last up date 2005.04.01


二重内陸国(にじゅうないりくこく)
 海に出るまでに、2ヶ国以上の国家を通らなければならない国のこと。ウズベキスタンやリヒテンシュタインがそれに当たる。
 鉄道・自動車・航空機が発達した現代に於いても、商品−特に重量物−を大量に運ぶためには海運が最も効率的であり安価である。海に面していない内陸国は、鉱物資源や鉄鋼のような重量物から食糧や電気製品のような量を必要とするものまで、沿岸国の貿易港から国境を越えてトラックや鉄道で陸上輸送して輸入しなければならない。しかし外国経由の陸上輸送は効率がわるく時間と費用がかかるだけではなく、地政学的リスクまでもが付きまとう。そのため二重内陸国は常に二ヶ国以上の国家との友好関係・経済協力体制に気を払わなければならない。二重内陸国という地理条件は、食糧・エネルギー・生活用品などの生命線の確保に於いて不利である。さらに輸出は、原材料の輸入だけではなく貿易港までの搬出にもリスクとコストが掛かるため、より不利と言える。
 特にウズベキスタンは、アフガニスタン、パキスタン、イランといった政情や欧米との友好関係に問題が生じやすい国に囲まれ、同じ旧ソ連諸国の中でも天然資源に恵まれなかったために貧しく政情不安なクルグズスタン・タジキスタンにも隣接し、ロシア・中国・インドの大国の中間にも位置しており、二重内陸国として海への道をどう確保していくのか。その国家戦略は興味深い。 


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