしたらまずい。PM06:17、寮母さんが来る。すまない。迷惑だったか。
井上氏も高熱で39.0℃!今は少しさがったらしいが。
俺は恥ずかしい。別に自己憐憫も言い訳も悲劇のヒーローぶりもしない。ただ、うつしたくなかっただけだ。でも、俺だけじゃなかった。
さっき、鏡でマスク付のツラを見た。結構凶悪なツラになっていた。食堂いったとき、反響があったような気もした。気のせいかもしれないが。布井氏、マスク姿が痛々しい、とのこと。ふ。
さて、頓服剤飲んで寝よう。粉も飲んだ。そしてマーロックスも(飲まないことにしたが胃が痛む)。変な化学反応起こして副作用起きんだろうな。バファリン、また寮監さんにもらったけれど、医者にもらった頓服が優先ね。タンが絡んで死なないだろうな。
PM07:06、39.3℃。うげ。
田山氏にも気をつかわせているな。すまん。
脳細胞が破壊される。それと目にこないだろうか。今は大学のことよりそっちの方が気になる。とっとと戻ってやる。2日以内に。総仕上げはまださ。1/6からでも法政受かってやるぜ。
脈が力強く、速い。左胸に高速プレス機があるようだ。しめた、汗かいてきた。
自分がどうなろうが極めて自然なことだ。自分と周辺の人以外にとってさしたる意味はない。当然のことだ。
PM08:30、37.7℃。
PM09:25、37.6℃。下がってはいるがこれが限界。
明日内科へ行こう。休んでさ、学校を。
高校の■■君、どうやらまた病弱を言い我にしているらしいな。勉強できないほど病弱な奴が、どうして再会して遊んでいられようかと、再会したら言ってやりたい。原因・理由がどうあれ、結果を出せたやつにしか価値はない。
みていろよ。自分の健康管理の不備で今はねとるが、なおったら、また。
とっとと治してやる。
なんか、この紙の上、ホットレモンの粉だらけ。明日掃除する。
今PM11:01、ぜんぜん眠くない。昨日からあまり眠っていない。熱が高すぎるとこうなるらしい。昔、同じことを考えた気もする。今、37.3℃くらい。たいしたことはない。でも、薬の効果が切れるとまた上がるだろうよ。
なんか、今日は朝から頭の中で宮崎駿だ。『シュナの旅』にはじまり、今は『ナウシカ』。あ、この2つだけか。自分で他のも考えはするが、自然(?)と流れるのはこの2つ。
あと『エヴァ』の零号機暴走シーンの重い音楽。
ふだん、考えるヒマのないことも、やっぱ、こういうときに考えようと思ってもできないな。能動的に「考える」ということをするのが難しい。
AM03:31。さむく、のどはれ、かわき、アタマいたみ、ねつ高し。
ねつは38.5℃だったが、まだ上がるかも。
さむい。とりあえず缶の茶を飲むか。
さむさはどうにもならん。こんなんで治るのか。タクシーで医者行くか?
父よりもらった小銭を使って。
関節も痛い。
おちつけ。脳細胞が死滅してゆく。
血圧が脳内欠陥の壁をつきやぶる。
ウソでも平穏でいろ。
過去のことなど今は忘れろ。
今はAM05:30。
この日のカネの動き
なし
財布残高 記述なし
解説
熱が39℃まで上がるとはなかなか大変な症状である。インフルエンザだったのだろう。井上氏も高熱を出しているあたり、流行っていたのだろう。寮内で感染が大規模に広まらなかったことだけは幸いである。
薬を別の薬と一緒に飲むとよからぬことが起きるのではないかと十二指腸炎の薬を控えたら、やはり痛みがあるようで飲んでいる。薬を控えたせいで痛んだのかどうかは不明。
皆に感染させないよう食事の時間をズラそうとしているが、しかし厨房には厨房の都合があり(調理の人が帰る時間がある)、呼び出されている。感染予防の配慮をしたところだが、それとは別のところで迷惑がかかったと煩悶している。
感染性疾患という予防が困難な病気の罹患について自分の自己管理のせいにしたり、このために大学入試に影響しても仕方がないと甘受する姿勢を見せたり、当時の精神状態がよくわかる。すべて自分の意思と姿勢に原因を求め、わるいことが起きると自分のせいだからと甘受する。自分自身について心構えや割り切りをするのにはよい考えかもしれないが、しかしこれはややもすると容易に他者を裁くことにつながる危険な考え方でもある。
高校の友人■■君について、自分は病弱だからと称して勉強を怠っていたという話をどこから知ったのかわからない。また実家経由で届いた別の友人の手紙に近況があったのだろう。■■君は、確かに気分がすぐれないといって勉強を怠り待ち合わせを寝過ごしたりする面があったし、自分の不調を示せば他者が寛恕して当然という態度もあった。これには不快感を抱ていたが、しかし自分の体調不良のときに、他人の体調不良の言辞について思い出して怒り、それを裁く文言を考えたりするところが私の度し難いところである。