last up date 2006.05.11


専制と独裁(せんせいとどくさい)
 専制と独裁は、いずれも1人ないし少数の支配者が恣意的に統治することであるが、両者は明確に異なる。前者は前近代的な支配であり、後者は近現代的支配である。
 専制は伝統的社会を基盤とした身分制度によって圧倒的大多数の人民の政治参加が閉ざされた状態において、支配層の持つ権力を集約した少数者が全体を支配する、非常に垂直的な構造を持つ。この構造を支えるのは被支配層が支配層へ持つ恐怖である。一方で独裁は、支配されている大衆がある程度政治参加し、その支持に基づいて支配者が権力を集中させるという、被支配者に支配者が支えられる構造になっている。その原動力は、大衆が指導者に自己投影して自己実現を図ろうとする、エーリッヒ・フロムの言う「自由からの逃走」心理である。
 しかし、広義に於いては両者共に恣意的支配全般を指すコトバとして広く用いられ、区別できない場合も少なくない。


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