last up date 2002.12.19


未必の故意(みひつのこい)
 法概念。行為者が、罪となる事実の発生を積極的に意図ないし希望したわけではないが、自己の行為から、ある事実が発生するかもしれないと思いながら、発生しても仕方がないと認めて、あえてその危険を冒してそれを行う心理状態のこと。
 例を挙げれば、誰かをフクロにするとき、相手が死ぬかもしれないと思いつつ、まあ死んでもいいやと思って殴り、その結果人が死んだ場合。誰かが食べるかもしれない、食べて死ぬかもしれないと思って食料に毒物を混入させ、それで食べた人が死んだ場合。こうした場合に、未必の故意が認められる。
 もちろん、他人の心の内を知ることは出来ないので、自分の行動がもたらす結果を予見できたかどうかが焦点となる。例えば、執拗に殴る蹴るの激しい暴力を続ければ、人は死ぬかもしれないことは想像が容易なことである。当人が「死ぬとはまったく考えもしなかった」と言おうが、人が死ぬ可能性について予見が可能なほど苛烈な暴力だったと判定されれば、未必の故意が認められる。


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