last up date 2002.12.05
心理ゲーム(しんりげーむ)
いくつかの簡単な質問に答えてることによって、個々人の人生観・世界観・恋愛観、あるいはある状況に於いて取ると思われる行動を暴き出す、とされるゲーム。大抵は「心理学に基づいた」などとの注釈と、アドバイザーとして大学の心理学者や精神医の名前が添えられている。
単に、クイズやなぞなぞのように、笑って終わる分にはどうでもよいのだが、このゲームが心理学そのものであるかのような錯覚、さらにはこのゲームが導き出した結論が他者や自己を解き明かす真実であるかのような錯覚を持つ者がしばしばいることが問題である。その根拠としては、やはり心理学説を多少なりとでも引用しているらしいこと、心理学者の名前が書かれていることに、「権威」を覚えるからである。たかがパーティージョークの類のゲームに対して。
確かに、一行二行程度で書き表される、「〜を志向する場合は、〜のような感情を抱く傾向がある」のような説明文も、心理学の成果からの引用である場合もある。しかし、心理学に限らず、あらゆる人文科学・社会科学、そして自然科学でさえも、一言二言で何かを説明することなど出来ない。物事を極めて単純化して枝葉を払い、ある一つの法則として掲げることも出来るが、それを現実に存在している事象に当てはめてそれを分析するのは、極めて煩雑な作業を伴う。実際に存在する全ての事象は、環境を一定に保ち、他の要素を極力存在させないようにした実験室にあるわけではなく、あらゆる事象が複雑に影響を与え合って存在しているからだ。そこに於いて、極端に捨象された一言二言の文言で、すべてを解析できるかのような妄想を抱くなど、人類が長年掛けて培ってきた研究学問・知的営みに対する冒涜とさえ言える。