last up date 2002.12.03


high-low mix
 hi-loやhi-lowと表記されることも多い。高価なものと安価なものを併用し、安価なもので数を揃え、高価なもので高度な目的にも対処する発想。1970年代はじめに空軍の戦闘機を巡って米国議会で提唱されたのが代表例である。具体的には、当時配備され始めていた戦闘機F15が高価なため数を揃えるのが困難であり、安価な軽量戦闘機と併用して数を揃えようというもの。その構想の下に開発されたのがF16。必然的にF15よりF16の配備数は多く、2002年現在、米空軍でF15はストライクイーグルも含めておよそ800機ほど運用されているが、F16は1500機近くも運用されている。


 F15は、あらゆる敵機と交戦して撃墜するという意味に於いては、20世紀最強の戦闘機の1機である。21世紀に於いても、当分の間は強力な戦闘機であり続けるのに間違いはない。しかし、そうした強力な戦闘機も数がなければ軍備としての意味は薄れる。
 いつでも敵はMig29やSu27のような高性能戦闘機とは限らない。攻撃機や爆撃機の侵入を阻止するだけならば、並の戦闘機でも十分可能である。また、F5やMig21程度の旧式戦闘機と戦う場合でも、一騎打ちをするわけではない。強力な戦闘機でも、数で押されれば落とされる。落とされる前に2機や3機撃墜したところで、経済的には負けである。補充の再生産も容易ではない。だからこそ、数を揃えて作戦領域の穴をなくし、数で圧倒するとともに、肝心な部分では質でも勝利する。これこそがhigh-low mixである。


 もっともF15と比較すれば安価だというだけで、F16とて先端技術を盛り込まれた高度な機体であり、性能は高い。多くの国にとって、決して安い機体ではない。F16を採用した国は20ヵ国にも上るが、そうした国の多くは未だにF4やF5のような一世代前の戦闘機とF16とを併用しているのが現状である。旧型機と新型機とを併用するのもhigh-low mix的な発想だが、同時代に高級機と廉価機の二種類の戦闘機を開発し、同時に配備するhigh-low mixなどというのは、アメリカのような大国でなければ出来ない芸当と言える。


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