last up date 2005.04.02


時限爆弾(じげんばくだん)
 設置から一定時間を置いてから爆発する仕掛けを持った爆弾のこと。その仕組みは、機械式の時計や電子タイマーを利用したものから、薬剤による金属板の腐食を計算した化学的なもの、あるいは水の入ったビニール袋に穴を開けて重量の変化を利用したような原始的なものまで幅広い。
 時限爆弾の目的は大きく分けて2つある。
 1つの目的は、犯人が逃走する時間を稼ぐため。この逃走とは、自身が設置した爆弾の爆発に巻き込まれないことと、爆発が起きて騒ぎになる前に立ち去って警察機関の初動捜査にかからないことの、2つの意味がある。この点に於いて時限爆弾は、攻撃側の安全性が高い武器と言える。
 2つ目の目的は、効果的なタイミングで爆発させる為。往々にして、爆弾を仕掛けやすい時間と爆発が効果的な時間は異なるからだ。夜に仕掛けて、昼間に爆発させて一般大衆を無差別に殺傷する程度の使い道ならば、時限爆弾は有効である。しかし、特定の要人や車両を標的とするのには爆発時間の設定が難しく、使いにくい武器と言える。また、有効なタイミングで爆発させる為には、確実な発火と正確な時限装置、事前に見付からない隠密性が不可欠であり、爆発物を入手しただけでは時限爆弾として仕立てるのは難しい。
 こうした時限爆弾の欠点から、爆弾を使うに当たって、前者の目的を無視してタイミングと発火の確実を期す方法もある。つまり、当人が爆死覚悟で爆弾を帯びて対象に近づき、最も有効だと判断した瞬間に起爆スイッチを直接入れるのが最も確実な爆破なのである。時限爆弾が生還を第一条件にしたプロフェッショナルの武器とすれば、自爆はアマチュアが取れる唯一の戦法とも言える。その為、必然的に戦乱・ゲリラ活動に際しては、資金力や技術力に劣る勢力が時限爆弾よりも自爆を多用する。


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