last up date 2005.05.03


革命(かくめい)
 革命とは、進歩的立場から既存の体制を批判する勢力が、政権外部から権力の座を奪い取る武力的政権交代のことである。この革命について、その発生条件とプロセスを検証していく。


 まず、革命の起きる条件から述べるが、国家の存在そのものが革命を誘発すると見ることが出来る。なぜならば国家は、諸階級の対立を和解・調整する為ではなく、ある階級を他の階級が抑圧する為の機関として存在しているからだ。他階級の抑圧のために国家は警察・軍・監獄といった暴力装置を備え、支配階級は自らの利益擁護・拡大の為にこれらを利用し、対立する階級が和解できない状態が出来上がってしまうのである。こうした状況に対して、被抑圧階級は革命勢力として、階級的矛盾解消を目指すようになる。
 これだけでは革命の条件としては不足である。革命が起きるさらなる条件としては、経済が破綻状態にあること、あるいは上部構造が生産関係に照応できない状態にあることがある。つまり大衆に強力な不満があってはじめて、革命を志す勢力は広く支持を受けることが出来るのである。


 次に、革命のプロセスについて述べる。まず既存の権力の下に社会的経済的な問題があり、それに対して体制内の政策では対応できないとき、権力担当者の権威は失墜する。つまり大衆は権力者を信頼しなくなる。社会的経済的な問題の多くは、権力者が自己の利己心の為に維持保存している社会矛盾に帰因しており、矛盾解決を求めて合理的なオルタナティブを唱える者に対して権力者は、暴力装置を用いて弾圧を行う。反体制運動家は、この不当な弾圧に対抗する為、そして積極的に政権を奪取する為に、自らの武装化を進めるのである。
 こうして成立した革命軍には、社会への不満と権力への不信感を持つ民衆や兵士の支持が不可欠である。なぜならば、大衆・兵士の積極的な革命軍参加があってはじめて革命軍は体制に対抗する戦力を獲得することが出来、そして兵士・警察官の離反は体制を支える暴力機関を内部から突き崩すことになるからだ。国際的には外国の革命勢力との提携、あるいは外国同士の対立を利用して一方の国から協力を得ることが有効である。


 かくして革命勢力が政権を奪取した後は、如何なることが行われるのか。それは革命政権への強力な権力集中である。後述するように革命に対しては必ず反動が起きる。こうした反革命に対抗するためには、強い権力と実行力が必要なのである。また、革命の目的である政治体制の質的変革には妥協は許されず、新しい経済・社会構造の構築、政治制度・法制度・教育制度の改革は徹底して行われる必要がある。ここに於いて旧体制との融和政策を行うと、より急進的な勢力によってさらに体制を転覆させられる恐れがある。


 さて、革命が生じると必ず起きる反革命とは何か。それは、革命という急激な権力交代によって利益を喪失する既存体制側勢力が、事前あるいは事後に革命勢力に闘争をしかけることである。この反革命には次のような段階がある。
 革命達成前に於ける反革命は、台頭してきた革命勢力に対して権力者及びその支持勢力が先手を打って革命の企てを潰すことである。その為に権力者側は軍・警察の武力・権限を強化し、革命勢力の抑圧・弾圧が行われる。
 革命達成後に於ける反革命は、革命勢力によって追放された旧支配勢力が政権奪取を図る為の武力闘争である。その為に旧支配勢力は国内の同調者・国外の亡命者を糾合し、さらには革命勢力が国益に適わないと見る外国の援助をも求めて行われる。
 しかし反革命は、最終的には衰亡していく傾向にある。なぜならば、反動は生産力の発展が規定する生産関係にそぐわない上部構造の維持・再確立を目的としており、時代に逆行するものだからだ。


 これらが革命と発生理由とプロセスである。


参考文献
阿部斉 「概説現代政治の理論」 東京大学出版会 1991年
「新訂版現代政治学事典」 ブレーン出版 1998年


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