last up date 2002.12.05
自虐(じぎゃく)
(1)自らの身体あるいは精神に対して、その健康や安全を損ない、痛めること。例えその行動が、自らの心身に不可逆変化としての損害を与え、さらには自らに死をもたらすものであったとしても、それを行う精神の欲求に従っているという意味に於いては、返って精神の充足や均衡をもたらし、しばしば甘美な行動となり、陶酔をも伴う。そういう意味に於いては、自らに対して完全に不利益でしかない行動をとるというのは、難しい。
(2)体力・筋力を鍛える、忍耐力や集中力といった精神を鍛える、という能力を高めるための鍛錬をしている様を指して、しばしば囁かれるコトバ。一見苦痛を伴うことだが、当人がやりたいからやっている、そのために快楽をももたらす、という意味に於いては自虐と鍛錬には共通性があるが、当人が自らの破壊、自らへの不利益を企図して行う自虐と、自らの発展、自らへの利益を企図して行う鍛錬とは、志向の在り方に於いてまったく別物であると言える。自己鍛錬として何かをやっている人間に対して、その行動を自虐と評すると、高度の蓋然性で軽蔑されるので注意。
(3)自虐趣味の持ち主は、必ずしも被虐趣味の持ち主ではないが、しばしば区別が為されないことがある。