last up date 2002.12.05
reverse discrimination
逆差別。すなわち伝統的に差別する側の人間が、差別されていた側によって差別されること。従来の差別が長い運動や闘争を経て是正されていったり、劇的な政権交代によって支配層が力を失ったときなどに、必ず見られる事象である。
もちろん、男性が女性に対して行ってきた差別、白人が有色人種に対して行ってきた差別や、貴族階級が平民や奴隷に行ってきた差別、ホワイトカラー層がブルーカラー層に行ってきた差別など、従来の伝統的な差別の問題は指摘され、是正されるべきではある。しかしだからと言って、これまで差別してきた側に属する人間を、例えば白人だとか、貴族階級だったとか、男性であるとか、高学歴である、などという理由のみによって不当に迫害し、低い待遇をすることが正当化されるわけではない。個々人の人格や能力を無視して、何かの階級や集団に属していることや人種や性差によって個々人を判定し不利益を与えることを差別という。旧来の差別も、新しい差別としての逆差別も、同じく不当な行為である。
しかし旧来の差別に対する同情や怒りから逆差別がなかなか問題視されないところに、その問題点がある。旧来の差別反対闘争で為された社会へのアンチテーゼや、旧来の支配層に対する批判がテーゼと錯覚され、逆差別が「こうした人間が劣っているというのは事実なので、それを述べても問題がない」「今まで社会を悪くしてきた人種を、入学や雇用で区別するのは当然」などとして正当化されるのは非常に恐ろしい。